(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062611
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】緩衝封筒及び緩衝箱
(51)【国際特許分類】
B65D 81/03 20060101AFI20220413BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B65D81/03
B65D81/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170745
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森島 敏之
(72)【発明者】
【氏名】森田 統也
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA22
3E066AA35
3E066CA01
3E066DB01
3E066FA02
3E066JA21
(57)【要約】
【課題】厚みを抑えつつ、必要な緩衝性能を発揮できる緩衝封筒及び緩衝箱を提供する。
【解決手段】外装シートと、独立した多数の気泡を有するプラスチック気泡シートを含む内装シートとを備える緩衝封筒、及び、外装材と、独立した多数の気泡を有するプラスチック気泡シートを含む内装シートとを備える緩衝箱であって、内装シートは、中空状に膨出する多数の突起部が成形されたキャップフィルムと平面状のバックフィルムとを含み、バックフィルムが緩衝封筒及び緩衝箱の内面を構成しており、突起部の高さHが0.5~2.0mmである緩衝封筒及び緩衝箱によって解決される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装シートと、独立した多数の気泡を有するプラスチック気泡シートを含む内装シートとを備える緩衝封筒であって、
前記内装シートは、中空状に膨出する多数の突起部が成形されたキャップフィルムと平面状のバックフィルムとを含み、
前記バックフィルムが前記緩衝封筒の内面を構成しており、
前記突起部の高さHが0.5~2.0mmであることを特徴とする緩衝封筒。
【請求項2】
前記突起部の直径Dが3.0~35mmである請求項1に記載の緩衝封筒。
【請求項3】
前記突起部の高さH及び直径Dは、1.1π≦(D/2)2π×H≦612.5πを満たす請求項1又は2に記載の緩衝封筒。
【請求項4】
外装材と、独立した多数の気泡を有するプラスチック気泡シートを含む内装シートとを備える緩衝箱であって、
前記内装シートは、中空状に膨出する多数の突起部が成形されたキャップフィルムと平面状のバックフィルムとを含み、
前記バックフィルムが前記緩衝箱の内面を構成しており、
前記突起部の高さHが0.5~2.0mmであることを特徴とする緩衝箱。
【請求項5】
前記突起部の直径Dが3.0~35mmである請求項4に記載の緩衝箱。
【請求項6】
前記突起部の高さH及び直径Dは、1.1π≦(D/2)2π×H≦612.5πを満たす請求項4又は5に記載の緩衝箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立した多数の気泡を有する内装シートを備えた緩衝封筒及び緩衝箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空状に膨出する多数の突起部が成形されたキャップフィルムに、突起部内に空気を封入するバックフィルムを積層することによって製造された、独立した多数の気泡を有する気泡シートが、包装用の緩衝材をはじめとする各種の用途に広く利用されている。
【0003】
例えば、このような気泡シートを内装シートとし、紙等からなる外装シートに張り付けて封筒とした緩衝封筒が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような気泡シートを緩衝材として使用するにあたっては、保護する対象物がシートに押し付けられた際に、局所的な負荷が気泡に作用して、気泡を形成する突起部の天面がバックフィルムに接してしまう、いわゆる、気泡の底つきが生じてしまうと、緩衝効果が損なわれてしまうことがある。このため、気泡の底つきが生じないように、気泡は、ある程度の高さを確保する必要があった。
【0006】
しかしながら、緩衝封筒は、被包装物を気泡シートで保護しながらも、配送面から封筒の厚みが薄いものが求められる。特に、配送先の郵便受けポストに投函することができるように、ポストの受け口に差し込む妨げにならない程度に、薄くする必要がある。
【0007】
また、近年では、封筒だけでなく、包装箱であっても、所定のサイズのものは郵便受けポストに配送されることがある。このような配送方法には、被包装物を保護する気泡シートを包装箱内部に含んだ緩衝箱としても、箱全体の厚みが薄く構成されていることが求められる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み提案されたものであり、厚みを抑えつつ、必要な緩衝性能を発揮できる緩衝封筒及び緩衝箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る緩衝封筒は、外装シートと、独立した多数の気泡を有するプラスチック気泡シートを含む内装シートとを備える緩衝封筒であって、前記内装シートは、中空状に膨出する多数の突起部が成形されたキャップフィルムと平面状のバックフィルムとを含み、前記バックフィルムが前記緩衝封筒の内面を構成しており、前記突起部の高さHが0.5~2.0mmである構成としてある。
【0010】
また、本発明に係る緩衝箱は、外装材と、独立した多数の気泡を有するプラスチック気泡シートを含む内装シートとを備える緩衝箱であって、前記内装シートは、中空状に膨出する多数の突起部が成形されたキャップフィルムと平面状のバックフィルムとを含み、前記バックフィルムが前記緩衝箱の内面を構成しており、前記突起部の高さHが0.5~2.0mmである構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、厚みを抑えつつ、必要な緩衝性能を発揮できる緩衝封筒及び緩衝箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る緩衝封筒の概略を示す平面模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る緩衝箱の概略を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る緩衝封筒及び緩衝箱に用いられる内装シートの断面を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る緩衝封筒の概略を示す平面模式図であり、
図2は、本実施形態に係る緩衝箱の概略を示す斜視図であり、
図3は、本発明の実施形態に係る緩衝封筒及び緩衝箱に用いられる内装シートの断面を模式的に示した説明図である。
【0014】
<緩衝封筒>
緩衝封筒1は、封筒の外面を形成する外装シート2と、独立した多数の気泡を有するプラスチック気泡シートを含む内装シート3とを備え、少なくとも封筒の両側縁と底縁がヒートシールされて袋形状となっている。
緩衝封筒1の開口部には
図1に示すような封部分が設けられていてもよい。
【0015】
図示する例では、内装シート3は、中空状に膨出する多数の突起部30が成形されたキャップフィルム31と平面状のバックフィルム32とから構成されている。
このような内装シート3は、例えば、概ね円柱状又は円錐台状などとされた多数の吸引キャビティーが設けられている成形ロールに、樹脂フィルムを接触させて、吸引キャビティー内を真空吸引することによって真空成形をして、多数の円柱状又は円錐台状の突起部が設けられたキャップフィルム31を形成し、形成されたキャップフィルム31の突起部30の頂面とは反対側にバックフィルム32を積層し、熱融着によってキャップフィルム31と積層一体化することにより、キャップフィルム31に成形された突起部30内に空気が封入された気泡シートとして、製造することができる。
【0016】
内装シート3を、キャップフィルム31とバックフィルム32の二層構造とする場合、緩衝封筒1の内面はバックフィルム32によって構成され、緩衝封筒1は、外装シート2/キャップフィルム31/バックフィルム32/バックフィルム32/キャップフィルム31/外装シート2の順で重ねられる。
外装シート2とキャップフィルム31とは、少なくとも緩衝封筒1の側縁及び底縁において接着されている。この接着は、熱融着でも、接着剤などを用いた接着でもよく、周知の方法を適用することができる。
【0017】
配送面を考慮すると、このような緩衝封筒1においては、内装シート3のキャップフィルム31の突起部30の高さHは、低いほど好ましいが、一方で、被包装物を保護できる緩衝性が求められる。
本発明者らが検討したところ、封筒のように、郵便受けポストに投函する配送方法に用いられる包装体には、通常は、極端に厚みのあるものを入れることはなく、また、厚み方向に立体的な形状を有するものなどは入れることがない。緩衝封筒1に収納される被包装物としては、例えば、書籍などの紙類、CDやDVD、袋状の包装体に包まれたサプリメント、衣類などの平面状の物品が挙げられ、多くの場合、厚さ方向に先細り形状の先端部を有しておらず、ほぼ平面形状で包装体に内包することができる。このため、このような被包装物が内装シート(気泡シート)3に与える負荷は、各気泡に対して平面的であり、気泡の高さを低くしても必要な緩衝性能が得られることを見出した。
すなわち、本実施形態では、内装シート3のキャップフィルム31の突起部30の高さHは、0.5~2.0mmに設計され、好ましくは、0.8~1.8mmに設計される。
【0018】
緩衝封筒1の外装シート2は、封筒として使用される材料であればよく、紙を用いる場合は、例えば、クラフト紙、上質紙、ライナー若しくはクレープ紙等を好ましく用いることができる。
外装シート2に紙を用いる場合、その厚みは、0.07~0.20mmとすることができる。
【0019】
このようにして内装シート3の気泡及び外装シート2が形成されると、緩衝封筒1の厚み、すなわち内装シート3及び外装シート2を含む緩衝封筒1全体の厚みは1.14~4.40mmとなるため、内容物の厚みが28.86~25.60mmであっても、配送物としての厚みを30mm以下とすることができ、好ましい。
配送物を郵便受けポストに投函することを希望する場合、被包装物を含んだ緩衝封筒1の厚さは、30mm以下、好ましくは25mm以下、さらに好ましくは20mm以下であることが望ましい。本実施形態によれば、緩衝封筒1自体の厚みを薄く構成しているため、配送物を求めるサイズ規格内とすることが容易となる。
【0020】
キャップフィルム31の突起部30の直径Dは、3.0mm~35.0mmとすることができる。
特に、突起部30によって外形が形付けられた気泡の体積[V={(突起部30の直径D)/2}2π×H]が1.1π~612.5πmm3となるように、突起部30の高さH及び直径Dが設計されると、気泡の高さHが低くても、気泡内に存在する気体の圧力によって、必要な緩衝性能を緩衝封筒に付与することができるため、好ましい。
【0021】
キャップフィルム31及びバックフィルム32を形成する樹脂材料は、熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、プラスチック気泡シートを製造するために通常用いられる材料を、特に制限無く用いることができる。例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
【0022】
ポリプロピレン系樹脂としては、具体的には、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが例示できる。プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、エチレン、ブテン-1、イソブチレン、ペンテン-1などのα-オレフィンが挙げられ、これらの他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
【0023】
また、ポリエチレン系樹脂としては、具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)などが例示できる。
【0024】
キャップフィルムとバックフィルムとを形成する樹脂材料の組成は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0025】
また、これらの樹脂材料に、必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、老化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、光安定剤、耐候剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤、タルク、シリカ、シリカバルーン、ガラスバルーン、高分子微小球等のブロッキング防止剤、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤、滑剤、防曇剤、着色剤、粘着付与剤、接着亢進制御剤、無機フィラー(タルク、シリカ、炭酸カルシウム)、有機フィラー(炭素繊維、アミド遷移)等が挙げられる。
【0026】
なお、緩衝封筒1の内面を構成するバックフィルム32側に、必要に応じて他の機能を有する層が設けられていてもよい。このような層としては、例えば、帯電防止性を有する層、導電性を有する層、難燃性を有する層、ガスバリア性を有する層、着色されている層、滅菌層等が挙げられる。
【0027】
このようにして、本実施形態によれば、厚みが薄く、郵便受けポストに配送する際に求められるサイズ規格内にすることが容易で、必要な緩衝性能を備えた緩衝封筒1を提供することが可能となる。
【0028】
<緩衝箱>
緩衝箱4は、包装箱を形成する外装材5と、独立した多数の気泡を有するプラスチック気泡シートを含む内装シート3とを備え、所定の高さを有する直方体の形状に構成されている。
包装箱のタイプ(形状)としては、例えば、ヤッコ型ケースやN式ケース等、任意の箱形状を用いることができ、配送時の形状が実質的に直方体となっていれば、前述のものに限定されない。
ここで、緩衝箱4の「高さ」とは、直方体を形成する六面のうち最も面積が広い一方の面を底面、もう一方の面を天面とした場合、底面及び天面を形成する辺を縦及び横と規定し、底面から天面までの距離を高さと規定したものとする。
緩衝箱4の高さは、30mm以下、好ましくは25mm以下、さらに好ましくは20mm以下であることが望ましい。
緩衝箱4の縦、横の長さは、郵便受けポストに入る所定の長さとすることができ、特に限定されない。
【0029】
緩衝箱4の内装シート3は、前述の内装シート3と同じ構成のものを用いることができ、内装シート3を、キャップフィルム31とバックフィルム32の二層構造とする場合、内装シート3が設けられている箇所の緩衝箱4の内面は、バックフィルム32によって構成される。
内装シート3は、少なくとも緩衝箱4の天面側及び底面側の内側に設けられ、外装材5とキャップフィルム31とは、互いに分離しないように接着されている。この接着は、熱融着でも、接着剤などを用いた接着でもよく、周知の方法を適用することができる。
【0030】
緩衝箱4の外装材5は、包装箱として使用される材料であればよく、例えば、紙または厚みの薄い段ボール等を用いることができる。
外装材5の厚みは、0.1~1mmとすることができる。
【0031】
このようにして内装シート3の気泡及び外装材5が形成されると、緩衝箱4の天面側と底面側の内装シート3及び外装材5の厚みは、あわせて1.2~6.0mmとなる。これにより、緩衝箱4の高さを30mmとした場合、内容物は28.8~24.0mmの厚みのものまで収容することができる。
このようにして、本実施形態によれば、郵便受けポストに配送する際に求められるサイズ規格内であるとともに、必要な緩衝性能を備えた緩衝箱4を提供することが可能となる。
【0032】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0033】
例えば、内装シート3は、ライナーフィルム、キャップフィルム31及びバックフィルム32からなる三層構造の気泡シートとしてもよい。このような三層構造の気泡シートは、前述の通りキャップフィルム31にバックフィルム32が積層された後、キャップフィルム31の突起部30の頂面側、すなわち、キャップフィルム31を介してバックフィルム32とは反対側、にライナーフィルムを積層し、熱溶着によって突起部30の頂面側に積層一体化して製造することができる。
ライナーフィルムは、キャップフィルム31及び/又はバックフィルム32と同じ基材樹脂で製造することができ、特に限定されない。
緩衝封筒1の内面がバックフィルム32で構成された態様では、ライナーフィルムが外装シート2と対面しており、緩衝封筒1は、外装シート2/ライナーフィルム/キャップフィルム31/バックフィルム32/バックフィルム32/キャップフィルム31/ライナーフィルム/外装シート2の順で重ねられ、外装シート2とライナーフィルムとが接着される。
緩衝封筒1の内面がライナーフィルムで構成された態様では、バックフィルム32が外装シート2と対面しており、緩衝封筒1は、外装シート2/バックフィルム32/キャップフィルム31/ライナーフィルム/ライナーフィルム/キャップフィルム31/バックフィルム32/外装シート2の順で重ねられ、外装シート2とバックフィルム32とが接着される。
緩衝箱4も同様にして、三層構造の内装シート3を備えることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 緩衝封筒
2 外装シート
3 内装シート(気泡シート)
30 突起部
31 キャップフィルム
32 バックフィルム
4 緩衝箱
5 外装材