(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062644
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20220413BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20220413BHJP
A61B 5/1172 20160101ALI20220413BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20220413BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20220413BHJP
A61B 5/1455 20060101ALN20220413BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L27/146 C
A61B5/1172
A61B5/1171 100
A61B5/02 310B
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170817
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝田 忠義
(72)【発明者】
【氏名】尾関 芳孝
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4M118
5F849
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA10
4C017AB03
4C017AC26
4C038FF01
4C038FG01
4C038KK04
4C038KL07
4C038KM01
4C038KY01
4C038KY10
4C038VA04
4C038VA07
4C038VB12
4C038VB13
4C038VB23
4C038VB40
4C038VC02
4M118AA01
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA05
4M118CA14
4M118CA32
4M118CB06
4M118CB14
4M118CB20
4M118FB03
4M118FB09
4M118FB13
4M118FB24
4M118GA03
4M118GA09
4M118GB05
4M118GB07
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4M118GB13
4M118GD04
4M118GD07
4M118GD11
4M118HA22
4M118HA25
4M118HA27
5F849AA04
5F849AB03
5F849AB04
5F849AB05
5F849BA01
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5F849EA04
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5F849GA02
5F849JA12
5F849JA13
5F849KA11
5F849KA20
5F849XB37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検出精度を向上させることが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置3は、基板21と、基板21に配列された複数のフォトダイオード30と、複数のフォトダイオード30を覆う絶縁膜27と、絶縁膜27の上に設けられた導電層34と、を有し、フォトダイオード30は、それぞれ、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32が直接、接して積層された複数の第1領域R1と、少なくともp型半導体層33とi型半導体層31とが離隔して積層された第2領域R2とを含み、i型半導体層31及びn型半導体層32は、複数の第1領域R1ごとに離隔して設けられ、導電層34は、絶縁膜27に設けられたコンタクトホールH1を介して第1領域R1の各n型半導体層32と接続される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に配列された複数のフォトダイオードと、
複数の前記フォトダイオードを覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に設けられた導電層と、を有し、
前記フォトダイオードは、それぞれ、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層が直接、接して積層された複数の第1領域と、少なくとも前記p型半導体層と前記i型半導体層とが離隔して積層された第2領域とを含み、
前記i型半導体層及び前記n型半導体層は、複数の前記第1領域ごとに離隔して設けられ、
前記導電層は、前記絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して前記第1領域の各n型半導体層と接続される
検出装置。
【請求項2】
前記導電層は、複数の前記第1領域のそれぞれに重畳して設けられた複数の主部と、隣り合う前記主部を接続する接続部と、を有する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
隣り合う前記第1領域は、前記p型半導体層で接続され、
前記接続部の少なくとも一部は、隣り合う前記第1領域を接続する前記p型半導体層と非重畳に配置される
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記接続部の幅は、前記主部の幅よりも小さい
請求項2又は請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2領域の前記p型半導体層と前記n型半導体層との距離は、前記第1領域の前記p型半導体層と前記n型半導体層との距離よりも大きい
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
隣り合う前記第2領域の間での、前記p型半導体層と前記導電層との間の距離は、前記第2領域の前記p型半導体層と前記n型半導体層との距離よりも大きい
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記i型半導体層及び前記n型半導体層の径は、前記p型半導体層の径よりも大きく設けられ、
1つの前記第1領域で、前記基板に平行な第1方向の一方での、前記p型半導体層の外周と、前記i型半導体層及び前記n型半導体層の外周との距離は、前記第1方向の他方での、前記p型半導体層の外周と、前記i型半導体層及び前記n型半導体層の外周との距離と異なる
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
複数の前記第1領域は、前記第1方向と交差する第2方向に配列され、
前記p型半導体層からなり、前記第2方向に延在して複数の前記第1領域を接続する連結部を有し、
前記導電層は、前記連結部と前記第1方向に隣り合って配置され前記第2方向に延在する
請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記フォトダイオードに対応して設けられたトランジスタを有し、
前記p型半導体層は、前記トランジスタの半導体層と同層に設けられる
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項10】
前記第1領域は、前記基板に垂直な方向からの平面視で、三角格子状に配置される
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マイクロレンズと光センサとの間に、開口が設けられた遮光層を有する光学撮像装置について記載されている。このような光センサとして、PIN型のフォトダイオードが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0089928号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PIN型のフォトダイオードを用いた検出装置では、検出感度を向上させることが要求される。例えば、PIN型のフォトダイオードは、センサ面積を大きくすることで光電流を増大させることができる。一方で、センサ面積を大きくすると寄生容量が増大し、検出感度が低下する場合がある。
【0005】
本発明は、検出感度を向上させることが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、基板と、前記基板に配列された複数のフォトダイオードと、複数の前記フォトダイオードを覆う絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられた導電層と、を有し、前記フォトダイオードは、それぞれ、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層が直接、接して積層された複数の第1領域と、少なくとも前記p型半導体層と前記i型半導体層とが離隔して積層された第2領域とを含み、前記i型半導体層及び前記n型半導体層は、複数の前記第1領域ごとに離隔して設けられ、前記導電層は、前記絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して前記第1領域の各n型半導体層と接続される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【
図1B】
図1Bは、変形例1に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【
図1C】
図1Cは、変形例2に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【
図1D】
図1Dは、変形例3に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、検出素子の動作例を示すタイミング波形図である。
【
図9】
図9は、光学フィルタの構成例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、変形例4に係る検出素子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
図1Aは、実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1Bは、変形例1に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1Cは、変形例2に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1Dは、変形例3に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【0011】
図1Aに示すように、照明装置付き検出機器120は、検出装置1と、照明装置121と、を有する。検出装置1は、センサ基板5と、光学フィルタ7と、接着層125と、カバー部材122と、を有する。つまり、センサ基板5の表面に垂直な方向において、センサ基板5、光学フィルタ7、接着層125、カバー部材122の順に積層されている。なお、後述するように検出装置1のカバー部材122を照明装置121に置き換えることもできる。接着層125は、光学フィルタ7とカバー部材122とを接着させるものであればよく、検出領域AAに相当する領域に接着層125は無い構造であっても構わない。検出領域AAに接着層125が無い場合、検出領域AAの外側の周辺領域GAに相当する領域で接着層125がカバー部材122と光学フィルタ7とを接着させている構造となる。また、検出領域AAに設けられる接着層125は、単に光学フィルタ7の保護層と言い換えてもよい。
【0012】
図1Aに示すように、照明装置121は、例えば、カバー部材122を検出装置1の検出領域AAに対応する位置に設けられた導光板として用い、カバー部材122の一方端又は両端に並ぶ複数の光源123を有する、いわゆるサイドライト型のフロントライトであってもよい。つまり、カバー部材122は、光を照射する光照射面121aを有し、照明装置121の一構成要素となっている。この照明装置121によれば、カバー部材122の光照射面121aから検出対象である指Fgに向けて光L1を照射する。光源として、例えば、所定の色の光を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられる。
【0013】
また、
図1Bに示すように、照明装置121は、検出装置1の検出領域AAの直下に設けられた光源(例えば、LED)を有するものであってもよく、光源を備えた照明装置121はカバー部材122としても機能する。
【0014】
また、照明装置121は、
図1Bの例に限らず、
図1Cに示すように、カバー部材122の側方や上方に設けられていてもよく、指Fgの側方や上方から指Fgに光L1を照射してもよい。
【0015】
さらには、
図1Dに示すように、照明装置121は、検出装置1の検出領域に設けられた光源(例えば、LED)を有する、いわゆる直下型のバックライトであってもよい。
【0016】
照明装置121から照射された光L1は、検出対象である指Fgにより光L2として反射される。検出装置1は、指Fgで反射された光L2(光L2の陰影、又は反射光の強さ)を検知することで、指Fgの表面の凹凸(例えば、指紋)を検出する。さらに、検出装置1は、指紋の検出に加え、指Fgの内部で反射した光L2を検出することで、生体に関する情報を検出してもよい。生体に関する情報は、例えば、静脈等の血管像や脈拍、脈波等である。照明装置121からの光L1の色は、検出対象に応じて異ならせてもよい。
【0017】
カバー部材122は、センサ基板5及び光学フィルタ7を保護するための部材であり、センサ基板5及び光学フィルタ7を覆っている。上述のように、照明装置121がカバー部材122を兼ねる構造でもよい。
図1C及び
図1Dに示すカバー部材122が照明装置121と分離されている構造においては、カバー部材122は、例えばガラス基板である。なお、カバー部材122はガラス基板に限定されず、樹脂基板等であってもよく、これらの基板を積層した複数層からなる構成でもよい。また、カバー部材122が設けられていなくてもよい。この場合、センサ基板5及び光学フィルタ7の表面に絶縁膜等の保護層が設けられ、指Fgは検出装置1の保護層に接する。
【0018】
照明装置付き検出機器120は、
図1Bに示すように、照明装置121に換えて表示パネル126が設けられていてもよい。表示パネル126は、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(マイクロLED、ミニLED)であってもよい。或いは、表示パネル126は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。この場合、表示パネル126から照射された表示光(光L1)が指Fgで反射され、当該反射光は表示パネル126を通り抜けて光学フィルタ7に到達する。かかる点を鑑みると、表示パネル126は光透過性の基板や積層膜によって構成されていることが好ましい。そして、かかる光L2に基づいて、指Fgの指紋や生体に関する情報を検出することができる。
【0019】
図2は、実施形態に係る検出装置を示す平面図である。なお、
図2以下で示す、第1方向Dxは、基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板21の法線方向である。
【0020】
図2に示すように、検出装置1は、アレイ基板2(基板21)と、センサ部10と、走査線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出回路48と、制御回路102と、電源回路103と、を有する。
【0021】
基板21には、配線基板110を介して制御基板101が電気的に接続される。配線基板110は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。配線基板110には、検出回路48が設けられている。制御基板101には、制御回路102及び電源回路103が設けられている。制御回路102は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路102は、センサ部10、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給し、センサ部10の動作を制御する。電源回路103は、電源電位VDDや基準電位VCOM(
図4参照)等の電圧信号をセンサ部10、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16に供給する。なお、本実施形態においては、検出回路48が配線基板110に配置される場合を例示したがこれに限られない。検出回路48は、基板21の上に配置されてもよい。
【0022】
基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AA及び周辺領域GAは、基板21と平行な面方向に延在している。検出領域AA内には、センサ部10の各素子(検出素子3)が設けられている。周辺領域GAは、検出領域AAの外側の領域であり、各素子(検出素子3)が設けられない領域である。すなわち、周辺領域GAは、検出領域AAの外周と基板21の外縁部との間の領域である。周辺領域GA内には、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16が設けられる。走査線駆動回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と検出回路48との間に設けられる。
【0023】
センサ部10の複数の検出素子3は、それぞれ、センサ素子としてフォトダイオード30を有する光センサである。フォトダイオード30は、光電変換素子であり、それぞれに照射される光に応じた電気信号を出力する。より具体的には、フォトダイオード30は、PIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードである。また、フォトダイオード30はOPD(Organic Photo Diode)と言い換えてもよい。検出素子3は、検出領域AAにマトリクス状に配列される。複数の検出素子3が有するフォトダイオード30は、走査線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号(例えば、リセット制御信号RST、読出制御信号RD)に従って検出を行う。複数のフォトダイオード30は、それぞれに照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。検出装置1は、複数のフォトダイオード30からの検出信号Vdetに基づいて生体に関する情報を検出する。
【0024】
図3は、実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、検出装置1は、さらに検出制御回路11と検出部40と、を有する。検出制御回路11の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。
【0025】
検出制御回路11は、走査線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御回路11は、スタート信号STV、クロック信号CK等の各種制御信号を走査線駆動回路15に供給する。また、検出制御回路11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。
【0026】
走査線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数の走査線(読出制御走査線GLrd、リセット制御走査線GLrst(
図4参照))を駆動する回路である。走査線駆動回路15は、複数の走査線を順次又は同時に選択し、選択された走査線にゲート駆動信号(例えば、リセット制御信号RST、読出制御信号RD)を供給する。これにより、走査線駆動回路15は、走査線に接続された複数のフォトダイオード30を選択する。
【0027】
信号線選択回路16は、複数の出力信号線SL(
図4参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御回路11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された出力信号線SLと検出回路48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、フォトダイオード30の検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0028】
検出部40は、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、記憶回路46と、検出タイミング制御回路47と、を備える。検出タイミング制御回路47は、検出制御回路11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、が同期して動作するように制御する。
【0029】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE:Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅回路42及びA/D変換回路43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅回路42は、検出信号Vdetを増幅する回路であり、例えば、積分回路である。A/D変換回路43は、検出信号増幅回路42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0030】
信号処理回路44は、検出回路48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理回路44は、指Fgが検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指Fgや掌の表面の凹凸(指紋、掌紋)を検出できる。また、信号処理回路44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出してもよい。生体に関する情報は、例えば、指Fgや掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等である。
【0031】
記憶回路46は、信号処理回路44で演算された信号を一時的に保存する。記憶回路46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0032】
座標抽出回路45は、信号処理回路44において指Fgの接触又は近接が検出されたときに、指Fg等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出回路45は、指Fgや掌の血管の検出座標を求める論理回路である。座標抽出回路45は、センサ部10の各検出素子3から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fg等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出回路45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0033】
次に、検出装置1の回路構成例について説明する。
図4は、検出素子を示す回路図である。
図4に示すように、検出素子3は、フォトダイオード30、リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfを有する。リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfは、1つのフォトダイオード30に対応して設けられる。リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。ただし、これに限定されず、各トランジスタは、それぞれp型TFTで構成されてもよい。
【0034】
フォトダイオード30のアノードには、基準電位VCOMが印加される。フォトダイオード30のカソードは、ノードN1に接続される。ノードN1は、容量Cs、リセットトランジスタMrstのソース又はドレインの一方及びソースフォロワトランジスタMsfのゲートに接続される。さらにノードN1には、寄生容量Cp、入力容量Crst、Csfが存在する。フォトダイオード30に光が入射した場合、フォトダイオード30から出力された信号(電荷)は、容量Csに蓄積される。
【0035】
ここで、容量Csは、例えば、フォトダイオード30のp型半導体層33とn型半導体層32(
図7参照)との間に形成される容量である。寄生容量Cpは、容量Csに付加された容量であり、アレイ基板2に設けられた各種配線、電極間に形成される容量である。入力容量Crst、Csfは、それぞれ、リセットトランジスタMrst及びソースフォロワトランジスタMsfを入力側からみた容量であり、より具体的には、ゲート-ソース間容量とゲート-ドレイン間容量とを合わせた容量である。
【0036】
リセットトランジスタMrstのゲートは、リセット制御走査線GLrstに接続される。リセットトランジスタMrstのソース又はドレインの他方には、リセット電位Vrstが供給される。リセットトランジスタMrstがリセット制御信号RSTに応答してオン(導通状態)になると、ノードN1の電位がリセット電位Vrstにリセットされる。基準電位VCOMは、リセット電位Vrstよりも低い電位を有しており、フォトダイオード30は、逆バイアス駆動される。
【0037】
ソースフォロワトランジスタMsfは、電源電位VDDが供給される端子と読出トランジスタMrd(ノードN2)との間に接続される。ソースフォロワトランジスタMsfのゲートは、ノードN1に接続される。ソースフォロワトランジスタMsfのゲートには、フォトダイオード30で発生した信号(電荷)が供給される。これにより、ソースフォロワトランジスタMsfは、フォトダイオード30で発生した信号(電荷)に応じた電圧信号を読出トランジスタMrdに出力する。
【0038】
読出トランジスタMrdは、ソースフォロワトランジスタMsfのソース(ノードN2)と出力信号線SL(ノードN3)との間に接続される。読出トランジスタMrdのゲートは、読出制御走査線GLrdに接続される。読出トランジスタMrdが読出制御信号RDに応答してオンになると、ソースフォロワトランジスタMsfから出力される信号、すなわち、フォトダイオード30で発生した信号(電荷)に応じた電圧信号が、検出信号Vdetとして出力信号線SLに出力される。
【0039】
なお、
図4に示す例では、リセットトランジスタMrst及び読出トランジスタMrdは、それぞれ、2つのトランジスタが直列に接続されて構成されたいわゆるダブルゲート構造である。ただし、これに限定されず、リセットトランジスタMrst及び読出トランジスタMrdは、シングルゲート構造でもよく、3つ以上のトランジスタが直列に接続されたマルチゲート構造でもよい。また、1つの検出素子3の回路は、リセットトランジスタMrst、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdの3つのトランジスタを有する構成に限定されない。検出素子3は、2つ、又は、4つ以上のトランジスタを有していてもよい。
【0040】
図5は、検出素子の動作例を示すタイミング波形図である。
図5に示すように、検出素子3は、リセット期間Prst、露光期間Pch及び読出期間Pdetの順に検出を実行する。電源回路103は、リセット期間Prst、露光期間Pch及び読出期間Pdetに亘って、基準電位VCOMをフォトダイオード30のアノードに供給する。
【0041】
制御回路102は、時刻t0に、リセット制御走査線GLrstに供給されるリセット制御信号RSTをハイ(高レベル電圧)とし、リセット期間Prstが開始する。リセット期間Prstにおいて、リセットトランジスタMrstがオン(導通状態)となり、ノードN1の電位がリセット電位Vrstの電位に上昇する。
【0042】
制御回路102は、時刻t1に、読出制御走査線GLrdに供給される読出制御信号RDをハイ(高レベル電圧)とする。これにより、読出トランジスタMrdがオン(導通状態)となる。
【0043】
制御回路102は、時刻t2に、リセット制御信号RSTをロウ(低レベル電圧)とし、リセット期間Prstが終了する。時刻t2において、リセットトランジスタMrstがオフ(非導通状態)となる。ノードN1の電位は、フォトダイオード30に照射された光に応じた信号が蓄積されて、(Vrst-ΔVn1)に低下する。なお、ΔVn1は、フォトダイオード30に照射された光に応じた信号(電圧変動分)である。
【0044】
時刻t3において出力信号線SLから出力される検出信号Vdetの電位は、(Vrst-Vthsf-Vrdon)となる。なお、Vthsfは、ソースフォロワトランジスタMsfのしきい値電圧Vthsfである。Vrdonは、読出トランジスタMrdのオン抵抗に起因する電圧降下である。
【0045】
制御回路102は、時刻t3に、読出制御信号RDをロウ(低レベル電圧)とする。これにより、読出トランジスタMrdがオフ(非導通状態)となり、ノードN2の電位は一定となり、出力信号線SLから出力される検出信号Vdetの電位もロウ(低レベル電圧)となる。
【0046】
制御回路102は、時刻t4に、再び読出制御信号RDをハイ(高レベル電圧)とする。これにより、読出トランジスタMrdがオン(導通状態)となり、露光期間Pchが終了し、読出期間Pdetが開始する。読出期間Pdetに出力される検出信号Vdet2の電位は、時刻t3に取得された検出信号Vdet1の電位から信号ΔVn1分低下し、(Vrst-Vthsf-Vrdon-ΔVn1)となる。
【0047】
検出部40は、時刻t3での検出信号Vdet1と、時刻t5での検出信号Vdet2との差分の信号(ΔVn1)に基づいて、フォトダイオード30に照射された光を検出できる。例えば、
図5に示す信号ΔVn1aは、照度が低い場合に生じる信号(電圧変動分)であり、信号ΔVn1bは、照度が高い場合に生じる信号(電圧変動分)である。検出装置1は、検出素子3単位で、信号ΔVn1aと、信号ΔVn1bとの差分に基づいて光L2の強さを検出できる。かかる検出素子3個々の検出結果を集積することにより、例えば指紋の凹凸や検出面を押圧する指の血管像(静脈パターン)等を検出することができる。
【0048】
なお、
図5では、1つの検出素子3の動作例を示しているが、走査線駆動回路15が、リセット制御走査線GLrst、読出制御走査線GLrdを順次、時分割的に走査することで、検出領域AA全体の検出素子3で検出することができる。
【0049】
ここで、フォトダイオード30に付加される容量の合計を容量Cn1とすると、容量Cn1は、下記の式(1)で表される。なお、容量Cs、寄生容量Cp、入力容量Crst、Csfは、
図4で上述したフォトダイオード30のカソード(ノードN1)に等価的に接続された各種容量である。
Cn1=Cs+Crst+Csf+Cp ・・・ (1)
【0050】
信号ΔVn1は、下記の式(2)で表される。なお、ΔQは、露光期間Pchに蓄積された電荷を表し、Ipは、フォトダイオード30に照射された光に応じて流れる光電流を表し、Tは、露光時間(時刻t3から時刻t4までの期間)を表す。
ΔVn1=ΔQ/Cn1=(Ip×T)/Cn1 ・・・ (2)
【0051】
式(2)に示すように、容量Cn1を小さくすることで、信号ΔVn1を大きくすることができる。すなわち、同じ検出条件で、同じ被検出体を検出した場合であっても、容量Cn1を小さくすることで、検出装置1の検出感度を向上できることが示された。
【0052】
次に、検出素子3の平面構成及び断面構成について説明する。
図6は、検出素子を示す平面図である。
図6に示すように、1つの検出素子3は、2つの走査線(読出制御走査線GLrd、リセット制御走査線GLrst)と、4つの信号線(出力信号線SL、電源信号線SLsf、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcom)とを含む。
【0053】
読出制御走査線GLrd及びリセット制御走査線GLrstは、第1方向Dxに延在し、第2方向Dyに並んで配置される。出力信号線SL、電源信号線SLsf、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomは、第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに並んで配置される。
【0054】
検出素子3は、2つの走査線(読出制御走査線GLrdとリセット制御走査線GLrst)と、2つの信号線(例えば、隣接する検出素子3の2つの電源信号線SLsf)とで囲まれた領域で規定される。
【0055】
図6に示すように、フォトダイオード30は、複数の部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8を有する。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8は、三角格子状に配置される。
【0056】
部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8のそれぞれに重畳して、
図9に示す光学フィルタ7のレンズ78、第1遮光層71の第1開口OP1及び第2遮光層72の第2開口OP2が設けられる。なお、
図6では、図面を見やすくするために、光学フィルタ7の構成要素のうち第1開口OP1のみ示している。
【0057】
より具体的には、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3は、第2方向Dyに配列される。部分フォトダイオード30S-4、30S-5は、第2方向Dyに配列され、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3で構成される素子列と第1方向Dxに隣り合う。部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8は、第2方向Dyに配列され、部分フォトダイオード30S-4、30S-5で構成される素子列と第1方向Dxに隣り合う。隣接する素子列間で、部分フォトダイオード30Sの第2方向Dyでの位置が、互い違いに配置される。
【0058】
部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8には、それぞれ、光学フィルタ7を通して光L2が入射する。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8は、電気的に接続され、1つのフォトダイオード30として機能する。つまり、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8のそれぞれが出力する信号が統合されて、フォトダイオード30から1つの検出信号Vdetが出力される。なお以下の説明では、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8を区別して説明する必要が無い場合には、単に部分フォトダイオード30Sと表す。
【0059】
部分フォトダイオード30Sは、それぞれi型半導体層31、n型半導体層32及びp型半導体層33を含む。i型半導体層31及びn型半導体層32は、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)である。p型半導体層33は、例えば、ポリシリコン(p-Si)である。なお、半導体層の材料は、これに限定されず、ポリシリコン、微結晶シリコン等であってもよい。
【0060】
n型半導体層32は、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体層33は、p-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体層31は、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体層32及びp型半導体層33よりも低い導電性を有する。
【0061】
また、
図6では、p型半導体層33とi型半導体層31(及びn型半導体層32)とが互いに重畳すると共に直接接続された実効的なセンサ領域である第1領域R1を点線で示している。部分フォトダイオード30Sは、それぞれ、少なくとも第1領域R1を有して構成される。言い換えると、複数の第1領域R1は、平面視で三角格子状に配置される。光学フィルタ7の第1開口OP1は、第1領域R1と重畳して設けられる。
【0062】
部分フォトダイオード30Sは、平面視で、それぞれ円形状又は半円形状で形成される。ただし、これに限定されず、部分フォトダイオード30Sは、多角形状等であってもよい。また、複数の部分フォトダイオード30Sは、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0063】
i型半導体層31及びn型半導体層32は、複数の部分フォトダイオード30S(第1領域R1)ごとに離隔して配置される。i型半導体層31及びn型半導体層32は、複数の第1領域R1のp型半導体層33に重畳し、かつ、複数の第1領域R1の周囲に、p型半導体層33と非重畳の領域まで延在して設けられる。すなわち、i型半導体層31及びn型半導体層32の幅(径)は、p型半導体層33の幅(径)よりも大きい。本実施形態では、i型半導体層31及びn型半導体層32は、p型半導体層33と同心円状に設けられる。
【0064】
第2方向Dyに配列された部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のp型半導体層33は、連結部CA1により電気的に接続される。
【0065】
また、部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のp型半導体層33は、基部BAにより電気的に接続される。基部BAは、略五角形状に形成され、頂点の位置に部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8が設けられる。
【0066】
一方、部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のp型半導体層33に接続される基部BAと、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のp型半導体層33とは、リセット信号線SLrstと基準信号線SLcomの下方を第1方向Dxに沿って通過する連結部CA2により電気的に接続される。これにより、1つのフォトダイオード30を構成する複数の部分フォトダイオード30Sが電気的に接続される。
【0067】
下部導電層35は、部分フォトダイオード30S、連結部CA1、CA2及び基部BAと重なる領域に設けられる。下部導電層35は、部分フォトダイオード30Sと重畳する部分が円形状に形成されている。ただし、下部導電層35は、部分フォトダイオード30Sと異なる形状であってもよい。また、下部導電層35は、少なくとも第1領域R1と重畳する部分に設けられていればよい。下部導電層35には、p型半導体層33と同じ基準電位VCOMが供給され、下部導電層35とp型半導体層33との間の寄生容量を抑制することができる。
【0068】
上部導電層34(導電層)は、複数の部分フォトダイオード30Sのn型半導体層32を電気的に接続する。具体的には、上部導電層34は、部分フォトダイオード30Sのそれぞれに重畳する主部34Sと、隣り合う主部34Sを接続する接続部34a、34b、34c、34d、34eと、を有する。上部導電層34の主部34Sは、部分フォトダイオード30Sのそれぞれと重畳する位置で、絶縁膜27(
図7参照)に設けられたコンタクトホールH1を介して、それぞれのn型半導体層32と電気的に接続される。なお、コンタクトホールH1は、基板21に垂直な方向からの平面視で、四角形状(正方形状)である。これに限定されず、コンタクトホールH1は、平面視で、円形状等他の形状であってもよい。
【0069】
主部34Sは、i型半導体層31、n型半導体層32及びp型半導体層33と同心円状に設けられる。主部34Sの径は、p型半導体層33の径よりも大きく、i型半導体層31の径及びn型半導体層32の径よりも小さい。また、接続部34a、34b、34d、34eの幅、より具体的には、接続部34a、34b、34d、34eの延在方向と直交する方向での幅は、主部34Sの幅(径)よりも小さい。
【0070】
上部導電層34の接続部34aは、連結部CA1と重畳して第2方向Dyに延在し、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のそれぞれに重畳する主部34Sを接続する。また、上部導電層34の接続部34bは第1方向Dxに延在し、一端側が部分フォトダイオード30S-1に重畳する主部34Sに接続される。また、上部導電層34の接続部34bの他端側は、接続部34cと接続される。上部導電層34の接続部34cは、コンタクトホールH4を介して各トランジスタ(リセットトランジスタMrst及びソースフォロワトランジスタMsf(
図4参照))と電気的に接続される。
【0071】
接続部34cは、部分フォトダイオード30S-4、30S-6のそれぞれに重畳する主部34Sと接続される。上部導電層34の接続部34dは、部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8のそれぞれに重畳する主部34Sを接続する。上部導電層34の接続部34dは、基部BAと第1方向Dxに隣り合って配置され第2方向Dyに延在する。また、上部導電層34の接続部34dのほとんどの部分は、p型半導体層33からなる基部BAと非重畳に配置される。上部導電層34の接続部34eは、第1方向Dx及び第2方向Dyと交差する斜め方向に延在し、部分フォトダイオード30S-8、30S-5のそれぞれに重畳する主部34Sを接続する。上部導電層34の接続部34eは、基部BAの外縁に沿って延在し、ほとんどの部分が基部BAと非重畳に配置される。
【0072】
このような構成により、上部導電層34(導電層)は、絶縁膜27に設けられたコンタクトホールH1を介して第1領域R1の各n型半導体層32と接続される。また、上部導電層34(導電層)は、隣り合う複数の第1領域R1を接続する。本実施形態では、上部導電層34が、複数の部分フォトダイオード30S、連結部CA1、CA2及び基部BAを覆って連続して形成された場合に比べて、上部導電層34と、p型半導体層33からなる連結部CA1、CA2及び基部BAとが重畳する面積を小さくすることができる。
図6に示す例では、主部34Sを接続する接続部34a、34b、34d、34eの合計数(6個)は、部分フォトダイオード30S及び主部34Sの数(8個)よりも少ない。これにより、上部導電層34とp型半導体層33との間に形成される寄生容量を抑制することができる。
【0073】
なお、上部導電層34は、どのように設けられていてもよく、例えば、上部導電層34の主部34Sの径は、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32の径よりも大きくてもよい。また、接続部34a、34b、34d、34eの数は、主部34Sの数以上であってもよい。
【0074】
リセットトランジスタMrst、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdは、フォトダイオード30と非重畳の領域に設けられる。ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdは、例えば、フォトダイオード30と第1方向Dxに隣り合って設けられる。また、リセットトランジスタMrstは、部分フォトダイオード30S-4と第2方向Dyに隣り合って配置され、かつ、第1方向Dxで部分フォトダイオード30S-1と部分フォトダイオード30S-6との間に配置される。
【0075】
リセットトランジスタMrstの半導体層61の一端は、リセット信号線SLrstに接続される。半導体層61の他端は、コンタクトホールH17(
図8参照)を介して接続配線SLcn3(ノードN1)に接続される。リセット信号線SLrstの、半導体層61と接続される部分がソース電極として機能し、接続配線SLcn3の、半導体層61と接続される部分がドレイン電極63(
図8参照)として機能する。半導体層61は、U字状に形成され、2箇所でリセット制御走査線GLrstと交差する。半導体層61の、リセット制御走査線GLrstと重なる部分にチャネル領域が形成され、リセット制御走査線GLrstの半導体層61と重なる部分が、それぞれゲート電極64として機能する。
【0076】
ソースフォロワトランジスタMsfは、半導体層65と、ソース電極66と、ドレイン電極67と、ゲート電極68とを有する。半導体層65の一端は、コンタクトホールH15(
図7参照)を介して電源信号線SLsfに接続される。半導体層65の他端は、コンタクトホールH16(
図7参照)を介して接続配線SLcn1(ノードN2)に接続される。電源信号線SLsfの、半導体層65と接続される部分がドレイン電極67として機能し、接続配線SLcn1の、半導体層65と接続される部分がソース電極66として機能する。
【0077】
ゲート電極68の一端側は、第1方向Dxに延在し、半導体層65と重畳する。ゲート電極68の他端側は、第2方向Dyに延在し、接続配線SLcn3と電気的に接続される。これにより、リセットトランジスタMrstは、接続配線SLcn3を介して、ソースフォロワトランジスタMsfのゲートに電気的に接続される。
【0078】
読出トランジスタMrdは、半導体層81と、ソース電極82と、ドレイン電極83と、ゲート電極84とを有する。半導体層81の一端は、接続配線SLcn1に接続される。半導体層81の他端は、出力信号線SLから第1方向Dxに分岐された接続配線SLcn2に接続される。接続配線SLcn1の、半導体層81と接続される部分がドレイン電極83として機能し、接続配線SLcn2の、半導体層81と接続される部分がソース電極82として機能する。2つのゲート電極84は第2方向Dyに並んで設けられ、半導体層81と重なる。2つのゲート電極84は、第2方向Dyに延在し電源信号線SLsfと重畳する分岐部を介して、読出制御走査線GLrdと電気的に接続される。このような構成で、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdは、出力信号線SLに接続される。
【0079】
出力信号線SLは、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdと、部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8との間に配置される。出力信号線SLは、部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8に沿ってジグザグ線状に設けられる。
【0080】
リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomは、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3と、部分フォトダイオード30S-4、30S-5との間に配置される。リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomは、部分フォトダイオード30Sに沿ってジグザグ線状に設けられ、連結部CA2と交差する。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3と、部分フォトダイオード30S-4、30S-5とが連結部CA2で接続されているので、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomと重畳して基部BAが設けられる構成に比べて、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomの寄生容量を抑制することができる。
【0081】
基準信号線SLcomは、コンタクトホールH11を介して下部導電層35と電気的に接続される。また、基準信号線SLcomは、コンタクトホールH12を介して連結部CA2と電気的に接続される。これにより、基準信号線SLcomは、各部分フォトダイオード30Sのp型半導体層33と電気的に接続される。
【0082】
本実施形態では、光学フィルタ7の複数の第1開口OP1ごとに部分フォトダイオード30Sが設けられている。これにより、フォトダイオード30が、平面視で検出素子3の全体を覆うように四角形状等のベタ膜で形成された構成に比べて、複数の第1開口OP1に重畳しない領域での半導体層や配線層を削減できるので、フォトダイオード30の寄生容量を抑制することができる。また、複数の部分フォトダイオード30Sが設けられているので、各トランジスタ及び配線の配置の自由度を向上させることができ、各トランジスタ及び配線をフォトダイオード30と非重畳に設けることができる。したがって、本実施形態では、各トランジスタ及び配線と重畳してフォトダイオード30を設けた場合に比べて、フォトダイオード30の寄生容量を抑制することができる。
【0083】
さらに、i型半導体層31及びn型半導体層32は、部分フォトダイオード30S(第1領域R1)ごとに離隔して配置され、複数の部分フォトダイオード30Sのn型半導体層32は、上部導電層34により接続される。これにより、i型半導体層31及びn型半導体層32が複数の部分フォトダイオード30Sに亘って連続して形成された構成に比べて、i型半導体層31及びn型半導体層32と、p型半導体層33との間の寄生容量を抑制することができる。
【0084】
なお、
図6に示すフォトダイオード30及び各トランジスタの平面構造は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、1つのフォトダイオード30が有する部分フォトダイオード30Sの数は、7個以下でもよいし、9個以上でもよい。部分フォトダイオード30Sの配置は、三角格子状に限定されず、例えば、マトリクス状に配置されていてもよい。
【0085】
図7は、
図6のVII-VII’断面図である。
図8は、
図6のVIII-VIII’断面図である。なお、
図7では、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-7の断面構成とともに、検出素子3が有するソースフォロワトランジスタMsfの断面構成を示している。また、
図8では、リセットトランジスタMrstの断面構成を示している。なお、
図7、
図8で図示されない読出トランジスタMrdの断面構成も、ソースフォロワトランジスタMsf及びリセットトランジスタMrstと同様である。
【0086】
図7に示すように、基板21は絶縁基板であり、例えば、石英、無アルカリガラス等のガラス基板、又はポリイミド等の樹脂基板が用いられる。ゲート電極68は、基板21の上に設けられる。絶縁膜22、23は、ゲート電極68を覆って基板21の上に設けられる。絶縁膜22、23及び絶縁膜24、25、26は、無機絶縁膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO
2)や窒化シリコン(SiN)等である。
【0087】
半導体層65は、絶縁膜23の上に設けられる。半導体層65は、例えば、ポリシリコンが用いられる。ただし、半導体層65は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)等であってもよい。ソースフォロワトランジスタMsfは、ゲート電極68が半導体層65の下側に設けられたボトムゲート構造であるが、ゲート電極68が半導体層65の上側に設けられたトップゲート構造でもよく、ゲート電極68が半導体層65の上側及び下側に設けられたデュアルゲート構造でもよい。
【0088】
半導体層65は、チャネル領域65aと、高濃度不純物領域65b、65cと、低濃度不純物領域65d、65eと、を含む。チャネル領域65aは、例えば、ノンドープの真性半導体又は低不純物領域であり、高濃度不純物領域65b、65c及び低濃度不純物領域65d、65eよりも低い導電性を有する。チャネル領域65aは、ゲート電極68と重なる領域に設けられる。
【0089】
絶縁膜24、25は、半導体層65を覆って絶縁膜23の上に設けられる。ソース電極66及びドレイン電極67は、絶縁膜25の上に設けられる。ソース電極66は、コンタクトホールH16を介して半導体層65の高濃度不純物領域65bと接続される。また、ドレイン電極67は、コンタクトホールH15を介して、半導体層65の高濃度不純物領域65cに接続される。ソース電極66及びドレイン電極67は、例えば、チタンとアルミニウムとの積層構造であるTiAlTi又はTiAlの積層膜で構成されている。
【0090】
図8に示すように、リセットトランジスタMrstの断面構成は、
図7に示したソースフォロワトランジスタMsfと同様である。すなわち、ドレイン電極63(接続配線SLcn3)は、コンタクトホールH17を介して半導体層61の高濃度不純物領域61cと接続される。絶縁膜26は、リセットトランジスタMrstを含む各トランジスタを覆って絶縁膜25の上に設けられる。絶縁膜27は、絶縁膜26の上に設けられる。上部導電層34は、絶縁膜27の上に設けられる。上部導電層34は、絶縁膜26、27を貫通して設けられたコンタクトホールH4を介して、ドレイン電極63と電気的に接続される。
【0091】
次に、
図7に戻ってフォトダイオード30の断面構成について説明する。
図7では、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-7について説明するが、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-7についての説明は、他の部分フォトダイオード30Sにも適用できる。
図7に示すように、下部導電層35は、ゲート電極68と同層に基板21の上に設けられる。絶縁膜22及び絶縁膜23は、下部導電層35の上に設けられる。フォトダイオード30は、絶縁膜23の上に設けられる。言い換えると、下部導電層35は、基板21と、p型半導体層33との間に設けられる。下部導電層35が、ゲート電極68と同じ材料で形成されることで遮光層として機能し、下部導電層35は、フォトダイオード30への基板21側からの光の侵入を抑制できる。
【0092】
第3方向Dzで、i型半導体層31は、p型半導体層33とn型半導体層32との間に設けられる。本実施形態では、絶縁膜23の上に、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32の順に積層されている。
【0093】
具体的には、p型半導体層33は、半導体層61、65と同層に、絶縁膜23の上に設けられる。絶縁膜24、25、及び、26は、p型半導体層33を覆って設けられる。絶縁膜24及び絶縁膜25は、p型半導体層33と重なる位置にコンタクトホールH13が設けられる。絶縁膜26は、絶縁膜25の上に設けられ、コンタクトホールH13の内壁を構成する絶縁膜24及び絶縁膜25の側面を覆う。また、絶縁膜26には、p型半導体層33と重なる位置にコンタクトホールH14が設けられる。
【0094】
i型半導体層31は、絶縁膜26の上に設けられ、絶縁膜24から絶縁膜26を貫通するコンタクトホールH14を介してp型半導体層33と接続される。n型半導体層32は、i型半導体層31の上に設けられる。
【0095】
より詳細には、フォトダイオード30は、第1領域R1と、第2領域R2と、第3領域R3とを有する。複数の第1領域R1は、部分フォトダイオード30Sのそれぞれに対応して設けられる。複数の第1領域R1は、それぞれ、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32が直接、接して積層される。言い換えると、第1領域R1は、コンタクトホールH14の底面で規定される領域である。
【0096】
第2領域R2は、複数の第1領域R1の間に設けられる。第2領域R2は、平面視で、第1領域R1の周囲に設けられ、部分フォトダイオード30Sごとに離隔して設けられる。第2領域R2は、基板21に垂直な方向(第3方向Dz)で、少なくともp型半導体層33とi型半導体層31とが、離隔して積層される。より具体的には、第2領域R2は、p型半導体層33とi型半導体層31との間に設けられた絶縁膜24、25、26を有する。ただし、これに限定されず、第2領域R2は、p型半導体層33とi型半導体層31との間に1層又は2層の絶縁膜を有していてもよいし、4層以上の絶縁膜を有していてもよい。
【0097】
第2領域R2で、p型半導体層33とi型半導体層31との間に設けられた絶縁膜24、25、26の厚さ(絶縁膜24、25の厚さti1と絶縁膜26の厚さti2の合計の厚さ)は、i型半導体層31の厚さti3よりも厚い。絶縁膜24、25の厚さti1は、絶縁膜26の厚さti2よりも厚い。また、第2領域R2のp型半導体層33とn型半導体層32との距離は、第1領域R1のp型半導体層33とn型半導体層32との距離よりも大きい。なお、i型半導体層31及び各絶縁膜24、25、26の厚さ関係は上記に限定されず、i型半導体層31の厚さよりも絶縁膜24、25、26の3層の合計の厚さの方が小さくなる構成も採用可能である。第2領域R2においては、i型半導体層31(及び/又はn型半導体層32)とp型半導体層33との間に所定厚さの絶縁膜24、25、26が存在していることが必要である一方、その絶縁膜24、25、26の厚さは様々な厚さのものを採用可能である。
【0098】
第3領域R3は、隣り合う第2領域R2の間に設けられる。より具体的には、第3領域R3は、p型半導体層33が設けられ、i型半導体層31及びn型半導体層32はp型半導体層33と非重畳に設けられる。第3領域R3(隣り合う第2領域R2の間)での、p型半導体層33と上部導電層34との間の距離は、第2領域R2のp型半導体層33とn型半導体層32との距離よりも大きい。第3領域R3は、連結部CA1、CA2及び基部BAを含む。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3(
図7では部分フォトダイオード30S-3は図示されない)は、絶縁膜23の上に形成されたp型半導体層33からなる連結部CA1で接続される。同様に部分フォトダイオード30S-4から30S-8(
図6参照)は、絶縁膜23の上に形成されたp型半導体層33からなる基部BAで接続される。
【0099】
また、第3領域R3では、隣り合う複数の第1領域R1は少なくともp型半導体層33で接続される。さらに、第3領域R3では、p型半導体層33の上に絶縁膜24、25が設けられ、p型半導体層33の上に設けられた絶縁膜24、25の上にリセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomが設けられる。言い換えると、リセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomの上には、i型半導体層31及びn型半導体層32が非重畳となるように設けられる。このような構成により、i型半導体層31及びn型半導体層32がリセット信号線SLrst及び基準信号線SLcomと重畳して設けられる構成に比べて、各信号線と、n型半導体層32の絶縁を確保できる。
【0100】
このような構成により、第2領域R2でi型半導体層31とp型半導体層33との間に形成される単位面積あたりの容量は、第1領域R1でi型半導体層31とp型半導体層33との間に形成される単位面積あたりの容量よりも小さくなる。したがって、フォトダイオード30が、平面視で検出素子3の全体を覆うように四角形状等のベタ膜で形成された構成、すなわち、第2領域R2のi型半導体層31及びn型半導体層32を、第1領域R1と同層に設けた構成に比べて、1つのフォトダイオード30の容量Cs(
図4参照)を小さくすることができる。
【0101】
また、本実施形態では、隣り合う第1領域R1及び第2領域R2の間に第3領域R3が設けられる。i型半導体層31及びn型半導体層32は、部分フォトダイオード30Sごとに離隔して設けられ、隣り合う部分フォトダイオード30Sのn型半導体層32は、上部導電層34で接続される。第3領域R3で上部導電層34とp型半導体層33との間に形成される単位面積あたりの容量は、第2領域R2でi型半導体層31とp型半導体層33との間に形成される単位面積あたりの容量よりも小さい。これにより、1つのフォトダイオード30の容量Cs(
図4参照)をより小さくすることができる。
【0102】
この結果、上述した式(2)に示すように、同じ光が照射され、同じ露光時間Tだけ露光された検出条件であっても、信号ΔVn1を大きくすることができ、検出装置1の検出感度を向上させることができる。なお、上記ではi型半導体層31とp型半導体層33との間に形成される容量について言及しているが、i型半導体層31とn型半導体層32とが直接接しており、かつ、i型半導体層31を介してp型半導体層とn型半導体層とが対向していることを鑑みると、上記容量についての言及は、p型半導体層33とn型半導体層32間の容量に置き換えることができることはもちろんである。
【0103】
絶縁膜27は、フォトダイオード30を覆って絶縁膜26の上に設けられる。絶縁膜27は、フォトダイオード30及び絶縁膜26に直接、接して設けられる。絶縁膜27は、感光性アクリル等の有機材料からなる。絶縁膜27は、絶縁膜26よりも厚い。なお、これらの厚さ関係は互いに入れ替わっていても構わない。絶縁膜27は、無機絶縁材料に比べ、段差のカバレッジ性が良好であり、i型半導体層31及びn型半導体層32の側面を覆って設けられる。
【0104】
上部導電層34は、絶縁膜27の上に設けられる。上部導電層34は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料である。上部導電層34の主部34S及び各接続部34a、34b、34c、34d(
図7では、接続部34aのみ図示する)は、絶縁膜27の上に同層に設けられる。上部導電層34は、絶縁膜27の表面に倣って設けられ、絶縁膜27に設けられたコンタクトホールH1を介してn型半導体層32と接続される。これにより、複数の部分フォトダイオード30Sからそれぞれ出力される信号(光電流Ip)は、共通の上部導電層34で統合されて、ソースフォロワトランジスタMsf、読出トランジスタMrd(
図4参照)を介して、1つの検出信号Vdetとして出力される。
【0105】
なお、コンタクトホールH1は、第1領域R1と重畳する位置に設けられ、部分フォトダイオード30Sのn型半導体層32と上部導電層34(主部34S)とがコンタクトホールH1の底面で接続される。ただし、上部導電層34は、それぞれの部分フォトダイオード30Sで、任意の箇所でn型半導体層32と接続されていればよく、複数の部分フォトダイオード30Sの第1領域R1の中心とずれた位置にコンタクトホールH1が形成されていてもよい。また、上部導電層34は、コンタクトホールH1の底面でn型半導体層32と直接接し、コンタクトホールH1の内壁(側面)では、上部導電層34とn型半導体層32との間には絶縁膜27が介在している。ただし、これに限定されず、上部導電層34は、内壁(側面)でもn型半導体層32と直接接する構成も採用可能である。
【0106】
絶縁膜28は、上部導電層34を覆って絶縁膜27の上に設けられる。絶縁膜28は、無機絶縁膜である。絶縁膜28は、フォトダイオード30への水分の侵入を抑制する保護層として設けられる。
【0107】
保護膜29は、絶縁膜28の上に設けられる。保護膜29は、有機保護膜である。保護膜29は、検出装置1の表面を平坦化するように形成される。
【0108】
本実施形態では、フォトダイオード30のp型半導体層33及び下部導電層35が、各トランジスタと同層に設けられるので、フォトダイオード30を各トランジスタと異なる層に形成した場合に比べて製造工程を簡略化できる。
【0109】
なお、
図7に示すフォトダイオード30の断面構成は、あくまで一例である。これに限定されず、例えば、フォトダイオード30は、各トランジスタと異なる層に設けられていてもよい。また、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32の積層順も、
図7に限定されず、n型半導体層32、i型半導体層31及びp型半導体層33の順に積層されていてもよい。
【0110】
次に、光学フィルタ7の構成例について説明する。
図9は、光学フィルタの構成例を示す断面図である。なお、
図9では、センサ基板5の構成を簡略化して示しており、フォトダイオード30(部分フォトダイオード30S-1)と、フォトダイオード30を覆う保護膜29と、を模式的に示している。
【0111】
光学フィルタ7は、指Fg等の被検出体で反射された光L2のうち、第3方向Dzに進行する成分をフォトダイオード30に向けて透過させ、斜め方向に進行する成分を遮蔽する光学素子である。光学フィルタ7は、コリメートアパーチャ、あるいは、コリメータとも呼ばれる。
【0112】
図9に示すように、光学フィルタ7は、第1遮光層71と、第2遮光層72と、第1透光性樹脂層74と、第2透光性樹脂層75と、レンズ78と、を有する。本実施形態では、保護膜29の上に、第1遮光層71、第1透光性樹脂層74、第2遮光層72、第2透光性樹脂層75、レンズ78の順に積層されている。
【0113】
レンズ78は、フォトダイオード30の部分フォトダイオード30Sのそれぞれに重畳する領域に設けられる。レンズ78は、凸レンズである。レンズ78の光軸CLは、第3方向Dzと平行方向に設けられ、部分フォトダイオード30Sと交差する。レンズ78は、第2透光性樹脂層75の上に直接接して設けられる。また、本実施形態では、隣接するレンズ78の間では、第2透光性樹脂層75の上に遮光層等が設けられていない。
【0114】
第1遮光層71及び第2遮光層72は、第3方向Dzでフォトダイオード30とレンズ78との間に設けられる。また、第1遮光層71には、フォトダイオード30に重畳する領域に第1開口OP1が設けられる。第2遮光層72には、フォトダイオード30に重畳する領域に第2開口OP2が設けられる。第1開口OP1及び第2開口OP2は、光軸CLと重なる領域に形成される。
【0115】
第1遮光層71は、例えば、モリブデン(Mo)等の金属材料で形成されている。これにより、第1遮光層71は、第1開口OP1を透過する光L2以外の、斜め方向に進行する光L2の成分を反射することができる。
【0116】
第2遮光層72は、例えば黒色に着色された樹脂材料で形成される。これにより、第2遮光層72は、第2開口OP2を透過する光L2以外の、斜め方向に進行する光L2の成分を吸収する光吸収層として機能する。例えば、第2遮光層72は、第1遮光層71で反射された光や、隣接するレンズ78の間から入射した外光を吸収することができる。
【0117】
本実施形態では、レンズ78の第1方向Dxでの幅W3、第2開口OP2の第1方向Dxでの幅W2、第1開口OP1の第1方向Dxでの幅W1の順に小さくなっている。また、第1開口OP1の第1方向Dxでの幅W1は、フォトダイオード30の部分フォトダイオード30Sの第1方向Dxでの幅よりも小さい。
【0118】
また、
図9に示す第2透光性樹脂層75の厚さTH2は、第1透光性樹脂層74の厚さTH1よりも厚く形成される。また、第1透光性樹脂層74の厚さTH1及び第2透光性樹脂層75の厚さTH2は、センサ基板5の保護膜29の厚さTH3よりも厚い。
【0119】
このような構成により、指Fg等の被検出体で反射された光L2のうち、第3方向Dzに進行する光L2-1は、レンズ78で集光され、第2開口OP2及び第1開口OP1を透過して、フォトダイオード30に入射する。また、第3方向Dzに対して角度θ1だけ傾斜した光L2-2についても、第2開口OP2及び第1開口OP1を透過して、フォトダイオード30に入射する。
【0120】
また、光学フィルタ7は、センサ基板5と一体に形成されている。すなわち、光学フィルタ7の第1遮光層71は、保護膜29の上に直接、接して設けられており、第1遮光層71と保護膜29との間に粘着層等の部材が設けられていない。光学フィルタ7は、センサ基板5上に直接、成膜され、パターニング等の工程が施されて形成されるので、光学フィルタ7を別体でセンサ基板5に貼り合わせた場合に比べて、光学フィルタ7の第1開口OP1、第2開口OP2及びレンズ78と、フォトダイオード30との位置精度を向上させることができる。
【0121】
なお、
図9に示す光学フィルタ7の構成はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、光学フィルタ7は、センサ基板5と別体に形成されていてもよい。また、幅W1、W2、W3及び厚さTH1、TH2、TH3の関係も、要求される光学特性に応じて適宜変更してもよい。また、光学フィルタ7は、第1遮光層71及び第2遮光層72が設けられる構成に限定されず、1層の第1遮光層71が設けられていてもよい。
【0122】
(変形例)
図10は、変形例4に係る検出素子を示す平面図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、
図10では、説明を分かりやすくするために第1方向Dxの一方(
図10右側)を+Dx方向と表し、第1方向Dxの他方(
図10左側)を-Dx方向と表す。第2方向Dyの一方(
図10上側)を+Dy方向と表し、第2方向Dyの他方(
図10下側)を-Dy方向と表す。
【0123】
図10に示すように、変形例4に係る検出素子3Aは、上述した実施形態に比べて、部分フォトダイオード30Sのそれぞれで、i型半導体層31及びn型半導体層32の中心位置が、p型半導体層33の中心位置とずれて配置される。また、上部導電層34の主部34Sは、i型半導体層31及びn型半導体層32に重なって配置され、上部導電層34の主部34Sの中心位置もp型半導体層33の中心位置とずれて配置される。さらに、i型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sの変位に伴って、絶縁膜27(
図7参照)に設けられたコンタクトホールH1の位置は、第1領域R1の中心位置からずれて配置される。
【0124】
言い換えると、1つの部分フォトダイオード30S(第1領域R1)で、第1方向Dxの一方(+Dx方向)での、p型半導体層33の外周と、i型半導体層31及びn型半導体層32の外周との距離は、第1方向Dxの他方(-Dx方向)での、p型半導体層33の外周と、i型半導体層31及びn型半導体層32の外周との距離と異なる。
【0125】
より具体的には、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3では、第1領域R1のp型半導体層33の中心位置を基準として、i型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sは、+Dx方向にずれて配置される。また、部分フォトダイオード30S-4、30S-5では、第1領域R1のp型半導体層33の中心位置を基準として、i型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sは、-Dx方向にずれて配置される。
【0126】
部分フォトダイオード30S-6では、第1領域R1のp型半導体層33の中心位置を基準として、i型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sは、+Dx方向及び-Dy方向にずれて配置される。部分フォトダイオード30S-7では、第1領域R1のp型半導体層33の中心位置を基準として、i型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sは、+Dx方向にずれて配置される。部分フォトダイオード30S-8では、第1領域R1のp型半導体層33の中心位置を基準として、i型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sは、+Dx方向及び+Dy方向にずれて配置される。
【0127】
このような構成により、上述した実施形態に比べて、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3の、それぞれのi型半導体層31及びn型半導体層32が、基準信号線SLcomに重畳することを抑制できる。同様に、部分フォトダイオード30S-4、30S-5の、それぞれのi型半導体層31及びn型半導体層32が、リセット信号線SLrstに重畳することを抑制できる。また、部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8の、それぞれのi型半導体層31及びn型半導体層32が、出力信号線SLに重畳することを抑制できる。
【0128】
これにより、それぞれの部分フォトダイオード30Sのi型半導体層31及びn型半導体層32と、各種信号線との絶縁を確保することができる。あるいは、i型半導体層31及びn型半導体層32と、各種信号線との絶縁を確保するために、絶縁膜27(
図7参照)を厚く形成する、又は、絶縁膜27を複数積層する等の工程が不要であり、検出装置1の製造コストの増大を抑制することができる。
【0129】
また、検出素子3Aは、部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のp型半導体層33を接続する基部BAに換えて連結部CA1、CA2が設けられている。第2方向Dyに隣り合う部分フォトダイオード30S-4、30S-5のp型半導体層33は、連結部CA1により接続される。また、第2方向Dyに配列された部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8のp型半導体層33は、連結部CA1により接続される。また、第1方向Dxに隣り合う部分フォトダイオード30S-7、30S-2のp型半導体層33は、第1方向Dxに延在する連結部CA2により接続される。連結部CA2は、部分フォトダイオード30S-4、30S-5を接続する連結部CA1と交差して設けられ、リセット信号線SLrstと基準信号線SLcomの下方を第1方向Dxに沿って通過する。
【0130】
部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8を接続する連結部CA1、CA2は、基部BAに比べて面積が小さい。このため、i型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sの位置を変位させた場合に、i型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34と、p型半導体層33からなる連結部CA1、CA2との重畳面積の増大を抑制することができる。すなわち、各部分フォトダイオード30Sの寄生容量の増大を抑制することができる。
【0131】
上述したように、部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8に重畳する上部導電層34の主部34Sは、それぞれ、第1領域R1のp型半導体層33の中心位置を基準にして、+Dx方向にずれて配置されている。部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8の複数の第1領域R1は、第2方向Dyに配列され、p型半導体層33からなる連結部CA1は、第2方向Dyに延在して複数の第1領域R1を接続する。上部導電層34の接続部34dは、連結部CA1と第1方向Dx(+Dx方向)に隣り合って配置され第2方向Dyに延在する。これにより、上部導電層34の接続部34dと、連結部CA1との間に形成される寄生容量を抑制することができる。
【0132】
なお、
図10に示す検出素子3Aの構成は、上述した実施形態と適宜組み合わせることができる。例えば、部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のp型半導体層33を接続する基部BAが設けられた構成で、部分フォトダイオード30Sのi型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sをずらして配置してもよい。あるいは、部分フォトダイオード30Sのi型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sをp型半導体層33と同心円状に配置した構成で、基部BAに換えて、部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のp型半導体層33を接続する連結部CA1、CA2を配置してもよい。
【0133】
また、全ての部分フォトダイオード30Sのi型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sをずらす場合に限定されず、一部の部分フォトダイオード30Sのi型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sをずらす構成を採用してもよい。i型半導体層31、n型半導体層32及び上部導電層34の主部34Sをずらす方向、ずれ量は、各信号線との位置関係に応じて適宜変更することができる。また、各信号線の配置はあくまで一例であり、適宜変更することができる。また、各トランジスタの配置も、部分フォトダイオード30Sの数や配置に応じて、適宜変更することができる。
【0134】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0135】
1 検出装置
2 アレイ基板
3、3A 検出素子
5 センサ基板
7 光学フィルタ
10 センサ部
21 基板
30 フォトダイオード
30S、30S-1、30S-2、30S-3、30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8 部分フォトダイオード
31 i型半導体層
32 n型半導体層
33 p型半導体層
34 上部導電層
34S 主部
34a、34b、34c、34d、34e 接続部
35 下部導電層
BA 基部
CA1、CA2 連結部
Mrst リセットトランジスタ
Mrd 読出トランジスタ
Msf ソースフォロワトランジスタ
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域