(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062646
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】プロダクト提供サーバ及びプロダクト提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220413BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20220413BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170822
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】519100882
【氏名又は名称】株式会社FUN UP
(74)【代理人】
【識別番号】100179822
【弁理士】
【氏名又は名称】中畑 稔
(72)【発明者】
【氏名】山口 絵里
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L049CC17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】誰しもが気軽にデザイン市場に参入するプロダクト提供サーバ及びこれを備えるプロダクト提供システムを提供する。
【解決手段】プロダクト提供サーバ1において、パーツ情報取得部131は、パーツ事業者端末からパーツ情報を取得する。デザインインターフェース部132は、取得したパーツ情報を利用したプロダクトのデザインを行うインターフェースを提供する。プロダクト提供部133は、デザインを行ったプロダクトの情報を購買ユーザ端末に提供する。購買ユーザ端末からデザインしたプロダクトの購入リクエストを受信すると、パーツ情報送信部135は、プロダクトに利用されているパーツのパーツ事業者端末に対し、指定したファブリケータに送付するリクエスト情報を送信する。そして、プロダクト組み立て情報送信部は、プロダクトの組み立て情報と、完成したプロダクトの配送先情報をファブリケータ端末に提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーツ事業者端末と、デザイナ端末と、ファブリケータ端末と、購買ユーザ端末と通信可能に接続された、プロダクト提供サーバであって、
前記パーツ事業者端末からパーツ情報を取得して管理するパーツ情報取得部と、
取得した前記パーツ情報を前記デザイナ端末に提供すると共に、前記パーツ情報を利用してプロダクトをデザインするためのデザインインターフェースを提供するデザインインターフェース部と、
デザインされた前記プロダクトの情報を前記購買ユーザ端末に提供するプロダクト提供部と、
前記購買ユーザ端末から前記プロダクトの購入リクエストを受け付ける購入リクエスト受付部と、
前記購入リクエストに対応する前記プロダクトに利用されている前記パーツ情報と、送付先情報に基づいて、当該パーツ情報に対応するパーツを指定したファブリケータに送付するリクエスト情報を送信するパーツ情報送信部と、
送信された前記パーツ情報を利用した前記プロダクトの組み立て情報と、組み立てが完了した前記プロダクトの配送先情報を前記ファブリケータ端末に提供するプロダクト組み立て情報送信部と、
を有する、
プロダクト提供サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロダクト提供サーバであって、
前記パーツ情報は、少なくとも一の接続ポイントが関連付けられたパーツ画像情報を含んでおり、
前記デザインインターフェースは、前記デザイナ端末上で、複数の前記パーツ画像情報の前記接続ポイント同士を連結させることによって、デザイナに前記デザインを行わせるものである、
プロダクト提供サーバ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプロダクト提供サーバであって、
前記プロダクト提供サーバは、前記デザインされた前記プロダクトの情報の提供に対する報酬額を、前記デザイナ端末を操作するデザイナに付与する処理を行う、
プロダクト提供サーバ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のプロダクト提供サーバであって、
前記プロダクト提供サーバは、前記デザインされた前記プロダクトの販売価格に相当する金額から前記プロダクト提供サーバの運営者の手数料を差し引いた額を、前記デザインされた前記プロダクトの情報の提供に対する報酬額として、前記デザイナ端末を操作するデザイナに付与する処理を行う、
プロダクト提供サーバ。
【請求項5】
パーツ事業者端末と、デザイナ端末と、ファブリケータ端末と、購買ユーザ端末と、プロダクト提供サーバとを備えるプロダクト提供システムであって、
前記パーツ事業者端末は、少なくともパーツの画像を含むパーツ情報を前記プロダクト提供サーバに送信し、
前記プロダクト提供サーバは、取得した前記パーツ情報と共に、前記パーツ情報を利用してプロダクトをデザインするためのデザインインターフェースを前記デザイナ端末に操作可能に提供し、
前記デザイナ端末は、デザイナに対して前記デザインインターフェースを介して前記パーツの前記画像を操作させることにより前記プロダクトをデザインさせ、デザインされた前記プロダクトを前記プロダクト提供サーバに送信し、
前記プロダクト提供サーバは、送信された前記プロダクトの情報を前記購買ユーザ端末に提供し、
前記購買ユーザ端末は、ユーザから前記プロダクトの購入リクエストを受け付け、
前記プロダクト提供サーバは:
前記パーツ事業者に対して、前記購入リクエストに対応する前記プロダクトに利用されている前記パーツ情報と、送付先情報に基づいて当該パーツ情報に対応するパーツを指定したファブリケータに送付するリクエスト情報を送信し;
前記ファブリケータ端末に対して、送信された前記パーツ情報を利用した前記プロダクトの組み立て情報を送信し、
前記ファブリケータ端末は、受信した組み立て情報に基づいて前記プロダクトを組み立てるように作業者に指示を行う、
プロダクト提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロダクト提供サーバ及びこれを備えたプロダクト提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市場における需要の伸びを受けて、各種製品におけるデザインの重要性が高まってきている。
【0003】
このような背景のもと、特許文献1には、素人又は無名のデザイナによって新たに考案されたデザインを発表する場の提供を支援する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のデザイン業界は、仕事の受発注が主として、個別の人間関係又は過去の取引習慣などによって決定される側面が未だ強い。このため、高品質のデザインであっても相応の適正価格で提供し得る市場原理がうまく作用していないのが現実であり、誰でも気軽にデザイン市場に参入することはままならなかった。
【0006】
そこで、本発明は、誰しもが気軽にデザイン市場に参入することのできるプロダクト提供サーバ及びこれを備えたプロダクト提供システムを提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、パーツ事業者端末と、デザイナ端末と、ファブリケータ端末と、購買ユーザ端末と通信可能に接続された、プロダクト提供サーバであって、前記パーツ事業者端末からパーツ情報を取得して管理するパーツ情報取得部と、取得した前記パーツ情報を前記デザイナ端末に提供すると共に、前記パーツ情報を利用してプロダクトをデザインするためのデザインインターフェースを提供するデザインインターフェース部と、デザインされた前記プロダクトの情報を前記購買ユーザ端末に提供するプロダクト提供部と、前記購買ユーザ端末から前記プロダクトの購入リクエストを受け付ける購入リクエスト受付部と、前記購入リクエストに対応する前記プロダクトに利用されている前記パーツ情報と、送付先情報に基づいて、当該パーツ情報に対応するパーツを指定したファブリケータに送付するリクエスト情報を送信するパーツ情報送信部と、送信された前記パーツ情報を利用した前記プロダクトの組み立て情報と、組み立てが完了した前記プロダクトの配送先情報を前記ファブリケータ端末に提供するプロダクト組み立て情報送信部と、を有する、プロダクト提供サーバが得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本来の市場原理を歪めてしまう要素を排除して、誰しもが気軽にデザイン市場に参入することのできる仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るプロダクト提供システム100の構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るプロダクト提供サーバ1を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】
図1に示したプロダクト提供サーバ1のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】
図3に示したパーツ管理テーブル121のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態のプロダクト提供システム100を利用した取引処理の一連の流れを示した図である。
【
図6】プロダクトの生成中にデザイナ端末2に表示される画面構成例を示す説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る取引処理を示すフローチャートの一例である(その1)。
【
図8】本発明の一実施形態に係る取引処理を示すフローチャートの一例である(その2)。
【
図10】本発明の一実施形態に係る取引処理を示すフローチャートの一例である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、以下のような構成を備える。
[項目1]
デザイナ端末と、パーツ事業者端末と、ファブリケータ端末と、購買ユーザ端末と通信可能に接続された、プロダクト提供サーバであって、
前記パーツ事業者端末からパーツ情報を取得して管理するパーツ情報取得部と、
取得した前記パーツ情報を前記デザイナ端末に提供すると共に、前記パーツ情報を利用してプロダクトをデザインするためのデザインインターフェースを提供するデザインインターフェース部と、
デザインされた前記プロダクトの情報を前記購買ユーザ端末に提供するプロダクト提供部と、
前記購買ユーザ端末から前記プロダクトの購入リクエストを受け付ける購入リクエスト受付部と、
前記購入リクエストに対応する前記プロダクトに利用されている前記パーツ情報と、送付先情報に基づいて当該パーツ情報に対応するパーツを指定したファブリケータに送付するリクエスト情報を送信するパーツ情報送信部と、
送信された前記パーツ情報を利用した前記プロダクトの組み立て情報と、組み立てが完了した前記プロダクトの配送先情報を前記ファブリケータ端末に提供するプロダクト組み立て情報送信部と、
を有する、
プロダクト提供サーバ。
[項目2]
項目1に記載のプロダクト提供サーバであって、
前記パーツ情報は、少なくとも一の接続ポイントが関連付けられたパーツ画像情報を含んでおり、
前記デザインインターフェースは、前記デザイナ端末上で、複数の前記パーツ画像情報の前記接続ポイント同士を連結させることによって、デザイナに前記デザインを行わせるものである、
プロダクト提供サーバ。
[項目3]
項目1又は項目2に記載のプロダクト提供サーバであって、
前記プロダクト提供サーバは、前記デザインされた前記プロダクトの情報の提供に対する報酬額を、前記デザイナ端末を操作するデザイナに付与する処理を行う、
プロダクト提供サーバ。
[項目4]
項目1又は項目2に記載のプロダクト提供サーバであって、
前記プロダクト提供サーバは、前記デザインされた前記プロダクトの情報の提供に対する報酬額を、前記デザイナ端末を操作するデザイナに付与する処理を行う、
プロダクト提供サーバ。
[項目5]
デザイナ端末と、パーツ事業者端末と、ファブリケータ端末と、購買ユーザ端末と、プロダクト提供サーバとを備えるプロダクト提供システムであって、
前記パーツ事業者端末は、少なくともパーツの画像を含むパーツ情報を前記プロダクト提供サーバに送信し、
前記プロダクト提供サーバは、取得した前記パーツ情報と共に、前記パーツ情報を利用してプロダクトをデザインするためのデザインインターフェースを前記デザイナ端末に操作可能に提供し、
前記デザイナ端末は、デザイナに対して前記デザインインターフェースを介して前記パーツの前記画像を操作させることにより前記プロダクトをデザインさせ、デザインされた前記プロダクトを前記プロダクト提供サーバに送信し、
前記プロダクト提供サーバは、送信された前記プロダクトの情報を前記購買ユーザ端末に提供し、
前記購買ユーザ端末は、ユーザから前記プロダクトの購入リクエストを受け付け、
前記プロダクト提供サーバは:
前記パーツ事業者に対して、前記購入リクエストに対応する前記プロダクトに利用されている前記パーツ情報と、送付先情報に基づいて当該パーツ情報に対応するパーツを指定したファブリケータに送付するリクエスト情報を送信し;
前記ファブリケータ端末に対して、送信された前記パーツ情報を利用した前記プロダクトの組み立て情報を送信し、
前記ファブリケータ端末は、受信した組み立て情報に基づいて前記プロダクトを組み立てるように作業者に指示を行う、
プロダクト提供システム。
【0011】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
<概要>
本発明の実施の形態によるプロダクト提供システムは、例えばインターネットを介してのネット取引を利用することで、資本力・営業力などが乏しい者であっても誰しもが気軽にデザイン市場に参入でき、仕事の依頼を受ける機会に出会うことができる。一方、デザインを依頼する側から見れば、多くのデザイナの中から適正価格で希望に合致するデザインの提供を受けることが期待できる。プロダクトの対象には、取引市場において流通可能な商品(服飾品、アクセサリー、鞄、靴、時計、宝飾品などの装身具)が含まれ得る。以下では専らプロダクトの対象をアクセサリーとする例を挙げてさらに詳しく説明する。
【0013】
<構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプロダクト提供システム100の構成例を示す図である。図示するように、本実施形態に係るプロダクト提供システム100は、デザイナ端末2と、パーツ事業者端末3と、ファブリケータ端末4と、購買ユーザ端末5と、各端末2~5を仲介するプロダクト提供サーバ1と、を備える。プロダクト提供サーバ1と、デザイナ端末2と、パーツ事業者端末3と、ファブリケータ端末4と、購買ユーザ端末5とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。なお、本構成は一例であり、ある構成が他の構成を兼ね備えていたり、他の構成が含まれていたりしてもよい。
【0014】
本実施形態においてネットワークNWはインターネットを想定している。ネットワークNWは、例えば、公衆電話回線網、携帯電話回線網、無線通信網、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0015】
<ハードウェア構成例>
本実施の形態によるプロダクト提供サーバ1は、以下のようなハードウェア構成を有する。なお、以下の構成は一例であり、これ以外の構成を有していても良い。
【0016】
図2は、本実施形態に係るプロダクト提供サーバ1を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。プロダクト提供サーバ1は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0017】
プロセッサ10は、プロダクト提供サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0018】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリ又はHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、プロダクト提供サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0019】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ12に構築されていてもよい。
【0020】
送受信部13は、プロダクト提供サーバ1をネットワークNWに接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースを備えていてもよい。
【0021】
入出力部14は、必要に応じて使用するキーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0022】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0023】
なお、本実施形態に係る、デザイナ端末2、パーツ事業者端末3、ファブリケータ端末4及び購買ユーザ端末5の夫々を実現するコンピュータ又はスマートフォン等の端末のハードウェア構成は、
図2に示すプロダクト提供サーバ1のハードウェア構成例と同様であるため、説明を省略する。
【0024】
<プロダクト提供サーバ1>
図3は、
図1に示したプロダクト提供サーバ1のソフトウェア構成例を示す図である。プロダクト提供サーバ1は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0025】
通信部110は、ネットワークNWを介して、上述した各端末2~5と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0026】
記憶部120は、各種制御処理又は制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM、ROM等から構成される。記憶部120には、プロダクト提供サーバ1を制御するための複数の制御プログラム等が記憶されている。記憶部120は、プロダクトを構成する複数のパーツを管理する機能を実現するため、パーツ管理テーブル121を備える。
【0027】
図4は、そのパーツ管理テーブル121のデータ構造の一例を示す図である。
【0028】
図4に示すように、パーツ管理テーブル121は、パーツの種類と同数のレコードを有している。各レコードは、「パーツID」、「カテゴリ」、「名称」、「image」、「工場」、「単価」等の各フィールドを有している。「パーツID」フィールドは、パーツの種類を一意に特定するためのIDが格納されるフィールドである。「カテゴリ」フィールドは、パーツIDに対応付けて指定されたカテゴリが格納されるフィールドである。「名称」フィールドは、パーツIDに対応付けて指定された名称が格納されるフィールドである。「image」フィールドは、パーツIDに対応付けて指定されたイメージ(画像)が格納されるフィールドである。「工場」フィールドは、パーツIDに対応付けて指定されたファブリケータが格納されるフィールドである。「単価」フィールドは、パーツIDに対応付けて指定された単価が格納されるフィールドである。
【0029】
再び、
図3に戻り、プロダクト提供サーバ1のソフトウェア構成について説明する。
【0030】
制御部130は、記憶部120に記憶されている制御プログラムを実行することにより、プロダクト提供サーバ1の全体の動作を制御するものであり、CPU又はGPU等から構成される。制御部130は、パーツ情報取得部131、デザインインターフェース部132、プロダクト提供部133、購入リクエスト受付部134、パーツ情報送信部135、プロダクト組み立て情報送信部136を有する。各部131~136は、記憶部320に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるプロダクト提供サーバ1により実行される。
【0031】
パーツ情報取得部131は、通信部110を介してパーツ事業者端末3からパーツ情報を取得して管理する機能を有する。パーツ情報は、例えば、プロダクトを構成する複数のパーツ同士の接続関係・接続部位の形状等を示す接続情報を含むものであって、より具体的には、少なくとも一の接続ポイント50が関連付けられたパーツ画像情報を含み得る(
図6参照)。
【0032】
デザインインターフェース部132は、パーツ情報取得部131が取得したパーツ情報を、通信部110を介してデザイナ端末2に提供する機能を有する。デザイナ端末2は、プロダクトをデザインするデザイナが操作し得る操作端末である。デザイナはそれぞれ独自のプロダクトをデザインして、そのプロダクトを、購買ユーザ端末5を操作し得る購買ユーザに公開するために当該システム100に対してエントリーすることができる。そして、購買ユーザがそのプロダクトを購入した場合には、デザイナに対して報酬額が支払われる。この報酬額は、一例としてプロダクトの販売価格の数パーセント~数十パーセントの額などに設定され得る。
【0033】
また、デザインインターフェース部132は、パーツ情報取得部131が取得したパーツ情報を利用してプロダクトをデザインするためのデザインインターフェースを、通信部110を介してデザイナ端末2に提供する機能も有する。
【0034】
プロダクト提供部133は、デザインインターフェースを利用してデザインされた前記プロダクトの情報を、通信部110を介して購買ユーザ端末5に提供する機能を有する。
【0035】
購入リクエスト受付部134は、通信部110を介して購買ユーザ端末5から前記プロダクトの購入リクエストを受け付ける機能を有する。
【0036】
パーツ情報送信部135は、購入リクエスト受付部134が受け付けた購入リクエストに対応する前記プロダクトに利用されている前記パーツ情報と、後述するリクエスト情報とからなる少なくとも2つの情報を、通信部110を介してパーツ事業者端末3に送信する機能を有する。ここでのパーツ情報には、例えば、パーツ事業者からファブリケータに発送されるパーツの名称・識別番号(ID)等が含まれ得る。
【0037】
プロダクト組み立て情報送信部136は、通信部110を介してパーツ事業者端末3に送信された前記パーツ情報を利用した前記プロダクトの組み立て情報と、組み立てが完了した前記プロダクトの配送先情報とを、通信部110を介してファブリケータ端末4に提供する機能を有する。ファブリケータ端末4は、プロダクトを組み立てるファブリケータが操作し得る操作端末である。ファブリケータは、各パーツの組み立てを専門に行う業者の意であり、例えば家庭の主婦、学生等のアルバイト希望者など、当該システム100に対してエントリー登録した者の他、プロダクトのデザイナ自身を含み得る。
【0038】
図5は、本実施形態のプロダクト提供システム100を利用した取引処理の一連の流れを示した図である。本実施形態に係るプロダクト提供システム100は、購買ユーザ端末5からプロダクトの購入リクエストを受け(SQ5)、そのプロダクトを構成するパーツを夫々のパーツ事業者端末3に発注し(SQ6)、各パーツ事業者から夫々のパーツをファブリケータに納品した後(SQ7)、そのファブリケータが組み立てたプロダクトをファブリケータから購買ユーザに直接発送するものである(SQ8)。これにより、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の仕組みが実現されている。
【0039】
本システムは、デザインを提供する複数のデザイナ、パーツを業として提供する複数のパーツ事業者、プロダクトの組み立てを業として行うファブリケータ、プロダクトの購入を希望する購入ユーザ、これら4者を仲介する仲介者を主な構成要素とする。デザイナはデザイナ端末2により、パーツ事業者はパーツ事業者端末3により、ファブリケータはファブリケータ端末4により、購入ユーザは購買ユーザ端末5によりネットワークNWに接続している。
【0040】
仲介者はプロダクト提供サーバ1の記憶部120に所定のプログラムを登録し、図示しないHP(ホームページ)上にネット取引を支援するための仮想的なプラットフォームを開設している。デザイナ、パーツ事業者、ファブリケータ、購入ユーザは、ネットワークNWを介してHPにアクセスし、プラットフォームを利用する。
【0041】
仲介者と、デザイナ、パーツ事業者、ファブリケータ及び購入ユーザとは、ネットワークNWを介して相互にデータ交換を行うが、パーツ事業者とファブリケータとの間、並びに、ファブリケータと購入ユーザとの間では、郵便などの他の手段でやり取りされる。
【0042】
デザイナは、仮想空間内で、初期部材であるパーツを組み合わせてプロダクトをデザインしていく。以下、
図6を用いて、組み立て手順の詳細について説明する。
図6は、プロダクトの生成中にデザイナ端末2に表示される画面構成例を示す説明図である。デザイナは、デザイナ端末2に表示された画面の中で、グラフィックなユーザインターフェースのもと、マウス類等の情報入力機器を使用して仮想的に組み立て作業を実行する。
図6に示す画面中央部には、生成中のプロダクトを表示するための大きなスペースが設けられている。
【0043】
図6に示す画面左下には、下端側に、デザイナがパーツを追加するための追加ボタン51が配置されている。一方、画面右端には、上端側からパーツ画像を縮小するための縮小ボタン52、パーツ画像を削除するための削除ボタン53が配置されている。また、
図6に示す画面右端の下端側には、デザイナがプロダクトを仮想試着するための試着ボタン54が配置されている。
【0044】
<処理の流れ>
以下、
図7~
図10を参照しながら、本実施形態のプロダクト提供システム100を利用した取引処理の一連の流れについて説明する。
図7、
図8、
図10は、本発明の一実施形態に係る取引処理を示すフローチャートの一例である。
【0045】
(プロダクト情報の登録処理)
まず、
図6を参照して、デザイナがデザインしたプロダクト情報を登録する場合には、デザイナによるマウスの操作によってパーツ画像の選択が行われる(ステップ401)。次いで、パーツ同士の接続位置・角度等の配置が調整されることによって、パーツ同士の組み立てが行われる(ステップ402)。
【0046】
そして、設定したデザインでよいかをデザイナに確認し、このデザインでよい場合には、生成されたプロダクト情報が記憶部120へ送られデータ更新プログラムにより記憶部120に保存され登録される(ステップ403)。
【0047】
プロダクトの価格については、デザイナが画面を介して選択又は入力することにより希望価格を仲介者に伝えられるようになっている(ステップ404)。このとき、デザイナは、購買ユーザがそのプロダクトを実際に購入した場合の報酬額も併せて仲介者に伝えることができる。
【0048】
仲介者は、デザイナが生成したプロダクト情報を、当該システム100に登録してある複数の購入ユーザにネットワークNWを介して公開し、プロダクトをPR(宣伝)する(ステップ405)。このPRは、SNS(例えば、「Facebook(登録商標)」、「Twitter(登録商標)」、「LINE(登録商標)」、「Instagram(登録商標)」等)等のコンテンツ公開サービスを介して実現可能である。
【0049】
(購入リクエストの登録処理)
図7を参照して、購入ユーザがプロダクトを購入する場合には、購買ユーザ端末5を用いて、図示しないHP上に開設されたプラットフォームにおいて、プロダクトを選択し(ステップ501)、注文に必要な注文情報を登録することでプロダクトの購入を確定させる(ステップ502)。
【0050】
図9は、注文画面の一例を示す説明図である。この注文画面では、画面中央の上端側に、「作品詳細」のタイトル60が表示され、画面中央部にアクセサリーの一例として三角形状の頂部に真珠を誂えた中空状のイヤリング61が表示されている。画面中央の下端側には、当該アクセサリーに対して「LIKE」でリアクションした購買ユーザのサムネイル画像62が、販売価格63として「¥3、290」が、「購入する」ボタン64が夫々配置されている。例えば、「LIKE」でリアクションした購買ユーザの一人が、「購入する」ボタン64を押下すると、3、290円でアクセサリーを購入することができる。このボタン操作は、プロダクト提供サーバ1が備える購入リクエスト受付部134により購入リクエストとして検出され記憶部120に登録される。
【0051】
再び、
図7に戻り、購入リクエストの登録処理について説明する。
【0052】
購入リクエストの登録を契機として、仲介者は、上述した注文情報に対応するプロダクトを購入した購買ユーザに対して、プロダクトの販売価格に相当する金額を入金するよう指示する(ステップ503)。当該金額が入金された場合、仲介者は、ファブリケータに指示を出して、ファブリケータから購買ユーザに対してプロダクトを提供する処理を行う。この処理をもって、購買ユーザによるプロダクトの受け取りが完了する(ステップ504)。
【0053】
(取引処理の一連の流れ)
次に、
図9を参照しながら、本実施形態のプロダクト提供システム100を利用した取引処理の一連の流れについて説明する。
【0054】
ここで、本システム100を利用するために、パーツ事業者は、パーツ事業者端末3を利用してプロダクト提供サーバ1にアクセスして仲介者のHPを閲覧すると、ウェブブラウザを介してパーツ登録画面が表示される。このパーツ登録画面上で、パーツ事業者は、例えば、材質、硬さ、色彩、形状等のパーツ情報を書き込み、クリックまたはタップ等する(ステップ601)。
【0055】
その操作を検出したプロダクト提供サーバ1のパーツ情報取得部131は、通信部110を介してパーツ事業者端末3からパーツ情報を取得して、パーツ管理テーブル121に格納されているパーツ情報を、上記の取得したパーツ情報によって上書きすることにより更新する(ステップ602)。
【0056】
続いて、プロダクト提供サーバ1のデザインインターフェース部132は、パーツ情報取得部131が取得したパーツ情報を、通信部110を介してデザイナ端末2に提供する(ステップ603)。
【0057】
そして、デザインインターフェース部132は、パーツ情報取得部131が取得したパーツ情報を利用してプロダクトをデザインするためのデザインインターフェースを、通信部110を介してデザイナ端末2に提供する(ステップ604)。
【0058】
続いて、デザイナ端末2の通信部210は、デザインインターフェースを利用してデザインされた前記プロダクトの情報を、プロダクト提供サーバ1に提供する(ステップ605)。
【0059】
続いて、プロダクト提供サーバ1のプロダクト提供部133は、前記プロダクトの情報を、通信部110を介して購買ユーザ端末5に提供する(ステップ606)。特に、当該公開機能は、例えば、他のECサービス事業者が提供するAPI(Application Programming Interface)を利用して連携することとしてもよい。これにより、デザイナ2がデザインしたプロダクトは当該ECサービス利用者に対して効率的に公開されることとなる。
【0060】
購買ユーザ端末5の通信部510は、前記プロダクトの購入リクエストをプロダクト提供サーバ1に送信する(ステップ607)。
【0061】
そして、プロダクト提供サーバ1の購入リクエスト受付部134は、通信部110を介して購買ユーザ端末5から前記プロダクトの購入リクエストを受け付けるとともに、パーツ情報送信部135は、購入リクエスト受付部134が受け付けた購入リクエストに対応する前記プロダクトに利用されている前記パーツ情報と、リクエスト情報とからなる少なくとも2つの情報を、通信部110を介してパーツ事業者端末3に送信する(ステップ608)。ここでのリクエスト情報とは、当該パーツ情報に対応するパーツを指定したファブリケータの郵便番号、住所、氏名などの送付先情報に基づいて当該ファブリケータに送付するための情報であり得る。
【0062】
パーツ事業者端末3を操作するパーツ事業者は、郵便などの手段で、パーツ情報と、リクエスト情報とからなる少なくとも2つの情報をファブリケータに送付する(ステップ609)。
【0063】
一方で、プロダクト提供サーバ1のプロダクト組み立て情報送信部136は、通信部110を介してパーツ事業者端末3に送信された前記パーツ情報を利用した前記プロダクトの組み立て情報と、組み立てが完了した前記プロダクトの配送先情報とを、通信部110を介してファブリケータ端末4に提供する(ステップ610)。ここでの組み立て情報は、使用部品、組立順序、動作機能等が予め決められた組み立て情報であり得る。ここでの配送先情報とは、プロダクトの配送先となる購入ユーザの郵便番号、住所、氏名などを含む情報であり得る。
【0064】
ファブリケータは、組み立て情報に含まれる組立順序に従って、使用部品を組み立てて、プロダクトを生成する(ステップ611)。
【0065】
ファブリケータによる組み立てが完了すると、ファブリケータ端末4の通信部410は、その完了通知をプロダクト提供サーバ1に送信する(ステップ612)。
【0066】
この後、ファブリケータは、郵便などの手段で、プロダクトを購入ユーザに発送する(ステップ613)。これをもって、本実施形態のプロダクト提供システム100を利用した取引処理の一連の流れが完了する。
【0067】
従来のデザイン業界は、仕事の受発注が主として、個別の人間関係又は過去の取引習慣などによって決定される側面が未だ強い。このため、高品質のデザインであっても相応の適正価格で提供し得る市場原理がうまく作用していないのが現実であり、誰でも気軽にデザイン市場に参入することはままならなかった。
【0068】
この点、本実施形態のプロダクト提供システム100によれば、仲介者によりネット取引を支援するための仮想的なプラットフォームが開設されるので、資本力・営業力が乏しい個人(個人経営のデザイナ、従来埋もれていた実力のあるデザイナなど)であっても誰しもが利用料を払うことなく気軽にデザイン市場に参入でき、ひいては仕事の依頼を受けるチャンスを掴むことが可能になる。
【0069】
斯くして、本実施形態のプロダクト提供システム100を運営する仲介者は、プロダクトを構成する各パーツを作る必要もなければ、組み立て工場を所有する必要もなく、さらには、デザイナを専属で雇う必要もない。デザイナにデザインツールだけを提供するシンプルな仕組みである。
【0070】
従って、仲介者は、組み立てに必要な材料も買う必要がなく、余分な在庫が残ることもない。このように、本実施形態のプロダクト提供システム100によれば、デザイナのクリエイティビティを活かした、受注生産型の無駄のない(ロスのない)仕組みを実現できることができる。
【0071】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【0072】
なお、上述した実施形態では、購買ユーザがプロダクトを購入した場合には、プロダクト提供サーバ1は、当該デザインされたプロダクトの情報の提供に対する報酬額(プロダクトの販売価格の数パーセント~数十パーセントに相当する金額)を、デザイナ端末2を操作するデザイナに付与する例を示した。しかし、これに限らない。デザインされたプロダクトの販売価格に相当する金額からプロダクト提供サーバ1の運営者の手数料を差し引いた額が、当該デザインされたプロダクトの情報の提供に対する報酬額として、デザイナに付与されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 プロダクト提供サーバ
2 デザイナ端末
3 パーツ事業者端末
4 ファブリケータ端末
5 購買ユーザ端末
131 パーツ情報取得部
132 デザインインターフェース部
133 プロダクト提供部
134 購入リクエスト受付部
135 パーツ情報送信部
136 プロダクト組み立て情報送信部
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