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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062694
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】固体長尺製品用の圧延機
(51)【国際特許分類】
   B21B 13/12 20060101AFI20220413BHJP
   B21B 1/16 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B21B13/12 Z
B21B1/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021165022
(22)【出願日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】102020000023752
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】520378953
【氏名又は名称】エスエムエス・グループ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】SMS GROUP S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】パッヒャー,マルチェッロ
(72)【発明者】
【氏名】トゥーツィオ,ニコラ マリア
(72)【発明者】
【氏名】マリン,パオロ
【テーマコード(参考)】
4E002
【Fターム(参考)】
4E002AC12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圧延機の同じ側からの全てのケージの抜去を可能にし、同時に特別角度ギアボックスを必要としない、簡略化されたロール制御システムを有する固体長尺製品用の圧延機を提供する。
【解決手段】全ての圧延ステーション100は、第1の側1aまたは第2の側1bに対応する、圧延機の同じ側からのそれぞれのロールホルダカートリッジ120の横方向抜去を可能にするように構成されている。カートリッジ抜去側に配置された垂直ロールを有するステーションは、耐力構造110に対して移動可能な垂直ロールのアクチュエータ141と、固定された他のロールを有するアクチュエータ142、143とを有する。カートリッジ抜去側と反対側に配置された垂直ロールを有するステーションは全て、固定アクチュエータ142、143を有する。全てのステーションの単一延長部は、耐力構造に対して移動可能である。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延軸Xを画定する、固体長尺製品用の圧延機(1)であって、前記圧延機(1)の入力と出力との間で互いに交互になって前記圧延軸(X)に沿って直列に配置された、第1の複数の圧延ステーション(100)および第2の複数の圧延ステーション(200)を含み、前記圧延ステーションの各々は、
-耐力構造(110、210)と、
-前記耐力構造(110、220)に取り外し可能に接続され、前記圧延軸(X)に対して径方向に移動可能なようにロールホルダカートリッジ(120;220)に実装された3つの圧延ロール(131、132、133;231、232、233)を含む、前記ロールホルダカートリッジ(120;220)であって、前記3つのロールは、互いから120°で配置された3つのそれぞれの回転軸(R1、R2、R3)の周りで回転可能であり、前記ロールのうちの1つ(131;231)は垂直に配置されたその回転軸(R1)を有し、他の2つのロール(132、133;232、233)は垂直に対して傾斜したそのそれぞれの回転軸(R2、R3)を有する、ロールホルダカートリッジ(120;220)と、
-前記耐力構造(110、220)に実装され、各々それぞれのロール(131、132、133;231、232、233)に対して、互いから120°で配置された3つのそれぞれの径方向軸(T1、T2、T3)に沿って作用し、前記圧延軸から前記ロール(131、132、133;231、232、233)の所定の径方向距離を維持するのに適した3つのアクチュエータ(141、142、143;241、242、243)と、
-前記製品を前記圧延軸(X)に沿って強制的に前進させるのに必要な回転およびトルクを前記ロールに提供するために、単一延長部(171、172、173;271、272、273)によって前記ロールに接続された3つのギアモータ群(161、162、163;261、262、263)と
を含み、
前記第1の複数のステーション(100)の垂直軸を有する前記ロール(131)が前記圧延機(1)の第1の側(1a)に配置され、前記第2の複数のステーション(200)の垂直軸を有する前記ロール(231)が、前記圧延軸(X)に対して前記第1と反対の、前記圧延機(1)の第2の側(1b)に配置されるように、前記第2の複数のステーション(200)の前記ロール(231、232、233)の位置は、前記第1の複数のステーション(100)の前記ロールの位置に対して前記圧延軸(X)の周りで60°回転しており、
前記圧延機(1)の全ての圧延ステーション(100、200)は、前記第1の側(1a)または前記第2の側(1b)に応じて、前記圧延機(1)の同じ側からの前記それぞれのロールホルダカートリッジ(120;220)の横方向抜去を可能にするように構成されていることと、
垂直軸が前記カートリッジ抜去側(1a)に配置されたそれぞれのロール(131)を有する前記圧延ステーション(100)は、前記カートリッジのために抜去経路を解放するために前記耐力構造(100)に対して移動可能な垂直軸を有する前記ロール(131)の前記アクチュエータ(141)を有し、その一方で傾斜軸を有する前記ロール(132、133(の前記アクチュエータ(142、143)は前記耐力構造(110)に対して固定されていることと、
垂直軸が前記カートリッジ抜去側(1b)と反対側に配置されたそのそれぞれのロール(231)を有する前記圧延ステーション(200)は、前記ロール(231、232、233)の全ての前記アクチュエータ(241、242、243)が前記耐力構造(210)に対して固定されていることと
を特徴とし、
全ての圧延ステーション(100、200)の前記単一延長部(171、172、173;271、272、273)は、前記それぞれのロール(131、132、133;231、232、233)を係合解除し、場合により前記カートリッジ抜去経路を解放するために、前記耐力構造に対して移動可能である、圧延機。
【請求項2】
前記単一延長部(171、172、173;271、272、273)は、動作可能に接続されたときに、前記それぞれのロール(131、132、133;231、232、233)の前記回転軸(R1、R2、R3)と軸方向で位置合わせされる、請求項1に記載の圧延機。
【請求項3】
垂直軸を有する前記ロール(131;231)に関連付けられた前記単一延長部(171;271)は、垂直に軸方向に配置され、前記それぞれのギアモータ群(161;261)に関連付けられており、前記角度ギアボックス(161b、261b)は、その間に90°の角度を形成する入力シャフトおよび出力シャフトを有するか、または互いに平行な入力シャフトおよび出力シャフトを有する、請求項1または2に記載の圧延機。
【請求項4】
傾斜軸を有するロール(132、133;232、233)に関連付けられた前記単一延長部(172、173;272、273)は、前記それぞれのギアモータ群(162、163;262、263)に関連付けられており、前記角度ギアボックスは、互いに平行な前記入力シャフトおよび前記出力シャフトを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の圧延機。
【請求項5】
全ての圧延ステーション(100、200)の前記単一延長部(171、172、173;271、272、273)は、前記それぞれのロール(131、132、133;231、232、233)を係合解除し、抜去のために前記関連するカートリッジを解放するために、前記耐力構造に対してその軸に沿って並進可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の圧延機。
【請求項6】
前記単一延長部(171、172、173;271、272、273)は伸縮式であり、その軸に沿った前記並進運動は、前記関連する伸縮構造の摺動運動によって得ることができる、請求項5に記載の圧延機。
【請求項7】
前記単一延長部(171、172、173;271、272、273)は、前記それぞれのロールのハブから分離するために、前記それぞれのギアモータ群の前記ギアボックスシャフトに沿って摺動させられることが可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の圧延機。
【請求項8】
全ての圧延ステーション(100、200)において、前記それぞれのロール(132;232)を係合解除し、抜去のために前記それぞれのカートリッジを解放するために、前記単一延長部(172;272)のうちの少なくとも1つが回転並進を受けることが可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の圧延機。
【請求項9】
全ての圧延ステーションの前記ギアモータ群(161、162、163;261、262、263)は、それぞれのベースに固定されて実装されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の圧延機。
【請求項10】
前記アクチュエータ(141、142、143;241、242、243の各々は、
-前記それぞれのロールと直接係合するのに適した調整要素と、
-前記調整要素を作動させるのに適した制御装置と
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の圧延機。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記それぞれのロールホルダカートリッジ(120;220)の前記耐力構造(110、220)に完全に実装され、前記制御装置および前記調整要素の両方が前記耐力構造(110、220)に実装されている、請求項10に記載の圧延機。
【請求項12】
前記アクチュエータ(141、142、143;241、242、243)は油圧カプセルであり、前記それぞれの調整要素は、前記それぞれの径方向軸(T1、T2、T3)に沿って移動可能なピストン(151、152、153;251、252、253)からなる、請求項11に記載の圧延機。
【請求項13】
前記アクチュエータ(141、142、143;241、242、243)は機械式であり、好ましくは、前記それぞれの調整要素は、前記それぞれの径方向軸(T1、T2、T3)に沿って移動可能な調整ねじからなる、請求項11に記載の圧延機。
【請求項14】
前記アクチュエータは、前記それぞれのロールホルダカートリッジ(120;220)の前記耐力構造(110、220)に部分的に実装され、前記制御装置は前記耐力構造に実装され、前記調整要素は、代わりに前記それぞれのロールホルダカートリッジに実装されている、請求項10に記載の圧延機。
【請求項15】
前記アクチュエータ(141、142、143;241、242、243)は機械式であり、好ましくは、前記それぞれの調整要素は、前記それぞれの径方向軸(T1、T2、T3)に沿って移動可能な調整ねじからなる、請求項14に記載の圧延機。
【請求項16】
各圧延ステーション(100、200)は、前記抜去経路に沿って前記それぞれのカートリッジを移動させるための装置(300)を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の圧延機。
【請求項17】
前記移動装置(300)は、前記カートリッジ抜去側(1a)と反対の前記圧延機(1)の側(1b)に配置されている、請求項16に記載の圧延機。
【請求項18】
前記移動装置(300)は、少なくとも1つの油空圧シリンダからなる、請求項16または17に記載の圧延機。
【請求項19】
各圧延ステーション(100、200)は、前記それぞれのロールの径方向位置を検出するためのシステムを備え、前記システムは、前記それぞれのロールホルダカートリッジに実装され、前記それぞれのアクチュエータに動作可能に接続可能である、請求項1から18のいずれか一項に記載の圧延機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばバー、ロッド、およびワイヤロッドなどの固体長尺製品用の圧延機に関する。
【0002】
有利には、本発明による圧延機は、特に仕上げ圧延を行うことを意図している。
【背景技術】
【0003】
固体長尺製品の長手方向圧延は、数年にわたり、電動ロールを有するマルチケージ圧延機によって行われてきた。
【0004】
マルチケージ圧延機は、圧延軸に沿って直列に配置された複数の圧延ステーションを含む。各ステーションは、ロールホルダカートリッジまたはケージに挿入された複数の圧延ロールを含む。
【0005】
一般に、各ケージには3つのロールが設けられるが、2ロールまたは4ロールケージを用いる解決策が提案されている。動作上、各ケージのロールの位置は、加工される長尺製品上で得られる直径に応じて圧延作用を変化させるように圧延軸からの各ロールの径方向距離を変更することによって調整することができる。
【0006】
「仕上げ圧延」という用語は、本明細書では、たとえばバー、ロッド、またはワイヤロッドなど、鉄鋼業での長尺製品の加工におけるステップを指すために使用され、長尺の半製品は、その最終サイズまでロールによる長手方向圧延を受ける。この加工は本質的に、その公称値に到達するまで半製品のサイズの縮小をもたらす。
【0007】
周知のように、圧延ロールは、摩耗および損傷に曝され、定期的に交換しなければならない。したがって、圧延機の動作管理では、ロールの容易な交換が必須となる。
【0008】
一般に、マルチケージ圧延機では、ロールの交換は、最初に圧延機の構造からそれぞれのケージを抜去することによって実行される。
【0009】
典型的には、マルチケージ圧延機は、ケージの横方向抜去のために構成され、つまり、圧延軸に直交するケージの移動を通じて得ることができる。
【0010】
圧延機の同じ側からの全てのケージの横方向抜去を可能にするマルチケージ圧延機が知られている。これは、ケージ自体を管理する物流を簡素化するので、非常に有利である。
【0011】
同じ側からの全てのケージの抜去を伴うマルチケージ圧延機の例は、図1および図2に示されている。
【0012】
より詳細には、圧延機は一般に、圧延軸に沿って直列に配置された4つまたは5つのケージを含む。各ケージSには、圧延軸Xの周りで互いに対して120°で均等に分布した3つのロールR1、R2、およびR3が設けられている。ロールのうちの1つR1は、水平な回転軸を有する。奇数ケージは、前のケージではロールの作用によって影響を受けなかった製品の部分でそれぞれのロールの溝底を用いて材料を圧延するために、偶数ケージに対して圧延軸の周りで60°回転したロールを有する。この構成を用いると、奇数ケージは偶数ケージに対して水平軸の周りで反転させられる。各ロールには、圧延機の固定構造F上に実装された、特に油圧式の、それ自体の調整アクチュエータA1、A2、およびA3が設けられている。アクチュエータA1、A2、およびA3は、加工中の長尺製品上で得られる直径に応じて圧延作用を変化させることができるように、圧延軸からの各ロールの径方向距離を調整する目的を有する。調整アクチュエータは、それぞれのロールと径方向で位置合わせされ、したがって、圧延軸Xの周りに120°で均等に分布している。したがって、図示される構成では、3つのアクチュエータのうちの1つは、圧延軸を通る垂直方向に沿って配置されている。図1および図2は、偶数ケージでの圧延機のセクションを示す。
【0013】
圧延機の制御システムは、3出力ギア分配器群RDによってそれぞれのロールに接続された、各ケージ用の単一のモータMを含む。水平軸ロールR1は、運動学的接続延長部L1によって分配器ギア群に直接接続され、その一方で2つの傾斜ロールR2およびR3の各々は、特別角度ギアボックスG2、G3を点在させた二重延長部L2+L2’およびL3+L3’によってギア分配器群RDに接続されている。異なるケージのモータおよび分配器ギア群は、ケージの抜去のために反対側を解放しておくように、圧延機の同じ側に全て配置されている。ケージの移動のための自由経路の作成を可能にするためのケージ抜去ステップの間、ケージ抜去側に配置されたロールR2の油圧アクチュエータA2は、抜去経路から一時的に移動できるように回転可能である(図中、回転した非動作状態で示されている)。
【0014】
このような圧延機解決策は有効であるものの、依然としていくつかの制限がある。
【0015】
制御システムは複雑で高額であり、各ケージについて、3出力ギア分配器群RD、ならびに入力シャフトと出力シャフトとの間でおよそ50°~60°の角度を有する特別角度ギアボックスG2およびG3を含む。
【0016】
さらに、圧延機の下方に配置され、垂直に対して30°の延長部L2’を有するそれぞれのロールに接続された特別角度ギアボックスG2は、必然的に冷却水の排水路に当たる。ギアボックスG2に到達すると、水は潤滑システムに浸透し、こうして別のギアボックスに到達する。これは、二重延長部L2+L2’および下部角度ギアボックスG2のみならず全てのギアボックスに影響を及ぼす腐食問題を引き起こし、重大な保守費用を課す。
【0017】
同じ側にケージの横方向抜去を有する圧延機の第2の例は図3および図4に示されている。この圧延機は、図1の圧延機内に存在するものと同様のロールおよび制御システムの一般的構成を採用している。しかしながら、ロールの径方向調整システムは、各ロールホルダカートリッジに組み込まれ、ロールの径方向移動を同期的に調整するのに適した機械調整システムからなる。調整システムへの移動は、ケージの抜去側にある圧延機の固定構造に実装された外部制御装置Cによって提供される。このような外部制御装置Cは、ケージの抜去のための自由経路を作成するように、固定構造Fに対して回転可能である。
【0018】
しかしながら、この解決策においても、制御システムの複雑さおよび費用、ならびに圧延機の下に配置され、したがって冷却水の排水路に曝される特別角度ギアボックスの存在に関連する上述の制限が残る。
【0019】
上述の制限を克服するために、下記を有するマルチケージ圧延機が提案されている。
【0020】
-各ケージの各ロール用のギアモータ群、および特別角度ギアボックスなしでギアモータ群とそれぞれのロールとの間の運動学的接続延長部を含む、簡略化された制御システム、
【0021】
-ケージの外部にあり、圧延機の構造に固定的に関連付けられた(油圧式)ロール調整アクチュエータ、
【0022】
-ケージ内の3つのロールの異なる配置。
【0023】
このタイプのマルチケージ圧延機は、たとえば国際公開第2009141414A1号パンフレットおよび欧州特許第2560771B1号明細書に記載されている。
【0024】
より詳細には、各ケージには、圧延軸の周りで互いに対して120°で均等に分布した3つのロールが設けられている。3つのロールのうちの1つは、水平ではなく垂直な回転軸を有する。奇数ケージは、偶数ケージに対して圧延軸の周りで60°回転したロールを有する。各ロールには、圧延機の固定構造上に実装された、特に油圧式の、それ自体の調整アクチュエータが設けられている。調整アクチュエータは、それぞれのロールと径方向で位置合わせされ、したがって圧延軸の周りに120°で均等に分布し、したがってそのうちの1つは、圧延軸を通る水平方向に配置されている。ロールのこの配置、ならびに圧延機の下に配置された特別角度ギアボックスの不存在により、潤滑システム内への水の浸透に関する問題が回避される。
【0025】
各ケージの抜去は、傾斜ロールのうちの1つの接続延長部を移動させることによって経路を解放した後、垂直軸を有するロールが位置する側の反対側で行われる。しかしながら、この構成では、ケージの抜去は圧延機の同じ側では行われず、交互に、すなわち片側では偶数ケージ、反対側では奇数ケージが抜去される。
【0026】
したがって、プラントの大幅な簡略化にもかかわらず、国際公開第2009141414A1号パンフレットおよび欧州特許第2560771B1号明細書に記載される圧延機は、圧延機の同じ側から全てのケージを抜去することができるという事実に関する動作上の利点を有していない。
【0027】
現在まで、圧延機の同じ側からの全てのケージの抜去を可能にし、同時に特別角度ギアボックスを必要としない簡略化されたロール制御システムを有するマルチケージ圧延機は存在しない。
【0028】
固体長尺製品用の圧延機の分野では、ロール較正の差別化は、より頻繁なロール交換を必要とする。このため、この分野では、同じ側からの全てのケージの抜去の可能性を、特別角度ギアボックスを必要としない簡略化されたロール制御システムと組み合わせたマルチケージ圧延機を有する必要性がより高い。
【発明の概要】
【0029】
したがって、本発明の主な目的は、同じ側からの全てのケージの抜去の可能性を、特別角度ギアボックスを必要としない簡略化されたロール制御システムと組み合わせた固体長尺製品用の圧延機を提供することによって、上述の従来技術の欠点を解消または少なくとも軽減することである。
【0030】
本発明のさらなる目的は、構造的に製造が簡単で、全てのカートリッジを圧延機の同じ側から抜去することを可能にする従来の解決策よりも製造コストが実質的に低い、固体長尺製品用の圧延機を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
前述の目的によれば、本発明の技術的特徴は、以下の請求項の内容に明確に見ることができ、その利点は、以下の1つ以上の純粋に例示的で非限定的なその実施形態を示す添付図面を参照して行われる以下の詳細な説明において、よいに明らかとなるだろう。
【0032】
図1】圧延機の同じ側からの全てのケージの抜去を可能にするように構成された従来のタイプの固体長尺製品用の圧延機の第1の例の部分図であり、このセクションは偶数ケージでできている。
【0033】
図2図1の圧延機の拡大詳細図である。
【0034】
図3】非動作状態の径方向ロール調整システムの外部制御装置と共に示されている、圧延機の同じ側からの全てのケージの抜去を可能にするように構成された従来のタイプの固体長尺製品用の圧延機の第2の例の斜視図である。
【0035】
図4】動作状態の径方向ロール調整システムの外部制御装置と共に示されている、図3の圧延機の直交側面図である。
【0036】
図5】本発明による固体長尺製品用の圧延機における圧延軸に沿った圧延ステーションの分布の概略図である。
【0037】
図6】第1の複数の圧延ステーションに属する、本発明による圧延機の圧延ステーションにおけるロールの配置の概略図である。
【0038】
図7】第2の複数の圧延ステーションに属する、本発明による圧延機の圧延ステーションにおけるロールの配置の概略図である。
【0039】
図8】本発明による圧延機の好適な実施形態の断面図であり、前記断面は、第1の複数のステーションのステーションの入力のすぐ上流の圧延軸に直交する平面上で作成され、前記ステーションは、ロール制御システムおよびロール調整システムの作動装置に既に動作可能に接続された、動作位置にある関連するロールホルダカートリッジと共に示されている。
【0040】
図9図8に示される圧延機の一部の拡大図である。
【0041】
図10図8の圧延ステーションの同じ断面図であり、ステーションは、制御システムおよびロール調整システムの作動装置から動作可能に切り離された、抜去位置にある関連するロールホルダカートリッジと共に示されている。
【0042】
図11図10に示される圧延機の一部の拡大図である。
【0043】
図12】本発明による圧延機の好適な実施形態の断面図であり、前記断面は、第2の複数のステーションのステーションの入力のすぐ上流の圧延軸に直交する平面上で作成され、前記ステーションは、ロール制御システムおよびロール調整システムの作動装置に既に動作可能に接続された、動作位置にある関連するロールホルダカートリッジと共に示されている。
【0044】
図13図12に示される圧延機の一部の拡大図である。
【0045】
図14図12の圧延ステーションの同じ断面図であり、ステーションは、制御システムおよびロール調整システムの作動装置から動作可能に切り離された、抜去位置にある関連するロールホルダカートリッジと共に示されている。
【0046】
図15図14に示される圧延機の一部の拡大図である。
【0047】
図16】ロールの同期機械調整のためのシステムが設けられた、本発明の好適な実施形態による圧延機のロールホルダカートリッジの拡大断面図である。
【0048】
以下で説明される実施形態と共通の要素または要素の部分は、同じ参照番号で参照される。
【発明を実施するための形態】
【0049】
発明を実施するための形態
【0050】
本発明は、バー、ロッド、およびワイヤロッドなど、鉄鋼業における固体長尺製品用の圧延機に関する。
【0051】
有利には、本発明による圧延機は、特に仕上げ圧延を行うことを意図している。
【0052】
「仕上げ圧延」という用語は、本明細書では、たとえばバー、ロッド、またはワイヤロッドなど、鉄鋼業での長尺製品の加工におけるステップを指すために使用され、長尺の半製品は、その最終サイズまでロールによる長手方向圧延を受ける。この加工は本質的に、その公称値に到達するまで半製品のサイズの縮小をもたらす。
【0053】
添付の図5から図16を参照すると、参照番号1は、全体として、本発明による鉄鋼業の固体長尺製品用の圧延機を示す。
【0054】
本明細書、ならびに以下の説明および請求項において、使用状態にある圧延機1を参照する。したがって、下方位置または上方位置、もしくは水平方向または垂直方向へのいかなる言及も、そのような状態で解釈されるべきである。
【0055】
固体長尺製品用の圧延機1は、圧延軸Xを画定し、圧延すべき長尺製品は、これに沿って摺動させられる。
【0056】
本発明の一般的な実施形態によれば、圧延機1は、圧延軸Xに沿って直列に配置され、圧延機1の入力と出力との間で互いに交互になっている、第1の複数の圧延ステーション100および第2の複数の圧延ステーション200を含む。圧延機1のこの構成は、個別のステーション100および200(例として合計6つ)が長方形によって概略的に示されている、図5に概略的に表されている。
【0057】
前述の圧延ステーション100または200の各々は、以下を含む。
【0058】
-耐力構造110、210、および
【0059】
-耐力構造自体から抜去され、交換および/または保守を受けることが可能なように、耐力構造110、210に取り外し可能な方法で接続されたロールホルダカートリッジ120、220。
【0060】
好ましくは、図8から図15に示されるように、圧延ステーションの耐力構造110、210は、前述の圧延軸Xと平行に延在する共通支持ベース2に固定されている。
【0061】
有利には、各耐力構造110、210は、ロールホルダカートリッジ用の動作可能なハウジングシート4を画定する。このようなハウジングシート4は、ハウジングシート4の内側のロールホルダカートリッジ120、220用の支持ベースとして機能する水平底壁5によって底部で区切られている。
【0062】
好ましくは、各ステーションの耐力構造は、ハウジングシート4の外側の前述の水平底壁5の延長部を構成するカートリッジ用の支持構造6を含み得る。この支持構造6は、ハウジングシート4の外側のカートリッジ用の支持ベースとして機能する。
【0063】
たとえば図11および図15に示されるように、各ロールホルダカートリッジ120または220は、圧延軸を通るそれぞれの径方向軸T1、T2、T3に沿って圧延軸Xに対して径方向に移動可能となるように、カートリッジ自体に実装された3つの圧延ロール131、132、133、または231、232、233を含む。
【0064】
図6および図7に概略的に詳細に示されるように、各カートリッジ120または220の3つのロール131、132、133、または231、232、233は、互いに対して120°に設定された3つのそれぞれの回転軸R1、R2、R3の周りで回転可能である。前記ロール131、231のうちの1つは垂直に配置されたそれ自体の回転軸R1を有し、他の2つのロール132、133または232、233は、垂直に対して傾斜したそれぞれの回転軸R2、R3を有する。傾斜した回転軸R2、R3は、各々、垂直方向に対して60°の角度を形成する。
【0065】
前述の圧延ステーション100または200の各々は、耐力構造110、220に実装され、互いから120°で配置された3つのそれぞれの径方向軸T1、T2、T3に沿って、各々がそれぞれのロール131、132、133、または231、232、233に対して、動作するのに適した3つのアクチュエータ141、142、143または241、242、243を含む。
【0066】
ロールの「径方向軸」T1、T2、T3とは、ロールの回転軸R1、R2、R3および圧延軸Xに直交する軸を意味する。
【0067】
動作上、アクチュエータの各々は、圧延軸Xから同じロール131、132、133、または231、232、233の所定の径方向距離を維持するために、それぞれのロールに対して作用するのに適している。所定の径方向距離は、圧延される長尺製品の公称寸法にしたがって、圧延機の下流に位置する特別な測定システムによって測定される値を受信することによってその公差を最適化するために、調整可能である。
【0068】
圧延ステーションの3つのアクチュエータのセットは、ステーション自体のロールの径方向調整システムを画定する。
【0069】
前述の圧延ステーション100または200の各々はまた、製品を圧延軸Xに沿って強制的に前進させるのに必要な回転およびトルクをロール自体に提供するように、単一延長部171、172、173、または271、272、273によってロールに接続された3つのギアモータ群161、162、163、または261、262、263も含む。言い換えると、添付図面に示されるように、各個別の圧延ステーション100または200には各ギアモータ群および関連するロールに1つずつ、3つの単一延長部が設けられている。
【0070】
各圧延ステーションにおいて、3つのギアモータ群および関連する単一延長部のセットは、単一の制御装置を有するロールの制御システムを構成する。
【0071】
たとえば図9および図13の比較によってわかるように、前記第2の複数のステーション200のロール231、232、233の位置は、前記第1の複数のステーション100の位置に対して圧延軸Xの周りで60°回転させられる。
【0072】
第1の複数のステーション100と第2の複数のステーション200との間で回転したロールのこのような角度配置により、均一に、圧延軸に沿って摺動する製品を圧延することが可能である。所与のステーションにおいて、それぞれのロールの溝底は、実際に、前のステーションではロールの作用による影響を受けなかった製品の部分で作用する。
【0073】
さらに、2つの連続するステーション間で回転したロールの前述の角度配置により、第1の複数のステーション100の垂直軸を有するロール131は、圧延機1の第1の側1aに配置され、第2の複数のステーション200の垂直軸を有するロール231は、圧延軸Xに対して第1と反対の、圧延機1の第2の側1bに配置されている。
【0074】
第1の複数のステーション100および第2の複数のステーション200におけるロールの配置は、図6および図7にそれぞれ簡略化して表されている。垂直軸を有するロール131、231は、水平の関連する径方向軸T1を有し、傾斜ロール132、133および232、233は、垂直方向に対して30°傾斜したそれぞれの径方向軸T2およびT3を有することが観察され得る。圧延軸Xを通る水平面に対して、上部傾斜ロール132、232および下部傾斜ロール133、233を識別することも可能である。
【0075】
「圧延機の片側に設けられたロール」という表現は、前記ロールが圧延軸から圧延軸の外側に向かって径方向に、その側で水平方向に延在することを意味する。
【0076】
本発明によれば、圧延機1の全ての圧延ステーション100、200は、以下において「カートリッジ抜去側」として識別される、圧延機1の同じ側からのそれぞれのロールホルダカートリッジ120および220の横方向抜去を可能にするように構成されている。
【0077】
このようなカートリッジ抜去側(全ての圧延ステーション100および200にとって同じである)は、以下に対応し得る。
【0078】
-前述の前記第1の側1a、すなわち第1の複数のステーション100の垂直軸を有するロール131が配置されている圧延機1の側、または
【0079】
-前述の第2の側1b、すなわち第2の複数のステーション200の垂直軸を有するロール231が配置されている、第1とは反対の圧延機1の側。
【0080】
好ましくは、添付図面に示されるように、カートリッジ120、220は、前述の水平底壁5およびハウジングシート4の外側の支持構造6によって画定された水平面上にある抜去経路をたどって関連するステーション100、200から抜去される。
【0081】
やはり本発明によれば、そのそれぞれのロールの垂直軸がカートリッジ抜去側に配置された圧延ステーションは、耐力構造に対して移動可能な垂直軸を有するロールのアクチュエータを有する。
【0082】
動作上、これらのアクチュエータを動かす可能性は、それぞれのカートリッジのために抜去経路を解放することを目的としている。これらのステーションでは、傾斜軸を有するロールのアクチュエータは、代わりに、関連する耐力構造に対して固定される。
【0083】
そのそれぞれのロールの垂直軸がカートリッジ抜去側とは反対側に配置された圧延ステーションは、代わりに、ロールの全てのアクチュエータが耐力構造に対して固定されている。これらのステーションでは、実際、いずれのアクチュエータもカートリッジ抜去経路に沿って配置されていない。
【0084】
添付の図8から図15は、カートリッジ抜去側が第1の側1aであり、したがって、可動アクチュエータを有する圧延ステーションが第1の複数のステーションのステーション100であり、その一方で全てのアクチュエータが固定されたステーションが第2の複数のステーションのステーション200である、圧延機1の実施形態を示す。
【0085】
明らかに、抜去側が第2の側1bであり、したがって、可動アクチュエータを有する圧延ステーションが第2の複数のステーションのステーション200であり、その一方で全てのアクチュエータが固定されたステーションが第1の複数のステーションのステーション100である、圧延機1の実施形態を提供することも可能である。
【0086】
好ましくは、可動アクチュエータを有する各圧延ステーション100には、動作位置と非道載置との間で、垂直軸を有するロールに動作可能に関連付けられたアクチュエータ141を移動させるための手段144が設けられている。このような移動手段144は、目的に適していれば何であってもよい。図8から図11に示される実施形態では、これらの移動手段144は、足場164によってそれぞれの圧延ステーション100、200の上に配置された油空圧シリンダからなる。
【0087】
さらに、全ての圧延ステーション100、200の単一延長部171、172、173および271、272、273は、それぞれのロール131、132、133および231、232、233を係合解除し、場合によりカートリッジのために抜去経路を解放することができるように、それぞれのステーションの耐力構造110、210に対して移動することができる。
【0088】
上述の特徴を有する固体長尺製品用の圧延機1は、同じ側から全てのカートリッジを抜去する可能性を、特別角度ギアボックスを必要としない簡略化されたロール制御システムと組み合わせる。
【0089】
既に強調したように、各単一のステーションのロールの制御システムは、単一延長部171、172、173、または271、272、273によってロールに接続された3つのギアモータ群161、162、163、または261、262、263からなる。したがって、制御システムは、各ロールに専用のギアモータ群を提供する。これにより、群と単一延長部によって画定されたロールとの間に運動学的接続を有して、それぞれのロールの位置に応じて各ギアモータ群を空間的に配置することが可能である。これにより、カートリッジの全てのロール用の単一モータ制御システムを有する圧延機の場合には避けられない解決策である、特別角度ギアボックスによって互いに接続された二重延長部によって運動学的接続の解決策の必要性を回避する。
【0090】
制御システムのこの構成、および各ステーションにおいて垂直な回転軸を有するロールを提供するロールの空間分布により、各ステーションにおいて、3つの延長部のうちの1つを垂直に配置し、残りの2つの延長部(2つの傾斜ロール専用)を垂直に対して実質的に60°の2つの軸上に配置することも可能である。言い換えると、全ての圧延ステーションにおいて、圧延ステーションの真下に(関連するギアモータ群を有する)延長部を有することを簡単な方法で回避することが可能であり、保守作業のためにより容易にアクセスできるようにする。
【0091】
本発明により、圧延機の同じ側のこの自由経路の準備は、延長部の移動に加えて、垂直軸を有するロール専用のアクチュエータの移動のみを必要とする。既に指摘されたように、これらのアクチュエータの移動は、全てのステーションでは必要ではなく、カートリッジ抜去側に配置された垂直軸ロールを有するステーションでのみ必要であることに留意すべきである。
【0092】
制御システムの構成はまた、圧延ステーションの真下にギアボックスを配置することも回避する。これにより、ギアボックスを通じて潤滑システムへの水の浸透に関する問題を根本的に回避する。
【0093】
好ましくは、添付図面に示されるように、単一延長部171、172、173および271、272、273は、動作可能に接続されたときに、それぞれのロール131、132、133および231、232、233の回転軸R1、R2、R3と軸方向で実質的に位置合わせされるように配置される。
【0094】
「それぞれのロールの回転軸と位置合わせされた軸を有する延長部」という表現は、製品の公称寸法に応じたロールの正味の径方向調整および公差最適化を除いた、ロールへの動きの伝達中に生じる平均アライメント位置を意味する。
【0095】
このようにして、好ましくは、各圧延ステーションにおいて、垂直軸を有するロール専用の延長部171、271は垂直に配置され、残りの2つの延長部172、173および272、273(2つの傾斜ロール専用)は、垂直に対して実質的に60°の2つの軸上に配置される。
【0096】
添付図面に示される実施形態によれば、垂直軸を有するロール131、231に関連付けられた延長部171、271は、垂直に軸方向に配置され、それぞれのギアモータ群161、261に関連付けられており、その各々は、水平に配置されたモータ161a、261aと、入力シャフトおよび出力シャフトが90°の角度を形成する角度ギアボックス161b、261bとを含む。特に、このようなギアモータ群161、261の各々は、足場164、264によってそれぞれの圧延ステーション100、200の上に支持される。
【0097】
添付図面に示されない代替実施形態によれば、垂直軸を有するロール131、231に関連付けられた延長部171、271は、垂直に軸方向に配置されており、それぞれのギアモータ群161、261に関連付けられてもよく、その各々は、垂直に配置されたモータと、入力シャフトおよび出力シャフトの平行な軸を有するギアボックスとを含む。特に、このようなギアモータ群161、261の各々は、足場164、264によってそれぞれの圧延ステーション100、200の上に支持される。
【0098】
好ましくは、傾斜軸を有するロール132、133および232、233に関連付けられた延長部172、173および272、273は、その各々がモータと入力シャフトおよび出力シャフトの平行な軸を有するギアボックスとを含むそれぞれのギアモータ群162、163および262、263に関連付けられている。特に、添付図面に示されるように、このようなギアモータ群162、163および262、263の各々は、圧延軸Xと平行な圧延機の2つの側1aまたは1bのうちの1つで、共通支持ベース2と並んで展開する傾斜面(好ましくは垂直に対して60°)によって画定されるベース3aまたは3b(基礎)上に配置されている。あるいは、ベース3aまたは3b(基礎)は水平面を画定し、ギアモータ群は必要な傾斜を伴ってベース上に取り付けられてもよい。
【0099】
好ましくは、全ての圧延ステーションのギアモータ群161、162、163および261、262、263は、それぞれの支持ベース上に固定的に実装されている。この場合(完全に好ましい)、説明において後に明らかとなるように、延長部をロールから係合解除するための(および場合によりカートリッジの抜去経路を解放するための)移動は、延長部のみを動かすことによって、したがってギアモータ群に影響を及ぼすことなく、得られる。これにより、システムを大幅に簡略化する。
【0100】
既に上記で強調したように、全ての圧延ステーション100、200の単一延長部は、それぞれのロール131、132、133および231、232、233を係合解除し、場合によりカートリッジのために抜去経路を解放するために、耐力構造110、210に対して移動することができる。
【0101】
好ましくは、全ての圧延ステーション100、200の延長部171、172、173および271、272、273は、その軸に沿った少なくとも1つの並進運動によって、それぞれの圧延ステーションの耐力構造に対して移動することができる。
【0102】
添付図面に示される好適な実施形態によれば、単一延長部171、172、173および271、272、273は、伸縮構造を有する。この場合、その軸に沿った延長部の前述の並進運動(それぞれのロールを係合解除し、場合によりカートリッジの抜去経路を解放するように機能する)は、単一延長部の伸縮構造の2つ以上の異なる部分の間の軸方向摺動運動によって得ることができる。
【0103】
添付図面に示されない実施形態によれば、単一延長部171、172、173および271、272、273は、それぞれのギアモータ群のギアボックスシャフトに沿って摺動することができるように構成され得る。この摺動運動は、それ自体の軸に沿った延長部の並進を引き起こす。このような軸方向摺動は、それぞれのロールのハブから延長部を分離し、必要に応じて、関連するカートリッジのために抜去経路を解放することを可能にする。
【0104】
伸縮式延長部の採用は、それぞれのギアモータ群のシャフトに沿って摺動する延長部の採用の代わりとして、またはこれと組み合わせて提供され得る。
【0105】
添付図面に示される好適な実施形態によれば、全ての圧延ステーション100、200において、単一延長部172、272のうちの少なくとも1つは、抜去のために関連するカートリッジを解放し、場合により、カートリッジ自体の抜去経路を解放するように、それぞれのロール132、232を係合解除するために回転並進を受けることができる。
【0106】
単純な並進と比較して、並進運動の同じ幅を有する動作上の観点から、回転並進は、延長部が関連するカートリッジからより顕著に取り外されることを可能にし、したがって、過剰な並進ストロークなしに、圧延機からのカートリッジの抜去経路が解放されることを可能にする。
【0107】
この解決策は、圧延ステーションの全ての延長部に採用され得る。しかしながら、この解決策は、好ましくは、上部傾斜ロール132、232に動作可能に関連付けられた延長部172、272にのみ採用される。実際、特に図9および図13で観察され得るように、動作可能なハウジングシート4に最も進入する延長部は、上部傾斜ロール132、232に関連付けられた延長部172、272である。
【0108】
回転並進運動を用いる解決策は、好ましくは、カートリッジ抜去側とは反対側に配置された垂直ロールを有する圧延ステーションにおいて上部傾斜ロールに関連付けられた延長部272に採用されることに留意すべきである。実際、これらのステーションでは、上部傾斜ロールの延長部はカートリッジ抜去経路に沿って配置されており、このため、これらの完全な移動が重要である。
【0109】
これとは異なり、下部傾斜ロール133、233に関連付けられた延長部173、273および垂直ロール131、231に関連付けられた延長部171、271は、はるかに少ない程度でそれぞれの動作可能なハウジングシート4に進入し、したがって、より限られた幅の移動を必要とし、これは単純な軸方向並進で実行され得る。
【0110】
好ましくは、可動アクチュエータを有する各圧延ステーション100、200には、それぞれの延長部を移動させるための手段174、175が設けられている。このような移動手段174、175は、目的に適していれば何であってもよい。
【0111】
添付の図8から図15に示される実施形態では、これらの移動手段は、単純な並進運動(特に延長部171、173、271、273について)を生じるために油空圧シリンダピストンによって作動される単純なレバー機構174からなってもよい。これらの移動手段は、代わりに、回転並進(延長部172、272について)を生じるために、回転可能なベースに実装された、延長部の軸方向並進のための装置175からなってもよい。
【0112】
有利には、アクチュエータ141、142、143および241、242、243は、以下を含む。
【0113】
-それぞれのロールを直接係合するのに適した調整要素、および
【0114】
-前記調整要素を作動させるのに適した制御装置。
【0115】
添付図面に示される実施形態によれば、アクチュエータは、それぞれのステーションの耐力構造110、220に完全に実装されてもよい。この場合、制御装置および調整要素の両方が耐力構造110、220に実装される。
【0116】
特に、添付図面に示されるように、アクチュエータ141、142、143および241、242、243は、それぞれの調整要素がそれぞれのロールの径方向軸T1、T2、T3に沿って移動可能なピストン151、152、153および251、252、253からなる、油圧カプセルからなってもよい。油圧カプセルの代替として、アクチュエータは機械式であってもよい。この場合、好ましくは、それぞれの調整要素は、それぞれのロールの径方向軸T1、T2、T3に沿って移動可能な調整ねじからなる。
【0117】
添付図面に示されない実施形態によれば、アクチュエータは、それぞれのステーションの耐力構造110、220に部分的に実装されてもよい。この場合、制御装置は耐力構造に実装され、調整要素はそれぞれのロールホルダカートリッジに実装される。好ましくは、この場合、アクチュエータは機械式であり、特に、それぞれの調整要素は、それぞれのロールの径方向軸T1、T2、T3に沿って移動可能な調整ねじからなる。
【0118】
それぞれのステーション(油圧カプセルまたは機械式アクチュエータのどちらであるかにかかわらず)の耐力構造に完全に実装されたアクチュエータの場合、傾斜軸を有するロールに関連付けられた各ステーションのアクチュエータ142、143および242、243は、好ましくは、関連する調整要素152、153および252、253が完全に後退したときに、垂直軸ロールに関連付けられたアクチュエータ141、241の径方向軸と平行な、障害物のない抜去経路が、それぞれのカートリッジのために生成されるように配置される。
【0119】
好ましくは、アクチュエータのこの構成は、垂直軸が抜去側とは反対側に配置されたロールを有する圧延ステーション200に採用される。この場合、実際には、傾斜ロールに関連付けられたアクチュエータの調整要素は、完全に後退していない場合、カートリッジの抜去経路に沿って配置されることになり、したがってカートリッジ自体のアンダーカットを作成する。一方、抜去経路に沿っていない、垂直軸を有するロールに関連付けられたアクチュエータは常に、関連する調整要素を前進位置に維持することができる。
【0120】
より詳細には、抜去側とは反対側に配置された垂直軸ロールを有する圧延ステーション200は、2つの傾斜ロールに関連付けられたアクチュエータ142、143、242、243の調整要素152、153、252、253が完全に後退するように構成され、2つのアクチュエータの調整要素間の最小距離は、同じ方向で測定されたカートリッジの最大全体寸法よりも大きい。
【0121】
アクチュエータの前述の構成は、垂直軸が抜去側に配置されたロールを有する圧延ステーション100では採用されなくてもよい。この場合、実際には、傾斜ロールに関連付けられたアクチュエータは、カートリッジ抜去経路上に位置していない。したがって、それぞれの調整要素が完全に後退していない場合でも、これらはいずれにせよカートリッジの抜去経路に沿っておらず、カートリッジ自体のアンダーカットを作成しない。調整要素の完全または部分的な後退の問題は、垂直ロールのアクチュエータには発生しない。実際、このアクチュエータは、いずれにせよ、抜去経路を解放するためのブロックとして移動しなければならない。
【0122】
有利には、各圧延ステーション100、200は、カートリッジ抜去経路に沿ってそれぞれのカートリッジを移動させるための装置300を含み得る。
【0123】
特に、この装置300は、動作可能なハウジングシート4からカートリッジを移動させること、およびこれを前記ハウジングシート内にもたらすことの両方に適しているだろう。
【0124】
好ましくは、前記移動装置300は、カートリッジ抜去側1aと反対の圧延機1の側1bに配置される。
【0125】
より詳細には、カートリッジ抜去ステップの間、装置300は、カートリッジに対して押し込み作用を及ぼし、ハウジングシート4内のカートリッジの位置決めの間、装置300はカートリッジに対して引っ張り作用を及ぼす。
【0126】
この構成により、移動装置300は、カートリッジを操作および交換するための空間内には決して配置されない。これにより、カートリッジの操作および交換のための空き空間を常に有することができ、圧延機からカートリッジ保守作業場への直接接続が可能になる。このような構成はまた、移動装置の構造も簡略化する。特に、移動装置がカートリッジの移動を妨害するのを防ぐために、特別な構造的手段は必要とされない。
【0127】
添付図面に示される好適な実施形態によれば、前述の移動装置300は、少なくとも1つの油空圧シリンダからなる。
【0128】
より詳細には、油空圧シリンダ300は、ハウジングシート4の内側のロールホルダカートリッジ120、220の支持ベースとして機能する前述の水平底壁5、およびハウジングシート4の外側の底部水平壁5の延長部を構成するカートリッジのための前述の支持構造6と平行な軸方向に作用するように配置される。好ましくは、油空圧シリンダは、カートリッジ自体のベース部分にその作用を及ぼすように、カートリッジの摺動面の近傍に配置される。
【0129】
動作上、圧延ステーションの3つの延長部および3つのアクチュエータがそれぞれのカートリッジのロールから係合解除され、自由経路がハウジングシートからカートリッジ抜去側1aの外側に向けて準備されてしまうと、移動装置が動作する。次いで、カートリッジは、装置300によって、ハウジングシート4から支持構造6を通って二重位置変更キャリッジ310まで押し込まれ、キャリッジは、圧延機から抜去された使用済みカートリッジを受け取り、圧延軸Xと平行な軸に沿った並進の後に、構造6を通じてこれらを引っ張ることによって、装置300を介してハウジング4に挿入されるための位置に新しいカートリッジをもたらす。
【0130】
好ましくは、たとえば図10に示されるように、同じキャリッジ310が、レール搬送システムによって保守作業場に直接接続されてもよい。
【0131】
有利には、各圧延ステーション100、200には、ロール自体のアクチュエータの動作を調整することが可能なように、それぞれのロールの各々の径方向位置を検出するためのシステムが設けられる。
【0132】
好ましくは、少なくとも耐力構造に対して移動し得るアクチュエータ141、241が設けられた圧延ステーション100では、ロールの径方向位置を検出するためのこのシステムは、それぞれのロールホルダカートリッジに実装され、それぞれのアクチュエータに動作可能に接続され得る。
【0133】
より詳細には、たとえば図16に示されるように、このようなカートリッジ搭載型検出システムは、各ロール131、132、133用のトランスデューサ331、332、333を含む。各トランスデューサは、それぞれのアクチュエータが相応に調整され得るように、それぞれのロールの径方向位置を検出し、それぞれのアクチュエータにこれを送信するのに適している。
【0134】
カートリッジ上のこのような検出システムにより、第1の複数のステーションのステーション100では、アクチュエータ141は耐力構造に対して移動可能であるが、他の2つのアクチュエータ142、143は固定されているという事実のため、アクチュエータ自体の負荷の下での非対称な移動の影響を受けることなく、ロールの径方向位置に関する正確な情報をアクチュエータに提供することが可能である。
【0135】
動作上、可動アクチュエータ141を有するという事実は、動きの遊びおよび摩耗に起因するそれぞれのロールの径方向位置の測定の再現性の低下、ならびに固定アクチュエータに対する負荷の下での緩みの増加という欠点を伴う。搭載型検出システムを採用することにより、この欠点が解消される。
【0136】
既に述べられたように、カートリッジ上のロールの径方向位置を検出するためのシステムは、ステーションの耐力構造に対して移動可能なアクチュエータを有するステーション100でのみ採用され得る。しかしながら、このようなカートリッジ搭載型検出システムはまた、圧延機1の構成要素、保守、および物流管理を簡略化するように、全ての固定アクチュエータを有するステーションでも採用され得る。
【0137】
本発明は、記載の仮定で説明されてきた、多くの利点を得ることを可能にする。
【0138】
本発明による固体長尺製品用の圧延機1は、同じ側からの全てのケージの抜去の可能性を、特別角度ギアボックスを必要としない簡略化されたロール制御システムと組み合わせる。
【0139】
本発明による固体長尺製品用の圧延機1はまた、本発明による圧延機のギアボックスが標準的であり、したがって明らかに低いコストで市場で容易に入手可能であるという事実を特に考慮して、構造的に製造が簡単であり、全てのカートリッジを圧延機の同じ側から抜去することを可能にする従来の解決策よりも製造コストが実質的に低い。より低いギアボックスの位置に関する追加の利点もある。圧延軸から遠く、したがって圧延機の熱、水、およびフレークの発生源から遠い後者は、より信頼性が高く、さらに保守の場合には、より容易にアクセス可能である。
【0140】
したがって、このように考えられた本発明は、その意図される目的を達成する。
【0141】
明らかに、その実際の実施形態では、本発明の保護範囲から逸脱することなく、上記のものとは異なる形態および構成も想定され得る。
【0142】
また、全ての詳細は、技術的に同等な要素および寸法に置き換えられてもよく、採用される形状および材料は、必要に応じて何であってもよい。
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【外国語明細書】