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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062698
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】こぼれ制御を備えた実験室振盪器
(51)【国際特許分類】
   B01F 31/00 20220101AFI20220413BHJP
   B01L 99/00 20100101ALI20220413BHJP
【FI】
B01F11/00 D
B01L99/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021165289
(22)【出願日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/089,170
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511080236
【氏名又は名称】サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック・(アシュヴィル)・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】508248818
【氏名又は名称】サーモ エレクトロン エルエーデー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター シャピロ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン シュワゲール
【テーマコード(参考)】
4G036
4G057
【Fターム(参考)】
4G036AB13
4G057AF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】振盪器内のこぼれた液体の効率的な封じ込めおよび除去を可能にする実験室振盪器を提供する。
【解決手段】振盪器プラットフォームおよび振盪器プラットフォームに動作可能に接続された振盪器機構を有する実験室振盪器が提供される。振盪器機構は、振盪器プラットフォーム20およびプラットフォーム上に支持された少なくとも1つの液体含有容器26を振動させるように構成され、こぼれトレイが、振盪器プラットフォーム20の下に配置され、こぼれトレイは、こぼれトレイを貫通する少なくとも1つの開口部22を有し、少なくとも1つの開口部は、開口部を介した振盪器機構の振盪器プラットフォーム20への動作可能な接続を可能にするように構成され、こぼれトレイは、少なくとも1つの液体含有容器からこぼれた液体を収容するように構成される振盪器機構を有する実験室振盪器。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振盪器プラットフォームと、
振盪器機構であって、前記振盪器プラットフォームに動作可能に接続され、前記振盪器プラットフォームと、前記プラットフォーム上に支持された少なくとも1つの液体含有容器とを振動させるように構成された、振盪器機構と、
こぼれトレイであって、前記振盪器プラットフォームの下に配置され、前記こぼれトレイを貫通する少なくとも1つの開口部を有し、前記開口部を介した前記振盪器機構の前記振盪器プラットフォームへの前記動作可能な接続を可能にするように構成されたこぼれトレイと、を備え、
前記こぼれトレイは、前記少なくとも1つの液体含有容器からこぼれた液体を収容するように構成される、実験室振盪器。
【請求項2】
前記振盪器機構は、円形振盪器運動で振動するように構成される、請求項1に記載の実験室振盪器。
【請求項3】
断熱振盪器チャンバをさらに備え、
前記振盪器プラットフォームおよび前記こぼれトレイはそれぞれ、前記断熱振盪器チャンバ内に配置されている、請求項1に記載の実験室振盪器。
【請求項4】
前記振盪器機構に動作可能に接続されたプラットフォーム支持体をさらに備え、
前記プラットフォーム支持体は、前記振盪器プラットフォームの下に配置され、それに動作可能に接続されている、請求項1に記載の実験室振盪器。
【請求項5】
前記プラットフォーム支持体は、前記振盪器プラットフォームの振動運動中に前記こぼれトレイを貫通する前記少なくとも1つの開口部を少なくとも部分的に覆っている、請求項4に記載の実験室振盪器。
【請求項6】
前記プラットフォーム支持体は、前記振盪器プラットフォームの振動運動中に前記こぼれトレイを貫通する前記少なくとも1つの開口部を完全に覆っている、請求項5に記載の実験室振盪器。
【請求項7】
前記こぼれトレイは前記実験室振盪器から取り外し可能である、請求項1に記載の実験室振盪器。
【請求項8】
前記こぼれトレイは、前記少なくとも1つの液体含有容器からこぼれた液体を収容するように構成されたベース収集領域を備える、請求項1に記載の実験室振盪器。
【請求項9】
前記こぼれトレイは、
前記ベース収集領域を画定する底壁と、
前記こぼれトレイの前記底壁に形成され、上壁を有する直立ボスと、を備え、
前記直立ボスは、前記ベース収集領域によって少なくとも部分的に囲まれており、
さらに、前記少なくとも1つの開口部は、前記直立ボスの前記上壁を貫通する、請求項8に記載の実験室振盪器。
【請求項10】
前記直立ボスは、前記直立ボスの前記上壁を貫通する前記少なくとも1つの開口部を画定する隆起したリップ部分を含む、請求項9に記載の実験室振盪器。
【請求項11】
実験室振盪器であって、
断熱振盪器チャンバと、
前記断熱振盪器チャンバ内に配置された振盪器プラットフォームと、
振盪器機構であって、前記振盪器プラットフォームに動作可能に接続され、前記振盪器プラットフォームと、前記プラットフォーム上に支持された少なくとも1つの液体含有容器とを振動させるように構成された、振盪器機構と、
インキュベートされた前記振盪器チャンバ内に配置され、前記振盪器プラットフォームの下に配置されたこぼれトレイであって、前記こぼれトレイは、前記こぼれトレイを貫通する少なくとも1つの開口部を有し、前記開口部を介した前記振盪器機構の前記振盪器プラットフォームへの前記動作可能な接続を可能にするように構成された、こぼれトレイと、
前記振盪器機構に動作可能に接続され、前記振盪器プラットフォームの下に配置され、それに動作可能に接続されたプラットフォーム支持体と、を備え、
前記こぼれトレイは、前記少なくとも1つの液体含有容器からこぼれた液体を収容するように構成される、実験室振盪器。
【請求項12】
前記プラットフォーム支持体は、前記振盪器プラットフォームの振動運動中に前記こぼれトレイを貫通する前記少なくとも1つの開口部を少なくとも部分的に覆っている、請求項11に記載の実験室振盪器。
【請求項13】
前記プラットフォーム支持体は、前記振盪器プラットフォームの振動運動中に前記こぼれトレイを貫通する前記少なくとも1つの開口部を完全に覆っている、請求項11に記載の実験室振盪器。
【請求項14】
前記こぼれトレイは前記実験室振盪器から取り外し可能である、請求項11に記載の実験室振盪器。
【請求項15】
前記こぼれトレイは、前記少なくとも1つの液体含有容器からこぼれた液体を収容するように構成されたベース収集領域を備える、請求項1に記載の実験室振盪器。
【請求項16】
振盪器プラットフォームと、前記振盪器プラットフォームに動作可能に接続され、前記振盪器プラットフォームと、前記プラットフォーム上に支持された少なくとも1つの液体含有容器とを振動させるように構成された振盪器機構とを有する実験室振盪器において使用されるこぼれトレイであって、前記こぼれトレイは、
ベース収集領域を画定する底壁と、
前記こぼれトレイの前記底壁に形成され、上壁を有する直立ボスと、
少なくとも1つの開口部であって、前記直立ボスの前記上壁を通って延在し、前記開口部を介した前記振盪器機構の前記振盪器プラットフォームへの動作可能な接続を可能にするように構成された少なくとも1つの開口部と、を備え、
前記こぼれトレイは、前記少なくとも1つの液体含有容器からこぼれた液体を収容するように構成される、こぼれトレイ。
【請求項17】
前記直立ボスは、前記直立ボスの前記上壁を貫通する前記少なくとも1つの開口部を画定する隆起したリップ部分を含む、請求項16に記載のこぼれトレイ。
【請求項18】
前記直立ボスは、前記ベース収集領域によって少なくとも部分的に囲まれている、請求項16に記載のこぼれトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、実験室振盪器、特に、プラットフォーム振盪器および軌道振盪器を含むインキュベートされた振盪器に関する。
【背景技術】
【0002】
サーマル振盪器とも呼ばれるインキュベートされた振盪器は、インキュベートされた振盪チャンバ内で所定の加熱または冷蔵条件下で1つまたは複数の容器内の液体を混合または攪拌する自動機構を提供することが当技術分野でよく知られている。これらの液体は、一般にプラットフォーム振盪器と呼ばれるビーカ、フラスコ、ならびに水平方向に振動する振盪器プラットフォーム上に配置されるか、または、一般に軌道振盪器と呼ばれる円形振盪器運動で移動する他の容器に収容されることがよくある。軌道振盪器でのプラットフォームのこの回転により、プラットフォーム上の任意の点が共通の回転半径を共有するように、プラットフォームが円形運動で移動するのを可能にする。この回転により、インキュベートされた軌道振盪器は、プラットフォーム上の位置に関係なく、複数の容器内で液体を均一に攪拌または混合することができる。
【0003】
振盪器内のプラットフォームの動きは、プラットフォームを所望の動きおよび所望の速度で動かすように設計された振盪器機構によって提供される。振盪器機構は、通常、振盪器ハウジングの下部で支持され、振盪器プラットフォームに動作可能に接続されている。
【0004】
振盪器機構は、通常、ユーザインタフェースを介してユーザから振盪プロセスの様々な設定パラメータを受け取るコントローラによって制御される。これらの設定パラメータは、例えば、振盪速度(RPM)、インキュベートされた振盪チャンバ温度、および振盪持続時間を含み得る。
【0005】
特定の状況下では、攪拌または混合された液体は、振盪器内の振動または軌道運動中に1つまたは複数の容器から逃げ、振盪器の内部の一部に着地することがある。これは、振盪器プラットフォーム上で振動または回転しているときに容器から、壊れたりクランプから誤って解放された容器から、または振盪器プラットフォームが静止しているときに誤って扱われた容器から、液体が溢れ出たす状況を含むことがある。
【0006】
取り扱う液体の性質上、振盪器の将来の使用中に潜在的な汚染を回避するために、全てのこぼれたものをタイムリーかつ徹底的に洗浄することが重要である。例えば、一部の振盪器では、こぼれた液体が、隙間を含む振盪器ハウジング内の表面に流れ込み、漏れを完全に洗浄することを困難にし得る。こぼれた液体が振盪器の取り外し不可能な部分を汚染し、部品を完全に拭き取って洗浄することが困難になると、この問題はさらに悪化する可能性がある。
【0007】
さらに、振盪器内の環境への液体の放出は、振盪器の機械的および電気的側面への潜在的な漏れを可能にし、それによって潜在的な腐食をもたらし、その後、有用な振盪器の寿命を短くする可能性がある。
【0008】
したがって、前述の問題に照らして、振盪器内のこぼれた液体の効率的な封じ込めおよび除去を可能にする実験室振盪器の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これまでに知られている実験室振盪器の前述および他の欠陥および欠点を克服する。本発明は、特定の実施形態に関連付けて論じられるが、本発明は、これらの実施形態に限定されないことを理解されたい。対照的に、この発明は、本発明の精神および範囲内に含まれ得るような全ての代替物、改変物、および均等物を含む。
【0010】
一実施形態によれば、振盪器プラットフォームと、振盪器プラットフォームに動作可能に接続された振盪器機構とを有する実験室振盪器が提供される。振盪器機構は、振盪器プラットフォームおよびプラットフォーム上に支持された少なくとも1つの液体含有容器を振動させるように構成される。
【0011】
本発明の主な態様は、振盪器プラットフォームの下に配置され、こぼれトレイを貫通する少なくとも1つの開口部を有するこぼれトレイを提供することである。少なくとも1つの開口部は、開口部を介した振盪器機構の振盪器プラットフォームへの動作可能な接続を可能にするように構成され、こぼれトレイは、少なくとも1つの液体含有容器からこぼれた液体を収容するように構成される。
【0012】
一実施形態では、実験室振盪器は、円形振盪器運動で振動するように構成されるが、振盪器プラットフォームの他の振盪運動も同様に企図される。
【0013】
実験室振盪器は、断熱振盪器チャンバを含み得、振盪器プラットフォームおよびこぼれトレイはそれぞれ、断熱振盪器チャンバ内に配置される。
【0014】
一実施形態では、プラットフォーム支持体は、振盪器機構に動作可能に接続され、プラットフォーム支持体は、振盪器プラットフォームの下に配置され、それに動作可能に接続される。
【0015】
一実施形態では、プラットフォーム支持体は、振盪器プラットフォームの振動運動中にこぼれトレイを貫通する少なくとも1つの開口部を完全に覆っている。あるいは、プラットフォーム支持体は、振盪器プラットフォームの振動運動中に、こぼれトレイを貫通する少なくとも1つの開口部を少なくとも部分的に覆い得る。
【0016】
こぼれトレイは実験室振盪器から取り外し可能であってもよく、こぼれトレイを個別に消毒し得る。
【0017】
一実施形態によれば、こぼれトレイは、少なくとも1つの液体含有容器からこぼれた液体を収容するように構成されたベース収集領域を含む。一実施形態では、こぼれトレイは、ベース収集領域を画定する底壁と、上壁を有するこぼれトレイの底壁に形成された直立ボスとを含み得る。少なくとも1つの開口部は、直立ボスの上壁を貫通し、直立ボスは、少なくとも部分的に、ベース収集領域によって囲まれていてもよい。
【0018】
一実施形態では、直立ボスは、直立ボスの上壁を貫通する少なくとも1つの開口部を画定する隆起したリップ部分を含む。
【0019】
本発明の他の目的、特徴および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を読んだ後に容易に理解されるであろう。
【0020】
この明細書に組み込まれ、かつ、この明細書の一部を成している、添付の図面は、この発明の実施形態を例示しており、上に提示されたこの発明の概略的な説明および以下に提示される詳細な説明と共に、この発明を解説する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態によるインキュベートされた振盪器の斜視図であり、閉位置にある振盪器の回動カバーを示す。
図2図1と同様の斜視図であり、振盪器のインキュベートされた振盪器チャンバ内に位置する軌道振盪器プラットフォームの部分的に分割された図を伴う、開位置にある振盪器の回動カバーを示す。
図3図1に示されるインキュベートされた振盪器の縦断面図である。
図4図2と同様の図であるが、振盪器ハウジングアセンブリ、回動カバー、および振盪器プラットフォームが取り外されており、本発明の一実施形態による振盪器のこぼれトレイを示している。
図5図4のインキュベートされた振盪器の分解斜視図である。
図5A】例示的な実施形態によるこぼれトレイの斜視図である。
図5B図5Aと同様の図であり、詳細を示すために、こぼれトレイの側壁の一部を取り除いた。
図6】本発明の一実施形態による、振盪器機構およびプラットフォーム支持体の分解図である。
図7図6に示す振盪器機構の底面斜視図である。
図8A】は、図7に示される振盪器機構の底面立面図であり、モータによって駆動されたときの振盪器機構のベルトの方向を示す矢印を伴う。
図8B図8Aと同様の図であり、反時計回り方向に増分距離を周回する振盪器プラットフォームを示す。
図8C図8Bと同様の図であり、反時計回り方向に追加の増分距離を周回する振盪器プラットフォームを示す。
図9】本発明の代替の実施形態による、インキュベートされた振盪器の斜視図である。
図10図9のインキュベートされた振盪器の分解斜視図であり、振盪器ハウジングアセンブリおよび回動カバーが取り外されている。
図10A図10に示されるこぼれトレイの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、図を参照し、特に、図1~4において、本発明の一実施形態によれば、インキュベートされた振盪器10が示されている。例示的な振盪器10は、ハウジングアセンブリ14と、図2に示されるような開位置と図1および図3に示されるような閉位置との間でハウジングアセンブリ14に対して移動可能な回動カバー16とを含む。
【0023】
閉位置では、振盪器10は、ハウジングアセンブリ14および回動カバー16内に封入されたインキュベートされた振盪器チャンバ18を画定する。図1図3に示されるように、振盪器プラットフォーム20は、インキュベートされたチャンバ18内で支持され、一実施形態では、クランプ22から下向きに延在し、振盪器プラットフォーム20に設けられたねじ付き開口部22と螺合するねじ付き留め具(図示せず)を介して、図2および図9に示すようなばね付勢クランプ24などの、容器支持体を取り付けるように構成されたねじ付き開口部または穴22(図2)のアレイを含む。図1および図9に示されるように、ばね付勢クランプ24は、以下でより詳細に説明されるように、振盪プロセス中に、図に示されるフラスコ26などの液体含有容器をプラットフォーム20に取り外し可能に固定するように構成される。
【0024】
当業者が理解するように、インキュベートされたチャンバ18内に支持された容器26は、フラスコ、ビーカ、ジャー、試験管および/またはバイアル、またはその中に液体を含むように構成され、一般にインキュベートされた振盪器で使用される任意の他の適切な容器を含み得る。さらに、振盪器プラットフォーム20、および/またはばね付勢クランプ24などの容器支持体の構造は、特定の振盪用途のために当業者によって理解されるように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく変更され得ることが理解されよう。
【0025】
回動カバー16を開位置(図2)と閉位置(図1および図3)との間で移動させるために、カバー16は、ハンドル28と、カバー16がばね機構(図示せず)の助けを借りて、ユーザによって上向きおよび下向きに移動することができる一対の対向する平行リンケージ30とを含む。カバー16が閉位置に移動されたときに適切なシールを確実にするために、シリコンガスケット32などのシール用ガスケットが、カバー16の自由周縁の周りに提供され、ガスケット32は、閉位置にあるハウジングアセンブリ14の対向表面と密封的に係合するように構成される。
【0026】
一実施形態では、インキュベートされた振盪器10は、振盪プロセスの様々なパラメータを設定またはプログラムするためにユーザによって使用され得るユーザ制御ディスプレイ36を有するフロントパネル34を含む。ユーザ制御ディスプレイ36は、図1図3に示されるようなフラットパネルタッチスクリーンを備えてもよく、またはユーザから様々な設定パラメータを受信するように構成された、手動ボタンやノブ、または無線通信などの他の適切なデバイスを備えてもよい。これらの設定パラメータは、例として、これらに限定されないが、振盪速度(RPM)、インキュベートされた振盪器チャンバ温度、および振盪プロセスの振盪持続時間を含み得る。
【0027】
一実施形態では、振盪器10は、ユーザ制御ディスプレイ36に電気的に結合されたコントローラ(図示せず)と、図5に示されたハウジングアセンブリ14の下部に支持された振盪器機構38(図3および図5図8)と、インキュベートされた振盪器10の後部に支持された温度制御システム(図示せず)とを含む。温度制御システム(図示せず)は、ユーザによって設定された温度パラメータに従って動作する加熱および/または冷却構成要素(図示せず)を含み、以下に詳細に記載されるように、振盪プロセス中にインキュベートされた振盪器チャンバ18を所望の温度に維持する。トグル電源スイッチ40(図1)は、従来の方法で、インキュベートされた振盪器10への電力の供給を制御するために提供される。
【0028】
図2図4に示されるように、振盪器機構38は、インキュベートされた振盪器チャンバ18内で軌道回転のために支持されるプラットフォーム支持体42に動作可能に結合される。振盪器機構38およびプラットフォーム支持体42は、一実施形態によれば、機械的留め具(図示せず)によって互いに動作可能に結合される。
【0029】
図3に示されるように、振盪器プラットフォーム20は、機械的留め具(図示せず)を介してプラットフォーム支持体42に取り付けられ、振盪器プラットフォーム20は、プラットフォーム支持体40の上に配置され、少なくとも部分的に、または完全にプラットフォーム支持体40を覆っている。このようにして、振盪器機構38によって与えられるプラットフォーム支持体40の軌道回転は、以下でより詳細に説明されるように、振盪器プラットフォーム20、およびその上に支持される液体含有容器26の対応する軌道回転を引き起こす。
【0030】
特に図6および図7を参照すると、例示的な振盪器機構38は、モータ取り付けプレート46に固定された駆動モータ44を含む。駆動モータ44は、一次偏心軸受アセンブリ52の中央シャフトに固定された歯車50を駆動する歯付きベルト48と係合する。一次偏心軸受アセンブリ52は、三角形リンケージ58との接続を介して、その回転運動を二次偏心軸受アセンブリ54、56に伝達する。一次および二次偏心軸受アセンブリ52、54および56は、一次および二次偏心軸受アセンブリ52、54および56の回転軸からオフセットされた支柱62を介して三角形リンケージ58上に配置された駆動シリンダ軸受60に取り付けられる。このリンケージを介して、一次および二次偏心軸受アセンブリ52、54および56は、駆動モータ44の動作に応答して一斉に回転する。振盪器機構の振動を低減するために、カウンタウェイト64が一次偏心軸受アセンブリ52に配置されている。
【0031】
三角形リンケージ58の回転運動は、スペーサプレート66との接続を介してプラットフォーム支持体42に伝達される。スペーサプレート66は、留め具(図示せず)を介してプラットフォーム支持体42および三角形リンケージ58の両方に固定されている。代替の実施形態では、スペーサプレート66のサイズは、他のインキュベートされた振盪器モデルに適応するように調整され得る。
【0032】
図8A~8Cは、振盪器プラットフォーム20に対する振盪器機構38の回転運動を示している。図8Aに示されるように、矢印は、振盪器プラットフォーム20を反時計回り方向に駆動するベルト48の方向を示す。図8Bは、図8Aと同様の図であり、振盪器プラットフォーム20は、反時計回りに増分距離だけ回転する。この図では、カウンタウェイト64、三角形リンケージ58、ならびに一次および二次偏心軸受アセンブリ52、54、および56の回転を見ることができる。同様に、図8Cは、図8Bと同様の図を示し、振盪器プラットフォーム20は、反時計回りに追加の増分距離を回転する。このようにして、振盪器プラットフォーム20の軌道回転は、それぞれの容器26内に含まれる液体を穏やかに混合、ブレンド、または攪拌するように、容器26に円形振盪運動を与える振盪器機構38によって達成される。
【0033】
インキュベートされた振盪器10の使用中、振盪操作中に1つまたは複数の容器26から液体がこぼれることは珍しくなく、これは、振盪器プラットフォーム20上で振動または回転している間にその容器26から溢れる液体によって引き起こされ得る。インキュベートされた振盪器10内の液体のこぼれは、例えば、容器26がそのクランプ24を破壊するかまたは誤って解放することから、または振盪器プラットフォームが静止している間に容器26を誤って取り扱うことからも起こり得る。
【0034】
本発明の原理的態様によれば、インキュベートされた振盪器10は、インキュベートされた振盪器チャンバ18内に取り付けられたこぼれトレイ68を含む。こぼれトレイ68は、任意選択で振盪器10から取り外し可能であり、耐食性金属で作製されているか、または適切な合成材料で作られた成形部品を含み、こぼれトレイ68は、こぼれた液体を収容するように構成され、その結果、こぼれた液体がハウジングアセンブリ14の下部に溢れること、または振盪器機構38またはインキュベートされた振盪器10内に配置された任意の電子機器に接触することを防ぐ。
【0035】
図5Aおよび5Bに最もよく示されるように、例示的な実施形態によるこぼれトレイ68は、ベース収集領域72を画定する底壁70、一対の対向する平行な側壁74、後壁76、および前および後取り付け部分78、80を含む。ベース収集領域72は、振盪器プラットフォーム20の開口部22を通過することがあるこぼれ、またはインキュベートされた振盪器チャンバ18内で発生することのある他のこぼれを収容するための貯蔵器として機能する。一実施形態では、ベース収集領域72は、最大250mlの液体を受け取り、収容することができる。代替の実施形態では、ベース収集領域38は、500ml以上の液体を受け取り、収容することができる。
【0036】
こぼれが振盪器機構38に到達するのを防ぐために、ベース収集領域72は、その周囲全体の周りを連続する直立壁部分82によって囲まれる凹状のくぼみまたはウェル(図3を参照)を備える。図5Aおよび5Bに示されるように、底壁70は、ボス84の上壁89を貫通する開口部88を規定する隆起したリップ部分86を含む直立ボス84に向かって上向きに先細になっている。一実施形態では、ボス84は、図4および5に示されるように、全ての側面がベース収集領域72によって囲まれている。あるいは、ボス84は、ボス収集領域72によって少なくとも部分的に囲まれていてもよい。
【0037】
本発明の一実施形態では、開口部88は、開口部88を通って振盪器機構38と振盪器プラットフォーム20との動作可能な接続を可能にするように構成される。言い換えれば、振盪器機構38と振盪器プラットフォーム20との機械的接続は、開口部88を介して収容される。開口部88は、振盪器機構38と振盪器プラットフォーム20との機械的接続を達成することができる開口部を提供すると共に、振盪プロセス中に、開口部内での振盪器機構38と振盪器プラットフォーム20との動作可能な接続の移動のための十分なクリアランスを提供する。
【0038】
図3に示される一実施形態では、開口部88は、振盪器機構38の少なくとも一部が開口部88を貫通することを可能にすると同時に、プラットフォーム支持体42が開口部88全体にわたって延在することを可能にするサイズおよび形状にされる、すなわち構成される。図3に示すように、プラットフォーム支持体42の周囲は、振盪器プラットフォーム20の全振盪運動中に開口部88を画定する隆起したリップ部分86の周囲を超えて延在する下向きのリップ90を含む。このようにして、プラットフォーム支持体42は、振盪器プラットフォーム20の全体の振盪運動の間、開口部88を完全に覆っている。あるいは、プラットフォーム支持体42は、振盪器プラットフォーム20の全体の振盪運動の間、開口部88を部分的に覆い得る。
【0039】
液体がプラットフォーム支持体42上にこぼれた場合、プラットフォーム支持体42の下向きのリップ90は、直立ボス84および隆起したリップ部分86の両方と協働して、液体をベース収集領域72内、かつ開口部88から離れた方向に向け直すのに役立つ。
【0040】
単一の開口部88が図3図5Aおよび図5Bに示されているが、こぼれトレイ68の底壁70を通って延在し、振盪器機構38と振盪器プラットフォーム20との動作可能な接続を可能にする複数の開口部が提供され得ることが理解されるであろう。
【0041】
一実施形態では、こぼれトレイ68の側壁74は、一般にこぼれトレイ68の中央部分から延在し、後壁76と接続する角度の付いた部分を含む。側壁74は、回動カバー16のガスケット32がハウジングアセンブリ14の対向する表面とシールすることを可能にする。こぼれトレイ68の後壁76は、回動カバー16が開位置と閉位置との間で移動するときに、回動カバー16の平行リンケージ30の移動を可能にする一対の開放端の細長いスロット92を含む。
【0042】
後壁76はさらに、後壁76に固定された通気パネル95によって覆われるサイズの開口部94を含み、これにより、調整された空気(加熱または冷却された)を温度制御システム(図示せず)からインキュベートされた振盪器チャンバ18内およびインキュベートされた振盪器チャンバから移送することができる。温度調節を助けるために、こぼれトレイ68は、側壁74に取り付けられた絶縁トレイ96を含み得る。さらに、ベース絶縁部分98は、こぼれトレイ68の前および後取り付け部分78、80に設けられた開口部102を通して固定される留め具100を介して、こぼれトレイ68の下に取り付けられ得る。温度調節に加えて、ベース絶縁部分98は、振盪器機構38から発する騒音および機械的振動を低減しながら、振盪器機構38を所定の位置に取り付けるのに役立つ。
【0043】
こぼれた場合、ユーザは、最初に、振盪器プラットフォーム20をプラットフォーム支持体42に固定するために使用されている留め具(図示せず)を緩めることによって、振盪器プラットフォーム20を取り外すことができる。
【0044】
図4に示すように、振盪器プラットフォーム20がプラットフォーム支持体42から分離され、インキュベートされた振盪器10から取り外された状態で、ユーザは、例えば、非腐食性クレンザまたは70%エタノールで湿らせた適切な布で、こぼれトレイの内面を拭き取ることができる。
【0045】
振盪器機構38および/または任意の内部電子機器にアクセスするためなど、インキュベートされた振盪器10の下部へのさらなるアクセスが必要な場合、ユーザは、最初に、プラットフォーム支持体42を振盪器機構38に固定するために使用されている留め具(図示せず)を緩めることができる。次に、ユーザは、インキュベートされた振盪器10からプラットフォーム支持体42を取り外すことができる。
【0046】
こぼれトレイ68は、一実施形態では、ユーザが最初にこぼれトレイ68の前および後取り付け部分78、80に配置された留め具100を取り外すことによって、インキュベートされた振盪器10から有利に取り外し可能である。こぼれトレイ68がハウジングアセンブリ14から緩められた状態で、ユーザは、こぼれトレイ68をインキュベートされた振盪器10から取り外して、以前にこぼれトレイ68の底壁70の下に配置されたハウジングアセンブリ14の下部にアクセスすることができる。必要に応じて、除去されたこぼれトレイ68は、インキュベートされた振盪器10の外で任意の適切な方法によって便利に消毒され得る。
【0047】
ここで、図9図10Aに注目すると、本発明の別の実施形態による、こぼれトレイ112を含むインキュベートされた振盪器110が示されている。
【0048】
この実施形態のインキュベートされた振盪器110は、インキュベートされた振盪器10の実施形態に関連して前述したものと同じまたは類似の要素の多くを含み、これらの要素は、「100」および「200」シリーズにおいて類似の参照番号が提供されており、要素は、インキュベートされた振盪器10に関連して説明された対応する要素と実質的に同じまたは類似している。
【0049】
例えば、この実施形態のインキュベートされた振盪器110は、ハウジングアセンブリ114、回動カバー116、フロントパネル134、ユーザ制御ディスプレイ136、電源スイッチ140、インキュベート振盪器チャンバ118、ハンドル128、一対の平行リンケージ130、シリコンガスケット132、振盪器プラットフォーム138、プラットフォーム支持体142、および振盪器機構(図示せず)を含む。
【0050】
図10Aに示されるように、この実施形態のこぼれトレイ168は、ベース収集領域172、側壁174、後壁176、前および後取り付け部分178、180、留め具200、および開口部202を含む。これらの要素のいくつかは、この実施形態ではわずかに変更された形状またはプロファイルを有するが、インキュベートされた振盪器110およびその要素は、違いが以下でさらに詳細に概説される場合を除いて、上記のように機能する(これらの同一または実質的に類似の要素の詳細な説明は、簡潔にするために、ここで大部分は繰り返さない)。
【0051】
インキュベートされた振盪器10および110の主な違いは以下の通りであり、この実施形態の後壁176は、2つの別個に画定された開口部194a、194bおよび一対の閉鎖端の細長いスロット192を含む。開口部194a、194bのそれぞれは、インキュベートされた振盪器110の後部に位置する温度制御システム(図示せず)からの調整された空気(加熱または冷却された)の、インキュベートされた振盪器チャンバ118内への、およびインキュベートされた振盪器チャンバからの移送を可能にする通気パネル195によって覆われるようなサイズである。細長いスロット192の対は、回動カバー116が開位置と閉位置との間で移動されるときに、平行リンケージ130の動きを可能にする。
【0052】
この実施形態では、こぼれトレイ168のベース収集領域172は、直立ボス184まで延在するベース収集領域138の横方向の中点に近接して配置された隆起部分204を含む。この隆起部分204は、インキュベートされた振盪器110の異なる構造設計に対応するのに役立つ。
【0053】
インキュベートされた実験室振盪器は、例示的な実施形態に従って本明細書に記載されているが、本発明のこぼれトレイは、例えば、プラットフォーム振盪器などの他のタイプの実験室振盪器と同様に使用できることが企図される。本発明のこぼれトレイは、インキュベートされないことがある実験室振盪器と共に使用され得、および/または振盪器プラットフォームの動きは軌道ではなく、むしろ振盪器プラットフォームは非軌道運動に従って水平に振動し得る。
【0054】
本発明は、例示的な実施形態の説明によって例示され、これらの実施形態をかなり詳細に記載してきたが、出願人の意図は、添付された特許請求の範囲をかかる詳細に制限または多少なりとも限定するものではない。追加の利点および改変が、当業者には容易に明らかとなろう。したがって、その最も広い態様におけるこの発明は、示されかつ説明された具体的な詳細、代表的な装置および方法、ならびに、例示的な例に限定されない。したがって、出願人の一般的な発明の概念の趣旨または範囲を変更することなく、そのような詳細からの転換を生成し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図10A
【外国語明細書】