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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062709
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】表面保護物質を用いた薄膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/40 20060101AFI20220413BHJP
   C07C 43/32 20060101ALI20220413BHJP
   C07F 7/02 20060101ALI20220413BHJP
   C07F 7/00 20060101ALI20220413BHJP
   H01L 21/312 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
C23C16/40
C07C43/32
C07F7/02 Z
C07F7/00 Z
H01L21/312 N
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166344
(22)【出願日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0129773
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518176264
【氏名又は名称】イージーティーエム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェ ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハ ナ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハ ジュン
【テーマコード(参考)】
4H006
4H049
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AB80
4H049VN01
4H049VN07
4H049VP01
4H049VQ35
4H049VR13
4H049VR51
4H049VU32
4K030AA24
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA44
4K030CA04
4K030JA10
5F058AA10
5F058AC01
5F058AC03
5F058AD02
5F058AD03
5F058AD05
5F058AD10
5F058AF01
5F058AH04
(57)【要約】
【課題】非常に薄い厚さのドーピング用薄膜を形成することができ,また,本誘電膜内の組成の調節が容易で,必要な組成比を具現することができ,これにより,誘電率を改善した薄膜形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の,表面保護物質を用いた薄膜形成方法は,基板が載置されたチャンバの内部に,前記表面保護物質を供給し,前記表面保護物質を前記基板の表面の適宜箇所に吸着させる工程;前記チャンバ内を洗浄後,前記チャンバ内にドーピング用の前駆体を供給した後に第1の反応物質を供給して前記基板の表面にドーピング用薄膜を形成する工程;前記チャンバ内を洗浄後,前記チャンバ内に誘電膜用前駆体を供給した後に第2の反応物質を供給して前記基板の表面に誘電膜用前駆体膜を形成する工程;を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面保護物質を用いた薄膜形成方法において,
基板が載置されたチャンバの内部に,前記表面保護物質を供給する表面保護物質供給工程;
前記チャンバの内部を浄化する工程;
前記チャンバの内部にドーピング用の前駆体を供給するドーピング用前駆体供給工程;
前記チャンバの内部を浄化する工程;
前記チャンバの内部に第1の反応物質を供給して吸着された前記ドーピング用前駆体と反応してドーピング用薄膜を形成するドーピング用薄膜形成工程;
前記チャンバの内部に誘電膜用前駆体を供給する誘電膜用前駆体供給工程;
前記チャンバの内部を浄化する工程;及び
前記チャンバの内部に第2の反応物質を供給して吸着された前記誘電膜用前駆体と反応して誘電膜を形成する誘電膜形成工程を含む,表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項2】
前記表面保護物質は,下記<化学式1>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式1>において, nは1,2の中から選択されたいずれか一つであり,
Rは水素原子,炭素数1~5のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【請求項3】
前記表面保護物質は,下記<化学式2>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式2>において, nは,それぞれ独立して1~5の整数の中から選択される。
【請求項4】
前記表面保護物質は,下記<化学式3>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式3>において, nは,それぞれ独立して0~8の整数であり,
R1はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基又は水素原子の中から選択され,
R2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【請求項5】
前記表面保護物質は,下記<化学式4>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式4>において, nはそれぞれ独立して1~8の整数であり,mはそれぞれ独立して1~5の整数であり,
R1又はR2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【請求項6】
前記表面保護物質は,下記<化学式5>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式5>において, nはそれぞれ独立して1~5の整数であり,mはそれぞれ独立して0~8の整数であり,
R1はそれぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基又は水素原子の中から選択され,
R2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【請求項7】
前記表面保護物質は,下記<化学式6>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式6>において, nはそれぞれ独立して1~8の整数であり,mはそれぞれ独立して1~6の整数であり,
R1又はR2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【請求項8】
前記表面保護物質は,下記<化学式7>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式7>において, nはそれぞれ独立して0~5の整数であり,mはそれぞれ独立して1~5の整数であり,
Rは,それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基,炭素数3~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【請求項9】
前記表面保護物質は,下記<化学式8>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式8>において, nはそれぞれ独立して0~8の整数であり,
R1乃至R3は,それぞれ独立して炭素数が1~8であるアルキル基であり,
R4は水素,炭素数が1~6であるアルキル基,炭素数が1~8であるアルコキシ基の中から選択される。
【請求項10】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式9>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式9>において, R1乃至R3は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数2~10のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10のサイクリックアミン基,炭素数3~10のヘテロサイクリックアミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基又は炭素数2~10のアルキルシリルアミン基の中から選択される。
【請求項11】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式10>から<化学式14>のいずれかから表される請求項10記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項12】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式15>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式15>において, AとBは,それぞれ独立して,水素原子,ハロゲン原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数2~10のアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10のサイクリックアミン基,炭素数3~10のヘテロサイクリックアミン基,炭素数2~10のアルキルシリルアミン基の中から選択され,
Lはハロゲン原子,水素原子,又はアジド基の中から選択される。
【請求項13】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式16>から<化学式21>のいずれかから表される請求項12記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。

【請求項14】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式22>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式22>において, R1乃至R6は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10のサイクリックアミン基,炭素数3~10のヘテロサイクリックアミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基又は炭素数2~10のアルキルシリルアミン基の中から選択される。
【請求項15】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式23>として表される請求項14記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項16】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式24>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式24>において, R1乃至R5は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~4のアルキル基の中から選択され,
R6からR9は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~4のアルキル基,炭素数1~4のアルキルアミン基,炭素数2~4のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【請求項17】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式25>から<化学式27>のいずれかから表される請求項16記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項18】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式28>として表される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式28>において, R1乃至R4は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~4のアルキル基,炭素数1~4のアルキルアミン基,炭素数2~4のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【請求項19】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式29>として表される請求項18記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項20】
前記反応物質はO3,O2,H2O,H22,N2OとNH3の中から選択される請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項21】
前記誘電膜用前駆体は,Ti,Zr及びHfを含む4価の金属の少なくとも1つを含む化合物である請求項1記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,薄膜形成方法に関するもので,より詳細には,非常に薄い厚さのドーピング用薄膜を形成することにより,誘電膜の厚さと誘電膜内の組成の調節が容易で,必要な組成比を具現することができ,これにより,誘電率を改善した薄膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DRAM及びフラッシュ(Flash)などのメモリ/非メモリ半導体素子の高集積化,低消費電力化などの変化に応じて優れた特性の誘電薄膜形成の必要性が深刻化している。
【0003】
一例としては,非常に薄い厚さでも誘電率の値が大きい酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ハフニウム(HfO2)がコンデンサ(Capacitor)誘電膜に適用されている。酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ハフニウム(HfO2)は,温度と圧力に応じて様々な結晶構造であり,その構造に応じて静電容量を異にする。 正方晶(Tetragonal)構造の酸化ジルコニウム(ZrO2)と立方晶(Cubic)又は正方晶(Tetragonal)構造の酸化ハフニウム(HfO2)は,他の構造に比べて約2倍以上の静電容量を有することが知られているが,一般的に,常温,常圧で単斜晶(Monoclinic)構造を有することが安定である。
【0004】
これにより,ドーピングによって酸化ジルコニウムと酸化ハフニウムの結晶構造を安定化させることで,高い誘電定数を得ようと多くの研究が行われてきた。しかし,ドーピングは局所的な組成の不均一性による誘電特性の劣化やリーク電流を発生し,適用に多くの困難を経験している。したがって,薄膜内の組成の均一性と結晶性の向上による静電容量の改善が求められて段差被覆性(step coverage)を改善した薄膜形成方法の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は,非常に薄い厚さのドーピング用薄膜を形成することができる薄膜形成方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は,誘電膜内の組成の調節が容易で,必要な組成比を具現することができ,これにより,誘電率を改善した薄膜形成方法を提供することにある。
【0007】
本発明のもう一つの目的は,結晶性を向上させながら,段差被覆性(step coverage)が良好な薄膜を形成して,優れた半導体素子を提供することができる薄膜形成方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は,以下の詳細な説明からより明確になるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例によれば,表面保護物質を用いた薄膜形成方法は,表面保護物質を用いた薄膜形成方法において,基板が載置されたチャンバの内部に,前記表面保護物質を供給する表面保護物質供給工程;前記チャンバの内部を浄化する工程;前記チャンバの内部にドーピング用の前駆体を供給するドーピング用前駆体供給工程;前記チャンバの内部を浄化する工程;前記チャンバの内部に第1の反応物質を供給して吸着された前記ドーピング用前駆体と反応してドーピング用薄膜を形成するドーピング用薄膜形成工程;前記チャンバの内部に誘電膜用前駆体を供給する誘電膜用前駆体供給工程;前記チャンバの内部を浄化する工程;及び前記チャンバの内部に第2の反応物質を供給して吸着された前記誘電膜用前駆体と反応して誘電膜を形成する誘電膜形成工程を含む。
【0010】
前記表面保護物質は,下記<化学式1>として表されることができる。
【0011】
【化1】
前記<化学式1>において, nは1,2の中から選択されたいずれか一つであり,
Rは水素原子,炭素数1~5のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0012】
前記表面保護物質は,下記<化学式2>として表されることができる。
【0013】
【化2】
前記<化学式2>において, nは,それぞれ独立して1~5の整数の中から選択される。
【0014】
前記表面保護物質は,下記<化学式3>として表されることができる。
【0015】
【化3】
前記<化学式3>において, nは,それぞれ独立して0~8の整数であり,
R1はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基又は水素原子の中から選択され,
R2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0016】
前記表面保護物質は,下記<化学式4>として表されることができる。
【0017】
【化4】
前記<化学式4>において, nはそれぞれ独立して1~8の整数であり,mはそれぞれ独立して1~5の整数であり,
R1又はR2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0018】
前記表面保護物質は,下記<化学式5>として表されることができる。
【0019】
【化5】
前記<化学式5>において, nはそれぞれ独立して1~5の整数であり,mはそれぞれ独立して0~8の整数であり,
R1はそれぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基又は水素原子の中から選択され,
R2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0020】
前記表面保護物質は,下記<化学式6>として表されることができる。
【0021】
【化6】
前記<化学式6>において, nはそれぞれ独立して1~8の整数であり,mはそれぞれ独立して1~6の整数であり,
R1又はR2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0022】
前記表面保護物質は,下記<化学式7>として表されることができる。
【0023】
【化7】
前記<化学式7>において, nはそれぞれ独立して0~5の整数であり,mはそれぞれ独立して1~5の整数であり,
Rは,それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基,炭素数3~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0024】
前記表面保護物質は,下記<化学式8>として表されることができる。
【0025】
【化8】

前記<化学式8>において, nはそれぞれ独立して0~8の整数であり,
R1乃至R3は,それぞれ独立して炭素数が1~8であるアルキル基であり,
R4は水素,炭素数が1~6であるアルキル基,炭素数が1~8であるアルコキシ基の中から選択される。
【0026】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式9>として表されることができる。
【0027】
【化9】
【0028】
前記<化学式9>において, R1乃至R3は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数2~10のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10のサイクリックアミン基,炭素数3~10のヘテロサイクリックアミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基又は炭素数2~10のアルキルシリルアミン基の中から選択される。
【0029】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式10>から<化学式14>のいずれかから表されることができる。
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式15>として表されることができる。
【0036】
【化15】
前記<化学式15>において, AとBは,それぞれ独立して,水素原子,ハロゲン原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数2~10のアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10のサイクリックアミン基,炭素数3~10のヘテロサイクリックアミン基,炭素数2~10のアルキルシリルアミン基の中から選択され,
Lはハロゲン原子,水素原子,又はアジド基の中から選択される。
【0037】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式16>から<化学式21>のいずれかから表されることができる。
【0038】
【化16】
【0039】
【化17】
【0040】
【化18】
【0041】
【化19】
【0042】
【化20】
【0043】
【化21】
【0044】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式22>として表されることができる。
【0045】
【化22】
前記<化学式22>において, R1乃至R6は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10のサイクリックアミン基,炭素数3~10のヘテロサイクリックアミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基又は炭素数2~10のアルキルシリルアミン基の中から選択される。
【0046】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式23>として表されることができる。
【0047】
【化23】
【0048】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式24>として表されることができる。
【0049】
【化24】
前記<化学式24>において, R1乃至R5は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~4のアルキル基の中から選択され,
R6からR9は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~4のアルキル基,炭素数1~4のアルキルアミン基,炭素数2~4のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0050】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式25>から<化学式27>のいずれかから表されることができる。
【0051】
【化25】
【0052】
【化26】
【0053】
【化27】
【0054】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式28>として表されることができる。
【0055】
【化28】
前記<化学式28>において, R1乃至R4は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~4のアルキル基,炭素数1~4のアルキルアミン基,炭素数2~4のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0056】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式29>として表されることができる。
【0057】
【化29】
【0058】
前記反応物質はO3,O2,H2O,H22,N2OとNH3の中から選択されることができる。
【0059】
前記誘電膜用前駆体は,Ti,Zr及びHfを含む4価の金属(tetravalent metal)の少なくとも1つを含む化合物であることができる。
【発明の効果】
【0060】
本発明の一実施例によれば,低ドーピング用薄膜の成長速度を介してドーピング用薄膜の厚さを容易に調節することができ,必要な組成の誘電膜を得ることができる。
【0061】
また,局部的な組成不均一性を緩和させ,これにより,誘電膜の結晶性と誘電率が改善された誘電膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明の実施例1による薄膜形成方法を概略的に示すフローチャートである。
図2】本発明の比較例1による供給サイクルを概略的に示すグラフである。
図3】本発明の比較例1による薄膜のXRD(X-ray diffraction)の結果である。
図4】本発明の比較例1による薄膜のカーボン(Carbon)の2次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を示すグラフである。
図5】本発明の比較例1による薄膜のシリコン(Silicon)の2次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を示すグラフである。
図6】本発明の実施例1による供給サイクルを概略的に示すグラフである。
図7】本発明の実施例1による薄膜のXRD(X-ray diffraction)の結果である。
図8】本発明の実施例1による薄膜のカーボン(Carbon)の2次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を示すグラフである。
図9】本発明の実施例1による薄膜のシリコン(Silicon)の2次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明は表面保護物質を用いた薄膜形成方法に関し,以下に添付した化学式を利用して本発明の実施例を説明する。本発明の実施例は様々な形態に変更されてもよく,本発明の範囲が以下で説明する実施例に限定すると解釈されてはならない。
【0064】
図1は,本発明の実施例1による薄膜形成方法を概略的に示すフローチャートである。 基板は,工程チャンバの内部にロードされ,以下のALD工程条件は調整される。 ALD工程条件は,基板又は工程チャンバの温度,チャンバ圧力,ガス流量を含むことができ,温度は50~500℃である。
【0065】
基板は,チャンバの内部に供給された表面保護物質にさらされており,表面保護物質は,基板の表面に吸着される。表面保護物質は,工程進行中ドーピング用前駆体と同様の挙動を持ち,一種の抑制層を形成して,後続の工程でドーピング用前駆体が吸着されることを妨げて島状成長(island growth)などを緩和させ,後に形成される薄膜内の局所的な組成の不均一性を改善することができる。
【0066】
前記表面保護物質は,下記<化学式1>として表されることができる。
【0067】
【化30】
前記<化学式1>において, nは1,2の中から選択されたいずれか一つであり,
Rは水素原子,炭素数1~5のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0068】
前記表面保護物質は,下記<化学式2>として表されることができる。
【0069】
【化31】
前記<化学式2>において, nは,それぞれ独立して1~5の整数の中から選択される。
【0070】
前記表面保護物質は,下記<化学式3>として表されることができる。
【0071】
【化32】
前記<化学式3>において, nは,それぞれ独立して0~8の整数であり,
R1はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基又は水素原子の中から選択され,
R2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0072】
前記表面保護物質は,下記<化学式4>として表されることができる。
【0073】
【化33】
前記<化学式4>において, nはそれぞれ独立して1~8の整数であり,mはそれぞれ独立して1~5の整数であり,
R1又はR2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0074】
前記表面保護物質は,下記<化学式5>として表されることができる。
【0075】
【化34】
前記<化学式5>において, nはそれぞれ独立して1~5の整数であり,mはそれぞれ独立して0~8の整数であり,
R1はそれぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基又は水素原子の中から選択され,
R2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0076】
前記表面保護物質は,下記<化学式6>として表されることができる。
【0077】
【化35】
前記<化学式6>において, nはそれぞれ独立して1~8の整数であり,mはそれぞれ独立して1~6の整数であり,
R1又はR2は,それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0078】
前記表面保護物質は,下記<化学式7>として表されることができる。
【0079】
【化36】

前記<化学式7>において, nはそれぞれ独立して0~5の整数であり,mはそれぞれ独立して1~5の整数であり,
Rは,それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基,炭素数3~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0080】
前記表面保護物質は,下記<化学式8>として表されることができる。
【0081】
【化37】
前記<化学式8>において, nはそれぞれ独立して0~8の整数であり,
R1乃至R3は,それぞれ独立して炭素数が1~8であるアルキル基であり,
R4は水素,炭素数が1~6であるアルキル基,炭素数が1~8であるアルコキシ基の中から選択される。
【0082】
以後,チャンバの内部に浄化(purge)ガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未吸着表面保護物質又は副産物を除去したり,清潔にする。
【0083】
以後,基板は,チャンバの内部に供給されたドーピング用前駆体にさらされており,基板の表面にドーピング用前駆体が吸着される。
【0084】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式9>として表されることができる。
【0085】
【化38】
前記<化学式9>において, R1乃至R3は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数2~10のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10のサイクリックアミン基,炭素数3~10のヘテロサイクリックアミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基又は炭素数2~10のアルキルシリルアミン基の中から選択される。
【0086】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式10>から<化学式14>のいずれかから表されることができる。
【0087】
【化39】
【0088】
【化40】
【0089】
【化41】
【0090】
【化42】
【0091】
【化43】
【0092】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式15>として表されることができる。
【0093】
【化44】
前記<化学式15>において, AとBは,それぞれ独立して,水素原子,ハロゲン原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数2~10のアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10のサイクリックアミン基,炭素数3~10のヘテロサイクリックアミン基,炭素数2~10のアルキルシリルアミン基の中から選択され,
Lはハロゲン原子,水素原子,又はアジド基の中から選択される。
【0094】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式16>から<化学式21>のいずれかから表されることができる。
【0095】
【化45】
【0096】
【化46】
【0097】
【化47】
【0098】
【化48】
【0099】
【化49】
【0100】
【化50】
【0101】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式22>として表されることができる。
【0102】
【化51】
【0103】
前記<化学式22>において, R1乃至R6は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10のサイクリックアミン基,炭素数3~10のヘテロサイクリックアミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基又は炭素数2~10のアルキルシリルアミン基の中から選択される。
【0104】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式23>として表されることができる。
【0105】
【化52】
【0106】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式24>として表されることができる。
【0107】
【化53】
前記<化学式24>において, R1乃至R5は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~4のアルキル基の中から選択され,
R6からR9は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~4のアルキル基,炭素数1~4のアルキルアミン基,炭素数2~4のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0108】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式25>から<化学式27>のいずれかから表されることができる。
【0109】
【化54】
【0110】
【化55】
【0111】
【化56】
【0112】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式28>として表されることができる。
【0113】
【化57】
前記<化学式28>において, R1乃至R4は,それぞれ独立して,水素原子,炭素数1~4のアルキル基,炭素数1~4のアルキルアミン基,炭素数2~4のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0114】
前記ドーピング用の前駆体は,下記<化学式29>として表されることができる。
【0115】
【化58】
【0116】
例えば説明すると,前述した表面保護物質が吸着されると,ドーピング用前駆体は,表面保護物質が吸着された位置に吸着されることがなく,表面保護物質は,ドーピング用前駆体の吸着を妨害する。
【0117】
以後,チャンバの内部に浄化(purge)ガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未吸着ドーピング用前駆体又は副産物を除去したり,清潔にする。
【0118】
以後,基板は,チャンバの内部に供給された反応物質にさらされており,基板の表面にドーピング用薄膜が形成される。反応物質は,ドーピング用前駆体層と反応してドーピング用薄膜を形成し,反応物質はO3,O2,H2O,H22,N2OとNH3の中から選択されることができる。
【0119】
以後,チャンバの内部に浄化(purge)ガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未反応物質又は副産物を除去したり,清潔にする。
【0120】
以後,基板は,チャンバの内部に供給された誘電膜用前駆体にさらされており,基板の表面に誘電膜用前駆体が吸着される。誘電膜用前駆体は,Ti,Zr及びHfを含む4価の金属(tetravalent metal)の少なくとも1つを含む化合物であることができる。
【0121】
以後,チャンバの内部に浄化(purge)ガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未吸着誘電膜用前駆体又は副産物を除去したり,清潔にする。
【0122】
以後,基板は,チャンバの内部に供給された反応物質にさらされており,基板の表面に誘電膜が形成される。反応物質は,誘電膜用前駆体層と反応して誘電膜を形成し,反応物質はO3,O2,H2O,H22,N2OとNH3の中から選択されることができる。
【0123】
以後,チャンバの内部に浄化(purge)ガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未反応物質又は副産物を除去したり,清潔にする。
【0124】
- 比較例1
図2は,本発明の比較例1による供給サイクルを概略的に示すグラフである。前述した表面保護物質を使用せずに,ドーピング用薄膜にシリコン酸化物,誘電膜にハフニウム酸化物を形成し,シリコン酸化物を形成するためのドーピング用前駆体としてジイソプロピルアミノシラン(Diisoprophylamino Silane:DIPAS)とハフニウム酸化物を形成するための誘電膜用前駆体としてトリス(ジメチルアミノ)シクロペンタジエニルハフニウム(iv)[CpHf(NMe2)3](HAC)を使用し, 工程温度は320℃,反応物質は,O3ガスを使用した。
【0125】
ALD工程を通じた薄膜形成過程は以下の通りで,従来のドーピング方式と同様に,シリコン酸化物とハフニウム酸化物のサイクルの割合(cycle ratio)は,下記の表1の通りである。表1は,比較例1及び実施例1によるSiO2とHfO2のサイクルの割合とXRD正方晶相の割合(Tetragonal phase ratio)(%)を示し,XRD正方晶相の割合(Tetragonal phase ratio)はT(101)/[(T101)+ M(-111)+M(111)]の値として計算した。
【0126】
【表1】
【0127】
1)Arをキャリア(carrier)ガスとして,常温でドーピング用前駆体(DIPAS)を反応チャンバに供給して,基板にドーピング用前駆体を吸着
2)反応チャンバ内にArガスを供給して未吸着ドーピング用前駆体又は副産物を除去
3)O3ガスを反応室に供給してドーピング用薄膜を形成
4)反応チャンバ内にArガスを供給して未反応物質又は副産物を除去
5) Arをキャリア(carrier)ガスとして,常温で誘電膜用前駆体(HAC)を反応チャンバに供給して,基板に誘電膜用前駆体を吸着
6)反応チャンバ内にArガスを供給して未吸着誘電膜用前駆体又は副産物を除去
7)O3ガスを反応室に供給して誘電膜を形成
8)反応チャンバ内にArガスを供給して未反応物質又は副産物を除去
【0128】
図3は,本発明の比較例1による薄膜のXRD(X-ray diffraction)の結果である。Siの割合が低い場合(1:30),HfOと正方晶の割合(Tetragonal ratio)が似ているが,Siの割合が増加した場合,(1:12),正方晶の割合(Tetragonal ratio)が減少する。
【0129】
図4は,本発明の比較例1による薄膜のカーボン(Carbon)の2次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を示すグラフである ,図5は,本発明の比較例1による薄膜のシリコン(Silicon)の2次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を示すグラフである。炭素不純物(Carbon Impurity)の場合HfOと同程度のレベルであり,シリコン(Silicon)の場合Siのサイクルの割合(cycle ratio)に関係なく,Siのピーク強度(peak intensity)が同程度のレベルである。
【0130】
- 実施例1
表面保護物質でオルト蟻酸トリメチル(Trimethyl orthoformate)を使用して,シリコン基板上にアルミニウム酸化膜を形成した。 ALD工程を使用してアルミニウム酸化膜を形成し,ALD工程温度は250~390℃,反応物質は,O3ガスを使用した。
【0131】
図6は,本発明の実施例1による供給サイクルを概略的に示すグラフである。 表面保護物質でオルト蟻酸トリメチル(Trimethyl orthoformate)を使用して,ドーピング用薄膜にシリコン酸化物,誘電膜にハフニウム酸化物を形成し,シリコン酸化物を形成するためのドーピング用前駆体としてジイソプロピルアミノシラン(Diisoprophylamino Silane:DIPAS)とハフニウム酸化物を形成するための誘電膜用前駆体としてトリス(ジメチルアミノ)シクロペンタジエニルハフニウム(iv)[CpHf(NMe2)3](HAC)を使用し,工程温度は320℃,反応物質は,O3ガスを使用した。
【0132】
ALD工程を通じた薄膜形成過程は以下の通りで,従来のドーピング方式と同様に,シリコン酸化物とハフニウム酸化物のサイクルの割合(cycle ratio)は,上記の表1の通りである。
【0133】
1)反応チャンバ内に表面保護物質を供給して基板に吸着
2)反応チャンバ内にArガスを供給して未吸着表面保護物質又は副産物を除去
3)Arをキャリアガスとして,常温でドーピング用前駆体(DIPAS)を反応チャンバに供給して,基板にドーピング用前駆体を吸着
4)反応チャンバ内にArガスを供給して未吸着ドーピング用前駆体又は副産物を除去
5)O3ガスを反応室に供給してドーピング用薄膜を形成
6)反応チャンバ内にArガスを供給して未反応物質又は副産物を除去
7)Arをキャリアガスとして,常温で誘電膜用前駆体(HAC)を反応チャンバに供給して,基板に誘電膜用前駆体を吸着
8)反応チャンバ内にArガスを供給して未吸着誘電膜用前駆体又は副産物を除去
9)O3ガスを反応室に供給して誘電膜を形成
10)反応チャンバ内にArガスを供給して未反応物質又は副産物を除去
【0134】
図7は,本発明の実施例1による薄膜のXRD(X-ray diffraction)の結果である。Siの割合に関係なく単斜晶相(monoclinic phase)より正方晶相(Tetragonal phase)(101)の割合が大きく,表面保護物質により,吸着されるSiO2の蒸着速度が低下している。これにより,Si濃度が微細に含まれている結晶性の改善に影響を及ぼしたと推定される。その結果,同じSi濃度を実装する際にHfO2マトリックスのTHK(HfO2 Matrix THK)を増加させることなく正方晶相(Tetragonal phase)の形成を容易にする。
【0135】
図8は,本発明の実施例1による薄膜のカーボン(Carbon)の2次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を示すグラフである,図9は,本発明の実施例1による薄膜のシリコン(Silicon)の2次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を示すグラフである。炭素不純物(Carbon Impurity)の場合HfOと同程度のレベルであり,シリコン(Silicon)の場合,比較例1と対比すると,2倍以上減少し,ピーク(peak)偏差も減少する。シリコン酸化膜の形成時に表面保護物質を使用することにより,シリコン酸化膜蒸着速度を下げることができ,後に蒸着される誘電膜内Si濃度の微調整とピーク(peak)偏差を減少させ,目的の組成の薄膜と均一な層(layer)の形成を可能にする。
【0136】
これまで本発明を実施例を介して詳細に説明したが,これとは異なる形態の実施例も可能である。よって,以下に記載する請求項の技術的思想と範囲は実施例に限らない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9