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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062714
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20220413BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20220413BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20220413BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F1/0007 361C
F24F11/61
F24F13/22 228
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201907
(22)【出願日】2021-12-13
(62)【分割の表示】P 2020170520の分割
【原出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】莅戸 智史
【テーマコード(参考)】
3L050
3L260
【Fターム(参考)】
3L050AA10
3L050BD05
3L260BA61
3L260CA12
3L260CB62
3L260CB63
3L260CB67
3L260DA15
3L260FA02
3L260FA03
(57)【要約】
【課題】簡素な構成により、室内熱交換器の表面を結露させることが可能な空気調和機を提供すること。
【解決手段】制御部40は、室内熱交換器32の洗浄運転において、室内を暖めることにより室内熱交換器32の表面を結露させやすくする洗浄用暖房運転を実行した後に、室内熱交換器32の表面を結露させて室内熱交換器32の表面を洗浄するための洗浄用冷房運転を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、膨張弁と、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の表面に付着した塵埃を洗浄する洗浄運転を実行する制御部と、を有しており、
前記制御部は、前記洗浄運転において、室内を暖めることにより前記室内熱交換器の表面を結露させやすくする洗浄用暖房運転を実行した後に、前記室内熱交換器の表面を結露させて前記室内熱交換器の表面を洗浄するための洗浄用冷房運転を実行する、空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、温度センサにより検出された室温が、前記洗浄用冷房運転を開始する基準となる予め設定された基準室温値に達していないと判断した場合に、前記洗浄用暖房運転を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、温度センサにより検出された室温が、前記洗浄用冷房運転を開始する基準となる予め設定された基準室温値に達するまで、前記洗浄用暖房運転を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部は、予め設定された第1の基準時間を経過するまで、前記洗浄用暖房運転を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、温度センサにより検出された室温が、前記洗浄用冷房運転を開始する基準となる予め設定された基準室温値を超えていると判断した場合、前記洗浄用暖房運転を実行せずに、前記洗浄用冷房運転を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内熱交換器の表面を洗浄する洗浄運転機能を備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機では、使用時間が経過するにつれて、室内熱交換器に塵埃が付着する。そのため、空気調和機には、塵埃が付着した室内熱交換器の表面を洗浄する洗浄機能を備えたものがある。このような洗浄機能を備えた空気調和機に関する従来技術として、特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
特許文献1に開示された空気調和機は、室内熱交換器の表面を凍結させて表面の洗浄を行う凍結洗浄運転機能を備えている。詳細には、室内熱交換器の内部を流れる冷媒の温度を低下させて、室内熱交換器の表面に氷(霜を含む)を付着させた後に氷を解凍(融解)させ、氷が解凍して生成された水が落下する勢いを利用して室内熱交換器に付着した塵埃を流し落とす運転動作である。
【0004】
ただし、氷を生成させ続けると、大きくなった氷が隣接するファン等に接触してしまうため、氷の大きさには限界がある。そのため、氷が解凍して生成された水の量も所定の量に限られる。生成される水の量が少ないと、ドレンパンに流れ落ちた塵埃がドレンパンに残ってしまう。
【0005】
一般に、空気調和機には、室内熱交換器の表面に結露を発生させて、結露により生じた水を利用して、室内熱交換器の表面に付着した塵埃を洗い流す技術もある。熱交換器の表面に付着した水滴は、所定の大きさになるとドレンパンに滴下する。結露による水滴の生成からドレンパンへの滴下までのサイクルが繰り返されるため、凍結洗浄と比較すると、洗浄に伴う水の量が多くなる。ドレンパンに塵や埃が残りにくくなる。このような洗浄運転に関する従来技術として、特許文献2に開示された技術がある。
【0006】
特許文献2に開示された空気調和機では、加湿された空気を室内熱交換器に供給する加湿空気供給手段が設けられている。この湿空気供給手段は、室内熱交換器の表面を結露させやすくするように、湿度が高い環境を作ることを目的とする。ただし、通常の空調ユニットとは別個に設けられているため、空気調和機全体の構成が複雑となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許6314294号
【特許文献2】特開2009ー300030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、簡素な構成により、室内熱交換器の表面を結露させることが可能な空気調和機の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1では、圧縮機と、膨張弁と、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の表面に付着した塵埃を洗浄する洗浄運転を実行する制御部と、を有しており、
前記制御部は、前記洗浄運転において、室内を暖めることにより前記室内熱交換器の表面を結露させやすくする洗浄用暖房運転を実行した後に、前記室内熱交換器の表面を結露させて前記室内熱交換器の表面を洗浄するための洗浄用冷房運転を実行する、空気調和機が提供される。
【0010】
請求項2に記載のごとく、前記制御部は、温度センサにより検出された室温が、前記洗浄用冷房運転を開始する基準となる予め設定された基準室温値に達していないと判断した場合に、前記洗浄用暖房運転を実行する。
【0011】
請求項3に記載のごとく、好ましくは、前記制御部は、温度センサにより検出された室温が、前記洗浄用冷房運転を開始する基準となる予め設定された基準室温値に達するまで、前記洗浄用暖房運転を実行する。
【0012】
請求項4に記載のごとく、好ましくは、前記制御部は、予め設定された第1の基準時間を経過するまで、前記洗浄用暖房運転を実行する。
【0013】
請求項5に記載のごとく、好ましくは、前記制御部は、温度センサにより検出された室温が、前記洗浄用冷房運転を開始する基準となる予め設定された基準室温値を超えていると判断した場合、前記洗浄用暖房運転を実行せずに、前記洗浄用冷房運転を実行する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1において、制御部は、洗浄用冷房運転を開始する前に、室内を暖める洗浄用暖房運転を実行する。
【0015】
即ち、洗浄用暖房運転により室内を暖めて、室内熱交換器の表面を結露させやすくする。室内熱交換器の表面を結露させやすくする加湿ユニット等は不要である。通常の空気調和機のみの簡素な構成で、室内熱交換器の表面を結露させやすくする環境を整えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例による空気調和機の模式図である。
図2図1に示された空気調和機のブロック図である。
図3図1に示された空気調和機の洗浄用暖房運転の制御内容を説明するフローチャートである。
図4図1に示された空気調和機の洗浄用冷房運転及び洗浄用乾燥運転の制御内容を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0018】
図1には、内部を冷媒が流れる冷媒回路11を備えたエアコン装置10(空気調和機)が示されている。エアコン装置10は、室内Rを冷却する冷房運転と、室内Rを暖める暖房運転と、を行う機能を備えている。冷媒回路11は、室外Ouに配置された室外機20と、室内Rに配置された室内機30とを、含んでいる。以下、特に説明のない限り、冷媒の循環する方向は、冷房運転時を基準とする。
【0019】
室外機20は、冷房運転時及び暖房運転時における冷媒の循環する方向を切り替える四路切替弁21と、この四路切替弁21を通過した冷媒が流され冷媒を圧縮する圧縮機22と、この圧縮機22において圧縮され高温高圧となった冷媒が流れる室外熱交換器23と、この室外熱交換器23に向かって風を送るプロペラファン24と、室外熱交換器24を通過した冷媒を減圧する膨張弁25と、を有する。
【0020】
室内機30は、室内Rにおいて壁Waに掛けられている。室内機30は、室内から空気を取り込むと共に室内へ空気を送風する室内ファン31と、この室内ファン31が取り込んだ空気を冷却する室内熱交換器32と、室内ファン31及び室内熱交換器32を収納しているケース33と、を有している。
【0021】
ケース33は、室内ファン31が送り出す風の吹出口となる送風口33aを有する。送風口33aには、吹き出される送風の左右の向きを調整する左右ルーバ34と、吹き出される送風の上下の向きを調整する上下ルーバ35と、が配置されている。
【0022】
冷房運転について説明する。圧縮機22により高温高圧とされた冷媒は、室外熱交換器23において外気と熱交換を行い、熱を放出する。このとき、プロペラファン24が回転することによって、外気を強制的に室外熱交換器23の外周に流し、熱交換を促す。室外熱交換器23を通過し熱を放出した冷媒は、膨張弁25において減圧され、温度が低下する。温度が低下した冷媒は、室内熱交換器32へ流れる。
【0023】
室内熱交換器32に流れ込んだ低温の冷媒は、室内熱交換器32において室内Rの空気と熱交換を行い、室内Rの空気を冷却する。冷却された空気は、室内ファン31によって室内Rに送風される。室内ファン31は、空気を強制的に室内熱交換器32の外周に流し、冷媒との熱交換を促す。
【0024】
暖房運転時には、四路切替弁21が冷媒の流路を切り替え、冷房運転時とは逆方向に冷媒を循環させる。
【0025】
図2には、エアコン装置10(図1参照)の制御ブロック図が示されている。室内機30は、室内ファン31と、左右ルーバ34と、上下ルーバ35とを制御する室内制御部40(制御部)と、室内の温度を検出する温度センサ41と、室内制御部40により運転状況を表示する表示ランプ42と、リモコン12との間で所定の情報をやり取りするリモコン送受信部43と、を内蔵している。
【0026】
室内制御部40は、リモコン送受信部43を介して受信したデータや、温度センサ41の検出値や、後述する設定温度や基準時間や、その他所定のプログラム等が記憶される記憶部44と、経過時間を計測する複数のタイマt1~t4と、を有している。
【0027】
室外機20は、室内制御部40と電気的に接続している室外制御部45を有している。室内制御部40は、室外制御部45を介して、四路切替弁21と、圧縮機22と、プロペラファン23と、膨張弁25とを制御可能である。
【0028】
エアコン装置10は、室内熱交換器32(図1参照)の表面に付着した塵埃を洗浄する洗浄運転を行う機能も備えている。以下、エアコン装置10の洗浄運転の制御内容を説明する。
【0029】
図3及び図4には、エアコン装置10の制御内容を表すフローチャートが示されている。リモコン12(図2参照)から室内制御部40へ洗浄運転開始の信号が送信された場合、又は、冷房運転又は暖房運転の終了後、所定の条件を満たしている場合(例えば前回の洗浄運転の終了から所定の時間が経過しているなど)、室内制御部40は、表示ランプ42を洗浄運転を行っている旨を示す態様で洗浄運転を開始する(スタート)。
【0030】
洗浄運転が開始されると、ステップSt1では、第1のタイマt1が”0”からスタートする。第1のタイマt1は、洗浄運転の継続時間を計測する。
【0031】
ステップSt2では、温度センサ41が検出した室温Trを室内制御部40が取得する。
【0032】
ステップSt3では、室温Trが所定の温度の範囲内に収まっているか判断する。具体的には、室温Trが、基準室温値Ts1未満、かつ、基準室温値Ts1よりも低く設定された最低基準値Ts2以上か判断する(Ts2 ≦ Tr < Ts1)。基準室温値Ts1と最低基準値Ts2とは、予め設定された値である。
【0033】
室温Trが最低基準値Ts2に満たない場合(Tr < Ts2)、洗浄運転は終了する(エンド)。
【0034】
室温Trが、最低基準値Ts2以上、かつ、基準室温値Ts1未満の場合(Ts2 ≦ Tr < Ts1)、ステップSt4では、第2のタイマt2が”0”からスタートする。
【0035】
その後、ステップSt5では、室内Rを暖める洗浄用暖房運転を実行する。図1及び図2も参照する。洗浄用暖房運転は、室内熱交換器32の表面を結露させるのに適した環境を整えることを目的とする。洗浄用暖房運転は、通常の暖房運転と同様に、室内制御部40からの指示を受けた室外制御部45が、圧縮機22と膨張弁25及び四方切替弁21とを制御することにより実行される。
【0036】
洗浄用暖房運転は、予め設定された条件に基づいて実行される。この条件として、例えば、洗浄用暖房運転では、少なくとも基準室温値Ts1よりも高い温度を設定温度Ts3とし、室内ファン31による風量を最大とする。上下ルーバ35及び左右ルーバ34は、風量最大時における位置で固定する。
【0037】
ステップSt6では、温度センサ41が検出した室温Trを室内制御部40が取得する。
【0038】
ステップSt7では、洗浄用暖房運転により室温Trが設定温度Ts3に達したか判断する(Tr ≧ Ts3)。
【0039】
室温Trが設定温度Ts3に達した場合(Tr ≧ Ts3)、ステップSt8では、第3のタイマt3を”0”からスタートさせる。
【0040】
その後、ステップSt9では、結露により室内熱交換器32の表面に水滴を生成させる洗浄用冷房運転を実行する。結露により生成された水滴は、室内熱交換器32の表面に付着した塵埃を洗い流す。洗浄用冷房運転は、通常の冷房運転と同様に、室内制御部40からの指令を受けた室外制御部45が、圧縮機22と膨張弁25及び四方切替弁21とを制御することにより実行される。
【0041】
洗浄用冷房運転は、予め設定された条件に基づいて実行される。例えば、洗浄用冷房運転の設定温度Ts4は、所定の温度(例えば、最低基準値Ts2)とし、左右ルーバ34及び上下ルーバ35は、風量最大時における位置で固定する。風量は、室温Trによって適宜変化させる。
【0042】
なお、ステップSt7において、室温Trが設定温度Ts3に達していない場合(Tr < Ts3)、ステップst10では、第2のタイマt2による計測時間(洗浄用暖房運転の継続時間)が、予め設定された基準時間m1(第1の基準時間)を経過したか判断する(t2 > m1)。
【0043】
第2のタイマt2による計測時間が基準時間m1を経過している場合(t2 > m1)、第3のタイマt3を”0”からスタートさせ(ステップSt8)、その後に洗浄用冷房運転を実行する(ステップSt9)。
【0044】
第2のタイマt2による計測時間が基準時間m1を経過していない場合(t2 < m1)、洗浄用暖房運転を継続する。
【0045】
なお、ステップSt3において、室温Trが基準室温値Ts1を超えている場合(Tr > Ts1)、室内制御部40は、室内Rがすでに室内熱交換器32の表面を結露させるために適した環境であると判断する。そのため、室内制御部40は、洗浄用暖房運転(ステップSt5)を実行せずに、第3のタイマをスタートさせ(ステップSt8)、洗浄用冷房運転を実行する(ステップSt9)。
【0046】
ステップst9の洗浄用冷房運転の開始後、ステップSt11では、温度センサ41が検出した室温Trを室内制御部40が取得する。
【0047】
その後、ステップSt12では、室温Trが洗浄用冷房運転の設定温度Ts4を下回ったか判断する(Tr < Ts4)。
【0048】
室温Trが設定温度Ts4を下回った場合(Tr < Ts4)、ステップSt13では、第1のタイマt1による計測時間(洗浄運転の継続時間)が予め設定された基準時間m2(第2の基準時間)を経過したかを判断する(t1 > m2)。
【0049】
第1のタイマt1による計測時間が基準時間m2を経過していない場合(t1≦ m2)、洗浄用冷房運転を停止して、第2のタイマt2をリセット後に再スタートさせ(ステップSt4)、洗浄用暖房運転を再度実行する(ステップSt5)。
【0050】
ステップSt13において第1のタイマt1による計測時間(洗浄運転の継続時間)が基準時間m2を経過した場合(t1> m2)や、ステップSt12において室温Trが設定温度Ts4以上となった場合(Tr ≧ Ts4)、ステップSt14では、第3のタイマt3による計測時間(洗浄用冷房運転の継続時間)が予め設定された基準時間m3を経過しているか判断する(t3 > m3)。
【0051】
ステップSt14において第3のタイマによる計測時間が基準時間を経過している場合(t3 > m3)、ステップSt15では、第4のタイマt4を”0”からスタートさせる。
【0052】
その後、ステップSt16では、室内熱交換器32を乾燥させるための洗浄用乾燥運転を開始する。洗浄用乾燥運転は、通常の暖房運転と同様に、室内制御部40からの指令を受けた室外制御部45が、圧縮機22と膨張弁25及び四方切替弁21とを制御することにより実行される。
【0053】
洗浄用乾燥運転は、予め設定された条件に基づいて実行される。例えば、洗浄用乾燥運転の設定温度Ts6(不図示)を所定の温度とする。暖房運転開始時に冷風の吹き出しを防止するホットスタート機能と、室外熱交換器23を暖めて霜を融かす除霜運転機能と、は無効とする。上下ルーバ35及び左右ルーバ34は、風量最大時における位置で固定する。風量は、室温Trに応じて適宜変化させる。
【0054】
なお、ステップSt14において第3のタイマt3による計測時間(洗浄用冷房運転の継続時間)が基準時間m3を経過していない場合(t3 ≦ m3)、ステップSt17では、第1のタイマt1による計測時間(洗浄運転の継続時間)が予め設定された基準時間m4を経過したかを判断する(t1 > m4 )。
【0055】
第1のタイマt1による計測時間(洗浄運転の継続時間)が基準時間m4を経過していない場合(t1 ≦ m4 )、洗浄用冷房運転(ステップSt9)を継続する。
【0056】
第1のタイマt1による計測時間(洗浄運転の継続時間)が基準時間m4を経過している場合(t1 > m4 )、第4のタイマt4を”0”からスタートさせ(ステップSt15)、その後に洗浄用乾燥運転を開始する(ステップSt16)。
【0057】
ステップSt16の洗浄用乾燥運転の開始後、ステップSt18では、第4のタイマt4による計測時間(洗浄用乾燥運転の継続時間)が予め設定された基準時間m5を経過しているか判断する(t4 > m5)。
【0058】
第4のタイマt4による計測時間(洗浄用乾燥運転の継続時間)が予め設定された基準時間m5を経過していない場合(t4 ≦ m5)、洗浄用乾燥運転を継続する。
【0059】
第4のタイマt4による計測時間が予め設定された基準時間m5を経過した場合(t4 > m5)、室内制御部40は、洗浄運転を終了する(エンド)。洗浄運転の終了の際、室内制御部40は、室内機30に設けられた表示ランプ42を消灯させ、上下ルーバ35及び左右ルーバ34を運転停止時の際の処理を行う。
【0060】
実施例の効果を説明する。
【0061】
図1及び図2を参照する。エアコン装置10は、圧縮機22と、膨張弁25及び四方切替弁21を制御することにより、室内熱交換器32の表面を結露させて室内熱交換器32の表面を洗浄するための洗浄用冷房運転を実行する室内制御部40を有している。
【0062】
図3及び図4を参照する。洗浄運転の開始後、ステップSt3では、室温Trが、基準室温値Ts1未満、かつ、最低基準値Ts2T以上か判断する(Ts2 ≦ Tr < Ts1)。室温Trが、最低基準値Ts2以上、かつ、基準室温値Ts1未満の場合(Ts2 ≦ Tr < Ts1)、ステップst9の洗浄用冷房運転を開始する前に、ステップSt5の洗浄用暖房運転を実行する。
【0063】
即ち、室温Trが基準室温値Ts1に達しておらず(Tr<Ts1)、室内Rが室内熱交換器32の表面を結露させにくい環境であるとき、洗浄用暖房運転により室内Rを暖めて、室内熱交換器32の表面を結露させやすくする。洗浄用暖房運転は、通常の暖房運転と同様に、室内制御部40からの指示を受けた室外制御部45が、圧縮機22と膨張弁25及び四方切替弁21とを制御することにより実行される。室内熱交換器32の表面を結露させやすくするための加湿ユニット等は不要である。通常のエアコン装置10のみの簡素な構成で、室内熱交換器32の表面を結露させやすくする環境を整えることができる。
【0064】
加えて、ステップSt3において室温Trが最低基準値Ts2に満たない場合(Tr < Ts2)、洗浄運転を終了させる(エンド)。即ち、室温Trが低すぎる場合、空気中の水分量が少ないため室内熱交換器32の表面を結露させるために適した環境といえないと判断し、洗浄運転を実行しない。洗浄用暖房運転を効率的に実行することができる。
【0065】
加えて、ステップst9の洗浄用冷房運転の開始後、ステップSt12において室温Trが最低基準値Ts2を下回ったと判断され、ステップSt13において第1のタイマt1による計測時間(洗浄運転の継続時間)が予め設定された基準時間m2(第2の基準時間)を経過していない場合(t1 < m2)、洗浄用冷房運転を停止し、再度、洗浄用暖房運転を実行する。
【0066】
即ち、洗浄用冷房運転の運転中であっても、室内熱交換器32の表面を結露させにくい環境と判断された場合、洗浄用冷房運転を停止し、洗浄用暖房運転を実行することにより結露させやすい環境を整えた後に、洗浄用冷房運転を再び実行する。室内熱交換器32の表面を結露させやすくなるため、より確実に室内熱交換器32の表面に付着した塵埃を洗浄することができる。
【0067】
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の空気調和機は、家庭用のエアコン装置に好適である。
【符号の説明】
【0069】
10…エアコン装置(空気調和機)
11…冷媒回路
21…四路切替弁
22…圧縮機
25…膨張弁
32…室内熱交換器
40…室内制御部(制御部)
41…温度センサ
Ts1…基準室温値
m1…基準時間(第1の基準時間)
T2s…最低基準値
m2…基準時間(第2の基準時間)
Ts4…設定温度
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、膨張弁と、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の表面に付着した塵埃を洗浄する洗浄運転を実行する制御部と、を有しており、
室内を加湿する加湿器を有さず、
前記制御部は、前記洗浄運転において、前記室内熱交換器を流れる冷媒と室内の空気との間で熱交換を行って室内を暖めることにより前記室内熱交換器の表面を結露させやすくする洗浄用暖房運転を実行した後に、前記室内熱交換器の表面を結露させて前記室内熱交換器の表面を洗浄するための洗浄用冷房運転を実行する、空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、温度センサにより検出された室温が、前記洗浄用冷房運転を開始する基準となる予め設定された基準室温値に達していないと判断した場合に、前記洗浄用暖房運転を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、温度センサにより検出された室温が、前記洗浄用冷房運転を開始する基準となる予め設定された基準室温値に達するまで、前記洗浄用暖房運転を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部は、予め設定された第1の基準時間を経過するまで、前記洗浄用暖房運転を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、温度センサにより検出された室温が、前記洗浄用冷房運転を開始する基準となる予め設定された基準室温値を超えていると判断した場合、前記洗浄用暖房運転を実行せずに、前記洗浄用冷房運転を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項1では、圧縮機と、膨張弁と、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の表面に付着した塵埃を洗浄する洗浄運転を実行する制御部と、を有しており、
室内を加湿する加湿器を有さず、
前記制御部は、前記洗浄運転において、前記室内熱交換器を流れる冷媒と室内の空気との間で熱交換を行って室内を暖めることにより前記室内熱交換器の表面を結露させやすくする洗浄用暖房運転を実行した後に、前記室内熱交換器の表面を結露させて前記室内熱交換器の表面を洗浄するための洗浄用冷房運転を実行する、空気調和機が提供される。