(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062741
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】接着剤印刷用マスク
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20220414BHJP
B41N 1/24 20060101ALI20220414BHJP
B41F 15/36 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
H05K3/34 504C
B41N1/24
B41F15/36 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170845
(22)【出願日】2020-10-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】592173412
【氏名又は名称】株式会社プロセス・ラボ・ミクロン
(72)【発明者】
【氏名】松澤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】山口 正浩
(72)【発明者】
【氏名】相良 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】飯笹 正美
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 高大
【テーマコード(参考)】
2C035
2H114
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FD01
2C035FF23
2C035FF26
2H114AB14
2H114AB15
2H114AB17
2H114BA10
2H114DA04
2H114DA55
2H114EA03
2H114EA04
2H114EA08
2H114FA06
2H114FA13
2H114GA11
5E319AA02
5E319AA03
5E319AB01
5E319AB05
5E319CC22
5E319CC23
5E319CD29
5E319GG09
(57)【要約】
【課題】
従来よりも簡易な工程で製作でき、さらにマスクの反りやバリの発生を抑え、開口寸法精度を高めることで、印刷品質を向上させた接着剤印刷用マスクを提供する
【解決手段】
接着剤印刷用マスク1は、ガラスエポキシ樹脂製の主材層11とステンレス製のスキージ面層12、基板面層13が、一体的に接着された3層構造の平板状の孔版である。それぞれに貫通孔である印刷用開口111、部品収納用開口112、スキージ面側開口121、基板面側開口131、132が形成されており、3層に積層させたとき、従来のマスクと同様に内部が階段形状となっている開口部や、非貫通孔である部品収納部が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、
金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、金属からなるスキージ面層と、その反対側の面に金属からなる基板面層が、一体的に積層された3層構造の平板であり、
前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさで、貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して、貫通孔である部品収納用開口が形成され、
前記スキージ面層には、前記印刷用開口に対応する位置に、スキージ面側開口が形成され、
前記基板面層には、前記印刷用開口と前記部品収納用開口に対応する位置に、基板面側開口が形成されている、
ことを特徴とする、接着剤印刷用マスク。
【請求項2】
プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、
金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、金属からなるスキージ面層または、基板面層が、一体的に積層された2層構造の平板であり、
前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさで、貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して、貫通孔である部品収納用開口が形成され、
前記スキージ面層には、前記印刷用開口に対応する位置に、スキージ面側開口が形成され、
前記基板面層には、前記印刷用開口と前記部品収納用開口に対応する位置に、基板面側開口が形成されている、
ことを特徴とする、接着剤印刷用マスク。
【請求項3】
前記印刷用開口に対応する前記基板面側開口のうち、一部または全部が、前記印刷用開口よりも小さく形成されている、
ことを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の接着剤印刷用マスク。
【請求項4】
前記主材層の素材がプラスチックであり、前記スキージ面層と前記基板面層の金属がステンレスである、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の接着剤印刷用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板への部品の表面実装に使用される、接着剤印刷用マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に部品を実装するとき、印刷した接着剤で部品をプリント配線板の所定の位置に仮固定してから、フローはんだによりはんだ付けを行う場合があるが、この際には、接着剤印刷用マスクが使用される(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
従来の接着剤印刷用マスク100(
図9)は、プラスチック製の平板である主材層101の面内に、貫通孔である印刷用開口102と、基板面101b側から加工された非貫通孔である部品収納用開口103が形成されている。
【0004】
印刷用開口102は、接着剤をプリント配線板に転写するための開口であり、その内部で側壁が階段形状をしており、スキージ面側102aより印刷面側102bの方が小さく設定されている。この構造により、接着剤印刷時に印刷用開口102の内部に充填された接着剤が、内部で凝集破断して、その大半が印刷用開口102a内部に残留し、一部がプリント配線板に転写される。
【0005】
また、部品収納用開口103は、予めプリント配線板上に実装された他の部品がマスクと干渉しないよう、収納するために基板面101b側に加工された開口であり、接着剤が充填されないように、印刷用開口102とは異なり、スキージ面側101aが塞がれた非貫通形状をしている。
【0006】
ところで、接着剤印刷用マスク100の印刷用開口102と部品収納用開口103の加工法は、主材層101が主にプラスチックであること、一般のはんだ印刷用のメタルマスクより厚手なこと(1~5mm程度)を考慮して、一般にフライス加工のような機械加工が用いられている。
【0007】
ここで、印刷用開口102の印刷面側102bの大きさや厚さは、接着剤の印刷量に影響するので、印刷品質を左右する重要な要素となっているが、プラスチックのような硬度の低い樹脂材料に対して微細な機械加工をする場合、加工後にバリが発生しやすく、また、近年の電子回路の微細化に対応可能なレベルの微小かつ密集した印刷用開口102の寸法や位置を、高精度で形成したり、印刷面側102bを適正な厚さで形成したりという加工精度の制御が困難であり、印刷品質にも影響を与えていた。
【0008】
また、非貫通孔である部品収納用開口103は、ザグリ加工をする必要があり、貫通孔に比べて難度が高い。また、形成後に主材層101の一部が薄くなることで素材内部の残留応力が不均一になり、反りが発生しやすくなるので、印刷時に接着剤のにじみや位置ずれを発生させて印刷品質を低下させる原因となっていた。
【0009】
さらに、材料がプラスチックである場合、加工やしやすいものの、印刷の繰り返しにより摩耗したり、伸びたりしたりしやすく、マスクの寿命である耐刷性の低さも問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010-103352号公報
【特許文献2】特開2020-072223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明の目的は、上記事情に鑑み、従来よりも簡易な工程で製作でき、さらにマスクの反りを抑えるとともに、加工精度、位置精度、耐刷性を高め、もって印刷品質を向上させた接着剤印刷用マスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、金属からなるスキージ面層と、その反対側の面に金属からなる基板面層が、一体的に積層された3層構造の平板であり、前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさに形成された貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して形成された、貫通孔である、部品収納用開口が形成され、前記スキージ面層には、前記印刷用開口に対応する位置に、スキージ面側開口が形成され、前記基板面層には、前記印刷用開口と前記部品収納用開口に対応する位置に、基板面側開口が形成されている、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、金属からなるスキージ面層が、一体的に積層された2層構造の平板であり、前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさに形成された貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して形成された、貫通孔である、部品収納用開口が形成され、前記スキージ面層には、前記印刷用開口に対応する位置に、スキージ面側開口が形成されている、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載の接着剤印刷用マスクであって、前記主材層の素材がアルミニウム、銅またはプラスチックのうち何れか1種類であり、前記スキージ面層と前記基板面層の金属がステンレスである、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の接着剤印刷用マスクであって、前記印刷用開口に対応する前記基板面側開口のうち、一部または全部が、前記印刷用開口よりも小さく形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、2に記載の発明によれば、スキージ面層を主材層と別構成の金属板にすることで、主材層に形成された貫通孔である部品収納用開口が、スキージ面層によりスキージ面側から塞がれて、部品収納部が形成されているため、主材層に非貫通孔を加工するより工程が簡易になり、生産効率が向上するとともに、主材層の反りの発生を抑えることができる。これにより、マスクの寸法精度と耐刷性を向上させ、印刷品質を高めることが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、基板面層を主材層と別構成の金属板にすることで、従来に比べ、基板面層の厚みのコントロールがしやすくなり、接着剤印刷量の制御を容易にすることが可能となる。また、硬度が高いため加工の寸法・位置精度が向上し、バリの発生も少なくすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、基板面側開口を印刷用開口より小さくすることで、接着剤の印刷箇所と印刷量の制御が容易となる。また、従来のように、主材層の印刷用開口内部に機械加工により段差構造を加工するよりも、より簡単に同様の構造を形成することができるので、生産効率を向上させることが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、主材層の素材を比較的軽量で低硬度のアルミニウムまたはプラスチックとすることで、軽量化と加工性を向上させることができる。また、スキージ面層と基板面層の素材を比較的薄手のステンレスとすることで、開口の形成にレーザー加工を使用することができ、開口の寸法、形状、及び位置精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る、接着剤印刷用マスクの概略の正面図(a)とX-Xの断面図(b)と背面図(c)である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る、接着剤印刷用マスクの主材層の概略断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る、接着剤印刷用マスクのスキージ面層の概略断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る、接着剤印刷用マスクの基板面層の概略断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る、接着剤印刷用マスクの使用状態を示す概略工程図である。
【
図6】本発明の別の実施の形態に係る、接着剤印刷用マスクの概略断面図である。
【
図7】本発明の別の実施の形態に係る、接着剤印刷用マスクの概略断面図である。
【
図8】本発明の別の実施の形態に係る、接着剤印刷用マスクの印刷用開口周辺の概略断面図である。
【
図9】従来の接着剤印刷用マスクの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図面中の各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために、実際の物に比べて大幅に簡略化・省略化して表現している。
【0019】
図1は、接着剤印刷用マスク1の概略の正面図(a)とX-Xの断面図(b)と背面図(c)である。接着剤印刷用マスク1は、主材層11、スキージ面層12、基板面層13が、後述するように接着され、一体的に積層された3層構造の平板状の孔版である。また、
図2、3、4は、それぞれ主材層11、スキージ面層12、基板面層13の
図1(b)と同様の概略断面図である。
【0020】
主材層11は、一辺が200~500mmの略長方形状をしており、厚さは、1~5mmであり、面内で略均一な厚さに成形されている平板である。素材は、機械での加工性を考慮して、比較的軽量で硬度の低い金属または樹脂系材料が使用される。ここで金属としてはアルミニウム、銅等であり、樹脂系材料としてはプラスチック、プラスチック複合材等が考えられる。本実施の形態では、機械的強度や耐溶剤性、加工性を考慮して、ガラスエポキシ樹脂が使用されている。
【0021】
主材層11の面内には、プリント配線板S上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさで、貫通孔である印刷用開口111と、プリント配線板S上の部品配置に対応して、貫通孔である部品収納用開口112が形成されている。
【0022】
スキージ面層12と基板面層13は、主材層11と同じ形状・大きさで、厚さが0.05~0.5mmの平板である。素材は、本実施の形態ではステンレスが使用されている。
【0023】
スキージ面層12には、印刷用開口111に対応する位置に、貫通孔であるスキージ面側開口121が形成されている。スキージ面側開口121の大きさは、印刷用開口111と略同一である。
【0024】
基板面層13には、印刷用開口111と、部品収納用開口112に対応する位置に、貫通孔である基板面側開口131、132が形成されている。ここで、印刷用開口111に対応する基板面側開口131のサイズは、後述するように、印刷パターンに適合した、接着剤の印刷量の調整のために、印刷用開口111よりも小さく設定されている。本実施の形態では、φ0.2mm~0.35mmである。
【0025】
積層状態において、印刷用開口111は、スキージ面側開口121、基板面側開口131、132と略同じ場所に位置するように、合わせこまれている。一方、部品収納用開口112のスキージ面側は、スキージ面層12に塞がれることで、部品収納部を形成している。
【0026】
次に、本実施の形態に係る、接着剤印刷用マスク1の製造方法について説明をする。ここで、以下の工程のうち、工程1~3は、どの順番に実施してもよい。
【0027】
主材層11の外形加工及び印刷用開口111と部品収納用開口112の加工は、厚さ1mm以上のプラスチック板またはアルミニウム板に対する穴あけ加工に適した、機械加工で行われる(工程1)。本実施の形態では、マシニングセンタを用いて、フライス加工を行った。
【0028】
次に、スキージ面層12の外形加工及びスキージ面側開口121を加工する。本実施の形態では、厚さ0.5mm以下のステンレス板に対する穴あけ加工に適した、レーザー加工で行われる(工程2)。基板面層13の外形加工及び基板面側開口131、132を加工する場合も同様である(工程3)。
【0029】
工程1で加工した主材層11の両面に、熱硬化性の液状の接着剤を均一に塗布し、工程2、3で加工したスキージ面層12、基板面層13を、対応する開口の位置を合わせつつ、スキージ面層12、主材層11、基板面層13の順番で積層する(工程4)。なお、本実施の形態では、液状接着剤は、エポキシ系の材料を使用した。
【0030】
次に、接着シートを、所定の圧力と温度の下で硬化させ、工程4で準備した、スキージ面層12、主材層11、基板面層13の積層体を一体的に接着することで、接着剤印刷用マスク1が完成する。
【0031】
使用時には、接着剤印刷用マスク1を金属製の枠に、ポリエステルメッシュを介して所定のテンションで張設した接着剤印刷用マスク版(図示略)として、印刷装置に設置して接着剤印刷に供する。
【0032】
次に、
図5に基づいて、本実施の形態に係る接着剤印刷用マスク1の使用状態である、接着剤印刷工程について説明する。
【0033】
先ず、プリント配線板Sに基板面層13を密着させ、スキージ(図示略)でスキージ面層12側から接着剤Bを印刷用開口111及び、これに対応するスキージ面側開口121、基板面側開口131に充填する(
図5(a))。
【0034】
接着剤印刷用マスク1をプリント配線板Sから所定の速度で離隔すると、印刷用開口111等に充填された接着剤Bのうち一部が、いわゆる凝集破壊をしてプリント配線板S上に転写される(
図5(b))。
【0035】
本実施の形態の発明によれば、スキージ面層12を主材層11と別構成の金属板にすることで、主材層11に形成された貫通孔である部品収納用開口112が、スキージ面層12によりスキージ面側から塞がれて、部品収納部が形成されるので、主材層11に非貫通孔を加工するより工程が簡易になり生産効率が向上するとともに、主材層11の反りの発生を抑えることができる。これにより、接着剤印刷用マスク1の寸法精度を向上させ、印刷品質を高めることが可能となる。
【0036】
また、基板面層13を主材層11と別構成の金属板にすることで、従来に比べ、基板面層13の厚みのコントロールがしやすくなり、接着剤Bの印刷量の制御を容易にすることが可能となる。また、硬度が高いため加工の寸法・位置精度が向上し、バリの発生も少なくすることができる。
【0037】
また、基板面側開口131を印刷用開口111より小さくすることで、接着剤Bの印刷箇所と印刷量の制御が容易となる。また、従来のように、主材層11の印刷用開口11内部に機械加工により段差構造を形成するよりも、より簡単に同様の構造を形成することができるので、生産効率を向上させることが可能となる。
【0038】
また、主材層11の素材を比較的軽量で低硬度のアルミニウムまたはプラスチックとすることで、軽量化と加工性を向上させることができる。また、スキージ面層12と基板面層13の素材を比較的薄手のステンレスとすることで、開口の形成にレーザー加工を使用することができ、開口の寸法、形状、及び位置精度を向上させることが可能となる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶ。
【0040】
例えば、基板面層13が主材層11と別構成の金属板なので、別個に撥水・撥油といった撥液処理を施せるため、印刷時における基板面側開口131からの接着剤Bのスムーズな抜けが可能となる。
【0041】
また、必ずしも3層構造ではなく、
図6、7の接着剤印刷用マスク2,3のように、主材層21、31とスキージ面層22または基板面層33の2層構造としても、従来のものに比べて、有意な効果を得ることができる。
【0042】
また、3層構造の場合において、主材層11、スキージ面層12、基板面層13そのものを、それぞれ2枚以上の多層構造にした場合も、本実施の形態に含まれる。この場合、主材層11は、貫通孔である印刷用開口11、部品収納用開口12が形成されている1つ以上の層、スキージ面層12は、貫通孔であるスキージ面側開口121が形成されている1つ以上の層、基板面層13は、貫通孔である基板側開口131、132が形成されている1つ以上の層の総称を意味するものとする。前述の2層構造の形態においても同様である。
【0043】
また、
図8の接着剤印刷用マスク4のように、1個の印刷用開口411に、複数の基板面側開口431を対応させることも可能である。これにより、さらなる生産効率の向上が可能となるとともに、ち密な印刷パターンへの対応が可能となる。
【0044】
また、主材層11の素材である樹脂系材料は、ガラスエポキシ樹脂に限られず、PET、ポリカーボネード、アクリル、ポリアセタール、PTFEなど各種のプラスチックでも可能である。
【0045】
また、スキージ面層12、基板面層13の金属は、ステンレスに限られず、ニッケルやニッケルと鉄の合金なども使用できる。
【0046】
また、スキージ面層12、基板面層13をレーザー加工した後、電解研磨、化学研磨、バフ研磨のような後処理を行うことで、開口周辺の微小なバリ、金属溶融物、ドロスといったレーザー加工に伴う副生物を除去するこができるので、さらに印刷品質の向上が可能となる。
【0047】
また、主材層11に金属材料を使う場合、スキージ面層12、基板面層13と同じ金属を使用することも可能である。また、スキージ面層12と基板面層13を別種の金属を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0048】
1、2、3、4 ペースト印刷用孔版
11、21、31 主材層
111 印刷用開口
112 部品収納用開口
12、22 スキージ面層
121 スキージ面側開口
13、33 基板面層
131、132、431 基板面側開口
B 接着剤
P 部品
S プリント配線板
【手続補正書】
【提出日】2021-02-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、
金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、金属からなるスキージ面層と、その反対側の面に金属からなる基板面層が、一体的に積層された3層構造の平板であり、
前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさで、貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して、貫通孔である部品収納用開口が形成され、
前記スキージ面層の、前記印刷用開口に対応する位置には、スキージ面側開口が形成され、
前記基板面層には、前記印刷用開口と前記部品収納用開口に対応する位置に、基板面側開口が形成され、
前記印刷用開口に対応する前記基板面側開口のうち、一部または全部が、前記印刷用開口よりも段差状に小さく形成されており、
積層状態において、前記印刷用開口は、前記スキージ面側開口、前記基板面側開口と略同じ場所に位置するように合わせこまれ、前記部品収納用開口のスキージ面側は、前記スキージ面層に塞がれることで、部品収納部を形成している、
ことを特徴とする、接着剤印刷用マスク。
【請求項2】
プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、
金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、基板面層が、一体的に積層された2層構造の平板であり、
前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさで、貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して、非貫通孔である部品収納用開口が形成され、
前記基板面層には、前記印刷用開口と前記部品収納用開口に対応する位置に、基板面側開口が形成され、
前記印刷用開口に対応する前記基板面側開口のうち、一部または全部が、前記印刷用開口よりも段差状に小さく形成されており、
積層状態において、前記印刷用開口は、前記基板面側開口と略同じ場所に位置するように合わせこまれている、
ことを特徴とする、接着剤印刷用マスク。
【請求項3】
プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、
金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、金属からなるスキージ面層が、一体的に積層された2層構造の平板であり、
前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさで、貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して、貫通孔である部品収納用開口が形成され、
前記スキージ面層の、前記印刷用開口に対応する位置には、スキージ面側開口が形成され、
前記印刷用開口は、一部または全部が、スキージ面側より印刷面側が段差状に小さく形成されており、
積層状態において、前記印刷用開口は、前記スキージ面側開口と略同じ場所に位置するように合わせこまれ、前記部品収納用開口のスキージ面側は、前記スキージ面層に塞がれることで、部品収納部を形成している、
ことを特徴とする、接着剤印刷用マスク。
【請求項4】
前記主材層の素材がプラスチックであり、前記スキージ面層と前記基板面層の金属がステンレスである、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の接着剤印刷用マスク。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、金属からなるスキージ面層と、その反対側の面に金属からなる基板面層が、一体的に積層された3層構造の平板であり、前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさで、貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して、貫通孔である部品収納用開口が形成され、前記スキージ面層の、前記印刷用開口に対応する位置には、スキージ面側開口が形成され、前記基板面層には、前記印刷用開口と前記部品収納用開口に対応する位置に、基板面側開口が形成され、前記印刷用開口に対応する前記基板面側開口のうち、一部または全部が、前記印刷用開口よりも段差状に小さく形成されており、積層状態において、前記印刷用開口は、前記スキージ面側開口、前記基板面側開口と略同じ場所に位置するように合わせこまれ、前記部品収納用開口のスキージ面側は、前記スキージ面層に塞がれることで、部品収納部を形成している、
ことを特徴とする、接着剤印刷用マスクである。
請求項2に記載の発明は、プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、基板面層が、一体的に積層された2層構造の平板であり、前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさで、貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して、非貫通孔である部品収納用開口が形成され、前記基板面層には、前記印刷用開口と前記部品収納用開口に対応する位置に、基板面側開口が形成され、前記印刷用開口に対応する前記基板面側開口のうち、一部または全部が、前記印刷用開口よりも段差状に小さく形成されており、積層状態において、前記印刷用開口は、前記基板面側開口と略同じ場所に位置するように合わせこまれている、ことを特徴とする、接着剤印刷用マスク。
請求項3に記載の発明は、プリント配線板上に接着剤を印刷するための接着剤印刷用マスクであって、金属または樹脂系材料からなる主材層と、前記主材層の片面に、金属からなるスキージ面層が、一体的に積層された2層構造の平板であり、前記主材層には、前記プリント配線板上の接着剤印刷パターンに対応した形状と大きさで、貫通孔である印刷用開口と、前記プリント配線板上の部品配置に対応して、貫通孔である部品収納用開口が形成され、前記スキージ面層の、前記印刷用開口に対応する位置には、スキージ面側開口が形成され、前記印刷用開口は、一部または全部が、スキージ面側より印刷面側が段差状に小さく形成されており、積層状態において、前記印刷用開口は、前記スキージ面側開口と略同じ場所に位置するように合わせこまれ、前記部品収納用開口のスキージ面側は、前記スキージ面層に塞がれることで、部品収納部を形成している、ことを特徴とする、接着剤印刷用マスク。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の接着剤印刷用マスクであって、前記主材層の素材がプラスチックであり、前記スキージ面層と前記基板面層の金属がステンレスである、ことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項1、3に記載の発明によれば、スキージ面層を主材層と別構成の金属板にすることで、主材層に形成された貫通孔である部品収納用開口が、スキージ面層によりスキージ面側から塞がれて、部品収納部が形成されているため、主材層に非貫通孔を加工するより工程が簡易になり、生産効率が向上するとともに、主材層の反りの発生を抑えることができる。これにより、マスクの寸法精度と耐刷性を向上させ、印刷品質を高めることが可能となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項1、2に記載の発明によれば、基板面層を主材層と別構成の金属板にすることで、従来に比べ、基板面層の厚みのコントロールがしやすくなり、接着剤印刷量の制御を容易にすることが可能となる。また、硬度が高いため加工の寸法・位置精度が向上し、バリの発生も少なくすることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項1から3に記載の発明によれば、基板面側開口を印刷用開口より小さくすることで、接着剤の印刷箇所と印刷量の制御が容易となる。また、従来のように、主材層の印刷用開口内部に機械加工により段差構造を加工するよりも、より簡単に同様の構造を形成することができるので、生産効率を向上させることが可能となる。