特開 2022-62746 多剤式毛髪処理剤およびその使用方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022062746

(43)【公開日】2022-04-21

(54)【発明の名称】多剤式毛髪処理剤およびその使用方法

(51)【国際特許分類】

   A61K 8/34 20060101AFI20220414BHJP

   A61Q 5/00 20060101ALI20220414BHJP

   A61K 8/06 20060101ALI20220414BHJP

   A61K 8/73 20060101ALI20220414BHJP

   A61Q 5/12 20060101ALI20220414BHJP

【ＦＩ】

A61K8/34

A61Q5/00

A61K8/06

A61K8/73

A61Q5/12

【審査請求】未請求

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2020170854

(22)【出願日】2020-10-09

(71)【出願人】

【識別番号】592255176

【氏名又は名称】株式会社ミルボン

(74)【代理人】

【識別番号】100078064

【弁理士】

【氏名又は名称】三輪 鐵雄

(74)【代理人】

【識別番号】100115901

【弁理士】

【氏名又は名称】三輪 英樹

(72)【発明者】

【氏名】松本 尚人

(72)【発明者】

【氏名】荒木 健志

(72)【発明者】

【氏名】小林 典史

【テーマコード（参考）】

4C083

【Ｆターム（参考）】

4C083AC071

4C083AC072

4C083AC102

4C083AC352

4C083AC692

4C083AD042

4C083AD152

4C083AD281

4C083AD282

4C083AD351

4C083AD352

4C083BB06

4C083CC31

4C083CC33

4C083DD06

4C083DD23

4C083DD27

4C083DD33

4C083EE06

4C083EE28

4C083EE29

(57)【要約】

【課題】 施術途中で毛髪のやわらかさなどの質感を変化させ得る多剤式毛髪処理剤、およびその使用方法を提供する。
【解決手段】 本発明の多剤式毛髪処理剤は、少なくとも第１剤と第２剤とを含み、前記第１剤、前記第２剤の順に毛髪に適用されるものであって、前記第１剤は、高級アルコールおよびカチオン界面活性剤が配合された水中油滴型乳化物であり、前記第２剤は、高級アルコール、カチオン界面活性剤、並びにヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも１種のヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）が配合された水中油滴型乳化物であることを特徴とするものである。
【選択図】 なし

【特許請求の範囲】

【請求項1】

少なくとも第１剤と第２剤とを含み、前記第１剤、前記第２剤の順に毛髪に適用される多剤式毛髪処理剤であって、
前記第１剤は、高級アルコールおよびカチオン界面活性剤が配合された水中油滴型乳化物であり、
前記第２剤は、高級アルコール、カチオン界面活性剤、並びにヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも１種のヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）が配合された水中油滴型乳化物であることを特徴とする多剤式毛髪処理剤。

【請求項2】

前記第２剤には、タマリンドガムがさらに配合されている請求項１に記載の多剤式毛髪処理剤。

【請求項3】

請求項１または２に記載の多剤式毛髪処理剤の使用方法であって、
濡れた状態の毛髪に前記第１剤を塗布し、続いて前記第１剤を洗い流すことなく前記第２剤を前記毛髪に塗布することを特徴とする多剤式毛髪処理剤の使用方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、施術途中で毛髪のやわらかさなどの質感を変化させ得る多剤式毛髪処理剤、およびその使用方法に関するものである。

【背景技術】

【0002】

ヘアトリートメントなどの毛髪処理剤に関しては、１剤式のものだけでなく、配合組成の異なる複数の剤を組み合わせた多剤式のものも知られている（特許文献１など）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１９－８９８１４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、例えば第１剤、第２剤の順に毛髪に重ね塗りするタイプの多剤式毛髪処理剤においては、第１剤の塗布後と第２剤の塗布後との間で、毛髪のやわらかさなどの質感に変化を付けることが可能になれば、毛髪の補修感などの仕上がり状態の向上への期待感が高まると予想される。特に、美容室においては、毛髪の施術途中にこのような質感の変化が得られると、施術者および被施術者の双方において期待感が高まると思われ、上記のような質感を変え得る機能を有する多剤式毛髪処理剤の提供が望ましい。

【0005】

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、施術途中で毛髪のやわらかさなどの質感を変化させ得る多剤式毛髪処理剤、およびその使用方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の多剤式毛髪処理剤は、少なくとも第１剤と第２剤とを含み、前記第１剤、前記第２剤の順に毛髪に適用されるものであって、前記第１剤は、高級アルコールおよびカチオン界面活性剤が配合された水中油滴型乳化物であり、前記第２剤は、高級アルコール、カチオン界面活性剤、並びにヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも１種のヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）が配合された水中油滴型乳化物であることを特徴とするものである。

【0007】

また、本発明の多剤式毛髪処理剤の使用方法は、本発明の多剤式毛髪処理剤を使用するに際し、濡れた状態の毛髪に前記第１剤を塗布し、続いて前記第１剤を洗い流すことなく前記第２剤を前記毛髪に塗布することを特徴とする。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、施術途中で毛髪のやわらかさなどの質感を変化させ得る多剤式毛髪処理剤、およびその使用方法を提供することができる。

【発明を実施するための形態】

【0009】

本発明の多剤式毛髪処理剤は、高級アルコールおよびカチオン界面活性剤が配合さされた水中油滴型乳化物である第１剤と、高級アルコール、カチオン界面活性剤、並びにヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも１種のヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）が配合された水中油滴型乳化物である第２剤とで構成されている。そして、濡れた状態の毛髪に第１剤を塗布し、これを洗い流すことなく第２剤を重ね塗りすることで、毛髪のやわらかさなどの質感を、第１剤塗布後の毛髪の状態から変化させることができる。

【0010】

以下に、本発明の実施形態に基づいて本発明を説明する。

【0011】

〔第１剤〕
本実施形態の多剤式毛髪処理剤に係る第１剤は、高級アルコールおよびカチオン界面活性剤が配合された水中油滴型乳化物である。

【0012】

第１剤に配合し得る高級アルコールとしては、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールなどの、炭素数が１２～２２のアルコールが挙げられる。第１剤には、これらの高級アルコールのうちの１種のみを用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

【0013】

第１剤における高級アルコールの配合量は、第１剤を水中油滴型乳化物にできる量であれば特に制限はないが、例えば第１剤を好適な剤型であるクリーム状とする場合には、２質量％以上であることが好ましく、４質量％以上であることがより好ましく、１０質量％以下であることが好ましく、８質量％以下であることがより好ましい。

【0014】

第１剤に配合し得るカチオン界面活性剤としては、例えば、炭素数が１２～２２のアルキル鎖を有する第４級アンモニウム塩または炭素数が１２～２２のアルキル鎖を有する第３級アミン塩が挙げられ、上記塩としては、ハロゲン塩、アルキル硫酸塩などが挙げられる。

【0015】

炭素数が１２～２２のアルキル鎖を有する第４級アンモニウム塩としては、例えば、モノ長鎖アルキル型の第４級アンモニウム塩（塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムなど）、ジ長鎖アルキル型の第４級アンモニウム塩（塩化ジココイルジメチルアンモニウムなど）、エチレンオキサイド（Ｅ．Ｏ．）付加型の第４級アンモニウム塩などが挙げられる。炭素数が１２～２２のアルキル鎖を有する第３級アミン塩としては、例えば、脂肪酸アミドアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン（ポリオキシエチレンオレイルアミンなど）、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどが挙げられる。

【0016】

第１剤には、これらのカチオン界面活性剤のうちの１種のみを用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

【0017】

第１剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、第１剤を水中油滴型乳化物にできる量であれば特に制限はないが、例えば第１剤を好適な剤型であるクリーム状とする場合には、１質量％以上であることが好ましく、２質量％以上であることがより好ましく、５質量％以下であることがよく、４質量％以下であることが好ましく、３質量％以下であることがより好ましい。

【0018】

第１剤は水中油滴型乳化物であり、水を配合する。第１剤における水の配合量は、第１剤が水中油滴型乳化物となる範囲であれば特に制限はないが、例えば６０～９０質量％である。

【0019】

また、第１剤には、例えば通常の毛髪処理剤に配合されている各種成分を、任意に配合することができる。このような任意成分としては、例えば、シリコーン、ノニオン界面活性剤、多価アルコール、エステル油、糖類、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物、低級アルコール、アミノ酸、動植物抽出油、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤などが挙げられる。

【0020】

なお、第１剤には、ヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）および／またはタマリンドガムを配合できるが、その場合、ヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）の配合量は０．０２質量％未満、タマリンドガムの配合量は０．１質量％未満であるとよい。

【0021】

シリコーンとしては、例えば、高重合メチルポリシロキサン、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーン（ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体など）、ポリグリセリン変性シリコーン（ポリグリセリル－３ジシロキサンジメチコーンなど）、アミノ変性シリコーン（アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体など）、フェニル変性シリコーン（メチルフェニルポリシロキサンなど）などが挙げられる。第１剤におけるシリコーンの配合量は、例えば０．１～２０質量％である。

【0022】

ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。第１剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、例えば０．０５～５質量％である。

【0023】

多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ブチレングリコールなどが挙げられる。第１剤における多価アルコールの配合量は、例えば０．０５～１０質量％以下である。

【0024】

エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピルなどの直鎖脂肪酸と低級アルコールとのエステル、カプリル酸セチルなどの直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル、パルミチン酸２－エチルヘキシルなどの直鎖脂肪酸と分枝アルコールとのエステル、イソステアリン酸イソプロピルなどの分枝脂肪酸と低級アルコールとのエステル、エチルヘキサン酸セチルなどの分枝脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル、ジカプリル酸プロピレングリコールなどの脂肪酸と多価アルコールとのエステル、イソノナン酸２－エチルヘキシルなどの分枝脂肪酸と分枝アルコールとのエステルなどが挙げられる。第１剤におけるエステル油の配合量は、例えば０．０１～２０質量％以下である。

【0025】

第１剤のｐＨは、例えば３～１１である。

【0026】

第１剤は、例えば、液状、ローション状、クリーム状、ゲル状などの剤型とすることができる。

【0027】

第１剤が好適な剤型であるクリーム状である場合、その粘度は、例えば３，０００ｍＰａ・ｓ以上４０，０００ｍＰａ・ｓ以下である。本明細書でいう第１剤および第２剤の粘度は、Ｂ型粘度計において、粘度に応じて選定したローターを使用して２５℃で計測した６０秒後の値である。

【0028】

〔第２剤〕
本実施形態の多剤式毛髪処理剤に係る第２剤は、高級アルコール、カチオン界面活性剤および特定のヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）が配合された水中油滴型乳化物である。

【0029】

第２剤の高級アルコールには、第１剤に使用し得るものとして先に例示した各種の高級アルコールと同じもののうちの１種または２種以上を使用することができる。

【0030】

第２剤における高級アルコールの配合量は、第２剤を水中油滴型乳化物にできる量であれば特に制限はないが、例えば第２剤を好適な剤型であるクリーム状とする場合には、１質量％以上であることが好ましく、２質量％以上であることがより好ましく、６質量％以下であることが好ましく、４質量％以下であることがより好ましい。

【0031】

第２剤のカチオン界面活性剤には、第１剤に使用し得るものとして先に例示した各種のカチオン界面活性剤と同じもののうちの１種または２種以上を使用することができる。

【0032】

第２剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、第２剤を水中油滴型乳化物にできる量であれば特に制限はないが、例えば第２剤を好適な剤型であるクリーム状とする場合には、０．５質量％以上であることが好ましく、１質量％以上であることがより好ましく、５質量％以下であることがよく、４質量％以下であることが好ましく、３質量％以下であることがより好ましい。

【0033】

第２剤に配合し得るヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される。ヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）には、これらのうちの１種のみを用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

【0034】

第２剤におけるヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）の配合量は、第２剤を塗布した後の毛髪のやわらかさなどの質感を、第１剤を塗布した後の状態から高める効果をより良好に確保する観点から、０．０２質量％以上であることが好ましく、０．１質量％以上であることがより好ましい。ただし、第２剤におけるヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）の量が多すぎると、粘度が増大しすぎる虞があることから、第２剤におけるヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）の配合量は、１．５質量％以下であることが好ましく、１．０質量％以下であることがより好ましく、０．５質量％以下であることがさらに好ましい。

【0035】

第２剤にはタマリンドガムを配合することが好ましい。これにより、第２剤を塗布した後の毛髪のやわらかさなどの質感を、第１剤の塗布後の質感から、より大きく変えることができるようになる。

【0036】

第２剤におけるタマリンドガムの配合量は、その使用による上記の効果をより良好に確保する観点から、０．１質量％以上であることが好ましく、０．５質量％以上であることがより好ましい。ただし、第２剤におけるタマリンドガムの量が多すぎると、粘度が増大しすぎる虞があることから、第２剤におけるタマリンドガムの配合量は、２質量％以下であることが好ましく、１．５質量％以下であることがより好ましい。

【0037】

第２剤は水中油滴型乳化物であり、水を配合する。第２剤における水の配合量は、第２剤が水中油滴型乳化物となる範囲であれば特に制限はないが、例えば６０～９０質量％である。

【0038】

また、第２剤には、例えば通常の毛髪処理剤に配合されている各種成分を、任意に配合することができる。このような任意成分としては、例えば、シリコーン、ノニオン界面活性剤、多価アルコール、エステル油、糖類、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物、低級アルコール、アミノ酸、動植物抽出油、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤などが挙げられる。

【0039】

第２剤のシリコーンには、第１剤に使用し得るものとして先に例示した各種のシリコーンと同じもののうちの１種または２種以上を使用することができる。第２剤におけるシリコーンの配合量は、例えば０．１～２０質量％である。

【0040】

第２剤のノニオン界面活性剤には、第１剤に使用し得るものとして先に例示した各種のノニオン界面活性剤と同じもののうちの１種または２種以上を使用することができる。第２剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、例えば０．０５～５質量％である。

【0041】

第２剤の多価アルコールには、第１剤に使用し得るものとして先に例示した各種の多価アルコールと同じもののうちの１種または２種以上を使用することができる。第２剤における多価アルコールの配合量は、例えば０．０５～１０質量％である。

【0042】

第２剤のエステル油には、第１剤に使用し得るものとして先に例示した各種のエステル油と同じもののうちの１種または２種以上を使用することができる。第２剤におけるエステル油の配合量は、例えば０．１～１０質量％である。

【0043】

第２剤のｐＨは、例えば３～１１である。

【0044】

第２剤は、例えば、液状、ローション状、クリーム状、ゲル状などの剤型とすることができる。

【0045】

第２剤が好適な剤型であるクリーム状である場合、その粘度は、例えば３，０００ｍＰａ・ｓ以上４０，０００ｍＰａ・ｓ以下である。

【0046】

〔多剤式毛髪処理剤の構成〕
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤は、第１剤および第２剤のみで構成されていてもよいが、必要に応じて１種または２種以上の他の処理剤を含んでいてもよい。

【0047】

〔多剤式毛髪処理剤の使用方法〕
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤は、例えば、濡れた状態の毛髪に第１剤を塗布し、その第１剤を洗い流すことなく、前記毛髪に第２剤を塗布する（第１剤に重ね塗りする）方法で使用することができる。第１剤を毛髪に塗布する際、および第２剤を毛髪に塗布する際には、例えば、適量の第１剤や第２剤を手に取って塗布することができる。なお、多剤式毛髪処理剤が第１剤および第２剤とは別に、他の処理剤も含む場合、第１剤を塗布後の毛髪には続いて第２剤を塗布し、前記他の処理剤は、第１剤の塗布前または第２剤の塗布後に毛髪に適用する。

【0048】

〔多剤式毛髪処理剤の用途〕
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤は、シャンプーでの洗浄後の毛髪に適用する多剤式のヘアトリートメントとして使用できる他、パーマネントウェーブ処理、縮毛矯正処理などの毛髪変形処理の前処理剤、中間処理剤および後処理剤や、カラー処理の前処理剤および後処理剤などとして使用することができる。

【実施例0049】

以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、以下の表１に記載する第１剤および表２に記載する第２剤の各構成成分の配合量は質量部であるが、その質量部の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。

【0050】

実施例１、２および比較例１～４
まず、ステアリルアルコール、セタノール、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション、イソプロパノール、精製水を使用し、表１に示す組成で第１剤を調製した。得られた第１剤は、ｐＨが７．９６で粘度が７０６０ｍＰａ・ｓの水中油滴型乳化物であった。

【0051】

次に、ステアリルアルコール、セタノール、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース、タマリンドガム、メチルポリシロキサン、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション、ジプロピレングリコール、イソノナン酸２－エチルヘキシル、イソプロパノール、精製水を使用し、表２に示す組成で実施例１、２および比較例１～４に係る第２剤を調製した。得られた第２剤は、いずれも水中油滴型乳化物で、ｐＨおよび粘度が表２に示す値であった。

【0052】

そして、これらの第２剤を上記第１剤と組み合わせて、実施例１、２および比較例１～４の多剤式毛髪処理剤を得た。

【0053】

実施例および比較例の多剤式毛髪処理剤について、下記の方法によって第１剤を塗布した毛髪の質感（やわらかさ）の、第２剤を重ね塗りした後の変化の程度（毛髪の質感の変化）を評価した。

【0054】

同一人から採取した毛束（１毛束あたり７ｇ）を複数用意し、それぞれをシャンプーで洗浄してから、水で洗い流した。その後の各毛束のそれぞれに、多剤式毛髪処理剤に係る第１剤：０．２ｇを手に取って万遍なく塗布し、続いて第２剤：０．２ｇを手に取って万遍なく第１剤の上に重ね塗りした。

【0055】

実施例および比較例の多剤式毛髪処理剤における上記処理の際に、第２剤塗布後の毛髪の質感（やわらかさ）の、第１剤塗布後の毛髪の質感からの変化の程度を、専門の評価者６名が評価し、下記の基準に従って点数付けを行った。

【0056】

＜評価基準＞
第２剤塗布後の方が、毛髪のやわらかさが大きく向上している ： ３点、
第２剤塗布後の方が、毛髪のやわらかさが向上している ： ２点、
第２剤塗布後の方が、毛髪のやわらかさがやや向上している ： １点、
第１剤塗布後と第２剤塗布後とで、毛髪のやわらかさが殆ど変化していない ： ０点。

【0057】

そして、全評価者の点数を合計して、各多剤式毛髪処理剤における、第２剤の塗布後の毛髪の質感を第１剤の塗布後から変化させる機能の評価とした。これらの評価結果を、表２に併記する。

【0058】

【表1】

【0059】

表１中の「アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション」は、アミノ変性シリコーンであるアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体を４０質量％含む水分散体である。また、表２中の「カチオン化セルロース」は、塩化Ｏ－［２－ヒドロキシ－３－（トリメチルアンモニオ）プロピル］ヒドロキシエチルセルロース（ポリクオタニウム－１０）である。

【0060】

【表2】

【0061】

表２に示す通り、高級アルコールおよびカチオン界面活性剤と共にヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）を配合した第２剤を有する実施例１、２の多剤式毛髪処理剤は、第２剤を塗布した後の毛髪の質感（やわらかさ）を、第１剤の塗布後から良好に変化させることができた。また、ヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）に加えてタマリンドガムも第２剤に配合した実施例１の多剤式毛髪処理剤は、第２剤を塗布した後の毛髪の、第１剤の塗布後からの質感の変化の程度が、第２剤にタマリンドガムを配合していない実施例２の多剤式毛髪処理剤よりも大きかった。

【0062】

一方、第１剤と同じ組成の第２剤を有する比較例１の多剤式毛髪処理剤、ヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）を配合せずにタマリンドガムを配合した第２剤を有する比較例２の多剤式毛髪処理剤、ヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）に代えてステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合した第２剤を有する比較例３の多剤式毛髪処理剤、およびヒドロキシアルキルセルロース（Ａ）に代えてカチオン化セルロースを配合した第２剤を有する比較例４の多剤式毛髪処理剤は、第２剤を塗布した後の毛髪の、第１剤の塗布後からの質感の変化の程度が小さく、実施例１、２の多剤式毛髪処理剤よりも劣っていた。