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特開2022-62774食品の冷凍用容器及び冷凍食品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062774
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】食品の冷凍用容器及び冷凍食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20220414BHJP
   A23L 3/37 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
B65D85/50 100
A23L3/37 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170902
(22)【出願日】2020-10-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】591030776
【氏名又は名称】株式会社丸善
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】特許業務法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白神 雅夫
【テーマコード(参考)】
3E035
4B022
【Fターム(参考)】
3E035AA04
3E035AA05
3E035AA06
3E035AA11
3E035AA20
3E035BA02
3E035BB01
3E035BC02
3E035BD04
3E035CA01
4B022LB02
4B022LT10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冷凍された複数の食品を、容器から外した状態でバラバラの状態とせずに、冷凍された複数の食品が一組にまとまった状態で流通させることが可能であり、凍結した状態の複数の食品から必要な個数の食品を切り離して調理することが可能であり、また、包装資材の使用量を低減することが可能な冷凍食品の製造方法と、その製造方法において使用する食品の冷凍用容器を提供する。
【解決手段】複数の食品の収納穴を連通させる凹溝とを有する食品の冷凍用容器であり、収納穴に食品を収納して、液体を容器内に流し込んだ際に液体が溜まる形状であり、凹溝は、食品と液体とを冷凍した際に、隣接する食品同士を凍結させた液体で連結する連結部82を構成するためのものであり、冷凍した食品を容器から外して持ち上げた際に、冷凍した食品の自重によって壊れない形状を備える連結部を形成する食品の冷凍用容器と、その食品容器を使用した冷凍食品8の製造方法である。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食品の収納穴と、隣接する収納穴を連通させる凹溝とを有する冷凍用食品容器であり、
収納穴及び凹溝は、収納穴に食品を収納して、液体を容器内に流し込んだ際に液体が溜まる形状であり、
凹溝は、収納穴に連通し、収納穴に収納された食品と凹溝に溜められた液体とを冷凍した際に、隣接する食品同士を凍結させた液体で連結する連結部を構成するためのものであり、
個々の凹溝は、冷凍した食品を容器から外して持ち上げた際に、冷凍した食品の自重によって壊れない形状を備える連結部を形成する食品の冷凍用容器。
【請求項2】
凹溝の断面と収納穴の断面を想定した際に、個々の凹溝の断面積は、収納穴の断面積よりも小さい形状である請求項1に記載の食品の冷凍用容器。
【請求項3】
容器の平面側は、解放された形状とされており、注ぎ込まれた液体の液面によって、冷凍された食品の平面側の形状が規定され、
容器の底部は、平坦な部分を備えており、冷凍された食品の底面側の形状が平坦な部分を備えるように成形される請求項1又は2に記載の食品の冷凍用容器。
【請求項4】
外周の縁部は、収納穴の上端よりも、上方に突出しており、収納穴と凹溝に注ぎ込まれた液体がこぼれるのを防止する形状を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の食品の冷凍用容器。
【請求項5】
食品の収納穴は、縦方向及び横方向に複数個が配列されており、
個々の収納穴は、縦方向及び横方向に配置される凹溝によって、連通されている請求項1ないし4のいずれかに記載の食品の冷凍用容器。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の食品の冷凍用容器を用いて、冷凍食品を製造する方法であり、
当該方法は、複数の収納穴に食品を投入する工程と、
凹溝又は収納穴に液体を注ぎ込む工程と、
収納穴及び凹溝に入れられた食品と液体とを冷凍する工程とを有しており、
製造される冷凍食品は、複数の食品が、凹溝に溜まった液体が固化した連結部によって連結された形状を有する冷凍食品の製造方法。
【請求項7】
凍結により固化した食品を容器から外して、複数の冷凍食品を袋の中に並べた状態で収納する工程を有する請求項6に記載の冷凍食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の冷凍用容器及び冷凍食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、合成樹脂製の容器の中に複数の餃子を配列した状態で、水と穀物粉とを含有する連結材を容器の中に流し込んで、餃子と連結材とを凍結させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003‐000204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、トレイの底に水と穀物粉とを含有する連結材が溜められた状態で冷凍する。複数の餃子は、トレイの底に溜まった連結材が凍結することにより、連結される。この方法によれば、複数の餃子は、連結材で連結されているため、輸送中にばらばらになることがないとされている。
【0005】
特許文献1の発明では、平板状のトレイの底に複数の餃子を並べた状態で、餃子と連結材とを凍結させる。隣接する餃子の位置が近いと、一方の餃子と他方の餃子とが結着した状態で凍結されてしまう。このような状態で連結されると、餃子を全て解凍しなければ、一方の餃子と他方の餃子とを分離することができない。こうなってしまうと、餃子が冷凍された状態で、必要な個数の餃子を分離して、調理することが難しくなるという問題がある。
【0006】
また、特許文献1の発明では、連結材で連結された餃子をトレイから外して、凍結された餃子を流通させることは想定されていない。凍結された餃子をトレイから外した状態で流通させようとした場合、連結材の部分で冷凍された餃子が破損して、複数の餃子がばらばらになる可能性がある。
【0007】
上述の通り、特許文献1の発明では、連結材で連結された餃子をトレイから外して、凍結された餃子を流通させることは想定されていない。このため、連結された複数の餃子1組について、1枚のトレイが必要になる。さらに、トレイに収納された餃子を包装する外袋が必要になる。このため、包装資材が多量に必要となるという問題がある。
【0008】
本発明は、冷凍された複数の食品を、容器から外した状態でバラバラの状態とせずに、冷凍された複数の食品が一組にまとまった状態で流通させることが可能であり、冷凍された複数の食品から必要な個数の食品を切り離して調理することが可能であり、また、包装資材の使用量を低減することが可能な冷凍食品の製造方法と、その製造方法において使用する食品の冷凍用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
複数の食品の収納穴と、隣接する収納穴を連通させる凹溝とを有する食品の冷凍用容器であり、収納穴及び凹溝は、収納穴に食品を収納して、液体を容器内に流し込んだ際に液体が溜まる形状であり、凹溝は、収納穴に連通し、収納穴に収納された食品と凹溝に溜められた液体とを冷凍した際に、隣接する食品同士を凍結させた液体で連結する連結部を構成するためのものであり、個々の凹溝は、冷凍した食品を容器から外して持ち上げた際に、冷凍した食品の自重によって壊れない形状を備える連結部を形成する食品の冷凍用容器により、上記の課題を解決する。
【0010】
上記の食品の冷凍用容器を用いて、冷凍食品を製造する方法であり、当該方法は、複数の収納穴に食品を投入する工程と、凹溝又は収納穴に液体を注ぎ込む工程と、収納穴及び凹溝に入れられた食品と液体とを冷凍する工程とを有しており、製造される冷凍食品は、複数の食品が凹溝に溜まった液体が固化した連結部によって連結された形状を有する冷凍食品の製造方法により、上記の課題を解決する。
【0011】
上記の冷凍用容器又は上記の製造方法では、凹溝に溜まった液体で構成される連結部よって、個々の食品間の距離が離れた状態で凍結される。食品が密着した状態で凍結していないため、冷凍された複数の食品から必要な個数の食品を切り離して調理することが容易である。また、凹溝は、冷凍された食品を持ち上げた際に、連結された食品の自重によって壊れない程度の形状を有する連結部を形成する。複数の食品は、容器から外しても自重により食品が壊れないため、複数の食品が一組にまとまった状態で流通させることが可能である。冷凍用容器自体は、食品から取り外されて、食品の冷凍に再利用することができる。このため、包装資材の使用量を低減することが可能である。
【0012】
上記の冷凍用容器又は上記の製造方法において、凹溝の断面と収納穴の断面を想定した際に、個々の凹溝の断面積は、収納穴の断面積よりも小さい形状とすることが好ましい。この構成によれば、冷凍された食品から、必要な個数の食品を分離する際に、比較的に小さい力で必要な個数の食品を分離することができる。
【0013】
上記の冷凍用容器又は上記の製造方法において、容器の平面側は、解放された形状とされており、注ぎ込まれた液体の液面によって、冷凍された食品の平面側の形状が規定され、容器の底部は、平坦な部分を備えており、冷凍された食品の底面側の形状が平坦な部分を備えるように成形されるようにすることが好ましい。この構成によれば、注ぎ込む液体の量を調節することにより、冷凍された食品の平面側が平坦な部分を有するようにし、冷凍された食品の底面側も平坦な部分を有するようにすることができる。そのような食品は、例えば、食品同士を積層した状態で袋又は箱などのケースに入れて、流通させるのに適した形状となる。
【0014】
上記の冷凍用容器又は上記の製造方法において、外周の縁部は、収納穴の上端よりも、上方に突出しており、収納穴と凹溝に注ぎ込まれた液体がこぼれるのを防止する形状を有するようにすることが好ましい。この構成によれば、冷凍用容器に液体又は食品を入れる際に、液体がこぼれることを防止することができる。
【0015】
上記の冷凍用容器又は上記の製造方法において、食品の収納穴は、縦方向及び横方向に複数個が配列されており、個々の収納穴は、縦方向及び横方向に配置される凹溝によって、連通された形状とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、冷凍された複数の食品を、容器から外した状態でバラバラの状態とせずに、冷凍された複数の食品が一組にまとまった状態で流通させることが可能であり、冷凍された複数の食品から必要な個数の食品を切り離して調理することが可能であり、また、包装資材の使用量を低減することが可能な冷凍食品の製造方法と、その製造方法において使用する食品の冷凍用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】食品の冷凍用容器の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の冷凍用容器の平面図である。
図3図1の冷凍用容器の底面図である。
図4図1の冷凍用容器の正面図である。
図5図1の冷凍用容器の左側面図である。
図6図2のAA´部における断面図であり、下段は想定した収納穴の断面積を黒塗りで示す。
図7図2のBA´部における断面図であり、下段は想定した凹溝の断面積を黒塗りで示す。
図8図2のCC´部における断面図であり、下段は想定した収納穴の断面積を黒塗りで示す。
図9図2のC´D部における断面図であり、下段は想定した凹溝の断面積を黒塗りで示す。
図10図1の冷凍用容器で成形された冷凍食品を平面側から示した斜視図である。
図11図1の冷凍用容器で成形された冷凍食品を底面側から示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の食品の冷凍用容器(以下、単に容器と称する。)と、その容器を使用した冷凍食品の製造方法の一の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲は例示した実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1ないし図9に容器の一例を示す。図10及び図11には、容器によって成形された冷凍食品の一例を示す。
【0020】
図1に示したように、本実施形態の容器1は、複数の食品の収納穴11と、隣接する収納穴11連通させる凹溝12とを有する。収納穴11及び凹溝12は、収納穴11に食品を収納して、液体を容器内に流し込んだ際に液体が溜まる形状とされている。
【0021】
収納穴11は、図6及び図8に示したように、容器1の上端部13から下方に下る壁部111と、壁部111の下端に存する底部112とを有する。収納穴11の数は、2個以上であればよい。容器1では、縦方向に3個、横方向に3個、計9個の収納穴11が設けられている。収納穴11の形状は、収納する食品の形状に応じて変更する。本実施形態の容器1には、収納穴11に焼売を収納する。収納穴11の形状は、焼売の外形状に合わせた略円柱形状とされている。
【0022】
収納穴11の底部112には、図6及び図8に示したように、円形の突条113から構成される凸部が設けられている。凸部によって、食品が収納穴11の底部112に接触する面積を小さくしている。これによって、容器1と冷凍された食品とが分離しやすくなるように構成されている。収納穴11の底部112には、貫通孔は設けられていない。収納穴11又は凹溝12に、液体が注ぎ込まれた際に、液体が収納穴11又は凹溝12内に溜まるようになっている。
【0023】
凹溝12は、図1に示したように、隣接する収納穴同士を連通させる形状を有する。容器1では、凹溝12は、容器の上端部13から下方に向けて窪んだ凹部から構成される。凹溝12の断面形状は、図7及び図9に示したように、円弧状である。容器の縦方向には、縦方向に沿って、断面が円弧状の凹溝121が一条配される。容器の横方向には、横方向に沿って、断面が円弧状の凹溝122が平行に二条配される。図7及び図9に示したように、凹溝122の断面積は、凹溝121の断面積に比して、小さく構成されている。
【0024】
上記の容器1は、以下のようにして、使用する。すなわち、容器1の複数の収納穴11に食品を投入する工程と、容器1の凹溝12又は収納穴11に液体を注ぎ込む工程と、収納穴11及び凹溝12に入れられた食品と液体とを容器1ごと冷凍する工程とを実施する。なお、食品を投入する工程と、液体を注ぎ込む工程は、いずれの行程を先に実施してもよい。食品と液体とを冷凍する工程は、食品を投入する工程と、液体を注ぎ込む工程とを実施した後に、実施する。なお、食品を凍結する際の温度は、例えば、マイナス30℃以下に設定するなど、食品の特性や冷凍食品の仕上がりに応じて、適宜の温度にすればよい。
【0025】
上述の方法で、容器1に収納された食品81と、液体83とを凍結させると、図10及び図11に示した冷凍食品8が得られる。当該冷凍食品8は、複数の食品81が、凹溝12に溜まった液体が固化した連結部82によって連結された形状を有する。連結部82の形状は、容器1の凹溝12の形状が転写された形状となっている。同様に、冷凍された食品81の形状も、容器1の収納穴11の形状が転写された形状となっている。食品81の表面にも液体83が付着して凍結しており、食品81の表面の液体と連結部82とは、一体に凍結された状態で連結されている。
【0026】
上記のようにして製造された冷凍食品8は、上述の通り、複数の食品81が連結部82により連結された形状を有する。当該冷凍食品8では、複数の食品81を一組として、取り扱うことができる。図10及び図11の例では、計9個の食品81を一組として、取り扱うことができる。上記のようにして製造された冷凍食品8は、例えば、容器1から外して、容器からは取り外された冷凍食品8を合成樹脂製の袋の中に収納して、出荷することができる。
【0027】
袋の中に冷凍食品8を詰める際には、一つの袋に複数の冷凍食品8を摘めるようにすると、包装資材の使用量がより少なくなる。袋に冷凍食品8を詰める際には、例えば、一の冷凍食品8の上に他の冷凍食品8を積層する、又は一の冷凍食品8の隣に他の冷凍食品8を配置するなどの方法により、冷凍食品8を規則的に並べることが好ましい。このように冷凍食品8を規則的に並べることによって、容器1を外した状態でも、冷凍食品8を美感のよい状態で出荷することができる。また、冷凍食品8を乱雑に袋に収納するのではなく、規則的に並べることによって、冷凍食品同士が運搬中に衝突するなどして、冷凍食品8が破損することも防ぐことができる。このように、容器1及びそれを使用した製造方法では、包装資材を省略したにもかかわらず、商品価値が損なわれないようにすることができる。
【0028】
上記の製造方法では、冷凍食品を製造する際に使用した容器1は、冷凍食品を取り外した後、洗浄するなどして、再利用することができる。容器1では、凹溝12が円弧状に構成されているため、冷凍食品を外した後において、食品の残渣が残留しにくくなっている。冷凍食品8を出荷する際には、容器は出荷する商品には含まれず、包装資材は、複数の冷凍食品を入れた袋、及び当該袋を保護するケースを使用する程度である。このように、容器1を利用して、冷凍食品8を成形し、容器1を外して、袋に収納して出荷すれば、過剰包装の問題を解消することができる。
【0029】
容器に投入する液体は、特に限定されず、水;塩、砂糖、酒、みりん、コショウ、若しくはハーブなどの任意の調味料;食用油;及び片栗粉などの穀物粉からなる群より選らばれる1種以上の原料を含有する液体を使用することができる。液体としては、例えば、所望の味付けをしたスープ、ソースなどの調味液、単なる水、又は水と油と穀物粉との混合物などが含まれる。
【0030】
本実施形態の容器1では、隣接する収納穴11の間において凹溝12が延在する長さは、隣接する食品を解凍及び加熱調理した際に、隣接する食品同士が接しない程度の隙間が形成されるように設定している。冷凍した食品を解凍したり、加熱調理したりする際に、隣接する食品同士が接触すると、食品の調理が終わった際に、隣接する食品同士が結着して、調理の仕上がりを損なうことがある。凹溝の長さを上記のようにすることにより、調理の仕上がりが損なわれないようにしている。
【0031】
冷凍食品8は、容器1を取り外した状態で、取り扱う。このため連結部82は、冷凍された食品81を容器1から外して持ち上げた際に、冷凍された食品81の自重によって壊れない形状としている。連結部82の形状は、容器1の凹溝12の形状が転写されたものである。凹溝の断面積を想定した場合に、凹溝の断面積が過度に小さいと、連結部82の断面積も小さくなり、冷凍食品の自重によって、連結部82が折れやすくなる。連結部82の形状は、冷凍食品の自重、食品を収納する収納穴11の数などに基づいて、容易に折れない強度とする。
【0032】
上記の容器1では、図6ないし図9に示したように、凹溝12の断面と収納穴11の断面を想定した際に、個々の凹溝12の断面積が、収納穴11の断面積よりも小さい形状になるようにしている。この構成では、連結部82強度が適度に低下するため、凍結した食品を連結部82の部分で破断することにより、必要な分量の食品を簡単に分離することができる。破断する方法としては、例えば、手で連結部を折り曲げたり、包丁の背で連結部82を打ち付けるといった方法が挙げられる。凹溝には、成形される冷凍食品の連結部に、脆弱部を構成する目的で、凸部を設けてもよい。凹溝に設けた凸部により、冷凍食品の連結部に凸部に対応する形状が転写されて、脆弱部が形成される。連結部に脆弱部を設けることにより、連結部を破断させる際に、破断のきっかけを作り、より簡単に連結部を破断することができる。凸部の形状は、特に限定されないが、例えば、楔形などにすることができる。
【0033】
なお、図6及び図8においては、黒の塗りつぶしにより、収納穴11の断面積を示した。また、図7及び図9においては、黒の塗りつぶしにより、凹溝121、122の断面積を示した。
【0034】
図6及び図7における断面は、縦方向に伸びる連結部82の軸方向に交差する方向に切断したものである。また、図8及び図9における断面は、横方向に伸びる連結部822の軸方向に交差する方向に切断したものである。なお、図9のように、凹溝が複数の場合は、複数の凹溝の断面積の和と、収納穴の断面積とを比較する。
【0035】
凹溝の断面積の下限値は、冷凍食品の自重や収納穴の数により定めればよい。凹溝の断面の下限値は、条件により異なるものの、例えば、収納穴の断面積の1/10以上、又は1/5以上にすることができる。また、凹溝の断面積の上限値は、条件により異なるものの、例えば、収納穴の断面積の上限8/10以下にすることができる。
【0036】
図1に示したように、容器1の平面側は、蓋などの覆いがなく、収納穴11の開口が露出した解放された形状とされている。このため、冷凍された食品の形状は、収納穴11又は凹溝12に注ぎ込まれた液体の液面によって規定される。容器1の上端部13に達するまで液体を収納穴11又は凹溝12に注ぎ込んで、冷凍することで、図10に示したように、冷凍された食品の平面側の平面側の形状が平坦な部分を備えるようにすることができる。また、容器1の底面側の形状は、平坦な部部分を備えるため、図11に示したように、冷凍された食品の底面側の形状が平坦な部分を備えるように成形される。
【0037】
上述のように、容器1により成形される冷凍された食品は、図10及び図11に示したように、平坦な部分を備えているため、一の冷凍食品の上に他の冷凍食品を積層した際に、積層した複数の冷凍食品が安定しやすい形状となっている。
【0038】
容器1には、図1に示したように、外周の縁部14は、収納穴11の上端よりも、上方に突出しており、収納穴11と凹溝12に注ぎ込まれた液体がこぼれるのを防止する形状となっている。縁部14は、容器1の外周に沿って連続している。容器1の収納穴11又は凹溝12に、液体が投入された際に、液体が容器1からこぼれるのを防止することができるようになっている。
【0039】
容器1では、縁部14は、補強を目的として、容器1の上端部13から上方に伸びる第1壁部141と、第1壁部141の上端から第1壁部141に交差する方向に延びる第1壁部142と、第1壁部142の端部から下方に伸びる第3壁部143とを有する形状とされている。
【0040】
容器1は、厚みが0.5mmのポリプロピレン製のシートで構成されたトレイである。本実施形態の容器では、食品との剥離性を向上させる目的で、表面にシリコーン被膜などの剥離剤が積層されている。トレイの厚みは、特に限定されないが、例えば、0.3~2.5mmにすることができる。
【0041】
容器の素材は、上記のポリプロピレンに限定されず、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を含むその他のプラスチック、シリコーンゴムなどのエラストマー、ステンレススチール、銅、アルミニウムなどの金属を使用してもよい。これらの素材をシート状、板状、又はブロック状に成形して容器とする。
【0042】
容器の厚みは、特に限定されず、例えば、上述のように、シート状の素材又は板状の素材を使用してトレイ状にしてもよいし、凹溝、収納穴等を形成したブロック状にしてもよい。ブロック状にする場合は、例えば、金型を成形するように素材の塊を削り出して成形することができる。
【0043】
容器1では、収納穴の形状を、穴の直径よりも穴の高さが低い円柱形状とした。収納穴の形状は、これに限定されず、楕円柱、角柱、又は球形などのその他の形状にしてもよい。
【0044】
容器1では、凹溝の断面形状が円弧状になるようにした。凹溝の形状は、これに限定されず、三角形、又は四角形などその他の形状にしてもよい。隣接する収納穴を連結する凹溝の条数も特に限定されない。
【0045】
容器1では、収納穴の数を9個とした。収納穴の数は、9個に限定されず、適宜の数にすることができる。
【0046】
容器1では、収納穴を縦方向及び横方向に配列して、複数の収納穴を四角形状になるように配置した。収納穴の配置は、この例に限定されず、例えば、複数の収納穴を円形等のその他の形状となるように配置してもよい。
【0047】
上記の例では、冷凍する食品の例として、焼売を示した。食品は、焼売に限定されない。容器とそれを利用した冷凍食品の製造方法は、例えば、肉団子などの肉の加工品、つみれなどの魚肉の加工品、餃子、小籠包などの中華総菜、ロールキャベツなどの巻物、みそ汁などのスープ、麺類など加熱又は解凍して喫食する食品に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 冷凍用容器
11 収納穴
12 凹溝
14 縁部
81 食品
83 液体
82 連結部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食品の収納穴と、隣接する収納穴を連通させる凹溝とを有する冷凍用食品容器を用いて冷凍食品を製造する方法であり
前記冷凍用食品容器の収納穴及び凹溝は、収納穴に固形の食品を収納して、液体を容器内に流し込んだ際に前記液体が溜まる形状であり、
凹溝は、収納穴に連通し、収納穴に収納された前記食品と凹溝に溜められた前記液体とを冷凍した際に、隣接する前記食品同士を凍結させた液体で連結する連結部を構成するためのものであり、
個々の凹溝は、冷凍した食品を容器から外して持ち上げた際に、冷凍した食品の自重によって壊れない形状を備える連結部を形成するものであり、
前記方法は、複数の収納穴に前記食品を投入する工程と、
凹溝又は収納穴に前記液体を注ぎ込む工程と、
収納穴及び凹溝に入れられた前記食品と前記液体とを冷凍する工程と、
前記冷凍用食品容器で成形された冷凍食品を前記冷凍用食品容器から外す工程とを有しており、
製造される冷凍食品は、複数の前記食品が、凹溝に溜まった前記液体が固化した連結部によって連結された形状を有する冷凍食品の製造方法
【請求項2】
前記冷凍用食品容器において、凹溝の断面と収納穴の断面を想定した際に、個々の凹溝の断面積は、収納穴の断面積よりも小さい形状である請求項1に記載の冷凍食品の製造方法
【請求項3】
前記冷凍用食品容器において、容器の平面側は、解放された形状とされており、注ぎ込まれた液体の液面によって、冷凍された食品の平面側の形状が規定され、
容器の底部は、平坦な部分を備えており、冷凍された食品の底面側の形状が平坦な部分を備えるように成形される請求項1又は2に記載の冷凍食品の製造方法
【請求項4】
前記冷凍用食品容器において、外周の縁部は、収納穴の上端よりも、上方に突出しており、収納穴と凹溝に注ぎ込まれた液体がこぼれるのを防止する形状を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の冷凍食品の製造方法
【請求項5】
前記冷凍用食品容器において、食品の収納穴は、縦方向及び横方向に複数個が配列されており、
個々の収納穴は、縦方向及び横方向に配置される凹溝によって、連通されている請求項1ないし4のいずれかに記載の冷凍食品の製造方法
【請求項6】
凍結により固化した食品を容器から外して、複数の冷凍食品を袋の中に並べた状態で収納する工程を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の冷凍食品の製造方法。
【請求項7】
複数の収納穴に収納された前記食品は、焼売、肉団子、つみれ、餃子、小籠包、ロールキャベツ、又は麺類であり、
複数の食品を連結する前記液体は、調味料、食用油、穀物粉、及び水からなる群より選ばれる1種以上の原料を含有する液体である請求項1ないし6のいずれかに記載の冷凍食品の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
袋の中に冷凍食品8を詰める際には、一つの袋に複数の冷凍食品8をめるようにすると、包装資材の使用量がより少なくなる。袋に冷凍食品8を詰める際には、例えば、一の冷凍食品8の上に他の冷凍食品8を積層する、又は一の冷凍食品8の隣に他の冷凍食品8を配置するなどの方法により、冷凍食品8を規則的に並べることが好ましい。このように冷凍食品8を規則的に並べることによって、容器1を外した状態でも、冷凍食品8を美感のよい状態で出荷することができる。また、冷凍食品8を乱雑に袋に収納するのではなく、規則的に並べることによって、冷凍食品同士が運搬中に衝突するなどして、冷凍食品8が破損することも防ぐことができる。このように、容器1及びそれを使用した製造方法では、包装資材を省略したにもかかわらず、商品価値が損なわれないようにすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
図1に示したように、容器1の平面側は、蓋などの覆いがなく、収納穴11の開口が露出した解放された形状とされている。このため、冷凍された食品の形状は、収納穴11又は凹溝12に注ぎ込まれた液体の液面によって規定される。容器1の上端部13に達するまで液体を収納穴11又は凹溝12に注ぎ込んで、冷凍することで、図10に示したように、冷凍された食品の平面側の平面側の形状が平坦な部分を備えるようにすることができる。また、容器1の底面側の形状は、平坦な部分を備えるため、図11に示したように、冷凍された食品の底面側の形状が平坦な部分を備えるように成形される。