(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062824
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ドアレバー
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
E05B1/00 311R
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170966
(22)【出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】000176383
【氏名又は名称】三相電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】原田 基弘
(57)【要約】
【課題】ドアのノブを媒介するウィルスの感染を防止するためのドアレバーを提供すること。
【解決手段】
ドア2のノブ3に対して回転一体に取付け可能な取付部6と、取付部6に対して回転一体に設けられたレバー部7と、を備えるドアレバーであって、レバー部7は、回転軸線16から離れるにつれて回転軸線16方向の一方の側に変位しつつ、回転方向の一方に進むにつれて回転軸線16方向の他方の側に変位する変位面7aを、回転軸線16方向の他方の側に有するドアレバー1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアのノブに対して回転一体に取付け可能な取付部と、
前記取付部に対して回転一体に設けられたレバー部と、
を備えるドアレバーであって、
前記レバー部は、回転軸線から離れるにつれて回転軸線方向の一方の側に変位しつつ、回転方向の一方に進むにつれて回転軸線方向の他方の側に変位する変位面を、回転軸線方向の他方の側に有することを特徴とするドアレバー。
【請求項2】
ドアのノブに対して回転一体に取付け可能な取付部と、
前記取付部に対して回転一体に設けられたレバー部と、
を備えるドアレバーであって、
前記レバー部は、
回転軸線から離れるにつれて回転軸線方向の一方の側に変位する第1の変位面と、
第1の変位面よりも回転軸線から離れた位置に形成され且つ回転方向の一方に進むにつれて回転軸線方向の他方の側に変位する第2の変位面と、
を回転軸線方向の他方の側に有することを特徴とするドアレバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドアレバーにおいて、
前記レバー部は、回転軸線から離れるにつれて前記回転方向の一方に湾曲していることを特徴とするドアレバー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のドアレバーにおいて、
前記レバー部内に複数の肉抜部が設けられていることを特徴とするドアレバー。
【請求項5】
ドアのノブに対して前記取付部が取り付けられた請求項1~4のいずれか1項に記載のドアレバーであって、前記ドアと、前記レバー部との離間距離の最大値が60mm~80mmであることを特徴とするドアレバー。
【請求項6】
ドアのノブに対して前記取付部が取り付けられた請求項1~5のいずれか1項に記載のドアレバーであって、前記ノブの回転位置が閉位置にあるときに、前記レバー部の先端部が回転軸線より高い位置に配されるように、前記取付部が前記ノブに取り付けられたことを特徴とするドアレバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアのノブ(握り玉)に取り付けてレバータイプの取っ手にすることができるドアレバーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドアレバーは、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年コロナウィルスの猛威により世界中でウィルス感染者が激増し、多数の死者が発生している。ウィルスの感染経路の一つとして、感染者が掌で触れるものを媒介して、非感染者に感染することが知られている。例えばドアを開閉する際に人が掌で握るドアのノブも、ウィルスの感染経路となり得る。
【0005】
そこで、本発明は、ドアのノブを媒介するウィルスの感染を防止することができるドアレバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係るドアレバーは、ドアのノブに対して回転一体に取付け可能な取付部と、前記取付部に対して回転一体に設けられたレバー部と、を備え、前記レバー部は、回転軸線から離れるにつれて回転軸線方向の一方の側に変位しつつ、回転方向の一方に進むにつれて回転軸線方向の他方の側に変位する変位面を、回転軸線方向の他方の側に有する。
【0007】
かかる構成を備えるドアレバーを、回転軸線方向の他方の側がドア側となるように右開きドア又は左開きドアのノブに取り付けることで、ドアとレバー部の間に肘を入れてドアを簡単に開くことができる。特に、レバー部に上記変位面が形成されていることから、レバー部を手前に引く際に、肘ないし上腕部が上記変位面にフィットし、レバー部を簡単かつ確実に手前に引くことができる。
【0008】
本発明の第2態様に係るドアレバーは、ドアのノブに対して回転一体に取付け可能な取付部と、前記取付部に対して回転一体に設けられたレバー部と、を備え、前記レバー部は、第1の変位面と第2の変位面とを回転軸線方向の他方の側に有する。前記第1の変位面は、回転軸線から離れるにつれて回転軸線方向の一方の側に変位する面である。前記第2の変位面は、前記第1の変位面よりも回転軸線から離れた位置に形成され且つ回転方向の一方に進むにつれて回転軸線方向の他方の側に変位する面である。
【0009】
かかる構成を備えるドアレバーを、回転軸線方向の他方の側がドア側となるように右開きドア又は左開きドアのノブに取り付けることで、ドアとレバー部の間に肘を入れて簡単にドアを開くことができるようになる。特に、レバー部に第2の変位面が形成されていることから、レバー部を手前に引く際に、肘ないし上腕部が上記第2の変位面にフィットし、レバー部を簡単かつ確実に手前に引くことができる。
【0010】
本発明の第3態様に係るドアレバーは、第1態様又は第2態様に係るドアレバーにおいて、前記レバー部は、回転軸線から離れるにつれて前記回転方向の一方に湾曲している。
【0011】
本発明の第4態様に係るドアレバーは、第1態様~第3態様の何れか1つの態様に係るドアレバーにおいて、前記レバー部内に複数の肉抜部が設けられている。
【0012】
本発明の第5態様に係るドアレバーは、第1態様~第4態様の何れか1つの態様に係るドアレバーが、ドアのノブに取り付けられたものであって、前記ドアと、前記レバー部との離間距離の最大値が60mm~80mとされたものである。
【0013】
本発明の第6態様に係るドアレバーは、第1態様~第5態様の何れか1つの態様に係るドアレバーがドアのノブに取り付けられたものであって、前記ノブの回転位置が閉位置にあるときに、前記レバー部の先端部が回転軸線より高い位置に配されるように、前記取付部が前記ノブに取り付けられたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るドアレバーによれば、掌でドアのノブを握ることなく、ドアとレバー部の間に肘を入れて簡単にドアを開くことができるので、ドアのノブを介したウィルスの感染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るドアレバーをドアのノブに取り付けた状態を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るドアレバーをドアのノブに取り付けた状態を示す左側面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るドアレバーをドアのノブに取り付けた状態を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るドアレバーをドアのノブに取り付けた状態を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るドアレバーをドアのノブに取り付けた状態を示す底面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るドアレバーをドアのノブに取り付けた状態を示す左側面図である。
【
図7】(a)は
図3のA-A断面図、(b)は
図3のB-B断面図、(c)は
図3のC-C断面図、(d)は
図3のD-D断面図である。なお、各断面図は、右側に描かれたものほどドアに近い位置に、左側に描かれたものほどドアから離れた位置となるように描いている。
【
図8】本発明の実施の形態に係るドアレバーを左開きドアのノブに取り付けた状態を示す正面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態2に係るドアレバーを右開きドアのノブに取り付けた状態を示す正面図である。
【
図10】本発明の他の実施の形態に係るドアレバーをドアのノブに取り付けた状態を示す正面図である。
【
図11】本発明の他の実施の形態に係るドアレバーをドアのノブに取り付けた状態を示す平面図である。
【
図12】(a)は
図10のA-A断面図、(b)は
図10のB-B断面図、(c)は
図10のC-C断面図、(d)は
図10のD-D断面図、(e)は
図10のE-E断面図である。なお、各断面図は、右側に描かれたものほどドアに近い位置に、左側に描かれたものほどドアから離れた位置となるように描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るドアレバーについて、図面を参照しつつ説明する。
図1および
図2に示すように、本発明の実施の形態に係るドアレバー1は、ドア2のノブ3(握り玉)に取り付けて使用するものであって、肘を使って簡単にドア2を開くことができるものである。本実施形態では、左開きドアを例に挙げて説明する。左開きドアは、ドアを手前に開く立ち位置から見て丁番が左側となるドアである。また、本実施形態における左開きドア2のノブ3は、左回転(ドアを手前に開く立ち位置から見て左回転;以下同様。)させると、ラッチボルト17がドア枠18の被係合部19から退避し、右回転させると、ラッチボルト17がドア枠18の被係合部19に係合する。なお、ノブ3はスプリングによって右回転方向に付勢されている。
【0017】
ドアレバー1は、
図3~
図6に示すように、ドア2のノブ3に取付可能な取付部6と、取付部6に形成されたレバー部7で構成されている。
【0018】
取付部6は、ドア2のノブ3に対して回転一体に取付け可能な構造を有する。本実施形態では、取付部6は、一部にスリット8が形成された略円筒状の取付本体部9と、取付本体部9のスリット8の近傍に形成されたフランジ部10と、フランジ部10に挿通され、フランジ部10と対向する部材(本実施形態ではレバー部7の基部)に先端が螺着された締付ボルト11と、取付本体部9の内周面とノブ3の外周面との間に設けられた滑り止め部材12とを有する。締付ボルト11を締め付けると、上記スリット8の幅が狭まり、取付本体部9の内径が縮小し、当該取付本体部9が滑り止め部材12を介してノブ3に密着する。取付本体部9がノブ3に対して十分に締め付けられることで、取付部6は、ノブ3に固定される。
【0019】
取付本体部9には、ノブ3の手前側端部に回転軸線16方向に係合する係合部14が形成されている。本実施形態では、係合部14は、取付本体部9の周縁から中心側に延出した鍔状のものとされている。係合部14がノブ3の手前側端部に係合された状態で、締付ボルト11を締め付けることで、ドアレバー1をノブ3に対して適切な位置に取り付けることができる。ノブ3が汎用品・規格品である場合、ノブ3の手前側端部とドア2との距離が概ね決まっていることから、ドアレバー1がノブ3に対して適切な位置に取り付けられると、ドアレバー1はドア2に対しても適切な位置に取り付けられることとなる。なお、ドア2に対するドアレバー1の適切な位置は、後述するレバー部7とドア2との離間距離の最大値Dが所定の範囲となる位置である。
【0020】
レバー部7は、取付部6に対して回転一体に設けられている。本実施形態では、レバー部7は、取付部6と一体に形成されている。
【0021】
レバー部7は、
図4に示すように、回転軸線16から離れるにつれて回転軸線16方向の一方の側(本実施形態ではドア2と反対側)に変位しつつ、回転方向の一方(本実施形態では左回転方向)に進むにつれて回転軸線16方向の他方の側(本実施形態ではドア2側)に変位する曲面7a(変位面)を、回転軸線16方向の他方の側(本実施形態ではドア2側)に有する。また、レバー部7とドア2との離間距離の最大値Dは、60mm~80mmとされている。レバー部7においてドア2との離間距離が最大値Dになる部分には上記曲面7a(変位面)が形成されている。ノブ3が汎用品・規格品を用いたものである場合、ノブ3の手前側端部とドア2との距離D1は概ね60mm~70mmであるため、係合部14のノブ3側の面の回転軸線16方向位置とレバー部7の回転軸線16方向位置の差D2はD-D1(=0mm~20mm)となる。なお、レバー部7のドア2と反対側の面7bの断面形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態ではドア2に対して略平行に形成されている。
【0022】
上記のようにレバー部7が回転軸線16から離れるにつれてドア2と反対側に変位する曲面7aを有し、かつ、レバー部7とドア2との離間距離の最大値Dが上記の好ましい値であることで、ドア2とレバー部7の間に肘を深く入れることができる。肘を深く入れることで、肘ないし上腕部でレバー部7を簡単に手前に引いてドア2を開けることができる。しかも、レバー部7の上記曲面7aは、左回転方向に進むにつれてドア2側に変位する曲面であるため、肘ないし上腕部が上記曲面7aに密着し、レバー部7を手前に引く際に、肘ないし上腕部がレバー部7から滑ることなく、簡単かつ確実にレバー部7を手前に引くことができる。
【0023】
また、レバー部7は、
図8に示すように、回転軸線16から離れるにつれて回転方向の一方(本実施形態では左回転方向)に湾曲している。このため、
図8において実線に示すように、レバー部7およびノブ3を最大限左回転させた状態で、レバー部7が上方に凸湾曲するように、ノブ3にドアレバー1を取付て使用すれば、レバー部7が湾曲していない場合と比較して、レバー部7を肘ないし上腕部で手前に引く操作を円滑に行うことができる。
【0024】
レバー部7および取付本体部9には軽量材(本実施形態では樹脂材)が用いられ、レバー部7の更なる軽量化のためにレバー部7の内部に肉抜部21が設けられている。肉抜部21は、
図3および
図5に示すように、レバー部7の底部に開口しており、レバー部7の長手方向に複数形成されている。このように肉抜部21が形成されていることで、肉抜部21同士の間のリブが補強材の役割を果たすため、レバー部7の軽量化を図りつつ必要な強度を確保することが容易になる。レバー部7が重い場合、ドアレバー1をノブ3に取付てから長時間が経過すると、レバー部7の自重によってドアレバー1がノブ3に対して相対的に回転したり、ノブ3から脱落する可能性が高まる。このため、レバー部7の重量は小さい方が望ましい。
【0025】
最後に、
図8に示すようにドアレバー1をノブ3に取り付けた状態、すなわち、ノブ3の回転位置が閉位置(ラッチボルト17がドア枠18の被係合部19に係合する回転位置)にあるときに、レバー部7の先端部が回転中心(回転軸線16)より高い位置に配され、ノブ3の回転位置が開位置(ラッチボルト17がドア枠18の被係合部19から退避する回転位置)にあるときに、レバー部7の先端部が回転中心(回転軸線16)と略同じ高さに配されるように、ドア2のノブ3に取り付けられたドアレバー1を用いてドア2を開ける手順の概略を説明する。
【0026】
先ず、
図8の2点鎖線に示すように、ノブ3の回転位置が閉位置にある状態において、ユーザの肘(好ましくは左肘)でレバー部7を押し下げて、同図の実線に示すように、最大限左回転させてノブ3の回転位置を開位置にする。
【0027】
つぎに、レバー部7を押し下げた状態を保持しながら、
図2に示すように、ドア2とレバー部7との間に肘を入れて、肘ないし上腕部でレバー部7を手前に引く。このとき、肘ないし上腕部がレバー部7に形成された曲面7aに沿うため、肘ないし上腕部がレバー部7から滑ることなく、確実にレバー部7を手前に引いてドア2を開くことができる。ドア2をある程度開いた後は、掌以外の部分を使ってさらにドア2を大きく開くことで出入口を通ることが可能となる。
【0028】
以上のように、ドア2のノブ3にドアレバー1を取り付けることで、ドア2を開く際に掌でノブ3やドアレバー1に触れる必要がなくなる結果、ノブ3を媒介するウィルスの感染を防止することができる。
【0029】
<他の実施形態1>
既述した実施形態においては、レバー部7のドア2側に形成された曲面7aは、回転軸線16から離れるにつれて回転軸線16方向の一方の側(ドア2と反対側)に変位しつつ、回転方向の一方(左回転方向)に進むにつれて回転軸線方向の他方の側(ドア2側)に変位するものであったが、上記曲面7aに代えて、
図10~
図12に示すように第1の面71(第1の変位面)および第2の面72(第2の変位面)をレバー部7Aのドア2側に形成してもよい。第1の面71は、回転軸線16から離れるにつれて回転軸線16方向の一方の側(ドア2と反対側)に変位する面であり、第2の面72は、第1の面71よりも回転軸線16から離れた位置に形成され且つ回転方向の一方(左回転方向)に進むにつれて回転軸線16方向の他方の側(ドア2側)に変位する面である。このレバー部7Aにおいては、ドア2との離間距離が最大値Dになる部分に上記第2の面72が形成されている。かかるレバー部7Aを有するドアレバー1Bでも、ドア2とレバー部7Aとの間に肘を深く入れることができ、レバー部7Aを手前に引く際に、肘ないし上腕部がレバー部7Aに形成された第2の面72に沿うため、肘ないし上腕部がレバー部7Aから滑ることなく、確実にレバー部7Aを手前に引いてドア2を開くことができる。
【0030】
<他の実施形態2>
既述した実施形態では、左開きドア2のノブ3にドアレバー1を取り付ける場合を例に挙げて説明したが、右開きドア2Aのノブ3に対しては、例えば
図9に示すように、上記ドアレバー1又は「他の実施形態1」で説明したドアレバーと左右対称形状のドアレバー1Aを取付て使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、ドアのノブ(握り玉)に取り付けてレバータイプの取っ手にすることができるドアレバーに適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1,1A,1B ドアレバー
2,2A ドア
3 ノブ
6 取付部
7,7A レバー部
7a 曲面(変位面)
16 回転軸線
21 肉抜部
71 第1の面(第1の変位面)
72 第2の面(第2の変位面)