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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062828
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】固化体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20220414BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20220414BHJP
   C04B 16/06 20060101ALI20220414BHJP
   C21C 5/28 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B18/14 A
C04B18/14 F
C04B16/06 A
C21C5/28 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170972
(22)【出願日】2020-10-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】591160671
【氏名又は名称】奥村組土木興業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520393428
【氏名又は名称】合同会社スペースK
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】五反田 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】崎山 正寛
(72)【発明者】
【氏名】藤森 章記
(72)【発明者】
【氏名】多田 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】高原 良輔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 庸志
(72)【発明者】
【氏名】金井 恭子
【テーマコード(参考)】
4G112
4K070
【Fターム(参考)】
4G112PA24
4G112PA29
4K070BC13
(57)【要約】
【課題】環境負荷軽減に寄与し、産業廃棄物として蓄積されているスラグの有効再生活用に資する固化体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る固化体の製造方法は、鉄鋼スラグ(製鋼スラグ、水砕スラグ)と、高炉スラグ微粉末と、塩化物イオン及び硫酸イオンを含む混練水とを混練し、固化体を製造することを特徴とする。上記固化体の製造方法において、補強繊維を混練してもよい。鉄鋼スラグは骨材として用いるものであり、骨材として鉄鋼スラグのみを用いてもよいし、その一定量(例えば10~20重量%)を天然石や天然砂等で置換してもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鋼スラグと、高炉スラグ微粉末と、塩化物イオン及び硫酸イオンを含む混練水とを混練し、固化体を製造することを特徴とする固化体の製造方法。
【請求項2】
補強繊維も混練する請求項1に記載の固化体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スラグを有効利用することができ、かつ、セメントの使用を不要とする固化体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モルタルやコンクリートの結合材にはセメントが使用され、一般的には、石灰石を主原料としたポルトランドセメントが多く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ポルトランドセメントの製造工程(原料である石灰石を焼成する工程)では、地球温暖化ガスである二酸化炭素が大量に排出されるという問題がある。一方で、製鉄所内において鉄鋼製造の過程で生成される鉄鋼スラグは、一部が有価物として再利用されているものの、大半は産業廃棄物として蓄積されている。
【0004】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、環境負荷軽減に寄与し、産業廃棄物として蓄積されているスラグの有効再生活用に資する固化体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る固化体の製造方法は、鉄鋼スラグと、高炉スラグ微粉末と、塩化物イオン及び硫酸イオンを含む混練水とを混練し、固化体を製造する(請求項1)。ここで、鉄鋼スラグは骨材として用いるものであり、骨材として鉄鋼スラグのみを用いてもよいし、その一定量(例えば10~20重量%)を天然石や天然砂等で置換してもよい。
【0006】
上記固化体の製造方法において、補強繊維も混練してもよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0007】
本願発明では、環境負荷軽減に寄与し、産業廃棄物として蓄積されているスラグの有効再生活用に資する固化体の製造方法が得られる。
【0008】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の固化体の製造方法は、結合材として高炉スラグ微粉末を使用し、セメントを用いないようにすることにより、二酸化炭素の排出量を削減できるので、環境負荷軽減に大いに寄与するものとなる。
【0009】
また、高炉スラグ微粉末により、固化体の流動性向上を図ることもできる。
【0010】
さらに、高炉スラグ微粉末の水和反応を促進する塩化物イオンにより、固化体の早期強度発現が可能となり、スラグと反応しエトリンガイド結晶を生成する硫酸イオンにより、固化体の強度を増加させることができる。もちろん、水硬性がある鉄鋼スラグ(製鋼スラグ、水砕スラグ)によっても固化体の強度は高まることになる。
【0011】
しかも、請求項1に係る発明の固化体の製造方法では、産業廃棄物である鉄鋼スラグの更なる有効活用による一層の環境負荷軽減をも図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明の固化体の製造方法では、固化体の耐久性、曲げ強度や靭性等の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0014】
本例の固化体の製造方法(以下、「本方法」と略称する。)では、鉄鋼スラグ(製鋼スラグ、水砕スラグ)と、高炉スラグ微粉末と、塩化物イオン及び硫酸イオンを含む混練水と、必要に応じて混和剤(例えばAE減水剤)とを混練し、固化体を製造する。本方法における固化体1m当たりの混合割合は、水が230~290kg、製鋼スラグが0~1250kg、水砕スラグが400~1600kg、高炉スラグ微粉末が500~720kg、混和剤が0~7200gを標準とする。
【0015】
本方法では、鉄鋼スラグを骨材(粗骨材及び細骨材)として用いるのであり、産業廃棄物の有効活用による環境負荷軽減の面からは、鉄鋼スラグのみを骨材と用いるのが好ましいが、例えば、その一定量(例えば10~20重量%)を、自然物(砂利や砂、火山灰)等のうち、適宜の粒径のものに置換してもよい。
【0016】
骨材として鉄鋼スラグを用いる本方法の場合、スラグ塊を粗骨材、水砕スラグを細骨材として用いることが考えられる。
【0017】
塩化物イオン及び硫酸イオンを含む混練水としては、例えば、海水や汽水をそのまま用いてもよいし、海水・汽水の他、上水・中水やその原水(例えば地表水、伏流水、地下水、雨水、雑排水)等に、適宜の物質(例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム)を混ぜたものを用いてもよい。この場合、塩化物イオンおよび硫酸イオンの濃度は、それぞれ19~20g/kgおよび2.5~3.0g/kgの範囲が適していると考えられる。
【0018】
本方法における混練は、骨材等の混練材料を例えば二軸強制練りミキサーなどの混練機に投入して行うことができる。
【0019】
以上説明した本方法は、結合材として高炉スラグ微粉末を使用し、セメントを用いないようにすることにより、二酸化炭素の排出量を削減できる上、産業廃棄物である高炉スラグ微粉末を有効活用することにもなるので、環境負荷軽減に大いに寄与するものとなる。
【0020】
また、高炉スラグ微粉末により、固化体の流動性向上を図ることもできる。
【0021】
さらに、高炉スラグ微粉末の水和反応を促進する塩化物イオンにより、固化体の早期強度発現が可能となり、スラグと反応しエトリンガイド結晶を生成する硫酸イオンにより、固化体の強度を増加させることができる。もちろん、骨材として用いる鉄鋼スラグも水硬性があるので、この点でも固化体の強度は高まることになる。
【0022】
本方法により得られる固化体は、従来のモルタルやコンクリートの代わりとなり得るものであり、例えば、海洋・沿岸インフラ整備事業(<海岸線後退防止・島嶼地域国土安全のための造成:地球温暖化に伴う海水面上昇への影響対策>、<人工島築造による国土造成事業:津波・高潮対策用の防潮堤整備事業>)、河川整備(<洪水対策用の築堤事業・堤防嵩上げ事業>、<土石流・火砕流対策事業:導流堤築造>、<砂防事業:砂防堰堤築造>)、道路整備事業(<市町村道・山道・林道におけるコンクリート系舗装道路:基盤、基層、表層>)、その他(<工事用道路におけるコンクリート系舗装道路:基盤、基層、表層>、<駐車場、工場・倉庫造成、一般造成>)といった事業に適用可能であり、海洋・沿岸工事、河川工事(堰堤、防波堤、消波工、人工地盤、堤防、砂防ダム、導流堤)、道路工事、道路系工事(<本設道路、仮設道路>、<駐車場舗装工事、工場・倉庫造成工事、一般造成工事>)といった工種に適用可能である。
【0023】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0024】
本方法において、補強繊維も混練するようにしてもよい。この場合、固化体の耐久性、曲げ強度や靭性等の向上を図ることができ、特に道路盤等に用いて好適な固化体が得られる。補強繊維としては、例えば補強有機繊維であるポリプロピレン繊維(萩原工業株式会社製バルチップ等)を挙げることができる。
【0025】
また、例えば災害復旧用迂回路舗装道路のように、高速施工が望まれる場合は、本方法においてアルカリイオンも混練するようにしてもよい。具体的には、混練水に水酸化ナトリウム等を混入しておくといった方法が考えられる。
【0026】
ここで、高炉スラグ微粉末を結合材として用いる従来の固化体の製造方法では、通常、石膏を混練する。これは、高炉スラグ微粉末が緻密な結晶構造を形成し、硬化時に収縮によるひび割れが発生し易くなる点を考慮し、石膏を入れておくことにより、硬化初期にエトリンガイド結晶を生成し、収縮し難い結晶構造を形成することでひび割れ発生を抑制するためである。しかし、石膏は固体であり高炉スラグ微粉末との混合性で劣るため、石膏を多めに含ませたり、水を混ぜる前に石膏と高炉スラグ微粉末とを均一に混ぜるための別工程を設けたりする必要が生じる。そこで、本方法において、石膏を用いないようにしてもよく、この場合でも、本方法では硫酸イオンを含んだ混練水を用いるので、硫酸イオンによってエトリンガイド結晶を生成し、ひび割れ発生の抑制を図ることができ、しかも、その混合性に優れるので、硫酸イオンを多めに使用したり、別工程を設けたりする必要がない、といったメリットが得られる。
【0027】
本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鋼スラグと、高炉スラグ微粉末と、塩化物イオンの濃度が19~20g/kgであり、硫酸イオンの濃度が2.5~3.0g/kgである混練水とを混練し、セメントを用いずに固化体を製造することを特徴とする固化体の製造方法。
【請求項2】
補強繊維も混練する請求項1に記載の固化体の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スラグを有効利用することができ、かつ、セメントの使用を不要とする固化体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モルタルやコンクリートの結合材にはセメントが使用され、一般的には、石灰石を主原料としたポルトランドセメントが多く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ポルトランドセメントの製造工程(原料である石灰石を焼成する工程)では、地球温暖化ガスである二酸化炭素が大量に排出されるという問題がある。一方で、製鉄所内において鉄鋼製造の過程で生成される鉄鋼スラグは、一部が有価物として再利用されているものの、大半は産業廃棄物として蓄積されている。
【0004】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、環境負荷軽減に寄与し、産業廃棄物として蓄積されているスラグの有効再生活用に資する固化体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る固化体の製造方法は、鉄鋼スラグと、高炉スラグ微粉末と、塩化物イオンの濃度が19~20g/kgであり、硫酸イオンの濃度が2.5~3.0g/kgである混練水とを混練し、セメントを用いずに固化体を製造する(請求項1)。ここで、鉄鋼スラグは骨材として用いるものであり、骨材として鉄鋼スラグのみを用いてもよいし、その一定量(例えば10~20重量%)を天然石や天然砂等で置換してもよい。
【0006】
上記固化体の製造方法において、補強繊維も混練してもよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0007】
本願発明では、環境負荷軽減に寄与し、産業廃棄物として蓄積されているスラグの有効再生活用に資する固化体の製造方法が得られる。
【0008】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の固化体の製造方法は、結合材として高炉スラグ微粉末を使用し、セメントを用いないようにすることにより、二酸化炭素の排出量を削減できるので、環境負荷軽減に大いに寄与するものとなる。
【0009】
また、高炉スラグ微粉末により、固化体の流動性向上を図ることもできる。
【0010】
さらに、高炉スラグ微粉末の水和反応を促進する塩化物イオンにより、固化体の早期強度発現が可能となり、スラグと反応しエトリンガイド結晶を生成する硫酸イオンにより、固化体の強度を増加させることができる。もちろん、水硬性がある鉄鋼スラグ(製鋼スラグ、水砕スラグ)によっても固化体の強度は高まることになる。
【0011】
しかも、請求項1に係る発明の固化体の製造方法では、産業廃棄物である鉄鋼スラグの更なる有効活用による一層の環境負荷軽減をも図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明の固化体の製造方法では、固化体の耐久性、曲げ強度や靭性等の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0014】
本例の固化体の製造方法(以下、「本方法」と略称する。)では、鉄鋼スラグ(製鋼スラグ、水砕スラグ)と、高炉スラグ微粉末と、塩化物イオン及び硫酸イオンを含む混練水と、必要に応じて混和剤(例えばAE減水剤)とを混練し、固化体を製造する。本方法における固化体1m当たりの混合割合は、水が230~290kg、製鋼スラグが0~1250kg、水砕スラグが400~1600kg、高炉スラグ微粉末が500~720kg、混和剤が0~7200gを標準とする。
【0015】
本方法では、鉄鋼スラグを骨材(粗骨材及び細骨材)として用いるのであり、産業廃棄物の有効活用による環境負荷軽減の面からは、鉄鋼スラグのみを骨材と用いるのが好ましいが、例えば、その一定量(例えば10~20重量%)を、自然物(砂利や砂、火山灰)等のうち、適宜の粒径のものに置換してもよい。
【0016】
骨材として鉄鋼スラグを用いる本方法の場合、スラグ塊を粗骨材、水砕スラグを細骨材として用いることが考えられる。
【0017】
塩化物イオン及び硫酸イオンを含む混練水としては、例えば、海水や汽水をそのまま用いてもよいし、海水・汽水の他、上水・中水やその原水(例えば地表水、伏流水、地下水、雨水、雑排水)等に、適宜の物質(例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム)を混ぜたものを用いてもよい。この場合、塩化物イオンおよび硫酸イオンの濃度は、それぞれ19~20g/kgおよび2.5~3.0g/kgの範囲が適していると考えられる。
【0018】
本方法における混練は、骨材等の混練材料を例えば二軸強制練りミキサーなどの混練機に投入して行うことができる。
【0019】
以上説明した本方法は、結合材として高炉スラグ微粉末を使用し、セメントを用いないようにすることにより、二酸化炭素の排出量を削減できる上、産業廃棄物である高炉スラグ微粉末を有効活用することにもなるので、環境負荷軽減に大いに寄与するものとなる。
【0020】
また、高炉スラグ微粉末により、固化体の流動性向上を図ることもできる。
【0021】
さらに、高炉スラグ微粉末の水和反応を促進する塩化物イオンにより、固化体の早期強度発現が可能となり、スラグと反応しエトリンガイド結晶を生成する硫酸イオンにより、固化体の強度を増加させることができる。もちろん、骨材として用いる鉄鋼スラグも水硬性があるので、この点でも固化体の強度は高まることになる。
【0022】
本方法により得られる固化体は、従来のモルタルやコンクリートの代わりとなり得るものであり、例えば、海洋・沿岸インフラ整備事業(<海岸線後退防止・島嶼地域国土安全のための造成:地球温暖化に伴う海水面上昇への影響対策>、<人工島築造による国土造成事業:津波・高潮対策用の防潮堤整備事業>)、河川整備(<洪水対策用の築堤事業・堤防嵩上げ事業>、<土石流・火砕流対策事業:導流堤築造>、<砂防事業:砂防堰堤築造>)、道路整備事業(<市町村道・山道・林道におけるコンクリート系舗装道路:基盤、基層、表層>)、その他(<工事用道路におけるコンクリート系舗装道路:基盤、基層、表層>、<駐車場、工場・倉庫造成、一般造成>)といった事業に適用可能であり、海洋・沿岸工事、河川工事(堰堤、防波堤、消波工、人工地盤、堤防、砂防ダム、導流堤)、道路工事、道路系工事(<本設道路、仮設道路>、<駐車場舗装工事、工場・倉庫造成工事、一般造成工事>)といった工種に適用可能である。
【0023】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0024】
本方法において、補強繊維も混練するようにしてもよい。この場合、固化体の耐久性、曲げ強度や靭性等の向上を図ることができ、特に道路盤等に用いて好適な固化体が得られる。補強繊維としては、例えば補強有機繊維であるポリプロピレン繊維(萩原工業株式会社製バルチップ等)を挙げることができる。
【0025】
また、例えば災害復旧用迂回路舗装道路のように、高速施工が望まれる場合は、本方法においてアルカリイオンも混練するようにしてもよい。具体的には、混練水に水酸化ナトリウム等を混入しておくといった方法が考えられる。
【0026】
ここで、高炉スラグ微粉末を結合材として用いる従来の固化体の製造方法では、通常、石膏を混練する。これは、高炉スラグ微粉末が緻密な結晶構造を形成し、硬化時に収縮によるひび割れが発生し易くなる点を考慮し、石膏を入れておくことにより、硬化初期にエトリンガイド結晶を生成し、収縮し難い結晶構造を形成することでひび割れ発生を抑制するためである。しかし、石膏は固体であり高炉スラグ微粉末との混合性で劣るため、石膏を多めに含ませたり、水を混ぜる前に石膏と高炉スラグ微粉末とを均一に混ぜるための別工程を設けたりする必要が生じる。そこで、本方法において、石膏を用いないようにしてもよく、この場合でも、本方法では硫酸イオンを含んだ混練水を用いるので、硫酸イオンによってエトリンガイド結晶を生成し、ひび割れ発生の抑制を図ることができ、しかも、その混合性に優れるので、硫酸イオンを多めに使用したり、別工程を設けたりする必要がない、といったメリットが得られる。
【0027】
本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。