(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062834
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ノズルアタッチメント
(51)【国際特許分類】
B05B 1/06 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
B05B1/06 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170989
(22)【出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】500472187
【氏名又は名称】パル・ユニット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】白井 義雄
(72)【発明者】
【氏名】白井 雅憲
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033AA01
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033FA00
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】より大きな圧力で流動体を吐出させることができるノズルアタッチメントを提供する。
【解決手段】ノズルアタッチメント1は、流動体を収容するカートリッジ100の吐出口100aに接続されるノズルアタッチメントであって、カートリッジ100に接続される容器接続部10aと、前記流動体が通過する第1流路部10d、第2流路部20c、第3流路部30cと、第1流路部10d、第2流路部20c、第3流路部30cの中心軸方向と交差する方向に延在する鍔部10cとを備える。鍔部10cが吐出ガン200の支持板203に当接して、カートリッジ100の破損を防止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体を収容する収容容器の吐出口に接続されるノズルアタッチメントであって、
前記収容容器に接続される容器接続部と、
前記流動体が通過する流路部と、
前記流路部の中心軸方向と交差する方向に延在する鍔部と、
を備えるノズルアタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載のノズルアタッチメントにおいて、
前記流動体を外部へ吐出するノズル部と、
前記ノズル部が着脱可能に接続されるノズル接続部と、
を備えること、
を特徴とするノズルアタッチメント。
【請求項3】
請求項2に記載のノズルアタッチメントにおいて、
前記ノズル接続部は、前記鍔部を構成する部材に接続される別部材に設けられていること、
を特徴とするノズルアタッチメント。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のノズルアタッチメントにおいて、
前記ノズル部は、形態の異なる複数種類のノズル部を選択的に前記ノズル接続部に接続可能であること、
を特徴とするノズルアタッチメント。
【請求項5】
請求項1に記載のノズルアタッチメントにおいて、
前記流動体を外部へ吐出するノズル部を備え、
前記容器接続部と、前記鍔部と、前記ノズル部とは、一体で構成されていること、
を特徴とするノズルアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルアタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンション、ビルやホテル、港湾施設、防波堤、橋脚等の各種の建造物の壁面等には、経年劣化によって、「モルタルの浮き」や「躯体のひび割れ」等が発生し、これらは、「モルタルの剥落」や「酸性雨水による躯体コンクリートの中性化」等の原因となっている。そのため、建造物の管理者は、建造物の経済的価値を保つために、建造物の劣化状態を定期的に調査し、適切な時期に補修工事を行う必要がある。
【0003】
例えば、「モルタルの浮き」が見つかった場合には、コンクリートとモルタルとの隙間に充填剤を注入して「モルタルの剥落」を防止する必要がある。他にも、「躯体のひび割れ」が見つかった場合には、ひび割れ部分に充填剤を注入することにより、「酸性雨による水の浸入」を防止する必要がある。
【0004】
従来、充填剤の注入には、例えば、特許文献1に記載されているように、充填剤が含まれたカートリッジ(収容容器)をコーキングガンにセットして用いられていた。このカートリッジは、安価に提供するために、紙や樹脂等を用いて構成されている場合が多い。したがって、大きな圧力で充填材を吐出させようとすると、ノズル近傍においてカートリッジが圧力に耐えきれずに破損してしまう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、より大きな圧力で流動体を吐出させることができるノズルアタッチメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
第1の発明は、流動体を収容する収容容器(100)の吐出口に接続されるノズルアタッチメント(1)であって、前記収容容器(100)に接続される容器接続部(10a)と、前記流動体が通過する流路部(10d、20c、30c)と、前記流路部(10d、20c、30c)の中心軸方向と交差する方向に延在する鍔部(10c)と、を備えるノズルアタッチメント(1)である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に記載のノズルアタッチメント(1)において、前記流動体を外部へ吐出するノズル部(30)と、前記ノズル部(30)が着脱可能に接続されるノズル接続部(20b)と、を備えること、を特徴とするノズルアタッチメント(1)である。
【0010】
第3の発明は、第2の発明に記載のノズルアタッチメント(1)において、前記ノズル接続部(20b)は、前記鍔部(10c)を構成する部材(10)に接続される別部材(20)に設けられていること、を特徴とするノズルアタッチメント(1)である。
【0011】
第4の発明は、第2の発明又は第3の発明に記載のノズルアタッチメント(1)において、前記ノズル部(30)は、形態の異なる複数種類のノズル部(30)を選択的に前記ノズル接続部(20b)に接続可能であること、を特徴とするノズルアタッチメント(1)である。
【0012】
第5の発明は、第1の発明に記載のノズルアタッチメント(1)において、前記流動体を外部へ吐出するノズル部(30)を備え、前記容器接続部(10a)と、前記鍔部(10c)と、前記ノズル部(30)とは、一体で構成されていること、を特徴とするノズルアタッチメント(1)である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より大きな圧力で流動体を吐出させることができるノズルアタッチメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるノズルアタッチメント1をカートリッジ100に取り付けた状態を示す図である。
【
図3】ノズルアタッチメント1を各部材に分解して示す図である。
【
図5】ノズルアタッチメント1を装着したカートリッジ100を吐出ガン200に装着する状況を示す図である。
【
図6】ノズルアタッチメント1を装着したカートリッジ100を吐出ガン200に装着した状態をノズルアタッチメント1の先端側から見た図である。
【
図7】ノズルアタッチメント1を装着したカートリッジ100を吐出ガン200に装着した状態でトリガー204を引いた(握った)状態のノズルアタッチメント1近傍の状況を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0016】
(実施形態)
図1は、本発明によるノズルアタッチメント1をカートリッジ100に取り付けた状態を示す図である。
図2は、
図1の状態を断面で示した図である。
図3は、ノズルアタッチメント1を各部材に分解して示す図である。
図4は、
図3の状態を断面で示した図である。
なお、
図2及び
図4を含め、以下に示す断面では、カートリッジ100に収容されている流動体については図示を省略する。
また、
図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張したり、省略したりして示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0017】
本実施形態のノズルアタッチメント1は、流動体を収容するカートリッジ(収容容器)100の吐出口100aに接続されるノズルアタッチメントである。カートリッジ100内に収容される流動体は、例えば、コンクリートとモルタルとの隙間等に注入する充填剤(コーキング材、シーリング材等とも呼ぶ)を例示できるが、接着剤等であってもよく、どのようなものであってもよい。
本実施形態のノズルアタッチメント1は、第1本体部10と、第2本体部20と、ノズル部30とを備えている。
【0018】
第1本体部10は、カートリッジ100に接続される側に設けられており、容器接続部10aと、第2本体接続部10bと、鍔部10cと、第1流路部10dとを備えた略回転体形状となっている。
【0019】
容器接続部10aは、カートリッジ100に設けられた吐出口100aに接続される。本実施形態では、カートリッジ100の吐出口100aの外周にねじが設けられているので、容器接続部10aは、これに螺合可能なねじ(雌ねじ)を内周に設けている。よって、ノズルアタッチメント1は、カートリッジ100に対して着脱自在である。
なお、この容器接続部10aの接続構造は、ねじに限らず、カートリッジ100の吐出口100aの形態に合わせて適宜変更してもよい。例えば、いわゆるバヨネット式のように複数の係合部を設けて接続する構成としてもよい。後述する他の部位の接続構造についても、同様である。
【0020】
第2本体接続部10bは、後述の第2本体部20に接続される。第2本体接続部10bは、後述の第2本体部20に設けられた第1本体接続部20aの外周に設けられたねじと螺合可能なねじ(雌ねじ)を内周に設けている。なお、ねじの種類は特に限定しないが、例えば、第2本体接続部10bと第1本体接続部20aとの少なくとも一方を管用テーパーねじとすると、高圧力で流動体を吐出する場合の漏れ防止効果を高めることができる。
【0021】
鍔部10cは、後述する第1流路部10dの中心軸方向と交差する方向、すなわち、流動体の流れ方向に交差する外周方向にフランジ状(板状)に突出して延在して設けられている。本実施形態では、鍔部10cは、略円盤形状に構成されており(
図6参照)、容器接続部10aの周囲であって、カートリッジ100に最も近い位置に配置され、カートリッジ100の吐出口100aの周囲の面と対向するように構成されている。なお、鍔部10cは、後述する吐出ガン200の支持板203に当接することができればよく、その形状は、円盤状に限らず、四角い板状等であってもよく、その外径形状は、多角形形状等であってもよい。鍔部10cの延在方向は、第1流路部10dの中心軸方向と直交する方向に制限されず、前記直交する方向に対して傾いていてもよい。
【0022】
第1流路部10dは、カートリッジ100内から押し出される流動体が通過する流路である。本実施形態では、第1流路部10dは、容器接続部10a及び第2本体接続部10bに囲まれた空間として形成されている。
【0023】
第2本体部20は、第1本体部10のカートリッジ100とは反対側に設けられており、第1本体接続部20aと、ノズル接続部20bと、第2流路部20cとを備えている。
【0024】
第1本体接続部20aは、第1本体部10に接続される。第1本体接続部20aは、第1本体部10に設けられた第2本体接続部10bの内周に設けられたねじと螺合可能なねじ(雄ねじ)を外周に設けている。
【0025】
ノズル接続部20bは、後述のノズル部30が接続される。ノズル接続部20bは、後述のノズル部30に設けられたノズルねじ部30aと螺合可能なねじ(雌ねじ)を内周に設けている。
【0026】
第2流路部20cは、カートリッジ100内から押し出される流動体が通過する流路である。本実施形態では、第2流路部20cは、第1本体接続部20a及びノズル接続部20bに囲まれた空間として形成されており、第1流路部10dと連通している。
【0027】
上述した第1本体部10及び第2本体部20は、例えば、真鍮、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属により構成されると、高い吐出圧力に耐えることができるので、望ましい。しかし、吐出圧力が低い用途の場合には、樹脂によって第1本体部10及び第2本体部20を構成してもよい。
また、第1本体部10及び第2本体部20の外周面には、ローレット加工を施したり、六角ボルトの頭部に準ずる形状を設けたりして、螺合作業をより確実に行えるようにしてもよい。
【0028】
ノズル部30は、流動体を外部へ吐出する部分であり、第2本体部20に接続している。本実施形態のノズル部30は、ノズルねじ部30aと、ノズル吐出口30bと、第3流路部30cとを備えている。
【0029】
ノズルねじ部30aは、第2本体部20のノズル接続部20bに接続される。ノズルねじ部30aは、第2本体部20のノズル接続部20bに設けられたねじと螺合可能なねじ(雄ねじ)を外周に設けている。
【0030】
ノズル吐出口30bは、ノズル部30の先端に開口している。ノズル吐出口30bの開口径は、作業目的に適した大きさに開口している。
【0031】
第3流路部30cは、カートリッジ100内から押し出される流動体が通過する流路であり、第2本体部20の第2流路部20cと先端のノズル吐出口30bとを連通している貫通した空間である。なお、第3流路部30cは、通常は、図示するようにノズル部30の先端(ノズル吐出口30b)に近づくにしたがい、内部の孔径が徐々に細く構成されているが、段を設けて細くなっていてもよい。
【0032】
ここで、ノズル部30は、複数種類が用意される。例えば、高い吐出圧力に耐えることができる金属製の他、流動体の吐出対象を破損する恐れの低い樹脂製を用意することを例示できる。また、ノズル吐出口30bの開口径が異なる複数種類を用意したり、ノズル部30の全長が異なる複数種類を用意したりしてもよい。
また、ノズル吐出口30bの径が大きい場合には、ノズルねじ部30aの径が大きいものを使用してもよく、そのような場合には、第2本体部20を使用せずに、ノズル部30のノズルねじ部30aを第1本体部10の第2本体接続部10bのねじに直接接続してもよい。
ノズル部30を複数種類用意することにより、ノズル部30のみを交換することによって、様々な状況に対応可能であり、利便性が飛躍的に向上する。
また、ノズル部30の外周面、特にノズルねじ部30aの近傍の外周面には、ローレット溝を設けたり、六角ボルトの頭部に準ずる形状を設けたりして、螺合作業をより確実に行えるようにしてもよい。
【0033】
次に、本実施形態のノズルアタッチメント1の使用方法について説明する。
図5は、ノズルアタッチメント1を装着したカートリッジ100を吐出ガン200に装着する状況を示す図である。
先ず、ノズルアタッチメント1を
図1及び
図5に示したようにカートリッジ100に装着する。次に、ノズルアタッチメント1を装着したカートリッジ100を吐出ガン200に装着する。吐出ガン200は、従来公知のものを適宜用いることができる。
図5に示す例では、シャフト201を引き下げて押圧体202を退避させて、カートリッジ100を装着する。その状態で、トリガー204を引く(握る)とシャフト201と押圧体202が前進してカートリッジ100内の流動体を押し出すことができる。
【0034】
図6は、ノズルアタッチメント1を装着したカートリッジ100を吐出ガン200に装着した状態をノズルアタッチメント1の先端側から見た図である。
ノズルアタッチメント1を装着したカートリッジ100を吐出ガン200に装着した状態でトリガー204を引く(握る)と、ノズルアタッチメント1の鍔部10cは、吐出ガン200の支持板203に当接した状態となる。
【0035】
図7は、ノズルアタッチメント1を装着したカートリッジ100を吐出ガン200に装着した状態でトリガー204を引いた(握った)状態のノズルアタッチメント1近傍の状況を説明する断面図である。
トリガー204を引いた(握った)ことにより、
図7中の矢印Aの方向に流動体が押圧されて、矢印Bのようにノズル部30から流動体が吐出される。このとき第1本体部10の内部では、矢印Cのように第1本体部10を先端側へ押圧する力が加わる。従来は、カートリッジにノズルが直接接続されていたことから、上記押圧力に耐えきれずに、ノズルとカートリッジとの接合部付近が破損する場合があった。
【0036】
しかし、本実施形態のノズルアタッチメント1を用いる場合には、鍔部10cが吐出ガン200の支持板203に当接した状態となる。したがって、ノズルアタッチメント1に加わる矢印Cのような押圧力は、この鍔部10cを介して吐出ガン200の支持板203が受けることとなり、ノズルアタッチメント1がカートリッジ100から外れてカートリッジ100を破損することを防止できる。
また、鍔部10cは、カートリッジ100の吐出口100aの周囲の面にも接触するので、この面で受けるカートリッジ100内の矢印Aのような押圧力についても、吐出ガン200の支持板203が受け止めることができ、カートリッジ100の破損を防止できる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のノズルアタッチメント1によれば、鍔部10cを設けたことにより、カートリッジ100の破損を効果的に防止することができる。
また、ノズル部30を別体として着脱自在に構成したので、用途に応じて適切なノズル部に交換可能となり、利便性が高い。
さらに、第1本体部10と第2本体部20とを別々の部品で構成したので、第1本体部10及び第2本体部20を金属加工によって作成する場合に、加工量を少なくすることができ、ノズルアタッチメント1を安価に提供できる。
【0038】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0039】
(1)実施形態において、第1本体部10と第2本体部20とを別々の部品で構成する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、第1本体部10と第2本体部20とを一体で構成してもよい。さらに、第1本体部10と第2本体部20とノズル部30とを一体で構成してもよい。
【0040】
(2)実施形態において、手動操作で流動体の吐出を行う吐出ガン200を例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、油圧や空気圧を利用したり、電動力を利用したりして流動体の吐出を行う吐出ガンに、本発明のノズルアタッチメント1を適用してもよい。
【0041】
(3)実施形態において、鍔部10cは、円盤状である例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、複数の棒状の突出部が放射状に設けられ、実質的に鍔部(フランジ部)を構成する形態としてもよく、このような形態も、本発明における鍔部に含まれるものである。
【0042】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0043】
1 ノズルアタッチメント
10 第1本体部
10a 容器接続部
10b 第2本体接続部
10c 鍔部
10d 第1流路部
20 第2本体部
20a 第1本体接続部
20b ノズル接続部
20c 第2流路部
30 ノズル部
30a ノズルねじ部
30b ノズル吐出口
30c 第3流路部
100 カートリッジ
100a 吐出口
200 吐出ガン
201 シャフト
202 押圧体
203 支持板
204 トリガー