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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062907
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】車両用内装装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/06 20060101AFI20220414BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20220414BHJP
   H02G 3/12 20060101ALI20220414BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
B60R7/06 Z
B60R16/04 X
H02G3/12
H02G3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171102
(22)【出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】309018445
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】西尾 和久
(72)【発明者】
【氏名】古山 陽司
【テーマコード(参考)】
3D022
5G361
【Fターム(参考)】
3D022CA01
3D022CB01
3D022CC02
3D022CD12
3D022CD17
3D022CD26
5G361AA06
5G361AB12
5G361AC05
5G361AD01
(57)【要約】
【課題】ソケットの使用時であってもソケットとケーブルの端子を隠すことができる車両用内装装置の提供。
【解決手段】ベース20が収容スペースSを有している。回転部材30が、閉時意匠面部31が車室内に向くとともに収容スペースSの開口21aの一部を閉塞しておりソケット面部32が収容スペースS内に向く閉位置30aと、閉位置30aから回転してソケット面部32が車室内に向く開位置30bとに、ベース20に回転可能に支持されている。ドア40が収容スペースSの開口21aの残部を閉塞するドア閉位置40aと、収容スペースSの開口21aの残部を開放させるドア開位置40bとに、ベース20に可動に支持されている。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、回転部材と、ドアと、を有しており、
前記ベースは、車室内側に開放する収容スペースを有しており、
前記回転部材は、閉時意匠面部と、ソケットが設定されるソケット面部と、を有しており、前記閉時意匠面部が車室内に向くとともに前記収容スペースの開口の一部を閉塞しており前記ソケット面部が前記収容スペース内に向く閉位置と、該閉位置から回転して前記ソケット面部が車室内に向く開位置とに、前記ベースに回転可能に支持されており、
前記ドアは、前記収容スペースの開口の残部を閉塞するドア閉位置と、該ドア閉位置から移動して前記収容スペースの開口の残部を開放させるドア開位置とに、前記ベースに可動に支持されている、
車両用内装装置。
【請求項2】
前記回転部材が前記閉位置にあり前記ドアが前記ドア閉位置にあるとき、前記回転部材と前記ドアは互いに接触し合っている、請求項1記載の車両用内装装置。
【請求項3】
前記回転部材は、前記回転部材が前記開位置にあるときに前記ドア側かつ前記収容スペース内側に湾曲しつつ延びる湾曲延長部を有しており、
前記回転部材が前記開位置にあり前記ドアが前記ドア閉位置にあるとき、前記ドアは前記回転部材の湾曲延長部に接触している、請求項1または請求項2記載の車両用内装装置。
【請求項4】
前記ベースは、前記収容スペースに収容される収容物が置かれる下壁部を有しており、該下壁部は、第1下壁部と、該第1下壁部より下方に設けられる第2下壁部と、を有している、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車両用内装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBソケット等のソケットが設定される車両用内装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-078836号公報は、回転部材に設けられたソケットを、回転部材が閉位置にあるときにはベース(ハウジング)内に収容された状態とし、回転部材を閉位置から開位置に回転させたときには露出するようにした技術を開示している。
【0003】
しかし、上記公報開示の技術には次の問題点がある。
ソケットの不使用時、すなわちソケットにケーブルの端子を接続していないときには、回転部材を開位置から閉位置に回転させてソケットをベース内に収容できる。そのため、ソケットが見えず、装置の見栄え向上を図ることができる。しかし、ソケットの使用時、すなわちソケットにケーブルの端子を接続しているときには、ケーブルの端子がベースと干渉してしまい回転部材を開位置から閉位置に回転させることができない。そのため、ソケットの使用時にソケットとケーブルの端子(ケーブル接合部)を隠すことができず、見栄え向上の点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-078836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ソケットの使用時であってもソケットとケーブルの端子を隠すことができる車両用内装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) ベースと、回転部材と、ドアと、を有しており、
前記ベースは、車室内側に開放する収容スペースを有しており、
前記回転部材は、閉時意匠面部と、ソケットが設定されるソケット面部と、を有しており、前記閉時意匠面部が車室内に向くとともに前記収容スペースの開口の一部を閉塞しており前記ソケット面部が前記収容スペース内に向く閉位置と、該閉位置から回転して前記ソケット面部が車室内に向く開位置とに、前記ベースに回転可能に支持されており、
前記ドアは、前記収容スペースの開口の残部を閉塞するドア閉位置と、該ドア閉位置から移動して前記収容スペースの開口の残部を開放させるドア開位置とに、前記ベースに可動に支持されている、
車両用内装装置。
(2) 前記回転部材が前記閉位置にあり前記ドアが前記ドア閉位置にあるとき、前記回転部材と前記ドアは互いに接触し合っている、(1)記載の車両用内装装置。
(3) 前記回転部材は、前記回転部材が前記開位置にあるときに前記ドア側かつ前記収容スペース内側に湾曲しつつ延びる湾曲延長部を有しており、
前記回転部材が前記開位置にあり前記ドアが前記ドア閉位置にあるとき、前記ドアは前記回転部材の湾曲延長部に接触している、(1)または(2)記載の車両用内装装置。
(4) 前記ベースは、前記収容スペースに収容される収容物が置かれる下壁部を有しており、該下壁部は、第1下壁部と、該第1下壁部より下方に設けられる第2下壁部と、を有している、(1)~(3)のいずれか1つに記載の車両用内装装置。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)の車両用内装装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
ベースが収容スペースを有している。また、回転部材が、閉時意匠面部が車室内に向くとともに収容スペースの開口の一部を閉塞しておりソケット面部が収容スペース内に向く閉位置と、閉位置から回転してソケット面部が車室内に向く開位置とに、ベースに回転可能に支持されている。さらに、ドアが収容スペースの開口の残部を閉塞するドア閉位置と、収容スペースの開口の残部を開放させるドア開位置とに、ベースに可動に支持されている。そのため、ドアがドア開位置にある状態において、回転部材を、開位置にある状態でソケット面部に設定されるソケットにケーブルの端子を接続した後に開位置から閉位置に回動させたとき、ケーブルの端子を、回転部材のソケット面部に連動させて、収容スペースの開口の前記残部を通して収容スペース内に収容できる。そして、その後にドアをドア開位置からドア閉位置に移動させることで、ソケットの使用時にソケットとケーブルの端子を装置内に隠すことができる。よって、見栄えをよくすることができる。
【0008】
また、ケーブルの他端部(ソケットに接続される側と反対側の端部)が接続されるスマートフォンなどの収容物も収容スペースに収容することで、ソケット、ケーブル端子だけでなく収容物も装置内に隠すことができ、さらなる見栄え向上を図ることができる。
【0009】
回転部材が閉位置にあるとき、ソケット面部が収容スペース内に向くため、ドアがドア開位置にあってもソケット面部が車室乗員から見えることを抑制できる。よって、回転部材が閉位置にあるときにおける車両用内装装置の見栄えを向上できる。
【0010】
回転部材が開位置にあるとき、ソケット面部が車室内に向いているため、車室乗員がソケット面部に設定されるソケットを使用するときに、ソケットへのケーブルの抜き差し動作を容易に行うことができる。よって、装置の使用性を向上できる。
【0011】
上記(2)の車両用内装装置によれば、回転部材が閉位置にありドアがドア閉位置にあるとき、回転部材とドアが互いに接触し合っているため、回転部材が閉位置にありドアがドア閉位置にあるときに回転部材とドアとの間に隙間が発生して装置の見栄えが悪くなることを抑制できる。
【0012】
上記(3)の車両用内装装置によれば、回転部材が開位置にありドアがドア閉位置にあるとき、ドアが回転部材の湾曲延長部に接触しているため、回転部材が開位置にありドアがドア閉位置にあるときに回転部材とドアとの間に隙間が発生して装置の見栄えが悪くなることを抑制できる。
【0013】
上記(4)の車両用内装装置によれば、ベースの下壁部が、第1下壁部と、第1下壁部より下方に設けられる第2下壁部と、を有しているため、第1下壁部と第2下壁部とで異なる収容物を置くことができる。また、第1下壁部に置かれる収容物と第2下壁部に置かれる収容物が互いに干渉し合うことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明実施例の車両用内装装置の分解斜視図である。
図2】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が閉位置にありドアがドア閉位置にあるときにおける斜視図である。
図3】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が開位置にありドアがドア閉位置にあるときにおける斜視図である。
図4】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が閉位置にありドアがドア開位置にあるときにおける斜視図である。
図5】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が開位置にありドアがドア開位置にあるときにおける斜視図である。
図6】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が閉位置にありドアがドア閉位置にあるときにおける断面図である。
図7】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が閉位置にありドアがドア開位置にあるときにおける断面図である。
図8】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が開位置にありドアがドア開位置にありケーブルがソケットに接続された状態における断面図である。
図9】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が開位置にありドアがドア閉位置にありケーブルがソケットに接続された状態における断面図である。
図10】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が開位置にありドアがドア開位置にありケーブルがソケットに接続された状態における断面図である。
図11】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が閉位置にありドアがドア開位置にありケーブルがソケットに接続された状態における断面図である。
図12】本発明実施例の車両用内装装置の、回転部材が閉位置にありドアがドア閉位置にありケーブルがソケットに接続された状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明実施例の車両用内装装置10を説明する。なお、図中、UPは上方を示し、INは車室内を示す。
【0016】
本発明実施例の車両用内装装置(以下、単に内装装置または装置ともいう)10は、特に限定されるものではないが、たとえば、車両の内装部材であるインストルメントパネル、コンソールボックス(パネル)等に配設される。
【0017】
内装装置10は、図1に示すように、ベース20と、回転部材30と、ドア40と、を有する。
【0018】
ベース20は、図示略の車両内装部材に固定されている。ベース20は、複数部品構成となっており、意匠パネル21と、回転部材ベース22と、ボックスベース23と、を有する。
【0019】
意匠パネル21は、枠状のパネル部材であり、上方かつ車室内に向って開放する開口21aを形成している。開口21aは、後述する収容スペースSの開口となっている。意匠パネル21の意匠面(上面、車室側面)21bは、周囲の図示略の車両内装部材と面一またはほぼ面一とされており、装置10の意匠性が高められている。
【0020】
回転部材ベース22は、意匠パネル21と固定されている。回転部材ベース22には、回転部材30を回転可能に支持する軸受部22aが設けられている。回転部材ベース22は、車室内側に開放する第1の収容スペースS1を有している。
【0021】
ボックスベース23は、意匠パネル21と固定されている。ボックスベース23には、ドア40を可動に支持するドア支持部23aと、ドア開位置40bにあるときにおけるドア40の裏側(ドア40の意匠面41側)に設けられるカバー部23bと、が設けられている。カバー部23bは、ドア開位置40bにあるドア40と意匠パネル21との間に入り込んだ異物(カードやコイン等)をドア40に設けられる掻き出し部42で掻き出すことができるようにするために設けられている。
【0022】
ボックスベース23は、車室内側に開放する第2の収容スペースS2を有している。図6に示すように、第1の収容スペースS1と第2の収容スペースS2は、互いに連通しており、協働して車室内側に開放する単一の収容スペースSを形成している。この収容スペースSが、ベース20に設けられる車室内側に開放する収容スペース(請求項の収容スペース)である。
【0023】
図10に示すように、収容スペースSは、スマートフォンなどの収容物(外部装置)Mを2個以上収容可能な容量を有している。ベース20は、収容スペースSに収容される収容物Mが置かれる下壁部24を有する。下壁部24は、収容スペースSを周囲のスペースから隔てる隔壁の一部を構成している。下壁部24は、第1下壁部24aと、該第1下壁部24aより下方に設けられる第2下壁部24bと、を有している。第1下壁部24aの一部は、第2下壁部24bの一部の上方に張り出しており、第1下壁部24aに置かれる収容物M(M1)と第2下壁部24bに置かれる収容物M(M2)とが互いに干渉し合うことが効果的に抑制されている。
【0024】
回転部材30は、たとえば段付きビス50(図1参照)等を用いて、ベース20の回転部材ベース22の軸受部22aに軸芯P1まわりに回転可能に支持されている。ただし、段付きビス50は、(i)単なるビスであってもよく、(ii)回転部材30とベース20の一方に突出ピンを設け、回転部材30とベース20の他方に該突出ピンが挿入されるとともに回転可能に支持されるピン用孔を設けることで、段付きビス50は省略されていてもよい。
【0025】
回転部材30は、図6図8に示すように、ベース20に対して、閉位置30a(図6)と該閉位置30aから回転した開位置30b(図8)に回転可能とされている。回転部材30は、閉時意匠面部31と、ソケット(接続端子、コネクタまたはポートといってもよい)32aが設定されるソケット面部32と、湾曲延長部33と、を有している。
【0026】
図6に示すように、閉時意匠面部31は、回転部材30が閉位置30aにあるときに回転部材30の意匠面を形成する。閉時意匠面部31は、回転部材30が閉位置30aにあるときに、車室内に向くとともに、収容スペースSの開口21aの一部を閉塞している。回転部材30が閉位置30aにあるとき、閉時意匠面部31の意匠面(車室側面)は、装置10の意匠性向上のために、周囲の意匠パネル21の意匠面21bと面一またはほぼ面一とされていることが望ましい。
【0027】
ソケット面部32は、回転部材30の、閉時意匠面部31とは異なる位置に設けられている。ソケット面部32に設けられるソケット32a(図1参照)の数は、1つのみであってもよく複数であってもよい。ソケット32aが複数設けられる場合、設けられるソケット32aの種類は、1種であってもよく、複数種であってもよい。ソケット32aは、たとえばUSBソケット、ACソケット、DCソケットなどである。
【0028】
ソケット面部32は、回転部材30が閉位置30aにあるとき、車室内には向いておらず、収容スペースS内に向いている。図8に示すように、ソケット面部32は、回転部材30が開位置30bにあるとき、車室内に向いている。ソケット面部32は、回転部材30が開位置30bにあるとき、装置10の使用性向上のために、周囲の意匠パネル21の意匠面21bと面一か、または意匠パネル21の意匠面21bよりも車室内側に位置するようにされていることが望ましい。
【0029】
湾曲延長部33は、回転部材30が開位置30bにあるときに、回転部材30の車室内側かつドア40側の端部(角部)から、ドア40側かつ収容スペースS内側に湾曲しつつ延びている。湾曲延長部33は、回転部材30の軸芯P1方向から見たとき、軸芯P1を中心とする円弧状に延びている。湾曲延長部33の延び方向先端は自由端となっている。湾曲延長部33の延び方向中間部には、ドア閉位置40aにあるドア40が接触する。
【0030】
回転部材30は、開方向に常時付勢する開方向付勢バネ60によって、常時開方向に回転付勢されているとともに、たとえばハートカムロックからなるロック部材61によって閉位置30aにてロック可能とされている(図1参照)。これにより、回転部材30が閉位置30aにあるときには、ロック部材61によって閉位置30aを維持でき、回転部材30をプッシュしてロック解除することで、開方向付勢バネ60によって自動で開位置30bまで回転させることができる。なお、回転部材30が開位置30bに達したとき、回転部材30に設けられるストッパ34がベース20(回転部材ベース22)に設けられるストッパ受け部22bに当接して止まり、開位置30bを超えてそれ以上ベース20に対して回動することが抑制されている。開方向付勢バネ60による回転部材30の回転速度を緩やかにするために、図示略のダンパ等が設けられていてもよい。
【0031】
ただし、回転部材30は、開方向付勢バネ60およびロック部材61の代わりに図示略のターンオーバースプリングを用いて付勢されていてもよく、付勢バネを設けずに手動で開閉されていてもよい。
【0032】
ドア40は、ベース20(ボックスベース23)のドア支持部23a(図1参照)に回転可能に支持されている。ただし、ドア40は、ベース20にスライド可能(平行動可能)に支持されていてもよく、その他の移動方法で可動に支持されていてもよい。なお、本発明実施例および図示例では、ドア40がベース20に回転可能に支持される場合を説明する。
【0033】
図6図7に示すように、ドア40は、ベース20の収容スペースSの開口21aの残部を閉塞するドア閉位置40a(図6)と、該ドア閉位置40aから移動して収容スペースSの開口21aの残部を開放させるドア開位置40b(図7)とに、ベース20に回転可能に支持されている。ドア40は、図示略の段付きビスを用いて、ベース20のドア支持部23aに軸芯P2まわりに回転可能に支持されている。ただし、ドア40は、(i)単なるビスを用いてベース20に回転可能に支持されていてもよく、(ii)ドア40とベース20の一方に突出ピンを設け、ドア40とベース20の他方に該突出ピンが挿入されるとともに回転可能に支持されるピン用孔を設けることで、段付きビス等を設けずにベース20に回転可能に支持されていてもよい。
【0034】
ドア閉位置40aにあるとき、ドア40の意匠面(上面、車室側面)41は、装置10の意匠性向上のために、周囲の意匠パネル21の意匠面21bと面一またはほぼ面一とされていることが望ましい。図8図9に示すように、ドア閉位置40aおよびドア開位置40bにあるとき、ドア40は、開位置30bにある回転部材30のソケット面部32を覆わない位置(ソケット面部32の面直方向領域から外れた位置)にあり、ソケット32aの使用を邪魔しないようになっている。
【0035】
ドア40は、回転部材30と同様に、ドア開位置40b側に常時付勢する図示略の開方向付勢バネによって、常時開方向に回転付勢されているとともに、たとえばハートカムロックからなる図示略のロック部材によってドア閉位置40aにてロック可能とされている。これにより、ドア40がドア閉位置40aにあるときには、ロック部材によってドア閉位置40aを維持でき、ドア40をプッシュしてロック解除することで、開方向付勢バネによって自動でドア開位置40bまで回転させることができる。なお、ドア40がドア開位置40bに達したとき、ドア40に設けられるストッパ42がベース20(ボックスベース23)に設けられるストッパ受け部23cに当接して止まり、ドア開位置40bを超えてそれ以上ベース20に対して回動することが規制されている。図示略の開方向付勢バネによるドア40の回転速度を緩やかにするために、図示略のダンパ等が設けられていてもよい。
【0036】
ただし、ドア40は、図示略の開方向付勢バネおよびロック部材の代わりに図示略のターンオーバースプリングを用いて付勢されていてもよく、付勢バネを設けずに手動で開閉されていてもよい。
【0037】
(i)図6に示すように、回転部材30が閉位置30aにありドア40がドア閉位置40aにあるとき、回転部材30とドア40は互いに接触(線接触または面接触)し合っており、収容スペースSの開口21aの全体(略全体を含む)を閉塞している。(ii)図9に示すように、回転部材30が開位置30bにありドア40がドア閉位置40aにあるとき、ドア40は回転部材30の湾曲延長部33の延び方向中間部に接触(線接触または面接触)している。(iii)図7図8に示すように、ドア40がドア開位置40bにあるとき、回転部材30とドア40は、互いに非接触となっている。
【0038】
ここで、本発明実施例の作動を説明する。
【0039】
(a)〔回転部材30が閉位置30aにありドア40がドア閉位置40aにある状態から、回転部材30を開位置30bにし、回転部材30を開位置30bにしたままソケット32aを使用するとき〕
(a1)図6図7に示すように、回転部材30が閉位置30aにありドア40がドア閉位置40aにある状態から、先ず、ドア40をプッシュして図示略のロック部材を解除させてドア40を開く。なお、この(a1)の動作は、ソケット32aに一本もケーブルCの端子C1が接続されていない場合には、不要であり次の(a2)からの操作で良くなる。
(a2)その後、回転部材30をプッシュしてロック部材61のロックを解除させて回転部材30を開位置30bまで回転させる(図7図8参照)。これにより、ソケット面部32が車室内を向く。
(a3)その後、ソケット32aにケーブルCの端子C1を接続させる(差し込む)(図8参照)。
(a4)その後、ドア40をドア開位置40bからドア閉位置40aに移動させて閉める(図9参照)。ただし、この(a4)の動作は、必須ではない。
【0040】
上記(a1)~(a4)により、回転部材30が開位置30bにある状態で、ソケット32aを使用可能である。
【0041】
(b)〔上記(a3)の、回転部材30を開位置30bにしてソケット32aにケーブルCの端子C1を接続している状態から、回転部材30を閉位置30aまで回転させるとき〕
(b1)図10図11に示すように、上記(a3)の後であってドア40がドア開位置40bにある状態で、ケーブルCの端子C1と反対側の端部が接続されているスマートフォンなどの収容物Mがある場合には該収容物Mを収容スペースS内に配置して(ケーブルCがスマートフォンなどの収容物Mに接続されていない場合にはケーブルCの端子C1と反対側の端部に何も接続されていない状態のまま)、ソケット32aにケーブルCの端子C1を接続させたまま回転部材30を開位置30bから閉位置30aまで回転させて閉める。このとき、ケーブルCは長手方向中間部の少なくとも一箇所で屈曲または湾曲されて収容スペースS内に入り込む。
(b2)その後、ドア40をドア開位置40bからドア閉位置40aに移動させて閉める(図12参照)。ただし、この(b2)の動作は、必須ではない。
【0042】
上記(b1)、(b2)により、回転部材30が閉位置30aにある状態で、ソケット32aを使用可能である。
【0043】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
(A)ベース20が収容スペースSを有している。また、回転部材30が、閉時意匠面部31が車室内に向くとともに収容スペースSの開口21aの一部を閉塞しておりソケット面部32が収容スペースS内に向く閉位置30aと、閉位置30aから回転してソケット面部32が車室内に向く開位置30bとに、ベース20に回転可能に支持されている。さらに、ドア40が収容スペースSの開口21aの残部を閉塞するドア閉位置40aと、収容スペースSの開口21aの残部を開放させるドア開位置40bとに、ベース20に可動に支持されている。
そのため、ドア40がドア開位置40bにある状態において、回転部材30を、開位置30bにある状態でソケット面部32に設定されるソケット32aにケーブルCの端子C1を接続した後に開位置30bから閉位置30aに回動させたとき、ケーブルCの端子C1を、回転部材30のソケット面部32に連動させて、収容スペースSの開口21aの前記残部を通して収容スペースS内に収容できる。そして、その後にドア40をドア開位置40bからドア閉位置40aに移動させることで、ソケット32aの使用時にソケット32aとケーブルCの端子C1を装置10内(収容スペースS内)に隠すことができる。よって、見栄えをよくすることができる。
【0044】
また、ケーブルCの他端部(ソケット32aに接続される側と反対側の端部)が接続されるスマートフォンなどの収容物Mも収容スペースSに収容することで、ソケット32a、ケーブル端子C1だけでなく収容物Mも装置10内(収容スペースS内)に隠すことができ、さらなる見栄え向上を図ることができる。
【0045】
(B)回転部材30が閉位置30aにあるとき、ソケット面部32が収容スペースS内に向くため、ドア40がドア開位置40bにあってもソケット面部32が車室乗員から見えることを抑制できる。よって、回転部材30が閉位置30aにあるときにおける装置10の見栄えを向上できる。
【0046】
(C)回転部材30が開位置30bにあるとき、ソケット面部32が車室内に向いているため、車室乗員がソケット面部32に設定されるソケット32aを使用するときに、ソケット32aへのケーブルCの抜き差し動作を容易に行うことができる。よって、装置10の使用性を向上できる。
【0047】
(D)回転部材30が開位置30bにあるとき、ソケット面部32が意匠パネル21の意匠面22aと面一か、または意匠パネル21の意匠面21bよりも車室内側に位置するため、ソケット32aへのケーブルCの抜き差し動作を容易に行うことができる。よって、装置10の使用性を向上できる。
【0048】
(E)回転部材30が閉位置30aにありドア40がドア閉位置40aにあるとき、回転部材30とドア40が互いに接触し合っているため、回転部材30が閉位置30aにありドア40がドア閉位置40aにあるときに回転部材30とドア40との間に隙間が発生して装置10の見栄えが悪くなることを抑制できる。
【0049】
(F)回転部材30が開位置30bにありドア40がドア閉位置40aにあるとき、ドア40が回転部材30の湾曲延長部33に接触しているため、回転部材30が開位置30bにありドア40がドア閉位置40aにあるときに回転部材30とドア40との間に隙間が発生して装置10の見栄えが悪くなることを抑制できる。
【0050】
(G)回転部材30が開位置30bにありドア40がドア閉位置40aにあるとき、ドア40が回転部材30の湾曲延長部33の長手方向中間部に接触しているため、回転部材30が開位置30bにありドア40がドア閉位置40aにある状態でドア40をプッシュしてロック解除させるときにも、回転部材30とドア40との間に隙間が発生して装置10の見栄えが悪くなることを抑制できる。
【0051】
(H)ベース20の下壁部24が、第1下壁部24aと、第1下壁部24aより下方に設けられる第2下壁部24bと、を有しているため、第1下壁部24aと第2下壁部24bとで異なる収容物Mを置くことができる。また、第1下壁部24aに置かれる収容物M(M1)と第2下壁部24bに置かれる収容物M(M2)が互いに干渉し合うことを抑制できる。
【0052】
(I)ドア40がドア閉位置40aとドア開位置40bとにベース20に回動可能に支持されているため、ベース20の収容スペースSとドア40とで装置10を単純に小物入れ装置として使用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 車両用内装装置
20 ベース
21 意匠パネル
21a 開口
21b 意匠パネルの意匠面
22 回転部材ベース
22a 軸受部
22b ストッパ受け部
23 ボックスベース
23a ドア支持部
23b カバー部
24 下壁部
24a 第1下壁部
24b 第2下壁部
30 回転部材
30a 閉位置
30b 開位置
31 閉時意匠面部
32 ソケット面部
32a ソケット
33 湾曲延長部
34 ストッパ
40 ドア
40a ドア閉位置
40b ドア開位置
41 ドアの意匠面
42 掻き出し部
50 段付きビス
60 開方向付勢バネ
61 ロック部材
C ケーブル
C1 ケーブルの端子
M、M1、M2 収容物
P1 回転部材の軸芯
P2 ドアの軸芯
S 収容スペース
S1 第1の収容スペース
S2 第2の収容スペース
図1
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図3
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図12