(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006291
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220105BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G08G1/16 A
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108443
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長野 優貴
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
5C054EG01
5C054FC12
5C054FE09
5C054FE28
5C054HA30
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF33
5H181LL04
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】より適切に映像を表示すること。
【解決手段】車両1の周辺の撮影映像に基づく車外映像の映像データを表示装置に出力する出力部111と、前記車外映像の映像データの出力に対する前記表示装置からの応答に基づいて、前記表示装置における前記車外映像の表示の遅延を監視する遅延監視部113と、前記表示装置において前記車外映像の表示に遅延が生じている場合、前記表示装置に出力される前記車外映像の映像データのデータサイズを前記車外映像の表示に遅延が生じたときのデータサイズよりも小さくする映像データサイズ変換部114と、を備える車載装置を構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺の撮影映像に基づく車外映像の映像データを表示装置に出力する出力部と、
前記車外映像の映像データの出力に対する前記表示装置からの応答に基づいて、前記表示装置における前記車外映像の表示の遅延を監視する遅延監視部と、
前記表示装置において前記車外映像の表示に遅延が生じている場合、前記表示装置に出力される前記車外映像の映像データのデータサイズを前記車外映像の表示に遅延が生じたときのデータサイズよりも小さくする映像データサイズ変換部と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記映像データサイズ変換部は、前記車外映像の映像データの解像度を下げる
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記映像データサイズ変換部は、前記車外映像の映像データの表示色を減らす
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記映像データサイズ変換部は、前記車外映像の映像データのフレームレートを変更せずに、前記映像データの映像フレームのデータ量を小さくして前記映像データのデータサイズを小さくする
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車載装置。
【請求項5】
前記映像データサイズ変換部によって前記車外映像の映像データのデータサイズが小さくされている場合、前記車外映像に注意対象物が映っているか否かを判定し、前記注意対象物が映っているときに、前記注意対象物への注意を促すための処理を実行する注意表示処理部と、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車載装置。
【請求項6】
前記表示装置は、
前記車両に設けられた車載表示装置、及び、可搬型の可搬型表示装置であり、
前記出力部は、
前記車載表示装置と前記可搬型表示装置との間で、前記車外映像の映像データの出力先を切り替える
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車支援に係る技術として特許文献1がある。
特許文献1の要約書の課題の欄には、「カメラ映像の送信中に運転者に注意を促すことが必要な状況の発生を検出した場合にその状況を運転者に素早く伝えることが可能な運転支援装置を実現する。」ことが記載されている。
特許文献1の要約書の解決手段の欄には、「運転支援装置(10)は、運転者に注意を促すことが必要な状況の発生を検出する撮影映像解析部(12)と、カメラ(102)が出力する撮像映像の映像データをスマートフォン(20)に送信する送信処理部(13)と、を備えている。送信処理部(13)は、上記運転者が注意すべき内容に応じた識別子を上記状況が検出された直後にスマートフォン(20)に送信する。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スマートフォンの処理負荷が高い場合など、当該スマートフォンにおいてカメラの撮影映像の表示に遅延が生じる可能性があった。
【0005】
本発明は、より適切に映像を表示する車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両の周辺の撮影映像に基づく車外映像の映像データを表示装置に出力する出力部と、前記車外映像の映像データの出力に対する前記表示装置からの応答に基づいて、前記表示装置における前記車外映像の表示の遅延を監視する遅延監視部と、前記表示装置において前記車外映像の表示に遅延が生じている場合、前記表示装置に出力される前記車外映像の映像データのデータサイズを前記車外映像の表示に遅延が生じたときのデータサイズよりも小さくする映像データサイズ変換部と、を備えることを特徴とする車載装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より適切に映像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る運転支援装置が搭載された車両の構成を示す図である。
【
図2】可搬型表示装置における映像表示遅延の検出手法の説明図である。
【
図5】本発明の変形例に係る表示制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る運転支援装置100が搭載された車両1の構成を示す図である。
車両1は、車載カメラ10と、車載表示装置20と、通信ユニット30と、運転支援装置100と、を備え、これらがCAN(Controller Area Network)バスなどの車載ネットワーク5を通じてデータ通信可能に接続されている。
【0010】
車載カメラ10、車載表示装置20、及び、運転支援装置100は、いわゆる電子ミラー(デジタルミラーやカメラモニタリングシステムとも称される)を実現する装置である。
車載カメラ10は、車両1の周辺(すなわち車外)を撮影した撮影映像を運転支援装置100に出力する車載型のカメラである。車載カメラ10の画角や撮影方向は、電子ミラーの仕様に基づいて適宜に設定可能である。
【0011】
車載表示装置20は、車両1に固定設置された表示装置である。車載表示装置20は、車載カメラ10の撮影映像に基づく車外映像(動画像)のデータが運転支援装置100から順次に入力され、当該車外映像を表示することで、一般的な車両に搭載されている鏡(ルームミラーやサイドミラーなど)の代わりとして機能する。
かかる車載表示装置20は、車両1の車室内において、置き換え対象の鏡に対応した位置に設置される。
【0012】
通信ユニット30は、無線又は有線により通信可能に可搬型表示装置50に接続され、動画像を伝送可能な適宜の通信プロトコルを用いて当該可搬型表示装置50との間でデータ通信する装置である。かかる通信ユニット30は、可搬型表示装置50からデータを受信する受信装置と、当該可搬型表示装置50にデータを送信する送信装置を備えている。
【0013】
可搬型表示装置50は、車載表示装置20に代わって車外映像を表示可能な可搬型の装置である。
より具体的には、可搬型表示装置50は、通信ユニット51と、表示部52と、を備えている。
通信ユニット51は、車両1が備える通信ユニット30に無線又は有線により通信可能に接続され、当該通信ユニット30との間でデータ通信する装置である。かかる通信ユニット51は、車両1の通信ユニット30と同様に、データの送受信のための受信装置、及び送信装置を備えている。
表示部52は、通信ユニット51を通じて車両1から受信した車外映像を表示する。表示部52は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイである。
【0014】
かかる可搬型表示装置50は、故障や破損等により車外映像が車載表示装置20に表示されないという非常時に代替の表示手段として用いられる。かかる可搬型表示装置50として、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、可搬型パーソナルコンピュータ、モバイルディスプレイといった、乗員が携帯する、表示機能を有した携帯型電子機器が想定される。
【0015】
運転支援装置100は、車外映像の映像データの出力を制御する機能を有し、車載表示装置20、及び、可搬型表示装置50へ車外映像を表示することで運転を支援する車載装置である。
運転支援装置100は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Microprocessor Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリデバイス(主記憶装置とも呼ばれる)と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置(補助記憶装置とも呼ばれる)と、センサ類や周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、車載ネットワーク5を介して他の車載装置と通信する車載ネットワーク通信回路と、を備えたコンピュータを備えている。かかるコンピュータとして、ECU(Electronic Conrtol Unit))が用いられている。
かかる運転支援装置100において、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、
図1に示す各種の機能的構成が実現されている。
【0016】
すなわち、運転支援装置100は、機能的構成として、撮影映像取得部110と、出力部111と、接続監視部112と、遅延監視部113と、映像データサイズ変換部114と、注意表示処理部115と、を備えている。
【0017】
撮影映像取得部110は、車載カメラ10によって撮影された車外の撮影映像を取得する。
出力部111は、撮影映像に基づく車外映像の映像データを車載表示装置20、及び可搬型表示装置50の間で切り替えて出力する。
より具体的には、出力部111は、デフォルトの出力先として車載表示装置20に車外映像の映像データを出力する。この場合、出力部111は、車載ネットワーク5を介して車載表示装置20へ車外映像の映像データを出力する。
また、出力部111は、可搬型表示装置50への切り替えが、例えばHMI(Human Machine Interface)に対する乗員の操作によって指示された場合、出力先を可搬型表示装置50に切り替え、当該可搬型表示装置50へ車外映像の映像データを出力する。この場合、出力部111は、通信ユニット30を介して可搬型表示装置50へ車外映像の映像データを出力する。
乗員は、車載表示装置20が故障や破損する等して車載表示装置20に車外映像が正常に表示されない場合、可搬型表示装置50へ出力先を切り替える指示操作を行うことで、電子ミラーの修理を受け付ける施設(修理工場やディーラー)へ車両1を移動させるまでの間、車載表示装置20の代用として可搬型表示装置50に車外映像を表示させることができる。
【0018】
接続監視部112は、車外映像の映像データの出力先が可搬型表示装置50である場合、運転支援装置100(より正確には、通信ユニット30)と可搬型表示装置50との通信接続が切断されていないかを監視する。
より具体的には、接続監視部112は、通信接続状態を確認するための確認信号を一定期間ごとに可搬型表示装置50に送信し、当該確認信号に対する可搬型表示装置50の応答の有無に基づいて通信接続の切断を判定する。
【0019】
遅延監視部113は、車外映像の映像データの出力先が可搬型表示装置50である場合、当該可搬型表示装置50における車外映像表示の遅延を監視する。
詳述すると、乗員が携帯するような可搬型表示装置50の表示に関する性能は、一般に、電子ミラーに特化した車載表示装置20に比べて低いものが多い。表示に関する性能は、例えば、解像度や表示色数、描画処理を実行するプロセッサ(例えばGraphics Processing Unit)の処理速度などである。
運転支援装置100が車載表示装置20に出力する車外映像の映像データを、そのまま可搬型表示装置50に出力した場合、上述した表示に関する性能差や、運転支援装置100(より正確には通信ユニット30)と可搬型表示装置50との間の通信速度、可搬型表示装置50において発生している処理負荷などに起因して、可搬型表示装置50において表示の遅延が生じることがある。
【0020】
そこで遅延監視部113は、かかる遅延を監視する。
具体的には、遅延監視部113は、
図2に示すように、車外映像の映像データを構成する映像フレームの送信ごとに、受信応答の送信を可搬型表示装置50に要求する。受信応答は、可搬型表示装置50において映像フレームに基づく表示が完了した事を示す応答信号である。
遅延監視部113は、受信応答の送信要求を可搬型表示装置50に送信したタイミングTa1と、当該送信要求に対する受信応答を可搬型表示装置50から受信したタイミングTa2との時間差によって遅延時間ΔTaを検出する。そして遅延監視部113は、当該遅延時間ΔTaが規定値を超えている場合、可搬型表示装置50において車外映像の表示に遅延が生じていると判定する。
なお、車外映像の表示の遅延を「映像表示遅延」と言う。
また遅延監視部113は、映像フレームごとではなく、所定数の映像フレームごとに受信応答の送信を要求してもよい。
【0021】
映像データサイズ変換部114は、可搬型表示装置50において映像表示遅延が生じている場合にデータサイズ変換処理を実行する。
データサイズ変換処理は、映像表示遅延が解消されるデータサイズまで、すなわち遅延時間ΔTaを規定値以下とするデータサイズまで車外映像の映像データのデータサイズを映像表示遅延が生じたときのデータサイズよりも小さくする処理である。
具体的には、映像データサイズ変換部114は、車外映像を構成する各映像フレームのフレームレートを変えずに、遅延時間ΔTaが規定値以下にあるまで映像フレームのそれぞれのデータ量を漸次に削減することで、車外映像の映像データのデータサイズを小さくする。
映像フレームのデータ量の削減手法は、公知又は周知の適宜の手法が用いられる。例えば、映像フレームの解像度を低めたり、グレースケール表示等によって表示色数を減らしたりすることで、映像フレームのデータ量を削減できる。
かかるデータサイズ変換処理において、車外映像のフレームレートは変更されずに維持されるため、すなわち映像フレームが間引かれることがないため、車載表示装置20を用いたときの車外映像表示と同じ時間分解能で車外映像が表示される。これにより、可搬型表示装置50に車外映像を表示する場合でも、車外表示のリアルタイム性が損なわれることがない。
【0022】
注意表示処理部115は、車外映像の映像データ(より正確には映像フレーム)のデータサイズが削減されている間、車外映像の中に注意対象物120(
図4)が映っている場合に、当該注意対象物120への注意を促すための処理を実行する。
【0023】
注意対象物120は、運転者が注意を払うべき物体である。
具体的には、注意対象物120は、例えば、車両1に接近する適宜の物体(他車両や歩行者を含む)、又は障害物である。障害物は、車両1の走行の妨げになる物体を言う。障害物は、例えば壁や支柱、道路標識などの構造物、走行中又は停車中の他車両、又は歩行者などである。
また本実施形態において、「注意を促すための処理」は、車外映像の中で注意対象物120を強調して目立たせる強調表示処理である。
強調表示の具体的態様は、運転者に注意を促せる態様であれば適宜である。例えば、注意対象物120を囲む枠を重畳表示したり、注意対象物120が存在する範囲の表示色を変えたりする強調表示態様が有り得る。
【0024】
注意表示処理部115は、例えば画像認識処理などの公知、又は周知の技術を用いて、車外映像に映っているか注意対象物120を検出する。そして注意表示処理部115は、注意対象物120が車外映像に映っている場合、車外映像の映像フレームに対して画像処理を施すことで、注意対象物120が強調表示されるようにする。
このように、解像度や表示色数の低減によって車外映像が表示する情報量が低下した状態であっても、注意対象物120が強調表示されることで、乗員(特に運転者)は注意を払うべき物体を的確に把握できる。
【0025】
次いで、本実施形態の動作について説明する。
車外映像が車載表示装置20に正常に表示されない場合、乗員は、車外映像の映像データの出力先を可搬型表示装置50へ切り替えるための指示操作を行う。運転支援装置100は、かかる指示操作が入力されると、出力部111は可搬型表示装置50へ通信ユニット30を通じて車外映像の映像データを送信する。そして可搬型表示装置50は、車外映像の映像データを受信すると、当該映像データに基づいて表示部52に車外映像を表示する。
これにより、車載表示装置20の代わりに可搬型表示装置50に車外映像が表示され、乗員は、かかる表示によって車外の状況を確認することができる。
【0026】
また運転支援装置100は、車外映像の映像データを可搬型表示装置50に出力する間(可搬型表示装置50が出力先となっている間)、可搬型表示装置50における適切な車外映像表示を実現するために次の表示制御処理を実行する。
【0027】
図3は表示制御処理のフローチャートである。
運転支援装置100において、接続監視部112は、可搬型表示装置50との間の通信接続が切断されていないか否かを判定する(ステップSa1)。
例えば、可搬型表示装置50のバッテリ残量が無くなった場合などには、通信接続が切断される。このように通信接続が切断されている場合(ステップSa1:Yes)、出力部111は、車外映像の映像データの出力先を車載表示装置20に切り替え(ステップSa2)、本処理を終了する。
この場合、車載表示装置20が表示動作可能であるときには、表示が正常ではない蓋然性があるものの、車外映像が車載表示装置20に表示される。したがって、例えば、車載表示装置20のカバーガラスのヒビ割れによって車外映像の表示の視認性に支障を来しているような場合であって、代替の可搬型表示装置50が通信接続されなくなったときは、視認性に多少の難があるとしても車載表示装置20に車外映像が表示されるようになる。
【0028】
ステップSa1の判定において、可搬型表示装置50の通信接続が切断されていない場合(ステップSa1:Yes)、遅延監視部113が可搬型表示装置50において映像表示遅延が生じているか否かを判定する(ステップ:Sa3)。
そして、映像表示遅延が生じている場合(ステップSa3:Yes)、映像データサイズ変換部114が上記映像データサイズ変換処理を実行する(ステップSa4)。これにより、車外映像の映像データのデータサイズが削減され、映像表示遅延が解消され、車外映像表示のリアルタイム性が維持される。
【0029】
このようにして、映像データサイズ変換部114によって車外映像の映像データのデータサイズが削減されている間、注意表示処理部115は、車外映像の中に注意対象物120が映っているか否かを判定し(ステップSa5)、注意対象物120が映っている場合(ステップSa5)、当該注意対象物120を強調表示する処理を実行する(ステップSa6)。
【0030】
図4は、車外映像を模式的に示す図である。
可搬型表示装置50において映像表示遅延が生じることで車外映像の映像データのデータサイズが低減されている場合、
図4に示すように、可搬型表示装置50において表示される車外映像は、車載表示装置20において表示されるものに比べ、注意対象物120が視認し難くなる。このような場合であっても、注意対象物120を囲む枠130や、注意を促すアイコン131の重畳表示によって当該注意対象物120が強調表示されることで、運転者は注意対象物120の存在や、その位置を的確に把握できる。
なお、注意表示処理部115は、強調表示の際、同図に示すように、注意対象物120について注意すべき事柄を示す文字132を表示することで、運転者は、注意対象物120に対してどのような注意を払えば良いかを把握できる。
また、車両1から注意対象物120までの距離を重畳表示してもよい。
【0031】
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0032】
本実施形態の運転支援装置100は、車外映像の映像データを可搬型表示装置50に出力している場合に、可搬型表示装置50における車外映像の映像表示遅延を監視する遅延監視部113と、可搬型表示装置50において映像表示遅延が生じている場合、可搬型表示装置50に出力される車外映像の映像データのデータサイズを車外映像の映像表示遅延が生じたときのデータサイズよりも小さくする映像データサイズ変換部114と、を備えている。
この構成によれば、乗員が携帯するスマートフォン等の携帯型電子機器を可搬型表示装置50として車外映像の表示に用いた場合に、当該可搬型表示装置50において映像表示遅延が生じているときには、当該可搬型表示装置50に送信される車外映像の映像データのデータサイズが映像表示遅延が生じたときのデータサイズよりも小さくされる。
これにより、可搬型表示装置50における表示処理の負荷が低減されため映像表示遅延を抑えてリアルタイムな表示を維持することができ、より適切に車外映像を表示することができる。
【0033】
本実施形態の運転支援装置100において、映像データサイズ変換部114は、車外映像の映像データの解像度を下げて映像データのデータサイズが小さくすることで、映像データのデータ量を簡単に低減できる。
【0034】
本実施形態の運転支援装置100において、映像データサイズ変換部114は、車外映像の映像データの表示色を減らして映像データのデータサイズが小さくすることで、映像データのデータ量を簡単に低減できる。
【0035】
本実施形態の運転支援装置100において、映像データサイズ変換部114は、車外映像の映像データのフレームレートを変更せずに、映像データの映像フレームのデータ量を小さくして映像データのデータサイズを小さくする。
これにより、映像データのデータサイズが低減されても、映像フレームが間引かれてしまうことがないため、車載表示装置20を用いた車外映像表示と同じ時間分解能で車外映像を表示できる。これにより、可搬型表示装置50に車外映像を表示する場合でも、車外表示のリアルタイム性が損なわれることがない。
【0036】
本実施形態の運転支援装置100は、映像データサイズ変換部114によって車外映像の映像データのデータサイズが小さくされている場合、車外映像に注意対象物120が映っているか否かを判定し、注意対象物120が映っているときに、注意対象物120への注意を促すための処理を実行する注意表示処理部115を備えている。
これにより、映像データのデータサイズが小さくなることで、車外映像が表示する情報量が低下した場合でも、乗員、特に運転者は注意を払うべき物体を的確に把握できる。
なお、注意表示処理部115は、車載表示装置20に表示される車外映像に対して強調表示のための処理は実行しない。これにより、車外映像における細部の情報(例えば、接近車両のナンバープレートや歩行者の顔など)が強調表示によって損なわれることを回避できる。
ただし、後述の変形例2に記載のように、車載表示装置20に表示される車外映像のデータサイズに対してデータサイズを小さくする処理が行われている場合、注意表示処理部115は強調表示を行う。
【0037】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0038】
(変形例1)
運転支援装置100は、可搬型表示装置50が表示可能な解像度が車載表示装置20の解像度よりも低いか否かを判定する解像度判定部を備えてもよい。
この場合、表示制御処理においては、
図5に示すように、可搬型表示装置50における映像表示遅延の検出処理(ステップSa3)に先立って、可搬型表示装置50の解像度が車載表示装置20の解像度よりも低いか否かを解像度判定部が判定する(ステップSb1)。そして可搬型表示装置50の解像度が車載表示装置20の解像度より低いと判定された場合(ステップSb1:Yes)、可搬型表示装置50における映像表示遅延を監視することなく、映像データサイズ変換部114が可搬型表示装置50の解像度に応じて車外映像の映像データのデータサイズを下げる(ステップSa4)。
この処理によれば、可搬型表示装置50の解像度に合ったデータサイズに車外映像の映像データが変換されるため、可搬型表示装置50における映像表示遅延を未然に防止できる。
【0039】
なお、解像度判定部が可搬型表示装置50の解像度を特定する手法は任意である。
例えば、解像度判定部は、可搬型表示装置50から解像度に関する情報を取得してもよいし、可搬型表示装置50の製品仕様を特定可能な情報(例えば、製品名や型番など)を可搬型表示装置50から取得し、予め保持する製品仕様データベースを当該情報に基づいて検索し、或いは、外部のコンピュータに問合せをすることで、可搬型表示装置50の解像度を特定してもよい。
【0040】
(変形例2)
運転支援装置100において、遅延監視部113は、車外映像の映像データが車載表示装置20に出力されている場合も、当該車載表示装置20における映像表示遅延を監視し、車載表示装置20において映像表示遅延が生じている場合に、当該車載表示装置20に出力される車外映像の映像データのデータサイズを映像データサイズ変換部114が小さくしてもよい。
これにより、何らかのトラブルにより、車載表示装置20において映像表示遅延が生じた場合でも、当該映像表示遅延が抑えられ、リアルタイムな表示を維持することができる。かかるトラブルの原因の一例として、ソフトウェアのバグ、或いは悪意ある第3者(いわゆるハッキング)によって、負荷が非常に高い処理が車載表示装置20において実行される、という例が挙げられる。
【0041】
(変形例3)
運転支援装置100は、車載カメラ10や通信ユニット30を装置内に備えてもよい。
【0042】
(他の変形例)
上述した実施形態において、
図1に示す機能ブロックは、本願発明を理解容易にするために、車両1や運転支援装置100の構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、これらの構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
また、運転支援装置100の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアにより実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 車両
10 車載カメラ
20 車載表示装置
30、51 通信ユニット
50 可搬型表示装置
100 運転支援装置(車載装置)
110 撮影映像取得部
111 出力部
112 接続監視部
113 遅延監視部
114 映像データサイズ変換部
115 注意表示処理部
120 注意対象物
ΔTa 遅延時間