(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062946
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】新築建物の固定資産税のクラウド対応型予測支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20120101AFI20220414BHJP
【FI】
G06Q40/00 410
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171163
(22)【出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】520393842
【氏名又は名称】株式会社山口地所
(71)【出願人】
【識別番号】520393853
【氏名又は名称】株式会社ランドフォーライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆志
(72)【発明者】
【氏名】田中 利彦
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB63
(57)【要約】 (修正有)
【課題】新築建物の固定資産税を算出予測する、クラウド型サービスを提供する。
【解決手段】依頼主の依頼を受けて、課税されるべき固定資産税額を予測算出するサービスをクラウド型サーバ10を通じて行う、固定資産税の予測算出支援システムSであって、予測算出される固定資産税は、新築建物の躯体部分と設備部分とを分離せず登記したときに課税される非分離対応課税予測額と、新築建物の躯体部分と設備部分を分離して登記したときに区分して課税される分離対応課税予測額と、を含む。依頼主側の第一の通信端末11が送信する新築建物の建築費用を示したデータを受付けて保存すると共に、受託者側の第二の通信端末12へダウンロードさせる手段と、受託者側が算出した非分離対応課税予測額と分離対応課税予測額とを含む課税予測レポートを第二の通信端末12から受付けて保存すると共に、依頼主側の第一の通信端末11へダウンロードさせる手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼主から依頼を受けて、課税されるべき固定資産税額を予測算出するサービスをクラウド型サーバを通じて行う、固定資産税の予測算出支援システムであって、
前記固定資産税は、
新築建物の躯体部分と設備部分とを分離せずに登記したときに課税される非分離対応課税予測額と、
新築建物の躯体部分と設備部分を分離して登記したときに区分して課税される分離対応課税予測額とを少なくとも含んでおり、
前記クラウド型サーバは、
依頼主側から第一の通信端末を通じて、電子ファイルの形式で送信されて来る新築建物の建築費用を明示したデータを受付けて保存し、かくして保存した電子ファイルを、受託者側の第二の通信端末からのアクセスを受付け、ダウンロードさせる手段と、
前記新築建物の建築費用を明示したデータに基づいて、受託者側で算出された前記非分離対応課税予測額と分離対応課税予測額とを含んで作成された課税予測レポートを前記第二の通信端末から受付けて保存する一方、かくして保存した課税予測レポートを、前記依頼主側の第一の通信端末からのアクセスを受付け、ダウンロードさせる手段とを備えている、新築建物の固定資産税のクラウド対応型予測支援システム。
【請求項2】
依頼主から依頼を受けて、課税されるべき固定資産税額を予測算出するサービスをクラウド型サーバを通じて行う、固定資産税の予測算出支援システムであって、
前記固定資産税は、
新築建物の躯体部分と設備部分とを分離せずに登記したときに課税される非分離対応課税予測額と、
新築建物の躯体部分と設備部分を分離して登記したときに区分して課税される分離対応課税予測額とを少なくとも含んでおり、
前記クラウド型サーバは、
前記非分離対応課税予測額と前記分離対応課税予測額とを少なくとも含んだ課税予測レポート作成のための雛形電子ファイルを予め保存しており、
依頼主側から第一の通信端末を通じて、電子ファイルの形式で送信されて来る新築建物の建築費用を明示したデータを受付けて保存し、かくして保存した電子ファイルを、受託者側の第二の通信端末からのアクセスを受付け、ダウンロードさせる手段と、
前記新築建物の建築費用を明示したデータに基づいて、受託者側で算出された前記非分離対応課税予測額と分離対応課税予測額とを含む固定資産税額が前記雛形電子ファイルに書き込まれることで作成された課税予測レポートを前記第二の通信端末から受付けて保存する一方、かくして保存した課税予測レポートを、前記依頼主側の第一の通信端末からのアクセスを受付け、ダウンロードさせる手段とを備えている、新築建物の固定資産税のクラウド対応型予測支援システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
新築建物の建築費用を明示した資料が、カメラで撮影して作成された画像ファイルである、新築建物の固定資産税のクラウド対応型予測支援システム。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記課税予測レポートには、新築建物の耐用年数に応じた累積算出税額が記入されている、新築建物の固定資産税のクラウド対応型予測支援システム。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記課税予測レポートには、新築建物の耐用年数に応じた、各年度の算出税額が記入されている、新築建物の固定資産税のクラウド対応型予測支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新築建築物の固定資産税軽減を図るためのコンサルティングサービスをインターネット上で行えるようにしたクラウド型の予測支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、不動産の相続税や固定資産税に関連した従来技術が開示されている。すなわち、この特許文献1には、コンサルタント会社が、相続人の煩雑な手続を軽減して相続税還付請求処理を支援するシステムが記載されている。また、特許文献2には、コンサルタント会社がビル本体の耐用年数と付帯設備の耐用年数の相違等を考慮して固定資産関連納税額や償却資産関連納税額を予測計算するシミュレーション装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-139279号公報
【特許文献2】特開2002-163345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらは、現に課税されている固定資産税、すなわち、新築建物の建築当初において建築費を、躯体部分と設備部分とを分離せずに登記したときに課税される非分離対応課税予測額に関するものであり、新築建物を建築するにあって、固定資産税を軽減するコンサルティングサービスを行うことを目的としたものではない。
【0005】
本発明らは、現行の新築建物に課税されている固定資産税について鋭意検討したところ、法規上は建築物の主要構造部分と建築設備等とを区分して登記することが可能であっても、それらを一体の家屋として登記してしまうために、過大な課税になってしまうという現行課税の問題点を発掘するに至り、それをIT技術を用いた合法的なコンサルティングサービスに昇華させることで、新たなサービス分野を創造しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、頼主から依頼を受けて、課税されるべき固定資産税額を予測算出するサービスをクラウド型サーバを通じて行う、固定資産税の予測算出支援システムであって、
前記固定資産税は、新築建物の躯体部分と設備部分とを分離せずに登記したときに課税される非分離対応課税予測額と、新築建物の躯体部分と設備部分を分離して登記したときに区分して課税される分離対応課税予測額とを少なくとも含んでおり、前記クラウド型サーバは、依頼主側から第一の通信端末を通じて、電子ファイルの形式で送信されて来る新築建物の建築費用を明示したデータを受付けて保存し、かくして保存した電子ファイルを、受託者側の第二の通信端末からのアクセスを受付け、ダウンロードさせる手段と、前記新築建物の建築費用を明示したデータに基づいて、受託者側で算出された前記非分離対応課税予測額と分離対応課税予測額とを含んで作成された課税予測レポートを前記第二の通信端末から受付けて保存する一方、かくして保存した課税予測レポートを、前記依頼主側の第一の通信端末からのアクセスを受付け、ダウンロードさせる手段とを備えている。
また本発明は、依頼主から依頼を受けて、課税されるべき固定資産税額を予測算出するサービスをクラウド型サーバを通じて行う、固定資産税の予測算出支援システムであって、前記固定資産税は、新築建物の躯体部分と設備部分とを分離せずに登記したときに課税される非分離対応課税予測額と、新築建物の躯体部分と設備部分を分離して登記したときに区分して課税される分離対応課税予測額とを少なくとも含んでおり、前記クラウド型サーバは、前記非分離対応課税予測額と前記分離対応課税予測額とを少なくとも含んだ課税予測レポート作成のための雛形電子ファイルを予め保存しており、依頼主側から第一の通信端末を通じて、電子ファイルの形式で送信されて来る新築建物の建築費用を明示したデータを受付けて保存し、かくして保存した電子ファイルを、受託者側の第二の通信端末からのアクセスを受付け、ダウンロードさせる手段と、前記新築建物の建築費用を明示したデータに基づいて、受託者側で算出された前記非分離対応課税予測額と分離対応課税予測額とを含む固定資産税額が前記雛形電子ファイルに書き込まれることで作成された課税予測レポートを前記第二の通信端末から受付けて保存する一方、かくして保存した課税予測レポートを、前記依頼主側の第一の通信端末からのアクセスを受付け、ダウンロードさせる手段とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
第一の本発明によれば、依頼者は、通信端末からインターネット上に設置されたクラウド型サーバにアクセスし、課税予測レポートの作成依頼をして、新築建物の建築費用を明示した資料をアップロードすれば、クラウド型サーバを通じて、不動産鑑定士や税理士などの専門家が作成した課税予測レポートを取得することが出来る。
ここに、作成された課税予測レポートは、非分離対応課税予測額(新築建物の躯体部分と設備部分とを分離せずに登記したときに課税される)と、分離対応課税予測額(新築建物の躯体部分と設備部分を分離して登記したときに課税される)とに区分して算出されているので、建築主は、新築不動産の登記を完了する前に、この課税予測レポートを見て有利な課税方法を選択し、合法的に節税できる。
また、不動産鑑定士や税理士は、このシステムを利用することで、従前にはなかった固定資産税を、非分離対応課税予測額(新築建物の躯体部分と設備部分とを分離せずに登記したときに課税される)と、分離対応課税予測額(新築建物の躯体部分と設備部分を分離して登記したときに課税される)とに区分して算出した課税予測レポートを作成し提供することで、従前にはなかった固定資産税を軽減するコンサルティングサービスをインターネットを媒体として迅速に提供でき、あらたな職域を拡大できる。
第二の本発明によれば、第一の本発明と同様に、依頼者は、通信端末からインターネット上に設置されたクラウド型サーバにアクセスし、課税予測レポートの作成依頼をして、新築建物の建築費用を明示した資料をアップロードすれば、不動産鑑定士や税理士などの専門家に、課税予測レポートの作成依頼が通知されるが、依頼主側に提供される課税予測レポートは、予め、クラウド型サーバに形式を特定して保存されている雛形電子ファイルに書き込みを行うだけで作成されるので、課税予測レポートの様式を統一して、より迅速にかつ、誤りのないものとして提供できる。また、クラウド型サーバでのデータ管理も容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3(a)】は固定資産税予測レポート依頼のフロー説明図
【
図3(b)】は固定資産税予測レポート作成のフロー説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明のクラウド対応型予測支援システムの基本構成図である。
システムSは、コンサルタント会社が運営するクラウド型サーバ10と、建築主や営業担当者など、サービスの依頼者側が所持する第一の通信端末11と、税務計算のプロである不動産鑑定士、税理士などが所持する第二の通信端末12とで構成され、システムの基本構成は第一の本発明も第二の本発明も異なる点はない。
図では、第一の通信端末11は携帯端末、第二の通信端末12は固定端末を表示しているが、これらの種別は問わない。また、これらの通信機器はインターネットなどの通信ネットワークを介して相互に通信が可能である。
【0010】
クラウド型サーバ10は、インターネット上に構成された仮想サーバである。
第一の通信端末11は、ノートパソコン、タブレット、あるいはスマートフォンが代表的であるが、カメラを搭載していることが望ましい。また、不動産鑑定士や税理士等が所持する第二の通信端末12は、固定端末として表示されているが、これは事務所に設置される一般的なパーソナルコンピュータ装置を想定している。またコンサル会社にもクラウド型サーバ10を管理するために固定端末13が設置されている。
クラウド型サーバ10では、ファイル共有プログラムがインストールされ稼働されており、そのプログラムにおいて、第一の通信端末11、第二の通信端末12は予めユーザー登録がなされている。なおファイル共有アプリケーションは例えばエバーノート社のEvernote(登録商標)等である。このようなファイル共用アプリケーションによって、携帯端末、固定端末間で、建物建築費の資料や課税予測レポート等の電子ファイルを共有することが可能になる。
【0011】
第一の通信端末11は、更にクラウド型サーバのファイル共有アプリケーションに対して電子ファイルのアップロード、ダウンロードをするためのファイル共有クライアントがインストールされており、これらのプログラムによって、カメラで撮影した建物建築費の資料を画像電子ファイルに変換してクラウド型サーバにアップロードしたり、クラウド型サーバから課税予測レポートの電子ファイルをダウンロードしたりできる。
第二の通信端末12は、第一の通信端末11と同様にクラウド型サーバ10のファイル共有アプリケーションに対して電子ファイルのアップロード、ダウンロードをするためのファイル共有クライアントがインストールされている。また、課税予測レポートを作成、編集用プログラム等もインストールされている。
第二の通信端末12は、これらのプログラムによってクラウド型サーバから建物建築費の資料の画像電子ファイルや課税予測レポートの電子ファイルをダウンロードしたり、その雛形電子ファイルを編集して課税予測レポートを作成し、作成したレポートをクラウド型サーバ10にアップロードしたりできる。
【0012】
第二の本発明では、クラウド型サーバ10には、税理士などの専門家が算出した非分離対応課税予測額と分離対応課税予測額とを書き込むために予め表示態様が特定された雛形電子ファイルが準備されているが、課税予測レポートは、これを用いて作成されるようになっている。
ここに、課税予測レポートを作成するための雛形電子ファイルは、建築主などの依頼者側に提示する編集可能な電子ファイルであって、例えばマイクロソフト社のワード(登録商標)やエクセル(登録商標)形式のファイルとすることができる。
このような雛形電子ファイルは、建築主に提示すべき課税予測レポートと同一の書類形式となっている。
具体的には、第一頁目は建物の躯体部分と設備部分とを分離せずに登記したときの非分離対応課税予測額と、それらを分離して登記したときの分離対応課税予測額とが対比される態様で特定され、第二頁目以降は、非分離固定資産計算表の枠組み、家屋分離課税評価計算表、償却資産分離課税評価計算表、その他の説明などが記入されるようになっている。
第二の本発明によれば、税理士などの専門家は、第二の固定端末12を用いてこの雛形電子ファイルを適宜編集するだけで、課税予測レポートを簡単に作成できる。
したがって、課税予測レポートをゼロから作成する必要がなく、かつケアレスミス等による情報の欠落も防止でき、作成時間を短縮し、コストも低減される。
【0013】
以下、本発明の課税予測支援システムの基本処理手順を図に従って説明する。
図3は、電子ファイルの伝送処理のフローを示す図面である。
ここに、
図3(a)は、固定資産税課税予測レポート依頼する依頼主側の動作手順を示し、
図3(b)は、固定資産税額を予測し算出する専門家の動作手順を示している。
図4は、電子ファイルの伝承処理のフローを示す図面である。
【0014】
依頼主側の動作を説明すると、
図4に示すように、第一の携帯端末11からクラウド型サーバ10にログインして、準備されているリクエストフォームに書誌的事項を書き込んで依頼し、更に固定資産税の算出に必要な新築建物の建築費用を明示した資料Aをクラウド型サーバ10にアップロードする。ここに、建物建築費の資料Aは、税額計算に必要なすべての資料、つまり建物の種別、所在地、所有者情報、躯体部分建築費と設備部分建築費等を含む複数の書類である。
これに対して、税理士などの専門家が、電話、メールなどを通じて、依頼主側から課税予測レポートの依頼を受けると、第二の通信端末12からクラウド型サーバ10にログインして、対応したリクエストフォームを読み出し、更に、画像ファイルなどの形式でアップロードされ保存されている新築建物の建築費用を明示した資料A1をダウンロードする。
そして、ダウンロードした資料A1に基づいて、課税予測レポートに記入すべき税額を算出する。ここに、固定資産税額は、非分離対応課税予測額(新築建物の躯体部分と設備部分とを分離せずに登記したときに課税される)と、分離対応課税予測額(新築建物の躯体部分と設備部分を分離して登記したときに課税される)とに区分して算出され、算出後は、クラウド型サーバ10に電子ファイルの形式で保存される。
かくして、課税予測レポートが作成された後は、依頼主側には、電話、メールなどでそのことが通知され、通知を受けた依頼主側がクラウド型サーバ10にログインして、ダウンロードし、印字すれば、
図2に概略を示したような課税予測レポートBが書面で取得できる。
【0015】
取得した依頼主は、建築主の元に出向いて、クラウド型サーバ10から第一の携帯端末11に課税予測レポートの電子ファイルをダウンロードし、そのレポートを表示出力させて建築主に提示したり、プリントアウトさせて手渡したりする。
【符号の説明】
【0016】
S 本発明システム
10 クラウド型サーバ
11 第一の通信端末
12 第二の通信端末