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特開2022-62957パーテーションスタンドおよびこれを用いたパーテーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062957
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】パーテーションスタンドおよびこれを用いたパーテーション
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
E04B2/74 561L
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171186
(22)【出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】597086117
【氏名又は名称】株式会社プレシード
(71)【出願人】
【識別番号】520349230
【氏名又は名称】松本 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】松本 修一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用時や収納時における使い勝手などの利便性がよく、薄いパネル板でも安定して自立させることができるパーテーションスタンドおよびこれを用いたパーテーションの提供。
【解決手段】パーテーションスタンド10は、パネル板が挿入される溝部101が形成された略台形のスタンド本体100を含み、溝部101は、スタンド本体100の天面の長手方向に向かって一定の曲線半径で湾曲して延びており、かつ、スタンド本体100の側面の略鉛直方向に向かって延びている。また、パーテーションは、パーテーションスタンド10と、厚さ0.5mm~1.0mmのパネル板とで構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル板が挿入される溝部が形成された略台形のスタンド本体を含み、
前記溝部は、前記スタンド本体の天面の長手方向に向かって一定の曲線半径Rで湾曲して延びており、かつ、前記スタンド本体の側面の略鉛直方向に向かって延びているパーテーションスタンド。
【請求項2】
複数の前記スタンド本体の天面同士が、間隔を空けて上下に積まれた構成を有する請求項1に記載のパーテーションスタンド。
【請求項3】
前記溝部の幅は0.6mm~1.4mmである請求項1または2に記載のパーテーションスタンド。
【請求項4】
前記曲線半径Rは300mm~650mmである請求項1~3のいずれか1項に記載のパーテーションスタンド。
【請求項5】
請求項1~4に記載のパーテーションスタンドと、
厚さ0.5mm~1.0mmのパネル板と、
で構成されるパーテーション。
【請求項6】
請求項1~4に記載のパーテーションスタンドと、
厚さ0.5mm~1.0mmで、前記パーテーションスタンドのスタンド本体の天面に湾曲して延びている溝部の曲線半径Rの中心方向に向かって折り目が両端に設けられたパネル板と、
で構成されるパーテーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に学校の授業や学会の講演において用いられて、1対多数の空間を仕切るためのパネル板を立てるパーテーションスタンドおよびこれを用いたパーテーションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症対策のため、学校や公共施設、会社などあらゆる場所で空間を仕切るパーテーションが設けられている。このようなパーテーションは、パーテーションスタンドに挿入されたパネル板が自立して立っているものである。
【0003】
パーテーションやパーテーションスタンドに関する先行技術として、特許文献1,2に記載されているものがある。例えば、特許文献1には、下端に錘を取付けたポール状の外殻体に、対向してパネルを挟持し得る一対の挟持面を略全長にわたって設けたパネルスタンドが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、パネル材を取付けたフレームにおける左右1対の側部フレームの下端部の対向面に、後向き凸状に折曲された可動脚体の両側端部を、回動可能かつ後方を向いて接床する使用状態と、側部フレームとほぼ平行をなして上下方向を向く不使用状態とに、選択的に固定しうるようにして取付けたスタンドパネルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5-30310号公報
【特許文献2】特開2008-93073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような自立型のパーテーションのほとんどは、自立させるためにパネル板の厚さが3mm以上のものが採用されているが、作製コスト削減や廃棄量の軽減など材料資源の有効活用の見地から、パネル板の厚さはできるだけ薄くすべきである。しかし、従来の技術では、自立させるためには2mm以上の厚さが必要とされている。そのため、使用時や収納時における使い勝手、つまり利便性がよく、薄いパネル板が挿入される場合でも安定して自立させることができるパーテーションスタンドが求められている。
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパーテーションスタンドは、パネル板が挿入される溝部が形成された略台形のスタンド本体を含み、溝部は、スタンド本体の天面の長手方向に向かって一定の曲線半径Rで湾曲して延びており、かつ、スタンド本体の側面の略鉛直方向に向かって延びている。これにより、薄いパネル板が挿入される場合でも、しっかりと当該パネル板がスタンド本体の天面および側面に設けられた溝部に係合し、かつ、パネル板は天面に設けられた溝部に沿って曲げられて挿入される。
【0009】
また、パーテーションスタンドは、複数のスタンド本体の天面同士が、間隔を空けて上下に積まれた構成を有することが望ましい。これにより、挿入されたパネル板は、上下、つまり縦方向に間隔を空けて積まれた複数のスタンド本体のそれぞれの天面の溝部に係合し、よりしっかりとパーテーションスタンドに支えられる。
【0010】
また、パーテーションスタンドは、溝部の幅は0.6mm~1.4mmであり、曲線半径Rは300mm~650mmであることが望ましい。これにより、厚さが0.5mm~1.0mm程度の薄いパネル板が挿入される場合でも、平面過ぎずかつ曲げ過ぎでない曲線半径Rでパネル板が曲げられて溝部に挿入されるため、パネル板はより安定して支えられる。
【0011】
また、本発明は、上述したパーテーションスタンドと、厚さ0.5mm~1.0mmのパネル板とで構成されるパーテーションである。特に、パーテーションは、当該パネル板と、パーテーションスタンドのスタンド本体の天面に湾曲して延びている溝部の曲線半径Rの中心方向に向かって折り目が両端に設けられたパネル板とで構成されることが望ましい。パネル板の両端が前述した方向に向かって折り曲げられているため、パネル板の両端は、曲線半径Rの中心方向に重心がかかる。
【発明の効果】
【0012】
(1)本発明のパーテーションスタンドは、パネル板が挿入される溝部が形成された略台形のスタンド本体を含み、溝部は、スタンド本体の天面の長手方向に向かって一定の曲線半径Rで湾曲して延びており、かつ、スタンド本体の側面の略鉛直方向に向かって延びている構成により、薄いパネル板が挿入される場合でも、しっかりと当該パネル板がスタンド本体の天面および側面に設けられた溝部に係合し、かつ、パネル板は天面に設けられた溝部に沿って曲げられて挿入されるため、薄いパネル板が挿入される場合でも安定して自立させることができる。
【0013】
(2)また、パーテーションスタンドは、複数のスタンド本体の天面同士が、間隔を空けて上下に積まれた構成を有することにより、挿入されたパネル板は、上下、つまり縦方向に間隔を空けて積まれた複数のスタンド本体のそれぞれの天面の溝部に係合し、よりしっかりとパーテーションスタンドに支えられるため、薄いパネル板が挿入される場合でも、より安定して自立させることができる。
【0014】
(3)また、本発明のパーテーションは、上述したパーテーションスタンドと、厚さ0.5mm~1.0mmのパネル板とで構成され、特に、当該パネル板と、パーテーションスタンドのスタンド本体に形成された溝部の曲線半径Rの中心方向に向かって折り目が両端に設けられたパネル板とで構成されるにより、パネル板の両端は、曲線半径Rの中心方向に重心がかかるため、曲線半径Rの中心方向とは反対方向に倒れやすいパネル板をより安定して自立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るパーテーションスタンドを示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るパーテーションを示す斜視図である。
図3】別の実施の形態に係るパーテーションスタンドおよびパーテーションを示す斜視図である。
図4】パネル板に設けられた折り目を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、各図面において、共通の構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を一部省略する。
【0017】
[パーテーションスタンド]
図1は、発明の実施の形態に係るパーテーションスタンドを示す斜視図である。パーテーションスタンド10は、パネル板が挿入される溝部101が形成された略台形のスタンド本体100を含む。溝部101は、スタンド本体100の天面の長手方向に向かって一定の曲線半径Rで湾曲して延びている。また、溝部101は、スタンド本体100の側面の略鉛直方向に向かって延びている。なお、パーテーションスタンド10は、鉄や板金に対してレーザー切断加工や折り曲げ加工、着色加工などを施して製作される。
【0018】
また、パーテーションスタンド10は、スタンド本体100の溝部101に沿って設けられた複数の孔部102を含む。孔部102には、孔部102から略台形のスタンド本体100の内側に向かって延びるゴム製の補助具103が挿入されてもよい(図2参照)。
【0019】
[パーテーション]
図2は、発明の実施の形態に係るパーテーションを示す斜視図である。パーテーションスタンド1の溝部101にパネル板P1が挿入されて、パーテーション1が構成される。パネル板P1は例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)を材質とした透明のパネルである。パネル板P1は、溝部101に係合して挿入できるように湾曲するものであればよく、アクリル板、塩化ビニール板、ポリカーボネート板、材質がPP(ポリプロピレン)であるポリプロピレン板などであってもよい。
【0020】
ここで、溝部101に挿入されるパネル板P1の厚さは、例えば0.5mm~1.0mm程度である。それに対して、当該挿入されるパネル板P1がしっかりと係合するように、溝部101の幅も0.6mm~1.4mm程度である。つまり、溝部101の幅は、挿入されるパネル板の厚さ+0.1mm~0.4mm程度であることが望ましい。
【0021】
また、図2に示すよう、パネル板P1が安定して自立するように、溝部101は、曲線半径R(図1参照)が300mm~650mmで湾曲している。特に、季節の温度によるプラスチックの硬化も考慮し、曲線半径Rは300mm~550mmが望ましく、さらには300mm~450mmが望ましく、特に310mm~350mmが望ましい。これにより、従来よりも自立しにくい薄いパネル板であっても、パネル板のサイズや重量、風が強い場所で用いる場合や側面からの飛沫も防ぎたいといった用途に合わせて、最適な曲線半径Rの溝部101が形成されているパーテーションスタンド10を選択することができる。そして、パネル板P1は溝部101に沿って曲げられて挿入されるため、倒れることなく、しっかりと自立させることができる。
【0022】
なお、図2に示すよう、パネル板P1はスタンド本体100の天面や側面に設けられた溝部101に、挟み込まれるようにしっかりと係合される。ここで、スタンド本体100は略台形に形成されるため、スタンド本体100の側面や、当該側面に設けられた溝部101も、下部に向かって広がるように斜めに形成される。そのため、スタンド本体100をより安定して立たせることができ、下部に向かって広がるように斜めに形成された溝部101に挿入されるパネル板P1も、より安定して自立させることができる。
さらに、スタンド本体100は当該形状により、収納する際や搬送する際等に、スタンド本体100同士を重ねて収納したり搬送したりすることができる。そのため、収納する際や搬送する際にスペースを取らず、また、使用する際も設置が簡単であり、利便性が非常に高い。
【0023】
なお、孔部102は、スタンド本体100の上面に形成される溝部101を境目として、溝部101に沿って曲線半径Rの中心方向に設けられることが望ましい。図2を例に挙げると、曲線半径Rの中心方向は、手前側になる。一方、曲線半径Rの中心とは反対方向は、奥側(方向D)になる。
【0024】
溝部101に沿って曲げられて挿入されるパネル板P1は、曲線半径Rの中心方向よりも、上述した奥側(方向D)に向かって倒れやすい。そのため、溝部101を境目として、溝部101付近の手前側の方向に設けられた孔部102に挿入された補助具103が、奥側(方向D)に向かって傾斜するパネル板P1を支持することで、パネル板P1が安定し、効率的にパネル板P1の倒れ込みを防止することができる。特に補助具103は、孔部102から略台形のスタンド本体100の内側に向かって延びているため、スタンド本体100の溝部101に挿入されたパネル板P1の下部が支持され、より安定性を向上させて効率的にパネル板P1の倒れ込みを防止することができる。
【0025】
補助具103は、挿入されるパネル板のサイズや重量、用途に合わせて、つまり挿入されるパネル板の倒れ込み易さに合わせて、設ける(挿入する)数を変えてもよい。例えば、補助具103が少なくても安定してパネル板が自立するようであれば、補助具103を挿入する数を減らしたり、一切挿入しなくてもよい。また、補助具103が挿入されていない孔部102は、鉛筆立てのために用いてもよく、デザインの一環として設けられてもよい。
【0026】
パーテーションスタンド10は、上述した構成により、薄いパネル板が挿入される場合でも安定して自立させることができる。また、パネル板のサイズも、高さが650mmのパネル板であっても安定して自立させることができる。パネル板の高さは、実用的には300mm~650mmであることが望ましい。
【0027】
(実施の形態2)
図3は、別の実施の形態に係るパーテーションスタンドおよびパーテーションを示す斜視図である。図3に示すように、パーテーションスタンド11は、複数のスタンド本体100A,100Bの天面同士が、間隔を空けて上下に積まれた構成を有している。また、スタンド本体100A,100Bの天面に形成されている溝部101A,101Bの曲線半径Rは、同じである。そのため、パーテーションスタンド11に挿入されるパネル板P2は、上下、つまり縦方向に間隔を空けて積まれた複数のスタンド本体100A,100Bのそれぞれの天面の溝部101A,101Bに係合し、よりしっかりとパーテーションスタンドに支えられるため、薄いパネル板が挿入される場合でも、より安定して自立させることができる。
【0028】
なお、図3に例示したパーテーションスタンド11は2つのスタンド本体(100A,100B)で構成されているが、3つでもよく、それ以上でもよい。また、パーテーションスタンド11は2つのスタンド本体(100A,100B)が溶接結合されているが、それぞれのスタンド本体に係合部を設けて、ワンタッチでスタンド本体同士を結合、または結合解除できるようにしてもよい。
【0029】
また、上述したように、パネル板は曲線半径Rの中心方向よりも上述した奥側(方向D)に向かって倒れやすい。そのため、図3に示すように、パネル板P2は、両端に曲線半径Rの中心方向に向かって両端に折り目Fが設けられている。これにより、パネル板P2の両端は、曲線半径Rの中心方向に重心がかかるため、パネル板がより安定して自立しているパーテーションを実現することができる。
【0030】
なお、折り目Fは、θ=90°~150°で設けられる(図4参照)。特に、θ=120°程度であることが望ましい。さらに、折り目Fは、パネル板P2の下部の折り目の幅F1が、パネル板P2の上部の折り目の幅F2よりも広いことが望ましい(図3参照)。つまり、折り目Fは、下から上に向けてテーパー状に設けられていることが望ましい。これにより、パネル板P2の両端の重心をより曲線半径Rの中心方向にかけることができ、パネル板がより安定して自立しているパーテーションを実現することができる。
【0031】
さらに、本発明は、従来よりも薄いパネル板を利用することができるため、パネル板の作製コストや購入コストを抑えることができる。購入コストを抑えることができるため、定期的に交換する消耗品として利用することができ、従来よりも衛生的に優れている。
【0032】
以上のように説明したパーテーションスタンド10,11やパーテーション1,2はあくまで一例であり、例えば、孔部102の形状に制限はない。また、補助具103はプラスチック製であるなど、補助具103の材質に制限はない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、感染症対策のため、1対多数の空間を仕切るためのパネル板を立てる利便性の高いパーテーションスタンドやこれを用いたパーテーションとして使用することができるため有用であり、特に、従来よりも薄いパネル板をしっかりと自立させることができるため、材料資源の有効活用を実現することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0034】
1,2 パーテーション
10,11 パーテーションスタンド
100,100A,100B スタンド本体
101,101A,101B 溝部
102 孔部
103 補助具
D 方向
F 折り目
F1,F2 折り目の幅
P1,P2 パネル板
R 曲線半径
θ 折り目の角度
図1
図2
図3
図4