(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062996
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】コイル基板とモータ用コイル基板、モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/26 20060101AFI20220414BHJP
H05K 1/16 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
H02K3/26 E
H05K1/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171255
(22)【出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】森田 治彦
(72)【発明者】
【氏名】三輪 等
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忍
(72)【発明者】
【氏名】横幕 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久始
(72)【発明者】
【氏名】平澤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】村木 哲也
(72)【発明者】
【氏名】古野 貴之
【テーマコード(参考)】
4E351
5H603
【Fターム(参考)】
4E351AA01
4E351BB15
4E351GG06
4E351GG20
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CB22
5H603CC02
5H603CD04
5H603CD26
5H603CD33
5H603CE06
5H603EE13
5H603FA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低抵抗なコイルを有するコイル基板を提供すること。
【解決手段】コイル基板120は、一端22Lと一端22Lと反対側の他端22Rとを有するフレキシブル基板22と、フレキシブル基板22上に形成されていて、一端22Lから他端22Rに向かって並んでいる複数のコイルC、とからなる。コイルCは、中央スペースSCと中央スペースSCの周りに形成されている配線wで形成される。配線wは第1配線51と第2配線52と第3配線53を含み、第1配線51と第2配線52は中央スペースSCを介して向かい合っている。第3配線53は第1配線51と第2配線52を接続する。第1配線51と第2配線52の内、第1配線51は一端22Lに近い。第1配線51の幅w1と第2配線52の幅w2と第3配線53の幅w3はほぼ等しい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端と前記一端と反対側の他端とを有するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板上に形成されていて、前記一端から前記他端に向かって並んでいる複数のコイル、とからなるコイル基板であって、
前記コイルは中央スペースと前記中央スペースの周りに形成されている配線で形成され、前記配線は第1配線と第2配線と第3配線を含み、前記第1配線と前記第2配線は前記中央スペースを介して向かい合っていて、前記第3配線は前記第1配線と前記第2配線を接続し、前記第1配線と前記第2配線の内、前記第1配線は前記一端に近く、前記第1配線の幅w1と前記第2配線の幅w2と前記第3配線の幅w3は略等しい。
【請求項2】
請求項1のコイル基板であって、前記第1配線は第1側壁と前記第1側壁と反対側の第2側壁を有し、前記第1側壁と前記第2側壁の内、前記第1側壁は前記中央スペースに近く、前記第2配線は第3側壁と前記第3側壁と反対側の第4側壁を有し、前記第3側壁と前記第4側壁の内、前記第3側壁は前記中央スペースに近く、前記幅w1は前記第1側壁と前記第2側壁間の距離であり、前記幅w2は前記第3側壁と前記第4側壁間の距離であり、前記第2側壁の長さは前記第1側壁の長さより長く、前記第4側壁の長さは前記第3側壁の長さより長い。
【請求項3】
請求項2のコイル基板であって、前記第1配線と前記第3配線との間の角度が90度より大きくなるように前記配線は前記第1配線と前記第3配線との境界で曲がっていて、前記第2配線と前記第3配線との間の角度が90度より大きくなるように前記配線は前記第2配線と前記第3配線との境界で曲がっている。
【請求項4】
請求項2のコイル基板であって、前記第1配線と前記第2配線と前記第3配線は複数であって、前記配線は渦巻き状に形成されている。
【請求項5】
請求項4のコイル基板であって、前記第1配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第2配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第1配線と前記第2配線は概ね平行に形成されている。
【請求項6】
請求項4のコイル基板であって、隣接する前記第1配線間のギャップの距離と隣接する前記第2配線間のギャップの距離と隣接する前記第3配線間のギャップの距離は略等しい。
【請求項7】
請求項1のコイル基板であって、前記コイルはU相コイルとV相コイルとW相コイルを含み、前記U相コイルと前記V相コイルと前記W相コイルは、前記U相コイル・前記V相コイル・前記W相コイルの順で並んでいる。
【請求項8】
請求項1のコイル基板を巻くことで製造されるモータ用コイル基板。
【請求項9】
請求項3のコイル基板であって、前記第3配線は曲がっている。
【請求項10】
請求項8のモータ用コイル基板と、
前記モータ用コイル基板内に配置される磁石、とからなるモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル基板とモータ用コイル基板、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータ用コイル基板を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献の課題]
特許文献1は、
図2にコイルの配線を示している。特許文献1の
図2によれば、W1はW2より小さく、W3はW4より小さい。このように、特許文献1のコイルは細い配線を有する。そのため、特許文献1のコイルの抵抗は高いと予想される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコイル基板は、一端と前記一端と反対側の他端とを有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に形成されていて、前記一端から前記他端に向かって並んでいる複数のコイル、とからなる。そして、前記コイルは中央スペースと前記中央スペースの周りに形成されている配線で形成され、前記配線は第1配線と第2配線と第3配線を含み、前記第1配線と前記第2配線は前記中央スペースを介して向かい合っていて、前記第3配線は前記第1配線と前記第2配線を接続し、前記第1配線と前記第2配線の内、前記第1配線は前記一端に近く、前記第1配線の幅w1と前記第2配線の幅w2と前記第3配線の幅w3は略等しい。
【0006】
[実施形態の効果]
太い配線と細い配線では許容電流の大きさが異なる。特許文献1のコイルは細い配線と太い配線を有する。そのため、特許文献1のコイルがモータに用いられると、細い配線に起因する不具合が発生すると考えられる。本発明の実施形態のコイル基板によれば、第1配線の幅w1と第2配線の幅w2と第3配線の幅w3は略等しい。このため、細い配線に起因する不具合が発生しない。あるいは、細い配線に起因する不具合が発生し難い。実施形態によれば、コイルの抵抗を小さくすることができる。モータの効率を高くすることができる。
第1配線は第1側壁と第2側壁を有する。第2側壁はコイルの外側を向いている。第2配線は第3側壁と第4側壁を有する。第4側壁はコイルの外側を向いている。第1配線とモータの回転方向との間の角度はほぼ90度である。第2配線とモータの回転方向との間の角度はほぼ90度である。そして、第2側壁の長さは第1側壁の長さより長い。第4側壁の長さは第3側壁の長さより長い。これにより、実施形態のモータは高いトルクを発生することができる。モータの効率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(A)は実施形態のモータの模式図であり、
図1(B)は実施形態のモータ用コイル基板の模式図であり、
図1(C)は参考例のコイルを示す。
【
図2】
図2(A)は実施形態のコイル基板を示し、
図2(B)は
図2(A)中のEとFとの間の断面を示し、
図2(C)は
図2(A)中のGとHとの間の断面を示す。
【
図3】
図3(A)と
図3(D)は実施形態のコイルを示し、
図3(B)は
図3(A)中のAとBとの間の断面を示し、
図3(C)は
図3(A)中のCとDとの間の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2(A)に示されるコイル基板120が準備される。コイル基板120は第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有するフレキシブル基板22とフレキシブル基板22の第1面F上のコイルC(C1、C2、C3)で形成されている。コイル基板120を巻くことで、
図1(B)に示されるモータ用コイル基板20が得られる。モータ用コイル基板20は空洞AHの周りに巻かれる。例えば、モータ用コイル基板20の形状は円筒である。巻く回数Nは、1以上、6以下である。
図1(B)は模式図である。
【0009】
図1(A)に示されるように、モータ用コイル基板20内に磁石48を配置することで、モータ10が得られる。
図1(A)は模式図である。モータ用コイル基板20は、空洞AHを介し磁石48の周りに配置されている。モータ10の例は、三相モータである。実施形態では、磁石48が回転するが、モータ用コイル基板20が回転してもよい。モータ10の回転方向MRが
図1(B)に示されている。
【0010】
図2(A)に示されるように、フレキシブル基板22は、短辺20Sと長辺20Lとを有する。フレキシブル基板22の平面形状はほぼ矩形である。フレキシブル基板22は一端22Lと一端22Lと反対側の他端22Rを有する。コイルC(C11、C2、C3)は、フレキシブル基板22の長辺20Lに沿って並んでいる。フレキシブル基板22の一端22Lから他端22Rに向かって、コイルCはほぼ一列に並んでいる。コイルCの数はM(数M)である。
図2(A)の例では、コイルの数は3である。
【0011】
フレキシブル基板22上に形成されている複数のコイルCは同時に形成される。例えば、共通のアライメントマークを用いることで、複数のコイルCはフレキシブル基板22上に形成される。そのため、各コイルCの位置は関連している。
【0012】
図3(A)に実施形態のコイルCの例が示される。
図3(A)のコイルCの巻き数は1である。コイルCは中央スペースSCと中央スペースSCの周りに形成されている配線wで形成される。配線wは外端OEと内端IEを有する。配線wは外端OEと内端IEとの間に形成されている。
図3(A)に示されるように、コイルCの平面形状はほぼ六角形である。
【0013】
配線wは、中央スペースSCを介して向かい合っている第1配線51と第2配線52を含む。第1配線51と第2配線52は概ね平行である。第1配線51と第2配線52は真直ぐ延びている。1つのコイルC内で、第1配線51は一端22Lに近く、第2配線52は他端22Rに近い。実施形態のコイル基板120を用いてモータ10が製造される時、モータの回転方向MRと第1配線51との間の角度が略90度である。配線wは、さらに第1配線51と第2配線52とをつなぐ第3配線53を含む。第3配線53は途中で曲がっている。第3配線53は中間点で曲がっている。第1配線51と第2配線52と第3配線53を繋げることで配線wが形成される。
【0014】
図3(A)中のAとBとの間の断面が
図3(B)に示される。AとBを含む直線ABと回転方向MRはほぼ平行である。第1配線51は、第1側壁51sw1と第1側壁51sw1と反対側の第2側壁51sw2を有する。第1側壁51sw1と第2側壁51sw2の内、第1側壁51sw1は中央スペースSCに近く、第2側壁51sw2は一端22Lに近い。第2配線52は第3側壁52sw3と第3側壁52sw3と反対側の第4側壁52sw4を有する。第3側壁52sw3と第4側壁52sw4の内、第3側壁52sw3は中央スペースSCに近く、第4側壁52sw4は他端22Rに近い。第1配線51は幅(第1幅)w1を有する。第2配線52は幅(第2幅)w2を有する。第1幅w1は第1側壁51sw1と第2側壁51sw2間の距離である。第2幅w2は第3側壁52sw3と第4側壁52sw4間の距離である。
【0015】
図3(A)中のCとDとの間の断面が
図3(C)に示される。CとDを含む直線CDと第3配線53の側壁との間の角度はほぼ90度である。第3配線53は、第5側壁53sw5と第5側壁53sw5と反対側の第6側壁53sw6を有する。第5側壁53sw5と第6側壁53sw6の内、第5側壁53sw5は中央スペースSCに近い。第3配線53は幅(第3幅)w3を有する。第3幅w3は第5側壁53sw5と第6側壁53sw6間の距離である。
【0016】
実施形態のコイル基板120では、第1幅w1と第2幅w2と第3幅w3はほぼ等しい。このため、コイルCの抵抗を小さくすることができる。モータ10の効率を高くすることができる。
【0017】
実施形態のコイル基板120では、第1配線51の厚みt1と第2配線52の厚みt2と第3配線53の厚みt3はほぼ等しい。このため、第1配線51の断面積と第2配線52の断面積と第3配線53の断面積がほぼ等しい。第1配線51と第2配線52と第3配線53の中の1つがボトルネックにならない。第1配線51の許容電流の大きさと第2配線52の許容電流の大きさと第3配線53の許容電流の大きさをほぼ等しくすることができる。高効率なモータ10を提供することができる。
【0018】
実施形態では、第1配線51を流れる電流の向きとモータ10の回転方向MRとの間の角度はほぼ90度である。第2配線52を流れる電流の向きとモータ10の回転方向MRとの間の角度はほぼ90度である。そして、第2側壁51sw2の長さ(第2長さ)L2は第1側壁51sw1の長さ(第1長さ)L1より長い。第4側壁52sw4の長さ(第4長さ)L4は第3側壁52sw3の長さ(第3長さ)L3より長い。
【0019】
図1(C)は参考例のコイルCrを示す。参考例のコイルCrは、第7配線57と第8配線58と第7配線57と第8配線58を繋ぐ第9配線59で形成されている。コイルCrの平面形状は略六角形である。第7配線57は第7側壁57sw7と第7側壁57sw7と反対側の第8側壁57sw8を有する。第7側壁57sw7は長さ(第7長さ)L7を有する。第8側壁57sw8は長さ(第8長さ)L8を有する。長さL7と長さL8は等しい。第8配線58は第9側壁58sw9と第9側壁58sw9と反対側の第10側壁58sw10を有する。第9側壁58sw9は長さ(第9長さ)L9を有する。第10側壁58sw10は長さ(第10長さ)L10を有する。長さL9と長さL10は等しい。
【0020】
参考例のコイルCrがモータ用コイル基板に用いられると、第7配線57を流れる電流の向きとモータ10の回転方向MRとの間の角度はほぼ90度である。第8配線58を流れる電流の向きとモータ10の回転方向MRとの間の角度はほぼ90度である。
【0021】
モータ10の回転方向MRに対して垂直に流れる電流はモータ10のトルクに影響を与える。そして、実施形態のコイルCのサイズと参考例のコイルCrのサイズが同じであると、第1長さL1と第7長さL7は等しい。第3長さL3と第9長さL9は等しい。第2名長さL2は第8長さL8より長い。第4長さL4は第10長さL10より長い。このため、回転方向MRに対して垂直に流れる電流の長さが実施形態と参考例で比較されると、実施形態の長さは参考例の長さより長い。従って、実施形態は大きなトルクを有するモータ10を提供することができる。
【0022】
図3(D)は実施形態のコイルCを示す。
図3(D)に示されるように、第1配線51と第3配線53との間の角度θ1が90度より大きくなるように配線wは第1配線51と第3配線53との境界51U、51Lで曲がっている。第2配線52と第3配線53との間の角度θ2が90度より大きくなるように配線wは第2配線52と第3配線53との境界52U、52Lで曲がっている。更に、第1配線の幅w1と第2配線の幅w2と第3配線の幅w3は等しい。そのため、第2長さL2を第1長さL1より長くすることができる。第4長さL4を第3長さL3より長くすることができる。これにより、モータ10のトルクを高くすることができる。モータ10の効率を高くすることができる。
【0023】
図3(D)に示されるように、第1配線51の上面51Tの形状はほぼ台形である。第2配線52の上面52Tの形状はほぼ台形である。
【0024】
コイルCの別例が
図2(A)に示される。別例のコイルCの巻き数は複数である。
図2(A)のコイルCと
図3(A)のコイルCは巻き数が異なる。巻き数以外、
図2(A)のコイルCと
図3(A)のコイルCは同様である。別例のコイルCは中央スペースSCと中央スペースSCを囲む配線wで形成される。巻き数が複数なので、ターン毎に第1配線51がある。ターン毎に第2配線52がある。ターン毎に第3配線53がある。第1配線51のそれぞれは概ね平行に形成されている。第2配線52のそれぞれは概ね平行に形成されている。第1配線51と第2配線52は概ね平行に形成されている。
【0025】
別例のコイルCを含むコイル基板120を用いてモータ10が製造される時、
図1(B)に示されるモータの回転方向MRと第1配線51との間の角度が略90度である。
【0026】
図2(A)中のEとFとの間の断面が
図2(B)に示される。点Eと点Fを含む直線と回転方向MRは平行である。
図2(A)中のGとHとの間の断面が
図2(C)に示される。点Gと点Hを含む直線と第5側壁53sw5との間の角度は90度である。別例のコイルの巻き数が複数である。そのため、
図2(A)と
図2(B)、
図2(C)に示されるように、別例のコイルCは、隣接するターンを形成する配線w間にギャップG1、G2、G3を有する。隣接する第1配線51間のギャップは第1ギャップG1である。隣接する第2配線52間のギャップは第2ギャップG2である。隣接する第3配線53間のギャップは第3ギャップG3である。第1ギャップG1の距離z1と第2ギャップG2の距離z2と第3ギャップG3の距離z3はほぼ等しい。
【0027】
第1コイルC1はU相コイルであって、第2コイルC2はV相コイルであって、第3コイルC3はW相コイルである。
図2(A)に示されるコイル基板120は3相モータ用のコイル基板120である。
【0028】
実施形態のモータ用コイル基板20は、複数のコイルCを有するコイル基板120を巻くことで形成される。
【符号の説明】
【0029】
20 モータ用コイル基板
22 フレキシブル基板
22L 一端
22R 他端
48 磁石
51 第1配線
52 第2配線
53 第3配線
120 コイル基板
C コイル
w 配線