(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063041
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】入力検出システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0362 20130101AFI20220414BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20220414BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220414BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
G06F3/0362 463
G06F3/041 512
G06F3/044 126
G06F3/0362 461
G01B7/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171349
(22)【出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿木 雄飛
(72)【発明者】
【氏名】林 真人
(72)【発明者】
【氏名】河野 孝明
【テーマコード(参考)】
2F063
5B087
【Fターム(参考)】
2F063AA03
2F063CA12
2F063DA02
2F063DA05
2F063HA04
2F063LA05
2F063LA06
2F063LA23
2F063LA24
5B087BC12
5B087CC02
5B087CC32
5B087CC39
(57)【要約】
【課題】入力支援装置及び指等の被検出体の判定を良好に行うことができる入力検出システムを提供する。
【解決手段】入力検出システムは、検出領域に配列された複数の電極と、複数の電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、複数の電極からの信号を検出する検出回路と、LC回路と、LC回路に接続され、複数の電極と重なって配置される第1電極及び第2電極と、を含む入力支援装置と、検出回路から出力された出力信号に基づいて、入力支援装置を検出する第1演算回路と、出力信号に基づいて、入力支援装置とは異なる被検出体を検出する第2演算回路と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域に配列された複数の電極と、
複数の前記電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、
複数の前記電極からの信号を検出する検出回路と、
LC回路と、前記LC回路に接続され、複数の前記電極と重なって配置される第1電極及び第2電極と、を含む入力支援装置と、
前記検出回路から出力された出力信号に基づいて、前記入力支援装置を検出する第1演算回路と、
前記出力信号に基づいて、前記入力支援装置とは異なる被検出体を検出する第2演算回路と、を有する
入力検出システム。
【請求項2】
前記検出回路は、前記第1演算回路に接続され、
前記第1演算回路は、前記第2演算回路に接続され、
前記出力信号は、前記検出回路から前記第1演算回路に出力され、前記第1演算回路から前記第2演算回路に出力される
請求項1に記載の入力検出システム。
【請求項3】
前記検出回路は、前記第1演算回路及び前記第2演算回路に接続され、
前記出力信号は、前記検出回路から前記第1演算回路及び前記第2演算回路に出力される
請求項1に記載の入力検出システム。
【請求項4】
前記出力信号は、複数の検出値を含み、
前記第1演算回路は、少なくとも2つの前記検出値の差分値を演算し、前記差分値に基づいて前記入力支援装置を検出し、
前記第2演算回路は、少なくとも2つの前記検出値の加算値を演算し、前記加算値に基づいて前記被検出体を検出する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項5】
前記出力信号は、複数の検出値を含み、
前記第1演算回路は、第1グループの複数の前記検出値の合計と、第2グループの複数の前記検出値の合計との差分値を演算する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項6】
複数の前記検出値に対応する複数の第1フィルタ値からなる第1テーブルを記憶する記憶回路を有し、
前記第1演算回路は、前記第1グループの複数の前記検出値のそれぞれに正符号の第1フィルタ値を掛け合わせ、前記第2グループの複数の前記検出値のそれぞれに前記正符号の第1フィルタ値の極性が反転された負符号の第1フィルタ値を掛け合わせる
請求項5に記載の入力検出システム。
【請求項7】
複数の前記検出値に対応する複数の第1フィルタ値からなる第1テーブルを記憶する記憶回路を有し、
前記第1演算回路は、2つの前記検出値を差分して得られる差分データを、異なる前記検出値の組み合わせで複数演算し、
複数の前記差分データのそれぞれに前記第1フィルタ値を掛け合わせて前記差分値を演算する
請求項4又は請求項5に記載の入力検出システム。
【請求項8】
複数の前記検出値と時間との関係において、複数の前記検出値が第1傾きで変化する線形領域と、前記第1傾きよりも小さい第2傾きを有する飽和領域とを有し、
前記第1演算回路は、前記線形領域の前記検出値及び前記飽和領域の前記検出値に亘って複数の前記差分データを演算する
請求項7に記載の入力検出システム。
【請求項9】
複数の前記検出値と時間との関係において、複数の前記検出値が第1傾きで変化する線形領域と、前記第1傾きよりも小さい第2傾きを有する飽和領域とを有し、
前記第1演算回路は、前記線形領域の前記検出値から複数の前記差分データを演算し、
前記第1演算回路は、前記線形領域の複数の前記差分データに前記第1フィルタ値を掛け合わせる
請求項7に記載の入力検出システム。
【請求項10】
前記記憶回路は、前記検出値に対応する複数の第2フィルタ値からなる第2テーブルを記憶しており、
前記第2演算回路は、前記検出値のそれぞれに前記第2フィルタ値が掛け合わされた値を加算して加算値を演算し、
前記第2フィルタ値の数は、前記第1フィルタ値の数よりも多い
請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項11】
前記第1電極及び前記第2電極の一方と重なる前記電極は、基準電位が供給され、
前記駆動信号供給回路は、前記第1電極及び前記第2電極の他方と重なる前記電極に所定の周波数の前記駆動信号を供給する
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項12】
検出領域に配列された複数の電極と、
複数の前記電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、
複数の前記電極からの信号を検出する検出回路と、
LC回路と、前記LC回路に接続され、複数の前記電極と重なって配置される第1電極及び第2電極と、を含む入力支援装置と、
前記検出回路から出力された出力信号が有する複数の検出値と、時間との関係をフィッティングして近似式を演算するフィッティング処理回路と、
複数の前記フィッティング処理回路から受け取った近似式の情報に基づいて、前記入力支援装置及び前記入力支援装置とは異なる被検出体の少なくとも一方を検出する演算回路と、を有する
入力検出システム。
【請求項13】
前記演算回路は、複数の前記検出値と前記時間との関係における傾きに基づいて前記入力支援装置を検出する
請求項12に記載の入力検出システム。
【請求項14】
前記演算回路は、複数の前記検出値と時間との関係における切片に基づいて前記被検出体を検出する
請求項12又は請求項13に記載の入力検出システム。
【請求項15】
前記フィッティング処理回路は、複数の前記検出値と時間との関係をフィッティングして一次関数の近似式を演算する
請求項12に記載の入力検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、静電容量の変化又は接触領域の変化を検出するタッチパネル上に置かれ、タッチパネルからの入力操作を支援する入力支援装置(特許文献1、2では、操作ノブ又はノブと表記)が記載されている。特許文献2では、電極に印加する駆動信号の周波数を変化させ、同じ電極から得られる検出信号に基づいて、タッチパネルに接触している入力支援装置の、インピーダンスの周波数特性を得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6342105号公報
【特許文献2】特許第6532631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような入力支援装置を用いた入力検出システムでは、例えば、入力支援装置の共振周波数で電極を駆動する検出と、非共振周波数で電極を駆動する検出とを時分割で行う場合がある。異なる周波数で駆動された、それぞれの検出値で入力支援装置及び指等の被検出体を検出できる。しかし、異なる周波数で電極を駆動する場合、検出に要する時間が増大し、検出のレポートレートが低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、入力支援装置及び指等の被検出体の判定を良好に行うことができる入力検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の入力検出システムは、検出領域に配列された複数の電極と、複数の前記電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、複数の前記電極からの信号を検出する検出回路と、LC回路と、前記LC回路に接続され、複数の前記電極と重なって配置される第1電極及び第2電極と、を含む入力支援装置と、前記検出回路から出力された出力信号に基づいて、前記入力支援装置を検出する第1演算回路と、前記出力信号に基づいて、前記入力支援装置とは異なる被検出体を検出する第2演算回路と、を有する。
【0007】
本発明の一態様の入力検出システムは、検出領域に配列された複数の電極と、複数の前記電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、複数の前記電極からの信号を検出する検出回路と、LC回路と、前記LC回路に接続され、複数の前記電極と重なって配置される第1電極及び第2電極と、を含む入力支援装置と、前記検出回路から出力された出力信号が有する複数の検出値と、時間との関係をフィッティングして近似式を演算する前記フィッティング処理回路と、複数の前記フィッティング処理回路から受け取った近似式の情報に基づいて、前記入力支援装置及び前記入力支援装置とは異なる被検出体の少なくとも一方を検出する演算回路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る入力検出システムを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、表示装置の概略断面構造を表す断面図である。
【
図4】
図4は、表示領域の画素配列を表す回路図である。
【
図5】
図5は、表示装置が有するアレイ基板を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、入力支援装置の検出方法を説明するための説明図である。
【
図8】
図8は、入力支援装置の検出方法を説明するためのタイミング波形図である。
【
図9】
図9は、検出ICの構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第1演算回路の演算方法を説明するための説明図である。
【
図11】
図11は、第2演算回路の演算方法を説明するための説明図である。
【
図12】
図12は、入力検出システムの検出方法を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る入力検出システムにおける、検出ICの構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る入力検出システムの検出方法を説明するためのフローチャートである。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係る入力検出システムにおける、第1演算回路の演算方法を説明するための説明図である。
【
図16】
図16は、第4実施形態に係る入力検出システムにおける、検出ICの構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態に係る入力検出システムにおける、フィッティング処理回路の演算方法を説明するための説明図である。
【
図18】
図18は、第5実施形態に係る入力支援装置の構成を説明するための説明図である。
【
図19】
図19は、第5実施形態に係る入力検出システムにおける、第1演算回路の演算方法を説明するための説明図である。
【
図20】
図20は、第6実施形態に係る入力検出システムにおける、第1演算回路の演算方法を説明するための説明図である。
【
図21】
図21は、第7実施形態に係る入力検出システムにおける、フィッティング処理回路の演算方法を説明するための説明図である。
【
図22】
図22は、第8実施形態に係る表示装置が有するアレイ基板を模式的に示す平面図である。
【
図23】
図23は、第8実施形態に係る入力支援装置と複数の検出電極との配置関係を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る入力検出システムを模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1のII-II’断面図である。
図1及び
図2に示すように、入力検出システム1は、表示装置2と、入力支援装置3と、を有する。
【0012】
ここで、表示装置2の平面(上面111a)の一方向を第1方向Dxとし、第1方向Dxと直交する方向を第2方向Dyとする。これに限定されず、第2方向Dyは第1方向Dxに対して90°以外の角度で交差していてもよい。また、第1方向Dx及び第2方向Dyに直交する第3方向Dzは、アレイ基板SUB1の厚み方向である。
【0013】
図1に示すように、表示装置2は、アレイ基板SUB1と、対向基板SUB2と、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、カバー部材111と、接着層112(
図2参照)と、を備えている。第3方向Dzにおいて、第1偏光板PL1、アレイ基板SUB1、対向基板SUB2、第2偏光板PL2、接着層112、カバー部材111の順に積層される。
【0014】
アレイ基板SUB1は、複数の画素PXを駆動するための駆動回路基板である。アレイ基板SUB1は、基体として第1基板10を有する。アレイ基板SUB1は、第1基板10に設けられたスイッチング素子Trや、走査線GL、画素信号線SL(
図4参照)等の各種配線を有する。対向基板SUB2は、アレイ基板SUB1と対向して設けられ、基体として第2基板20を有する。対向基板SUB2は、第2基板20に設けられたカラーフィルタCF、遮光層BM(
図3参照)等を有する。第1基板10及び第2基板20は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透光性を有する材料で形成される。
【0015】
アレイ基板SUB1の第2方向Dyの長さは、対向基板SUB2の第2方向Dyの長さよりも長い。
図1に示すように、アレイ基板SUB1(第1基板10)は、対向基板SUB2(第2基板20)よりも外側に張り出した部分(張出部)を有する。また、アレイ基板SUB1及び対向基板SUB2の第2方向Dyの長さは、第1方向Dxの長さより短い。ただし、これに限定されず、アレイ基板SUB1及び対向基板SUB2の第2方向Dyの長さは、第1方向Dxの長さより長くてもよい。
【0016】
図1に示すように、表示装置2において、表示領域DAの外側に周辺領域BEが設けられている。表示領域DAは、四角形状に形成されているが、表示領域DAの外形の形状は限定されない。例えば、表示領域DAには、角部が曲線状に設けられた略四角形状であってもよく、切り欠きがあってもよく、あるいは表示領域DAが他の多角形状に形成されてもよいし、表示領域DAが円形状あるいは楕円形状などの他の形状に形成されてもよい。
【0017】
表示領域DAは、画像を表示させるための領域であり、複数の画素PXが設けられる領域である。周辺領域BEは、アレイ基板SUB1の外周よりも内側で、かつ、表示領域DAよりも外側の領域を示す。なお、周辺領域BEは表示領域DAを囲う枠状であってもよく、その場合、周辺領域BEは額縁領域ともいえる。
【0018】
図2に示すように、アレイ基板SUB1の張出部には、表示IC(Integrated Circuit)50及び配線基板114が接続されている。表示IC50は、表示装置2の表示及びタッチ検出を制御する制御回路等を含む。また、この例に限らず、表示IC50は、配線基板114に実装されていてもよい。表示IC50の配置は、これに限定されず、例えばモジュール外部の制御基板やフレキシブル基板上に備えられていてもよい。
【0019】
対向基板SUB2には、配線基板115が接続される。検出IC51は配線基板115に実装される。検出IC51は、検出回路55(
図7参照)を含み、検出電極Rxから検出信号Vdetが供給される。検出IC51は、検出信号Vdetに基づいて、指Fgや入力支援装置3等の被検出体を検出することができる。検出IC51の配置は、これに限定されず、例えばモジュール外部の制御基板やフレキシブル基板上に備えられていてもよい。
【0020】
配線基板114及び配線基板115は、例えばフレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuits)によって構成される。配線基板114は、第1基板10の複数の端子と接続される。配線基板115は、第2基板20の複数の端子と接続される。
【0021】
図1及び
図2に示すように、入力支援装置3は、カバー部材111の上面111aに配置(装着)して使用される。ユーザは、表示装置2上に配置された入力支援装置3を操作することで、表示装置2への入力操作を行うことができる。入力支援装置3は、例えばロータリーノブであり、表示装置2の上面111aから見たときの平面視で円環状を有する。表示装置2は、入力支援装置3の平面内での位置や、回転軸AXを中心とした回転操作RTを検出することができる。つまり、本実施形態では、表示領域DAは、複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rx(
図5参照)が設けられた領域であり、検出領域を兼ねる。
【0022】
図2に示すように、入力支援装置3は、ハウジング30と、第1電極31と、第2電極32と、LC回路35と、を含む。ハウジング30は、例えば、絶縁性の樹脂材料で形成され、内部に空間が設けられた中空の部材である。第1電極31、第2電極32及びLC回路35は、ハウジング30の内部に設けられる。LC回路35は、コンデンサ33とインダクタ34とが並列に接続されたLC共振回路を構成する。第1電極31は、LC回路35の一端側(コンデンサ33とインダクタ34の一端側の接続部)に接続される。第2電極32は、LC回路35の他端側(コンデンサ33とインダクタ34の他端側の接続部)に接続される。表示装置2は、LC回路35のLC共振を利用して、第1電極31及び第2電極32の位置を検出することができる。
【0023】
なお、ハウジング30は、回転軸AXと重なる領域に貫通孔が形成された円環状である。ただし、ハウジング30は、貫通孔を有さない円形状でもよい。
図2では、模式的にLC回路35を表すために、貫通孔を有さない形状としている。
【0024】
なお、
図1では、入力支援装置3の他の例として、複数の入力支援装置3A、3B、3Cを示している。入力支援装置3Aは、ロータリーノブであり、入力支援装置3とは異なり、貫通孔を有さないつまみ状に形成される。入力支援装置3Bは、スライダであり、つまみを平面内で変位させることで入力操作を行うことができる。入力支援装置3Bは、平面視で、棒状である。入力支援装置3Cは、ボタン又は入力キーであり、入力支援装置3Cをタッチ、又は押し込み操作を行うことで入力操作を行うことができる。入力検出システム1は、複数の入力支援装置3、3A、3B、3Cの全てが装着されている場合に限定されず、複数の入力支援装置3、3A、3B、3Cの少なくとも1つ以上が設けられていればよい。以下の説明では、入力支援装置3について説明する。ただし、入力支援装置3についての説明は、他の入力支援装置3A、3B、3Cにも適用できる。
【0025】
図3は、表示装置の概略断面構造を表す断面図である。
図3は、例えば
図2の領域Aで囲まれた部分の断面図を示している。
図3に示すように、表示装置2は、さらに、照明装置ILを備えている。対向基板SUB2は、アレイ基板SUB1の表面に垂直な方向に対向して配置される。液晶層LCは、アレイ基板SUB1と対向基板SUB2との間に設けられる。表示機能層である液晶層LCは、第1基板10と第2基板20との間に配置される。第3方向Dzにおいて、照明装置IL、第1偏光板PL1、アレイ基板SUB1、対向基板SUB2、第2偏光板PL2の順に積層される。
【0026】
アレイ基板SUB1が照明装置ILと対向し、対向基板SUB2が表示面側に位置する。照明装置ILは、アレイ基板SUB1に向けて光を照射する。照明装置ILは、例えばサイドライト型バックライトや、直下型バックライトが適用可能である。照明装置ILとしては、種々の形態のものが適用可能であるが、その詳細な構造については説明を省略する。
【0027】
第1偏光板PL1を含む光学素子は、第1基板10と対向する。より具体的には、第1偏光板PL1は、第1基板10の外面、あるいは、照明装置ILと対向する面に配置される。第2偏光板PL2を含む光学素子は、第2基板20と対向する。より具体的には、第2偏光板PL2は、第2基板20の外面、あるいは、観察位置側の面に配置される。第1偏光板PL1の第1偏光軸及び第2偏光板PL2の第2偏光軸は、例えばX-Y平面においてクロスニコルの位置関係にある。なお、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を含む光学素子は、位相差板などの他の光学機能素子を含んでいてもよい。
【0028】
アレイ基板SUB1は、第1基板10の対向基板SUB2と対向する側に、絶縁膜11、12、13、14、15、画素信号線SL、画素電極PE、駆動電極Tx(共通電極CE)、第1配向膜AL1等を備えている。
【0029】
なお、本明細書において、第1基板10に垂直な方向において、第1基板10から第2基板20に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、第2基板20から第1基板10に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。また、「平面視」とは、第1基板10に垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0030】
絶縁膜11は、第1基板10の上に設けられる。絶縁膜11、12、13及び絶縁膜15は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの透光性を有する無機系材料によって形成された無機絶縁膜である。
【0031】
絶縁膜12は、絶縁膜11の上に設けられる。絶縁膜13は、絶縁膜12の上に設けられる。画素信号線SLは、絶縁膜13の上に設けられる。絶縁膜14は、絶縁膜13の上に設けられ、画素信号線SLを覆っている。絶縁膜14は、透光性を有する樹脂材料によって形成され、無機系材料によって形成された他の絶縁膜と比べて厚い膜厚を有している。なお、
図3では図示されないが、走査線GLは、例えば絶縁膜12の上に設けられる。
【0032】
駆動電極Txは、絶縁膜14の上に設けられる。駆動電極Txは、表示領域DAに設けられ、スリットにより複数に分割される。駆動電極Txは、絶縁膜15によって覆われている。駆動電極Txは、タッチ検出の駆動電極Txと、表示における共通電極CEを兼ねる。
【0033】
画素電極PEは、絶縁膜15の上に設けられ、絶縁膜15を介して駆動電極Txと対向している。画素電極PE及び駆動電極Txは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性を有する導電材料によって形成されている。画素電極PE及び絶縁膜15は、第1配向膜AL1によって覆われている。
【0034】
対向基板SUB2は、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に、遮光層BM、カラーフィルタCFR、CFG、CFB、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2などを備えている。対向基板SUB2は、第2基板20のアレイ基板SUB1と反対側に検出電極Rx及び第2偏光板PL2を備えている。
【0035】
表示領域DAにおいて、遮光層BMは、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に位置している。そして、遮光層BMは、画素電極PEとそれぞれ対向する開口部を規定している。画素電極PEは、画素PXの開口部ごとに区画されている。遮光層BMは、黒色の樹脂材料や、遮光性の金属材料によって形成されている。
【0036】
カラーフィルタCFR、CFG、CFBのそれぞれは、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に位置し、それぞれの端部が遮光層BMに重なっている。一例では、カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、それぞれ赤色、緑色、青色に着色された樹脂材料によって形成されている。
【0037】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFR、CFG、CFBを覆っている。オーバーコート層OCは、透光性を有する樹脂材料によって形成されている。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、例えば、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0038】
検出電極Rxは、第2基板20の上に設けられる。検出電極Rxは、例えば導電性材料で形成された金属配線である。あるいは、検出電極Rxは、例えばITO等の透光性の導電性材料であってもよい。
【0039】
アレイ基板SUB1及び対向基板SUB2は、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が向かい合うように配置されている。液晶層LCは、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に封入されている。液晶層LCは、誘電率異方性が負のネガ型液晶材料、あるいは、誘電率異方性が正のポジ型液晶材料によって構成されている。
【0040】
例えば、液晶層LCがネガ型液晶材料である場合であって、液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、液晶分子LMは、X-Y平面内において、その長軸が第1方向Dxに沿う方向に初期配向している。一方、液晶層LCに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと駆動電極Txとの間に電界が形成されたオン時において、液晶分子LMは、電界の影響を受けてその配向状態が変化する。オン時において、入射した直線偏光は、その偏光状態が液晶層LCを通過する際に液晶分子LMの配向状態に応じて変化する。
【0041】
図4は、表示領域の画素配列を表す回路図である。アレイ基板SUB1には、
図4に示す各副画素SPXのスイッチング素子Tr、画素信号線SL、走査線GL等が形成されている。画素信号線SLは、第2方向Dyに延在する。画素信号線SLは、各画素電極PE(
図3参照)に画素信号VSGを供給するための配線である。走査線GLは、第1方向Dxに延在する。走査線GLは、各スイッチング素子Trを駆動する駆動信号(走査信号)を供給するための配線である。
【0042】
画素PXは、複数の副画素SPXが含まれる。副画素SPXは、それぞれスイッチング素子Tr及び液晶層LCの容量を備えている。スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。
図3に示す画素電極PEと駆動電極Txとの間に絶縁膜15が設けられ、これらによって
図4に示す保持容量Csが形成される。
【0043】
カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色された色領域が周期的に配列されている。各副画素SPXに、R、G、Bの3色の色領域が1組として対応付けられる。そして、3色の色領域に対応する副画素SPXを1組として画素PXが構成される。なお、カラーフィルタは、4色以上の色領域を含んでいてもよい。この場合、画素PXは、4つ以上の副画素SPXを含んでいてもよい。
【0044】
図5は、表示装置が有するアレイ基板を模式的に示す平面図である。なお、
図5では、駆動電極Txと検出電極Rxとの関係を説明するために、対向基板SUB2に設けられた検出電極Rxの一部を模式的に示している。
図5に示すように、画素PX(副画素SPX)は、表示領域DAにマトリクス状に配置されている。画素信号線SL及び走査線GLは、副画素SPXが有する画素電極PE及びスイッチング素子Trに対応して設けられる。画素信号線SLは、周辺領域BEに設けられた表示IC50等の制御回路に接続される。走査線駆動回路52は、周辺領域BEのうち、第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。走査線GLは、走査線駆動回路52に接続される。走査線駆動回路52は、各画素PX(副画素SPX)のスイッチング素子Trを駆動する走査信号を走査線GLに供給する回路である。
【0045】
複数の駆動電極Txは、それぞれ第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに配列される。複数の駆動電極Txは、それぞれ接続配線53Aを介して表示IC50に接続される。また、複数の検出電極Rxは、それぞれ第1方向Dxに延在し、第2方向Dyに配列される。複数の検出電極Rxは、それぞれ接続配線53Bを介して検出IC51に接続される。複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとは、平面視で交差して設けられる。複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとの交差部分にそれぞれ静電容量が形成される。検出IC51は、複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとの間の相互静電容量の変化に応じて出力される検出信号Vdetに基づいて、被検出体を検出することができる。
【0046】
図5では、図面を見やすくするために、一部の駆動電極Tx、検出電極Rx及び一部の画素PX(副画素SPX)のみ示しているが、駆動電極Tx、検出電極Rx及び画素PXは、表示領域DAの全体に配置される。すなわち、1つの駆動電極Txに重なって複数の画素PXが配置される。また、1つの駆動電極Txは、複数の画素信号線SLと重なって配置される。
【0047】
駆動電極Txは、表示期間における画素電極PEに対する共通電極CEと、タッチ検出期間における指Fgや入力支援装置3等の被検出体を検出するための駆動電極Txと、を兼ねる。具体的には、表示の際に、表示IC50は、表示駆動信号VCOMを駆動電極Txに供給する。また、表示IC50は、少なくとも駆動信号供給回路56を備える。駆動信号供給回路56は、複数の駆動電極Txに順次検出駆動信号VDを供給する。表示装置2は、表示期間とタッチ検出期間とが交互に繰り返され、期間ごとに駆動電極Txに供給される信号が切り換えられる。
【0048】
具体的には、指Fgの位置を検出するタッチ検出では、表示IC50(駆動信号供給回路56)は、駆動電極Txに検出駆動信号VDを供給し、相互静電容量の変化に基づいた検出信号Vdetが検出IC51に出力される。これにより、検出IC51は、指Fgの接触又は近接を検出する。
【0049】
また、入力支援装置3を検出する入力支援装置検出では、表示IC50(駆動信号供給回路56)は、駆動電極Txに検出駆動信号VDを供給し、検出IC51は、相互静電容量の変化と、入力支援装置3が有するLC回路35の共振を利用して、入力支援装置3の位置等を検出する。
【0050】
次に、
図6から
図8を参照して、入力支援装置3の検出方法について説明する。
図6は、
図2のVI-VI’断面図である。
図6は、入力支援装置3を上面111a(
図1参照)と平行な平面で切断した断面図を模式的に示す。
図6に示すように、入力支援装置3は、平面視で円形状である。また、平面視で、第1電極31と第2電極32とは、回転軸AXを挟んで反対側に配置される。第1電極31及び第2電極32は、平面視で円形状である。ただし、これに限定されず、第1電極31及び第2電極32は、四角形状、多角形状等、他の形状でもよい。また、第1電極31と第2電極32とは、異なる形状であってもよい。以下の説明において、第1電極31と第2電極32との間の最も短い距離を第1距離r1とする。第1電極31と第2電極32との間の最も離れた距離を第2距離r2とする。言い換えると、第1距離r1は、第1電極31及び第2電極32の内接円の直径に等しい。第2距離r2は、第1電極31及び第2電極32の外接円の直径に等しい。第1電極31及び第2電極32は、入力支援装置3の回転操作RTにより、回転軸AXを中心とした同心円上を回転可能に設けられる。
【0051】
図6では、LC回路35を構成するコンデンサ33及びインダクタ34は等価的に示しているが、例えば、LC回路35は、基板上に実装されたチップ部品で形成されてもよい。コンデンサ33及びインダクタ34は、第1電極31と第2電極32との間で、電気的に並列に接続されていればよく、ハウジング30内でどのような配置であってもよい。
【0052】
図7は、入力支援装置の検出方法を説明するための説明図である。
図8は、入力支援装置の検出方法を説明するためのタイミング波形図である。
図7に示すように、入力支援装置3の第1電極31及び第2電極32は、それぞれ、タッチ検出期間のあるタイミングではアレイ基板SUB1の駆動電極Tx及び対向基板SUB2の検出電極Rxと対向して配置される。なお、
図7では、模式的に駆動電極Txと検出電極Rxとを同一基板上に示している。また、第1電極31と対向する検出電極Rxは省略して示している。
【0053】
第1電極31と、一方の駆動電極Txとの間に容量C1が形成される。一方の駆動電極Txは、基準電位(例えば、基準電位Vdc)に接続される。第2電極32と、他方の駆動電極Txとの間に容量C2が形成される。他方の駆動電極Txは、スイッチ素子54Bを介して電源電位Vdd又は基準電位(例えば、基準電位Vdc)に接続される。
【0054】
また、第2電極32と、検出電極Rxとの間に容量C3が形成される。検出電極Rxは、スイッチ素子54Aを介して検出回路55又は基準電位(例えば、グランド電位GND)に接続される。さらに、駆動電極Txと検出電極Rxとの間に相互静電容量Cmが形成される。
【0055】
検出回路55は、検出IC51内に設けられた信号処理回路であり、検出電極Rxから出力された検出信号Vdet(
図8参照)を受け取って、所定の信号処理を行って出力信号Voを出力する回路である。検出回路55は、検出信号増幅部61、容量素子62及びリセットスイッチ63を有する。これに限定されず、検出回路55は、さらに、検出信号増幅部61から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路(図示しない)等を有していてもよい。なお、
図7では、入力支援装置3のLC回路35は、コンデンサ33と直列に接続された抵抗素子36を有する。ただし、抵抗素子36は、なくてもよい。
【0056】
図7及び
図8に示すように、スイッチ素子54Bの動作により、他方の駆動電極Txには、交流矩形波である検出駆動信号VDが供給される。検出駆動信号VDは高レベル電位の電源電位Vddと、低レベル電位の基準電位Vdcとが、所定の周波数で交互に繰り返し印加される。他方の駆動電極Txの電位V3は、検出駆動信号VDに応じて変化する。ここで、検出駆動信号VDに同期して繰り返される期間を、第1期間P1及び第2期間P2とする。第1期間P1は、他方の駆動電極Txが電源電位Vddに接続される期間である。第2期間P2は、他方の駆動電極Txが基準電位Vdcに接続される期間である。電源電位Vddは例えば基準電位Vdcよりも高い電位とされる。
【0057】
検出電極Rxは、相互静電容量Cmに基づいて検出信号Vdetを出力する。具体的には、上述したように、一方の駆動電極Txは、基準電位(例えば、基準電位Vdc)に接続される。これにより、第1期間P1では、第1電極31及び第2電極32に、異なる電位の信号が供給される。また、第1期間P1では、スイッチ素子54Aの切り替え動作により検出電極Rxは検出回路55と接続される。これにより、相互静電容量Cmに基づいた電位V2の変化が検出信号Vdetとして、検出電極Rxから検出回路55に出力される。
【0058】
検出回路55の検出信号増幅部61は、検出電極Rxから供給された検出信号Vdetを増幅する。検出信号増幅部61の非反転入力部には、固定された電位を有する基準電圧が入力され、反転入力端子には、検出電極Rxが接続される。本実施形態では、基準電圧として一方の駆動電極Txと同じ信号が入力される。また、検出回路55は、リセットスイッチ63をオンにすることで、容量素子62の電荷をリセットすることができる。
【0059】
さらに、検出駆動信号VDはLC回路35の共振周波数と同じ周波数を有する。このため、他方の駆動電極Txと重なる第2電極32も共振周波数で駆動され、LC回路35の共振が発生する。これにより、第1期間P1及び第2期間P2が繰り返されるにしたがって、検出信号Vdetの振幅が大きくなる。
図8に示すように、第1期間P1が複数回、繰り返されるにしたがって、検出信号Vdetの振幅が大きくなり、検出回路55からの出力信号Voの電位は、大きくなるように変化する。
【0060】
一方、入力支援装置3とは異なる指Fg等の被検出体が、上面111a(
図1参照)に接触又は近接した場合には、相互静電容量Cmの変化に応じて、検出信号Vdetが変化する。つまり、指Fg等の場合には、共振が生じないため、
図8に示すような検出信号Vdetの振幅の経時的な変化が生じない。このように、入力検出システム1は、LC回路35のLC共振を利用して、被検出体が、指Fgであるか、入力支援装置3であるかを判定することができる。
【0061】
なお、駆動電極Txの幅は、第1電極31及び第2電極32の第1距離r1及び第2距離r2(
図6参照)よりも小さい。これにより、第1電極31及び第2電極32は、異なる駆動電極Txと重なって配置され、第1電極31と重なる駆動電極Tx(一方の駆動電極Tx)には、基準電位Vdcが供給され、第2電極32と重なる駆動電極Tx(他方の駆動電極Tx)には、検出駆動信号VDが供給される。この結果、第2電極32は、LC回路35の共振を利用して、検出信号Vdetの振幅を大きくすることができる。
【0062】
また、駆動信号供給回路56は、隣接する複数の駆動電極Txに同時に検出駆動信号VDを供給し、隣接する複数の駆動電極Txからなる駆動電極ブロックごとに駆動してもよい。この場合、駆動電極ブロックの幅は、第1電極31及び第2電極32の第1距離r1及び第2距離r2(
図6参照)よりも小さい。
【0063】
次に、入力検出システム1における、入力支援装置3及び入力支援装置3とは異なる指Fg等の被検出体の検出方法について説明する。
図9は、検出ICの構成例を模式的に示すブロック図である。
図9に示すように、検出IC51は、表示装置2(タッチセンサ21)から受け取った検出信号Vdetに基づいて、入力支援装置3及び入力支援装置3とは異なる指Fg等の被検出体の検出を行う。検出IC51は、検出結果に応じて、タッチ検出情報TD及び入力支援装置検出情報KDの少なくとも一方を演算し、ホストIC100に出力する。
【0064】
ホストIC100は、表示装置2の制御を行う回路である。ホストIC100は、タッチ検出情報TD及び入力支援装置検出情報KDに基づいて、入力された操作に応じた動作を実行するように表示装置2に指令を出力する。また、検出IC51は、ホストIC100からの制御信号に基づいて、表示IC50と同期して動作するように制御される。
【0065】
検出IC51は、検出回路55と、第1演算回路71と、第2演算回路72と、判定回路73と、記憶回路74と、カウンタ75と、を有する。検出回路55は、表示装置2(タッチセンサ21)から検出信号Vdetを受け取って、信号処理を行う回路である。検出回路55は、複数の検出値R
1、R
2、R
3、・・・、R
2n(
図10、
図11参照)を含む出力信号Voを出力する。具体的には、複数の検出値R
1、R
2、R
3、・・・、R
2nは、検出信号増幅部61から出力されるアナログ信号から、検出駆動信号VDに同期したタイミングでサンプリングされたデータである。なお、以下の説明では、検出値R
1、R
2、R
3、・・・、R
2nを区別して説明する必要が無い場合には、単に検出値RGと表す場合がある。
【0066】
また、タッチセンサ21は、少なくとも複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rxで形成される静電容量センサである。タッチセンサ21は、表示装置2と一体に形成され、表示装置2の基板や電極の一部を共用している。ただし、これに限定されず、タッチセンサ21は、表示装置2と別体の基板上に複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rxが設けられた構成であってもよい。
【0067】
第1演算回路71は、検出回路55から出力された出力信号Voに基づいて、入力支援装置3を検出する回路である。第2演算回路72は、検出回路55から出力された出力信号Voに基づいて、入力支援装置3とは異なる例えば指Fg等の被検出体を検出する回路である。
【0068】
検出回路55は、第1演算回路71に接続され、出力信号Voは、検出回路55から第1演算回路71に出力される。また、第1演算回路71は、第2演算回路72に接続され、出力信号Voは、第1演算回路71から第2演算回路72に出力される。言い換えると、検出回路55、第1演算回路71及び第2演算回路72は、この順でシリアル接続され、同じ出力信号Voに基づいて入力支援装置3の検出、例えば指Fg等の被検出体の検出を順次行う。なお、第1演算回路71及び第2演算回路72の接続は逆であってもよい。
【0069】
第1演算回路71は、入力支援装置検出情報KDとして、入力支援装置3の有無の情報に加え、入力支援装置3の位置情報、入力支援装置3の回転操作RT等の入力支援装置3の動作に関する情報を演算することができる。第2演算回路72は、タッチ検出情報TDとして、指Fg等の被検出体の有無の情報に加え、指Fg等の被検出体の位置情報、指Fg等の被検出体の動作に関する情報を演算することができる。
【0070】
また、第1演算回路71及び第2演算回路72は、例えば、被検出体の検出パターンと、記憶回路74にあらかじめ格納された情報とを比較して、指Fgや入力支援装置3等、いずれの被検出体を検出したかを判定してもよい。ここで、検出パターンは指Fg、入力支援装置3等の被検出体の形状でもいいし、形状に応じた検出強度等でもよく、第1演算回路71及び第2演算回路72は、これらの検出パターンに応じて被検出物の種類(例えば、入力支援装置3、3A、3B、3C(
図1参照))を判定する機能を有していてもよい。
【0071】
第1演算回路71は、入力支援装置検出情報KDに含まれる情報に応じて、座標演算回路や信号処理回路を備えていてもよい。なお、第1演算回路71は、入力支援装置検出情報KDとして差分値VN(
図10参照)を出力してもよい。この場合、入力支援装置3の位置情報、入力支援装置3の回転操作RT等の入力支援装置3の動作に関する情報は、ホストIC100等の外部回路で演算してもよい。
【0072】
同様に、第2演算回路72は、タッチ検出情報TDに必要な情報に応じて、座標演算回路や信号処理回路を備えていてもよい。なお、第2演算回路72は、タッチ検出情報TDとして加算値VT(
図11参照)を出力してもよい。この場合、指Fg等の被検出体の位置情報、指Fg等の被検出体の動作に関する情報は、ホストIC100等の外部回路で演算してもよい。なお、第1演算回路71及び第2演算回路72の詳細な動作例については、
図10、11で後述する。
【0073】
判定回路73は、第1演算回路71で演算された差分値VN(
図10参照)と、記憶回路74に格納された第1検出基準値TH1とを比較して、入力支援装置3の検出の有無を判定する回路である。また、判定回路73は、第2演算回路72で演算された加算値VT(
図11参照)と、記憶回路74に格納された第2検出基準値TH2とを比較して、指Fg等の被検出体のタッチ検出の有無を判定する回路である。判定回路73は、第1演算回路71及び第2演算回路72のそれぞれに対応して、2つの回路として設けられていてもよいし、第1演算回路71及び第2演算回路72のそれぞれに組み込まれていてもよい。
【0074】
記憶回路74は、第1テーブル81、第2テーブル82、第1検出基準値TH1、第2検出基準値TH2を格納する回路である。第1テーブル81は、複数のフィルタ値F
1、F
2、・・・、F
nからなる第1フィルタFL1(
図10参照)に関する情報である。第2テーブル82は、複数のフィルタ値F
1、F
2、・・・、F
nからなる第2フィルタFL2(
図11参照)に関する情報である。第1検出基準値TH1は、入力支援装置3の検出の有無を判定する基準値(閾値)である。第2検出基準値TH2は、指Fg等の被検出体のタッチ検出の有無を判定する基準値(閾値)である。また、記憶回路74は、複数の検出値RGを含む出力信号Voを一時的に格納する出力信号記憶領域83を有する。
【0075】
カウンタ75は、検出回路55が出力する検出値R1、R2、R3、・・・、R2nの数を計測する回路である。第1演算回路71及び第2演算回路72は、カウンタ75からの情報に基づいて、出力信号Voから必要な数(例えば1検出フレーム分)の複数の検出値RGを取得して、演算を行うことができる。
【0076】
図10は、第1演算回路の演算方法を説明するための説明図である。
図10に示すように、入力支援装置3が検出領域(表示領域DA)上に配置された場合には、LC回路35のLC共振により、出力信号Voの検出値R
1、R
2、R
3、・・・、R
2nは、検出駆動信号VDのパルスごとに、すなわち、所定期間ごとに経時的に大きくなる。第1演算回路71は、少なくとも2つの検出値RGの差分値VNを演算し、差分値VNに基づいて入力支援装置3を検出する。
【0077】
具体的には、第1演算回路71は、検出値R1、R2、R3、・・・、R2nと、第1テーブル81の第1フィルタFL1と、を掛け合わせてノイズ除去を行う。第1フィルタFL1は、窓関数であり、出力信号Voに含まれる複数の検出値RGから、演算に必要な検出値R1、R2、R3、・・・、R2nの成分を切り出すことができる。第1フィルタFL1は、極性が異なる正符号の第1フィルタFL1-pと、負符号の第1フィルタFL1-mとを含む。正符号の第1フィルタFL1-pと、負符号の第1フィルタFL1-mとは、それぞれn個のフィルタ値F1、F2、・・・、Fnと、n個のフィルタ値-F1、-F2、・・・、-Fnを有する。
【0078】
第1演算回路71は、出力信号Voに含まれる前半の検出値RG1(R
1、R
2、R
3、・・・、R
n)と、負符号の第1フィルタFL1-mとを掛け合わせる。また、第1演算回路71は、出力信号Voに含まれる後半の検出値RG2(R
n+1、R
n+2、R
n+3、・・・、R
2n)と、正符号の第1フィルタFL1-pとを掛け合わせる。入力支援装置3が配置された場合には、
図10に示すように、後半の検出値RG2は、前半の検出値RG1よりも大きい。
【0079】
第1演算回路71は、これらの値を合計して差分値VN=-R1F1-R2F2・・・-RnFn+Rn+1F1+Rn+2F2・・・+R2nFnを演算する。すなわち、差分値VNは、後半の検出値RG2に第1フィルタFL1を掛け合わせた値と、前半の検出値RG1に第1フィルタFL1を掛け合わせた値との差分の値である。
【0080】
判定回路73は、差分値VNと第1検出基準値TH1とを比較し、差分値VNが第1検出基準値TH1以上の場合に、LC回路35のLC共振が発生した、すなわち、入力支援装置3が検出されたと判定する。一方、判定回路73は、差分値VNが第1検出基準値TH1よりも小さい場合、LC回路35のLC共振が発生していない、すなわち、入力支援装置3が検出されないと判定する。
【0081】
このように、第1演算回路71は、複数の検出値RGを含む出力信号Voを受け取って、前半の検出値RG1(第1グループの複数の検出値RG)の合計と、後半の検出値RG(第2グループの複数の検出値RG)の合計との差分値VNを演算することで、入力支援装置3の有無を検出することができる。
【0082】
なお、
図10に示す第1演算回路71の演算方法は、あくまで一例であり、適宜変更することもできる。例えば、第1演算回路71は、前半の検出値RG1の平均値を演算し、後半の検出値RG2の平均値を演算し、それぞれの平均値に第1フィルタFL1を掛け合わせてもよい。
【0083】
また、第1演算回路71は、出力信号Voが有する全ての検出値RGを用いて差分値VNを演算しているが、これに限定されない。第1演算回路71は、前半の検出値RG1の範囲を小さくしm個(m<n)の検出値R1、R2、R3、・・・、Rmを差分値VNの演算に用いてもよい。また、第1演算回路71は、後半の検出値RG2の範囲を小さくしてm個の検出値Rn+1、Rn+2、Rn+3、・・・、Rn+mを差分値VNの演算に用いてもよい。あるいは、m個(m<n)のフィルタ値F1、F2、・・・、Fmを有する第1フィルタFL1を用意して、第1演算回路71は、第1フィルタFL1と、前半の検出値RG1及び後半の検出値RG2と掛け合わせてもよい。これにより、(n-m)個の検出値RGはフィルタ処理により除去され、差分値VNには含まれない。この場合、差分値VNのシグナル値を大きくすることができる。
【0084】
また、
図10に示す例では、前半の検出値RG1の数及び後半の検出値RG2の数は、それぞれ、出力信号Voが有する全ての検出値RGの数の1/2であるが、これに限定されない。第1演算回路71は、前半の検出値RG1の範囲を大きくし、後半の検出値RG2の範囲を大きくして差分値VNを演算してもよい。つまり、一部の検出値RG(例えば検出値R
n、R
n+1近傍の中央部の検出値RG)は、前半の検出値RG1及び後半の検出値RG2の両方に含まれてもよい。例えば、t個(n<t)のフィルタ値F
1、F
2、・・・、F
tを有する第1フィルタFL1を用意して、検出値RGと掛け合わせることで、(t-n)個の中央部の検出値RGは負符号の第1フィルタFL1-mと正符号の第1フィルタFL1-pとの両方に掛け合わされる。この場合、差分値VNのノイズを小さくすることができる。
【0085】
図11は、第2演算回路の演算方法を説明するための説明図である。
図11に示すように、入力支援装置3とは異なる例えば指Fg等の被検出体が検出領域(表示領域DA)に接触又は近接した場合には、LC共振が発生しない。このため、出力信号Voの検出値R
1、R
2、R
3、・・・、R
2nは、検出駆動信号VDのパルスごとの変化を示さず、指Fg等の被検出体の存在による相互静電容量Cm(
図7参照)に応じて変化する。
図11では、複数の検出値R
1、R
2、R
3、・・・、R
2nが一定である、すなわち、指Fg等の被検出体が検出領域に接触し、固定された状態の例を示している。
【0086】
第2演算回路72は、少なくとも2つの検出値RGの加算値VTを演算し、加算値VTに基づいて入力支援装置3とは異なる指Fg等の被検出体を検出する。具体的には、第1演算回路71は、検出値R1、R2、R3、・・・、R2nと、第2テーブル82の第2フィルタFL2と、を掛け合わせてノイズ除去を行う。第2フィルタFL2は、窓関数であり、出力信号Voに含まれる複数の検出値RGから、演算に必要な検出値R1、R2、R3、・・・、R2nの成分を切り出すことができる。第2フィルタFL2は、2n個のフィルタ値F1、F2、F3、・・・、F2nを含む。つまり、第2フィルタFL2は、出力信号Voの全ての検出値RGに対応して設けられる。本実施形態では、第2フィルタFL2が有するフィルタ値の数は、第1フィルタFL1が有するフィルタ値の数よりも多い。
【0087】
第2演算回路72は、フィルタ処理を行ったそれぞれの値を合計し、加算値VT=R1F1+R2F2・・・+RnFn+Rn+1Fn+1+Rn+2Fn+2・・・+R2nF2nを演算する。すなわち、加算値VTは、検出値RGに第2フィルタFL2を掛け合わせた値を加算した値である。
【0088】
判定回路73は、加算値VTと第2検出基準値TH2(ベースラインともいう)とを比較し、加算値VTが第2検出基準値TH2以上の場合に、指Fgが検出領域に接触又は近接した、すなわち、指Fgのタッチ検出が有ると判定する。一方、判定回路73は、加算値VTが第2検出基準値TH2よりも小さい場合、指Fgが検出領域に非接触である、すなわち、指Fgのタッチ検出が無いと判定する。
【0089】
なお、
図11に示す第2演算回路72の演算方法は、あくまで一例であり、適宜変更することもできる。例えば、第2演算回路72は、複数の検出値RGの平均値を演算してもよい。また、第2演算回路72は、出力信号Voの一部の検出値RGを加算して加算値VTを演算してもよい。たとえば、m個(m<2n)のフィルタ値F
1、F
2、・・・、F
mを有する第2フィルタFL2を用意して、検出値RGと掛け合わせてもよい。これにより、(2n-m)個の検出値RGはフィルタ処理により除去され、加算値VTには加算されない。
【0090】
次に
図9から
図12を参照して、入力検出システムの検出方法について説明する。
図12は、入力検出システムの検出方法を説明するためのフローチャートである。まず、検出回路55は、タッチセンサ21から検出信号Vdetを取得する(ステップST11)。検出回路55は、検出信号Vdetの信号処理を行い、複数の検出値RGを含む出力信号Voを第1演算回路71に出力する。
【0091】
次に、第1演算回路71は、
図10にて説明したように、検出回路55から受け取った出力信号Voと、記憶回路74から受け取った第1テーブル81とに基づいて、検出値RGの差分値VNを演算する(ステップST12)。第1演算回路71は、複数の検出値RGを含む出力信号Voを第2演算回路72に出力する。
【0092】
次に、第2演算回路72は、
図11にて説明したように、第1演算回路71から受け取った出力信号Voと、記憶回路74から受け取った第2テーブル82とに基づいて、検出値RGの加算値VTを演算する(ステップST13)。
【0093】
判定回路73は、入力支援装置3の検出の有無を判定する(ステップST14)。具体的には、判定回路73は、第1演算回路71から受け取った差分値VNと、記憶回路74から受け取った第1検出基準値TH1とを比較する。差分値VNが第1検出基準値TH1以上の場合、すなわち入力支援装置3の検出が有りの場合(ステップST14、Yes)、第1演算回路71は、入力支援装置3の位置、入力支援装置3の角度(回転操作RT)を演算する(ステップST15)。また、第1演算回路71は、入力支援装置3が検出された位置で、指Fg等の被検出体の検出を実行しない指令を、第2演算回路72に出力してもよい。
【0094】
差分値VNが第1検出基準値TH1よりも小さい場合、すなわち入力支援装置3の検出が無い場合(ステップST14、No)、第1演算回路71は入力支援装置3に関する情報の演算を省略する。
【0095】
次に、判定回路73は、指Fg等の被検出体のタッチ検出の有無を判定する(ステップST16)。具体的には、判定回路73は、第2演算回路72から受け取った加算値VTと、記憶回路74から受け取った第2検出基準値TH2とを比較する。加算値VTが第2検出基準値TH2以上の場合、すなわち指Fg等の被検出体のタッチ検出が有りの場合(ステップST16、Yes)、第2演算回路72は、指Fg等の被検出体の位置を演算する(ステップST17)。
【0096】
加算値VTが第2検出基準値TH2よりも小さい場合、すなわち指Fg等の被検出体のタッチ検出が無い場合(ステップST16、No)、第2演算回路72は、指Fg等の被検出体の位置を省略する。第1演算回路71及び第2演算回路72は、演算結果(入力支援装置検出情報KD、タッチ検出情報TD)をホストIC100に出力して、1フレームの検出を終了する。
【0097】
なお、
図12に示した検出方法はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、ステップST12とステップST13の順番は逆であってもよい。この場合、検出回路55、第2演算回路72及び第1演算回路71の順に直列に接続される。すなわち、第2演算回路72が検出回路55から出力信号Voを受け取り、第1演算回路71が第2演算回路72から出力信号Voを受け取ってもよい。また、ステップST14、ST15と、ステップST16、ST17の順番も逆であってもよい。
【0098】
以上説明したように、入力検出システム1は、検出領域(表示領域DA)に配列された複数の電極(複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rx)と、複数の電極(複数の駆動電極Tx)に検出駆動信号VDを供給する駆動信号供給回路56と、複数の電極(複数の検出電極Rx)からの信号(検出信号Vdet)を検出する検出回路55と、LC回路35と、LC回路35に接続され、複数の電極(複数の駆動電極Tx)とそれぞれ重なって配置される第1電極31及び第2電極32と、を含む入力支援装置3と、検出回路55から出力された出力信号Voに基づいて、入力支援装置3を検出する第1演算回路71と、出力信号Voに基づいて、入力支援装置3とは異なる被検出体を検出する第2演算回路72と、を有する。
【0099】
検出回路55は、第1演算回路71に接続され、第1演算回路71は、第2演算回路72に接続され、出力信号Voは、検出回路55から第1演算回路71に出力され、第1演算回路71から第2演算回路72に出力される。
【0100】
これによれば、入力検出システム1は、共通の出力信号Voに基づいて、第1演算回路71及び第2演算回路72のそれぞれで入力支援装置3及び入力支援装置3とは異なる例えば指Fg等の被検出体を検出することができる。つまり、駆動信号供給回路56は、一定の周波数の検出駆動信号VDで駆動することができ、被検出体の種類ごとに、検出駆動信号VDの周波数をLC回路35の共振周波数と、非共振周波数とに分けて駆動する必要がない。
【0101】
したがって、入力検出システム1は、検出駆動信号VDの周波数を被検出体ごとに変える駆動に比べて、1検出フレームの検出に要する時間を短くすることができる。言い換えると、入力検出システム1は、検出駆動信号VDの周波数を被検出体ごとに変える駆動に比べて、検出のレポートレートの低下を抑制することができる。なお、検出のレポートレートとは、検出領域全体の複数の駆動電極Txを走査する1検出フレームを繰り返し実行する周波数である。
【0102】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係る入力検出システムにおける、検出ICの構成例を模式的に示すブロック図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0103】
上述した第1実施形態では、検出回路55、第1演算回路71及び第2演算回路72は、シリアル接続されていたが、これに限定されない。
図13に示すように、第2実施形態の入力検出システム1Aでは、第1演算回路71及び第2演算回路72は、検出回路55にパラレル接続されている。検出回路55は、第1演算回路71及び第2演算回路72に接続され、出力信号Voは、検出回路55から第1演算回路71及び第2演算回路72のそれぞれに出力される。
【0104】
図14は、第2実施形態に係る入力検出システムの検出方法を説明するためのフローチャートである。なお、
図14に示すステップST11からステップST17は、
図12に示したステップST11からステップST17と同様である。
【0105】
図14に示すように、第1演算回路71及び判定回路73は、検出回路55から受け取った出力信号Voに基づいて、ステップST12、ST14、ST15を実行し入力支援装置3の検出を行う。これに並行して、第2演算回路72及び判定回路73は、検出回路55から受け取った出力信号Voに基づいて、ステップST13、ST16、ST17を実行し指Fg等の被検出体の検出を行う。
【0106】
なお、ステップST12、ST14、ST15と、ステップST13、ST16、ST17とは、互いに独立して行う場合に限定されず、適宜必要に応じて相互に情報のやりとりを行ってもよい。例えば、第1実施形態と同様に、第1演算回路71は、入力支援装置3の位置等の情報を、第2演算回路72に送信してもよい。あるいは、第2演算回路72は、指Fg等の被検出体の位置情報を第1演算回路71に送信してもよい。
【0107】
以上のように、第2実施形態では、第1演算回路71及び第2演算回路72は、共通の出力信号Voに基づいて、
図10、
図11にて上述した演算を並行して実行できる。したがって、第2実施形態の入力検出システム1Aでは、第1実施形態に比べて、入力支援装置3の検出及び指Fg等の被検出体の検出に要する時間を短縮することができる。
【0108】
(第3実施形態)
図15は、第3実施形態に係る入力検出システムにおける、第1演算回路の演算方法を説明するための説明図である。上述した第1実施形態では、第1演算回路71は、正符号の第1フィルタFL1-pと、負符号の第1フィルタFL1-mとを用いて、複数の検出値RGの差分値VNを演算したが、これに限定されない。
【0109】
図15に示すように、第3実施形態に係る入力検出システム1Bにおいて、第1演算回路71は、記憶回路74から1つの第1フィルタFL1を含む第1テーブル81を受け取る。第1フィルタFL1が有する複数のフィルタ値F
1、F
2、・・・、F
nは、いずれも同じ極性(正符号)の値である。
【0110】
第1演算回路71は、2つの検出値RGを差分して得られる差分データQ
1、Q
2、Q
3、・・・、Q
n-1を演算する。
図15に示す例では、複数の差分データQ
1、Q
2、Q
3、・・・、Q
n-1は、隣接する2つの検出値RGの差分により得られた値である。また、複数の差分データQ
1、Q
2、Q
3、・・・、Q
n-1は、異なる検出値RGの組み合わせで演算されている。具体的には、差分データQ
1は、Q
1=R
2-R
1で表される。以下、同様に、差分データQ
2は、Q
2=R
3-R
2、差分データQ
3は、Q
3=R
4-R
3、差分データQ
n-1は、Q
n-1=R
n-R
n-1と表される。複数の差分データQ
1、Q
2、Q
3、・・・、Q
n-1は、検出値RGの数よりも少なく、例えば(n-1)個である。
【0111】
第1演算回路71は、複数の差分データQ1、Q2、Q3、・・・、Qn-1と、第1テーブル81の第1フィルタFL1(複数のフィルタ値F1、F2、・・・、Fn-1)とを掛け合わせる。複数のフィルタ値F1、F2、・・・、Fn-1の数は、(n-1)個である。第1演算回路71は、これらの値を合計して差分値VN=-R1F1+R2(F1-F2)+R3(F2-F3)+・・・+RnFn-1を演算する。
【0112】
本実施形態では、複数の差分データQ1、Q2、Q3、・・・、Qn-1のそれぞれは、等しい期間で隣接する検出値RGの差分であり、複数の検出値RGの傾きを表しているともいえる。すなわち、複数の検出値RGの傾きが所定の基準値よりも大きい場合に、判定回路73は、入力支援装置3の検出が有ると判定し、複数の検出値RGの傾きが所定の基準値よりも小さい場合に、判定回路73は、入力支援装置3の検出が無いと判定できる。
【0113】
あるいは、第1演算回路71は、検出値R
nを含まない(n-1)個の検出値R
1、R
2、R
3、・・・、R
n-1と、複数のフィルタ値F
1、F
2、・・・、F
n-1と、を掛け合わせた値VN1(=R
1F
1+R
2F
2+R
3F
3・・・+R
n-1F
n-1)を演算する。また、第1演算回路71は、検出値R
1を含まない(n-1)個の検出値R
2、R
3、R
4、・・・、R
nと、複数のフィルタ値F
1、F
2、・・・、F
n-1と、を掛け合わせた値VN2(=R
2F
1+R
3F
2+R
4F
3・・・+R
nF
n-1)を演算する。値VN1と値VN2との差分(VN2-VN1)は、
図15に示す差分データQ
1、Q
2、Q
3、・・・、Q
n-1に基づく差分値VNと等価である。言い換えると、第1実施形態(
図10)において、前半の検出値RG1として検出値R
1、R
2、R
3、・・・、R
n-1を選択し、後半の検出値RG2として検出値R
2、R
3、R
4、・・・、R
nを選択した場合と等価になる。
【0114】
本実施形態では、上述した第1実施形態に比べて、第1演算回路71は1つの第1フィルタFL1で差分値VNを演算できる。また、第1フィルタFL1は、第2演算回路72が用いる第2フィルタFL2と共用できる。すなわち、1つの第1フィルタFL1(又は第2フィルタFL2)で、第1演算回路71による入力支援装置3の検出と、第2演算回路72による指Fg等の被検出体の検出を行うことができる。
【0115】
第3実施形態の第1演算回路71の演算方法は、上述した第1実施形態における検出回路55、第1演算回路71及び第2演算回路72がシリアル接続された構成に適用してもよいし、第2実施形態の第1演算回路71及び第2演算回路72がパラレル接続された構成に適用してもよい。
【0116】
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態に係る入力検出システムにおける、検出ICの構成例を模式的に示すブロック図である。
図16に示すように、第4実施形態に係る入力検出システム1Cでは、検出IC51は、フィッティング処理回路77を有する。また、検出IC51は、上述した第1演算回路71及び第2演算回路72に換えて、演算回路70を有する。
【0117】
フィッティング処理回路77は、検出回路55から出力された出力信号Voが有する複数の検出値RGと、時間との関係をフィッティングして近似式を演算する回路である。本実施形態では、出力信号Voが有する複数の検出値RGは、順次、検出回路55から記憶回路74の出力信号記憶領域83に格納される。所定の数の検出値RG(例えば検出値R1、R2、R3、・・・、Rn)が検出された後に、検出値RGは記憶回路74からフィッティング処理回路77に出力される。
【0118】
図17は、第4実施形態に係る入力検出システムにおける、フィッティング処理回路の演算方法を説明するための説明図である。フィッティング処理回路77は、複数の検出値RGを用いて、最小二乗法等により一次関数y=ax+bでフィッティングし、近似式の情報としてパラメータa、bを求める。ここで、yは、複数の検出値RGの電圧値に対応し、xは、時間に対応する。パラメータaは、複数の検出値RGと、時間との関係における、検出値RGの傾きを示し、パラメータbは検出値RGの切片を示す。
【0119】
フィッティング処理回路77は、複数の検出値RGにフィッティングすることで得られたパラメータa、bを検出値として演算回路70に出力する。判定回路73は、パラメータaと第1検出基準値TH1とを比較して、パラメータaが第1検出基準値TH1以上の場合に、入力支援装置3の検出が有ると判定する。また、判定回路73は、パラメータaが第1検出基準値TH1よりも小さい場合に、入力支援装置3の検出が無いと判定する。すなわち、判定回路73は、複数の検出値RGの傾きに基づいて、入力支援装置3の検出の有無を判定する。
【0120】
判定回路73は、パラメータbと第2検出基準値TH2とを比較して、パラメータbが第2検出基準値TH2以上、かつ、パラメータaが第1検出基準値TH1よりも小さい場合に、指Fg等の被検出体の検出が有ると判定する。また、判定回路73は、パラメータbが第2検出基準値TH2よりも小さい場合に、指Fg等の被検出体の検出が無いと判定する。すなわち、判定回路73は、複数の検出値RGの切片に基づいて、指Fg等の被検出体の検出の有無を判定する。
【0121】
演算回路70は、判定回路73での判定結果に基づいて、入力支援装置3の検出が有った場合に入力支援装置検出情報KDを演算し、指Fg等の被検出体の検出が有った場合にタッチ検出情報TDを演算する。
【0122】
本実施形態では、フィッティング処理回路77で検出されたパラメータa、bにより、入力支援装置3の検出及び指Fg等の被検出体の検出を行う例を説明した。ただし、これに限定されず、フィッティング処理回路77で検出されたパラメータa、bにより、入力支援装置3の検出を行い、指Fg等の被検出体の検出は、
図11に示した加算値VTを演算して判定してもよい。
【0123】
(第5実施形態)
図18は、第5実施形態に係る入力支援装置の構成を説明するための説明図である。
図18に示すように、第5実施形態に係る入力検出システム1Dでは、入力支援装置3のインダクタ34の抵抗成分38が直列に接続された構成について説明する。
【0124】
図19は、第5実施形態に係る入力検出システムにおける、第1演算回路の演算方法を説明するための説明図である。
図19に示すように、抵抗成分38の存在によって、出力信号Voの検出値RGが飽和する場合がある。出力信号Voは、複数の検出値RGと時間との関係において、複数の検出値RGが第1傾きで変化する線形領域と、第1傾きよりも小さい第2傾きを有する飽和領域とを有する。
図19では、線形領域は、例えば検出値R
1、R
2、R
3、・・・、R
kからなる領域である。飽和領域は、例えば検出値R
k+1、R
k+2、・・・、R
n-1、R
nからなる領域である。なお、kはnよりも小さい自然数である。なお、LC回路35のインピーダンス特性が既知の場合には、線形領域及び飽和領域の範囲をあらかじめ算出して記憶回路74に格納してもよい。
【0125】
上述した第3実施形態と同様に、第1演算回路71は、線形領域の検出値R1、R2、R3、・・・、Rk及び飽和領域の検出値Rk+1、Rk+2、・・・、Rn-1、Rnに亘って複数の差分データQ1、Q2、Q3、・・・、Qn-1を演算する。差分データQ1は、Q1=R2-R1、差分データQ2は、Q2=R3-R2、差分データQ3は、Q3=R4-R3、差分データQkは、Qk=Rk+1-Rk、差分データQk+1は、Qk+1=Rk+2-Rk+1、差分データQn-1は、Qn-1=Rn-Rn-1、と表される。
【0126】
第1演算回路71は、複数の差分データQ1、Q2、Q3、・・・、Qk、・・・、Qn-1と、第1テーブル81の第1フィルタFL1(複数のフィルタ値F1、F2、・・・、Fn-1)とを掛け合わせる。複数のフィルタ値F1、F2、・・・、Fn-1の数は、(n-1)個である。複数の検出値RGの第1演算回路71は、これらの値を合計して差分値VN=-R1F1+R2(F1-F2)+R3(F2-F3)+・・・+RnFn-1を演算する。
【0127】
本実施形態では、飽和領域の差分データQk+1、・・・、Qn-1は、それぞれ、線形領域の差分データQ1、Q2、Q3、・・・、Qkよりも小さい値となる。このため、出力信号Voが線形領域及び飽和領域を有する場合であっても、飽和領域の差分データQk+1、・・・、Qn-1の演算により、飽和領域の検出値Rk+1、Rk+2、・・・、Rn-1、Rnは実質的にキャンセルされる。したがって、第1フィルタFL1を掛け合わせて差分値VNを演算することで、第1演算回路71は、線形領域の検出値RGの傾きを良好に検出することができる。
【0128】
(第6実施形態)
図20は、第6実施形態に係る入力検出システムにおける、第1演算回路の演算方法を説明するための説明図である。
図20に示すように、第6実施形態に係る入力検出システム1Eでは、上述した第5実施形態に比べて、飽和領域の検出値R
k+1、R
k+2、・・・、R
n-1、R
nを演算に用いない点が異なる。
【0129】
すなわち、第1演算回路71は、線形領域の検出値R1、R2、R3、・・・、Rkの差分データQ1、Q2、Q3、・・・、Qk-1を演算する。第1演算回路71は、複数の差分データQ1、Q2、Q3、・・・、Qk-1と、第1テーブル81の第1フィルタFL1(複数のフィルタ値F1、F2、・・・、Fk-1とを掛け合わせる。本実施形態では、複数のフィルタ値F1、F2、・・・、Fk-1の数は、(k-1)個であり、出力信号Voの飽和領域の検出値Rk+1、Rk+2、・・・、Rn-1、Rnに対応するフィルタ値Fは有さない、すなわち、飽和領域の検出値Rk+1、Rk+2、・・・、Rn-1、Rnに対応するフィルタ値F=0である。複数の検出値RGの第1演算回路71は、これらの値を合計して差分値VN=-R1F1+R2(F1-F2)+R3(F2-F3)+・・・+RkFk-1を演算する。
【0130】
本実施形態では、出力信号Voが線形領域及び飽和領域を有する場合であっても、線形領域の検出値R1、R2、R3、・・・、Rkを用いて差分値VNを演算することで、第1演算回路71は、線形領域の検出値RGの傾きを良好に検出することができる。また、全ての検出値RGから差分データQを演算する場合に比べて、第1演算回路71は、演算量を抑制することができる。
【0131】
なお、第5実施形態及び第6実施形態では、差分データQを演算する例を示したが、これに限定されない。第1演算回路71は、線形領域及び飽和領域を有する出力信号Vo(検出値RG)に、第1実施形態と同様の演算方法を適用することができる。例えば、第1演算回路71は、飽和領域の検出値RGに正符号の第1フィルタFL1-pを掛け合わせ、線形領域の検出値RGに負符号の第1フィルタFL1-mを掛け合わせる演算を行ってもよい。あるいは、第1演算回路71は、飽和領域の検出値RGと線形領域の検出値RGとで分けずに、2つの検出値RGのグループを任意に選択してもよい。
【0132】
(第7実施形態)
また、第5実施形態及び第6実施形態では、上述した第4実施形態の演算方法と組み合わせることも可能である。
図21は、第7実施形態に係る入力検出システムにおける、フィッティング処理回路の演算方法を説明するための説明図である。
図21に示す第7実施形態に係る入力検出システム1Fでは、第4実施形態(
図16)に係る入力検出システム1Cと同様に、検出IC51はフィッティング処理回路77を有している。
【0133】
フィッティング処理回路77は、線形領域及び飽和領域を有する出力信号Voの検出値RGを用いて、最小二乗法等により関数f(x、a)でフィッティングを行う。例えば、関数f(x、a)が一次関数の場合、関数f(x、a)=a
1x+a
0と表される。パラメータa
1は、複数の検出値RGと、時間との関係における、検出値RGの傾きを示し、パラメータa
0は検出値RGの切片を示すフィッティング処理回路77は、求められたパラメータa=(a
1、a
0)を演算回路70(
図16参照)に出力する。ただし、関数f(x、a)は二次関数、三次関数等でもよい。
【0134】
なお、第7実施形態において、上述した第6実施形態と同様に、フィッティング処理回路77は、線形領域の検出値R1、R2、R3、・・・、Rkを用いてフィッティングを行ってもよい。
【0135】
(第8実施形態)
上述した第1実施形態から第7実施形態では、駆動電極Txと検出電極Rxとを有する相互静電容量方式のタッチセンサ21(表示装置2)上に入力支援装置3が配置される例を説明したが、これに限定されない。タッチセンサ21(表示装置2)は、自己静電容量方式(セルフ方式)であってもよい。
【0136】
図22は、第8実施形態に係る表示装置が有するアレイ基板を模式的に示す平面図である。
図22に示すように、第8実施形態に係る入力検出システム1Gにおいて、アレイ基板SUB1は、複数の検出電極DEを有する。複数の検出電極DEは、表示領域DAにマトリクス状に配置されている。
【0137】
センサ配線58は、検出電極DEのそれぞれに対応して設けられ、コンタクトホールCNを介して検出電極DEと接続される。複数のセンサ配線58は、それぞれ第2方向Dyに沿って延在し、第1方向Dxに配列される。センサ配線58及び画素信号線SLは、周辺領域BEに設けられた表示IC50に接続される。
【0138】
検出電極DEは、表示における共通電極と、入力支援装置3や指Fg等の被検出体を検出する駆動電極Tx及び検出電極Rxと、を兼ねる。また、表示IC50は、
図9等に示す検出IC51の機能を備えていてもよい。あるいは、表示IC50とは別に、検出IC51が設けられていてもよい。
【0139】
表示の際に、表示IC50は、表示駆動信号VCOMを検出電極DEに供給する。また、入力支援装置3や指Fg等の被検出体の検出では、表示IC50の駆動信号供給回路56は、複数のセンサ配線58を介して検出電極DEに検出駆動信号VDを供給する。検出電極DEは、検出電極DEの自己静電容量の変化及びLC回路35の共振に基づいて、複数のセンサ配線58を介して検出信号Vdetを出力する。表示IC50(又は検出IC51)は、検出信号Vdetを信号処理することで得られた複数の検出値RG(出力信号Vo)に基づいて、入力支援装置3や指Fg等の被検出体を検出する。
【0140】
なお、自己静電容量方式のタッチ検出では、タッチセンサ21は、全ての検出電極DEに検出駆動信号VDを供給して指Fg等の検出を行うことができる。一方、入力支援装置3の検出では、LC回路35の共振を発生させるように、複数の検出電極DEに順次検出駆動信号VDを供給する。
【0141】
図23は、第8実施形態に係る入力支援装置と複数の検出電極との配置関係を模式的に示す平面図である。なお、
図23では、検出駆動信号VDが供給される検出電極DEにハッチングを付けて示している。
図23に示すように、入力支援装置3は、複数の検出電極DEと重なって配置される。第1電極31は、複数の検出電極DEのうち少なくとも1つの検出電極DE(例えば、検出電極グループGDE4)と重なって配置される。また、第2電極32は、第1電極31が重なる検出電極DEとは異なる検出電極DE(例えば、検出電極グループGDE2)と重なって配置される。
【0142】
表示IC50は、第2方向Dyに並んで配置される複数の検出電極DE(例えば、検出電極グループGDE2)に、同時に検出駆動信号VDを供給する。表示IC50は、検出駆動信号VDが供給された検出電極DEと第1方向Dxに隣り合う検出電極DE(例えば、検出電極グループGDE1、GDE3、GDE4)には、同時に基準電位Vdcを供給する。
【0143】
ここで、4列の検出電極グループGDEをひとまとまりの検出電極ブロックBKとして、複数の検出電極ブロックBKは第1方向Dxに配列される。表示IC50は、第1方向Dxに配列される複数の検出電極ブロックBKのそれぞれで、同じパターンで検出駆動信号VDを供給する。検出電極グループGDE(n)、GDE(n+1)、GDE(n+2)、GDE(n+3)を有する検出電極ブロックBKmにおいて、表示IC50は、検出電極グループGDE(n)、GDE(n+1)、GDE(n+2)、GDE(n+3)に時分割的に検出駆動信号VDを供給する。
【0144】
これにより、入力支援装置3が複数の検出電極DEと重なって配置された場合に、第1電極31と重なる検出電極DE(例えば、検出電極グループGDE4)には、基準電位Vdcが供給され、第2電極32と重なる検出電極DE(例えば、検出電極グループGDE2)には、検出駆動信号VDが供給される。この結果、第2電極32は、LC回路35の共振を利用して、検出信号Vdetの振幅を大きくすることができる。
【0145】
なお、
図23に示す複数の検出電極DEの駆動方法はあくまで一例であり、検出駆動信号VDを供給する検出電極DEはどのような配列、順番、個数であってもよい。また、本実施形態においても、上述した第1実施形態から第7実施形態の検出方法及び演算方法を採用することができる。
【0146】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0147】
1、1A 入力検出システム
2 表示装置
21 タッチセンサ
3、3A、3B、3C 入力支援装置
10 第1基板
20 第2基板
30 ハウジング
31 第1電極
32 第2電極
35 LC回路
50 表示IC
51 検出IC
55 検出回路
56 駆動信号供給回路
70 演算回路
71 第1演算回路
72 第2演算回路
73 判定回路
74 記憶回路
75 カウンタ
77 フィッティング処理回路
100 ホストIC
Rx 検出電極
Tx 駆動電極
RG、RG1、RG2、R1、R2、R3、・・・、Rn、R2n 検出値
VN 差分値
Vo 出力信号
VT 加算値
TH1 第1検出基準値
TH2 第2検出基準値
FL1、FL1-p、FL1-m 第1フィルタ
FL2 第2フィルタ