(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063046
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】液体圧送装置および液体圧送装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
B28C 7/12 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
B28C7/12
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171360
(22)【出願日】2020-10-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】592131663
【氏名又は名称】井上商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井上 彪
(72)【発明者】
【氏名】井上 繁
(72)【発明者】
【氏名】小川 直也
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CB15
4G056CB17
4G056CD34
(57)【要約】
【課題】液体を高い精度で供給できる液体圧送装置を構成する。
【解決手段】貯留槽12に貯留された液体を圧送して吐出させる液体圧送装置であって、液体を圧送するポンプ18cと、貯留槽12と連通し、ポンプ18cで圧送された液体を流通させて吐出口18atから吐出させる吐出流路18aと、吐出流路18aの途中から分岐してポンプ18cで圧送された液体を貯留槽12に還流する還流流路18bと、還流流路18bの開閉と連携して液体が吐出口18atに流通する吐出流路18aを閉開する流路切換部18dと、流路切換部18dの作動を制御する制御部と、吐出口18atから吐出される液体の吐出量を設定する設定部と、を備えた。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留槽に貯留された液体を圧送して吐出させる液体圧送装置であって、
前記液体を圧送するポンプと、
前記貯留槽と連通し、前記ポンプで圧送された前記液体を流通させて吐出口から吐出させる吐出流路と、
前記吐出流路の途中から分岐して前記ポンプで圧送された前記液体を前記貯留槽に還流する還流流路と、
前記還流流路の開閉と連携して前記液体が前記吐出口に流通する前記吐出流路を閉開する流路切換部と、
前記流路切換部の作動を制御する制御部と、
前記吐出口から吐出される前記液体の吐出量を設定する設定部と、
を備えた液体圧送装置。
【請求項2】
前記吐出流路を流通する前記液体の流量を測定する流量センサをさらに備え、
前記流量センサは非接触で前記液体の流量を測定する請求項1に記載の液体圧送装置。
【請求項3】
前記液体はコンクリート製造用の混和剤又は水又は前記水と前記混和剤との混合液である請求項1又は2に記載の液体圧送装置。
【請求項4】
前記液体は水であり、
前記吐出口から吐出された前記水と混合される物質に予め含まれる前記水の含有量が入力される入力受付部とをさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部に入力された前記水の前記含有量を補正量に設定し、前記設定部で設定した前記水の吐出量から前記補正量を減じた量の前記水が前記吐出口から吐出される制御を行う請求項3に記載の液体圧送装置。
【請求項5】
前記液体は前記混合液であり、
前記吐出口から吐出された前記混合液と混合される物質に予め含まれる前記水の含有量が入力される入力受付部とをさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部に入力された前記水の前記含有量を補正量に設定し、前記設定部で設定した前記混合液の吐出量から前記補正量を減じた量の前記混合液が前記吐出口から吐出される制御を行う請求項3に記載の液体圧送装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の液体圧送装置の使用方法であって、
前記流路切換部を作動させて前記還流流路を開いた状態で前記ポンプを作動させて、前記貯留槽の前記液体を前記吐出流路から前記還流流路に流通させて前記貯留槽に還流させる還流ステップと、
前記還流ステップにおいて前記貯留槽に還流される前記液体の単位時間あたりの流量を測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定された流量が所定の範囲に含まれる状況で前記流路切換部を作動させて前記還流流路を閉じると共に前記吐出流路を開いて前記液体を前記吐出口から吐出させる吐出ステップとを含む液体圧送装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体圧送装置および液体圧送装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体圧送装置として、例えば、コンクリートの製造時にセメントに加えられる混和剤の供給装置として、以下に示す特許文献1,2に示される技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、コンクリートの混練の際に、ミキサーに対し骨材計量ホッパからの骨材と、セメント計量ホッパからのセメントと、水計量槽からの水とを供給する生コンクリート製造設備の技術が記載されている。この特許文献1には、生コンクリート製造設備ミキサ槽に対して薬剤ホッパーからの混和剤その他の添加剤(以下、混和剤等と略称する)を供給する流路を有しており、水計量槽の水に薬剤計量槽からの混和剤等を供給した後に、混和剤等を含む水をミキサーに供給する点が記載されている。
【0004】
この特許文献1の技術では、ホッパや槽の夫々に備えたロードセルで材料を計量する状態で、ホッパや槽に備えたシャッタや弁等を制御することでミキサーに対する材料の投入量を制御している。特に、混和剤等は、所望のものが計量されて薬剤計量槽に貯留した後に水計量槽に供給され、この後に、給水弁から水計量槽に水を供給するように順序が設定されている。
【0005】
特許文献2には、主材圧送ポンプと、混和剤供給ポンプと、主材の圧送量を計測する流量計と、混和剤の供給量を計測する流量計と、2つの流量計からのデータに基づいて演算処理するコンピュータを備えた混和剤の自動供給混合装置の技術が記載されている。
【0006】
この特許文献2の技術では、混和剤が供給される流路(実施例では急結剤供給管)に電磁弁を備えており、主材料と混和剤との混合比率が一定となるようにコンピュータが電磁弁と、主材圧送ポンプ(実施例ではコンクリート圧送ポンプ)と、混和剤供給ポンプ(実施例では急結剤供給ポンプ)とを制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-76070号公報
【特許文献2】特開平1-285310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
JIS(Japanese Industrial Standards )5308の規定に適合する生コンクリートを製造することを考えると、セメントと、骨材と、混和剤とを適正な比率で供給することが重要となる。特に、適正な量の混和剤の供給を考えると、特許文献1に記載される技術のようにホッパの重量に基づいて供給量を計測するものでは、液体の流れを直接的に現実に計測するものでないため、高精度での計測が困難となる。また、ホッパの振動の影響を受けることも想像でき計測誤差を招くことも考えられる。
【0009】
これに対して、特許文献2に記載される技術では、流量計を用いるため、例えば、混和剤を供給する場合にも、供給精度の向上が想像できるものの、例えば、ポンプの駆動直後のように流量計が配置され部位での液体の流れが乱れている場合には、流量計で計測される流量の誤差が含まれることも想像でき、改善が望まれる。
【0010】
また、液体を高い精度で計測して供給する技術は、コンクリートの製造時における混和剤の量を管理する場合の他に、例えば、食品の製造ラインにおいて調味料や、水などを供給する工程においても供給量の高精度な管理を必要とするものである。
【0011】
このような理由から、液体を高い精度で供給できる液体圧送装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る液体圧送装置の特徴構成は、貯留槽に貯留された液体を圧送して吐出させる液体圧送装置であって、前記液体を圧送するポンプと、前記貯留槽と連通し、前記ポンプで圧送された前記液体を流通させて吐出口から吐出させる吐出流路と、前記吐出流路の途中から分岐して前記ポンプで圧送された前記液体を前記貯留槽に還流する還流流路と、前記還流流路の開閉と連携して前記液体が前記吐出口に流通する前記吐出流路を閉開する流路切換部と、前記流路切換部の作動を制御する制御部と、前記吐出口から吐出される前記液体の吐出量を設定する設定部と、を備えている点にある。
【0013】
この特徴構成によると、制御部での制御により、吐出流路の吐出口に液体が流れない状態で、還流流路を開放し、ポンプにより液体を圧送することにより、貯留槽に貯留された液体が吐出流路と還流流路とを流れた後に貯留槽に戻すように還流させることが可能となる。また、このように液体が還流させることで流路に流れる液体の流速や、単位時間あたりの流量を安定させることが可能となり、流量が安定した後に制御部が吐出流路の吐出口を開放し、これと同時に還流流路を閉じることで、設定部で設定された吐出量の液体を吐出口から吐出させることも可能となる。
従って、液体を高い精度で供給できる液体圧送装置が構成された。
【0014】
上記構成に加えた構成として、前記吐出流路を流通する前記液体の流量を測定する流量センサをさらに備え、前記流量センサは非接触で前記液体の流量を測定しても良い。
【0015】
例えば、液体に羽根車を接触させて流量を測定する接触式の流量センサでは、流量を測定する際に羽根車の抵抗により液体の流量が変化してしまう。しかし、本構成によると、吐出流路に流れる液体の流量を非接触の流量センサで測定することで、流量が変化することなく吐出口から吐出する液体の流量を測定できる。特に、貯留槽に貯留された液体を吐出流路と還流流路とに還流させ、液体の流速や、単位時間あたりの流量が安定した状態で吐出口から液体を吐出させる際に、流量センサでの測定結果に基づいて流路切換部を制御することにより吐出口から吐出される液体の量の精度を高めることが可能となる。
【0016】
上記構成に加えた構成として、前記液体はコンクリート製造用の混和剤又は水又は前記水と前記混和剤との混合液であっても良い。
【0017】
これによると、コンクリートを製造する際に、コンクリートを製造するための混和剤、水、混和剤と水との混合液の何れであっても、高い精度で供給量を制御することが可能となり、必要とする品質のコンクリートを製造できる。
【0018】
上記構成に加えた構成として、前記液体は水であり、前記吐出口から吐出された前記水と混合される物質に予め含まれる前記水の含有量が入力される入力受付部とをさらに備え、前記制御部は、前記入力受付部に入力された前記水の前記含有量を補正量に設定し、前記設定部で設定した前記水の吐出量から前記補正量を減じた量の前記水が前記吐出口から吐出される制御を行っても良い。
【0019】
これによると、吐出口から吐出された水と混合される物質に予め含まれる水の含有量を入力受付部から入力しておくことにより、制御部は、入力受付部で入力された水の含有量を補正値に設定し、吐出部から水を供給する際に制御部が、補正値を減じた量の水を吐出させることにより、コンクリートの製造時に過剰な量の水が供給されることがない。
【0020】
上記構成に加えた構成として、前記液体は前記混合液であり、前記吐出口から吐出された前記混合液と混合される物質に予め含まれる前記水の含有量が入力される入力受付部とをさらに備え、前記制御部は、前記入力受付部に入力された前記水の前記含有量を補正量に設定し、前記設定部で設定した前記混合液の吐出量から前記補正量を減じた量の前記混合液が前記吐出口から吐出される制御を行っても良い。
【0021】
これによると、吐出口から吐出された水と混合される混合液に予め含まれる水の含有量を入力受付部から入力しておくことにより、制御部は、入力受付部で入力された水の含有量を補正値に設定し、吐出部から水を供給する際に制御部が、補正値を減じた量の水を吐出させることにより、コンクリートの製造時に過剰な量の水が供給されることがない。
【0022】
上記の何れかに記載された液体圧送装置の使用方法として、
前記流路切換部を作動させて前記還流流路を開いた状態で前記ポンプを作動させて、前記貯留槽の前記液体を前記吐出流路から前記還流流路に流通させて前記貯留槽に還流させる還流ステップと、前記還流ステップにおいて前記貯留槽に還流される前記液体の単位時間あたりの流量を測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定された流量が所定の範囲に含まれる状況で前記流路切換部を作動させて前記還流流路を閉じると共に前記吐出流路を開いて前記液体を前記吐出口から吐出させる吐出ステップとを含んでも良い。
【0023】
これによると、流路切換部の作動により還流流路を開き、吐出流路の吐出口を閉じた状態でポンプを作動させることにより、貯留槽の液体を吐出流路から還流流路に送る形態で還流させる還流ステップが実行される。この還流ステップにおいて貯留槽に還流される液体の単位時間あたりの流量を測定する測定ステップを実行し、この測定ステップで測定された流量が所定の範囲に含まれる状況で流路切換部の作動で還流流路を閉じると共に、吐出口を開放する吐出ステップを実行することで、液体の流量を高精度で制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】コンクリート混練装置の構成の全体を示す側面図である。
【
図3】液剤供給部の制御系のブロック回路図である。
【
図4】パッキングプラントの構成を示すブロック図である。
【
図5】主流路とリターン流路との間での混和剤の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔コンクリート混練装置〕
図1に示すように、複数の脚部1で支持されるメインフレーム2に対し、混練部3と、クレーン4と、油圧ユニット5と、発電部6と、コンプレッサー7とを備えると共に、地面に液剤供給部10を設置して移動式のコンクリート混練装置Aが構成されている。
【0026】
このコンクリート混練装置Aは、コンクリートの打設現場に設置され、
図1に示すように、混練部3に骨材プレパックPaに収容された骨材20(
図4を参照)と、セメントプレパックPbに収容されたセメントとを投入し、液剤供給部10から水と混和剤との混合液を、供給ホース14を介して投入し、混練部3の駆動回転による混練によりコンクリートの製造を可能にするものである。
【0027】
混練部3は、上端側が開放する筒状で内面に撹拌板を設けたミキサ3aを有し、このミキサ3aの上端近傍にミキサ3aの内部へのコンクリート材料の投入を案内するホッパー3bを備え、この近傍に作業者の搭乗が可能なステップ3cを備えている。尚、ミキサ3aは、中心となる駆動軸芯を傾斜させた姿勢でメインフレーム2に対して回転自在に設置され、電動モータ等のアクチュエータ(図示せず)により駆動回転される。また、混練部3は、ミキサ3aの傾斜姿勢(駆動軸芯の傾斜姿勢)制御するため、コンプレッサー7から供給される圧縮エアーによって作動するエアーシリンダ3dを備えている。
【0028】
クレーン4は、伸縮型のジブ4aの先端にワイヤでの吊り下げ位置の調節が可能なフック4bを有し、ジブ角(傾斜角)を設定する油圧シリンダ4cと、縦軸芯(図示せず)を中心にクレーン4の旋回を可能にする電動モータ等のアクチュエータ(図示せず)を備えている。
【0029】
油圧ユニット5は、複数の脚部1の出退作動や、油圧シリンダ4cの作動のために作動油を供給し、発電部6は、ミキサ3aの駆動回転等に必要な電力、コンクリート混練装置Aで必要とする電力、液剤供給部10で必要とする電力を供給する。
【0030】
このコンクリート混練装置Aは、トラック等の車両の荷台に積載した状態で現場まで搬送され、脚部1を接地させることでメインフレーム2を地面から所定量だけ持ち上げた状態で地面上に設置される。このような設置を可能にするため複数の脚部1はアウトリガー型に構成されている。また、この設置と共にメインフレーム2の近傍に液剤供給部10が地面に配置される。
【0031】
骨材プレパックPaは、上部が開放し底部に開放可能な排出口(図示せず)が形成された袋体8に設定量の粗骨材と設定量の細骨材とを収容したものである。これと同様に、セメントプレパックPbは、上部が開放し底部に開放可能な排出口(図示せず)が形成された袋体8に設定量のセメントを収容したものである。
【0032】
必要とする性能のコンクリートを製造する場合には、性能に対応したセメントの量と、骨材の量(粗骨材と細骨材との量)と、水の量と、混和剤の量とが個別に設定され、この設定に基づく量の骨材が収容される骨材プレパックPaと、この設定に基づく量のセメントが収容されるセメントプレパックPbが予め製造される。また、現場の液剤供給部10において水と混和剤の混合液とが製造され、供給ホース14を介して混練部3(ミキサ3a)に投入される。
【0033】
特に、JIS(Japanese Industrial Standards )5308の品質規格に準拠したコンクリートを製造する場合には、セメント質量に対する水の質量比と、セメント質量に対する混和剤の質量比とは同様に厳しい値に管理する必要がある。この品質規格では、混和剤の質量と比較して水の質量が大きいため、水の管理は従来からのセンサや、ポンプを用いる等、供給量の管理は比較的容易に行えるものの、混和剤の管理は困難である。
【0034】
このような理由から、混和剤の供給量を高精度で管理できるように液剤供給部10において、水と混和剤とを高い精度で混合する制御が行われる。以下に液剤供給部10の詳細を説明する。
【0035】
〔液剤供給部〕
図1~3、
図5に示すように、液剤供給部10は、1つの貯水槽11と、2つの薬剤槽12(貯留槽の一例)と、1つの混合槽13と、供給制御装置31(制御部の一例)とを備えている。この液剤供給部10は、供給制御装置31の制御により、貯水槽11からの水と、薬剤槽12からの混和剤とを混合槽13に供給して混合槽13において水と混和剤との混合液を作り出し、この後に、混合槽13の混合液の全量を、供給ホース14により混練部3のミキサ3aに供給する。
【0036】
混合槽13は、密封型の圧力容器として構成されるものであり、この混合槽13の底部に供給ホース14が接続され、電動型のエアーブロア15で加圧された空気を供給する圧縮空気流路15aが内部空間に接続されている。
【0037】
液剤供給部10は、貯水槽11の水を混合槽13に供給する水供給ユニット17と、薬剤槽12の混和剤を混合槽13に供給する混和剤供給ユニット18(液体圧送装置の一例)とを備えている。2つの薬剤槽12には異なる種類の混和剤が貯留され、夫々の薬剤槽12に貯留された混和剤を混合槽13に個別に供給する2つの混和剤供給ユニット18の構成は共通している。
【0038】
尚、2つの混和剤供給ユニット18の構成が共通するため、図面に示される流路の複雑化を避けるため、
図2では2つの混和剤供給ユニット18を分離して示している。
【0039】
水供給ユニット17は、ホースや管路で構成される水供給路17aと、水を送り出す電動型の水供給ポンプ17bと、水供給路17aの水の流れを制御する空気圧制御型の開閉弁17cと、非接触型の水量センサ17sとを備えている。
【0040】
特に、非接触型の水量センサ17sは、水供給路17aの外部から水に接触することなく水供給路17aの流量の測定を可能にするものが用いられている。尚、開閉弁17cは電流の給排により開閉作動する電磁型のものを用いても良い。
【0041】
図2に示すように、混和剤供給ユニット18は、薬剤槽12の底部からの混和剤(液体の一例)を混合槽13に供給する主流路18a(吐出流路の一例)と、この主流路18aのうち混合槽13の近傍位置から分岐して混和剤を薬剤槽12の上部に戻すリターン流路18b(還流流路の一例)とを備えている。
【0042】
更に、混和剤供給ユニット18は、主流路18aに混和剤を送る電動型の薬剤ポンプ18c(ポンプの一例)と、主流路18aに流れる混和剤の流量を測定する非接触型の混和剤量センサ18s(流量センサの一例)と、主流路18aのうちリターン流路18bが接続する位置より混合槽13に近い流路に混和剤の流れを制御する空気圧制御型の第1開閉弁18d(流路切換部の一例)と、リターン流路18bのうち主流路18aに接続する位置の近傍に混和剤の流れを制御する空気圧制御型の第2開閉弁18e(流路切換部の一例)とを備えている。この構成では、主流路18aのうち混合槽13の内部に挿入された部位が吐出口18atとなる。
【0043】
特に、混和剤量センサ18sは、主流路18aに流れる混和剤に接触することなく、流量の測定を可能にするものが用いられている。尚、第1開閉弁18dと第2開閉弁18eとは電流の給排により開閉作動する電磁式のものを用いても良い。
【0044】
〔液剤供給部:供給制御部〕
図1および
図3に示すように、供給制御装置31は、情報処理を可能にするマイクロプロセッサ等を有し、作業者が情報を入力するためのタッチパネル型の入力端末31a(設定部の一例)を備え、データカード27の情報を読み取るコードリーダ32(入力受付部)を備えている。
【0045】
図3に示すように供給制御装置31は、水供給ポンプ17bと、開閉弁17cとを制御する制御情報を出力し、水量センサ17sの測定情報を取得する。更に、供給制御装置31は、2つの混和剤供給ユニット18の夫々に対応する2つの薬剤ポンプ18cと、2つの第1開閉弁18dと、2つの第2開閉弁18eとを制御する制御信号を出力し、2つの混和剤量センサ18sの測定情報を取得する。尚、
図3には、2つの混和剤供給ユニット18のうち、一方を構成する薬剤ポンプ18cと、第1開閉弁18dと、第2開閉弁18eと、混和剤量センサ18sとに対する信号系のみを示している。
【0046】
〔骨材プレパックの製造〕
骨材プレパックPaを製造するパッキングプラントBの一例を
図4に示している。骨材プレパックPaに用いられる袋体8は、布材やシート材等を袋状に成形したものが用いられ、上部に吊り上げ用のベルト8aを備えている。目標とする量の骨材20が投入された袋体8を骨材プレパックPa(
図1を参照)と称しており、袋体8に骨材20を投入する工程を、骨材プレパックPaの製造と称している。
【0047】
図4に示すように、パッキングプラントBは、骨材20を貯留する骨材ホッパー21と、骨材ホッパー21から供給される骨材20を斜め上方に搬送し、搬送終端位置で袋体8に骨材20を投入するベルトコンベア装置22と、ベルトコンベア装置22の搬送終端位置において袋体8に投入した骨材の重量を測定する重量センサ23と、骨材20の表面水の水量を測定する表面水センサ24とを備えている。
【0048】
重量センサ23は、袋体8の底部を支持するプレートの上下変位から重量を測定する構成であり、例えば、ひずみを検出する検出素子を用いたロードセル等が用いられている。また、表面水センサ24はマイクロ波が水分で減衰する現象を電気的に測定することで水分量を取得できるものが用いられている。
【0049】
このパッキングプラントBでは、袋体8から水分の蒸発や外部からの水の浸入を防止するため、袋体8の内部にビニル袋のように水が透過しない樹脂袋9を配置し、この袋状の樹脂袋9に骨材20が投入される。
【0050】
このパッキングプラントBには、重量センサ23と、表面水センサ24との測定信号を取得し、骨材ホッパー21の下部に開閉するシャッタ(図示せず)、及び、ベルトコンベア装置22を制御するプラント制御装置25とを備えている。プラント制御装置25はタッチパネル型の入力部25aを備え、プリンタ26を制御する。
【0051】
プラント制御装置25は、情報処理を可能にするマイクロプロセッサ等を有している。尚、このプラント制御装置25として、モニタとキーボードとを有する市販のパーソナルコンピュータを用いることも可能である。
【0052】
プラント制御装置25は、骨材の品種、配合No、バッチNo、投入された骨材20の重量(Kg)の情報等を、入力部25aから入力した後に、ベルトコンベア装置22を駆動し骨材20の投入が開始される。
【0053】
そして、骨材20を投入する際には、骨材ホッパー21から送り出される骨材20の水分率が表面水センサ24で測定される。プラント制御装置25は、測定された水分率に基づき、骨材20に付着した水の重量を算出し、重量センサ23による測定値が骨材20の投入目標とする重量に骨材20に付着した水分の総重量を加算した重量に到達するまで骨材20の投入が行われる。これにより、骨材20に含まれる水分量に拘わらず、骨材プレパックPaには目標とする重量の骨材20が供給される。
【0054】
このように袋体8に骨材20を投入した後に、袋体8の開口を閉じることにより骨材プレパックPaの製造が完了する。このパッキングプラントBでは、骨材の品種、配合No、バッチNo、骨材20の重量(Kg)の情報、製造年月日の情報の他に、骨材20の水分率の情報がQRコード化され(QRコードは登録商標)プリンタ26でデータカード27にプリントされ、骨材プレパックPaの外面に貼着される。
【0055】
尚、データカード27に印刷される情報は、バーコードであっても良い。また、データカード27として、磁気情報を記憶し、磁気式のリーダで情報を読み出せる磁気カードや、EEPROM等の半導体型の記憶素子を内蔵し非接触で情報のアクセスが可能なカードを用い得ることも可能である。
【0056】
セメントプレパックPbは、前述したパッキングプラントBと同様のプラントにおいて袋体8に対して、目標量(重量)のセメントが投入され袋体8の開口が閉じられたものである。
【0057】
〔混練制御〕
コンクリートを製造する場合には、
図1に示すように、クレーン4によって骨材プレパックPaとセメントプレパックPbとを吊り上げ、混練部3のホッパー3bの上方で、作業者が夫々のパックの底部の排出口を人為的に開放してミキサ3aに骨材20と、セメントとが投入される。
【0058】
また、液剤供給部10から水と混和剤との混合液が、供給ホース14を介してミキサ3aに投入され、ミキサ3aの駆動回転により混練が行われる。
【0059】
このようにコンクリートを製造する場合には、
図6のフローチャートに示すように、供給制御装置31の入力端末31aからコンクリートの製造に必要な情報を設定し、供給制御装置31において供給制御が実行される。
【0060】
つまり、供給制御装置31は、入力端末31aに人為的に入力された情報に基づいて混練部3に供給すべき水量と2種の混和剤量との情報(供給量情報)を取得し、コードリーダ32でデータカード27の情報を取得する(#101、#102ステップ)。
【0061】
尚、データカード27に、混練部3に供給すべき水量の情報(供給量情報)記憶しておくことが可能であるため、この供給制御において供給量情報をデータカード27からコードリーダ32で取得するように制御形態を設定することも可能である。
【0062】
また、骨材プレパックPaのデータカード27からコードリーダ32で取得した情報には、骨材プレパックPaの骨材20の水分率が含まれるため、取得した情報に基づく演算により骨材20に付着した水分量(含有水分量、水分の総重量)が算出され、コンクリートの製造に必要な水量から、データカード27から読み取った水分量(補正値)を減じた値を演算し、この値を目標供給水量として設定する(#103ステップ)。
【0063】
そして、水供給ユニット17において水供給ポンプ17bを駆動し開閉弁17cを開放し、水量センサ17sで測定される水量が目標供給水量に達するまで、貯水槽11の水が混合槽13に供給される(#104ステップ)。
【0064】
この供給制御では、コンクリートの製造に必要な混和剤の供給量が目標供給混和剤量に設定され、混和剤供給ユニット18の制御により、薬剤槽12の混和剤が混合槽13に供給される(#105ステップ、#200ステップ)。#200ステップは
図7に示すサブルーチンとしてセットされている。また、目標供給混和剤量は、2つの混和剤供給ユニット18において個別に値が設定される。
【0065】
混合槽13に2種の混和剤が供給された後に、エアーブロア15の圧縮空気を、圧縮空気流路15aを介して混合槽13に供給することで混合槽13に供給された水と2種の混和剤との混合液が供給ホース14を介して混練部3のミキサ3aに供給される。
【0066】
このように水と混和剤との混合液がミキサ3aに供給され、この混合液と、骨材20と、セメントとが混練され、コンクリートが製造される。
【0067】
#200ステップの薬剤供給ルーチンは、混和剤供給ユニット18(液体圧送装置)の使用方法の具体例であり、この薬剤供給ルーチンでは、混和剤の供給量を高い精度で管理する。つまり、
図7に示すように、制御の初期において
図5に示す第1開閉弁18dを閉じ制御し、第2開閉弁18eを開放制御し、このように夫々の弁を制御した状態で薬剤ポンプ18cを設定速度で駆動することにより(#201、#202ステップ)、
図5に矢印で流動方向を示すように、薬剤槽12の混和剤を主流路18aからリターン流路18b(還流流路)に送り、この後に薬剤槽12に戻す環流が行われる。
【0068】
この還流が継続する際に、混和剤量センサ18sで主流路18aに流れる混和剤の単位時間あたりの流量の測定値を取得する処理が、繰り返して行われ、取得した複数の測定値のバラツキが小さくなり、取得した複数の測定値が所定の範囲に含まれて安定するのを待つ(#203、#204ステップ)。このように混和剤の環流を行う#201~#204ステップが環流ステップであり、この環流ステップのうち、#203、#204ステップが測定ステップとなる。
【0069】
この後、複数の測定値が所定の範囲に含まれてバラツキが小さくなり、単位時間あたりの流量が安定したことを判定した場合(#204ステップのYes)には、薬剤ポンプ18cの駆動を維持したまま、第1開閉弁18dの開放制御と、第2開閉弁18eの閉じ制御とを同時に行うことで主流路18aの吐出口18atから混和剤を混合槽13に供給する(#205ステップ)。この#205ステップが吐出ステップとなる。
【0070】
このように混和剤を混合槽13への供給を開始した場合には、主流路18aに流れる混和剤の流量を混和剤量センサ18sで測定し、測定値を供給制御装置31が積算することで流量の総流量を求め、総流量が目標供給混和剤量に達したか否かを判定する(#206、#207ステップ)。
【0071】
そして、総流量が目標供給混和剤量に達しない場合(#207ステップのNo)には、混和剤量センサ18sでの測定を継続し、測定された総流量が目標供給混和剤量に達した場合(#207ステップのYes)には、第1開閉弁18dを閉じ、薬剤ポンプ18cを停止して供給を停止する(#208ステップ)。
【0072】
この#200ステップの制御は、2つの混和剤供給ユニット18において個別に並行して実行される。このように構成することにより、短時間で高い流量精度で、短時間のうちに2種の混和剤を水に混合させることが可能となる。
【0073】
〔実施形態の作用効果〕
このように、コンクリート混練装置Aでコンクリートを製造する以前に、必要とする性能に対応する骨材量の骨材プレパックPaをパッキングプラントBで製造し、必要とする性能に対応するセメント量のセメントプレパックPbを製造しておく。このように骨材プレパックPaを製造する際に、ビニル袋等の樹脂袋9に骨材を投入するため、水分の蒸発や外部からの水の浸入を防止できる。これにより骨材プレパックPaの内部の水分量を維持できるため、コンクリートを製造する際にミキサ3aに供給される水分量の過不足を招くことなく、高い精度での水分管理を実現する。
【0074】
骨材プレパックPaを製造する場合には、骨材プレパックPaに収容される骨材20の表面水を測定し、水分率としてデータカード27にQRコード等でプリントし、骨材20を収容した骨材プレパックPaの外面に貼着するため、混練時に混練部3に供給する水量を、データカード27の情報に基づいて補正することで、混練部3に対して適正な水量の水の供給が可能となる。
【0075】
特に、混練部3に混和剤を供給する場合に、薬剤槽12と主流路18aとリターン流路18bとの間で混和剤を環流させ、このように混和剤を環流させる状況において混和剤量センサ18sで単位時間あたりの流量を測定し、この測定に基づいて流量が安定したことを確認した後に、混合槽13に混合剤を供給することで混和剤を高い精度での供給できる。その結果、JIS5308の品質規格を満たすコンクリートの製造を実現する。
【0076】
コンクリート混練装置Aでは、混和剤量センサ18sが非接触型であるため、例えば、液体に接触する翼体等の可動部材を用いるものと比較して液体の付着に測定精度の低下を抑制し、精度の高い測定を可能にする。
【0077】
混合槽13において水と混和剤とを混合して混合液を作り出し、空気圧によって混合槽13の混合液の全量を混練部3に供給するため、短時間に適正な量の混合液の供給を実現する。
【0078】
また、コンクリート混練装置Aは、製造したコンクリート毎に、セメント量、骨材量、混和剤の量を、バッチNo毎に履歴として管理用のプレパック等に保存することが可能であり、コンクリートが打設された後にもコンクリートの性能の確認が可能となる。
【0079】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0080】
(a)水供給ユニット17を、実施形態で説明した混和剤供給ユニット18の構成と同様に液体圧送装置として構成する。具体的には、吐出流路と還流流路との2つの流路(吐出流路と還流流路との一例)を形成し、2つの開閉弁(流路切換部の一例)を備え、ポンプ(水供給ポンプ17bの使用が可能)と、流量センサ(水量センサ17sの使用が可能)とを備え、流路切換部を制御する制御部を備える。
【0081】
この別実施形態(a)で水を混合槽13に供給する際には、水を環流させるように2つの開閉弁を設定した状態でポンプを駆動することで、流路と貯水槽11との間で水を環流させる。この水の環流が継続する際に流量センサで水量を測定し、測定した単位時間あたりの流量が安定した後に、2つの開閉弁の制御により流路を切り換えることで混合槽13に対する水の供給を開始し、流量センサで測定される水量が目標とする値に達した時点で供給を停止する制御を行うことになる。このような制御を行うことで、混合槽13に供給する水量の精度を高くする。
【0082】
(b)水と混和剤と混合液(液体の一例)を混練部3のミキサ3aに供給する構成を、実施形態で説明した混和剤供給ユニット18の構成と同様に液体圧送装置として構成する。具体的には、吐出流路と還流流路との2つの流路(吐出流路と還流流路との一例)を形成し、2つの開閉弁(流路切換部の一例)を備え、ポンプと、流量センサとを備え、流路切換部を制御する制御部を備える。尚、この別実施形態(b)では、例えば、吐出流路の吐出口をミキサ3aの上方に配置する等の流路の改善を必要とする。
【0083】
この別実施形態(b)で混合液をミキサ3aに供給する際には、混合液を環流させるように2つの開閉弁を設定した状態でポンプを駆動することで、流路と混合槽13との間で水を環流させる。この水の環流が継続する際に流量センサで水量を測定し、測定した単位時間あたりの流量が安定した後に、2つの開閉弁の制御により流路を切り換えることでミキサ3aに対する水の供給を開始し、流量センサで測定される水量が目標とする値に達した時点で供給を停止する制御を行うことになる。このような制御を行うことで、ミキサ3aに供給する水量の精度を高くする。
【0084】
(c)吐出流路と還流流路との2つの流路(吐出流路と還流流路との一例)を形成し、2つの開閉弁(流路切換部の一例)を備え、ポンプと、流量センサと、流路切換部を制御する制御部を備えた構成において、液体を還流する際に、例えば、時間制御だけ液体を還流させるように制御形態を設定する。このように制御形態を設定したものでは、液体を還流させる際に流量センサでの計測を必要としないものとなる。
【0085】
(d)液体圧送装置を、例えば、薬品を製造する際に設定量の液体の薬剤を送るための装置に用いることや、食品を製造する際に液状の調味料や水を設定量だけ送る装置等、セメントの製造以外に用いることが考えられる。このように液体圧送装置は、どのような液体であっても高い精度で供給料を設定することが可能となる。
【0086】
(e)第1開閉弁18dと、第2開閉弁18eとに代えて混和剤供給ユニット18に単一の三方弁を用いる。この三方弁は、流路切換部として機能するものであり、2つの開閉弁を制御するものと比較して、制御構成が単純し、開閉状態の切り換えもタイムラグを招くことなく確実に行える。
【0087】
(f)混合槽13に、水と混和剤とを混合するための撹拌機構を備える。つまり、混練部3に代えて、例えば、複数の撹拌板を回転させる構造のものを混練部として構成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、流体圧送装置および流体圧送装置の使用方法に利用できる。
【符号の説明】
【0089】
12 薬剤槽(貯留槽)
18 混和剤供給ユニット(液体圧送装置)
18a 主流路(吐出流路)
18b リターン流路(環流流路)
18c 薬剤ポンプ(ポンプ)
18d 第1開閉弁(流路切換部)
18s 混和剤量センサ(流量センサ)
31 供給制御部(制御部)
31a 入力端末(設定部)
32 コードリーダ(入力受付部)
【手続補正書】
【提出日】2021-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留槽に貯留された液体を圧送して吐出させる液体圧送装置であって、
前記液体を圧送するポンプと、
前記貯留槽と連通し、前記ポンプで圧送された前記液体を流通させて吐出口から吐出させる吐出流路と、
前記吐出流路の途中から分岐して前記ポンプで圧送された前記液体を前記貯留槽に還流する還流流路と、
前記還流流路の開閉と連携して前記液体が前記吐出口に流通する前記吐出流路を閉開する流路切換部と、
前記流路切換部の作動を制御する制御部と、
前記吐出口から吐出される前記液体の吐出量を設定する設定部と、
前記吐出流路を流通する前記液体の流量を測定する流量センサとを備え、
前記制御部は、前記流路切換部の制御により前記吐出口に前記液体が流れない状態で前記還流流路を開放し、前記ポンプを設定速度で駆動することで、前記貯留槽の前記液体を前記吐出流路と前記還流流路とに送った後に前記貯留槽に戻す還流を行い、
前記制御部は、前記還流が継続する際に、前記流量センサで前記液体の流量を繰り返して測定し、測定した複数の測定値が前記設定部で設定された吐出量に対して所定の範囲に含まれることにより前記液体の流量が安定した後に、前記ポンプの駆動を前記設定速度に維持したまま前記流路切換部の制御により前記吐出口を開放し、前記還流流路を閉じることで、前記吐出流路からの前記液体を前記所定の範囲内の流量で前記吐出口から吐出させる液体圧送装置。
【請求項2】
前記流量センサは非接触で前記液体の流量を測定する請求項1に記載の液体圧送装置。
【請求項3】
前記液体はコンクリート製造用の混和剤又は水又は前記水と前記混和剤との混合液である請求項1又は2に記載の液体圧送装置。
【請求項4】
前記液体は水であり、
前記吐出口から吐出された前記水と混合される物質に予め含まれる前記水の含有量が入力される入力受付部とをさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部に入力された前記水の前記含有量を補正量に設定し、前記設定部で設定した前記水の吐出量から前記補正量を減じた量の前記水が前記吐出口から吐出される制御を行う請求項3に記載の液体圧送装置。
【請求項5】
前記液体は前記混合液であり、
前記吐出口から吐出された前記混合液と混合される物質に予め含まれる前記水の含有量が入力される入力受付部とをさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部に入力された前記水の前記含有量を補正量に設定し、前記設定部で設定した前記混合液の吐出量から前記補正量を減じた量の前記混合液が前記吐出口から吐出される制御を行う請求項3に記載の液体圧送装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の液体圧送装置の使用方法であって、
前記流路切換部を作動させて前記還流流路を開いた状態で前記ポンプを設定速度で駆動させて、前記貯留槽の前記液体を前記吐出流路から前記還流流路に流通させて前記貯留槽に還流させる還流ステップと、
前記還流ステップにおいて前記貯留槽に還流される前記液体の単位時間あたりの流量を前記流量センサで測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定された流量が所定の範囲に含まれる状況で前記ポンプの駆動を前記設定速度に維持したまま前記流路切換部を作動させて前記還流流路を閉じると共に前記吐出流路を開いて前記液体を前記吐出口から吐出させる吐出ステップとを含む液体圧送装置の使用方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明に係る液体圧送装置の特徴構成は、貯留槽に貯留された液体を圧送して吐出させる液体圧送装置であって、前記液体を圧送するポンプと、前記貯留槽と連通し、前記ポンプで圧送された前記液体を流通させて吐出口から吐出させる吐出流路と、前記吐出流路の途中から分岐して前記ポンプで圧送された前記液体を前記貯留槽に還流する還流流路と、前記還流流路の開閉と連携して前記液体が前記吐出口に流通する前記吐出流路を閉開する流路切換部と、前記流路切換部の作動を制御する制御部と、前記吐出口から吐出される前記液体の吐出量を設定する設定部と、前記吐出流路を流通する前記液体の流量を測定する流量センサとを備え、前記制御部は、前記流路切換部の制御により前記吐出口に前記液体が流れない状態で前記還流流路を開放し、前記ポンプを設定速度で駆動することで、前記貯留槽の前記液体を前記吐出流路と前記還流流路とに送った後に前記貯留槽に戻す還流を行い、前記制御部は、前記還流が継続する際に、前記流量センサで前記液体の流量を繰り返して測定し、測定した複数の測定値が前記設定部で設定された吐出量に対して所定の範囲に含まれることにより前記液体の流量が安定した後に、前記ポンプの駆動を前記設定速度に維持したまま前記流路切換部の制御により前記吐出口を開放し、前記還流流路を閉じることで、前記吐出流路からの前記液体を前記所定の範囲内の流量で前記吐出口から吐出させる点にある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
この特徴構成によると、制御部での制御により、吐出流路の吐出口に液体が流れない状態で、還流流路を開放し、ポンプにより液体を圧送することにより、貯留槽に貯留された液体が吐出流路と還流流路とを流れた後に貯留槽に戻すように還流させることが可能となる。また、このように液体が還流させる際に流量センサで液体の流量を計測することで流路に流れる液体の流速や、単位時間あたりの流量を安定させることが可能となり、流量が安定した後に制御部が吐出流路の吐出口を開放し、これと同時に還流流路を閉じることで、設定部で設定された吐出量の液体を吐出口から吐出させることも可能となる。
従って、液体を高い精度で供給できる液体圧送装置が構成された。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上記構成に加えた構成として、前記流量センサは非接触で前記液体の流量を測定しても良い。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
上記の何れかに記載された液体圧送装置の使用方法として、
前記流路切換部を作動させて前記還流流路を開いた状態で前記ポンプを設定速度で駆動させて、前記貯留槽の前記液体を前記吐出流路から前記還流流路に流通させて前記貯留槽に還流させる還流ステップと、前記還流ステップにおいて前記貯留槽に還流される前記液体の単位時間あたりの流量を前記流量センサで測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定された流量が所定の範囲に含まれる状況で前記ポンプの駆動を前記設定速度に維持したまま前記流路切換部を作動させて前記還流流路を閉じると共に前記吐出流路を開いて前記液体を前記吐出口から吐出させる吐出ステップとを含んでも良い。