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特開2022-63119体腔液処理システム及び体腔液処理システムの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063119
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】体腔液処理システム及び体腔液処理システムの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
A61M1/00 190
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171494
(22)【出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000138037
【氏名又は名称】株式会社メテク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】幸田 真明
(72)【発明者】
【氏名】日野 真弓
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA20
4C077BB02
4C077BB10
4C077CC02
4C077HH12
4C077JJ04
4C077JJ12
4C077KK25
4C077KK27
(57)【要約】
【課題】濃縮器の圧力上昇を抑えて腹水処理システムが頻繁に停止することを抑制する。
【解決手段】腹水処理システム1は、濃縮器12と、濃縮器12の入口12aに接続された第1の送液ライン14と、濃縮器12の第1の出口12bに接続された第2の送液ライン15と、濃縮器12の第2の出口12c、12dに接続された第3の送液ライン16と、濃縮器12の一次側の空間40aにある濃縮腹水よりも蛋白質濃度の低い低濃度液Aを濃縮器12の入口12aから濃縮器12の一次側の空間40aに導入し、濃縮器12の一次側の空間40aにある濃縮腹水を濃縮器12の第1の出口12bから排出して、濃縮器12の一次側の空間40aにある液体の蛋白質濃度を下げる濃度低減動作を行う濃度低減手段100と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔液を処理する体腔液処理システムであって、
濃縮膜と、濃縮膜の一次側の空間に連通する入口及び第1の出口と、濃縮膜の二次側の空間に連通する第2の出口とを少なくとも有する濃縮器と、
濃縮器の入口に接続され、体腔液を濃縮器に供給する第1の送液ラインと、
濃縮器の第1の出口に接続され、濃縮膜により濃縮された濃縮体腔液を排出する第2の送液ラインと、
濃縮器の第2の出口に接続され、濃縮膜により体腔液から除去された排液を排出する第3の送液ラインと、
濃縮器の一次側の空間にある濃縮体腔液よりも蛋白質濃度の低い低濃度液を濃縮器の入口から濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある濃縮体腔液を濃縮器の第1の出口から排出して、濃縮器の一次側の空間にある液体の蛋白質濃度を下げる濃度低減動作を行う濃度低減手段と、を備える、体腔液処理システム。
【請求項2】
前記濃縮器の一次側の空間又は二次側の空間の少なくともいずれかの圧力を測定する圧力測定装置を、さらに備え、
前記濃度低減手段は、前記圧力測定装置による圧力測定結果に基づいて前記濃度低減動作を行うように構成されている、請求項1に記載の体腔液処理システム。
【請求項3】
前記濃度低減手段は、前記濃縮器の一次側の空間の略容積分の前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入するように構成されている、請求項1又は2に記載の体腔液処理システム。
【請求項4】
前記濃度低減手段は、前記低濃度液を体腔液処理時の体腔液の設定流量と同じかそれよりも小さい流量で前記濃縮器の一次側の空間に導入するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項5】
前記濃度低減手段は、前記第3の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項6】
前記濃度低減手段は、前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入するためのポンプを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項7】
前記濃度低減手段は、前記第1の送液ラインに直接的又は間接的に前記低濃度液を供給する供給手段を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項8】
前記供給手段は、前記低濃度液を収容する収容部と、前記収容部と前記第1の送液ラインを接続する供給ラインと、前記供給ラインを開閉する開閉手段とを有する、請求項7に記載の体腔液処理システム。
【請求項9】
濃縮器で濃縮される前に体腔液を濾過する濾過器を有し、
前記第1の送液ラインは、前記濾過器と前記濃縮器を接続しており、
前記低濃度液を前記第1の送液ラインを通じて前記濾過器に導入し、濾過器の濾過膜を洗浄する膜洗浄動作を実施し、
前記濃度低減動作は、前記膜洗浄動作の後に前記第1の送液ラインにある低濃度液を前記濃縮器に導入するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項10】
前記濃度低減手段は、前記濃縮器の一次側の空間に低濃度液を導入した後、体腔液を前記第1の送液ラインを通じて前記濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある前記低濃度液を前記濃縮器の二次側の空間に排出し前記第2の出口から前記第3の送液ラインに排出する排出動作を行うように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項11】
前記濃度低減手段は、前記第2の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記第3の送液ラインに排出するように構成されている、請求項10に記載の体腔液処理システム。
【請求項12】
前記濃度低減手段による濃度低減動作の後に、濃縮器による体腔液の濃縮処理を再開するように構成された、請求項1~11のいずれかに記載の体腔液処理システム。
【請求項13】
前記低濃度液は、生理食塩水である、請求項1~12のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項14】
体腔液を処理する体腔液処理システムの使用方法であって、
濃縮膜と、濃縮膜の一次側の空間に連通する入口及び第1の出口と、濃縮膜の二次側の空間に連通する第2の出口とを少なくとも有する濃縮器と、
濃縮器の入口に接続され、体腔液を濃縮器に供給する第1の送液ラインと、
濃縮器の第1の出口に接続され、濃縮膜により濃縮された濃縮体腔液を排出する第2の送液ラインと、
濃縮器の第2の出口に接続され、濃縮膜により体腔液から除去された排液を排出する第3の送液ラインと、を少なくとも備えた体腔液処理システムにおいて、
濃縮器の一次側の空間にある濃縮体腔液よりも蛋白質濃度の低い低濃度液を濃縮器の入口から濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある濃縮体腔液を濃縮器の第1の出口から排出して、濃縮器の一次側の空間にある液体の蛋白質濃度を下げる濃度低減動作を実施する、体腔液処理システムの使用方法。
【請求項15】
前記濃度低減動作は、前記濃縮器の一次側の空間又は二次側の空間の少なくともいずれかの圧力に基づいて実施される、請求項14に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項16】
前記濃度低減動作は、前記濃縮器の一次側の空間の略容積分の前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入することで実施される、請求項14又は15に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項17】
前記濃度低減動作は、前記低濃度液を体腔液処理時の体腔液の設定流量と同じかそれよりも小さい流量で前記濃縮器の一次側の空間に導入することで実施される、請求項14~16のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項18】
前記濃度低減動作は、前記第3の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入することで実施される、請求項14~17のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項19】
前記濃度低減動作は、前記第1の送液ラインに直接的又は間接的に前記低濃度液を供給することで実施される、請求項14~18のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項20】
前記体腔液処理システムは、濃縮器で濃縮される前に体腔液を濾過する濾過器を有し、 前記第1の送液ラインは、前記濾過器と前記濃縮器を接続しており、
当該体腔液処理システムにおいて、前記低濃度液を前記第1の送液ラインを通じて前記 濾過器に導入し、濾過器の濾過膜を洗浄する膜洗浄動作を実施し、
前記濃度低減動作は、前記膜洗浄動作の後に前記第1の送液ラインにある低濃度液を前記濃縮器に導入することで実施される、請求項14~19のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項21】
前記濃度低減動作は、前記濃縮器の一次側の空間に低濃度液を導入した後、体腔液を前記第1の送液ラインを通じて前記濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間の前記低濃度液を前記濃縮器の二次側の空間に排出し前記第2の出口から前記第3の送液ラインに排出する排出動作を実施する、請求項14~20のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項22】
前記排出動作は、前記第2の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記第3の送液ラインに排出することで実施される、請求項21に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項23】
前記濃度低減動作の後に、濃縮器による体腔液の濃縮処理を再開する、請求項14~22のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項24】
前記低濃度液は、生理食塩水である、請求項14~23のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔液処理システム及び体腔液処理システムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔液の1つである腹水における治療法として、患者から腹水を取り出し、当該腹水から細菌やがん細胞などの病因物質を除去し、アルブミンなどの有用成分を残した状態で濃縮し、当該濃縮腹水を体内に戻す腹水ろ過濃縮再静注法(Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)がある。
【0003】
かかる治療法には、一般的に腹水処理システムが用いられている。この腹水処理システムには、例えば腹水バッグと、濾過器と、濃縮器と、濃縮腹水バッグがこの順番で接続され、ポンプ或いは落差により腹水を流して腹水を濾過、濃縮するものが用いられている(特許文献1参照)。濾過器と濃縮器には、中空糸膜などの分離膜が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-013491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような腹水処理システムにおいて濃縮器に蛋白質濃度が高い腹水が流入すると、濃縮器の圧力(膜間差圧(TMP : Trans Membrance Pressure))が次第に上昇していく。濃縮器の圧力が上昇し所定値を超えると、腹水処理システムは警報を発して停止する。腹水処理システムが頻繁に停止すると、その都度医療従事者の作業が発生し、処理も滞るため好ましくない。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、腹水などの体腔液を処理する体腔液処理システムが頻繁に停止しないように、濃縮器の圧力上昇に対処する機能を有する体腔液処理システム及び体腔液処理システムの使用方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、濃縮器の蛋白質濃度を下げることにより濃縮器の圧力を低減して上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
(1)体腔液を処理する体腔液処理システムであって、濃縮膜と、濃縮膜の一次側の空間に連通する入口及び第1の出口と、濃縮膜の二次側の空間に連通する第2の出口とを少なくとも有する濃縮器と、濃縮器の入口に接続され、体腔液を濃縮器に供給する第1の送液ラインと、濃縮器の第1の出口に接続され、濃縮膜により濃縮された濃縮体腔液を排出する第2の送液ラインと、濃縮器の第2の出口に接続され、濃縮膜により体腔液から除去された排液を排出する第3の送液ラインと、濃縮器の一次側の空間にある濃縮体腔液よりも蛋白質濃度の低い低濃度液を濃縮器の入口から濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある濃縮体腔液を濃縮器の第1の出口から排出して、濃縮器の一次側の空間にある液体の蛋白質濃度を下げる濃度低減動作を行う濃度低減手段と、を備える、体腔液処理システム。
(2)前記濃縮器の一次側の空間又は二次側の空間の少なくともいずれかの圧力を測定する圧力測定装置を、さらに備え、前記濃度低減手段は、前記圧力測定装置による圧力測定結果に基づいて前記濃度低減動作を行うように構成されている、(1)に記載の体腔液処理システム。
(3)前記濃度低減手段は、前記濃縮器の一次側の空間の略容積分の前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入するように構成されている、(1)又は(2)に記載の体腔液処理システム。
(4)前記濃度低減手段は、前記低濃度液を体腔液処理時の体腔液の設定流量と同じかそれよりも小さい流量で前記濃縮器の一次側の空間に導入するように構成されている、(1)~(3)のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
(5)前記濃度低減手段は、前記第3の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入するように構成されている、(1)~(4)のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
(6)前記濃度低減手段は、前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入するためのポンプを有する、(1)~(5)のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
(7)前記濃度低減手段は、前記第1の送液ラインに直接的又は間接的に前記低濃度液を供給する供給手段を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
(8)前記供給手段は、前記低濃度液を収容する収容部と、前記収容部と前記第1の送液ラインを接続する供給ラインと、前記供給ラインを開閉する開閉手段とを有する、(7)に記載の体腔液処理システム。
(9)濃縮器で濃縮される前に体腔液を濾過する濾過器を有し、前記第1の送液ラインは、前記濾過器と前記濃縮器を接続しており、前記低濃度液を前記第1の送液ラインを通じて前記濾過器に導入し、濾過器の濾過膜を洗浄する膜洗浄動作を実施し、前記濃度低減動作は、前記膜洗浄動作の後に前記第1の送液ラインにある低濃度液を前記濃縮器に導入するように構成されている、(1)~(8)のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
(10)前記濃度低減手段は、前記濃縮器の一次側の空間に低濃度液を導入した後、体腔液を前記第1の送液ラインを通じて前記濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある前記低濃度液を前記濃縮器の二次側の空間に排出し前記第2の出口から前記第3の送液ラインに排出する排出動作を行うように構成されている、(1)~(9)のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
(11)前記濃度低減手段は、前記第2の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記第3の送液ラインに排出するように構成されている、(10)に記載の体腔液処理システム。
(12)前記濃度低減手段による濃度低減動作の後に、濃縮器による体腔液の濃縮処理を再開するように構成された、(1)~(11)のいずれかに記載の体腔液処理システム。
(13)前記低濃度液は、生理食塩水である、(1)~(12)のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
(14)体腔液を処理する体腔液処理システムの使用方法であって、濃縮膜と、濃縮膜の一次側の空間に連通する入口及び第1の出口と、濃縮膜の二次側の空間に連通する第2の出口とを少なくとも有する濃縮器と、濃縮器の入口に接続され、体腔液を濃縮器に供給する第1の送液ラインと、濃縮器の第1の出口に接続され、濃縮膜により濃縮された濃縮体腔液を排出する第2の送液ラインと、濃縮器の第2の出口に接続され、濃縮膜により体腔液から除去された排液を排出する第3の送液ラインと、を少なくとも備えた体腔液処理システムにおいて、濃縮器の一次側の空間にある濃縮体腔液よりも蛋白質濃度の低い低濃度液を濃縮器の入口から濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある濃縮体腔液を濃縮器の第1の出口から排出して、濃縮器の一次側の空間にある液体の蛋白質濃度を下げる濃度低減動作を実施する、体腔液処理システムの使用方法。
(15)前記濃度低減動作は、前記濃縮器の一次側の空間又は二次側の空間の少なくともいずれかの圧力に基づいて実施される、(14)に記載の体腔液処理システムの使用方法。
(16)前記濃度低減動作は、前記濃縮器の一次側の空間の略容積分の前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入することで実施される、(14)又は(15)に記載の体腔液処理システムの使用方法。
(17)前記濃度低減動作は、前記低濃度液を体腔液処理時の体腔液の設定流量と同じかそれよりも小さい流量で前記濃縮器の一次側の空間に導入することで実施される、(14)~(16)のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
(18)前記濃度低減動作は、前記第3の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入することで実施される、(14)~(17)のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
(19)前記濃度低減動作は、前記第1の送液ラインに直接的又は間接的に前記低濃度液を供給することで実施される、(14)~(18)のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
(20)前記体腔液処理システムは、濃縮器で濃縮される前に体腔液を濾過する濾過器を有し、前記第1の送液ラインは、前記濾過器と前記濃縮器を接続しており、当該体腔液処理システムにおいて、前記低濃度液を前記第1の送液ラインを通じて前記濾過器に導入し、濾過器の濾過膜を洗浄する膜洗浄動作を実施し、前記濃度低減動作は、前記膜洗浄動作の後に前記第1の送液ラインにある低濃度液を前記濃縮器に導入することで実施される、(14)~(19)のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
(21)前記濃度低減動作は、前記濃縮器の一次側の空間に低濃度液を導入した後、体腔液を前記第1の送液ラインを通じて前記濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間の前記低濃度液を前記濃縮器の二次側の空間に排出し前記第2の出口から前記第3の送液ラインに排出する排出動作を実施する、(14)~(20)のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
(22)前記排出動作は、前記第2の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記第3の送液ラインに排出することで実施される、(21)に記載の体腔液処理システムの使用方法。
(23)前記濃度低減動作の後に、濃縮器による体腔液の濃縮処理を再開する、(14)~(22)のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
(24)前記低濃度液は、生理食塩水である、(14)~(23)のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、濃縮器の圧力上昇を抑えて体腔液処理システムが頻繁に停止することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】腹水処理システムの構成の概略を示す説明図である。
図2】再濃縮処理時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図3】濃度低減動作の制御フローを示すフロー図である。
図4】腹水処理時の濃縮器の状態を示す説明図である。
図5】濃度低減動作時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図6】濃度低減動作時の濃縮器の状態を示す説明図である。
図7】排出動作時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図8】排出動作時の濃縮器の状態を示す説明図である。
図9】濃度低減動作による濃縮器圧力の変動を検証した結果を示す図である。
図10】低濃度液を落差により供給する場合の腹水処理システムの構成を示す説明図である。
図11】膜洗浄動作時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図12】膜洗浄動作後の濃度低減動作時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図13】供給手段を第4の送液ラインに設けた場合の腹水処理システムの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態の一例について説明する。なお、本明細書における上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る体腔液処理システムとしての腹水処理システム1の構成の概略を示す説明図である。
【0013】
腹水処理システム1は、体腔液の収容部としての腹水バッグ10と、濾過器11と、濃縮器12と、濃縮体腔液の回収部としての濃縮腹水バッグ13と、第1の送液ライン14と、第2の送液ライン15と、第3の送液ライン16と、第4の送液ライン17と、第5の送液ライン18と、第6の送液ライン19と、低濃度液の供給手段20と、圧力測定装置21と、制御装置22等を備えている。
【0014】
腹水バッグ10は、例えば軟質性のバッグであり、患者から採取された腹水を収容することができる。
【0015】
濾過器11は、例えば円筒形状の筐体を有している。濾過器11は、長手方向(上下方向)の両端部に通液口11a、11bを有し、側面に2つの通液口11c、11dを有している。なお、本明細書において腹水処理システム1における上下は、通常使用時の姿勢に基づくものとする。
【0016】
濾過器11は、例えば細菌やがん細胞などの所定の病因物質を除去し、アルブミンなどの所定の有用成分を通過させる濾過膜30を備えている。濾過膜30は、例えば多数本の中空糸膜から構成されている。濾過膜30の一次側の空間(中空糸膜の内部空間)30aは、通液口11a、11bに通じ、濾過膜30の二次側の空間(中空糸膜の外部空間)30bは、通液口11c、11dに通じている。なお、通液口11cは、例えば圧力センサに接続されている。
【0017】
濃縮器12は、例えば円筒形状の筐体を有している。濃縮器12は、長手方向(上下方向)の両端部に通液口12a、12bを有し、側面に2つの通液口12c、12dを有している。
【0018】
濃縮器12は、例えば腹水から水分を除去して濃縮する濃縮膜40を備えている。濃縮膜40は、例えば多数本の中空糸膜から構成されている。濃縮膜40の一次側の空間(中空糸膜の内側空間)40aは、通液口12a、12bに通じ、濃縮膜40の二次側の空間(中空糸膜の外側空間)40bは、通液口12c、12dに通じている。
【0019】
濃縮膜40の一次側の空間40aは、所定の容積Vを有し、当該容積Vは、中空糸膜の内側の断面積S、長さL及び中空糸膜の本数N等で規定される。
容積Vは、例えば下記式で算出する簡易的に計算する方法や、または実際に中空糸膜内側に水を充填し、その充填液を計量することで算出することもできる。容積Vは例えば100mLである。
容積V=中空糸膜の内側の断面積S×長さL×本数N
【0020】
濃縮腹水バッグ13は、例えば軟質性のバッグであり、濃縮器12で濃縮された濃縮腹水を収容することができる。濃縮腹水バッグ13は、腹水バッグ10よりも低い位置に設置されている。
【0021】
第4の送液ライン17は、腹水バッグ10と濾過器11を接続している。第4の送液ライン17の上流側の端部は、腹水バッグ10に接続され、第4の送液ライン17の下流側の端部は、濾過器11の通液口11aに接続されている。すなわち、濾過器11の通液口11aは、腹水が流入する濾過器11の入口となっている。なお、本明細書において、「上流側」とは、腹水が、濾過器、濃縮器の順に流れる通常の腹水処理時に上流側になる方向を示し、「下流側」とは、通常の腹水処理時の下流側になる方向を示す。
【0022】
第6の送液ライン19の上流側の端部は、濾過器11の通液口11bに接続されている。第6の送液ライン19の下流側の端部は、例えば濾過器11で腹水から除去された排液を収容する廃液部(図示せず)に接続されている。
【0023】
第1の送液ライン14は、濾過器11と濃縮器12を接続している。第1の送液ライン14の上流側の端部は、濾過器11の通液口11dに接続され、第1の送液ライン14の下流側の端部は、濃縮器12の上端部の通液口12aに接続されている。すなわち、濾過器11の通液口11dは、濾過器11の出口となり、濃縮器12の通液口12aは、濃縮器12の入口となっている。
【0024】
第1の送液ライン14には、例えば第1のバルブ50と、第1のポンプ51及びドリップチャンバー52が上流側から下流側に向けてこの順番で設けられている。第1のバルブ50は、第1の送液ライン14を開閉する。第1のポンプ51は、第1の送液ライン14のチューブを扱いて送液するチューブポンプである。第1のポンプ51は、停止時にチューブを閉塞するため閉塞手段としての機能も備えている。
【0025】
第2の送液ライン15は、濃縮器12と濃縮腹水バッグ13を接続している。第2の送液ライン15の上流側の端部は、濃縮器12の下端部の通液口12bに接続され、第2の送液ライン15の下流側の端部は、濃縮腹水バッグ13に接続されている。すなわち、濃縮器12の通液口12bは、濃縮器12の第1の出口となっている。
【0026】
第2の送液ライン15には、第2のポンプ60が設けられている。第2のポンプ60は、第2の送液ライン15のチューブを扱いて送液するチューブポンプである。第2のポンプ60は、停止時にチューブを閉塞するため閉塞手段としての機能も備えている。
【0027】
第3の送液ライン16の上流側の端部は、例えば濃縮器12の通液口12c、12dに接続されている。すなわち、濃縮器12の通液口12c、12dは、濃縮器12の第2の出口となっている。なお、第3の送液ライン16の上流側の端部は、通液口12c、12dのいずれか一方にのみ接続されていてもよい。第3の送液ライン16の下流側の端部は、濃縮器12で腹水から除去された排液を収容する廃液部(図示せず)に接続されている。第3の送液ライン16には、第3の送液ライン16を開閉する第2のバルブ65が設けられている。
【0028】
第5の送液ライン18は、濃縮腹水バッグ13と第1の送液ライン14を接続している。第5の送液ライン18の一端部(上流側の端部)は、濃縮腹水バッグ13に接続されている。第5の送液ライン18の他端部(下流側の端部)は、第1の送液ライン14における第1のバルブ50と第1のポンプ51との間に接続されている。第5の送液ライン18には、第5の送液ライン18を開閉する第3のバルブ70が設けられている。なお、第1~第6の送液ライン14~19には、例えば軟質性のチューブが用いられている。
【0029】
低濃度液の供給手段20は、第1の送液ライン14に対し、濃縮器12の一次側の空間40aにある濃縮腹水よりも蛋白質濃度の低い低濃度液を供給するものである。ここで、濃縮器12の一次側の空間40aにある濃縮腹水は、少なくとも腹水バッグ10の腹水よりも蛋白質濃度が高いものであり、この濃縮腹水の濃度は、過去の実施や計算により予め求めることができる。低濃度液は、濃縮器12の濃縮腹水よりも50%以上蛋白質濃度が低いものが好ましい。低濃度液の蛋白質濃度は、3.0g/mL、好ましくは、1.0g/mL、さらに好ましくは0g/mLが好ましい。本実施の形態では、低濃度液として生理食塩水が用いられる。
【0030】
供給手段20は、例えば低濃度液を収容する収容部80と、収容部80と第1の送液ライン14を接続する供給ライン81と、供給ライン81を開閉する開閉手段としてのバルブ82を備えている。なお、開閉手段は、バルブでなく、ポンプであってもよい。
【0031】
収容部80は、例えば軟質性のバッグであり、濃縮器12の一次側の空間40aの容積より多い量の低濃度液を収容することができる。供給ライン81は、第1の送液ライン14における第1のポンプ51とドリップチャンバー52との間に接続されている。供給手段20によれば、例えばバルブ82が開放され、第2のポンプ60が作動することにより、収容部80の低濃度液を供給ライン81を通じて第1の送液ライン14に供給し、さらに第1の送液ライン14を通じて濃縮器12の一次側の空間40aに供給することができる。
【0032】
圧力測定装置21は、例えばドリップチャンバー52に連通しており、濃縮器12の一次側の空間40aの圧力を測定することができる。濃縮器12の二次側の空間40bは大気開放されており、この場合二次側の空間40bの圧力は常圧となるため、圧力測定装置21による一次側の空間40aの圧力測定により、濃縮膜40における膜間差圧(一次側の空間40aと二次側の空間40bの圧力差)を検出することができる。圧力測定装置21の測定結果は、例えば制御装置22に出力される。
【0033】
制御装置22は、例えばCPU、メモリ等を有するコンピュータである。制御装置22は、第1のポンプ51、第2のポンプ60、第1のバルブ50、第2のバルブ65、第3のバルブ70、バルブ82等の各装置の動作を制御して腹水処理を実行することができる。制御装置22は、例えばメモリに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより腹水処理を実現することができる。
【0034】
例えば制御装置22は、メモリに記憶された所定のプログラムを実行することで、濃縮器12における濃度低減動作を実施することができる。すなわち、制御装置22は、第2のポンプ60を作動させ、収容部80の所定量の低濃度液を供給ライン81及び第1の送液ライン14を通じて濃縮器12の入口12aから濃縮器12の一次側の空間40aに導入し、濃縮器12の一次側の空間40aにある濃縮腹水を濃縮器12の第1の出口12bから第2の送液ライン15に排出して、濃縮器12の一次側の空間40aにある液体の蛋白質濃度を下げる濃度低減動作を実施することができる。また、制御装置22は、濃縮器12の一次側の空間40aに低濃度液を導入した後に、第1のポンプ51を作動させ、第1の送液ライン14の腹水を濃縮器12の一次側の空間40aに導入し濃縮器12の一次側の空間40aの低濃度液を濃縮膜40を通じて第3の送液ライン16に排出する排出動作を実施することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、例えば供給手段20、第1のポンプ51、第2のポンプ60、第2のバルブ65及び制御装置22は、濃縮器12の一次側の空間40aの液体の蛋白質濃度を低減する濃度低減動作を行う濃度低減手段100を構成している。
【0036】
次に、上述の腹水処理システム1を用いて行われる腹水処理について説明する。
【0037】
先ず、図1に示すように患者から採取した腹水が収容された腹水バッグ10が第4の送液ライン17に接続される。次に第3のバルブ70及びバルブ82が閉鎖され、第1のバルブ50及び第2のバルブ65が開放され、第1のポンプ51及び第2のポンプ60が作動して、腹水の濾過・濃縮処理が開始される。このとき第1のポンプ51の設定流量Q1は、第2のポンプ60の設定流量Q2よりも大きく設定されている。
【0038】
腹水バッグ10の腹水は、第4の送液ライン17を通じて濾過器11に送られる。腹水は、濾過器11の通液口11aから濾過膜30の一次側の空間30aに流入し、濾過膜30を通過して、濾過膜30の二次側の空間30bに流出する。このとき、腹水から所定の病因物質が除去される。濾過膜30の一次側の空間30aにおいて濾過膜30を通過しない排液は、第6の送液ライン19を通って図示しない廃液部に排出される。
【0039】
濾過膜30の二次側の空間30bに流出した腹水は、濾過器11の通液口11dから第1の送液ライン14に流出し、第1の送液ライン14を通って濃縮器12に送られる。腹水は、濃縮器12の入口12aから濃縮膜40の一次側の空間40aに流入し、第1の出口12bから排出される。このとき、第1のポンプ51の設定流量Q1が、第2のポンプ60の設定流量Q2よりも大きいため、腹水の一部の水分が、濃縮膜40を通過して濃縮膜40の二次側の空間40bに流出する。これにより腹水から主に水分が除去されて腹水が濃縮される。濃縮器12で濃縮された濃縮腹水は、第2の送液ライン15を通って濃縮腹水バッグ13に収容される。濃縮器12で除去された排液は、第3の送液ライン16を通って図示しない排液部に排出される。
【0040】
例えば濾過・濃縮処理が開始されてから所定時間が経過し、例えば腹水バッグ10の腹水がなくなったときに、図2に示すように第1のバルブ50が閉鎖され、第3のバルブ70が開放される。引き続き第2のバルブ65が開放され、バルブ82が閉鎖され、第1のポンプ51及び第2のポンプ60が作動し、濃縮腹水バッグ13の濃縮腹水が、第5の送液ライン18を通って第1の送液ライン14に供給され、第1の送液ライン14を通じて濃縮器12に供給され、濃縮器12で再濃縮される。その後濃縮腹水は、第2の送液ライン15を通って濃縮腹水バッグ13に戻される。この濃縮腹水の再濃縮処理を所定時間行った後、第1のポンプ51と第2のポンプ60が停止され、一連の腹水処理が終了する。
【0041】
図3は、上記腹水処理中に行われる濃度低減動作のフロー図である。上記腹水処理中は、圧力測定装置21により濃縮器12の圧力(一次側の空間40aの圧力)が常時或いは定期的に測定されている。そして、濃縮器12の圧力が所定の閾値を超えると、濃度低減動作が行われる。先ず低濃度液の導入動作が行われる。このとき、図4に示すように濃縮器12の一次側の空間40aは、蛋白質濃度の高い濃縮腹水L1で満たされている。第1の送液ライン14は、濃縮される前の腹水L2で満たされ、濃縮器12の二次側の空間40bは、濃縮膜40を通過した排液L3で満たされている。なお、図4における濃縮膜40は、説明の簡略化のため、太い1本の中空糸膜のように表現されているが、実際には多数本の中空糸膜から構成されている。そして、図5に示すように例えば第2のポンプ60が作動したまま、第1のポンプ51が停止し、供給ライン81のバルブ82が開放され、第3の送液ライン16の第2のバルブ65が閉鎖される。なお、濾過・濃縮処理時に濃度低減動作が行われる際には、例えば第1のバルブ50が開放され、第3のバルブ70が閉鎖された状態が維持され、再濃縮処理時に濃度低減動作が行われる際には、例えば第1のバルブ50が閉鎖され、第3のバルブ70が開放された状態が維持される。
【0042】
これにより、低濃度液Aが、収容部80から供給ライン81及び第1の送液ライン14を通って図6に示すように入口12aから濃縮器12の一次側の空間40aに導入される。このとき濃縮器12の一次側の空間40aの略容積V分の低濃度液Aが一次側の空間40aに導入される。また、低濃度液Aは、腹水処理時の腹水の設定流量Q1と同じかそれよりも小さい流量で濃縮器12の一次側の空間40aに導入される。そして、一次側の空間40aにあった濃縮腹水L1は、第1の出口12bから第2の送液ライン15に押し出され排出される。こうして、濃縮器12の一次側の空間40aの濃縮腹水L1が低濃度液Aに置換され、一次側の空間40aの液体の蛋白質濃度が低減される。この濃度低減動作は、原理的には濃縮器12の一次側の空間40aの略容積V分の低濃度液Aを導入することが望ましいが、圧力が所定の閾値以下になるまで実施したり、規定時間実施したりすることにしてもよい。
【0043】
次に低濃度液の排出動作が行われる。図7に示すように第1のポンプ51が作動し、第2のポンプ60が停止し、バルブ82が閉鎖され、第2のバルブ65が開放される。これにより、図8に示すように腹水L2が第1の送液ライン14を通じて濃縮器12の一次側の空間40aに供給され、濃縮器12の一次側の空間40aにある低濃度液Aが、濃縮膜40を通って二次側の空間40bに排出され、第2の出口12c、12dから第3の送液ライン16に排出される。この排出動作は、上記低濃度液Aの導入動作により濃縮器12の一次側の空間40aの圧力が下がりすぎている場合があるため、一次側の空間40a内の圧力が所定の閾値以上に回復するまで継続してもよい。
【0044】
濃度低減動作の終了後は、第2のポンプ60が作動し、上述の腹水処理(濾過・濃縮処理や再濃縮処理)が再開される。
【0045】
本実施の形態によれば、腹水処理システム1が 濃縮器12の一次側の空間40aにある濃縮腹水よりも蛋白質濃度の低い低濃度液Aを濃縮器12の入口12aから濃縮器12の一次側の空間40aに導入し、濃縮器12の一次側の空間40aにある濃縮腹水を濃縮器12の第1の出口12bから排出して、濃縮器12の一次側の空間40aにある液体の蛋白質濃度を下げる濃度低減動作を行う濃度低減手段100を備えている。これにより、一次側の空間40aの液体の蛋白質濃度が下がり、液体が濃縮膜40を通過しやすくなるため、濃縮器12の圧力を低減することができる。この点、図9に示すように発明者らの検証によれば、濃縮器12の圧力(膜間差圧)が上昇した際に濃度低減動作を行うことにより、濃縮器12の圧力が急激に下がることが確認されている。
【0046】
濃度低減手段100は、圧力測定装置21による圧力測定結果に基づいて濃度低減動作を行うように構成されている。これにより、濃縮器12の圧力低減を確実に行うことができる。
【0047】
濃度低減手段100は、濃縮器12の一次側の空間40aの略容積分の低濃度液Aを濃縮器の一次側の空間40aに導入するように構成されている。これにより、多くの低濃度液Aが第2の送液ライン15に入り込み濃縮腹水バッグ13に回収されることを防止できるので、濃縮腹水バッグ13に回収される濃縮腹水を所望の濃度に調整しやすくなる。
【0048】
濃度低減手段100は、低濃度液Aを腹水の導入時の設定流量と同じかそれよりも小さい流量で濃縮器12の一次側の空間40aに導入するように構成されている。こうすることにより、低濃度液Aの導入による濃縮器12内の圧力上昇を抑制することができる。
【0049】
濃度低減手段100は、第3の送液ライン16を閉鎖した状態で低濃度液Aを濃縮器12の一次側の空間40aに導入するように構成されている。これにより、低濃度液Aが第3の送液ライン16の漏出することがなく、濃縮器12への低濃度液Aの導入を効率的に行うことができる。
【0050】
濃度低減手段100は、低濃度液Aを濃縮器12の一次側の空間40aに導入するための第2のポンプ60を有している。これにより、低濃度液Aの導入量を正確に制御することができ、この結果濃縮器12に過不足なく低濃度液Aを導入することができる。
【0051】
濃度低減手段100は、第1の送液ライン14に直接的に低濃度液Aを供給する供給手段20を有している。これにより、低濃度液Aの供給を好適に行うことができる。
【0052】
供給手段20は、低濃度液Aを収容する収容部80と、収容部80と第1の送液ライン14を接続する供給ライン81と、バルブ82を有している。これにより、低濃度液Aの供給を簡単な構成で好適に行うことができる。
【0053】
濃度低減手段100は、濃縮器12の一次側の空間40aに低濃度液Aを導入した後、腹水を第1の送液ライン14を通じて濃縮器12の一次側の空間40aに導入し濃縮器12の一次側の空間40aにある低濃度液Aを濃縮器12の二次側の空間40bに排出し第2の出口12c、12dから第3の送液ライン16に排出する排出動作を行うように構成されている。これにより、濃縮器12の低濃度液Aを第3の送液ライン16に排出することができるので、低濃度液Aが第2の送液ライン15を通じて濃縮腹水バッグ13に回収されることを抑制することができる。これにより、濃縮腹水バッグ13に回収される濃縮腹水を所望の濃度に調整しやすくなる。
【0054】
濃度低減手段100は、第2の送液ライン15を閉鎖した状態で低濃度液Aを第3の送液ライン16に排出するように構成されている。これにより、低濃度液Aが第2の送液ライン15に入り込むことを確実に抑制することができる。
【0055】
上記実施の形態において、濃縮器12への低濃度液Aの導入(濃度低減動作)を圧力測定装置21による圧力測定結果に基づいて行っていたが、腹水処理開始後、所定時間経過したときや、腹水が所定量処理されたときに行うようにしてもよい。また、圧力測定装置21は、濃縮器12の圧力(濃縮膜40の膜間差圧)に相関のある圧力を測定すればよく、濃縮器12の一次側の空間40a又は二次側の空間40bの少なくともいずれかの圧力を測定してもよい。
【0056】
上記実施の形態では、濃縮器12への低濃度液Aの導入を第2のポンプ60を用いていたが、落差圧により行ってもよい。かかる場合、例えば図10に示すように収容部80が濃縮器12及び濃縮腹水バッグ13よりも高い位置に設けられる。そして、バルブ82が所定時間開放され、収容部80の低濃度液Aが落差圧により濃縮器12の一次側の空間40aに導入される。
【0057】
濾過器11の濾過膜30を洗浄する膜洗浄動作を低濃度液Aを用いて行ってもよい。
【0058】
例えば濃縮器12の圧力が上昇し濃度低減動作が行われる際に、先ず濃度低減動作の前に膜洗浄動作が行われる。このとき、図11に示すように例えば第2のポンプ60が停止し、第1のバルブ50及びバルブ82が開放され、第3のバルブ70が閉鎖された状態で、第1のポンプ51が逆方向に作動し、収容部80の低濃度液Aが、供給ライン81及び第1の送液ライン14を通じて濾過器11に供給され、低濃度液Aが濾過膜30の二次側の空間30bから一次側の空間30aに流出して、濾過膜30が洗浄される。濾過膜30の一次側の空間30aに流出した低濃度液Aは、第6の送液ライン19を通じて排出される。この膜洗浄動作では、例えば第1の送液ライン14や濾過器11が低濃度液Aで満たされる。
【0059】
次に、濃度低減動作が行われ、図12に示すように第1のポンプ51及び第2のポンプ60が作動し、第1のバルブ50が開放され、第2のバルブ65、第3のバルブ70及びバルブ82が閉鎖された状態で、第1の送液ライン14の低濃度液Aが濃縮器12に導入される。かかる例によれば、低濃度液Aを用いて濾過膜30の膜洗浄を行うことができる。
【0060】
上記実施の形態において、供給手段20が低濃度液Aを第1の送液ライン14に直接的に供給するものであったが、間接的に供給するものであってもよい。この場合、例えば図13に示すように供給手段20の供給ライン81が第4の送液ライン17に接続されていてもよい。
【0061】
腹水処理システム1の構成は、以上の実施の形態のものに限られない。
【0062】
例えば第1のポンプ51及び第2のポンプ60の位置は、適宜変更することができる。特に第1のポンプ51は、第4の送液ライン17にあってもよい。濃度低減手段100の構成は、上述のように濃縮器12の一次側の空間40aに低濃度液を導入する濃度低減動作を実現できるものであれば、上記実施の形態の構成に限られない。腹水処理システム1は、第5の送液ライン18を備えず、再濃縮処理を行わないものであってよい。
【0063】
以上の実施の形態において、第1の送液ライン14及び第2の送液ライン15が濃縮器12の濃縮膜40の内側領域に接続され、第3の送液ライン16が濃縮器12の濃縮膜40の外側領域に接続されていたが、その逆、すなわち第1の送液ライン14及び第2の送液ライン15が濃縮器12の濃縮膜40の外側領域に接続され、第3の送液ライン16が濃縮器12の濃縮膜40の内側領域に接続されていてもよい。また、第4の送液ライン17及び第6の送液ライン19が濾過器11の濾過膜30の内側領域に接続され、第1の送液ライン14が濾過膜30の外側領域に接続されていたが、その逆、すなわち第4の送液ライン17及び第6の送液ライン19が濾過器11の濾過膜30の外側領域に接続され、第1の送液ライン14が濾過膜30の内側領域に接続されていてもよい。また、濾過器11及び濃縮器12は、上下逆に設置されていてもよい。すなわち濾過器11は、入口11aが下で出口11bが上に向き、濃縮器12は、入口12aが下で出口12bが上に向くように設置されていてもよい。
【0064】
以上の実施の形態は、本発明を、腹水を処理する腹水処理システム1に適用した例であったが、本発明は、胸水などの他の体腔液を処理する体腔液処理システムにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、濃縮器の圧力上昇を抑えて体腔液処理システムが頻繁に停止することを抑制する際に有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 腹水処理システム
10 腹水バッグ
11 濾過器
12 濃縮器
13 濃縮腹水バッグ
14 第1の送液ライン
15 第2の送液ライン
16 第3の送液ライン
17 第4の送液ライン
18 第5の送液ライン
19 第6の送液ライン
22 制御装置
40 濃縮膜
40a 一次側の空間
100 濃度低減手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔液を処理する体腔液処理システムであって、
濃縮膜と、前記濃縮膜の一次側の空間に連通する入口及び第1の出口と、前記濃縮膜の二次側の空間に連通する第2の出口とを少なくとも有する濃縮器と、
前記濃縮器の前記入口に接続され、前記体腔液を前記濃縮器に供給する第1の送液ラインと、
前記濃縮器の前記第1の出口に接続され、前記濃縮膜により濃縮された濃縮体腔液を排出する第2の送液ラインと、
前記濃縮器の前記第2の出口に接続され、前記濃縮膜により前記体腔液から除去された排液を排出する第3の送液ラインと、
前記濃縮器の一次側の空間にある前記濃縮体腔液よりも蛋白質濃度の低い低濃度液を前記濃縮器の前記入口から前記濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある前記濃縮体腔液を前記濃縮器の前記第1の出口から排出して、前記濃縮器の一次側の空間にある液体の蛋白質濃度を下げる濃度低減動作を行う濃度低減手段と、を備える、体腔液処理システム。
【請求項2】
前記濃度低減手段は、
(a)当該体腔液処理システムが、前記濃縮器の一次側の空間又は二次側の空間の少なくともいずれかの圧力を測定する圧力測定装置を備え、前記圧力測定装置による圧力測定結果が所定の閾値を超えた場合に濃度低減動作を開始する、又は
(b)前記体腔液の処理時間が予め設定された時間に到達した場合に濃度低減動作を開始する、又は
(c)前記体腔液の処理量が予め設定された処理量に到達した場合に濃度低減動作を開始する、又は
(d)当該体腔液処理システムが、前記濃縮器で濃縮される前に体腔液を濾過する濾過器を有し、前記第1の送液ラインは、前記濾過器と前記濃縮器を接続しており、前記低濃度液を前記第1の送液ラインを通じて前記濾過器に導入して当該濾過器の濾過膜を洗浄する膜洗浄動作を実施した後に濃度低減動作を開始する、
ように構成されている、請求項1に記載の体腔液処理システム。
【請求項3】
前記濃度低減手段は、
(e)当該体腔液処理システムが、前記濃縮器の一次側の空間又は二次側の空間の少なくともいずれかの圧力を測定する圧力測定装置を備え、前記圧力測定装置による圧力測定結果が所定の閾値を下回った場合に濃度低減動作を終了する、又は
(f)前記濃縮体腔液が所定量前記第2の送液ラインに排出された場合に濃度低減動作を終了する、又は
(g)前記濃縮体腔液が所定時間前記第2の送液ラインに排出された場合に濃度低減動作を終了する、
ように構成されている、請求項1又は2に記載の体腔液処理システム。
【請求項4】
前記濃度低減手段は、前記低濃度液を体腔液処理時の体腔液の設定流量と同じかそれよりも小さい流量で前記濃縮器の一次側の空間に導入するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項5】
前記濃度低減手段は、前記濃縮器の一次側の空間に低濃度液を導入した後、体腔液を前記第1の送液ラインを通じて前記濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある前記低濃度液を前記濃縮器の二次側の空間に排出し前記第2の出口から前記第3の送液ラインに排出する排出動作を行うように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項6】
前記濃度低減手段は、前記第2の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記第3の送液ラインに排出するように構成されている、請求項5に記載の体腔液処理システム。
【請求項7】
前記濃度低減手段は、濃度低減動作時に、前記濃縮器の一次側の空間の略容積分の前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項8】
前記濃度低減手段は、濃度低減動作時に、前記第3の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項9】
前記濃度低減手段は、前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入するためのポンプを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項10】
前記濃度低減手段は、前記第1の送液ラインに直接的又は間接的に前記低濃度液を供給する供給手段を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項11】
前記供給手段は、前記低濃度液を収容する収容部と、前記収容部と前記第1の送液ラインを接続する供給ラインと、前記供給ラインを開閉する開閉手段とを有する、請求項10に記載の体腔液処理システム。
【請求項12】
前記濃度低減手段による濃度低減動作の後に、濃縮器による体腔液の濃縮処理を再開するように構成された、請求項1~11のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項13】
前記低濃度液は、生理食塩水である、請求項1~12のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【請求項14】
体腔液を処理する体腔液処理システムの使用方法であって、
濃縮膜と、前記濃縮膜の一次側の空間に連通する入口及び第1の出口と、前記濃縮膜の二次側の空間に連通する第2の出口とを少なくとも有する濃縮器と、
前記濃縮器の前記入口に接続され、前記体腔液を前記濃縮器に供給する第1の送液ラインと、
前記濃縮器の前記第1の出口に接続され、前記濃縮膜により濃縮された濃縮体腔液を排出する第2の送液ラインと、
前記濃縮器の前記第2の出口に接続され、前記濃縮膜により前記体腔液から除去された排液を排出する第3の送液ラインと、を少なくとも備えた体腔液処理システムにおいて、
前記濃縮器の一次側の空間にある前記濃縮体腔液よりも蛋白質濃度の低い低濃度液を前記濃縮器の前記入口から前記濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある前記濃縮体腔液を前記濃縮器の前記第1の出口から排出して、前記濃縮器の一次側の空間にある液体の蛋白質濃度を下げる濃度低減動作を実施する、体腔液処理システムの使用方法。
【請求項15】
前記濃度低減動作は、
(a)前記濃縮器の一次側の空間又は二次側の空間の少なくともいずれかの圧力が所定の閾値を超えた場合に濃度低減動作を開始する、又は
(b)前記体腔液の処理時間が予め設定された時間に到達した場合に濃度低減動作を開始する、又は
(c)前記体腔液の処理量が予め設定された処理量に到達した場合に濃度低減動作を開始する、又は
(d)前記体腔液処理システムが、前記濃縮器で濃縮される前に体腔液を濾過する濾過器を有し、前記第1の送液ラインは、前記濾過器と前記濃縮器を接続しており、前記低濃度液を前記第1の送液ラインを通じて前記濾過器に導入して当該濾過器の濾過膜を洗浄する膜洗浄動作を実施した後に濃度低減動作を開始する、
請求項14に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項16】
前記濃度低減動作は、
(e)前記濃縮器の一次側の空間又は二次側の空間の少なくともいずれかの圧力が所定の閾値を下回った場合に濃度低減動作を終了する、又は
(f)前記濃縮体腔液が所定量前記第2の送液ラインに排出された場合に濃度低減動作を終了する、又は
(g)前記濃縮体腔液が所定時間前記第2の送液ラインに排出された場合に濃度低減動作を終了する、
請求項14又は15に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項17】
前記濃度低減動作は、前記低濃度液を体腔液処理時の体腔液の設定流量と同じかそれよりも小さい流量で前記濃縮器の一次側の空間に導入することで実施される、請求項14~16のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項18】
前記濃度低減動作は、前記濃縮器の一次側の空間に低濃度液を導入した後、体腔液を前記第1の送液ラインを通じて前記濃縮器の一次側の空間に導入し、前記濃縮器の一次側の空間にある前記低濃度液を前記濃縮器の二次側の空間に排出し前記第2の出口から前記第3の送液ラインに排出する排出動作を実施する、請求項14~17のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項19】
前記濃度低減動作は、前記第2の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記第3の送液ラインに排出する、請求項18に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項20】
前記濃度低減動作は、前記濃縮器の一次側の空間の略容積分の前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入することで実施される、請求項14~19のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項21】
前記濃度低減動作は、前記第3の送液ラインを閉鎖した状態で前記低濃度液を前記濃縮器の一次側の空間に導入することで実施される、請求項14~20のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項22】
前記濃度低減動作は、前記第1の送液ラインに直接的又は間接的に前記低濃度液を供給することで実施される、請求項14~21のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項23】
前記濃度低減動作の後に、濃縮器による体腔液の濃縮処理を再開する、請求項14~22のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。
【請求項24】
前記低濃度液は、生理食塩水である、請求項14~23のいずれか一項に記載の体腔液処理システムの使用方法。