IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 田中 智子の特許一覧

<>
  • 特開-音体感装置 図1
  • 特開-音体感装置 図2
  • 特開-音体感装置 図3
  • 特開-音体感装置 図4
  • 特開-音体感装置 図5
  • 特開-音体感装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063216
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】音体感装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20220414BHJP
   B06B 1/02 20060101ALI20220414BHJP
   A63H 33/00 20060101ALN20220414BHJP
【FI】
H04R1/00 310G
B06B1/02 K
A63H33/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122235
(22)【出願日】2021-07-27
(62)【分割の表示】P 2020171464の分割
【原出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】520300552
【氏名又は名称】田中 智子
(74)【代理人】
【識別番号】100206678
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100192795
【弁理士】
【氏名又は名称】小牧 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 智子
【テーマコード(参考)】
2C150
5D017
5D107
【Fターム(参考)】
2C150CA16
5D017AA11
5D107BB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】興趣性の向上を図る音体感装置を提供する。
【解決手段】音体感装置1において、風船からなる筒状の第一振動伝達体7と、第一振動伝達体7の中空部内に圧入されて、音源からの音に基づいた振動を発生する振動体3からの振動を第一振動伝達体7に伝達する第三振動伝達体13A、13Bとを設ける。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源からの音に基づいた振動を発生させる振動体と、
振動体の振動を伝達する振動伝達体と、を備え、
振動伝達体に触れることで、音源からの音を振動によって体感する音体感装置であって、
振動伝達体は、
内部に空気が充填されて膨張した膨張部材からなり、中空部を有する筒状に形成された第一振動伝達体と、
内部に空気が充填されて膨張した膨張部材からなり、振動体に圧接した状態で第一振動伝達体の中空部内に収納された第三振動伝達体と、
を備え、
第三振動伝達体は、第一振動伝達体に圧接しており、
振動体の振動は、第三振動伝達体を介して、第一振動伝達体に伝達されるよう構成されていることを特徴とする音体感装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音源からの音を振動によって体感する音体感装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、CDプレイヤ等の音楽再生装置からの音楽信号に基づいた振動を発生する振動体を装着することによって、聴覚障がい者であっても音楽を振動によって体感することが可能な音体感装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-125906号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の音体感装置においては、体の一部に装着した振動体の振動を感じることで音楽を体感するものであり、その装着部分でしか振動を感じることができないため、音楽を体感するにあたりその興趣性に乏しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑み、興趣性の向上を図ることができる音体感装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の音体感装置は、
音源からの音に基づいた振動を発生させる振動体と、
振動体の振動を伝達する振動伝達体と、を備え、
振動伝達体に触れることで、音源からの音を振動によって体感する音体感装置であって、
振動伝達体は、
内部に空気が充填されて膨張した膨張部材からなり、中空部を有する筒状に形成された第一振動伝達体と、
内部に空気が充填されて膨張した膨張部材からなり、第一振動伝達体の中空部内に挿入された挿入部分と、第一振動伝達体の中空部内から突出した突出部分と、を有する第二振動伝達体と、
第一振動伝達体と第二振動伝達体とを互いに圧接させるように連結する連結体と、
内部に空気が充填されて膨張した膨張部材からなり、振動体に圧接した状態で第一振動伝達体の中空部内に収納された第三振動伝達体と、
を備え、
第二振動伝達体の挿入部分は、第一振動伝達体に圧接しており、
第三振動伝達体は、第一振動伝達体と第二振動伝達体の挿入部分とに圧接しており、
振動体の振動は、第三振動伝達体を介して、第一振動伝達体と第二振動伝達体とに伝達されるよう構成されていることを特徴とする音体感装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る音体感装置によれば、興趣性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態における音体感装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態における音体感装置を示す正面図である。
図3】本発明の実施形態における音体感装置を示す側面図である。
図4】本発明の実施形態における音体感装置を示す分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態における音体感装置の内部構造を説明するための斜視図である。
図6】本発明の実施形態における音体感装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図6を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、音を振動によって体感させる音体感装置1は、制御部Cを介して音源Gに接続されている。音源Gとしては、例えば、楽器の作る振動を電気信号として取り出すことで音声を出力する電気楽器、電子回路によって所定の波形信号を作り出す電子楽器、CDプレイヤといった音響再生装置等というように、音を電気信号に変換して出力するものを適用することができる。また、制御部Cは、例えば、音源Gからの音を増幅するアンプや、複数の音声の調整や操作を行うミキサー等の音信号経路や、外部から操作可能な操作部等を有しており、操作部を操作することで、音源Gからの音についての音程、音量、音色等の制御や、後述する振動体3の振動の強弱等の制御を行えるようになっている。次に、音体感装置1の各種構造について説明するが、その説明にあたり、説明の便宜上、音源Gとして、内蔵したピックアップによって弦の振動を電気信号に変換可能なエレキギターを例にとって説明することとする。
【0010】
音体感装置1は、図1および図4に示すように、音源Gであるエレキギターからの音に基づいた振動を発生させる振動体3と、この振動体3の振動を伝達する振動伝達体5とを備えている。
【0011】
振動体3は、円盤状に形成されている。また、振動体3は、そのハーネス3aによって制御部Cに電気的に接続されており、エレキギターからの音に基づいた電気信号が制御部Cを介して出力されることで、エレキギターの音に基づいた振動を発生させるようになっている。なお、本実施形態では、振動体3は円盤状に形成されているが、例えば、球体状であったり、あるいは、箱状であったりしてよい。要は、振動体3については、エレキギターからの音に基づいた振動を発生可能なものであればよく、その形状や仕様については適宜のものを選択可能であることは言うまでもない。
【0012】
振動伝達体5は、第一振動伝達体7と、第二振動伝達体9と、連結体11と、第三振動伝達体13とを有しており、これらの第一乃至第三振動伝達体7、9、13および連結体11によって音源Gであるエレキギターの形状を模している。第一乃至第三振動伝達体7、9、13および連結体11はそれぞれ、内部に空気が充填(供給)されることで棒状に膨張した伸縮自在な膨張部材である風船からなっている。本実施形態では、振動伝達体5を形成するために、互いに同一形状の複数の風船を用いおり、例えば、いわゆるバルーンアートに用いられる細長い紐状の風船(内部に空気を充填することで棒状に膨張する)を用いている。このように、振動伝達体5を形成するために、互いに同一形状の複数の風船を用意するだけで済み、振動伝達体5の製造をするための準備が容易である。また、伸縮自在な風船を膨張させた状態で用いているため、第一振動伝達体7と、第二振動伝達体9と、連結体11と、第三振動伝達体13とを互いに容易に圧接させることができる。この結果、接触不足による振動の伝達の阻害を防止することができ、振動伝達効率の向上を図ることができる。なお、同一形状の複数の風船のみを用いるのではなく、互いに、形状が異なる複数の風船を用いるようにしてもよい。
【0013】
図1乃至図4に示すように、第一振動伝達体7は、エレキギターのボディ部分を模しており、中空部Sを有する筒状に形成されている。第一振動伝達体7は、互いに圧接して隣接するように上下に並んだ円環状の円環部7A乃至7Hと、これらの円環部7A乃至7Hの間でかつ音体感装置1の両側面側にそれぞれ位置した球状の球体部8A乃至8Gとを有している。なお、球体部8A乃至8Gについても、振動体3からの振動が伝達されるのであり、この観点で、球体部8A乃至8Gについては、第四振動伝達体として捉えることも可能である。
【0014】
円環部7Aは、次のようにして形成される。すなわち、風船を膨張する際に、風船の先端部分を指でつまんで空気が充填されないようにした状態(以後、風船において空気が充填されていない部分を「非充填部」と言うこともある。また、非充填部が複数ある場合には区分けのため、第一、第二といった識別子を付与することもある。)にした上で、内部に空気を充填して風船の中間部分を所定長さとなるまで膨張させた(以後、風船において空気が充填されている部分を「充填部」と言うこともある。また、充填部が複数ある場合には区分けのため、第一、第二といった識別子を付与することもある。)後、非充填部である先端部分と充填部である中間部分との間、およびこの中間部分と非充填部である後端部分(細長い紐状の風船の開口側の端部分)とをそれぞれ捩じった上で止め結び等することで、第一振動伝達体7の表面の一部を形成する表側膨張体7a1を得る。次に、第一振動伝達体7の裏面の一部を形成する裏側膨張体7a2を、表側膨張体7a1と同様にして得る。次に、表側膨張体7a1の先端部分と裏側膨張体7a2の先端部分とを結びつけ、表側膨張体7a1の後端部分と裏側膨張体7a2の後端部分とを結びつけることによって、円環状に形成された円環部7Aを得る。
【0015】
また、円環部7B乃至7Hについても、円環部7Aと同様にして得る(なお、図1等において、図の煩雑化を回避するため、円環部7B乃至7Hを構成する表側膨張体および裏側膨張体の符号の付与は省略する)。本実施形態では、円環部7Aは、第一振動伝達体7の最も上の部分を構成し、円環部7Hは、第一振動伝達体7の最も下の部分を構成する。また、図2に示すように、最も上の円環部7Aの長さ(図2で見て左右方向の長さ)よりも、この直下に位置する円環部7Bの長さの方が長くなるというように、円環部7A乃至7Hにおいては、下の円環部ほどその長さが長くなるよう構成されている。換言すれば、最も上の円環部7Aの長さが一番短く、最も下の円環部7Hの長さが一番長くなるようになっており、第一振動伝達体7は正面視で略台形状をなしている。なお、第一振動伝達体7の形状は、この台形状に限定されず、適宜の形状を適用可能であることは言うまでもない。
【0016】
このように、円環部7A乃至7Hのそれぞれの長さが異なるようにすることで、振動体3からの振動を伝達される際において、高音に対応した振動(相対的に時間当たりの振動回数が多い)については、円環部7A乃至7Hのうち、その長さが相対的に短い円環部の方が響きやすく(例えば、円環部7Hよりも円環部7Aの方が響きやすい)することができる一方、低音に対応した振動(相対的に時間当たりの振動回数が多い)はその長さが相対的に長いほど響きやすく(例えば、円環部7Aよりも円環部7Hの方が響きやすい)することができる。また、本実施形態では、第一振動伝達体7の円環部7A乃至7Hは、その上の円環部7Aから下の円環部7Hに向かうほど、その長さが段階的に長くなるようにしているので、第一振動伝達体7の上部ほど高音が響きやすく、第一振動伝達体7の下部ほど低音が響きやすくなっているため、第一振動伝達体7に触れた使用者から見て、演奏中のエレキギターにおいて、高音が出ているのか、低音が出ているのかの区別がしやすくなる。
【0017】
次に、音体感装置1の両側面側にそれぞれ位置した一対の球体部8A乃至8Gについて説明するが、一対の球体部8A乃至8Gはそれぞれ同様な構成をなしているため、一方の球体部8A乃至8G(図2において右側の球体部8A乃至8G)のみ説明し、他方の球体部8A乃至8G(図2において左側の球体部8A乃至8G)の説明は省略する。
【0018】
球体部8Aは、風船を膨張する際に、風船の先端部分を非充填部とし、風船の中間部分を球形状に膨張させた充填部とし、この中間部以降の後端部分を非充填部とした後、先端部分と中間部分との間、および中間部分と後端部分との間を止め結びすることで得られる。この球体部8Aの先端部分は、図1および図3に示すように、円環部7Aにおいて互いに結びつけられた表側膨張体7a1の先端部分と裏側膨張体7b1の先端部分との間に結びつけられた連結部M1とされ、球体部8Aの後端部分は、円環部8Bにおいて互いに結びつけられた表側膨張体7a1の後端部分と裏側膨張体7b1の後端部分との間に結び付けられた連結部M2とされて、球体部8Aは、第一振動伝達体7の両側面側において、互いに上下に隣接する円環部7Aおよび7Bを互いに圧接するように連結している。
【0019】
他の球体部8C乃至8Gも球体部8Aおよび8Bと同様にして構成されている。すなわち、図3に示すように、球体部8Bは、その先端部分と球体部8Aの後端部分とで連結部M2を構成し、その後端部分と球体部8Cの先端部分とで連結部M3を構成しており、これらの連結部M2およびM3によって、互いに上下に隣接する円環部7Bおよび7Cが互いに圧接するように連結されている。また、球体部8Cは、その先端部分と球体部8Bの後端部分とで連結部M3を構成し、その後端部分と球体部8Dの先端部分とで連結部M4を構成しており、これらの連結部M3およびM4によって、互いに上下に隣接する円環部7Cおよび7Dが互いに圧接するように連結されている。
【0020】
球体部8Dは、その先端部分と球体部8Cの後端部分とで連結部M4を構成し、その後端部分と球体部8Eの先端部分とで連結部M5を構成しており、これらの連結部M4およびM5によって、互いに上下に隣接する円環部7Dおよび7Eが互いに圧接するように連結されている。また、球体部8Eは、その先端部分と球体部8Dの後端部分とで連結部M5を構成し、その後端部分と球体部8Eの先端部分とで連結部M6を構成しており、これらの連結部M5およびM6によって、互いに上下に隣接する円環部7Eおよび7Fが互いに圧接するように連結されている。
【0021】
球体部8Fは、その先端部分と球体部8Eの後端部分とで連結部M6を構成し、その後端部分と球体部8Gの先端部分とで連結部M7を構成しており、これらの連結部M6およびM7によって、互いに上下に隣接する円環部7Fおよび7Gが互いに圧接するように連結されている。また、球体部8Gは、その先端部分と球体部8Fの後端部分とで連結部M7を構成し、その後端部分は、円環部7Hにおいて互いに結びつけられた表側膨張体7h1の先端部分と裏側膨張体7h2の先端部分との間に結びつけられた連結部M8を構成しており、これらの連結部M7およびM8によって、互いに上下に隣接する円環部7Gおよび7Hが互いに圧接するように連結されている。
【0022】
このように、球体部8A乃至8Gを設けることにより、互いに隣接する円環部7A乃至7H同士をより一層圧接させることができ、振動伝達効率の向上をより一層図ることができる。
【0023】
第二振動伝達体9は、図1および図4に示すように、エレキギターのヘッド部分およびネック部分を模しており、一つの風船から構成されている。第二振動伝達体9は、風船をその先端(図4において下端)から後端部(図4において上端部)に至るまで膨張させた棒状の棒状部9Aと、風船の後端部における複数の個所を捩じったり、折り曲げたり、折り曲げ部分同士を編み込んだりする等の加工を行うことでエレキギターのヘッド部分を模したヘッド意匠部9Bとを有している。
【0024】
第二振動伝達体9の棒状部9Aは、図4および図5に示すように、第一振動伝達体7の中空部Sのうち、一方の開口(図4および図5で見て上の開口)から中空部S内に圧入(挿入)される挿入部分9aと、この中空部Sから突出した突出部分9bとを有している。すなわち、棒状部9Aのうちの突出部分9bが、見た目上において、エレキギターのネック部分となっている。また、棒状部9Aの挿入部分9aは、中空部S内に圧入されることによって、第一振動伝達体7に圧接するようになっている。なお、中空部S内において、挿入部分9aの長さは、挿入部分の先端部が、中空部Sの他方の開口(図4および図5で見て上の開口。図6参照。)寄りの個所にまで延びる程度に設定されているが、これに限定されず、仕様に応じて、挿入部分9aの長さを適宜設定可能であることは言うまでもない。
【0025】
連結体11は、図1に示すように、円環部7Bと円環部7Cの間に位置する上の連結体11と、円環部7Eと円環部7Fとの間に位置する下の連結体11との2つが設けられているが、これらは互いに同一の構成をなしているため、上の連結体11(以後、単に「連結体11」と言う。)のみ説明し、下の連結体11については、その説明を省略する。
【0026】
連結体11は、図4に示すように、一つの風船から構成されており、この風船の先端から順に、第一充填部11a、第一非充填部11b、第一充填部11aよりも長い第二充填部11c、第二非充填部11d、第二充填部11cよりも太く形成された第三充填部11e、第三非充填部11f、第二充填部11cと同様な第四充填部11g、および風船の開口部(風船の後端部)でもある第四非充填部11hから構成されている。第一乃至第四非充填部11b、11d、11f、11hは、第一乃至第四充填部11a、11c、11e、11g内の空気が吐出しないように止め結び等の処理を施されている。なお、本実施形態の第二充填部11cおよび第四充填部11gは、空気が充填された充填部であるが、これに代えて、空気が充填されていない非充填部とするようにしても良い。
【0027】
第三充填部11eは、第一振動伝達体7の外側に位置しつつ第一振動伝達体7に圧接した外側部分11Kとされているとともに、見た目上において、エレキギターのピックアップ部分(特に上の連結体11)やブリッジ部分(特に、下の連結体11)を模している。また、第一充填部11a、第二および第四充填部11c、11g、第一非充填部11bは、円環部7Bと円環部7Cの間から中空部S内に圧入されている内側部分11Uとされている。この内側部分11Uは、図5に示すように、第三充填部11eとの間に、第一振動伝達体7の円環部7Bおよび円環部7Cと、第二振動伝達体9の挿入部分9aとを介在させるようにして、これらを括りつけて連結している。すなわち、連結体11は、第一振動伝達体7と第二振動伝達体9とが互いに圧接するように連結しているといえる。また、連結体11における第二および第四充填部11c、11gは、第一振動伝達体7の円環部7Bおよび円環部7Cと、第二振動伝達体9の挿入部分9aとに圧接している。換言すれば、連結体11も振動体3からの振動が伝達されるようになっているものであり、この観点で、連結体11については、振動体3からの振動を伝達する第5振動伝達体として捉えることも可能である。
【0028】
このように、第一振動伝達体7の外側に位置した第三充填部11eと、第一振動伝達体7の中空部S内に位置しかつ第三充填部11eとの間に第一振動伝達体7および第二振動伝達体9を介在させた第二および第四充填部11c、11gと、を有し、第一振動伝達体7および第二振動伝達体9を括り付けて連結する連結体11を設けることにより、第一振動伝達体7および第二振動伝達体9をより一層圧接させることができ、振動伝達効率の向上をより一層図ることができる。また、連結体11は、第一振動伝達体7の上下に互いに間隔をおいて2か所に設けられているので、振動伝達効率を向上させることができるとともに、第一振動伝達体7および第二振動伝達体9を安定して固定することができる。また、連結体11が、エレキギターのピックアップ部分やブリッジ部分を模しているため、ボディ部分を模した第一振動伝達体7やネック部分やヘッド部分を模した第二振動伝達体9とともに、よりリアルなエレキギターの外観を模すことができ、意匠性の向上を図ることができる。
【0029】
第三振動伝達体13は、図4に示すように、風船の先端部分を非充填部とし、風船の中間部分を充填部とし、風船の後端部分を非充填部とし、風船の先端部分および後端部分をそれぞれ捩じった上で止め結びした一方の振動伝達部13Aと、この一方の振動伝達部13Aと同様にして構成された他方の振動伝達部13Bとを有している。第三振動伝達体13は、その一方の振動伝達部13Aの先端部分と他方の振動伝達部13Bの先端部分とを止め結びし、その一方の振動伝達部13Aの後端部分と他方の振動伝達部13Bの後端部分とを止め結びすることで、ドーナッツのような円環状に形成されている。この円環状の第三振動伝達体13の中空部は、振動体3が圧入された圧入部Xとされている。第三振動伝達体13は、その圧入部Xに振動体3が圧入された状態(換言すれば、第三振動伝達体13が振動体3と圧接した状態)で、第一振動伝達体7の中空部Sのうち、他方の開口(図4でみて下の開口。図6で示す開口。)から中空部S内に圧入されて、第一振動伝達体7の中空部S内に収納されるようになっている。
【0030】
第三振動伝達体13は、第一振動伝達体7の中空部S内に収納されている状態においては、図5および図6に示すように、正面視で第二振動伝達体9の挿入部分9aの左側でかつ上下の連結体11の間(換言すれば、円環部7Cと円環部7Eとの間)に位置している。この状態で、第三振動伝達体13は、第一振動伝達体7における円環部7C乃至7Eの少なくとも一つと、第二振動伝達体9の挿入部分9aと、連結体11の第二および第四充填部11c、11gとにそれぞれ圧接している。これにより、振動体3の振動は、第三振動伝達体13を介して、第一および第二振動伝達体7、9と連結体11とに伝達されるようになっている。なお、中空部S内における第三振動伝達体13の配置位置は、上述の位置に限定されず、第一および第二振動伝達体7、9と連結体11とのそれぞれに圧接可能であれば、中空部内のどこに配置されていてもよいことは言うまでもない。
【0031】
上述した構成の音体感装置1は、例えば、音楽のライブやコンサートにて用いられる。音楽のライブやコンサートの観客が、エレキギターを模した音体感装置1をあたかも演奏するかのように抱きかかえることで、演奏中のエレキギターの音に基づいて振動している振動体3の振動が、第三振動伝達体13を介して、第一および第二振動伝達体7、9と連結体11とに伝達される。これにより、音体感装置1を抱きかかえる観客は演奏中のエレキギターの音を振動により体感する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の音体感装置1は、演奏中のエレキギターの形状を模しているため、ライブやコンサートに参加しているかのような一体感を得ることができるとともに、振動体3からの振動が第三振動伝達体13を介して第一および第二振動伝達体7、9と連結体11とに伝達されるようになっているため、従来における振動体の装着部分でしか振動を感じることができないものに比して、より広範囲で音の振動を体感することができる。
【0033】
具体的には、エレキギターの形状を模した音体感装置1において、エレキギターのネック部分を模した第二振動伝達体9の突出部分9bを左手で持ち、エレキギターのボディ部分を模した第一振動伝達体7を胸などに密着させ、ピックアップ部分やブリッジ部分を模した連結体11を右手で触った状態とした場合、上半身の略全体で振動を体感することができる。しかも、これらの第一および第二振動伝達体7、9と連結体11とは、互いに形状や大きさが異なるため、同じ音に対応する振動であっても、それぞれの振動伝達体7、9、および連結体11によって異なる固有の振動を発生させることができ、接触箇所に応じた異なる振動を楽しむことができる。これらの結果、興趣性の向上を図ることができる。
【0034】
また、本実施形態の音体感装置1の空気が充填された風船からなる振動伝達体5は、外部の音に対しても共鳴しやすいので、その内部に収納された振動体3からの振動(内部からの振動)のみならず、ライブやコンサート会場に設置されたスピーカーからの音に共鳴して振動(外部からの振動)することにより、演奏中のエレキギターの音に基づく振動でありながらも、より変化に富む振動を体感させることができる。しかも、上述のように、第一振動伝達体7の上の部分ほど高音が響きやすく、下の部分ほど低音が響きやすくなっているため、第一振動伝達体7に触れているだけで、演奏中のエレキギターの音の高低を容易に区別することができるので、演奏中のエレキギターからの音に対し、聴覚による音の高低のみならず、振動による音の高低も体感することができる。特に、聴覚障がい者であっても、今演奏中のエレキギターから出ている音が高音なのか低音なのかをリアルタイムで容易に判別することができるので、ライブやコンサートを楽しむことができる。
【0035】
さらに、本実施形態の音体感装置1は、振動体3からの振動を使用者に直接伝達するのではなく、振動体3からの振動を第三振動伝達体13に伝達させた後、第一および第二振動伝達体7、9と連結体11とを介して間接的に伝達させるようになっているため、振動体3からの振動が強くても、第一乃至第三振動伝達体7、9、13および連結体11によって緩和されて適度な振動を使用者に与えることができる。
【0036】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。
【0037】
本実施形態では、第一振動伝達体7を、複数の風船からなる円環部7A乃至7Hにて構成したが、これに代えて、筒状に形成された単一の風船を膨張させたものを第一振動伝達体7とするようにしてもよい。また、本実施形態では、円環部7Aを棒状に膨張させた2つの風船を結びつけることによって形成したが、これに代えて、棒状に膨張させた風船の両端部を結びつけることによって円環部7Aを構成するようにしてもよい。また、本実施形態では、第三振動伝達体13を二つの風船から構成したが、単一の風船によって第三振動伝達体13を構成してもよい。要は、第一乃至第三振動伝達体7、9、11、13を形成するのにあたり、用いる風船の数、大きさ、形状については特に限定されず、適宜の数、大きさ、形状の風船を用いることが可能ということである。また、第一振動伝達体7として、球体部8A乃至8Gを設けないようにしたものであってもよい。
【0038】
本実施形態では、2つの連結体11を用いているが、これに代えて、単一の連結体11を用いたり、あるいは、3つ以上の振動伝達体11を用いたりするようにしても良い。これについては、第一振動伝達体7、第二振動伝達体9、第三振動伝達体13についても同様のことが言える。例えば、第一振動伝達体7であれば、これを二つ設けて、互いに連結するようにしてもよいし、第二振動伝達体9を複数設けて、それぞれの第二振動伝達体9の挿入部9aを第一振動伝達体7の中空部Sに挿入する(見た目上、ネック部分が複数あるエレキギターの形状)ようにしたりしてもよい。さらに、本実施形態では、音源Gからの音に基づいた振動を発生させる振動体3を一つ設け、この振動体3に圧接した状態で中空部S内に収納される第三振動伝達体13を一つ設ける構成になっているが、これに代えて、振動体3が圧入された第三振動伝達体13を2つ設けて、中空部S内において、これら2つの第三振動伝達体13を図5で見て挿入部分9aの左右にそれぞれ配置するようにしても良い。
【0039】
本実施形態では、連結体11の内側部分11Uにおいては、内部に空気が充填された充填部である第二および第四充填部11c、11gを適用したが、これに代えて、これらの第二および第四充填部11c、11gを非充填部として、連結体11の内側部分11Uが非充填部とするようにしてもよい。このようにすることで、内側部分11Uが細長い紐状となるので、第一および第二振動伝達体7、9とをより一層連結しやすくすることができる。また、本実施形態では、連結体11にも振動伝達体としての機能を持たすために、複数の充填部11c、11g、11eを設けていたが、これらをすべて非充填部としても良い。このようにすると、連結体11全体を細長い紐状と成し、連結体11を第一および第二振動伝達体7、9の連結部材として特化させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 音体感装置
3 振動体
5 振動伝達体
7 第一振動伝達体
9 第二振動伝達体
9a 挿入部分
9b 突出部分
11 連結体
13 第三振動伝達体
図1
図2
図3
図4
図5
図6