(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063240
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】自己学習システムを用いて工作機械上での機械加工をシミュレーションするための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4069 20060101AFI20220414BHJP
G05B 19/4155 20060101ALI20220414BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20220414BHJP
【FI】
G05B19/4069
G05B19/4155 V
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021164410
(22)【出願日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】10 2020 212 798.0
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】521435857
【氏名又は名称】ディーエムジー モリ デジタル ジーエムビーエイチ
【氏名又は名称原語表記】DMG MORI Digital GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】キューン トミー
(72)【発明者】
【氏名】ニーダーウェストベルク ダニエル
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269BB07
3C269EF39
3C269EF69
3C269MN08
3C269MN40
3C269MN44
(57)【要約】 (修正有)
【課題】デジタル機械モデルの挙動を現実の工作機械に適応させ、工作機械上の機械加工プロセスをより効率的に最適化する。
【解決手段】自己学習人工ニューラルネットワークAAKIによってNC制御された工作機械上のワークピースの機械加工プロセスをシミュレーションするための方法及びデバイスであって、製造セクションFAに置かれた現実の工作機械上の機械加工プロセスと、シミュレーションセクションSAに実装されたデジタル機械モデルとの両方からのプロセスパラメータが、工作機械の挙動を学習するためにAAKIに提供され、数学的な変換によって入力パラメータE1~ENにフォーマット変更される。機械加工プロセスの挙動を学習することによって、今度は、AAKIが、出力ファイルF1をシミュレーションセクションSAのシミュレーションソフトウェアに送り返し、シミュレーションパラメータを適応させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NCデータ及び/又はPLCデータに応じて工作機械上のワークピースの機械加工プロセスをシミュレーションするためのコンピュータによって実行される方法であって、前記工作機械のデジタル機械モデルが、前記機械加工プロセスをシミュレーションするために用いられ、
- 前記NCデータ及び/又は前記PLCデータに基づいて、シミュレーションセクション(SA)において、前記デジタル機械モデル上で前記機械加工プロセスをシミュレーションすることによってデジタル機械加工プロセスを実行し、シミュレーションデータを記憶するステップと、
- 前記工作機械上の前記機械加工プロセスの機械加工データ(R1)を記録するステップであって、前記機械加工プロセスが、前記NCデータ及び/又は前記PLCデータに応じて実行される、ステップと、
- 前記デジタル機械加工プロセスの前記シミュレーションデータ及び前記工作機械上の前記機械加工プロセスの前記機械加工データを分析セクション(AA)に供給し、前記シミュレーションデータと前記機械加工データとをリンクするステップであって、前記分析セクション(AA)が、リンクされたデータに基づいて前記機械加工プロセスを分析するための機械学習デバイスを含み、前記分析セクション(AA)が、分析の結果を出力する、ステップとを含む、前記コンピュータによって実行される方法。
【請求項2】
前記分析セクション(AA)が、前記デジタル機械加工プロセスの前記シミュレーションデータ及び前記機械加工プロセスの前記機械加工データに基づいて、前記機械学習デバイスの前記工作機械、ツール、及び/又は前記ワークピースの挙動を学習し、前記挙動を好ましくは出力データセット(F1)として出力する、請求項1に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項3】
前記分析セクション(AA)の前記出力データセット(F1)が、前記デジタル機械加工プロセスを適応させるために、前記シミュレーションセクションにフィードバックされる、請求項1又は2に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項4】
前記シミュレーションデータを前記機械加工データにリンクするために、前記工作機械のセンサーデータが、特に、対応する動作、NCライン、及び/又は軸の位置の時間的な関連付けに基づいて、連続的なデータマッピングによって前記シミュレーションセクション(SA)の対応する分析データに関連付けられる、請求項1~3のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項5】
前記機械加工プロセスのシミュレーション、前記分析セクション(AA)への前記シミュレーションデータ(R2)の供給、前記シミュレーションセクション(SA)への前記出力データセット(F1)のフィードバック、及び前記出力データセット(F1)に基づく前記シミュレーションセクション(SA)におけるシミュレーションパラメータの変更が、前記機械加工プロセスの前記シミュレーションを継続的に適応させるためのプログラムループへと形成される、請求項1~4のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項6】
少なくとも1つのシミュレーションパラメータが、前記シミュレーションセクション(SA)内で前記分析セクション(AA)の前記出力データセット(F1)に基づいて変更され、
シミュレーションから生成された前記シミュレーションデータ(R2)又は前記シミュレーションデータ(R2)の少なくとも1つのプロセスパラメータが、前記分析セクション(AA)にフィードバックされる前にシミュレーションデータベース(DB2)に記憶される、請求項1~5のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項7】
前記機械加工データ(R1)内の各プロセスパラメータに関して、少なくとも1つの対応するプロセスパラメータが、前記シミュレーションデータ(R2)内に存在し、及び/若しくはシミュレーションプロセス内で生成され、それぞれの前記プロセスパラメータが、前記機械加工データ(R1)に関連付けられ、並びに/又は
前記機械加工データ(R1)及び前記シミュレーションデータ(R2)が、前記分析セクション(AA)内で比較され、前記機械学習デバイスのための入力パラメータが、前記機械加工データ(R1)及び前記シミュレーションデータ(R2)を比較することによって画定される、請求項1~6のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項8】
前記デジタル機械加工プロセスが、前記工作機械上の前記機械加工プロセスと並行して、又は前記工作機械上の前記機械加工プロセスの前に実行され、前記分析セクションに前記シミュレーションデータ及び前記機械加工データを出力することによって、現在の機械加工プロセスの性能データのリアルタイムの出力が可能にされ、好ましくは前記工作機械上の前記機械加工プロセスを最適化するための命令が出力される、請求項1~7のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項9】
前記機械学習デバイスが、前記機械加工データ(R1)及び前記シミュレーションデータ(R2)の選択されたプロセスパラメータ間の違いができる限り小さくなるようにして、前記機械加工プロセスのシミュレーションのシミュレーションパラメータを最適化するように構成された人工ニューラルネットワーク(AAKI)である、請求項1~8のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項10】
前記機械学習デバイスの学習及び前記シミュレーションプロセスの最適化が、前記工作機械上の前記機械加工プロセスと並行して及び/又は前記工作機械上の前記機械加工プロセスとは独立して前記機械学習デバイスによって実行される、請求項1~9のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項11】
前記機械学習デバイスによって出力された前記出力データセット(F1)が、拡張可能なテクノロジーデータベース(DB3)に記憶され、
前記機械学習デバイスが、学習プロセスのフィードバックのために前記テクノロジーデータベース(DB3)に記憶された前記出力データセット(F1)にアクセスする、請求項1~10のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項12】
前記機械加工プロセスと前記シミュレーションプロセスとの間で作業ステップをマッチングするために、同じNCデータが、前記工作機械上の前記機械加工プロセスのために、及び前記デジタル機械モデル上の前記機械加工プロセスのシミュレーションのために使用される、請求項1~11のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項13】
前記工作機械、ツール、及び機械加工される前記ワークピースの物理パラメータが、前記デジタル機械モデル上の前記機械加工プロセスのシミュレーションによって出力され、前記工作機械、前記ツール、及び機械加工される前記ワークピースの前記物理パラメータが、前記機械加工プロセス及び/又はそれぞれの作業ステップの時間に応じて画定される、請求項1~12のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項14】
それぞれの作業ステップを特定するための前記NCデータが、追加的なマーカーを与えられ、
前記工作機械及びデジタル工作機械モデルが、前記NCデータ内の前記マーカーを使用して解釈されることが可能であり、それによって、決定可能な時点で前記工作機械及び/又は前記デジタル工作機械がどの作業ステップ及び/又はどの位置にあるかを追跡することを可能にする、請求項1~13のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項15】
前記機械加工プロセスの作業ステップが、その他のシミュレーションデバイスにおける前記作業ステップの解釈のために構造データ(G3)としてさらに出力され、
前記工作機械及び前記デジタル機械モデルが、パーサによってその他のデータフォーマットから作業ステップ及び/又はプロセスの情報を抽出し、実行し得る、請求項1~14のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項16】
構造データ(G3)が、その他のシステムにおける作業ステップの解釈のためにXMLファイルとして、又はSTEPファイルとして出力される、請求項1~15のいずれかに記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項17】
NCデータ及び/又はPLCデータに応じて工作機械によってワークピースの機械加工プロセスを制御するための装置であって、
- 指定されたNCデータ及び/又はPLCデータを使用して前記ワークピースを機械加工するための工作機械、
- 指定された前記NCデータ及び/又は前記PLCデータに基づいてデ、ジタル機械モデル上で前記機械加工プロセスをシミュレーションするために前記工作機械とは独立して制御され得るシミュレーションデバイス、
- 前記シミュレーションデバイス内でシミュレーションパラメータを適応させるための、前記工作機械及び前記シミュレーションデバイスに接続された分析ユニットを備え、
前記工作機械が、前記工作機械上の前記機械加工プロセスの機械加工データ(R1)を前記分析ユニットに送信するように構成され、前記シミュレーションデバイスが、前記デジタル機械モデル上でシミュレーションされた前記機械加工プロセスのシミュレーションデータ(R2)を前記分析ユニットに送信するように構成され、
前記分析ユニット(AA)が、送信された機械加工データ(R1)及びシミュレーションデータ(R2)を使用して、前記分析ユニット内に配置された機械学習デバイスに前記工作機械、ツール、及び/又は機械加工されるワークピースの挙動を学習させ、前記機械学習デバイスの前記機械加工プロセスの分析の結果を出力するように構成される、前記装置。
【請求項18】
前記工作機械、前記シミュレーションデバイス、及び前記分析ユニットが、データ、特に、パラメータ及び/若しくは性能データ並びに/又はハードウェア及び/若しくはプログラムデータを互いに送信するように構成され、
前記データが、イントラネットを介して、及び/又はインターネットを介して送信される請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記シミュレーションデバイス及び前記分析ユニットが、前記工作機械上の前記機械加工プロセスとは独立しており、
前記分析ユニットが、前記機械学習デバイスの出力データセット(F1)を前記シミュレーションデバイスに送信することによって前記デジタル機械モデル上の前記機械加工プロセスを前記工作機械の前記機械加工プロセスと継続的にマッチングするように構成される、請求項17又は18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己学習人工ニューラルネットワークによって工作機械上のワークピースの機械加工プロセスをシミュレーションするための装置及び方法に関し、人工ニューラルネットワークは、現実の工作機械とデジタル機械モデルとの両方から機械加工プロセスのプロセス及びパラメータデータを受信することができ、それらを使用してシミュレーション及び/又は現実の機械加工プロセスを最適化する。
【背景技術】
【0002】
今日のワークピースの機械加工プロセスの複雑さの継続的な増大により、特にワークピースの機械によって実行される、又は機械によって支援される機械加工の領域では、新しいタイプの工作機械は、通常、多数の増大する質的又は経済的要件に直面する。ますます困難になるプロセスの仕組みは、機械力学、駆動系、又は制御系の改善された機能をともなう一層強力な及び/又は高精度な機械運動学(machine kinematics)を必要とするが、ほとんどの場合、増加したセットアップ時間と、困難で、損失をともない、特にコストのかかる試運転とをやはりもたらす。
【0003】
工作機械のシミュレーションは、デジタル工作機械モデル上でそれぞれのワークピースの機械加工プロセスの過程を再現することが好ましい。この目的で、多質点モデル(multi-mass model)、幾何学的運動学(geometric kinematics)、又は有限要素モデルなどのさまざまな機械モデルが、機械要素及びワークピースの物理特性及び相互作用を記述するために使用され、機械要素を動かすための制御ソフトウェアと組み合わされる。さらに、ワークピースとツールとの間の貫入計算(penetration calculation)に基づくプロセスのシミュレーションも、有利に使用される可能性がある。
【0004】
欧州特許第1901149(B1)号明細書は、特に、現実の工作機械上のセンサによって記録された要素のデータ又は挙動を統合し、したがって、実装された機械モデルの制御の記述を改善することを可能にするデータ構造がシミュレーションに統合された、工作機械上でワークピースを機械加工するためのシーケンスを画定するための機械のシミュレーションを示す。
【0005】
さらに、国際公開第2012/168427(A1)号パンフレットは、CNC制御されたサブプロセスが並列に動作する異なるプロセッサコアに分散されることが可能であり、したがって、シミュレーションプロセスを高速化するために並列に計算されることが可能である、仮想マシンを使用する工作機械上の作業プロセスの機械のシミュレーションを示す。
【0006】
しかし、先行技術によるツールの機械加工プロセス内の工作機械のシミュレーションにおいては、工作機械、使用されるツール、及び/又はワークピースのすべての状態パラメータ、並びに特にそれらの物理特性の時間的展開の厳密な指定が多大な労力なしには不可能であるという問題が常に存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1901149(B1)号明細書
【特許文献2】国際公開第2012/168427(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の1つの目的は、先行技術の上述の問題を解決し、特に、プロセスのシミュレーション内のデジタル機械モデルを現実の工作機械の状態及び特性に適応させることを可能にする、工作機械上のワークピースの機械加工プロセスをシミュレーションするための方法及びそのような機械加工プロセスをシミュレーションするための装置を提供すること、並びに/又はそれを可能な限り効率的で、安価で、迅速に改善することである。さらに、シミュレーション及び関連するシミュレーションパラメータの適応を、それが自動化され、したがって、できる限り人間の誤った判断と無関係に実行され得るようにして最適化することが、目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
独立請求項の特徴は、上述の目的を達成するために提案される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態に関連する。
【0010】
シミュレーションされた機械加工プロセスと現実の機械加工プロセスとの間の比較データを収集し、それらの比較データをシミュレーションの効果を改善するために方法の分析セクションに実装された人工知能(AI,artificial intelligence)に供給するために、デジタル機械モデル上で方法のシミュレーションセクションにおいて実行された機械加工プロセスのシミュレーションによるシミュレーションデータの生成と、方法の独立した製造セクションにおいて実施された現実の工作機械上の機械加工プロセスの機械加工データの記録とを使用するように構成される、工作機械上のワークピースの機械加工プロセスをシミュレーションするための方法及び装置を詳述する。人工ニューラルネットワークが、人工知能として使用されることが有利であり、シミュレーションデータを記憶するためのデータモデルが、連続時間(time-continuous)データモデルとして構成されることが特に有利である。
【0011】
デジタル機械モデル及び現実の工作機械の制御は、予め画定されたNC及び/又はPLCデータに応じて実行されることが好ましく、分析セクションは、その分析セクションがAIマシンにシミュレーション及び機械加工データを供給することによって工作機械、少なくとも1つのツール、及び/又はワークピースの挙動を学習し、例えば、シミュレーションの特性を変更する及び/又は最適化するためのシミュレーション変更パラメータを出力データセット(プロセス制御、予測、及び最適化のためのAIの出力)として出力するように構成される。さらに、AIによってモデル化された状態が、実際の工作機械の状態を解釈し、最適化するために使用される可能性がある。
【0012】
本発明は、特に自己学習AIによる、機械加工プロセスシミュレーションとも呼ばれるシミュレーションの(好ましくは自動的)改善により、したがって、好ましくは独立して働き、したがって、さらなる休止又は待ち時間を必要としない、先行技術と比較してより高精度であり、同時により費用対効果が高く、効率的なシミュレーション環境を生成する。加えて、結果として得られるシミュレーションデータを評価し、解釈することは、特に、工作機械内のあり得る非効率的設定が機械加工プロセスのシミュレーションによって迅速に、複雑なセンサーの助けなしに認識されることが可能であり、それぞれの作業ステップのために調整されることが可能であるので、実際のツールの機械加工プロセスの簡素化され、それと同時に高精度の最適化を可能にする。
【0013】
好ましくは、シミュレーションセクション内のシミュレーションされた機械加工プロセスの変更が、それが同じ変更を行われる限り、可能な限り厳密な工作機械上の機械加工プロセスの結果についての予測(機械加工プロセスの分析)を出力し得るように、デジタル機械モデルは、既に、AIによる最適化の前でさえも可能な限り正確である機械加工セクションの工作機械の作り直し、特に好ましくは、デジタルツイン(現実の工作機械のデジタルイメージ)である可能性がある。
【0014】
同時に、好ましくは、分析セクションに配置されたAIは、上述の学習プロセスによって、そのAIがデジタルツールモデルの機械加工プロセスと機械加工セクション内の工作機械の機械加工プロセスとの違いを認識することができ、シミュレーション変更パラメータの出力による機械加工プロセスのシミュレーションの自動的改善のために使用され得るように構成される可能性がある。
【0015】
例えば、好ましい例示的な実施形態において、AIは、シミュレーションされた機械加工プロセスと工作機械上の機械加工プロセスとの間の可能な限り小さな違いが実現されるように、シミュレーション変更パラメータの出力によって、シミュレーションされた機械加工プロセスの状態を工作機械の機械加工プロセスに適応させるように構成される可能性がある。これは、特に、シミュレーションプロセスを高精度で適応させることによって、それぞれの機械加工プロセスに関するより高精度で、したがって、より現実的なシミュレーションの予測がなされ得るだけでなく、これらが工作機械上の機械加工プロセスのより高精度な最適化のために使用され得るという利点を有する。
【0016】
さらなる好ましい例示的な実施形態において、AIは、工作機械、機械加工されるワークピース、及びさまざまなツールの挙動を学習することによって、シミュレーションセクションにおいて(例えば、回転速度、移動経路、使用されるツール、ワークピースの形状(geometry)、又はプロセスの軌跡(process trajectory)を変更することによって)将来の機械加工プロセスの最も効率的な設定の変形(又は現在実行されている、つまり、現在進行中の実際の機械加工プロセスと平行したリアルタイムの最適化パラメータの提供)をさらに使用するように構成される可能性もある。言い換えると、AIは、好ましくは既存のシミュレーションされたプロセスを最適化すること、及び/又は適応させることによるのみでなく、シミュレーションプロセスに先行する(又は現実の機械加工プロセスと平行した)予測方法によっても機械加工プロセスのシミュレーションを改善するために使用される可能性がある。この目的で、一方で、知られているデータ構造があらゆる最適化方法において保たれ、したがって、効率的に使用され、他方で、シミュレーションされた及び/又は現実の機械加工プロセスのすべての慣らし運転(run-in)の時間がAIによって生成された予測により最小にまで減らされ得るように、シミュレーションデータは、出力データセットに統合されたシミュレーション変更パラメータによって記述されることが、やはり好ましい可能性がある。
【0017】
好ましくは、シミュレーション変更パラメータを含む分析セクションの出力データセットは、機械加工プロセスのシミュレーションを最適化するため、例えば、好ましくは、閉じたプログラムのループが生成され、それぞれのシミュレーションが最適に構成され得るように、シミュレーションされた機械加工プロセスを工作機械の機械加工プロセスとマッチングする及び/又は効率的なプロセスシーケンスを予測するためにシミュレーションセクションにフィードバックされる可能性がある。
【0018】
シミュレーションセクションへの出力データセットの導入は、分析セクションによって変更されるものとして宣言されたシミュレーションパラメータのうちの少なくとも1つのシミュレーションパラメータ、ただし、好ましくはすべてが分析セクションの出力データセットをシミュレーションセクションに統合することによって調整されるようにしてシミュレーションソフトウェアに関連付けられることが好ましい可能性がある。この目的で、出力データセットの個々のシミュレーション変更パラメータは、例えば、デジタルシミュレーションマーカーを与えられることが好ましい可能性があり、デジタルシミュレーションマーカーは、シミュレーションソフトウェア内で読み取られ、シミュレーションマーカーに関連するシミュレーションパラメータをシミュレーション変更パラメータとして記憶された値に設定するようにシミュレーションソフトウェアに命令することが好ましい。人工ニューラルネットワークは、機械加工データの選択されたプロセスパラメータとシミュレーションデータの選択されたプロセスパラメータとの間の可能な限り最も小さな違いが生じるようにして機械加工プロセスのシミュレーションのシミュレーションパラメータを最適化するように構成されることがやはり有利である可能性がある。
【0019】
出力データセットのシミュレーション変更パラメータは、ツールの機器又は機械要素の形状、研磨又は切削の条件、機械又はワークピースの要素の軌跡又は物理特性(温度、弾性、摩擦係数など)などの、変更されるシミュレーションソフトウェアのシミュレーションパラメータのうちのさまざまな、好ましくはすべてのシミュレーションパラメータを含む可能性があるが、完全な一連のコマンド又は設定に対する基本的な変更、例えば、それぞれの機械モデルの選択も含む可能性があり、それによって、シミュレーションを最適化するための最大の数の自由度を人工知能に与える。同様に、分析セクションの出力データは、それぞれの速度の読み込み及び読み出し速度があり得るパーサを省略することによって最適に使用され得るように、シミュレーションセクションのシミュレーションデータ及び製造セクションの処理データと同じデータフォーマットを有することが好ましい可能性がある。
【0020】
特に好ましい実施形態において、少なくとも、機械加工プロセスのシミュレーション、分析セクションへのシミュレーションデータの供給、シミュレーションセクションへの出力データセットの導入、及び出力データセットに基づくシミュレーションパラメータの設定を含むプログラムのループが、反復的に、好ましくは自動で実行される可能性があり、反復の回数nは、少なくともn≧1である。上述のように、例えば、変更されたワークピース及び/又は変更されたツール若しくはツールの設定を用いる新しい機械加工プロセスが、各反復においてシミュレーションセクション内で実行されることが好ましい可能性があり、AIに教えられ、それによって適応させられる可能性があり、それによって、各反復ステップにおいて継続的に発展する最適化方法を生成させる。
【0021】
プログラムのループの反復の中の、互いに不可欠なプロセスのステップは、淀みのない方法として理解される可能性があり、それらのプロセスのステップは、まず、AIによって学習された情報に基づく出力データセットのシミュレーションセクションへの送信から始まることが好ましい可能性があり、それによって、出力データセットに実装されたシミュレーション変更パラメータに基づいて実際のシミュレーションの前にシミュレーションパラメータを最適化することを可能にする。次のステップにおいて、それから、それぞれの機械加工プロセスのシミュレーションが、実行される可能性があり、このようにして得られた結果データが、AIに教えるためのプロセスパラメータとして人工知能を含む分析セクションに供給される可能性がある。後者は、シミュレーションセクションのプロセスパラメータと機械加工セクションにおいて工作機械上で生成されたプロセスパラメータとの両方が分析セクションにおいて記録され、互いにリンクされ、それからAIに教えるために使用される入力パラメータとしてAIに直接送信されるようにして実行されることが好ましい可能性がある。したがって、そのようなプログラムのループは、AIが工作機械、ワークピース、及びツールについての新しい情報を絶えず受信し、それを学習するので、あらゆるさらなる機械加工プロセスのシミュレーションによってシステムの改善された最適化能力が示されることを可能にする。
【0022】
しかし、言及されたプロセスのステップのアクションのシーケンス及びモードは、言及された例示的な実施形態に限定されない。例えば、機械加工プロセスのシミュレーションが、第1のステップとして実行されることが好ましい可能性があり、このようにして取得されたプロセスパラメータが、現在のシミュレーションの「実際の値」としてAIに供給される可能性があり、AIが、それを解釈し、そして、今度は出力データをシミュレーションセクションに転送することによって最適化する可能性がある。
【0023】
同様に、最適化プロセスは、機械加工セクション内の又は工作機械上の機械加工プロセスとは独立して実行されることも好ましい可能性がある。特に好ましい例示的な実施形態において、AIは、例えば、以前の学習フェーズにおいて取得された工作機械、ワークピース、及びツールについての情報/知識を使用するだけであり、したがって、オペレータの/ユーザの希望に従ってそれぞれのシミュレーションを最適化する可能性がある。AIの学習が実際のシミュレーションの前に完了されることが可能であるか又は後の時点で拡張されることが可能であり、指定された最適化プロセスの最大限の柔軟性をもたらすように、機械加工セクションの追加のプロセスパラメータが、例えば、工作機械上で後で実行される、又は前に実行された機械加工プロセスによって生成される可能性がある。
【0024】
シミュレーション及び機械加工データのプロセスパラメータは、それらが機械加工プロセスに関連する情報、つまり、実際の(現実の)又はシミュレーションされた工作機械、使用されるツール、及びワークピースの特性のみを含み、少なくともシミュレーションデータのプロセスパラメータの場合、好ましくは、上位のシミュレーションの設定に関連する情報(例えば、使用されるシミュレーションモデル又はシミュレーション機能からの情報)を含まないようにして、機械加工プロセスのシミュレーションのシミュレーションパラメータと異なることが好ましい可能性がある。したがって、この場合、手動の最適化プロセスに従事する人と同様に、AIは、シミュレーションを教え、最適化するために利用可能な工作機械上で測定され得る学習パラメータのみを有し、したがって、前者による人為的なエラー又は誤った判断の発生を最小限にまで減らす。
【0025】
好ましくは、シミュレーションデータも、少なくとも機械加工データの各プロセスパラメータに関して、等価なプロセスパラメータが存在するか、又はシミュレーションデータから生成させることが可能であるか、又はシミュレーションデータ内の個々のプロセスパラメータから導出されることが可能であり、それによって、AIのために使用される訓練パラメータの数をさらに最大化し、したがって、AIができる限り多様に訓練されることが可能であるようにして生成される可能性がある。本発明の特に好ましい実施形態において、シミュレーション及び機械加工データ内の個々のプロセスパラメータのデータセットは、時間に依存する可能性もあり、シミュレーションデータ内の少なくとも1つの対応するプロセスパラメータが、機械加工データのプロセスパラメータの任意の時点で存在し、機械加工データのプロセスパラメータに割り振られ得ることが好ましい。
【0026】
シミュレーションセクションのプロセスパラメータの機械加工セクションのプロセスパラメータへの説明されたリンクの他に機械加工プロセスのシミュレーションによるシミュレーションデータの通常の生成も、これらがAIの学習のための比較データとして使用され得るのみでなく、好ましくは、工作機械上の(例えば、現在進行中の)機械加工プロセスに関する直接的な結論を可能にすることもできるという利点をやはり有する。シミュレーションから生成されたデータ、例えば、個々の機械又はワークピース要素の摩耗、温度、又は動きのデータを使用して、ユーザ/従業員は、工作機械上のエラー又は誤った設定を特定する可能性もあり、したがって、機械加工プロセスを最適化するために(例えば、平行して実行されている)機械加工プロセスのシミュレーションの助けを借りて対策を取る可能性がある。言い換えると、AIによる言及された最適化プロセスは、分析のため及び/又は機械加工プロセスのより高精度なシミュレーションのために使用され得るだけでなく、機械加工プロセスがより効率良く、より高い品質で実行され得るように機械加工セクションの工作機械を最適化するのに役立ち得る。
【0027】
特に好ましい例において、これらの対策は、好ましくはシミュレーションセクションと機械加工セクションとの間のフィードバックによって完全に自動的に行われる可能性もあり、したがって、AIのさらなる最適化プロセスとみなされる可能性がある。機械加工セクションとシミュレーションセクションとの両方に存在するプロセスパラメータ(例えば、PLC及び/又はNCデータ、ツールの選択又は速度)は、例えば、シミュレーションセクションから工作機械に時間に依存して送信される可能性もあり、機械加工プロセス内の工作機械の改善された制御のために使用される可能性がある。さらなる例示的な実施形態において、これらのプロセスパラメータは、AIの出力ファイルの助けを借りて直接送信される可能性もある。言い換えると、AIは、AIが工作機械上の機械加工プロセスとデジタル機械モデル上の機械加工プロセスとの両方を制御することができ、したがって、機械加工セクション及びシミュレーションセクションにおいて出力ファイルを実施することによってそれらを同時に最適化することができるようにして構成されることが好ましい可能性もある。したがって、そのような方法は、以前の作業プロセスに基づいて機械加工プロセスを独立して改善し、それによって、AIの訓練のレベルに応じて、最適化プロセスの時間及びコストを最小限にまで減らす可能性があるのみでなく、機械加工プロセスにとって重要な大量の情報が取得され得るデジタル機械モデルを保証する可能性がある。
【0028】
方法をさらに改善するために、シミュレーション及び機械加工セクションのプロセスパラメータは、好ましくはそれぞれの製造若しくはシミュレーションセクション上での生成の後、又は分析セクションに供給される前にも、この目的のために設けられたデータメモリにさらに記憶される可能性があり、対応するシミュレーションデータが、反復ループに実装されたシミュレーションデータベースに追加されることが好ましく、製造セクションのプロセスパラメータが、シミュレーションシーケンスと別れているか又は独立して配置され、それぞれのオペレータに関してアクセス可能であると宣言される可能性がある製造データベースに追加される。これは、オペレータが以前のAIの判断の結果を後の時点で、例えば、さらなる学習及び/又は最適化の反復の後に見て、必要であればそれらの結果を評価し、それらの結果を使用して特定の機械加工プロセスの改善又は変更を採用することもできるという特定の利点を有する。さらに、それぞれのデータベースへの個々のプロセスパラメータの中間的な記憶は、誤った又は不十分な結果のパラメータが発生した場合にAIが以前の学習段階にリセットされることを可能にする。
【0029】
AIによって機械加工プロセスを学習し、最適化するために、好ましくはシミュレーション及び製造データベースからのシミュレーションセクション及び製造セクションのいくつかのプロセスパラメータが、分析セクションに導入される可能性もあり、分析セクションにおいて、それらのプロセスパラメータは、比較によってAIに適応させられた個々の入力パラメータに変換され、後者に供給される。入力パラメータは、プロセスパラメータ自体、又は機械加工セクションにおいて実施される機械加工プロセスとシミュレーションされた機械加工プロセスとの間のそれらのプロセスパラメータの直接的な比較に限定されないことが好ましく、AIがオペレータの希望に従って自由に教えられることが可能であり、機械加工プロセスのシミュレーションを最適化するために使用されることが可能であるように、例えば、複数のプロセスパラメータの組合せ、プロセスパラメータ又は関連する機能に基づく機械的、経済的、又は質的評価を表す可能性もある。
【0030】
さらに、これらの入力パラメータを生成するために、分析セクションは、複数の処理セグメントを含むが、好ましくはAIへの入力の上流に又はAIへの入力と並列に接続される少なくとも1つのデータリンクセクション及びデータ解釈セクションを含むことが好ましい可能性がある。データリンクセクションは、データリンクセクションが製造データベース及びシミュレーションデータベースに記憶されたシミュレーション及び機械加工データを受信し、それに応じて比較可能なプロセスパラメータを検索し、それらのプロセスパラメータをデータバンドルとしてまずリンクし、それらをデータ解釈セクションに転送するようにして構成されることが好ましい可能性があり、対応するシミュレーション及び機械加工データをリンクすることは、継続的なデータマッピングによって実施されることが好ましい可能性がある。(特に、連続時間マッピング方法が、使用される可能性があり、マッピングは、例えば、実行される動作/機械加工のステップ、NCライン(NC line)、及び/又は軸の位置の関連付けによって有利に実行される。)そして今度は、データ解釈セクションが、特に好ましい実施形態においては、リンクされたシミュレーション及び機械加工データをこの点で分析し、それらをその他のデータバンドルと比較し、それらからAIのための任意の数の入力パラメータを生成される可能性があり、また、データ解釈セクションは、それらの入力パラメータを人工知能に転送する。好ましくは互いに独立して働くそのような処理セグメントの助けを借りて、AIへの入力パラメータの反復される供給のための最適化された特に高速な方法が、実施されることが可能であり、方法は、例えば、処理セグメントを制御するために実施されるコードによって好ましくは追加的な入力インターフェースを通じてそれぞれのオペレータに関して自由に調整され得る。
【0031】
さらに、入力パラメータを最終的に取得する人工知能は、処理セグメントの出力に直接接続され、クラスター法、サポートベクターマシン、又は特に好ましくは人工ニューラルネットワークとして構成されることが好ましい可能性がある。後者は、最適な改善方法が最適化される機械加工プロセスの複雑さに応じて選択され得るように、分析セクション内でやはり変更され得る典型的なネットワーク構造、例えば、単又は多層順伝播型又は再帰型ネットワークを有することが好ましい可能性もある。シミュレーションされた機械加工プロセスを最適化するために、所望の活性化関数を用いる人工ニューラルネットワークの任意の学習アルゴリズムが、さらに実施される可能性があり、前記アルゴリズムは、少なくとも、人工ニューラルネットワークの助けを借りて生成されたシミュレーション変更パラメータ又はシミュレーションパラメータが、例えば、シミュレーションを工作機械上の状態又は新しいプロセスのシミュレーションのための目標とされる設定の予測に適応させることによって機械加工プロセスのシミュレーションの所望の最適化を最終的にもたらすようにして構成されることが好ましい。
【0032】
上述のように、シミュレーションされた機械加工プロセスを最適化するためのAIの使用は、それがそれぞれの問題又はオペレータのそれぞれの好みにさまざまに適応させられることが可能であり、人の介入なしに最適化プロセス中に動作させられることが可能であり、特にそれが時間及び労働コストを最小化するという利点を有する。しかし、さらに、その他の目的も存在し、つまり、特定の好ましい実施形態においては、AIの学習及びAIによるシミュレーションプロセスの最適化が、工作機械上のそれぞれの現実の機械加工プロセスと並行して及び/又は独立して実行される可能性もあり、それが、さらなる時間の節約につながる可能性がある。同様に、AIの訓練プロセスは、その訓練プロセスが、例えば、機械加工が始まる前に複数の訓練データセットを利用可能にすることによってシミュレーション及び処理プロセスに先行するセグメントにおいて実行されるようにして構成される可能性もある。特に、このように、訓練データは、当然、それぞれの工作機械の構造又はそれぞれの機械加工プロセスに必ずしも依存しなくてもよく、したがって、より多くの特定の学習フェーズのための最適な基礎を提供する可能性があるので、既に訓練されたネットワークが、複数のプロセスのシミュレーションのために使用されることも可能である。したがって、人工ニューラルネットワークは、シミュレーション及び機械加工プロセスに先行する訓練プロセスにおいて訓練データセットを用いて訓練される可能性がある。
【0033】
さらなる好ましい例示的な実施形態において、AIは、導入されたシミュレーション変更パラメータが見られることと、AIに返されることとの両方が可能である拡張可能なテクノロジーデータベースに生成された出力データセットを記憶する可能性もある。したがって、一方で、オペレータがシミュレーション変更パラメータに基づいて各反復において生成されたシミュレーションデータを理解することができ、適切な場合にそれらのシミュレーションデータを使用し続けることができる可能性があり、他方、好ましくは、後者が、例えば、個々のシミュレーション変更パラメータを再帰型ネットワークシステムに再び追加することによって上述の学習及び最適化プロセスをさらに改善するために使用されることも可能である。さらに、少なくとも、テクノロジーデータベース、シミュレーションデータベース、及び製造データベースは、オペレータ又は製造業者の他に外部の従業員も記憶されたデータに効率的にアクセスし、例えば、好ましくは複数の工作機械のためのさらなる機械加工又は変更プロセスためにそれらのデータを使用することができるように、外部システム、例えば、クラウド又は外部ネットワーク内に配置されることが好ましい可能性がある。
【0034】
シミュレーション及び製造セクション内の機械加工プロセスに関して概して同じ要件を保証するために、2つの方法のセクションは、さらなる特性を含む可能性もある。例えば、シミュレーションセクション内に実装されたデジタル機械モデルは、工作機械、使用されるツール、及び機械加工されるワークピースの全体形状を生成するが、少なくとも、それらの現実の等価物に応じて対応する機械加工プロセスのために必要とされる部分を生成することが好ましい可能性がある。さらに、極めて好ましい例示的な実施形態においては、工作機械の個々の機械要素を制御するために使用されるNCデータ及び/又はPLCデータが、デジタル機械モデルのシミュレーションされた要素を動かすために同じ形態で使用される可能性もあり、その結果、現実の工作機械の厳密なデジタルコピーが、シミュレーションセクション内で利用可能である。
【0035】
デジタルツインとして既に説明されたそのような機械モデルは、機械加工プロセスのシミュレーションの任意の特性又は結果が現実の工作機械のデータと直接比較され得るという特定の利点を有する。さらに、そのようなモデル上の機械加工プロセスのシミュレーションは、現実には決定することが難しい、又は多大な労力によってのみ決定され得る工作機械又はツール及び/又は機械加工されるワークピースの物理パラメータ、例えば、温度、弾性、摩擦係数などを出力することが好ましい可能性もあり、したがって、機械加工プロセス内のすべての問題を迅速で効率的に特定することができる。特にこの理由で、デジタル機械モデルは、したがって、少なくともこれらの物理パラメータの時間に依存するデータ系列を出力することが好ましい可能性もあり、それらのデータ系列は、例えば、それぞれの機械加工プロセス及び/又はそれぞれの作業ステップの時間に応じてデータ系列にリンクされる追加的な時間及び位置マーカーによって画定される可能性があり、プロセスパラメータとして出力される可能性がある。
【0036】
デジタル機械モデル及び現実の工作機械の同等性を同時にさらに改善するために、製品分析セクションの間に実行されたそれぞれの場合に使用された工作機械の要素、ワークピース、及び/又はツールの分析が、好ましくは現実の工作機械上の機械加工プロセスの間に及び/又は後に現実の工作機械上で実行される可能性もあり、分析は、例えば、工作機械に実装されたセンサー又は外部に取り付けられた分析ユニットによって実施される可能性がある。ここでもやはり、収集されたデータが、プロセスパラメータとして画定され、上述の製造データベースに記憶されることが好ましい。
【0037】
さらに、デジタル機械モデル及び現実の工作機械を画定するために使用された上述のNC及び/又はPLC及び形状データが、機械加工プロセスの前に入力データ前処理セクションにおいてプロセスの成長に適応させられることが好ましい可能性がある。例えば、少なくとも工作機械上及びデジタル機械モデル上のNC及び/又はPLCデータによって画定された機械加工プロセスの作業ステップが、上流のCAD/CAMシステム上で最初に生成させることが好ましい可能性があり、動作ファイルとしてCAD/CAMシステムから言及された入力データ前処理セクションに転送される可能性があり、動作ファイルは、例えば、工作機械及びワークピースの形状、個々の要素の動きのシーケンス、並びに/又はUUIDなどの識別構造についての情報を有する全般的なデータパッケージとして理解されるべきである。動作ファイルのデータフォーマットに応じて、入力データ前処理セクションは、さらなる処理の前に前者を好適な入力フォーマットに変換する1又は2以上のパーサを含む可能性もあり、入力データ前処理セクション自体が、異なってフォーマットされる及び/又は外部で生成される動作ファイルを処理することができる。
【0038】
それから、CAD/CAMシステムにおいて作られた動作ファイルは、入力データ前処理セクション内でNCデータフォーマットに変換される可能性があり、製造セクションに転送されるか、又は同様にフォーマット変更される、シミュレーションされる工作機械、ツール、及び/若しくは機械加工されるワークピースの対応する製造及びステータスデータとともにシミュレーションセクションに転送される可能性がある。これは、動作ファイルがそれぞれのシミュレーションサイクルとは独立してフォーマット変更される可能性があり、したがって、不必要にシミュレーションサイクルを邪魔する又はシミュレーションサイクルを遅くすることがないという特定の利点を有する。
【0039】
さらに、それぞれの作業ステップを特定するために動作ファイルをNCフォーマットにフォーマット変更した結果として、現実の工作機械及びデジタル工作機械モデルが、例えば、制御モデルの助けを借りて、機械加工プロセス内のステップマーカーを解釈することができ、したがって、(デジタル)工作機械が現在どの作業ステップにあるかを機械加工プロセス中に理解することができるように、追加的なステップマーカーが、NCデータに挿入されることが好ましい可能性がある。
【0040】
さらなる好ましい実施形態においては、NCデータに既に記憶された作業ステップが、フォーマット変更された構造ファイルとして、例えば、その他のシミュレーションシステムにおける解釈のためにXML又はSTEPファイルとして入力データ前処理セクションからさらに出力される可能性があり、その結果として、上述のフォーマットプロセスが、それぞれのシミュレーションエンジンを変更するときにやはり使用されることが可能であり、したがって、シミュレーションプロセスとは独立して見られることが可能である。同様に、他方で、工作機械及びデジタル機械モデルは、前記作業ステップ及び/又はプロセスの情報が、例えば、さらなるパーサモジュールによってその他のデータフォーマットから取得され、転送し、含まれるそれぞれの作業ステップを実施するために解釈されることが可能であり、それによって、好ましくはその他のシミュレーションネットワークとの通信又は異なるシミュレーションの並列処理さえも可能にするようにして構成されることが好ましい可能性もある。
【0041】
手短に言えば、上述の特徴に基づいて、工作機械上で使用される機械加工プロセスの分析及び改善のためのシミュレーションがシミュレーションのデータと工作機械のデータとの両方に基づく比較データによるAIの学習プロセスを使用してそれぞれの現実の機械加工プロセスの特性に最適に適応させられることが可能であり、したがって、引き続き成長させられるべき機械加工プロセスを予測するために使用されることが可能である、自己学習人工知能を使用して工作機械上の機械加工をシミュレーションするための方法が、実施され得る。ここで、シミュレーションの最適化プロセスは、主に、シミュレーションセクションにおいて実施されるデジタル機械モデル上の機械加工プロセスのシミュレーションの実行と、分析セクションに配置された人工知能へのプロセスパラメータとしてのシミュレーション結果の転送と、シミュレーションセクションのプロセスパラメータと工作機械のプロセスパラメータとの比較に基づく人工知能の学習と、AIによって生成された出力ファイルによるシミュレーションセクションへの変更されるシミュレーションパラメータのフィードバックとを含むことが好ましい。必要な最適化ステップは、独立して又は現実の工作機械上のそれぞれの機械加工プロセスと平行して実行される可能性もあり、AIに教えた後に完全に自動で実施されることが可能であり、これは、実際の製造前に実行されることも可能である。さらに、方法は、同一のNCデータと、シミュレーションの場合には形状データとが現実の工作機械とデジタル機械モデルとの両方を制御するために使用され、それが、現実の機械加工プロセスの厳密なデジタルコピーの生成を可能にし、工作機械、ワークピース、及び使用されるツールに関する追加の分析によってサポートされるという利点を有する。
【0042】
したがって、上述の特徴を実現し、自己学習人工知能によって工作機械上のワークピースの機械加工プロセスをシミュレーションするために使用され得る対応する装置が、実装されることが好ましい可能性もある。
【0043】
したがって、この装置は、上述のNCデータを使用してそれぞれのワークピースを機械加工するための少なくとも1つの工作機械と、デジタル機械モデル上で機械加工プロセスをシミュレーションするための、工作機械とは独立して制御され得るシミュレーションデバイス、例えば、メインフレームコンピュータ又はサーバと、実装された人工知能によって、シミュレーションデバイス内のシミュレーションパラメータを適応させ、工作機械、使用されるワークピース、及び/又はツールの挙動を学習し、出力データセットを使用してその結果を出力するように構成される、工作機械及びシミュレーションデバイスに接続された分析ユニットとを含むことが好ましい可能性がある。さらに、工作機械は、機械加工プロセスの間に又は後に生成された機械加工データを、シミュレーションデバイスにおいて作られたシミュレーションデータと同等に分析ユニットに転送するように構成され、それによって、分析ユニットとシミュレーションデバイスとの間の上述のプログラム又は反復ループが生じる可能性がある。
【0044】
同様に等価的に、プロセスのシミュレーションの別々の最適化のために、少なくとも分析ユニット及びシミュレーションデバイスは、AIによって案内される複数の最適化プロセス又はシミュレーションプロセスが上述のプログラムのループによって反復的に実行され得るが、これらのプロセスが、例えば、さらなる情報によって対応するデータベースにアクセスすることにより工作機械のプロセスパラメータを用いていつでも拡張されることがやはり可能であってよいように、工作機械の機械加工プロセスとは独立して働くことが好ましい可能性もある。
【0045】
個々の装置の要素の間で情報を転送するために、工作機械、シミュレーションデバイス、及び分析デバイスは、それらが互いに独立してデータを送信することができ、特に、上述のシミュレーション及び機械加工データ並びに分析デバイスによって生成された出力ファイルの他にハードウェア及び/又はプログラムデータも互いに転送されることが可能であるように構成されることがさらに好ましい可能性があり、これらは、シミュレーション及び最適化プロセスが最適に実行され得るように対応するデータメモリ又は中心にあるストレージサーバに記憶されることが好ましい可能性もある。特に好ましい例示的な実施形態において、この送信は、例えば、イントラネット及び/又はインターネットを用いて実行される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】詳述される方法の第1の例示的な実施形態のネットワーク表現を示す図である。
【
図2】詳述される方法の分析セクションの例示的な実施形態のネットワーク表現を示す図である。
【
図3A】方法の人工ニューラルネットワークの例示的な実施形態のネットワーク表現を示す図である。
【
図3B】
図3Aの人工ニューラルネットワークの人工ニューロンの学習プロセスのネットワーク表現を示す図である。
【
図4】人工知能(機械学習デバイス)の学習プロセスの手順のフローチャートである。
【
図5】シミュレーションセクションの動作手順のフローチャートである。
【
図6】詳述される方法の第2の例示的な実施形態のネットワーク表現を示す図である。
【
図7】仮想的な及び現実の工作機械から取得されるパラメータの例示的なリストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下で、本発明の例示的な実施形態が、例示的な図に基づいて詳細に説明される。例示的な実施形態の特徴は、全体が又は部分的に組み合わされることが可能であり、本発明は、説明される例示的な実施形態に限定されない。
【0048】
図1は、ネットワーク表現内の自己学習人工知能AAKI(特に、人工ニューラルネットワーク)によってNC制御された工作機械上のワークピースの機械加工プロセスをシミュレーションするための本発明による方法の第1の簡略化された実施形態を示す。第1に、ワークピース及び使用されるツールを含むデジタル機械モデルにおいて再現される工作機械の幾何学的構造並びに機械加工プロセスのために必要とされる作業ステップが、CAD/CAMシステムによって画定され、動作ファイルD1内で入力データ前処理セクションPREに転送される。ここで、動作ファイルD1は、NCファイルとして既に存在する可能性があり、又は含まれる作業ステップは、CAD/CAMシステム内でNCフォーマットに既に変換された可能性があるが、とりわけ、入力データ前処理セクションPREに実装されたパーサにより、任意のその他のファイルフォーマットが、入力データ前処理セクションPREに読み込まれ、解釈されることが可能である。
【0049】
入力データ前処理セクションPRE内で、動作ファイルD1は、それから、その機能構成要素、すなわち、例えば、工作機械、ツール、及び使用されるワークピースの形状データ並びに工作機械に関連する要素のそれぞれの作業ステップのデータに従って分割され、これらが分析され、必要な場合、既存の作業ステップがNCファイルG1にフォーマット変更される。さらに、各サブプロセスの改善された特定のために、NCファイル内のそれぞれの登録された作業ステップは、機械加工プロセスの間にそれぞれの工作機械又はデジタル機械モデルによって問い合わされることが可能であり、したがって、現在進行中の機械加工プロセスを特定するために使用されることが可能である指定されたUUIDを受け取る。
【0050】
次のステップにおいて、それから、必要とされる情報のファイルが、この目的で設けられたシミュレーションセクションSA又は製造セクションFAに転送され、それによって、同時に、プロセスを現実の部分(ネットワークのより下のセクション)及びシミュレーションに属する部分(ネットワークのより上のセクション)に分割する。製造セクションFAにおいて使用される現実の工作機械を制御するために、少なくとも入力データ前処理セクションPREにおいてフォーマットされたNCデータが、識別子又はバックアップファイルなどの機械の制御のために使用されるその他のプログラムデータと一緒に、機械ファイルG1内で入力データ前処理セクションPREから製造セクションFAにエクスポートされ、それらは、機械のオペレータ又は自動化されたチェックアルゴリズム(表示されず)による繰り返されたチェックの後に工作機械に転送される。他方、入力データ前処理セクションPREの助けを借りて、シミュレーションソフトウェアを含むシミュレーションセクションSAは、機械ファイルG1のNCデータに加えて、少なくとも、デジタル機械モデルの生成のために必要とされる工作機械の幾何学的な構造データと、個々の機械要素、ワークピース、又は使用されるツールの物理特性などのさらなる予備的情報とをさらに含む別個のシミュレーション情報ファイルG2を提供され、その結果、シミュレーションセクションは、少なくとも、対応するシミュレーションを開始するのに十分な情報又はパラメータを有する。
【0051】
加えて、入力データ前処理セクションPRE内で処理される個々のデータは、必要に応じて、例えば、実装されたコンパイラによってXML又はSTEPなどの別のデータフォーマットにフォーマット変更される可能性があり、これらは、外部のシミュレーションソフトウェア又はハードウェアの使用のために別個のデータバンドルG3に記憶されることが可能であり、それによって、特に、異なるシミュレーションエンジン又は構造の直接比較、とりわけ、複数のシミュレーションセクションSA上の並列的なシミュレーション、及びしたがって、同時に働く複数のプロセッサコアを使用するシミュレーションプロセスの高速化さえも可能にする。
【0052】
さらに、方法の現実のセクションの後、製造セクションFAにおける現実の機械加工プロセスが、工作機械へのNCファイルG1の提供により今や実施される可能性がある。しかし、このプロセスの過程は、機械加工プロセスのシミュレーションに関連する上述の方法のセクションに時間的に又はそれ以外で依存せず、むしろ、人工ニューラルネットワークAAKIに教えるために使用される参照又はプロセスパラメータを生成させるのに役立つ。同様に、製造セクションFA内の完了された機械加工プロセスの数が、固定的に画定されず、オペレータによっていつでも手動で指定される可能性があり、及び/又は個々のパラメータのより高精度の検証のために後の時点で増やされることが可能である。後者は、工作機械に取り付けられた又は外部の複数のセンサーによる以外に質的な分析プロセスの手動入力によって、例えば、いわゆる機械、プロセス、及び生産分析セクションPAにおける機械加工プロセスの間の又は後の専門家による出来上がったワークピースの評価によって取得される可能性があり、このようにして最終的に取得され、バンドルされたプロセスパラメータは、現実の製造を対象とするデータベースDB1にまず記憶され、それから、機械加工データR1として、人工ニューラルネットワークAAKIを設けられた分析セクションAAに転送される。
【0053】
方法の製造セクションに相当する部分において、シミュレーション情報ファイルG2が機械加工プロセスのシミュレーションに関連する方法のセクションで受信されるとき、機械加工プロセスのシミュレーションと、したがって、さらに関連する最適化及び/又は学習プロセスとの開始が、着手される可能性がある。第1に、シミュレーションセクションSA内で、実装されたシミュレーションソフトウェアを使用して、シミュレーション情報ファイルG2の助けを借りて、ツール及びワークピースを含む対応するデジタル機械モデルが、生成され、このデジタル機械モデルは、製造セクションの現実の工作機械と可能な限り似ており、やはり受信されるNCデータの助けを借りて機械加工プロセスによって制御され得る。現実の方法のセクションと並行して、使用されるすべてのプロセスパラメータも、シミュレーションセクションSAに統合された分析モジュールを使用して決定され、これらは、機械加工データのフォーマットと同じであることが好ましいフォーマットでシミュレーションセクションSAによって別個のシミュレーションデータベースDB2に記憶され、シミュレーションデータR2として分析セクションAAに送信される。ここでもやはり、選択されるプロセスパラメータの数及び種類は、最適化プロセス及び/又は学習プロセスが使用される工作機械又は調整される機械加工プロセスに応じて可能な限り効率的に使用され得るように、最適化プロセスの用途及び目的に応じて手動で選択される、及び/又は現実の方法のセクションにおいて取得されるプロセスパラメータに適応させられることが可能である。
【0054】
最適化及び/又は学習プロセスを継続して、次のステップにおいて、シミュレーションデータR2及び機械加工データR1(又は工作機械の機械加工データ)が、分析セクションAA内で処理され、学習のために人工知能AAKIに入力パラメータとして送信される。そして今度は、前記人工知能AAKIが、その人工知能AAKIがシミュレーションデータR2と機械加工データR1(又は工作機械の機械加工データ)とを比較することによって製造セクションFA上の機械加工プロセスの挙動を学習し、必要な場合、いくつかのシミュレーション変更パラメータ(機械加工プロセスの分析)を出力ファイルF1の形態で出力し、出力ファイルF1が、その生成の後、出力1 A1によって宣言される反復ループに出力され、この目的のために設けられたテクノロジーデータベースDB3に記憶され、デジタル機械モデルのシミュレーションを最適化するためにシミュレーションセクションSAにフィードバックされるようにして構成される。
【0055】
上述のように、人工知能AAKIの学習と、したがって、さらにシミュレーションデータR2の生成プロセスとは、工作機械上の機械加工プロセスとは独立して実行される可能性があり、したがって、工作機械上のワークピースの製造の前又は後(又は間)に実行される可能性もある。同様に、最適化プロセスの最大限の柔軟性が実現されるように、プロセス「AIの学習」ALによって
図1に示される外部から導入された入力パラメータによって人工知能AAKIを訓練することも可能である。さらに、人工知能AAKIによって作られた出力ファイルF1は、例えば、データに追加された追加的なマーカーによってシミュレーションのために採用される可能性がある、シミュレーションソフトウェアによって変更される個々のパラメータのみでなく、これらが人工知能AAKI内で既に宣言されている限り、設定全体(シミュレーションモデル、シミュレーションの時間、フレームレートなど)又は実施される機能(例えば、モデル内のインタラクション機能)も含む可能性もある。
【0056】
シミュレーションセクションSAにおける出力ファイルF1のシミュレーション変更パラメータの実施は、以前のステップ及び考案されたプロセスシーケンスに応じて、さまざまな最適化プロセスを開始する可能性があり、つまり、例えば、機械加工プロセスが人工知能AAKIにおいて教えるために既にシミュレーションされていた場合、このプロセスは、シミュレーション変更パラメータの導入によってシミュレーションセクションSA内で調整される可能性があり、さらなる分析のために(例えば、工作機械上の機械加工プロセスとの比較のために)調べられる可能性がある。しかし、同様に、特に外部データを使用して既に教えられた又は訓練された人工知能AAKIによって、まだ実施されていない機械加工プロセスの最適化に関する予測を生成し、したがって、出力ファイルF1をシミュレーションセクションSAに転送することによって、可能な限り効率的な完全に新しい機械加工プロセスのシミュレーションを生成させることも可能である。
【0057】
その後のプロセスにおいて、シミュレーションの最適化プロセスからさらなる結論を出すことも可能である。例えば、シミュレーションが成功裏に最適化された場合、人工知能AAKIによって生成された判断結果及びシステム情報(システム変更パラメータ、重み付け、AIパラメータなど)が、最終出力(出力2 A2)から取得され、実際の(つまり、現実の)工作機械の機械加工プロセスについての洞察を得て、それを改善するために使用される可能性がある。同じことが、シミュレーションセクション内で生成されたシミュレーションパラメータ及び情報に起こり、それは、この場合、
図1において「性能出力」A3のプロセスによって示される。
【0058】
さらに、機械加工プロセスのシミュレーションを最適化することによって、工作機械上の機械加工プロセス及び人工知能AAKIの学習プロセスの直接的な改善が、実現される可能性がある。例えば、対応するプロセスデータのデータ送信によってシミュレーションセクションSAを製造セクションFA又は工作機械に直接接続することによって、シミュレーションされた機械加工プロセスの最適化が、工作機械の機械加工プロセスに簡単に実施されることが可能である可能性がある。言い換えると、ここに示されたシステムは、改善されたシミュレーションされたプロセスシーケンスへの現実の機械加工プロセスの同時の適応を可能にし、これらのシーケンスにより、それによって工作機械の最適化を大幅に高速化し、したがって、工作機械の最適化をより費用対効果が高く、効率的にすることを可能にする。さらに、最適化されたシミュレーションデータを再びシミュレーションデータベースDB2に供給し、したがって、最適化されたシミュレーションデータが訓練及びさらなる最適化プロセスのさらなる改善のために人工知能AAKIに利用され得るようにすることが可能である。したがって、各最適化プロセスは、人工知能AAKIを現実の工作機械上の状態により一層高精度に適応させ、したがって、人工知能AAKIの判断及び結果を反復的に、つまり、最適化又は反復ループを完了した後に継続して改善するオプションを有する。
【0059】
また、
図2は、
図1によって既に示された例示的な実施形態の分析セクションAAのより詳細なネットワークの記述を示し、それによって、人工ニューラルネットワークAAKIの学習パラメータの実施が、より詳細に再び説明され得る。第1に、シミュレーションデータR2及び機械加工データR1に含まれるプロセスパラメータが、分析セクションAAに実装されたデータリンクセクションAADVに導入され、データリンクセクションAADVにおいて、それらのプロセスパラメータが、まず、それらの付随するマーカーによって分析され、シミュレーションデータR2及び機械加工データR1から明らかになる対応する比較可能なプロセスパラメータが、互いにリンクされる。後者は、いくつかの方法で、例えば、別々のプロセスパラメータをコピーし、この目的のために設けられた中間記憶場所に保存することによって、又は例えば、それらのパラメータにそれら自体のID番号によって印を付けることによって実施されることが可能であり、人工ニューラルネットワークAAKIの入力パラメータとも呼ばれる学習パラメータの生成につながる任意の種類のプロセスパラメータの接続にのみ関連する。さらに、シミュレーションされたプロセスパラメータと工作機械上で取得されたプロセスパラメータとの間の最適な比較が可能にされるように、デジタルマッピング(digital mapping)などの試行された比較プロセスが、より複雑な構造(例えば、時間分解されたデータセット)をリンクするために使用される可能性がある。
【0060】
それから、このようにしてリンクされたプロセスパラメータのペア及び個々のプロセスパラメータは、次のステップにおいてデータリンクセクションAADVから分析セクションAAのデータ解釈セクションAADIに渡され、データ解釈セクションAADIにおいて、それらが、再び特定され、後続の人工ニューラルネットワークAAKIのための所望の入力パラメータE1~ENに変換され、最終的に人工ニューラルネットワークAAKIに導入される。シミュレーションデータR2及び機械加工データR1のプロセスパラメータ並びに/又は入力データ前処理セクションPREによって生成されたNCデータG1、組み合わされた形状データG2、又はCAD/CAMシステムにおいて生成された動作ファイルD1などの入力パラメータの任意の組合せ又は数学的処理は、入力パラメータE1~ENの変換又は生成として理解され得る。
【0061】
さらに、
図3A及び3Bは、人工知能AAKIの学習プロセスのより正確な表現を示し、人工知能AAKIは、この例示的な実施形態において、さらなるネットワーク表現の形態の人工ニューラルネットワークとして表され、
図3Aは、ネットワーク内の全般的な入力及び出力を示し、
図3Bは、人工ニューロン内の中間層において行われる意思決定プロセスの詳細な表現を示す。ここで、示されたネットワークの描かれた構造は、単に例示的な表現として理解されるべきである。
【0062】
上述のように、まず、潜在的な入力パラメータE1~ENの集合が、製造セクションFA及びシミュレーションセクションSAによって生成されたプロセスパラメータの蓄積並びに以前の方法内で生じたその他の情報によって生成され、そして今度は、それらが、データ解釈セクションAADIによってさらに組み合わされ、最終的に、新しく組み合わされた要素KOMとして又は入力として上で言及されたパラメータのうちの1つとしてネットワークの第1の学習層に導入され得る。したがって、自己学習システムの規則に従って、各ネットワーク層の関連するニューロン内で、それから、それらは、学習フェーズの開始前にランダム値を割り振られ、「試行錯誤」アルゴリズムによって個々の学習の反復につれて所望の判断の重み付けW1~WNまで徐々に変更され得る各入力パラメータに関する重み付けW1~WNを与えられる。通常の意味で、それぞれの重み付けW1~WNとの入力パラメータE1~ENの相互作用は、それぞれの第iのパラメータと第iの重み付けとの単純な積Ei×Wiによって実行される可能性があるが、その他の例示的な実施形態においては、その他の又はより複雑な関数が、選択される可能性もある。
【0063】
次のステップにおいて、それから、入力-重み付けの組合せが、伝達関数Fiによってネットワーク入力へと組み合わされる。例えば、人工ニューラルネットワークの規則に従って、ΣiEiWiの形態の単純な総和が、ネットワーク入力を生成するために使用される可能性があるが、この手法は、それぞれの最適化の試みの問題及び適応に応じて変更される可能性もある。
【0064】
そして今度は、ネットワーク入力が、予め定義された活性化関数Aiを入力することによって、人工ニューロンがすべての重み付けされ、まとめられた入力を受信するとaiを活性化し、したがって、情報を次の層に渡すことを可能にされるかどうかを決定する。概して、ネットワーク入力の時点の活性化関数Aiがやはり学習されなければならない特定の閾値を超える(したがって、ニューロンaiを活性化する)のか、又はその結果として得られる値が不十分であり、ニューロンが不活性状態のままであるのかに関して比較が行われる。前の場合と同様に、活性化関数は、自由に選択される可能性があるが、少なくともこの例示的な実施形態においては、あらゆる点で連続であり、微分可能であるその形状のためにシグモイド関数が好ましい。
【0065】
人工ニューラルネットワークに教えることによって、選択された入力ENが、したがって、学習プロセスの助けを借りて取得された重み付けWNを使用して1つのネットワーク層から次のネットワーク層に転送されることが可能であり、したがって、最終的に、好ましいシミュレーションパラメータとして最後の層において出力1及び2に転送される可能性がある。ネットワーク構造に応じて、これらは、出力ファイルから生成されたフィードバックシステムが成長するように、例えば、再帰型ネットワークシステムにおいては元の入力の集合に、又は特定のニューロン若しくは層に返されることも可能である。ネットワーク又は上述の重み付けW1~WNと、特別な場合にはさらに閾値との学習は、例えば、既に画定された訓練データを用いて、入力パラメータE1~ENが実際に提供される前に実行される可能性があり、したがって、実際の最適化プロセスとは独立して見られる可能性がある。
【0066】
図4は、学習手順を示すフローチャートを使用して学習プロセスの構造を再び示し、「開始」は、AIの訓練プロセスを実行するための通常の動作概念として理解され、「終了」は、AIに所望の特徴を成功裏に教えることとして理解される。各学習プロセスは、人工知能AAKIの学習プロセスを実行したいというシステム(又は人)の通常の判断SA01から始まり、さまざまな要因が、これらの判断の根拠として含まれる可能性がある。学習プロセスは、挿入される新しいツール、動作モード、又は新しく復旧される工作機械に関する予測をするため以外に、既存の機械加工プロセスのシミュレーションを所望の状況に、例えば、工作機械の動作手順に適応させ、したがって、シミュレーションの正確性及び効率を高めるために使用される可能性がある。判断が成功した場合、訓練プロセスのために必要とされる機械の情報SA02及び機械加工の条件SA03が、収集され、まず、人工知能AAKIと統合された分析セクションAAへの導入のために準備される。学習される機械加工プロセスを成功裏に記述するために使用され得る工作機械についてのすべての物理的情報、つまり、例えば、ツール、ワークピース、及び/又は個々の工作機械の要素の形状、サイズ、材料特性、又は物理的特徴が、機械の情報と考えられる可能性がある。同様に、上述の機械加工プロセスを実施するために工作機械の個々の(シミュレーションされる)要素に適用されなければならないツールの軌跡、回転速度、又は機械加工速度などのすべてのそれらの機械の設定又は条件が、機械加工の条件と考えられる可能性がある。前記データは、外部に記憶されたデータセット(例えば、サーバ又はクラウド)から生成される可能性がある。しかし、それらは、ツールの機械加工に関する現在の情報がいつでも継続的に人工知能の学習プロセスに供給され得るように、平行して又は以前に実行された機械加工プロセスのシミュレーションSA04又は工作機械上の機械加工プロセスSA05からの結果のパラメータによって補足されるか又は上書きされてもよい可能性がある。
【0067】
さらに、現実の機械加工の条件とのシミュレーション結果の直接比較が、次のステップにおいてさらなる分析及び判断プロセスSA06が実施されることを可能にする。例えば、上述の方法で人工知能AAKIのために画定された入力パラメータを生成した後、人工知能AAKIの学習がそもそも必要であるかどうか、又は例えば、現在のシミュレーションの設定が所望の条件を既に満たしているかどうかに関して、シミュレーションデータR2と機械加工データR1とを比較することによる以外に入力又はその他のパラメータ自体によって、判断がなされる可能性がある。この目的で、例えば、上述のパラメータが、特に画定された限界値と比較される可能性があり、それらのパラメータが限界値未満である場合、それらのパラメータは、学習プロセスを自動的に継続するために使用される可能性があり、それによって、各シミュレーション又は学習プロセスのための個々のトリガを実現する。肯定的判断(「はい」)の結果として、入力パラメータは、上述のステップによって分析セクションAA又は人工知能AAKIに導入される可能性もあり(SA07)、学習プロセスSA08が、開始される可能性がある。
【0068】
図5は、別のフローチャートに基づいて機械加工プロセスのシミュレーションの動作手順の構造及び継続するプロセスをさらに示す。この場合、「開始」は、機械加工プロセスのシミュレーションを開始するための通常の動作概念とみなされるべきであり、「終了」は、同じシミュレーションの成功裏の完了とみなされるべきである。
【0069】
学習プロセスの図の構造と同様に、各シミュレーションプロセスは、まず、学習プロセスを実行する判断SB01から始まり、この判断は、例えば従業員によって手動でか、又は例えば統合されたプログラムコード若しくは人工知能AAKIによって自動でかのどちらかでなされる可能性がある。同様に、入力が肯定的(「はい」)である場合、シミュレーションのために必要とされる(デジタルの)機械の情報SB02及び機械加工の条件SB03が、利用可能なサーバ、クラウドサービス、又はその他の種類のデータベースから取得され、対応するシミュレーションセクションSatにおける実施のために準備される。前者は、機械加工プロセスの物理的な又は運動学的な条件についての上述の情報データと、シミュレーションに関連する全般的なソフトウェアの設定(例えば、使用されるエンジン、シミュレーションモデル、ソフトウェアにおいて設定されるパラメータ)との両方を含む可能性がある。
【0070】
次の任意のステップにおいて、導入される機械の情報及び機械加工の条件又はそれらから取得されるシミュレーションパラメータが、分析セクションAAによって生成されたシミュレーション変更パラメータを導入することによってやはり適応させられる可能性があり、したがって、訓練された人工知能AAKIの判断を使用して最適化される可能性がある(SB04)。機械加工プロセスに応じて、シミュレーション変更パラメータ又はこれらのパラメータを含む出力ファイルF1は、これらに関連する機械特性が今シミュレーションされる機械加工プロセスのシミュレーションの機械の情報及び機械加工の条件に対応するという条件で、分析セクションAAから直接出力されるか又は既存のデータベース(例えば、テクノロジーデータベースDB3)から取得される可能性がある。
【0071】
そのときシミュレーションのために使用されるシミュレーションパラメータが所望の仕様に対応する場合、機械加工プロセスのシミュレーションが開始され、その後、評価され(SB05)、これは、実際のシミュレーションプロセスが終了したと考えられる可能性があることを意味する。しかし、継続する方法においては、特定の条件(例えば、シミュレーションの効率又は結果が特定の要件に対応するか)を比較した(SB06)後、工作機械上の機械加工プロセスのために機械加工プロセスのシミュレーションから得られた結果又は知識を使用することが可能である。例えば、シミュレーション結果の品質を保証した(SB06-「はい」)後、後者は、最初に別々に出力され(SB07)、送信され、及び/又はさらに使用するため、例えば、工作機械内のあり得る非効率性を分析するために再利用される可能性がある。さらに、シミュレーション結果の他に、例えば、効率的であるものとして分類された機械加工プロセスのシミュレーションにおいて使用されたシミュレーションパラメータを工作機械に直接転送し(SB08)、したがって、最適化されたシミュレーションによって得られた効率及びプロセスの向上を実際のツールの機械上でも実現することがやはり可能である(あってもよい)。
【0072】
また、
図6は、
図1に示されたネットワーク表現と同様の例示的な実施形態のネットワーク表現の詳細な図を示し、特に、さまざまな方法のセクションの間のさらなる要素及びインタラクションが、示される。この図においては、例えば、入力データ前処理セクションPREの個々の等しく例示的な要素の通信経路が示され、シミュレーションセクションSA及び製造セクションFAの構成要素にリンクされる。これの例として、プログラム構造の要素、例えば、デジタル機械モデルの形状データ又はこの場合はGコードとして既に画定されたNCデータが、現実のワークピースを製造するために記録された製造セクションFAと、シミュレーションエンジンloに置かれたシミュレーションセクションSAとの両方に供給される。まだ説明されていないその他の要素は、まず、入力データ前処理セクションPREにおいて生じさせられたNCデータのGコードを読み、シミュレーションのために使用されるモデルに個々の機械要素の動きデータを実施するための運動学的ソルバ(kinematic solver)を導入するシミュレーションセクションSAのGコードインタープリタ、及びそれぞれのNCデータのGコードの解釈と並行してNCデータの仮想的なコピーを生成し、したがって、上述の運動学的ソルバのためにそれらを受け取り可能にする仮想NCである。さらに、上述のデータベースDB1、DB2、DB3内に記憶された個々のパラメータが参照されるべきであるが、特にシミュレーションデータベースDB2に記憶されたパラメータが参照されるべきであり、それらパラメータは、例えば、既に説明されたシミュレーションセクションSAのプロセスパラメータに加えて、TCPなどのシミュレーションに関連するさらなる情報も含み、したがって、人工知能AAKIに教えるために使用される多種多様なパラメータを提供する。
【0073】
また、
図7は、現実の工作機械及びデジタル機械モデルを使用して取得されるさまざまな分析パラメータの例示的な比較を示し、示されたxは、それぞれのパラメータを取得する可能性を表す。前記データは、例えば、人工知能AAKIのための訓練データとして使用される可能性がある。特に、現実の工作機械と比較して、ワークピースへのそれぞれのツールの噛み合い(engagement)の深さ又は幅などの多数のその他の要素が容易に取得され、それぞれの機械加工プロセスの分析及び改善のために採用されうることは、この例から明らかである。この点で、特に、新しい工作機械の複雑で、実施することが難しく、及び/又はコストがかかる導入フェーズにおいて、デジタル機械モデルにおける機械加工プロセスの実施は、プロセスフローを改善するための費用対効果が高く、効率的な方法を提供する。
【0074】
これらの特徴、構成要素、及び特定の詳細は、意図される用途に応じてさらなる実施形態を生成するために交換される及び/又は組み合わされることが可能である。当業者の知識の範囲内のすべての修正は、この説明において暗黙的に開示されている。
【外国語明細書】