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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063251
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】容器搬送装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/84 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
B65G47/84 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021165980
(22)【出願日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】10 2020 126 596.4
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ライデル
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA08
3F072GG03
3F072KC02
3F072KC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】異なる形態の容器の搬送に適した容器搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送ホイール10の外周部Uに設けられて少なくとも部分的に容器を収容するように構成される収容領域11を共に形成する少なくとも一つの凹部21,31を各々が有する複数のディスク20,30であって、ディスク20,30のうち少なくとも一つが、支持構造13を介して接続部12に対して固定される固定ディスク20であって、ディスク20,30のうち少なくとも一つが、回転軸線A上で回転可能に固定ディスク20に対して取り付けられる調節ディスク30である複数のディスクと、調節ディスク30を固定ディスク20に対して調節角度だけ回転させるように構成されることにより収容領域11のサイズを調節可能にする調節機構50とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは飲料充填システムにおいて搬送ホイール(10)で容器を搬送するための装置(1)であって、
回転軸線(A)上での中心回転シャフトの回転が前記搬送ホイール(10)に伝達可能となるべく前記搬送ホイール(10)を前記中心回転シャフトに締結するように構成される中心接続部(12)と、
軸方向において前記回転軸線(A)について互いに上下に同心状態で重ねられるとともに、前記搬送ホイール(10)の外周部(U)に設けられて少なくとも部分的に容器を収容するように構成される収容領域(11)を共に形成する少なくとも一つの凹部(21,31,41)を各々が有する複数のディスク(20,30,40)であって、前記ディスク(20,30,40)の少なくとも一つが、支持構造(13)を介して前記接続部(12)に対して固定される固定ディスク(20,40)であり、前記ディスク(20,30,40)の少なくとも一つが、前記回転軸線(A)上で回転可能に前記固定ディスク(20,40)に取り付けられる調節ディスク(30)である、複数の前記ディスクと、
前記調節ディスク(30)を前記固定ディスク(20,40)に対して調節角度だけ回転させるように構成されることにより前記収容領域(11)のサイズを調節可能にする調節機構(50)と、
を備える装置。
【請求項2】
2枚の前記固定ディスク(20,40)と前記調節ディスク(30)とを含むちょうど3枚の前記ディスク(20,30,40)を前記搬送ホイール(10)が備え、前記調節ディスク(30)が、前記回転軸線(A)の軸方向に見た時に、前記2枚の固定ディスク(20,40)の間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記ディスク(20,30,40)が同数の凹部(21,31,41)を有する、および/または、前記ディスク(20,30,40)のすべての凹部(21,31,41)が同じ、好ましくは半円形の形状を有する、および/または、当該ディスク(20,30,40)の前記凹部(21,31,41)が均一な角度間隔で配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記支持構造(13)に固定状態で取り付けられる回転式調節アクチュエータ(51)を前記調節機構(50)が有し、出力シャフト(51a)を含み前記出力シャフト(51a)の角度位置の制御を可能にする電気モータを前記調節アクチュエータ(51)が備え、前記電気モータが好ましくは、ステップモータ、サーボモータ、またはトルクモータであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記調節アクチュエータ(51)の前記電気モータに電力を供給するスリップリングが設けられることを特徴とする、請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記調節機構(50)が、前記回転式調節アクチュエータ(51)の前記出力シャフト(51a)に固定状態で接続されることにより定置回転が可能であるピニオン(52)とともに、前記ピニオン(52)との鋸歯係合状態にあって前記ピニオン(52)の回転により好ましくは円弧に沿って平行移動で移動可能である鋸歯ロッド(53)を有し、前記鋸歯ロッド(53)が前記調節ディスク(30)に固定状態で取り付けられることを特徴とする、請求項4または5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記調節ディスク(30)を前記固定ディスク(20,40)に対して前記調節角度だけ回転させることにより生じるピッチオフセットが手動および/または自動で補正されるように前記搬送ホイール(10)が構成されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記中心回転シャフトを定置回転させるように構成される駆動部(2)をさらに備える装置であって、前記駆動部(2)が、前記中心回転シャフトの前記角度位置の制御を可能にする電気モータ、好ましくはステップモータ、サーボモータ、またはトルクモータであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記ピッチオフセットを補正するように前記駆動部(2)が構成されることを特徴とする、請求項7および請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記駆動部(2)および前記調節機構(50)との通信状態にあって、前記調節ディスク(30)が前記固定ディスク(20,40)に対して前記調節角度だけ回転されるべく前記調節機構(50)を起動させるとともに、生じた前記ピッチオフセットが補正されるべく前記駆動部(2)を起動させるように構成される制御部(60)を有する装置であることを特徴とする、請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記調節角度から修正角度を判断するとともに、前記外周部(U)での前記収容領域(11)の位置が前記修正角度だけ修正されるべく前記駆動部(2)を起動させるように前記制御部(60)が構成されることを特徴とする、請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記調節角度についての入力を受信する、または、好ましくは一以上の工程および/または機械パラメータおよび/または容器依存パラメータから前記調節角度を判断する、そして前記調節ディスク(30)が前記固定ディスク(20,40)に対して前記調節角度だけ回転されるべく前記調節機構(50)を相応に起動させるように前記制御部(60)が構成されることを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(1)によって、好ましくは飲料充填システムにおいて容器を搬送するための方法であって、
前記搬送ホイール(10)の前記収容領域(11)へ容器を移送し、前記回転軸線(A)上で前記搬送ホイール(10)を回転させることにより円形軌道に沿って前記容器を搬送し、前記収容領域(11)から前記容器を取り出すことと、
前記収容領域(11)のサイズを調節するため、前記調節ディスク(30)を前記固定ディスク(20,40)に対して調節角度だけ回転させることと、
を包含する方法。
【請求項14】
前記調節ディスク(30)を前記固定ディスク(20,40)に対して前記調節角度だけ回転させることにより生じるピッチオフセットが、好ましくは、前記搬送ホイール(10)の全体が前記調節角度と反対の方向に修正角度だけ回転されることにより、手動および/または自動で補正されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記搬送ホイール(10)による容器の搬送が請求項7から11の一つに従って実行され、前記ピッチオフセットの補正が、好ましくは前記搬送ホイール(10)の全体が前記駆動部(2)により前記調節角度と反対の方向に前記修正角度だけ回転されることにより前記駆動部(2)を介して実行されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは飲料充填システムにおいて容器を搬送するための装置および方法に関しており、装置は、容器のための少なくとも一つの調節可能な収容領域を含む搬送ホイールを有する。
【背景技術】
【0002】
連続して接続される一連のカルーセルを有する回転式設計の飲料充填システムでは、処理される容器は概して、容器が処理を受けるカルーセルの間で移送スターによって搬送される。例えば、充填される容器に充填カルーセルで充填製品が充填され、そして下流の蓋締カルーセルで容器が密封される。充填カルーセルと蓋締カルーセルとの間での充填済み容器の移送は、概して一以上の移送スターによって実行される。
【0003】
このため、移送スターは概して、当該の一つの容器を収容するように設計される複数のポケットを有する。移送スターを回転させることにより、対応のポケットとおそらくは外部ガイドとによって保持される容器が、移送スターのピッチ円に沿って運搬される。
【0004】
ポケットサイズは固定値に予め決定され、この場合に移送スターは特定の容器サイズおよび/または容器形状のみについて使用可能である。このようなシステムにおいて、異なる容器形態への変更は単純な手法では可能でなく、システムを転換するための高い調達コストと高レベルの労力とに関連している。
【0005】
このため、ポケットサイズが変更可能な移送スターが開発されている。例えば特許文献1と特許文献2を参照すること。この場合のポケットは、互いに上下に載置されるとともに、別のポケットに対して調節可能あるいは回転可能である複数のディスクの凹部により形成され、これにより要件に応じてポケットが拡大または縮小されうる。先行技術では、移送スターの周方向でのポケットの位置、つまり仮挿入された容器の位置とポケット間のピッチとが調節の間は不変のままであるように調節が実行されることが重要であると見なされる。さもなければ、上流および/または下流の移送スターまたはカルーセルについての共時性と、例えば容器のネック領域を保持するための別の収容部分との相対位置とが失われうる。
【0006】
上述の先行技術では、ポケットサイズの調節、周方向におけるポケット位置の維持、そして隣接ポケットの間でのピッチの維持は、ポケットを形成するディスクが調節中に対称的な角度だけ反対方向に回転されることにより達成される。これらの方法の欠点は比較的複雑な機構にある。ゆえに、スピンドルの回転が、手動で、または機構を介してはさみのようなディスク移動に変換される例えばサーボモータなどのアクチュエータを介して、起動されなければならない。しかしながら、はさみのような撓みのために起こりうる機構の自動ロックにより、調節の信頼性が損なわれうる。また、複雑な機構とこれに関連する公差とは、異なる容器形態へのポケットの正確な設定を妨げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2447194号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第69405650号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、容器の搬送をさらに改良すること、特に、異なる形態の容器の搬送に適した高信頼性の装置の明細を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置とともに、独立方法請求項の特徴を有する方法により達成される。従属請求項、以下の発明の要約、そして好適な例示的実施形態の説明から、有利な発展形が得られる。
【0010】
装置は容器の搬送に役立ち、特に好ましくは、例えば(非炭酸または炭酸)水、清涼飲料、ビール、ワイン、ジュース、スムージー、乳製品、混合飲料、その他を充填するための飲料充填システムに使用される。
【0011】
装置は回転式設計で具現化され、このため、回転軸線を有する中心回転シャフトに搬送ホイールを締結するように構成される中心接続部を含む搬送ホイールを有するので、回転軸線上での中心回転シャフトの回転が搬送ホイールに伝達可能である。装置はさらに、前記軸方向において回転軸線について互いに上下に同心状態で重ねられるとともに、前記搬送ホイールの外周部に設けられて少なくとも部分的に容器を収容するように構成される収容領域を共に形成する少なくとも一つの凹部を各々が有する複数のディスクを備える。少なくとも部分的に当該の容器、好ましくは例えばボトル体などその本体を保持するため、一以上の収容領域は例えば凹部、くぼみ、ポケット、その他である。それゆえ、搬送ホイールを回転させることにより、円形軌道に沿って容器が搬送されうる。この状況で、収容領域は、ガイド領域としても機能し、容器は任意で固定外部ガイドにより支持されるかあるいは径方向内向きに案内されうる。
【0012】
「収容領域」、「凹部」、「容器」、その他などの語は、言語的単純性のため単数形で使用されることが多いことに言及すべきである。しかしながら、技術的または明白に除外されないのであれば、複数形が内含される。ゆえに、複数の容器を同時に搬送可能にするために、搬送ホイールは概して複数の収容領域を有する。
【0013】
本発明によれば、ディスクの少なくとも一つは、支持構造を介して前記接続部に対して固定される固定ディスクであり、ディスクの少なくとも一つは、前記回転軸線上で回転可能に前記固定ディスクに対して取り付けられる調節ディスクである。搬送ホイールは、前記調節ディスクを前記固定ディスクに対して調節角度だけ回転させて前記収容領域のサイズを変更可能にするように構成される調節機構も有する。ゆえに調節ディスクは、少なくとも、例えば収容領域の最大サイズに対応する最大調節角度だけ、調節機構を介して回転可能に取り付けられる。
【0014】
調節機構を介して収容領域のサイズを設定するため一以上の調節ディスクが一以上の固定ディスクに対して回転されるので、調節のための機構がかなり単純化されうる。調節機構に付与される、はさみのような機械的撓みの力はもはや必要とされない。機械的複雑性の低下は、設定の信頼性および精度と少数の構成要素によるコスト削減における改良とに関連している。装置の組立が単純化される。
【0015】
好ましくは、搬送ホイールはちょうど3枚のディスクを備え、そのうち2枚は固定ディスクであって、ディスクの1枚は、回転軸線の軸方向に見た時に2枚の固定ディスクの間に配置される調節ディスクである。言い換えると、調節ディスクは2枚の固定ディスクの間にサンドイッチ状に設けられ、こうして合計3個の凹部により収容領域が形成される。2枚の固定ディスクの軸方向外方の凹部の壁が容器を安定させるので、反対側からの調節ディスクの中心凹部の壁の作用により、容器が転倒することはない。また、収容領域を異なる容器形態に適応化するには単一のディスクのみが調節されればよい。ゆえに、機械工学の観点から軽度の力により容器が安全かつ確実に保持および搬送されうる。
【0016】
代替例では、2枚の調節ディスクと1枚の固定ディスクとが設けられてもよい。
【0017】
好ましくは、明確な手法で収容領域を形成するため、ディスクは同数の凹部を有する。付加的または代替的に、凹部は均一な角度間隔で配置される、および/または、同じ形状を有し、こうして装置の製造、組立、動作が単純化される。凹部は例えば半円形ポケット、つまり外周部に対するくぼみでありうる。この場合に、収容領域の最大サイズおよび形状は、収容領域を形成する凹部のサイズおよび形状に対応する。本明細書では半円形凹部の半径または直径により最大直径が指定されうる。
【0018】
好ましくは、調節機構は、支持構造に固定状態で取り付けられる回転式調節アクチュエータを有し、調節アクチュエータは、出力シャフトの角度位置の制御を可能にする出力シャフトを含む電気モータを備える。このようにして、高度な機械力を伴わずに調節角度が確実かつ正確に設定されうる。電気モータは例えば、ステップモータ、サーボモータ、またはトルクモータであり、本出願ではステップモータが特に好適である。
【0019】
好ましくは搬送ホイールの上方に載置されうるスリップリングを介して、調節アクチュエータに電力が供給される。調節アクチュエータは特に好適にはサーボモータとして具現化されるか、あるいは所望の角度位置を検索するか、参照移動を伴わずに設定可能であるようなサーボモータを備える。調節アクチュエータは、好ましくは搬送ホイール上にハウジングを含まず、特に支持構造に締結される。好ましくは、調節機構の調節アクチュエータおよび関連の構成要素は、装置に使用される媒体に対する耐久性を持つ。逆トルクの調節および発生は、出力シャフト上のピニオンと、搬送ホイール上の歯車および鋸歯ロッドとを介して行われる。
【0020】
好ましくは、搬送ホイールに空気シリンダが設けられ、空気シリンダは、大きな力の場合には特に、不要な調節が搬送ホイールで行われないことを保証するように構成される。図には示されていないこのような調節防止装置は異なる手法でも具現化され、高速および/または大きな容器、例えば1.25Lより大きいボトルの場合には、特に有用である。
【0021】
好ましくは、前記調節機構は、前記回転式調節アクチュエータの前記出力シャフトに固定状態で接続されることにより定置回転が可能であるピニオンとともに、前記ピニオンとの鋸歯係合状態にあって前記ピニオンの回転により平行移動の形で円弧に沿って移動可能である鋸歯ロッドとを有し、前記鋸歯ロッドは前記調節ディスクに固定状態で取り付けられる。このようにして、機械工学の観点から単純で信頼性のある調節機構を介して、調節ディスクが固定ディスクに対して特定の調節角度だけ調節可能/回転可能である。
【0022】
隣接する収容領域の間の間隔は、本明細書では「ピッチ」と記される。例えば角度間隔または弧長としてピッチが測定あるいは指定されうる。ポケットサイズ、つまり特に周方向における収容領域の寸法を設定するために調節ディスクが固定ディスクに対して回転されると、収容領域の径方向対称線が、このような対称線が存在する場合に、変位を受ける。言い換えると、収容領域の位置、ゆえに収容容器の位置つまり円筒形容器の場合には円筒体軸線が、周方向の調節で変位を受ける。この変位は、本明細書では「ピッチオフセット」としても記されうる。「ピッチオフセット」は、収容領域の相対変位であって隣接の収容領域間の間隔ではないので、単一の収容領域のみの場合にも明確化される。
【0023】
好ましくは、前記調節ディスクを前記固定ディスクに対して前記調節角度だけ回転させることにより生じるピッチオフセットが手動および/または自動で補正されうるように前記搬送ホイールが構成される。言い換えると、搬送ホイールはピッチオフセットの修正を可能にする。収容領域のサイズを設定するために一以上の調節ディスクが一以上の固定ディスクに対して回転されて、ピッチオフセットの修正も実行されるので、調節のための機構がかなり単純化されるばかりでなく、他の装置または構成要素に対する収容領域の位置と収容領域間のピッチとは不変なままである。このようにして、上流および/または下流の搬送スターまたはカルーセルについての共時性と、例えば容器のネック領域を保持するための別の収容部分との相対位置とが、さらなる作業を伴わずに維持されうる。
【0024】
ピッチオフセットの補正は、固定ディスクに対する調節ディスクの調節の前および/または間および/または後に実行されうることに言及すべきである。この補正は好ましくは、全体としての、つまりすべてのディスクを含む搬送ホイールが調節角度と反対の方向に特定の修正角度だけ回転されることを意味する。この場合の修正角度の値は調節角度の値に等しい。しかし、搬送される容器および/または工程および/または機械パラメータに応じてこれらから修正が逸脱することもありうる。
【0025】
好ましくは、前記中心回転シャフトを定置回転させるように構成される駆動部を装置がさらに備える。この場合の駆動部は電気モータであるか、前記中心回転シャフトの前記角度位置の制御を可能にするような電気モータを備える。特に、ステップモータ、サーボモータ、またはトルクモータ、特に好ましくはステップモータが関連性を持つ。ゆえに駆動部は、容器の搬送のために搬送ホイールの全体を定置回転させる主駆動部を形成する。
【0026】
前記駆動部は前記ピッチオフセットを補正するように構成されうる。この特定の好適な実施形態によれば、駆動部は主駆動として機能するばかりでなく、ピッチオフセットを補正する機能も相乗的に行い、これにより装置は、機械工学の観点から特に単純かつ確実な手法で具現化されうる。
【0027】
好ましくは、前記駆動部および前記調節機構との通信状態にあって、前記調節ディスクが前記固定ディスクに対して前記調節角度だけ回転されるように前記調節機構を起動させるとともに、これにより生じるピッチオフセットが補正されるべく前記駆動部を起動させるように構成される前記制御部を装置が有する。制御部は、対応の構成要素と無線または有線で通信し、プログラマブルなコンピュータ支援機器でありうる。制御部は集中型または分散型のコンピュータユニットとして具現化され、自律的に作動するか工程制御の一部であり、クラウドベースまたはインターネットベースのアプリケーションなどを利用しうる。
【0028】
好ましくは、前記調節角度から修正角度を判断するとともに、前記外周部での前記収容領域の位置が前記修正角度だけ修正されるべく前記駆動部を起動させるように前記制御部が構成される。修正角度は、一以上の工程および/または機械パラメータおよび/または容器依存パラメータに応じて判断、例えば計算されるか、表から取得されうる。
【0029】
好ましくは、前記調節角度についての入力を受信するか、例えば上述した工程および/または機械パラメータおよび/または容器依存パラメータから前記調節角度を判断して、前記調節ディスクが前記固定ディスクに対して前記調節角度だけ回転されるべく前記調節機構を相応に起動するように前記制御部が構成される。このようにして、ピッチオフセットが完全に自動的に補正されうる。
【0030】
上述した目的は、好ましくは飲料充填システムにおいて容器を搬送するための方法によっても達成される。この方法は、上に提示された変形の一つによる装置あるいは搬送ホイールを使用する。この方法は、前記搬送ホイールの前記収容領域へ容器を移送し、前記中心回転軸線上で前記搬送ホイールを回転させることにより円形軌道に沿って前記容器を搬送し、前記収容領域から前記容器を取り出すことと、前記収容領域のサイズを変更するため前記調節ディスクを前記固定ディスクに対して調節角度だけ回転させることとを包含する。搬送および調節のステップはいかなる手順または順序で実行されてもよい。
【0031】
装置および搬送ホイールについて記載された特徴、技術的効果、利点、そして例示的な実施形態は、この方法にも等しく適用される。
【0032】
ゆえに、上述した理由から、前記調節ディスクを前記固定ディスクに対して前記調節角度だけ回転させることにより生じるピッチオフセットが、特に、前記搬送ホイールの全体が前記調節角度と反対の方向に修正角度だけ回転されることにより、好ましくは手動および/または自動で補正される。
【0033】
好ましくは、上述した理由から、特に、搬送ホイールが調節角度と反対の方向に修正角度だけ駆動部により全体として回転されることにより、ピッチオフセットの補正が駆動部を介して実行される。
【0034】
本発明のさらなる利点および特徴は、好適な例示的実施形態についての以下の記載から明白である。本明細書に記載される特徴は、個別に、またはこれらの特徴が互いに矛盾しないとすると上に提示された特徴のうち一以上との組み合わせで、具現化されうる。好適な例示的実施形態についての以下の記載は、この場合に添付図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の好適なさらなる実施形態は、図についての以下の記載によりさらに詳細に説明される。
図1】容器搬送装置の搬送ホイールの平面図を示す。
図2】下から見た容器搬送装置の搬送ホイールの詳細を示す。
図3】容器搬送装置の搬送ホイールの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
好適な例示的実施形態が図によって以下に記載される。この場合に、同じか類似であるか同じ機能を有する要素が様々な図において同一の参照番号で提供され、冗長性を回避するためこれらの要素の反復的な記載が場合によっては省略される。
【0037】
図1から3は、図に示されていない容器を搬送するための装置1を様々な視点で示す。
【0038】
「移送スター」とも記される装置1は、好ましくは容器処理システムで使用され、例えば一つの処理ステーションから次の処理ステーションへの容器の搬送に役立つ。このようにして、様々な処理オプションを提供する処理カルーセル(不図示)の間で容器の移送が達成されうる。当該の処理カルーセルは、例えば、以下の処理オプションのうち一以上を提供しうる。容器に充填製品を充填すること、充填済み容器をそれぞれ蓋で密封すること、旋回、回転、ラベル貼付、収縮包装、ブロー成形、延伸ブロー成形、開封、ドーム切断、清掃、殺菌、起動、洗浄(気体および/または流体)、水洗シャワー、保温、加熱、冷却、送風、火炎処理、静電荷除去、予備充填、最終充填、予備蓋による予備密封、第1蓋部の装着および/または第2蓋部の装着を行うこと。特に好ましくは、例えば(非炭酸または炭酸)水、清涼飲料、ビール、ワイン、ジュース、スムージー、乳製品、混合飲料、その他のための飲料充填システムに、装置1が使用される。
【0039】
複数の装置1はまた、容器処理システムにおいて互いに前後に配置され、これにより例えば二つの容器処理カルーセルの間に蛇形状の搬送経路が形成されてもよい。
【0040】
装置1は、搬送ホイール10と、搬送ホイールの外周部Uに設けられて容器を収容するように構成される複数の収容領域11とを有する。少なくとも部分的に当該の容器を、好ましくは例えばボトル体などその本体を包囲するため、収容領域11は凹部、くぼみ、ポケットその他である。搬送ホイール10を回転させることにより、こうして容器は円形軌道に沿って搬送される。ゆえに、収容領域11はガイド領域でもあり、不図示の固定外部ガイドにより容器が任意で支持されるか、あるいは径方向内向きに案内されるので、搬送中に、容器は収容領域11に確保されたままであって外向きに移動しない。
【0041】
専用の回転軸線A上での中心回転シャフトの回転が搬送ホイール10に伝達されるように、搬送ホイール10は中心接続部12を介して中心回転シャフト(不図示)に固定状態で接続される。搬送ホイール10は好ましくは、高さに関して、つまり軸方向に調節可能である。図1に概略的に示されている駆動部2を介して中心回転シャフトが定置回転される。駆動部2は好ましくは、角度位置の制御を可能にする例えばステップモータ、サーボモータ、またはトルクモータなどの電気モータである。
【0042】
好ましくは同じ外周部Uを有するとともに、軸方向において一つの同じ回転軸線Aについて互いに上下に同心状態で重ねられる複数のディスク20,30,40、この例示的実施形態では3枚のディスクを搬送ホイール10が備える。図1および2に示されているようにスポークの形で構成されうるとともに、中心回転シャフトの回転がディスク20,30,40の全体に伝達されうるべくディスク20,30,40を接続部12に接続するように構成される支持構造13も、搬送ホイール10は有する。
【0043】
ディスク20,30,40は、協働により収容領域11を形成する複数の凹部21,31,41を、外周部Uについて各々が有する。言い換えると、ディスク20,30,40の当該の凹部21,31,41、ゆえにこの例示的実施形態では合計で3個の凹部21,31,41が収容領域11を共に形成する。凹部21,31,41はへこみ、くぼみ、ポケットその他として構成される。第1ディスク20の凹部21の数、第2あるいは中心ディスク30の凹部31の数、そして第3ディスク40の凹部41の数は好ましくは等しく、そして好ましくは収容領域11の数に等しい。また、凹部21,31,41は同じ形状と、互いからの均一な間隔とを有しうる。
【0044】
ディスク20,30,40のうち一以上、好ましくは外方の2枚のディスク20,40は、接続部12に対して、つまり中心回転シャフトに対して固定される。これらの固定されたディスク20,40は本明細書では「固定ディスク」とも記され、接続部12に対して、ゆえに中心回転シャフトに対して周方向に調節可能ではないことを特徴とする。
【0045】
したがって、ディスク20,30,40のうち少なくとも一つ、好ましくは、中心ディスク30は、固定ディスク20,40に対して調節可能である。この調節可能なディスク30は本明細書では「調節ディスク」とも記され、固定ディスク20,40に対して、ゆえに接続部12および中心回転シャフトに対して、特定の最大調節角度だけ周方向に調節可能であることを特徴とする。このため、調節ディスク30は好ましくは、一以上、例えば10個のスライドベアリング32を介して摺動可能に取り付けられる。
【0046】
調節ディスク30は、調節機構50を介して調節される。支持構造13に固定状態で取り付けられる出力シャフト51aを有するとともに、角度位置の制御を可能にする電気モータとして好ましくは具現化される回転式調節アクチュエータ51を調節機構50が備える。特に、この場合にはステップモータ、サーボモータ、またはトルクモータが関連している。この例示的実施形態によれば、調節機構50は、回転式調節アクチュエータ51の出力シャフト51aに固定状態で接続されることにより定置回転されうるピニオン52とともに、ピニオン52との鋸歯係合状態にあってピニオン52の回転により好ましくは円弧に沿って平行移動で動く鋸歯ロッド53も有する。そして鋸歯ロッド53は調節ディスク30に固定状態で取り付けられ、これにより調節ディスク30は、調節機構50を介して固定ディスク20,40に対して調節角度だけ調節可能あるいは回転可能である。
【0047】
好ましくは搬送ホイール10の上方に載置されるスリップリングを介して電力が調節アクチュエータ51に供給される。調節アクチュエータ51は、所望の角度位置を検索するか、あるいは参照移動を伴わずに設定が可能であるサーボモータとして具現化されうる。調節アクチュエータ51は好ましくは、搬送ホイール10上のハウジングを含まずに、特に支持構造13に締結される。好ましくは、調節機構50の調節アクチュエータ51および関連の構成要素は、装置1に使用される媒体に対して耐久性を持つ。逆トルクの調節および発生は、出力シャフト51a上のピニオン52と、歯車と、搬送ホイール10上の鋸歯ロッド53とを介して行われる。
【0048】
好ましくは、搬送ホイール10に空気シリンダが設けられ、空気シリンダは、特に大きな力の場合に、不要な調節が搬送ホイール10で発生しないことを保証するように構成される。図には示されていないこのような調節防止装置は異なる形で具現化されてもよく、高速および/または大きな容器、例えば1.25Lより大きいボトルの場合には有用である。
【0049】
調節ディスク30が固定ディスク20,40に対して調節されるので、異なる容器直径で図1に示されているように収容領域11のサイズが変更されてもよい―数値は例示的な容器の直径をミリメートルで示す。
【0050】
ポケットサイズ、つまり周方向における収容領域11の寸法を設定するために調節ディスク30が固定ディスク20,40に対して回転されると、収容領域11の径方向対称線が、このような対称線が存在する場合には変位を受ける。言い換えると、収容領域11の位置、ゆえに収容される容器の位置、つまり円筒形容器の場合にはその円筒体軸線が、例として示されている容器直径だけ、図1に描かれているように周方向に変位を受ける。この変位は本明細書では「ピッチオフセット」とも記される。
【0051】
必要であれば、好ましくは、例えば容器依存パラメータおよび/または調節角度依存パラメータなど少なくとも一つの機械または工程パラメータを検討することにより、ピッチオフセットが補正されうる。搬送ホイール10が固定参照点について整合されることにより、この補正が手動で実行されてもよい。
【0052】
代替的または付加的に、ピッチオフセットを修正するため中心回転シャフトの駆動部2が使用されうる。角度位置の制御を可能にする例えばステップモータ、サーボモータ、またはトルクモータなどの電気モータを駆動部2が備える場合には、搬送される容器あるいは適用される調節角度に応じて、機械工学の観点から単純かつ確実な手法での修正が可能である。
【0053】
このため、装置1は好ましくは、無線または有線で中心駆動部2および調節アクチュエータ51と通信する制御部60を備える。ゆえに調節アクチュエータ51は、調節ディスク30の現在調節角度または参照角度に対する調節角度差を制御部60に伝達するために構成されうる。制御部60はこれから修正角度を判断し、収容領域11が修正角度だけ修正されるように駆動部2を起動する。代替的に、調節アクチュエータ51から制御部60への情報の伝達が必ずしも必要とされないように、現在調節角度が制御部60により追跡および記録されてもよい。
【0054】
調節角度の修正あるいは補正はさらに、例えば搬送される容器の一以上の容器依存パラメータから、調節される角度についての入力を制御部60が受信または判断することにより自動化されうる。容器依存パラメータは、容器の形態、サイズ、直径、幾何学形状、および/またはその他についての情報を含みうる。こうして制御部60はこれらから調節角度を判断し、ピッチオフセットの修正のためアクチュエータ51および駆動部2を相応に起動する。
【0055】
代替的な変形によれば、固定参照点について修正が実施されることにより、調節角度の知識あるいはコンピュータ計算による調節角度の使用を伴わずにピッチオフセットの修正が実行されうる。例えば、収容領域11の径方向対称線または収容領域11の別の適当な点が固定システム部品の固定参照点と一致するように、搬送ホイール10が修正のため手動で、または制御装置60により回転されうる。
【0056】
ポケットサイズを設定するため一以上の調節ディスク30が一以上の固定ディスク20,40に対して回転されて、調節ディスク30と固定ディスク20,40の両方が、ポケットあるいは収容領域11を共に形成する凹部21,31,41をそれぞれ有して、ピッチオフセットの修正が実行されるので、調節のための機構がかなり単純化されうる。調節アクチュエータ51により付与される、はさみのような機械的撓みの力はもはや必要とされない。機械的複雑性の低下は、設定の確実性および精度の向上と少数の部品によるコスト削減とに関連する。装置1の組立が単純化される。搬送ホイール10の高さ調節により、装置10は、高さに関する可変手法での適応化と、異なる直径/形態の容器の搬送とが可能である。
【0057】
適用可能であれば、本発明の範囲を逸脱することなく例示的実施形態に示されている個々の特徴のすべてが結合および/または交換されうる。
【符号の説明】
【0058】
1 容器輸送装置
2 駆動部
10 搬送ホイール
11 収容領域
12 中心接続部
13 支持構造
20 ディスク
21 凹部
30 ディスク
31 凹部
32 スライドベアリング
40 ディスク
41 凹部
50 調節機構
51 調節アクチュエータ
51a 出力シャフト
52 ピニオン
53 鋸歯ロッド
60 制御部
U 外周部
A 中心回転軸線
図1
図2
図3
【外国語明細書】