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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063271
(43)【公開日】2022-04-21
(54)【発明の名称】自動車用繊維被覆材
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/08 20060101AFI20220414BHJP
   G10K 11/168 20060101ALI20220414BHJP
   B60N 3/04 20060101ALI20220414BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
B60R13/08
G10K11/168
B60N3/04 A
B32B27/12
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022010773
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2017523497の分割
【原出願日】2015-10-27
(31)【優先権主張番号】14191184.2
(32)【優先日】2014-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512099884
【氏名又は名称】オートニアム マネジメント アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Autoneum Management AG
【住所又は居所原語表記】Schlosstalstrasse 43, CH-8406 Winterthur, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】デルフィーヌ ギネ
(72)【発明者】
【氏名】ビプル サバリヤ
(57)【要約】
【課題】多層吸収製品を更に最適化することであって、具体的には、部品の全体的な音響性能を更に最適化することを目的とする。
【解決手段】少なくとも2つの繊維層(10、30)と、前記少なくとも2つの繊維層(10、30)の間に位置する少なくとも1つの通気性中間フィルム層(20)とを備え、通気性を有している、消音のための自動車用多層トリム部品であって、前記繊維層(10、30)のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物であり、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、消音のための自動車用多層トリム部品を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの繊維層と、前記少なくとも2つの繊維層の間に位置する少なくとも1つの通気性中間フィルム層とを備え、通気性を有している、消音のための自動車用多層トリム部品であって、前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物であり、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、消音のための自動車用多層トリム部品。
【請求項2】
ノイズ源と反対側を向く前記繊維層と前記中間フィルム層とを合わせた通気抵抗が、その多層の全AFRの少なくとも55%に相当する、好ましくはその多層の全AFRの65%~80%に相当する、請求項1又は2に記載の自動車用トリム部品。
【請求項3】
前記中間フィルム層のAFRが、前記少なくとも2つの繊維層のAFRよりも高い、請求項1又は2に記載の自動車用トリム部品。
【請求項4】
ノイズ源に面する少なくとも1つの層が、圧縮されて、400~3000Nsm-3の総気流抵抗R、好ましくはR=500Nsm-3~R=2500Nsm-3を有する微細多孔質硬質層を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
【請求項5】
前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
【請求項6】
前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の合成繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
【請求項7】
前記第2の通気性中間フィルム層が、単層フィルム又は多層フィルムのうちの1つである、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項8】
前記フィルムが、アセテートの共重合体若しくは重合体、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA);アクリレートの共重合体、例えば例えばエチレンアクリル酸(EAA);ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)系重合体、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)若しくはメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)又はその誘導体のポリマーの少なくとも1つを用いて製造されるか、又は多層フィルムである、好ましくは少なくとも1つの面に接着性EAA層が被覆したポリエチレン系共重合体フィルムの組合せである、請求項5に記載の多層音響トリム部品。
【請求項9】
前記フィルムが、不織布スクリム、ホットメルト層、接着ウェブ、又は接着層のうちの1つに置き換えられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項10】
前記バインダ繊維が、次うちの少なくとも1つの材料を用いて製造される、モノコンポーネント繊維又はバイコンポーネント繊維のうちの1つである、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品:ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート;ポリオレフィン、特にポリプロピレン若しくはポリエチレン;ポリ乳酸(PLA);又はポリアミド(PA)。
【請求項11】
前記リサイクル繊維が、再生綿、再生合成繊維、再生ポリエステル繊維、再生天然繊維、又は合成繊維と再生天然繊維との混合のうちの1つである、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項12】
前記自己捲縮繊維又は前記合成繊維が、ポリアミド(ナイロン)、好ましくはポリアミド6若しくはポリアミド6.6;ポリエステル及び/又はその共重合体、好ましくはポリエチレンテレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレート;又は、ポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン若しくはポリエチレンの少なくとも1つを用いて製造されるか、ポリマー又はその共重合体、好ましくはポリエチレンテレフタレートとその共重合体で構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品:
【請求項13】
前記自己捲縮繊維が、少なくとも2つの面から構成される複合繊維であり、前記少なくとも2つの面は、それらの間に、ランダムな三次元形態において前記繊維の固有の永続的な自己捲縮を誘導する相違を有している、請求項1~12のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項14】
内装トリム部品として、例えばインナーダッシュとして、内装フロアシステムの一部として、又はインナーホイールハウスライニングとして、又は音響被覆材として、又はエンジンベイトリム部品、例えばボンネットライナー若しくはアウターダッシュとしての、請求項1~13のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品の使用。
【請求項15】
被覆スクリム層、音響スクリム層、装飾上部層、例えばタフテッドカーペット層又は不織布カーペット層をさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の多層消音トリム部品(multilayer sound attenuating trim part)に関し、具体的には、車両の内装用、例えばインナーダッシュ(inner dash) 用若しくはフロアカバーの一部用のトリム部品若しくは被覆材(cladding)、又は車両の外装用のトリム部品若しくは被覆材、例えばエンジンベイ領域のトリム部品若しくは被覆材としての又はアンダーボデートリム構成要素の一部としての車両の外装用のトリム部品若しくは被覆材に関し、並びにこのようなトリム部品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
消音は、自動車の設計において重要な要素である。消音のために、バネ質量音響系 (mass spring acoustic systems)並びに単層及び多層吸収系において、繊維材料が用いられている。
【0003】
所定の用途における特定の遮音材料(sound insulating material)の選択は、その消音性能だけでなく、他の考慮事項によっても決定される。これらには、コスト、重量、厚み、耐火性などが含まれる。周知の消音材料としては、フェルト、発泡体、圧縮繊維状フェルト材料、グラスウール又はロックウール、及び再生材料を含む再生布が挙げられる。
【0004】
例えば、米国特許第5298694号には、メルトブローンマイクロファイバーと捲縮かさ高繊維(crimped bulking fibers)とを約40:60~約95:5の重量比で含み、吸収層として用いられる遮音ウェブが開示されている。開示されている捲縮かさ高繊維は、機械捲縮繊維又は熱捲縮繊維である。これらの種類の捲縮は、主に、繊維材料のフェルト層の製造工程を支援するのに用いられているが、その使用時の製品の性能に対して持続効果を有していない。
【0005】
欧州特許出願公開第934180号には、多層音響トリム部品であって、少なくとも2つの層を備え、総気流抵抗がR=500Nsm-3~R=2500Nsm-3であり、面積重量が0.3kg/m~2.0kg/mである微細多孔質硬質層を形成するように上部層が圧縮された多層音響トリム部品が開示されている。この部品は、消音特性を示す。
【0006】
この特許文献及び類似する特許に記載の部品、並びに自動車に見られる部品では、各層は、通常、ともに形成されて全体的な多層構造を得るようになっている。多層の一部である層を製造する方法の一つは、層の面積重量(単位面積当たりの質量)が一定であるように、繊維を分布させることである。この場合において、形成工程によって層が互いの上にともに載置されると、多層の総面積重量は、依然として、一定であるが、多層の全体密度(overall density)は位置毎に変化する。具体的には、層が圧縮され部品の厚みが小さな領域の全体密度は、層が圧縮されずに厚みが大きな空間を充填する領域の全体密度よりも高い。このような理由により、この種類の部品では、多層の高い全体密度は通常、小さな厚みに関係し、また、多層の低い全体密度は通常、大きな厚みに関係している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本分野の技術水準を構成する部品の総面積の最大30%は、このような部品の吸音に寄与していないと推定されており、これは小さな厚みにおいて密度の高い局所領域が、この部品のそれらの領域において空気に対しほぼ不浸透性の製品となるためである。
【0008】
30%の弱い面積の推定は、一般的な装填空間、すなわち音響部品が車両内に充填する有効な容積の分析によるものである。このような部品では、厚みの範囲は、通常、5~60mmであるが、厚み分布及び極値は、種々の自動車と部品との間で変化させることができる。吸収型の大部分にある一般的なダッシュ音響部品では、見いだされる厚み分布はおおよそであり、次のとおりである。
7.5mm未満の厚み分布が19%、
7.5~12.5mmの厚み分布が27%、
12.5~17.5mmの厚み分布が16%、
17.5~22.5mmの厚み分布が13%、
22.5~27.5mmの厚み分布が20%、及び、
27.5mm超の厚み分布が5%。
【0009】
これらのデータは、12.5mm未満の厚みが、部品の総面積に大きな影響を及ぼしていることを示している(約45%)。これらの領域において、材料は極度に圧縮され、このことは、特に約8mm未満の厚みでは、音響性能に対して悪い影響を及ぼしている。これらの厚みが小さな領域の部品の位置は、縁及び切欠きの周辺にあるため、あまり重要でないが、45%の十分な部分は性能に大きく寄与している。これらの考察により、一般的な部品の面積のおよそ30%が、全体的な性能において特に重要であるという特徴を有していると推定される。
【0010】
別の重要な問題は、現在用いられている繊維材料が、低い密度において、部品の厚みの要求に対処するのに十分な厚みを実現できないことである。このため、部品の総重量の増加を犠牲にしてでも、必要な厚みを得るために重量が加えられる。そして、重量を加えることにより、材料が強く圧縮されている厚みが小さな領域の音響性能に対して、悪影響を及ぼす。利用可能な装填空間は比較的限られ、部品の性能に影響を及ぼすだけでなく、さらに、重量の増加は、これらの領域において更に多くの性能も制限する。全体として、現在用いられている材料、及びまさに記載した問題により、面積の最大およそ30%は、その全体的な音響性に、最小限で寄与するか又は寄与していない。
【0011】
したがって、本発明の目的は、技術水準の多層吸収製品を更に最適化すること、具体的には、部品の全体的な音響性能を更に最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、少なくとも2つの繊維層と、少なくとも2つの繊維層の間に位置する少なくとも1つの通気性中間フィルム層とを備え、かつ通気性である、消音のための自動車用多層トリム部品であって、少なくとも1つの繊維層が、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、消音のための自動車用多層トリム部品によって達成される。
【0013】
特に、特許請求の範囲に記載されている材料の組合せによって、必要な大きな厚みを実現することが可能であり、かつ比較的少ない材料を用いて比較的大きな範囲にわたって装填空間を充填することが可能である。
【0014】
驚くべきことに、厚みが小さな領域が依然として吸音を示し、この部品の吸音領域は、ほぼ100%まで増加する。本発明に係る材料によって、密度が減少した初期厚みの増加を実現するため、同じ厚みにおいて重量の減少を実現することができる。部品の重量が軽くなり、自動車の燃料消費及びCOフットプリントに対して直接的に良い影響を及ぼすため、これは、自動車メーカーにとってさらに有利である。
【0015】
驚くべきことに、材料の初期弾力性は、製造時に、そして材料の長期使用時であっても、そのまま維持される。これは、この材料によって製造されるトリム部品又は被覆材が、その耐用寿命を通じて自動車に通常存在し、したがって製品がその初期性能を長く維持するため、有益である。
【0016】
上部層と中間層の気流抵抗はともに、完全な多層の全AFRの少なくとも55%に相当することが好ましく、また、完全な多層の全AFRの65%~80%に相当することが好ましい。
【0017】
好ましくは、ノイズ源、例えば客室に面する層が少なくとも、圧縮されて、400~3000Nsm-3の総気流抵抗R、好ましくはR=500Nsm-3~R=2500Nsm-3、及び0.3kg/m~2.0kg/mの面積重量を有する微細多孔質硬質層を形成する。
【0018】
捲縮繊維を含む材料の組合せによって、その部品のほぼ全ての厚さプロファイルにわたって最適な音響性能を有する3次元形状部品を得ることができる。
【0019】
《繊維層》
トリム部品は、少なくとも2つの繊維層を備え、その層のうちの少なくとも1つが、10~40%のバインダ繊維と、10~70%のリサイクル繊維と、10~70%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物より製造される。
【0020】
他の層は、少なくとも、10~40%のバインダ繊維と10~70%のリサイクル繊維との混合物を含むことが好ましい。ただし、この層は、自己捲縮繊維又は合成繊維を加えることによっても利益を受けてもよい。
【0021】
自己捲縮繊維は2つの面を備えた繊維であり、一方の面が他方の面とは異なって収縮し、これによって、直線とは異なるフィラメントの形状、例えば渦巻き状、オメガ状又は螺旋状の形態が生じるように構成される。ただし、ほとんどの場合、形状は必ずしも規則的な構造ではなく、不規則な三次元形状の変形例は同じ利点を有する。
【0022】
自己捲縮繊維は、繊維間の形態(morphology)の相違を利用して、2つの異なるポリマーの固有の形態を利用するか、又は添加剤若しくは処理操作を用いホモポリマーに形態の相違を作り出すことのいずれかによって、製造することができる。これを実現する方法には、限定されないが、バイコンポーネント技術、例えば分子量及び/又はそれぞれのコンポーネントの立体化学の相違を利用する、偏心鞘芯及びサイドバイサイド(side by side)が挙げられる。同様の効果は、ホモポリマー使用時に繊維の径にわたる配向レベルに相違を生じる、他の溶融紡糸プロセス変数(例えば、溶融粘度)を操作することによって実現することができる。加えて、同様の効果を発揮させるように、架橋剤又は分岐剤のようなポリマー添加剤も用いることができる。
【0023】
自己捲縮の前提条件は、2つの繊維コンポーネントの収縮、収縮力及び弾性係数の相違によって生じる特定の捲縮可能性である。
【0024】
機械捲縮は、例えばスタッファーボックス処理又は鋸歯歯車処理(saw tooth gear treatment)を含めることによって、繊維捲縮及び形成される形状を更に強化するのに用いることができる。
【0025】
自己捲縮繊維は、繊維の固有の特徴として、繊維の紡糸時に捲縮能を得るという点で、機械捲縮繊維とは異なる。この固有の自己捲縮は、更なる製造工程段階時及び後の材料の使用時に失われにくくなる。自己捲縮繊維の捲縮は、恒久的である。
【0026】
付加的な工程、例えば加熱段階によって後に捲縮する可能性がある繊維は、潜在捲縮を有すると定義される。この捲縮も、先に開示したものと同じ種類の相違によって実現することができる。自己捲縮繊維は、その最終的な捲縮状態にあることが好ましく、それ以上、後の工程によって捲縮は生じない。自動車用トリム部品の製造開始から捲縮状態を有するように、繊維の十分な混合、カーディング又はエアレイ(airlay)の後の更に均質な繊維マット、及び成形時における繊維マットの少ない捲縮を示し、このため、ブランクサイズを更に正確に推定することができる。トリム部品の熱成形時に捲縮が生じている間、繊維マットが過度に捲縮し、これによって、成形時に繊維が移動し、最終部品に欠陥が生じ得る。トリム部品の三次元形状によっては、繊維収縮の非常に遅い開始には利益がない。
【0027】
機械捲縮繊維ではなく、自己捲縮繊維を用いることによる利点は、多種多様である。開示されている本発明において、最も重要な利点は、繊維層の製造開始から、繊維が捲縮状態にあることである。ランダムな三次元形状の繊維の形態における捲縮状態は、繊維の好ましい状態である。驚くべきことに、繊維は、トリム部品の全製造時及び耐用寿命において、この好ましい形状にとどまる。機械捲縮自体は強くなく、時間の経過とともに、その特性が失われる。機械捲縮繊維は、時間の経過とともに、平らになり、弾力性及び厚み回復力(loftiness)を失い、その目的において、時間の経過とともに、トリム部品に欠陥を生じさせる。
【0028】
自己捲縮繊維は、サイドバイサイド型複合繊維(side by side conjugate fiber)であることが好ましい。複合材料は、固有の自己捲縮を繊維に発生させる粘性が相違するように選ばれることが好ましい。ただし、規定されている自己捲縮を示す、他の種類の複合繊維も選ばれてもよい。
【0029】
自己捲縮繊維は、以下のうちの1つ又は組合せから製造されることが好ましい:
・ポリアミド(ナイロン)、好ましくはポリアミド6若しくはポリアミド6.6、略してPA、
・ポリエステル及び/又はその共重合体、例えばポリエチレンテレフタレート、略してPET;ポリブチレンテレフタレート、略してPBT、若しくは、
・ポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)、
・又は、先述した重合体とその共重合体との組合せ、例えば、ポリエチレンテレフタレートとコポリエチレンテレフタレートとの組合せPET/CoPET。
【0030】
自己捲縮繊維は2つのコンポーネントを備えた繊維であり、一方のコンポーネントが他方のコンポーネントとは異なる収縮挙動を有し、これによって、直線とは異なるフィラメントの形状、例えば渦巻き状、オメガ状又は螺旋状の形態が生じるように構成される。ただし、ほとんどの場合、形状は必ずしも規則的な構造ではなく、不規則な三次元形状の変形例は同じ利点を有する。自己捲縮繊維において、捲縮は恒久的である。
【0031】
再利用についての十分な実績があることから、ポリエステルの使用が最も好ましい。自己捲縮繊維又はバインダ繊維に用いられるポリマーは、材料の要件がもたらされる限り、新しいものであるか、又は再生資源によるものであってもよい。
【0032】
自己捲縮繊維は、全体的に円形断面を有することが好ましく、中空複合繊維としても知られているように、中空コアを備えた円形断面を有することがより好ましい。ただし、複合自己捲縮繊維を製造するのに、当技術分野で知られている他の断面も用いることができる。自己捲縮繊維は、繊維の長さ方向において、2つ以上の中空空洞(hollow cavities)を有し得る。
【0033】
2つの面、構成要素又はポリマーは、収縮の相違がもたらされるように、フィラメント糸(filament string)に分布する。繊維がそれぞれの構成要素の等しい部分から構成される場合、最大捲縮が生じてもよく、構成要素は分離し、繊維の両側に配置される。
【0034】
用いられる自己捲縮繊維のステープルファイバの長さは、32~76mmであることが好ましい。繊維は2~20デシテックス(dtex)が好ましく、2~10デシテックスがより好ましい。
【0035】
自己捲縮繊維の使用は、全体として、例えばカーディング法又はより好ましいエアレイ法(air laying methods)によって得られる材料層の均一性を向上させる。ランダムにカールした形態へ戻る、自己捲縮繊維の自然な傾向によって、付加的な弾力性が繊維にもたらされる。具体的には、再生材料は処理時に再度捲縮せず、層の全体にわたって十分に広げられる。捲縮の永続性が、プロセス中の捲縮の喪失を防ぐ。
【0036】
驚くべきことに、特許請求の範囲に記載の材料は三次元形状により正確に熱成形することができ、加えて、材料の弾力性は成形時に実質的に低減せず、これは、実際の部品の成形工程時に繊維が劣化しにくいことを示す。加えて、材料は使用時にその弾力性を維持するため、成形後に直接得られる初期厚みは長く維持される。
【0037】
繊維層のうちのいずれかのバインダ繊維は、ポリエステル、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、具体的にはポリプロピレン若しくはポリエチレン、ポリ乳酸(PLA)、又はポリアミド(PA)、具体的にはポリアミド6若しくはポリアミド6.6のうちの少なくとも1つの材料によって製造される、モノコンポーネント繊維又はバイコンポーネント繊維のうちの1つであり得る。
【0038】
バインダ繊維は、繊維層のうちのいずれかの総繊維の10~40重量%であることが好ましい。
【0039】
バインダ繊維の少なくとも1つのコンポーネントを、自己捲縮繊維の融点よりも低い融点で溶融又は軟化させることができる。好ましくは、ポリマーのポリエチレンテレフタレート及びそのコポリマーの組合せが用いられる。
【0040】
リサイクル繊維は、再生綿(shoddy cotton)、再生合成繊維(shoddy synthetic fiber)、再生ポリエステル繊維(shoddy polyester fiber)又は再生天然繊維(shoddy natural fiber)であることが好ましく、再生型のものは、材料の少なくとも51重量%に含まれ、49%が他の原料の繊維であり得ると定義される。このため、例えば、再生ポリエステルは、少なくとも51重量%のポリエステル系材料を含有している。または、再生材料は、種々の合成繊維と天然繊維との混合物であってもよく、1つの種類に支配されない。追加の材料のための他の原料は、例えばバイオファイバー(麻(hemp)、亜麻(flax)、ココヤシ繊維(cocos))、綿、若しくは合成繊維、又は繊維トリム部品を製造するための同じ製造ライン又は同様の製造ラインに由来する再利用された切断材料とすることができる。ある種の場合には、少量のリサイクル発泡体切断体が含有されてもよい。
【0041】
ノイズ源に面している捲縮繊維を含まない繊維層は、産業界で一般的な他の天然又は合成型の繊維、例えば羊毛、アバカ、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン若しくはポリエチレン、又はポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、又はこのような繊維の混合物が含まれ得る。また、この層には、0.5~2デシテックスの範囲の極細繊維も含まれ得る。
【0042】
繊維層は、繊維の同じ又は類似する混合物を有していることが好ましい。
【0043】
少なくとも2つの繊維層は、種々の特性を有する層を形成するように、それぞれに圧縮することができる。これらの特性は、トリム部品の吸収特性を更に最適化するように、剛性、密度、気流抵抗若しくは繊維混合、又はこれらの特性の組合せのうちの少なくとも1つにおいて異なり得る。
【0044】
好適な実施形態において、トリム部品は、車両用パネルを覆って音を低減するように自動車に配置される。
【0045】
車両用パネルとは反対側の客室の方向に面しているトリム部品の面(上部繊維層)は、車両用パネルに面している面(第2の繊維層)よりも、高い剛性を有し得る。この面は、ホワイトボディに追従していることが好ましく、かつ厚み回復力特性を有する。
【0046】
少なくとも2つの繊維層と中間フィルム層はともに、20~460kg.m-3の全体密度を有することが好ましい。この変化している密度は、好ましくは、トリム部品の成形時に少なくとも2つの繊維層及び中間フィルム層を圧縮して必要な形状を形成することによって実現することができ、これによって、通気性であるとともに、軽量であり製品の耐用寿命においてその構造を維持する吸音トリム部品として機能する製品が得られる。
【0047】
驚くべきことに、実施形態に係る繊維層の少なくとも1つにおける材料の組合せによって、さらに、音響性能が最適化される。重量を低減し、さらに、このような種類の自動車用トリム部品に必要な変化している厚み、通常、4~30mm、好ましくは最大35mmの範囲の厚みを得ることが可能である。ただし、少なくとも1つの層の材料に応じて、自己捲縮繊維を含有する少なくとも1つの層によって、最大40~50mmの全体の厚みを実現することができる。
【0048】
上部繊維層は、ノイズ源、例えばホワイトボディと反対側を向く層であり、好ましくは250~1800gsm(平方メートル当たりのグラム)、好ましくは400~1100gsmの面積重量を有する。
【0049】
上部層の厚みは、最終トリム部品において1~10mmであることが好ましい。この層は、一定の厚みであることが好ましい。
【0050】
ノイズ源、例えばホワイトボディに面している第2の層は、好ましくは250~1500gsmであり、より好ましくは300~800gsmの面積重量を有する。
【0051】
第2の層の厚みは、最終トリム部品において2~60mmであることが好ましい。
【0052】
少なくとも2つの繊維層の総面積重量は、好ましくは800~2500gsm、好ましくは1000~2000gsmである。
【0053】
《中間層》
通気性中間フィルム層は、単層フィルム又は多層フィルムのいずれかである。フィルムは、キャストフィルム又はインフレーションフィルム(brown film)であり得ることが好ましい。中間フィルム層の厚みは、好ましくは5~100gsm、より好ましくは8~50gsm、さらにより好ましくは8~40gsmである。
【0054】
フィルムは、次のうちの少なくとも1つのポリマーから製造することができる:
アセテートの共重合体若しくは重合体、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA);アクリレートの共重合体、例えばエチレンアクリル酸(EAA);ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)系重合体、例えば低密度ポリエチレン(linear density polyethylene)(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(linear long density polyethylene)(LLDPE)若しくはメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(metallocene linear long density polyethylene)(mLLDPE)又は誘導体;又は多層フィルム、好ましくは少なくとも1つの面において接着性EAA層が被覆したポリエチレン系共重合体フィルムの組合せ。
【0055】
中間層は少なくとも最終製品において通気性であり、トリム部品の通気抵抗を高める。層を積層し最終部品を成形するのに選ばれる工程に応じて、フィルムは最初から通気性であってよいし、又は部品の製造時に通気性になってもよい。フィルムが個々の製造段階において通気性になる場合は、フィルムが部品の気流抵抗を高めるように工程が選ばれる。
【0056】
好ましい工程は、スチーム圧を用いるトリム部品の成形時にフィルム層を密にせず、部品の全体的な音響性能に有用な気流抵抗を有する通気性層を得るものである。トリム部品の最終製造段階時にフィルムを密にならないようにすることによって、フィルムのAFR特性を、要求されるニーズに調整することができる。
【0057】
中間層は、最も高い気流抵抗を有する層であることが好ましい。
【0058】
薄い中間層の通気抵抗は、選ばれる工程に関係なく、最終製品において500~2500N.s.m-3である。
【0059】
通気性中間層は、代わりに、成形後にフィルム材料によって実現するのと同じレベルの気流抵抗を有する、不織布スクリム、ホットメルト層、接着ウェブ又は接着層のうちの1つであってもよい。
【0060】
場合によっては、第2の層はその構造体から剥離することができるが、第1の層と中間層は分離するのがより困難である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、少なくとも2つの繊維層10及び30と薄い中間層20とを備えた特許請求の範囲に係る製品の構成を概略的に示している。
図2図2は、特許請求の範囲に記載の本発明に係る、開示されたように最適化された同一のトリム部品の音響性能のシミュレーションを示している。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図Aに示されているように、ブランクの繊維層と中間層が積み重ねられ、材料の積層体が成形され、図Bに例として示されている三次元形状を有するトリム部品が形成される。成形時に、上部及び/又は下部繊維層は圧縮され、繊維は部品の最終形状を設定する必要がある。
【0063】
上部層は、便宜上直線層として示されているが、この層は、曲げられてもよく、3次元形状に成形されてもよい。
【0064】
必要に応じて、工程の一部として、例えば、微小な細孔を形成するか、又は材料の溶融及び凝固工程によって、中間フィルム層を通気性にしてもよい。成形後の層10は、その最終厚みが比較的一定しているが、厚みがわずかに変化し得る。この例において、下部層30は、自動車のホワイトボディへ十分に適合できるように、更に明確な三次元形状を有している。少なくとも、自動車のホワイトボディの方に配置されている層は、特許請求の範囲に記載の捲縮繊維を含むことが好ましい。
【0065】
本発明に係る部品の例は、次のとおりであり得る。
- 上部層10はノイズ源から離れて面し、750gsmの面積重量を有し、バインダ繊維として18%のPET/CoPETのバイコンポーネント繊維と、82%のリサイクル繊維、好ましくは再生綿とを含む第1の繊維層から構成される。
- 通気性中間層20は、20gsmの厚みを有するフィルム層である。フィルム層は部品のスチーム成形時に通気性になり、このため、蒸気圧力を用いてフィルムの気流抵抗が微調整される。
- 第2の繊維層30は、繊維層であって、550gsmの面積重量を有し、バインダ繊維として18重量%のPET/CoPETのバイコンポーネント繊維と、40重量%のPET自己捲縮繊維と、42%のリサイクル繊維、好ましくは再生綿とからなる繊維層である。
【0066】
およそ1300gsmの総面積重量がもたらされる。
【0067】
本分野の技術水準に係る比較例は、バインダ繊維として18%のバイコンポーネント繊維及び82%の再生材料からなる、750gsmの面積重量を有する上部層と、おおよそ上部層と同じフィルム層と、上部層と同じ材料であるがトリム部品の厚み必要性を補うように1100gsmである第2の繊維層と、を有する。この材料は、低い面積重量において部品の最大厚み領域を満たすのに必要な初期厚みを実現しない。したがって、この部品は、1850gsmの総面積重量を有する。
【0068】
3次元部品の吸音の測定結果は、周波数の全範囲にわたって音響特性において全体的な向上を示した。特に、4~12.5mmの厚みを有する部品の領域において、良好な性能が達成できたことに気付いた。
【0069】
図2は、特許請求の範囲に記載の本発明に係る、開示されたように最適化された同一のトリム部品の音響性能のシミュレーションを示している。
【0070】
その吸収は、平らなサンプルのアルファキャビン(Alpha Cabin)における実際の測定、及び背景技術の章に記載されている厚み分布に基づく。本分野の技術水準に係る部品の吸収を点線により示し、本発明に係る部品の吸収を実線により示している。本発明に係る部品の十分な音響性能は、具体的には、小さな厚み(高い密度)の領域における性能に関係しており、この性能は、最適な全AFRにより、本発明に係る部品において良好である。
【0071】
本発明に係る多層部品は、内装トリム部品として、例えばインナーダッシュ若しくはハッシュパネルとして;内装フロアシステムの一部として;音響被覆材として;又はエンジンベイトリム部品、例えばボンネットライナー若しくはアウターダッシュ(outer-dash)として、又はアウター若しくはインナーホイールアーチライナー(outer or inner wheel arch liner)として用いることができる。
【0072】
本発明に係る多層音響トリム部品は、さらに、被覆スクリム層、音響スクリム層、装飾上部層、例えばタフテッドカーペット層又は不織布のカーペット層のような付加的な層を備え得る。消音の利益を維持するように、これらの付加的な層は、少なくともノイズ源の方に配置されている面において通気性がある。
【0073】
《トリム部品の製造》
次に、考えられる製造工程を更に詳細に説明する。
【0074】
ただし、当業者は、同様の結果をもたらすように代替的な工程をどのように用いるかについて、理解することも予期されるであろう。
【0075】
種々の繊維は、形成される材料の全体にわたって均一にブレンドされるように、本発明の教示内容及び特定の部品に必要な特性に従って、好適な組合せによりブレンドされる。ブレンドされた繊維は、市場において利用可能な既知の技術によって、マット又はバットに形成される。好ましくは、繊維材料を更に配向させるカード若しくはガーネットを用いて、又は、ウェブ若しくはマットを更にランダムに配列させるエアレイ法を用いて、例えばランド-ウェバー(Rando-Webber)若しくは他の既知のエアレイ機を用いて、これを行う。このようにして得られたウェブ又はマットは、さらに、連続工程により処理することができる。後の処理の必要がある場合、形成されたウェブ又はマットは、例えば熱処理段階により又はニードリングを用いて、連結することができる。自己捲縮繊維を含む繊維ウェブ又はマットには、ニードリングは好ましくなく、これは得られた層の厚み回復力及び弾力性に対して悪い影響を及ぼす。
【0076】
製品は、熱間成形法及び/又は冷間成形法を用いて製造され得る。このような方法の例は、熱風オーブン内での材料の予熱と、その後に続く、三次元形状のトリム部品を得る冷間成形段階との組合せであり得る。または、材料は、例えば熱風又はスチームのような高温流体によって、型内で直接加熱され、連結部分を得る。具体的には、フィルムが成形段階時に通気性にされる場合、蒸気の使用が望ましい。
【0077】
《測定の背景》
AFRは、直接気流法(方法A)を用い、ISO9053に従って測定される。
【0078】
全気流抵抗(AFR)は、トリム部品の局所領域において測定されるAFRである。当業者であれば、1つの点の断面ではなく領域の密度及びAFRを測定するとき、特定の小さな領域にわたって平均するとともに、開示されている本発明の教示内容に従うことは明らかである。
【0079】
部品の一般的な形状及び用いられる材料によって、全体密度と全AFRはともに、部品表面にわたって変化していてもよい。これらの量を測定する最小領域を規定するために、ISO9053は、用いる必要がある95mmの径の最小円形領域を規定している。ただし、場合によっては、三次元形状の部品が特に注目されるため、必要に応じて、ARFを測定する器具が、部品のこのような局所領域に適切な気流を提供するように構成されているという条件で、当業者は、標準範囲から外れて、径が75mm以上の小さな円形領域のサンプルを測定することができる。このようなサンプルでは、サンプル表面にわたる厚みの変化は、およそ20%の範囲内に維持されることが推奨される。例えば、厚みが5mmで4~6mmの局所的な偏差である(そしてこの範囲外ではない)サンプル、又は厚みが10mmで8~12mmの局所的な偏差である(そしてこの範囲外ではない)サンプルを測定することは許容され得る。このほかに、部品の形状により、例えば完全な平面性を欠いていることにより、そして、材料の可変性により、測定値は意味がなくなる。例えば、AFRは、サンプルの平均厚みと比較して厚みが小さいサンプルの限られた領域に関連し、このため、完全なサンプルを表すものではない。
【0080】
通気性は、簡潔にするため、8000N.s.m-3未満の気流抵抗を有するものと定義される。非通気性は、8000N.s.m-3以上の気流抵抗を有するものと定義される。存在し得る気流抵抗は、8000N.s.m-3を超えると、部品の吸音性能(acoustic absorbing performance)に対して大きな影響を及ぼすのに少なくとも不十分である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の多層消音トリム部品(multilayer sound attenuating trim part)に関し、具体的には、車両の内装用、例えばインナーダッシュ(inner dash) 用若しくはフロアカバーの一部用のトリム部品若しくは被覆材(cladding)、又は車両の外装用のトリム部品若しくは被覆材、例えばエンジンベイ領域のトリム部品若しくは被覆材としての又はアンダーボデートリム構成要素の一部としての車両の外装用のトリム部品若しくは被覆材に関し、並びにこのようなトリム部品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
消音は、自動車の設計において重要な要素である。消音のために、バネ質量音響系 (mass spring acoustic systems)並びに単層及び多層吸収系において、繊維材料が用いられている。
【0003】
所定の用途における特定の遮音材料(sound insulating material)の選択は、その消音性能だけでなく、他の考慮事項によっても決定される。これらには、コスト、重量、厚み、耐火性などが含まれる。周知の消音材料としては、フェルト、発泡体、圧縮繊維状フェルト材料、グラスウール又はロックウール、及び再生材料を含む再生布が挙げられる。
【0004】
例えば、米国特許第5298694号には、メルトブローンマイクロファイバーと捲縮かさ高繊維(crimped bulking fibers)とを約40:60~約95:5の重量比で含み、吸収層として用いられる遮音ウェブが開示されている。開示されている捲縮かさ高繊維は、機械捲縮繊維又は熱捲縮繊維である。これらの種類の捲縮は、主に、繊維材料のフェルト層の製造工程を支援するのに用いられているが、その使用時の製品の性能に対して持続効果を有していない。
【0005】
欧州特許出願公開第934180号には、多層音響トリム部品であって、少なくとも2つの層を備え、総気流抵抗がR=500Nsm-3~R=2500Nsm-3であり、面積重量が0.3kg/m~2.0kg/mである微細多孔質硬質層を形成するように上部層が圧縮された多層音響トリム部品が開示されている。この部品は、消音特性を示す。
【0006】
この特許文献及び類似する特許に記載の部品、並びに自動車に見られる部品では、各層は、通常、ともに形成されて全体的な多層構造を得るようになっている。多層の一部である層を製造する方法の一つは、層の面積重量(単位面積当たりの質量)が一定であるように、繊維を分布させることである。この場合において、形成工程によって層が互いの上にともに載置されると、多層の総面積重量は、依然として、一定であるが、多層の全体密度(overall density)は位置毎に変化する。具体的には、層が圧縮され部品の厚みが小さな領域の全体密度は、層が圧縮されずに厚みが大きな空間を充填する領域の全体密度よりも高い。このような理由により、この種類の部品では、多層の高い全体密度は通常、小さな厚みに関係し、また、多層の低い全体密度は通常、大きな厚みに関係している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本分野の技術水準を構成する部品の総面積の最大30%は、このような部品の吸音に寄与していないと推定されており、これは小さな厚みにおいて密度の高い局所領域が、この部品のそれらの領域において空気に対しほぼ不浸透性の製品となるためである。
【0008】
30%の弱い面積の推定は、一般的な装填空間、すなわち音響部品が車両内に充填する有効な容積の分析によるものである。このような部品では、厚みの範囲は、通常、5~60mmであるが、厚み分布及び極値は、種々の自動車と部品との間で変化させることができる。吸収型の大部分にある一般的なダッシュ音響部品では、見いだされる厚み分布はおおよそであり、次のとおりである。
7.5mm未満の厚み分布が19%、
7.5~12.5mmの厚み分布が27%、
12.5~17.5mmの厚み分布が16%、
17.5~22.5mmの厚み分布が13%、
22.5~27.5mmの厚み分布が20%、及び、
27.5mm超の厚み分布が5%。
【0009】
これらのデータは、12.5mm未満の厚みが、部品の総面積に大きな影響を及ぼしていることを示している(約45%)。これらの領域において、材料は極度に圧縮され、このことは、特に約8mm未満の厚みでは、音響性能に対して悪い影響を及ぼしている。これらの厚みが小さな領域の部品の位置は、縁及び切欠きの周辺にあるため、あまり重要でないが、45%の十分な部分は性能に大きく寄与している。これらの考察により、一般的な部品の面積のおよそ30%が、全体的な性能において特に重要であるという特徴を有していると推定される。
【0010】
別の重要な問題は、現在用いられている繊維材料が、低い密度において、部品の厚みの要求に対処するのに十分な厚みを実現できないことである。このため、部品の総重量の増加を犠牲にしてでも、必要な厚みを得るために重量が加えられる。そして、重量を加えることにより、材料が強く圧縮されている厚みが小さな領域の音響性能に対して、悪影響を及ぼす。利用可能な装填空間は比較的限られ、部品の性能に影響を及ぼすだけでなく、さらに、重量の増加は、これらの領域において更に多くの性能も制限する。全体として、現在用いられている材料、及びまさに記載した問題により、面積の最大およそ30%は、その全体的な音響性に、最小限で寄与するか又は寄与していない。
【0011】
したがって、本発明の目的は、技術水準の多層吸収製品を更に最適化すること、具体的には、部品の全体的な音響性能を更に最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、少なくとも2つの繊維層と、少なくとも2つの繊維層の間に位置する少なくとも1つの通気性中間フィルム層とを備え、かつ通気性である、熱成形された変化している厚みを有する消音のための自動車用多層トリム部品であって、少なくとも1つの繊維層が、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、消音のための自動車用多層トリム部品によって達成される。
【0013】
特に、以下の態様に記載されている材料の組合せによって、必要な大きな厚みを実現することが可能であり、かつ比較的少ない材料を用いて比較的大きな範囲にわたって装填空間を充填することが可能である。
すなわち本発明の態様は、以下のとおりである:
《態様1》
少なくとも2つの繊維層と、前記少なくとも2つの繊維層の間に位置する少なくとも1つの通気性中間フィルム層とを備え、通気性を有している、消音のための自動車用多層トリム部品であって、前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物であり、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、消音のための自動車用多層トリム部品。
《態様2》
ノイズ源と反対側を向く前記繊維層と前記中間フィルム層とを合わせた通気抵抗が、その多層の全AFRの少なくとも55%に相当する、好ましくはその多層の全AFRの65%~80%に相当する、態様1又は2に記載の自動車用トリム部品。
《態様3》
前記通気性中間フィルム層のAFRが、前記少なくとも2つの繊維層のAFRよりも高い、態様1又は2に記載の自動車用トリム部品。
《態様4》
ノイズ源に面する少なくとも1つの層が、圧縮されて、400~3000Nsm -3 の総気流抵抗R 、好ましくはR =500Nsm -3 ~R =2500Nsm -3 を有する微細多孔質硬質層を形成する、態様1~3のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
《態様5》
前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、態様1~4のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
《態様6》
前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の合成繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、態様1~5のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
《態様7》
前記第2の通気性中間フィルム層が、単層フィルム又は多層フィルムのうちの1つである、態様1~6のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
《態様8》
前記フィルムが、アセテートの共重合体若しくは重合体、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA);アクリレートの共重合体、例えば例えばエチレンアクリル酸(EAA);ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)系重合体、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)若しくはメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)又はその誘導体のポリマーの少なくとも1つを用いて製造されるか、又は多層フィルムである、好ましくは少なくとも1つの面に接着性EAA層が被覆したポリエチレン系共重合体フィルムの組合せである、態様5に記載の多層音響トリム部品。
《態様9》
前記フィルムが、不織布スクリム、ホットメルト層、接着ウェブ、又は接着層のうちの1つに置き換えられている、態様1~8のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
《態様10》
前記バインダ繊維が、次うちの少なくとも1つの材料を用いて製造される、モノコンポーネント繊維又はバイコンポーネント繊維のうちの1つである、態様1~9のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品:ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート;ポリオレフィン、特にポリプロピレン若しくはポリエチレン;ポリ乳酸(PLA);又はポリアミド(PA)。
《態様11》
前記リサイクル繊維が、再生綿、再生合成繊維、再生ポリエステル繊維、再生天然繊維、又は合成繊維と再生天然繊維との混合のうちの1つである、態様1~10のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
《態様12》
前記自己捲縮繊維又は前記合成繊維が、ポリアミド(ナイロン)、好ましくはポリアミド6若しくはポリアミド6.6;ポリエステル及び/又はその共重合体、好ましくはポリエチレンテレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレート;又は、ポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン若しくはポリエチレンの少なくとも1つを用いて製造されるか、ポリマー又はその共重合体、好ましくはポリエチレンテレフタレートとその共重合体で構成される、態様1~11のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
《態様13》
前記自己捲縮繊維が、少なくとも2つの面から構成される複合繊維であり、前記少なくとも2つの面は、それらの間に、ランダムな三次元形態において前記繊維の固有の永続的な自己捲縮を誘導する相違を有している、態様1~12のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
《態様14》
内装トリム部品として、例えばインナーダッシュとして、内装フロアシステムの一部として、又はインナーホイールハウスライニングとして、又は音響被覆材として、又はエンジンベイトリム部品、例えばボンネットライナー若しくはアウターダッシュとしての、態様1~13のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品の使用。
《態様15》
被覆スクリム層、音響スクリム層、装飾上部層、例えばタフテッドカーペット層又は不織布カーペット層をさらに備える、態様1~14のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【0014】
驚くべきことに、厚みが小さな領域が依然として吸音を示し、この部品の吸音領域は、ほぼ100%まで増加する。本発明に係る材料によって、密度が減少した初期厚みの増加を実現するため、同じ厚みにおいて重量の減少を実現することができる。部品の重量が軽くなり、自動車の燃料消費及びCOフットプリントに対して直接的に良い影響を及ぼすため、これは、自動車メーカーにとってさらに有利である。
【0015】
驚くべきことに、材料の初期弾力性は、製造時に、そして材料の長期使用時であっても、そのまま維持される。これは、この材料によって製造されるトリム部品又は被覆材が、その耐用寿命を通じて自動車に通常存在し、したがって製品がその初期性能を長く維持するため、有益である。
【0016】
上部層と中間層の気流抵抗はともに、完全な多層の全AFRの少なくとも55%に相当することが好ましく、また、完全な多層の全AFRの65%~80%に相当することが好ましい
【0017】
縮繊維を含む材料の組合せによって、その部品のほぼ全ての厚さプロファイルにわたって最適な音響性能を有する3次元形状部品を得ることができる。
【0018】
《繊維層》
トリム部品は、少なくとも2つの繊維層を備え、その層のうちの少なくとも1つが、10~40%のバインダ繊維と、10~70%のリサイクル繊維と、10~70%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物より製造される。
【0019】
他の層は、少なくとも、10~40%のバインダ繊維と10~70%のリサイクル繊維との混合物を含むことが好ましい。ただし、この層は、自己捲縮繊維又は合成繊維を加えることによっても利益を受けてもよい。
【0020】
自己捲縮繊維は2つの面を備えた繊維であり、一方の面が他方の面とは異なって収縮し、これによって、直線とは異なるフィラメントの形状、例えば渦巻き状、オメガ状又は螺旋状の形態が生じるように構成される。ただし、ほとんどの場合、形状は必ずしも規則的な構造ではなく、不規則な三次元形状の変形例は同じ利点を有する。
【0021】
自己捲縮繊維は、繊維間の形態(morphology)の相違を利用して、2つの異なるポリマーの固有の形態を利用するか、又は添加剤若しくは処理操作を用いホモポリマーに形態の相違を作り出すことのいずれかによって、製造することができる。これを実現する方法には、限定されないが、バイコンポーネント技術、例えば分子量及び/又はそれぞれのコンポーネントの立体化学の相違を利用する、偏心鞘芯及びサイドバイサイド(side by side)が挙げられる
【0022】
様の効果は、ホモポリマー使用時に繊維の径にわたる配向レベルに相違を生じる、他の溶融紡糸プロセス変数(例えば、溶融粘度)を操作することによって実現することができる。加えて、同様の効果を発揮させるように、架橋剤又は分岐剤のようなポリマー添加剤も用いることができる。
【0023】
自己捲縮の前提条件は、2つの繊維コンポーネントの収縮、収縮力及び弾性係数の相違によって生じる特定の捲縮可能性である。
【0024】
機械捲縮は、例えばスタッファーボックス処理又は鋸歯歯車処理(saw tooth gear treatment)を含めることによって、繊維捲縮及び形成される形状を更に強化するのに用いることができる。
【0025】
自己捲縮繊維は、繊維の固有の特徴として、繊維の紡糸時に捲縮能を得るという点で、機械捲縮繊維とは異なる。この固有の自己捲縮は、更なる製造工程段階時及び後の材料の使用時に失われにくくなる。自己捲縮繊維の捲縮は、恒久的である。
【0026】
付加的な工程、例えば加熱段階によって後に捲縮する可能性がある繊維は、潜在捲縮を有すると定義される。この捲縮も、先に開示したものと同じ種類の相違によって実現することができる。自己捲縮繊維は、その最終的な捲縮状態にあることが好ましく、それ以上、後の工程によって捲縮は生じない。自動車用トリム部品の製造開始から捲縮状態を有するように、繊維の十分な混合、カーディング又はエアレイ(airlay)の後の更に均質な繊維マット、及び成形時における繊維マットの少ない捲縮を示し、このため、ブランクサイズを更に正確に推定することができる。トリム部品の熱成形時に捲縮が生じている間、繊維マットが過度に捲縮し、これによって、成形時に繊維が移動し、最終部品に欠陥が生じ得る。トリム部品の三次元形状によっては、繊維収縮の非常に遅い開始には利益がない。
【0027】
機械捲縮繊維ではなく、自己捲縮繊維を用いることによる利点は、多種多様である。開示されている本発明において、最も重要な利点は、繊維層の製造開始から、繊維が捲縮状態にあることである。ランダムな三次元形状の繊維の形態における捲縮状態は、繊維の好ましい状態である。驚くべきことに、繊維は、トリム部品の全製造時及び耐用寿命において、この好ましい形状にとどまる。機械捲縮自体は強くなく、時間の経過とともに、その特性が失われる。機械捲縮繊維は、時間の経過とともに、平らになり、弾力性及び厚み回復力(loftiness)を失い、その目的において、時間の経過とともに、トリム部品に欠陥を生じさせる。
【0028】
自己捲縮繊維は、サイドバイサイド型複合繊維(side by side conjugate fiber)であることが好ましい。複合材料は、固有の自己捲縮を繊維に発生させる粘性が相違するように選ばれることが好ましい。ただし、規定されている自己捲縮を示す、他の種類の複合繊維も選ばれてもよい。
【0029】
自己捲縮繊維は、以下のうちの1つ又は組合せから製造されることが好ましい:
・ポリアミド(ナイロン)、好ましくはポリアミド6若しくはポリアミド6.6、略してPA、
・ポリエステル及び/又はその共重合体、例えばポリエチレンテレフタレート、略してPET;ポリブチレンテレフタレート、略してPBT、若しくは、
・ポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)、
・又は、先述した重合体とその共重合体との組合せ、例えば、ポリエチレンテレフタレートとコポリエチレンテレフタレートとの組合せPET/CoPET。
【0030】
自己捲縮繊維は2つのコンポーネントを備えた繊維であり、一方のコンポーネントが他方のコンポーネントとは異なる収縮挙動を有し、これによって、直線とは異なるフィラメントの形状、例えば渦巻き状、オメガ状又は螺旋状の形態が生じるように構成される。ただし、ほとんどの場合、形状は必ずしも規則的な構造ではなく、不規則な三次元形状の変形例は同じ利点を有する。自己捲縮繊維において、捲縮は恒久的である。
【0031】
再利用についての十分な実績があることから、ポリエステルの使用が最も好ましい。自己捲縮繊維又はバインダ繊維に用いられるポリマーは、材料の要件がもたらされる限り、新しいものであるか、又は再生資源によるものであってもよい。
【0032】
自己捲縮繊維は、全体的に円形断面を有することが好ましく、中空複合繊維としても知られているように、中空コアを備えた円形断面を有することがより好ましい。ただし、複合自己捲縮繊維を製造するのに、当技術分野で知られている他の断面も用いることができる。自己捲縮繊維は、繊維の長さ方向において、2つ以上の中空空洞(hollow cavities)を有し得る。
【0033】
2つの面、構成要素又はポリマーは、収縮の相違がもたらされるように、フィラメント糸(filament string)に分布する。繊維がそれぞれの構成要素の等しい部分から構成される場合、最大捲縮が生じてもよく、構成要素は分離し、繊維の両側に配置される。
【0034】
用いられる自己捲縮繊維のステープルファイバの長さは、32~76mmであることが好ましい。繊維は2~20デシテックス(dtex)が好ましく、2~10デシテックスがより好ましい。
【0035】
自己捲縮繊維の使用は、全体として、例えばカーディング法又はより好ましいエアレイ法(air laying methods)によって得られる材料層の均一性を向上させる。ランダムにカールした形態へ戻る、自己捲縮繊維の自然な傾向によって、付加的な弾力性が繊維にもたらされる。具体的には、再生材料は処理時に再度捲縮せず、層の全体にわたって十分に広げられる。捲縮の永続性が、プロセス中の捲縮の喪失を防ぐ。
【0036】
驚くべきことに、特許請求の範囲に記載の材料は三次元形状により正確に熱成形することができ、加えて、材料の弾力性は成形時に実質的に低減せず、これは、実際の部品の成形工程時に繊維が劣化しにくいことを示す。加えて、材料は使用時にその弾力性を維持するため、成形後に直接得られる初期厚みは長く維持される。
【0037】
繊維層のうちのいずれかのバインダ繊維は、ポリエステル、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、具体的にはポリプロピレン若しくはポリエチレン、ポリ乳酸(PLA)、又はポリアミド(PA)、具体的にはポリアミド6若しくはポリアミド6.6のうちの少なくとも1つの材料によって製造される、モノコンポーネント繊維又はバイコンポーネント繊維のうちの1つであり得る。
【0038】
バインダ繊維は、繊維層のうちのいずれかの総繊維の10~40重量%であることが好ましい。
【0039】
バインダ繊維の少なくとも1つのコンポーネントを、自己捲縮繊維の融点よりも低い融点で溶融又は軟化させることができる。好ましくは、ポリマーのポリエチレンテレフタレート及びそのコポリマーの組合せが用いられる。
【0040】
リサイクル繊維は、再生綿(shoddy cotton)、再生合成繊維(shoddy synthetic fiber)、再生ポリエステル繊維(shoddy polyester fiber)又は再生天然繊維(shoddy natural fiber)であることが好ましく、再生型のものは、材料の少なくとも51重量%に含まれ、49%が他の原料の繊維であり得ると定義される。このため、例えば、再生ポリエステルは、少なくとも51重量%のポリエステル系材料を含有している
【0041】
たは、再生材料は、種々の合成繊維と天然繊維との混合物であってもよく、1つの種類に支配されない。追加の材料のための他の原料は、例えばバイオファイバー(麻(hemp)、亜麻(flax)、ココヤシ繊維(cocos))、綿、若しくは合成繊維、又は繊維トリム部品を製造するための同じ製造ライン又は同様の製造ラインに由来する再利用された切断材料とすることができる。ある種の場合には、少量のリサイクル発泡体切断体が含有されてもよい
【0042】
維層は、繊維の同じ又は類似する混合物を有していることが好ましい。
【0043】
少なくとも2つの繊維層は、種々の特性を有する層を形成するように、それぞれに圧縮することができる。これらの特性は、トリム部品の吸収特性を更に最適化するように、剛性、密度、気流抵抗若しくは繊維混合、又はこれらの特性の組合せのうちの少なくとも1つにおいて異なり得る。
【0044】
好適な実施形態において、トリム部品は、車両用パネルを覆って音を低減するように自動車に配置される。
【0045】
車両用パネルとは反対側の客室の方向に面しているトリム部品の面(上部繊維層)は、車両用パネルに面している面(第2の繊維層)よりも、高い剛性を有し得る。この面は、ホワイトボディに追従していることが好ましく、かつ厚み回復力特性を有する。
【0046】
少なくとも2つの繊維層と中間フィルム層はともに、20~460kg.m-3の全体密度を有することが好ましい。この変化している密度は、好ましくは、トリム部品の成形時に少なくとも2つの繊維層及び中間フィルム層を圧縮して必要な形状を形成することによって実現することができ、これによって、通気性であるとともに、軽量であり製品の耐用寿命においてその構造を維持する吸音トリム部品として機能する製品が得られる。
【0047】
驚くべきことに、実施形態に係る繊維層の少なくとも1つにおける材料の組合せによって、さらに、音響性能が最適化される。重量を低減し、さらに、このような種類の自動車用トリム部品に必要な変化している厚み、通常、4~30mm、好ましくは最大35mmの範囲の厚みを得ることが可能である。ただし、少なくとも1つの層の材料に応じて、自己捲縮繊維を含有する少なくとも1つの層によって、最大40~50mmの全体の厚みを実現することができる。
【0048】
上部繊維層は、ノイズ源、例えばホワイトボディと反対側を向く層であり、好ましくは250~1800gsm(平方メートル当たりのグラム)、好ましくは400~1100gsmの面積重量を有する。
【0049】
上部層の厚みは、最終トリム部品において1~10mmであることが好ましい。この層は、一定の厚みであることが好ましい。
【0050】
ノイズ源、例えばホワイトボディに面している第2の層は、好ましくは250~1500gsmであり、より好ましくは300~800gsmの面積重量を有する。
【0051】
第2の層の厚みは、最終トリム部品において2~60mmであることが好ましい。
【0052】
少なくとも2つの繊維層の総面積重量は、好ましくは800~2500gsm、好ましくは1000~2000gsmである。
【0053】
《中間層》
通気性中間フィルム層は、単層フィルム又は多層フィルムのいずれかである。フィルムは、キャストフィルム又はインフレーションフィルム(brown film)であり得ることが好ましい。中間フィルム層の面積重量は、好ましくは5~100gsm、より好ましくは8~50gsm、さらにより好ましくは8~40gsmである。
【0054】
フィルムは、次のうちの少なくとも1つのポリマーから製造することができる:
アセテートの共重合体若しくは重合体、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA);アクリレートの共重合体、例えばエチレンアクリル酸(EAA);ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)系重合体、例えば低密度ポリエチレン(linear density polyethylene)(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(linear long density polyethylene)(LLDPE)若しくはメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(metallocene linear long density polyethylene)(mLLDPE)又は誘導体;又は多層フィルム、好ましくは少なくとも1つの面において接着性EAA層が被覆したポリエチレン系共重合体フィルムの組合せ。
【0055】
中間層は少なくとも最終製品において通気性であり、トリム部品の通気抵抗を高める。層を積層し最終部品を成形するのに選ばれる工程に応じて、フィルムは最初から通気性であってよいし、又は部品の製造時に通気性になってもよい。フィルムが個々の製造段階において通気性になる場合は、フィルムが部品の気流抵抗を高めるように工程が選ばれる。
【0056】
好ましい工程は、スチーム圧を用いるトリム部品の成形時にフィルム層を密にせず、部品の全体的な音響性能に有用な気流抵抗を有する通気性層を得るものである。トリム部品の最終製造段階時にフィルムを密にならないようにすることによって、フィルムのAFR特性を、要求されるニーズに調整することができる。
【0057】
中間層は、最も高い気流抵抗を有する層であることが好ましい。
【0058】
薄い中間層の通気抵抗は、選ばれる工程に関係なく、最終製品において500~2500N.s.m-3である。
【0059】
通気性中間層は、代わりに、成形後にフィルム材料によって実現するのと同じレベルの気流抵抗を有する、不織布スクリム、ホットメルト層、接着ウェブ又は接着層のうちの1つであってもよい。
【0060】
場合によっては、第2の層はその構造体から剥離することができるが、第1の層と中間層は分離するのがより困難である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、少なくとも2つの繊維層10及び30と薄い中間層20とを備えた特許請求の範囲に係る製品の構成を概略的に示している。
図2図2は、特許請求の範囲に記載の本発明に係る、開示されたように最適化された同一のトリム部品の音響性能のシミュレーションを示している。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図Aに示されているように、ブランクの繊維層と中間層が積み重ねられ、材料の積層体が成形され、図Bに例として示されている三次元形状を有するトリム部品が形成される。成形時に、上部及び/又は下部繊維層は圧縮され、繊維は部品の最終形状を設定する必要がある。
【0063】
上部層は、便宜上直線層として示されているが、この層は、曲げられてもよく、3次元形状に成形されてもよい。
【0064】
必要に応じて、工程の一部として、例えば、微小な細孔を形成するか、又は材料の溶融及び凝固工程によって、中間フィルム層を通気性にしてもよい。成形後の層10は、その最終厚みが比較的一定しているが、厚みがわずかに変化し得る。この例において、下部層30は、自動車のホワイトボディへ十分に適合できるように、更に明確な三次元形状を有している。少なくとも、自動車のホワイトボディの方に配置されている層は、特許請求の範囲に記載の捲縮繊維を含むことが好ましい。
【0065】
本発明に係る部品の例は、次のとおりであり得る。
- 上部層10はノイズ源から離れて面し、750gsmの面積重量を有し、バインダ繊維として18%のPET/CoPETのバイコンポーネント繊維と、82%のリサイクル繊維、好ましくは再生綿とを含む第1の繊維層から構成される。
- 通気性中間層20は、20gsmの厚みを有するフィルム層である。フィルム層は部品のスチーム成形時に通気性になり、このため、蒸気圧力を用いてフィルムの気流抵抗が微調整される。
- 第2の繊維層30は、繊維層であって、550gsmの面積重量を有し、バインダ繊維として18重量%のPET/CoPETのバイコンポーネント繊維と、40重量%のPET自己捲縮繊維と、42%のリサイクル繊維、好ましくは再生綿とからなる繊維層である。
【0066】
およそ1300gsmの総面積重量がもたらされる。
【0067】
本分野の技術水準に係る比較例は、バインダ繊維として18%のバイコンポーネント繊維及び82%の再生材料からなる、750gsmの面積重量を有する上部層と、おおよそ上部層と同じフィルム層と、上部層と同じ材料であるがトリム部品の厚み必要性を補うように1100gsmである第2の繊維層と、を有する。この材料は、低い面積重量において部品の最大厚み領域を満たすのに必要な初期厚みを実現しない。したがって、この部品は、1850gsmの総面積重量を有する。
【0068】
3次元部品の吸音の測定結果は、周波数の全範囲にわたって音響特性において全体的な向上を示した。特に、4~12.5mmの厚みを有する部品の領域において、良好な性能が達成できたことに気付いた。
【0069】
図2は、特許請求の範囲に記載の本発明に係る、開示されたように最適化された同一のトリム部品の音響性能のシミュレーションを示している。
【0070】
その吸収は、平らなサンプルのアルファキャビン(Alpha Cabin)における実際の測定、及び背景技術の章に記載されている厚み分布に基づく。本分野の技術水準に係る部品の吸収を点線により示し、本発明に係る部品の吸収を実線により示している。本発明に係る部品の十分な音響性能は、具体的には、小さな厚み(高い密度)の領域における性能に関係しており、この性能は、最適な全AFRにより、本発明に係る部品において良好である。
【0071】
本発明に係る多層部品は、内装トリム部品として、例えばインナーダッシュ若しくはハッシュパネルとして;内装フロアシステムの一部として;音響被覆材として;又はエンジンベイトリム部品、例えばボンネットライナー若しくはアウターダッシュ(outer-dash)として、又はアウター若しくはインナーホイールアーチライナー(outer or inner wheel arch liner)として用いることができる。
【0072】
本発明に係る多層音響トリム部品は、さらに、被覆スクリム層、音響スクリム層、装飾上部層、例えばタフテッドカーペット層又は不織布のカーペット層のような付加的な層を備え得る。消音の利益を維持するように、これらの付加的な層は、少なくともノイズ源の方に配置されている面において通気性がある。
【0073】
《トリム部品の製造》
次に、考えられる製造工程を更に詳細に説明する。
【0074】
ただし、当業者は、同様の結果をもたらすように代替的な工程をどのように用いるかについて、理解することも予期されるであろう。
【0075】
種々の繊維は、形成される材料の全体にわたって均一にブレンドされるように、本発明の教示内容及び特定の部品に必要な特性に従って、好適な組合せによりブレンドされる。ブレンドされた繊維は、市場において利用可能な既知の技術によって、マット又はバットに形成される。好ましくは、繊維材料を更に配向させるカード若しくはガーネットを用いて、又は、ウェブ若しくはマットを更にランダムに配列させるエアレイ法を用いて、例えばランド-ウェバー(Rando-Webber)若しくは他の既知のエアレイ機を用いて、これを行う。このようにして得られたウェブ又はマットは、さらに、連続工程により処理することができる。後の処理の必要がある場合、形成されたウェブ又はマットは、例えば熱処理段階により又はニードリングを用いて、連結することができる。自己捲縮繊維を含む繊維ウェブ又はマットには、ニードリングは好ましくなく、これは得られた層の厚み回復力及び弾力性に対して悪い影響を及ぼす。
【0076】
製品は、熱間成形法及び/又は冷間成形法を用いて製造され得る。このような方法の例は、熱風オーブン内での材料の予熱と、その後に続く、三次元形状のトリム部品を得る冷間成形段階との組合せであり得る。または、材料は、例えば熱風又はスチームのような高温流体によって、型内で直接加熱され、連結部分を得る。具体的には、フィルムが成形段階時に通気性にされる場合、蒸気の使用が望ましい。
【0077】
《測定の背景》
AFRは、直接気流法(方法A)を用い、ISO9053に従って測定される。
【0078】
全気流抵抗(AFR)は、トリム部品の局所領域において測定されるAFRである。当業者であれば、1つの点の断面ではなく領域の密度及びAFRを測定するとき、特定の小さな領域にわたって平均するとともに、開示されている本発明の教示内容に従うことは明らかである。
【0079】
部品の一般的な形状及び用いられる材料によって、全体密度と全AFRはともに、部品表面にわたって変化していてもよい。これらの量を測定する最小領域を規定するために、ISO9053は、用いる必要がある95mmの径の最小円形領域を規定している。ただし、場合によっては、三次元形状の部品が特に注目されるため、必要に応じて、ARFを測定する器具が、部品のこのような局所領域に適切な気流を提供するように構成されているという条件で、当業者は、標準範囲から外れて、径が75mm以上の小さな円形領域のサンプルを測定することができる。このようなサンプルでは、サンプル表面にわたる厚みの変化は、およそ20%の範囲内に維持されることが推奨される。例えば、厚みが5mmで4~6mmの局所的な偏差である(そしてこの範囲外ではない)サンプル、又は厚みが10mmで8~12mmの局所的な偏差である(そしてこの範囲外ではない)サンプルを測定することは許容され得る。このほかに、部品の形状により、例えば完全な平面性を欠いていることにより、そして、材料の可変性により、測定値は意味がなくなる。例えば、AFRは、サンプルの平均厚みと比較して厚みが小さいサンプルの限られた領域に関連し、このため、完全なサンプルを表すものではない。
【0080】
通気性は、簡潔にするため、8000N.s.m-3未満の気流抵抗を有するものと定義される。非通気性は、8000N.s.m-3以上の気流抵抗を有するものと定義される。存在し得る気流抵抗は、8000N.s.m-3を超えると、部品の吸音性能(acoustic absorbing performance)に対して大きな影響を及ぼすのに少なくとも不十分である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの繊維層と、前記少なくとも2つの繊維層の間に位置する少なくとも1つの通気性中間フィルム層とを備え、通気性を有している、熱成形された変化している厚みを有する消音のための自動車用多層トリム部品であって、前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物であり、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、消音のための自動車用多層トリム部品。
【請求項2】
ノイズ源と反対側を向く前記繊維層が、前記自己捲縮繊維を含む層であるか、又は前記自己捲縮繊維を含まない層であり、かつノイズ源と反対側を向く前記繊維層と前記通気性中間フィルム層とを合わせた通気抵抗が、その多層の全AFRの少なくとも55%に相当する、請求項1に記載の自動車用トリム部品。
【請求項3】
前記通気性中間フィルム層のAFRが、前記少なくとも2つの繊維層のAFRよりも高い、請求項1又は2に記載の自動車用トリム部品。
【請求項4】
前記繊維層のうちの他の層が、前記自己捲縮繊維を含まず、かつ前記他の層が、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、請求項1~のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
【請求項5】
前記繊維層のうちの他の層が、前記自己捲縮繊維を含まず、かつ前記他の層が、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の前記バインダ繊維及び前記リサイクル繊維とは異なる合成繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、請求項1~のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
【請求項6】
記通気性中間フィルム層が、単層フィルム又は多層フィルムのうちの1つである、請求項1~のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項7】
前記通気性中間フィルムが、アセテートの共重合体若しくは重合体;アクリレートの共重合体;ポリオレフィン又はその誘導体のポリマーの少なくとも1つを用いて製造されている、請求項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項8】
前記通気性中間フィルム層が、少なくとも1つの面に接着性EAA層が被覆したポリエチレン系共重合体フィルムの組合せである多層フィルムである、請求項6に記載の多層音響トリム部品。
【請求項9】
前記通気性中間フィルムが、不織布スクリム、ホットメルト層、接着ウェブ、又は接着層のうちの1つに置き換えられている、請求項1~のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項10】
前記バインダ繊維が、次うちの少なくとも1つの材料を用いて製造される、モノコンポーネント繊維又はバイコンポーネント繊維のうちの1つである、請求項1~のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品:ポリエステル;ポリオレフィン;ポリ乳酸(PLA);又はポリアミド(PA)。
【請求項11】
前記リサイクル繊維が、再生綿、再生合成繊維、再生ポリエステル繊維、再生天然繊維、又は合成繊維と再生天然繊維との混合のうちの1つである、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項12】
前記自己捲縮繊維又は前記合成繊維が、ポリアミド(ナイロン);ポリエステル及び/又はその共重合体;又は、ポリオレフィンの少なくとも1つを用いて製造されるか、ポリマー又はその共重合体で構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項13】
前記自己捲縮繊維が、少なくとも2つの面から構成される複合繊維であり、前記少なくとも2つの面は、それらの間に、ランダムな三次元形態において前記繊維の固有の永続的な自己捲縮を誘導する相違を有している、請求項1~12のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項14】
被覆スクリム層、音響スクリム層、装飾上部層、又は不織布カーペット層をさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項15】
内装トリム部品として、内装フロアシステムの一部として、又はインナーホイールハウスライニングとして、又は音響被覆材として、又はエンジンベイトリム部品としての、請求項1~14のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品の使用。
【外国語明細書】