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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063375
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20220415BHJP
   A47L 15/44 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
A47L15/42 D
A47L15/42 A
A47L15/42 E
A47L15/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171613
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】則竹 克哉
(72)【発明者】
【氏名】水上 裕人
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BA01
3B082BD01
3B082BD02
3B082BE02
3B082CC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】逆流防止装置から空気導入路に水が流入しても筐体内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる食器洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機1は、筐体9と、洗浄槽7と、給水管P1と、排水管P2と、余剰水処理手段50と、逆流防止装置30と、一端45が逆流防止装置30に連通する空気導入路40と、を備える。逆流防止装置30は、2次給水管P12から1次給水管P11への逆流を防止するとともに、1次給水管P11内が負圧になったとき、2次給水管P12に、1次給水管P11と2次給水管P12との間に設けられた中間室に、又は、1次給水管P11と2次給水管P12とに、空気導入路40を介して空気を導入するように構成される。空気導入路40の他端46は、洗浄槽7、排水管P2又は余剰水処理手段50である連通対象に連通する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、被洗浄物を収容可能であるとともに給水口及び余剰水排出口が設けられた洗浄槽と、
前記給水口に接続され、前記洗浄槽内に水を供給する給水管と、
前記洗浄槽内に供給された水である洗浄水を前記筐体の外部へ排出する排水管と、
前記洗浄槽内に供給された前記洗浄水の水位が上限水位を越えたときに前記余剰水排出口を介して前記洗浄槽の外部に余剰水として移動させ、さらに、前記筐体内に設けられた貯留部に前記余剰水を貯留させる貯留処理、又は前記排水管に前記余剰水を誘導する誘導処理を行う余剰水処理手段と、
前記給水管の途中に設けられた逆流防止装置と、
一端が前記逆流防止装置に連通する空気導入路と、を備え、
前記給水管における前記逆流防止装置よりも上流側は1次給水管とされ、
前記給水管における前記逆流防止装置よりも下流側は2次給水管とされ、
前記逆流防止装置は、前記2次給水管から前記1次給水管への逆流を防止するとともに、前記1次給水管内が負圧になったとき、前記2次給水管に、前記1次給水管と前記2次給水管との間に設けられた中間室に、又は、前記1次給水管と前記2次給水管とに、前記空気導入路を介して空気を導入するように構成され、
前記空気導入路の他端は、前記洗浄槽、前記排水管又は前記余剰水処理手段である連通対象に連通していることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記逆流防止装置は、前記1次給水管内が負圧になったとき、前記1次給水管を遮断し、かつ前記2次給水管に、又は前記中間室に、前記空気導入路を介して空気を導入する請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記食器洗浄機は、前記2次給水管の途中に設けられ、前記洗浄槽内に供給される水に処理剤を混入させることで前記処理剤を前記洗浄槽内に供給する処理剤供給装置をさらに備えている請求項1又は2記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記空気導入路の前記他端は、前記連通対象と第1連通口によって連通し、
前記第1連通口の最下端は、前記余剰水排出口の最下端よりも上方に位置している請求項1乃至3のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記空気導入路の前記一端は、前記逆流防止装置と第2連通口によって連通し、
前記第2連通口の最下端は、前記余剰水排出口の最下端よりも上方に位置している請求項1乃至4のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【請求項6】
前記筐体は、前方が開放され、
前記筐体内に収容された収容位置と、前記収容位置から前向きに移動した引き出し位置との間で移動可能な移動体をさらに備え、
前記洗浄槽は、前記移動体に設けられ、上方が開放された開口を有し、
前記逆流防止装置は、前記洗浄槽の後壁よりも後方で前記移動体に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機の一例が開示されている。この食器洗浄機は、筐体、洗浄槽、給水管、排水管及びエアブレーク装置を備えている。
【0003】
洗浄槽は、筐体内に設けられている。洗浄槽は、食器等の被洗浄物を収容可能である。給水管は、洗浄槽に設けられた図示しない給水口に接続され、洗浄槽内に水を供給する。排水管は、洗浄槽内に供給された水である洗浄水を筐体の外部へ排出する。
【0004】
エアブレーク装置は、給水管の途中に設けられている。エアブレーク装置は、給水管におけるエアブレーク装置よりも下流側からエアブレーク装置よりも上流側への逆流を防止する。
【0005】
なお、特許文献1ではエアブレーク装置の具体的構成が不明であるが、例えば、エアブレーク装置には空気導入路の一端が接続されており、空気導入路の他端は筐体内に開放されている。そして、そのようなエアブレーク装置は、給水管におけるエアブレーク装置よりも上流側が負圧になったとき、給水管におけるエアブレーク装置よりも下流側に、空気導入路を介して空気を導入するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-205689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の食器洗浄機では、給水管によって洗浄槽内に水を供給する最中に、エアブレーク装置内に流入した水の水圧や流速について何らかの原因によって急激な変動や低下が発生すると、エアブレーク装置から空気導入路に水が流入してしまう場合がある。そして、その場合、その空気導入路に流入した水が空気導入口を通過して筐体内の機械部品や電気部品等の構成部品に付着したり、その内部に浸入したりして、筐体内の構成部品に汚れや腐食等の不具合が発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、逆流防止装置から空気導入路に水が流入しても筐体内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の食器洗浄機は、筐体と、
前記筐体内に設けられ、被洗浄物を収容可能であるとともに給水口及び余剰水排出口が設けられた洗浄槽と、
前記給水口に接続され、前記洗浄槽内に水を供給する給水管と、
前記洗浄槽内に供給された水である洗浄水を前記筐体の外部へ排出する排水管と、
前記洗浄槽内に供給された前記洗浄水の水位が上限水位を越えたときに前記余剰水排出口を介して前記洗浄槽の外部に余剰水として移動させ、さらに、前記筐体内に設けられた貯留部に前記余剰水を貯留させる貯留処理、又は前記排水管に前記余剰水を誘導する誘導処理を行う余剰水処理手段と、
前記給水管の途中に設けられた逆流防止装置と、
一端が前記逆流防止装置に連通する空気導入路と、を備え、
前記給水管における前記逆流防止装置よりも上流側は1次給水管とされ、
前記給水管における前記逆流防止装置よりも下流側は2次給水管とされ、
前記逆流防止装置は、前記2次給水管から前記1次給水管への逆流を防止するとともに、前記1次給水管内が負圧になったとき、前記2次給水管に、前記1次給水管と前記2次給水管との間に設けられた中間室に、又は、前記1次給水管と前記2次給水管とに、前記空気導入路を介して空気を導入するように構成され、
前記空気導入路の他端は、前記洗浄槽、前記排水管又は前記余剰水処理手段である連通対象に連通していることを特徴とする。
【0010】
本発明の食器洗浄機では、逆流防止装置は、(1)1次給水管内が負圧になったとき、2次給水管に空気導入路を介して空気を導入する構成、(2)1次給水管内が負圧になったとき、1次給水管と2次給水管との間に設けられた中間室に空気導入路を介して空気を導入する構成、又は、(3)1次給水管内が負圧になったとき、1次給水管と2次給水管とに空気導入路を介して空気を導入する構成、とされている。そして、この食器洗浄機では、給水管によって洗浄槽内に水を供給する最中に、逆流防止装置内に流入した水の水圧や流速について何らかの原因によって急激な変動や低下が発生すると、逆流防止装置から空気導入路に水が流入してしまう場合がある。しかしながら、この食器洗浄機では、空気導入路の他端が洗浄槽、排水管又は余剰水処理手段である連通対象に連通していることから、その場合でも、その空気導入路に流入した水を筐体内の構成部品から遠ざけることができる。その結果、その空気導入路に流入した水が筐体内の構成部品に付着し難く、また、その内部に浸入し難い。
【0011】
したがって、本発明の食器洗浄機では、逆流防止装置から空気導入路に水が流入しても筐体内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる。
【0012】
逆流防止装置は、1次給水管内が負圧になったとき、1次給水管を遮断し、かつ2次給水管に、又は中間室に、空気導入路を介して空気を導入することが望ましい。
【0013】
この場合、負圧になった1次給水管内への逆流を確実性高く防止できる。
【0014】
本発明の食器洗浄機は、2次給水管の途中に設けられ、洗浄槽内に供給される水に処理剤を混入させることで処理剤を洗浄槽内に供給する処理剤供給装置をさらに備えていることが望ましい。
【0015】
水圧の損失が大きい処理剤供給装置が2次給水管の途中に設けられた場合、給水管によって洗浄槽内に水を供給する最中に、逆流防止装置内に流入した水の水圧や流速について急激な変動や低下が発生し易くなるおそれがある。この点、本発明の食器洗浄機では、上記構成により、逆流防止装置から空気導入路に水が流入しても筐体内の構成部品に不具合が発生することを確実性高く抑制できる。
【0016】
空気導入路の他端は、連通対象と第1連通口によって連通していることが望ましい。そして、第1連通口の最下端は、余剰水排出口の最下端よりも上方に位置していることが望ましい。
【0017】
この場合、1次給水管内が負圧になったとき、連通対象から汚れた洗浄水が第1連通口及び空気導入路を経由して逆流防止装置内に逆流することを抑制できる。
【0018】
空気導入路の一端は、逆流防止装置と第2連通口によって連通していることが望ましい。そして、第2連通口の最下端は、余剰水排出口の最下端よりも上方に位置していることが望ましい。
【0019】
この場合、1次給水管内が負圧になったとき、連通対象から汚れた洗浄水が空気導入路及び第2連通口を経由して逆流防止装置内に逆流することを抑制できる。
【0020】
筐体は、前方が開放されていることが望ましい。本発明の食器洗浄機は、筐体内に収容された収容位置と、収容位置から前向きに移動した引き出し位置との間で移動可能な移動体をさらに備えていることが望ましい。洗浄槽は、移動体に設けられ、上方が開放された開口を有していることが望ましい。そして、逆流防止装置は、洗浄槽の後壁よりも後方で移動体に設けられていることが望ましい。
【0021】
この場合の食器洗浄機は、いわゆるスライドオープン式である。そして、この構成によれば、仮に逆流防止装置が洗浄槽の前面よりも前側で移動体に設けられる場合と比較して、移動体の前面と洗浄槽の前面とを前後方向において近づけることができる。その結果、この食器洗浄機では、逆流防止装置を移動体に設けることによって移動体の引き出し量が大きくなる不具合を抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の食器洗浄機によれば、逆流防止装置から空気導入路に水が流入しても筐体内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施例1の食器洗浄機の模式断面図であって、移動体が収容位置にある状態を示す図である。
図2図2は、実施例1の食器洗浄機の模式断面図であって、移動体が引き出し位置に移動した状態を示す図である。
図3図3は、実施例1の食器洗浄機に係り、洗浄槽の部分斜視図である。
図4図4は、実施例1の食器洗浄機に係り、逆流防止装置としてのバキュームブレーカの断面図である。
図5図5は、実施例2の食器洗浄機に係り、洗浄槽の部分斜視図である。
図6図6は、実施例3の食器洗浄機に係り、洗浄槽の部分斜視図である。
図7図7は、実施例4の食器洗浄機に係り、洗浄槽の部分斜視図である。
図8図8は、実施例5の食器洗浄機に係り、逆流防止装置としての減圧式逆流防止器の断面図である。
図9図9は、実施例6の食器洗浄機に係り、逆流防止装置としてのバキュームブレーカの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例1~6を図面を参照しつつ説明する。
【0025】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の食器洗浄機1は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の一例である。食器洗浄機1は、システムキッチンの天板CT1の下方に設置された前面引き出し式のものである。
【0026】
本実施例では、システムキッチンを利用するユーザが筐体9と対向する側、すなわち図1の紙面左側を筐体9の前方と規定し、その反対側である図1の紙面右側を筐体9の後方と規定する。また、ユーザが筐体9に対向する状態で左に来る側、すなわち図1の奥側を筐体9の左方と規定し、右に来る側、すなわち図1の紙面手前側を筐体9の右方と規定する。そして、図2以降の各図に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、全て図1に対応させて表示する。
【0027】
<筐体、移動体、洗浄槽、扉体及び蓋体>
図1に示すように、食器洗浄機1は、筐体9、移動体6、洗浄槽7、扉体70及び蓋体8を備えている。
【0028】
筐体9は略箱状体である。筐体9の上は、天板CT1に覆われている。筐体9は、筐体開口9Hを有している。筐体開口9Hは、筐体9の前部の上端から下端までの広い範囲を開放しており、筐体9内と外部とを連通させている。
【0029】
移動体6は、筐体9内に収容されている。図1に示す移動体6の位置を収容位置とする。移動体6の側面と筐体9の内壁面との間には、図示しないスライドレール機構が配置されている。移動体6は、そのスライドレール機構によって、図1に示す収容位置と、図2に示すように収容位置から前向きに移動した引き出し位置との間で移動可能である。移動体6には、洗浄槽7及び扉体70が設けられている。
【0030】
図1及び図3に示すように、洗浄槽7は略箱状体であり、前壁7A、左右の側壁及び後壁7Bによって食器TW1を洗浄するための内部空間を区画している。また、洗浄槽7は、その内部空間の上部を開放する開口7Hを有している。
【0031】
図1に示すように、扉体70は、洗浄槽7の前壁7Aに対して前方から一体的に組み付けられることにより、洗浄槽7の前方に設けられている。扉体70の前面70Fは、上下方向及び左右方向に延びる平面であって、システムキッチンを利用するユーザの目に触れる意匠面を構成している。
【0032】
扉体70の上端には、扉体突出部78が設けられている。扉体突出部78は、扉体70の前面70Fの上部分から前方かつ上方に張り出している。扉体突出部78の前面には、取っ手7Gが設けられている。取っ手7Gは、移動体6を図1に示す収容位置と図2に示す引き出し位置との間で移動させるときに、ユーザによって把持される。
【0033】
移動体6が図1に示す収容位置にある状態では、扉体70が筐体開口9Hを閉鎖し、洗浄槽7が筐体9内に収容されている。そして、移動体6が図2に示す引き出し位置に移動することにより、扉体70が筐体開口9Hを開放し、洗浄槽7の開口7Hが筐体9から露出する状態となる。
【0034】
図1及び図2に示すように、蓋体8は、筐体9内の上部に配置されている。蓋体8は、図示しない連動機構によって移動体6の移動に連動して上下動するようになっている。
【0035】
蓋体8は、移動体6が図1に示す収容位置にあるときには下降して洗浄槽7の開口7Hを閉塞する。その一方、蓋体8は、移動体6が図1に示す収容位置と図2に示す引き出し位置との間で移動するときには上昇し、開口7Hを開放するとともに移動体6の移動を許容する。
【0036】
移動体6が図2に示す引き出し位置に移動して洗浄槽7の開口7Hが筐体9から露出する状態では、ユーザが開口7Hを介して、食器TW1を洗浄槽7内に収容したり、食器TW1を洗浄槽7から取り出したりすることができる。
【0037】
食器TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器や、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。食器TW1は、本発明の「被洗浄物」の一例である。
【0038】
なお、移動体6には、図示しない洗剤自動投入装置が設けられている。洗剤自動投入装置の内部には、食器TW1に付着する汚れを分解して洗い流すための洗剤が貯蔵されている。洗剤自動投入装置は、貯蔵された洗剤を所定のタイミングで洗浄槽7内に自動で投入する。
【0039】
<給水管、処理剤供給装置、給水電磁弁及び排水管>
図1に示すように、筐体9内には、給水管P1、処理剤供給装置20、給水電磁弁69及び排水管P2が設けられている。
【0040】
給水管P1は、移動体6の底壁と洗浄槽7の底壁との間で前向きに延び、洗浄槽7の前壁7Aに設けられた給水口7Sに接続されている。給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽7内に水を供給する。
【0041】
図1及び図3に示すように、給水管P1の途中には、バキュームブレーカ30が設けられている。バキュームブレーカ30は、本発明の「逆流防止装置」の一例である。バキュームブレーカ30は、洗浄槽7の後壁7Bよりも後方に配置されて図示しないブラケット等を介して後壁7Bに組み付けられることにより、移動体6に設けられている。
【0042】
バキュームブレーカ30の具体的構成については後で詳しく説明するが、給水管P1におけるバキュームブレーカ30よりも上流側は1次給水管P11とされ、給水管P1におけるバキュームブレーカ30よりも下流側は2次給水管P12とされている。
【0043】
図1に示すように、処理剤供給装置20は、2次給水管P12の途中であって給水口7Sの直前の位置で、移動体6に設けられている。処理剤供給装置20は、貯蔵タンク10と共に、移動体6における扉体70の前面70Fと洗浄槽7の前壁7Aとの間の空間に収容されている。
【0044】
貯蔵タンク10は、処理剤供給装置20の上方に配置され、接続管28によって処理剤供給装置20と連通している。貯蔵タンク10には、食器TW1の水切りを良くしたり、洗い上がりの光沢を得たりするためのリンスR1が貯蔵されている。リンスR1は、本発明の「処理剤」の一例である。本実施例では、リンスR1は液体である。
【0045】
図示は省略するが、処理剤供給装置20は、複数の電磁弁及び計量ポンプ等を有している。各電磁弁は、洗浄槽7内に供給される水にリンスR1を混入させない場合と、リンスR1を混入させる場合とで、処理剤供給装置20内の水の流通経路を切り替えたり、リンスR1の供給及び停止を切り替えたりする。計量ポンプは、洗浄槽7内に供給される水にリンスR1を混入させる場合に作動して、リンスR1を精度良く計量しながら混入させる。
【0046】
このような構成である処理剤供給装置20は、貯蔵タンク10に貯蔵されたリンスR1を洗浄槽7内に供給される水に所定のタイミングで混入させることでリンスR1を洗浄槽7内に供給することが可能となっている。
【0047】
給水電磁弁69は、給水管P1を開閉して洗浄槽7内への水の供給と停止とを切り替える。
【0048】
図3に示すように、排水管P2は、入口と出口とを有する内部空間が形成された箱状排水管P21、P22、P23と、可撓性を有するチューブ状排水管P24とが直列に接続されてなる。排水管P2は、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。
【0049】
図1に示すように、洗浄槽7内の底部には、洗浄水を貯める貯水部7Pが設けられている。また、洗浄槽7内には、食器かご7Cが配置されている。食器かご7Cには、食器TW1が載置される。
【0050】
洗浄槽7には、排気通路7Eが設けられている。排気通路7Eは、扉体70の前面70Fに開口しており、洗浄槽7の外部と連通している。洗浄槽7内の空気は、排気通路7Eを通過して機外に、すなわち筐体9の前方に排出される。
【0051】
<ノズル及びポンプ>
図1に示すように、食器洗浄機1は、ノズル61及びポンプ62をさらに備えている。ノズル61は、洗浄槽7内に配置されている。ポンプ62は、洗浄槽7の貯水部7Pの下部に組み付けられている。
【0052】
ノズル61は、複数の吐出孔から洗浄槽7内に洗浄水を噴射可能である。ノズル61の噴射方向は、洗浄槽7内で重ねられた複数の食器TW1を確実に洗浄したり、洗浄槽7の内壁面や食器かご7Cを洗浄したりするために、様々な方向に変化するようになっている。
【0053】
ポンプ62は、正転作動時、洗浄槽7の貯水部7Pに貯められた洗浄水をノズル61に供給して洗浄槽7内に噴射させる。その噴射された洗浄水は貯水部7Pに貯められるので、ポンプ62によって繰り返しノズル61に供給される。また、ポンプ62は、逆転作動時、洗浄槽7内の洗浄水を残菜フィルタ7F及び排水管P2を介して筐体9の外部へ排出する。
【0054】
<ヒータ及び乾燥ファン>
食器洗浄機1は、ヒータ63及び乾燥ファン68をさらに備えている。ヒータ63及び乾燥ファン68も洗浄槽7に組み付けられている。
【0055】
ヒータ63は、貯水部7Pの底部に配置されている。ヒータ63は、洗浄槽7の貯水部7Pに貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。
【0056】
図1及び図3に示すように、洗浄槽7は、乾燥ダクト67を一体に有している。乾燥ダクト67は、洗浄槽7の後壁7Bの右端部に後方から組み付けられている。乾燥ダクト67の内部には上下方向に延びる内部空間が形成されている。乾燥ダクト67の下端は、洗浄槽7の後壁7Bの下部に開口する連通穴7Dを介して、洗浄槽7の貯水部7Pに連通している。
【0057】
乾燥ファン68は、乾燥ダクト67の上端に接続された状態で、洗浄槽7の後壁7Bの右端部に後方から組み付けられている。乾燥ファン68は、ヒータ63を作動させた状態で回転作動することにより、加熱された空気を乾燥ダクト67及び連通穴7Dを経由して洗浄槽7内に送り込み、食器TW1を乾燥させる。乾燥ファン68により洗浄槽7内に送り込まれた空気は、排気通路7Eを経由して食器洗浄機1の外部に排気される。
【0058】
<制御部及びユーザインタフェース>
図1に示すように、食器洗浄機1は、制御部C1及びユーザインタフェース79をさらに備えている。制御部C1は、扉体70における扉体突出部78よりも下方に配置されている。ユーザインタフェース79は、扉体突出部78の上面に配置されている。
【0059】
制御部C1は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されたメモリと、制御対象との間で信号の送受信を行うインタフェース回路と、制御対象への給電を制御する給電回路と、を含んで構成された電子回路ユニットである。メモリは、食器洗浄機1を動作させるためのプログラム及び設定情報等を記憶している。
【0060】
制御部C1は、ポンプ62、ヒータ63及び乾燥ファン68等を制御して作動させる。また、制御部C1は、図示しない洗剤自動投入装置及び処理剤供給装置20を所定のタイミングで制御して作動させる。さらに、制御部C1は、図示しないセンサ類、例えば、ヒータ63を制御するための温度センサ、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検知する水位センサ、洗浄槽7が収容位置にあるか否かを検知する位置センサ、洗浄槽7が収容位置にロックされているか否かを検知するロックセンサ等から検知信号を受信する。
【0061】
筐体9の底壁には、筐体9内で水漏れが発生したときに、その漏れた水を貯留する貯留部9Pが凹設されている。制御部C1は、貯留部9Pに貯留された水を検出する漏水センサS1から検知信号を受信する。
【0062】
ユーザインタフェース79は、操作指示部79A及び表示部79Bを有している。操作指示部79Aは、複数のボタンによって食器洗浄機1の操作指示が入力され、その入力結果を制御部C1に伝達する。表示部79Bは、制御部C1から食器洗浄機1の運転に関する情報が伝達され、液晶パネル等によってその情報を表示する。
【0063】
図1に示すように、洗浄槽7が収容位置にある状態では、ユーザインタフェース79の全体がシステムキッチンの天板CT1によって隠蔽されている。このため、ユーザは、ユーザインタフェース79を操作及び視認できないようになっている。移動体6が図2に示す引き出し位置に移動してユーザインタフェース79の全体がシステムキッチンの天板CT1よりも前方に移動することにより、ユーザは、ユーザインタフェース79を操作及び視認できるようになる。
【0064】
<余剰水処理手段>
食器洗浄機1において、給水電磁弁69の閉弁不良や図示しない水位センサの検知不良等によって洗浄槽7内に洗浄水が過剰に供給される不具合が稀に発生し得る。このため、図1及び図3に示すように、洗浄槽7が一体に有する乾燥ダクト67には、余剰水排出口67Dが設けられている。
【0065】
余剰水排出口67Dは、乾燥ダクト67の後壁の下部分に開口する矩形穴である。乾燥ダクト67の後壁及び余剰水排出口67Dは、貯留部9Pの直上に配置されている。
【0066】
乾燥ダクト67の後壁には、リブ67Rが後向きに突出するように形成されている。リブ67Rは、余剰水排出口67Dから上方に離間した位置で左右方向に延び、その左端から下向きに延びて余剰水排出口67Dの横を通過し、乾燥ダクト67の後壁の下端よりも下方に突出している。
【0067】
食器洗浄機1は、余剰水処理手段50を備えている。余剰水処理手段50は、乾燥ダクト67の後壁における余剰水排出口67Dの周囲から下端までの領域と、その領域を囲むリブ67Rと、貯留部9Pとによって構成されている。
【0068】
図1に示すように、余剰水排出口67Dの最下端は、連通穴7Dの最下端よりも上方に位置している。余剰水排出口67Dの最下端によって、洗浄槽7に供給される洗浄水の上限水位G1が設定されている。
【0069】
上述したような不具合が稀に発生し、洗浄槽7内に供給された洗浄水の水位が上限水位G1を越えたときに、余剰水W1が余剰水排出口67Dの最下端を越える。すると、その余剰水W1は、乾燥ダクト67の後壁及びリブ67Rに沿って下方に移動した後、貯留部9Pに滴り落ちて貯留される。
【0070】
こうして、余剰水処理手段50は、洗浄槽7内に供給された洗浄水の水位が上限水位G1を越えたときに余剰水排出口67Dを介して洗浄槽7の外部に余剰水W1として移動させ、さらに、貯留部9Pに余剰水W1を貯留させる貯留処理を行うようになっている。
【0071】
貯留部9Pに貯留される水が所定量以上となって、その貯留される水を漏水センサS1が検知すると、制御部C1は、筐体9内で水漏れが発生したと判断する。そして、制御部C1は、ユーザインタフェース79の表示部79Bや図示しない発音部等を制御して水漏れの報知を行うことで、水漏れに対する処置をユーザに促すことができる。
【0072】
<バキュームブレーカ及び空気導入路>
図3及び図4に示すように、バキュームブレーカ30は、ハウジング39を有している。ハウジング39の上部に形成された接続管には、1次給水管P11の下流端が接続されている。ハウジング39の中間部に形成された接続管には、2次給水管P12の上流端が接続されている。ハウジング39の下部に形成された接続管には、空気導入路40の一端45が接続されている。
【0073】
バキュームブレーカ30の内部構成は周知であるので、説明は簡略する。図4に示すように、ハウジング39の内部には、上下方向に延びる略円柱状の空間である弁室39Rが形成されている。弁室39Rの上部には、1次給水管P11の下流端と連通する連通口39Aと、連通口39Aを囲む第1弁座38Aとが設けられている。弁室39Rの中間部には、2次給水管P12の上流端と連通する連通口39Bが設けられている。
【0074】
弁室39Rの下部には、空気導入路40の一端45と連通する第2連通口42と、第2連通口42を囲む第2弁座38Bとが設けられている。本実施例では、第2連通口42の最下端の上下方向の位置は、第2弁座38Bの上下方向の位置と同じである。第2連通口42の最下端は、余剰水排出口67Dの最下端よりも上方に位置している。
【0075】
弁室39R内には、可動体37が上下方向に直動可能に収容されている。可動体37の上部には、第1弁座38Aに対して着座及び離座可能な第1弁体36Aが設けられている。可動体37の下部には、第2弁座38Bに対して着座及び離座可能な第2弁体36Bが設けられている。
【0076】
弁室39Rの下端と第2弁体36Bとの間には、圧縮コイルバネ37Sが設けられている。圧縮コイルバネ37Sは、第1弁体36Aを第1弁座38Aに着座させ、かつ第2弁体36Bを第2弁座38Bから離座させるように可動体37を付勢している。
【0077】
図3に示すように、洗浄槽7の後壁7Bの左端部には、第1連通口41が設けられている。図1に示すように、第1連通口41は、洗浄槽7内に開いている。第1連通口41の最下端は、余剰水排出口67Dの最下端よりも上方に位置している。第2連通口42の最下端は、バキュームブレーカ30が第1連通口41よりも上方に配置されていることにより、第1連通口41の最下端よりも上方に位置している。
【0078】
図3に示すように、空気導入路40の他端46は、洗浄槽7と第1連通口41によって連通している。空気導入路40の他端46が連通する洗浄槽7は、本発明の「連通対象」の一例である。
【0079】
このような構成であるバキュームブレーカ30は、給水電磁弁69が閉弁しており、給水管P1による洗浄槽7内への水の供給を停止した状態では、可動体37が圧縮コイルバネ37Sに付勢されて図4に示す位置に保持される。これにより、第1弁体36Aが第1弁座38Aに着座して連通口39Aを閉塞し、かつ第2弁体36Bが第2弁座38Bから離座して第2連通口42を開放する。こうして、バキュームブレーカ30は、2次給水管P12から1次給水管P11への逆流を防止する。
【0080】
給水電磁弁69が開弁して給水管P1による洗浄槽7内への水の供給を開始すると、1次給水管P11の圧力上昇によって、可動体37が圧縮コイルバネ37Sの付勢力に抗して図4に示す位置から下降する。これにより、第1弁体36Aが第1弁座38Aから離座して連通口39Aを開放し、かつ第2弁体36Bが第2弁座38Bに着座して第2連通口42を閉塞する。その結果、1次給水管P11から弁室39Rを経由して2次給水管P12に水が流れる。
【0081】
そして、給水電磁弁69が閉弁して給水管P1による洗浄槽7内への水の供給を停止すると、1次給水管P11が負圧になることによって、可動体37が圧縮コイルバネ37Sに付勢されて図4に示す位置に復帰する。これにより、第1弁体36Aが第1弁座38Aに着座して連通口39Aを閉塞し、かつ第2弁体36Bが第2弁座38Bから離座して第2連通口42を開放する。こうして、バキュームブレーカ30は、1次給水管P11内が負圧になったとき、1次給水管P11を遮断し、かつ洗浄槽7内の空気を第1連通口41、空気導入路40及び第2連通口42を介して、2次給水管P12に導入する。
【0082】
<洗浄運転>
上記構成である食器洗浄機1では、以下の手順で洗浄運転が実行される。本実施例では、洗浄運転は、洗浄工程、すすぎ工程及び乾燥工程を含んでいる。
【0083】
ユーザは、洗浄対象の食器TW1を洗浄槽7内に収容するため、扉体突出部78の取っ手7Gを把持して移動体6を図2に示す引き出し位置に移動させる。そして、ユーザは、開口7Hが開放された洗浄槽7に食器TW1を収容する。その後、ユーザは、ユーザインタフェース79を操作して洗浄運転の開始を指示し、移動体6を図1に示す引き出し位置に移動させる。
【0084】
そして、制御部C1は、図示しない位置センサによって洗浄槽7が収容位置にあることが検知され、かつ図示しないロックセンサによって洗浄槽7が収容位置にロックされていることが検知されたことを条件として洗浄運転を実行し、洗浄工程を開始する。
【0085】
制御部C1は、洗浄工程において、給水電磁弁69を開弁させ、給水管P1によって洗浄槽7内に水を供給する。この際、制御部C1は、図示しない洗剤自動投入装置によって、洗浄槽7内に収容された食器TW1に対応する量の洗剤を洗浄槽7内に自動で投入する。また、制御部C1は、洗浄工程において、処理剤供給装置20について、洗浄槽7内に供給される水にリンスR1を混入させないように制御する。
【0086】
バキュームブレーカ30は、給水管P1による洗浄槽7内への水の供給が開始されてから停止するまで、上述した動作を行う。
【0087】
そして、制御部C1は、ポンプ62を作動させ、ノズル61から洗浄槽7内に洗浄水を噴射して、食器TW1を洗浄する。
【0088】
洗浄工程が終わると、制御部C1は、ポンプ62を逆転させ、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水した後、すすぎ工程を開始する。
【0089】
制御部C1は、すすぎ工程において、給水電磁弁69を開弁させ、給水管P1によって洗浄槽7内に水を供給する。この際、制御部C1は、処理剤供給装置20について、洗浄槽7内に供給される水にリンスR1を混入させるように制御する。これにより、処理剤供給装置20は、洗浄槽7内に収容された食器TW1に対応する量のリンスR1を精度良く計量しながら、洗浄槽7内に供給される水に混入させる。
【0090】
バキュームブレーカ30は、給水管P1による洗浄槽7内への水の供給が開始されてから停止するまで、上述した動作を行う。
【0091】
そして、制御部C1は、ポンプ62を作動させ、ノズル61から洗浄槽7内にリンスR1が混入した洗浄水を噴射して、食器TW1をすすぐ。
【0092】
すすぎ工程が終わると、制御部C1は、ポンプ62を逆転させ、洗浄槽7内のすすぎに用いた洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水した後、乾燥工程を開始する。
【0093】
制御部C1は、乾燥工程において、ヒータ63及び乾燥ファン68を適宜作動させ、加熱された空気を洗浄槽7内に送り込んで洗浄槽7内の食器TW1を乾燥させる。乾燥工程が終わると、制御部C1は洗浄運転を終了する。
【0094】
乾燥工程では、すすぎ工程の終了時に食器TW1に付着した水滴に含まれるリンスR1により食器TW1の水切りが良くなり、食器TW1に水滴が付着したままとなることを抑制できる。その結果、乾燥工程の所要時間を短縮できるとともに、食器TW1に付着したままの水滴によって乾燥後の食器TW1にスポット(斑点)が生じることを抑制できる。また、リンスR1に含まれる光沢成分により、食器TW1の洗い上がりの光沢を得易くなる。
【0095】
<作用効果>
実施例1の食器洗浄機1では、給水管P1によって洗浄槽7内に水を供給する最中に、1次給水管P11からバキュームブレーカ30の弁室39R内に流入した水の水圧や流速について何らかの原因によって急激な変動や低下が発生すると、可動体37に作用する水圧と圧縮コイルバネ37Sとのバランスが崩れて可動体37が上向きに動いてしまい、第2弁体36Bが第2弁座38Bから離座してしまう場合がある。
【0096】
この場合、バキュームブレーカ30の弁室39Rから第2連通口42を経由して空気導入路40に水が流入してしまう。しかしながら、この食器洗浄機1では、空気導入路40の他端46が連通対象である洗浄槽7に連通していることから、その場合でも、その空気導入路40に流入した水を筐体9内の構成部品から遠ざけることができる。その結果、その空気導入路40に流入した水が筐体9内の構成部品に付着し難く、また、その内部に浸入し難い。
【0097】
したがって、実施例1の食器洗浄機1では、バキュームブレーカ30から空気導入路40に水が流入しても筐体9内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる。
【0098】
また、この食器洗浄機1では、図4に示すように、バキュームブレーカ30は、1次給水管P11内が負圧になったとき、1次給水管P11を遮断し、かつ2次給水管P12に空気導入路40を介して空気を導入する。この構成により、負圧になった1次給水管P11内への逆流を確実性高く防止できる。
【0099】
また、この食器洗浄機1では、図1に示すように、水圧の損失が大きい処理剤供給装置20が2次給水管P12の途中に設けられている。このため、給水管P1によって洗浄槽7内に水を供給する最中に、1次給水管P11からバキュームブレーカ30の弁室39R内に流入した水の水圧や流速について急激な変動や低下が発生し易くなるおそれがある。この点、この食器洗浄機1では、上記構成により、バキュームブレーカ30の弁室39Rから第2連通口42を経由して空気導入路40に水が流入しても筐体9内の構成部品に不具合が発生することを確実性高く抑制できる。
【0100】
さらに、この食器洗浄機1では、図3に示すように、空気導入路40の他端46は、連通対象である洗浄槽7と第1連通口41によって連通している。そして、第1連通口41の最下端は、余剰水排出口67Dの最下端よりも上方に位置している。この構成により、1次給水管P11内が負圧になったとき、連通対象である洗浄槽7から汚れた洗浄水が第1連通口41及び空気導入路40を経由してバキュームブレーカ30の弁室39R内に逆流することを抑制できる。
【0101】
また、この食器洗浄機1では、図4に示すように、空気導入路40の一端45は、バキュームブレーカ30の弁室39Rと第2連通口42によって連通している。そして、第2連通口42の最下端は、図3に示すように、バキュームブレーカ30が第1連通口41よりも上方に配置されていることにより、余剰水排出口67Dの最下端よりも上方に、より詳しくは、第1連通口41の最下端よりも上方に位置している。この構成により、1次給水管P11内が負圧になったとき、連通対象である洗浄槽7から汚れた洗浄水が空気導入路40及び第2連通口42を経由してバキュームブレーカ30の弁室39R内に逆流することを抑制できる。
【0102】
さらに、この食器洗浄機1は、洗浄槽7が設けられた移動体6が図1に示す収容位置と、図2に示す引き出し位置との間で移動可能な、いわゆるスライドオープン式である。そして、バキュームブレーカ30は、洗浄槽7の後壁7Bよりも後方で移動体6に設けられている。この構成により、仮にバキュームブレーカ30が洗浄槽7の前面よりも前側で移動体6に設けられる場合と比較して、扉体70の前面70Fと洗浄槽7の前壁7Aの前面とを前後方向において近づけることができる。その結果、この食器洗浄機1では、バキュームブレーカ30を移動体6に設けることによって移動体6の引き出し量が大きくなる不具合を抑制できる。
【0103】
(実施例2)
図5に示すように、実施例2の食器洗浄機では、実施例1の食器洗浄機1に係る第1連通口41を洗浄槽7から無くし、余剰水処理手段50の一部を構成する乾燥ダクト67のリブ67Rに第1連通口241を設けている。
【0104】
そして、実施例2では、空気導入路40の他端246は、第1連通口241によって、余剰水処理手段50と連通している。空気導入路40の他端246が連通する余剰水処理手段50は、本発明の「連通対象」の一例である。
【0105】
第1連通口241の最下端は、余剰水排出口67Dの最下端よりも上方に位置している。第2連通口42の最下端は、バキュームブレーカ30が第1連通口241よりも上方に配置されていることにより、第1連通口241の最下端よりも上方に位置している。
【0106】
実施例2のその他の構成は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0107】
このような構成である実施例2の食器洗浄機では、バキュームブレーカ30の弁室39Rから第2連通口42を経由して空気導入路40に水が流入してしまう場合でも、空気導入路40の他端246が第1連通口241によって連通対象である余剰水処理手段50に連通していることから、その空気導入路40に流入した水を筐体9内の構成部品から遠ざけることができる。
【0108】
したがって、実施例2の食器洗浄機では、実施例1の食器洗浄機1と同様に、バキュームブレーカ30から空気導入路40に水が流入しても筐体9内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる。
【0109】
(実施例3)
図6に示すように、実施例3の食器洗浄機では、実施例1の食器洗浄機1に係る第1連通口41を洗浄槽7から無くしている。また、実施例3では、実施例1に係る余剰水処理手段50の代わりに、余剰水処理手段350を採用している。
【0110】
余剰水処理手段350は、カバー部350C及び誘導管350Aを有している。カバー部350Cは、乾燥ダクト67の後壁に設けられて、余剰水排出口67Dを上方、下方、左方、右方及び後方から覆う箱状体である。誘導管350Aは、右端がカバー部350Cに連通し、左端が排水管P2のうちの箱状排水管P22に連通している。
【0111】
余剰水処理手段350は、洗浄槽7内に供給された洗浄水の水位が上限水位G1を越えたときに、余剰水排出口67Dを介して洗浄槽7の外部、すなわちカバー部350Cの内部にその余剰水を移動させ、さらに、誘導管350Aによって箱状排水管P22に誘導する誘導処理を行うようになっている。
【0112】
そして、実施例3では、空気導入路40の他端346は、第1連通口341によって、余剰水処理手段350の誘導管350Aの中間部と連通している。空気導入路40の他端346が連通する余剰水処理手段350は、本発明の「連通対象」の一例である。
【0113】
なお、図示は省略するが、誘導管350Aの左端が接続される箱状排水管P22の内部には、排水時に箱状排水管P22を流れる洗浄水の水圧によって誘導管350Aの左端を閉塞状態とするフロート式等の弁機構が設けられている。
【0114】
第1連通口341の最下端は、余剰水排出口67Dの最下端よりも上方に位置している。第2連通口42の最下端は、バキュームブレーカ30が第1連通口341よりも上方に配置されていることにより、第1連通口341の最下端よりも上方に位置している。
【0115】
実施例3のその他の構成は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0116】
このような構成である実施例3の食器洗浄機では、バキュームブレーカ30の弁室39Rから第2連通口42を経由して空気導入路40に水が流入してしまう場合でも、空気導入路40の他端346が第1連通口341によって連通対象である余剰水処理手段350の誘導管350Aに連通していることから、その空気導入路40に流入した水を箱状排水管P22に誘導して、筐体9内の構成部品から遠ざけることができる。
【0117】
したがって、実施例3の食器洗浄機では、実施例1、2の食器洗浄機1と同様に、バキュームブレーカ30から空気導入路40に水が流入しても筐体9内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる。
【0118】
(実施例4)
図7に示すように、実施例4の食器洗浄機では、実施例1の食器洗浄機1に係る第1連通口41を洗浄槽7から無くしている。
【0119】
そして、実施例4では、空気導入路40の他端446は、第1連通口441によって、排水管P2のうちのチューブ状排水管P24と連通している。空気導入路40の他端446が連通するチューブ状排水管P24は、本発明の「連通対象」の一例である。
【0120】
なお、図示は簡略するが、空気導入路40の他端446側には、排水時にチューブ状排水管P24を流れる洗浄水の水圧を受けて空気導入路40の他端446側を閉塞状態とするフロート式等の弁機構446Vが設けられている。
【0121】
第1連通口441の最下端は、余剰水排出口67Dの最下端よりも上方に位置している。第2連通口42の最下端は、バキュームブレーカ30が第1連通口441よりも上方に配置されていることにより、第1連通口441の最下端よりも上方に位置している。
【0122】
実施例4のその他の構成は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0123】
このような構成である実施例4の食器洗浄機では、バキュームブレーカ30の弁室39Rから第2連通口42を経由して空気導入路40に水が流入してしまう場合でも、空気導入路40の他端446が第1連通口441によって連通対象であるチューブ状排水管P24に連通していることから、その空気導入路40に流入した水を筐体9内の構成部品から遠ざけることができる。
【0124】
したがって、実施例4の食器洗浄機では、実施例1~3の食器洗浄機1と同様に、バキュームブレーカ30から空気導入路40に水が流入しても筐体9内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる。
【0125】
(実施例5)
図8に示すように、実施例5の食器洗浄機では、実施例1の食器洗浄機1に係るバキュームブレーカ30の代わりに、減圧式逆流防止器530を採用している。減圧式逆流防止器530は、本発明の「逆流防止装置」の一例である。
【0126】
実施例5のその他の構成は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0127】
実施例5において、減圧式逆流防止器530は、図8に示す姿勢のままで、実施例1に係るバキュームブレーカ30が配置されていた位置に配置されている。
【0128】
減圧式逆流防止器530の内部構成は周知であるので、説明は簡略する。減圧式逆流防止器530は、ハウジング539を有している。ハウジング539の右端部から上向きに延びた後に左向きに突出する接続管には、1次給水管P11の下流端が接続されている。ハウジング539の左端部から左向きに突出する接続管には、2次給水管P12の上流端が接続されている。ハウジング539の下部から下向きに突出する接続管には、空気導入路40の一端45が接続されている。
【0129】
ハウジング539内には、第1室531、第2室532及び中間室533が形成されている。第1室531は、1次給水管P11と連通している。第2室532は、2次給水管P12と連通している。中間室533は、第1室531と第2室532との間に設けられている。
【0130】
中間室533は、第1逆止弁531Vによって、第1室531からの流入が許容される一方、第1室531への逆流が規制される。また、第2室532は、第2逆止弁532Vによって、中間室533からの流入が許容される一方、中間室533への逆流が規制される。
【0131】
中間室533には、逃がし弁533Vが設けられている。逃がし弁533Vは、第1室531と中間室533との圧力差によって変形するダイヤフラム533Dに連動して、第2連通口542を開閉する。空気導入路40の一端45は、減圧式逆流防止器530と第2連通口542によって連通している。
【0132】
このような構成である減圧式逆流防止器530は、給水電磁弁69が閉弁しており、給水管P1による洗浄槽7内への水の供給を停止した状態では、第1逆止弁531V、第2逆止弁532V及び逃がし弁533Vが閉じることにより、2次給水管P12から1次給水管P11への逆流を防止する。
【0133】
給水電磁弁69が開弁して給水管P1による洗浄槽7内への水の供給を開始すると、1次給水管P11の圧力上昇によって、第1逆止弁531V及び第2逆止弁532Vが開く。その結果、1次給水管P11から第1室531、中間室533及び第2室532を経由して2次給水管P12に水が流れる。
【0134】
そして、給水電磁弁69が閉弁して給水管P1による洗浄槽7内への水の供給を停止すると、1次給水管P11が負圧になることによって、第1逆止弁531V及び2次給水管P12が閉じる。この際、第1室531と中間室533との圧力差に応じて適宜、逃がし弁533Vが開く。こうして、減圧式逆流防止器530は、1次給水管P11内が負圧になったとき、1次給水管P11を遮断し、かつ空気導入路40を介して、1次給水管P11と2次給水管P12との間に設けられた中間室533に空気を導入する。
【0135】
このような構成である実施例5の食器洗浄機では、減圧式逆流防止器530の中間室533から第2連通口542を経由して空気導入路40に水が流入してしまう場合でも、空気導入路40の他端46が第1連通口41によって連通対象である洗浄槽7に連通していることから、その空気導入路40に流入した水を筐体9内の構成部品から遠ざけることができる。
【0136】
したがって、実施例5の食器洗浄機では、実施例1~4の食器洗浄機1と同様に、減圧式逆流防止器530から空気導入路40に水が流入しても筐体9内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる。
【0137】
また、この食器洗浄機では、減圧式逆流防止器530は、1次給水管P11内が負圧になったとき、1次給水管P11を遮断し、かつ中間室533に空気導入路40を介して空気を導入する。この構成により、負圧になった1次給水管P11内への逆流を確実性高く防止できる。
【0138】
(実施例6)
図9に示すように、実施例6の食器洗浄機では、実施例1の食器洗浄機1に係るバキュームブレーカ30の代わりに、バキュームブレーカ630を採用している。バキュームブレーカ630は、本発明の「逆流防止装置」の一例である。
【0139】
バキュームブレーカ630は、実施例1に係るバキュームブレーカ30について、可動体37から第1弁体36Aを無くすとともにハウジング39から第1弁座38Aを無くす変更を行っただけであり、連通口39Aが常に開放されている。
【0140】
実施例6のその他の構成は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0141】
このような構成であるバキュームブレーカ630は、給水電磁弁69が閉弁しており、給水管P1による洗浄槽7内への水の供給を停止した状態では、可動体37が圧縮コイルバネ37Sに付勢されて図9に示す位置に保持される。これにより、第2弁体36Bが第2弁座38Bから離座して第2連通口42を開放し、1次給水管P11と2次給水管P12とに空気導入路40を介して空気を導入する。こうして、バキュームブレーカ630は、2次給水管P12から1次給水管P11への逆流を防止する。
【0142】
給水電磁弁69が開弁して給水管P1による洗浄槽7内への水の供給を開始すると、1次給水管P11から弁室39Rを経由して2次給水管P12に水が流れる。この際の水圧によって、可動体37が圧縮コイルバネ37Sの付勢力に抗して図9に示す位置から下降する。これにより、第2弁体36Bが第2弁座38Bに着座して第2連通口42を閉塞し、空気導入路40との連通が遮断される。
【0143】
そして、給水電磁弁69が閉弁して給水管P1による洗浄槽7内への水の供給を停止すると、1次給水管P11が負圧になることによって、可動体37が圧縮コイルバネ37Sに付勢されて図9に示す位置に復帰する。これにより、第2弁体36Bが第2弁座38Bから離座して第2連通口42を開放する。こうして、バキュームブレーカ630は、1次給水管P11内が負圧になったとき、1次給水管P11と2次給水管P12とに、空気導入路40を介して空気を導入する。
【0144】
このような構成である実施例6の食器洗浄機では、バキュームブレーカ630の弁室39Rから第2連通口42を経由して空気導入路40に水が流入してしまう場合でも、空気導入路40の他端46が第1連通口41によって連通対象である洗浄槽7に連通していることから、その空気導入路40に流入した水を筐体9内の構成部品から遠ざけることができる。
【0145】
したがって、実施例6の食器洗浄機では、実施例1~5の食器洗浄機1と同様に、バキュームブレーカ630から空気導入路40に水が流入しても筐体9内の構成部品に不具合が発生することを抑制できる。
【0146】
以上において、本発明を実施例1~6に即して説明したが、本発明は上記実施例1~6に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0147】
実施例1~6では処理剤が液体のリンスR1であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、処理剤は洗剤でもよく、また、液体の他、粉末、タブレット等であってもよい。
【0148】
実施例1に係るバキュームブレーカ30について、2次給水管P12の上流端が接続された接続管の内部に逆止弁を設けるように変更された構成も本発明に含まれる。この場合、弁室39Rは、1次給水管と2次給水管との間に形成された中間室となる。
【0149】
実施例1に係るバキュームブレーカ30について、図4に示す構成から圧縮コイルバネ37Sを取り除き、上下を反対にして配設することにより、1次給水管P11から水の供給がある場合は、その水圧で可動体37を上方に持ち上げて連通口39Aを開放するとともに第2連通口42を閉塞し、1次給水管P11からの水の供給がない場合は、可動体37の自重により連通口39Aを閉塞するとともに第2連通口42を開放する構成に変更してもよい。
【0150】
本発明の食器洗浄機の構成について、浴槽洗浄機や浴槽洗浄機能付き風呂装置等に用いることも可能である。この場合、例えば、浴室やユニットバス等である筐体内に浴槽が設けられる。浴槽に設けられた給水口に接続された給水管の途中には、逆流防止装置が設けられる。逆流防止装置には、空気導入路の一端が連通する。空気導入路の他端は、浴槽、浴槽から排水する排水管、又は浴槽内の余剰水を処理する余剰水処理手段に連通する。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は例えば、食器洗浄機、食器洗浄乾燥機等や、それらが設けられた厨房設備等に利用可能である。
【符号の説明】
【0152】
1…食器洗浄機
9…筐体
TW1…被洗浄物(食器)
7S…給水口
67D…余剰水排出口
7…洗浄槽
P1…給水管
P2…排水管
G1…上限水位
W1…余剰水
9P…貯留部
50、350…余剰水処理手段
30、530、630…逆流防止装置(30、630…バキュームブレーカ、530…減圧式逆流防止器)
40…空気導入路
45…空気導入路の一端
P11…1次給水管
P12…2次給水管
533…中間室
46、246、346、446…空気導入路の他端
R1…処理剤(リンス)
20…処理剤供給装置
41、241、341、441…第1連通口
42、542…第2連通口
6…移動体
7H…開口
7B…洗浄槽の後壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9