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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063481
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】無人産業車両
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20220415BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220415BHJP
【FI】
B66F9/24 A
G05D1/02 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171771
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】服部 晋悟
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333FA05
3F333FA11
3F333FA20
3F333FD20
3F333FE09
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG14
(57)【要約】
【課題】操舵輪の操舵角の制御性を維持しつつも、作業者の不安を低減させること。
【解決手段】制御装置30は、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速以上であった場合、もしくは、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪の操舵を行う場合には、操舵角制御を実行する。一方で、制御装置30は、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪の操舵を行わない場合には、操舵角制御を実行しない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に設けられる操舵輪と、
前記車体に設けられるステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの操作に基づいて前記操舵輪の操舵を行う油圧回路装置と、
前記操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出器と、
前記操舵角検出器により検出される操舵角が目標操舵角に近づくように前記ステアリングホイールの操作を行う操舵角制御を実行する制御装置と、備えた無人産業車両であって、
車速を検出する車速検出部を備え、
前記制御装置は、
前記車速検出部によって検出された車速が予め定められた車速以上であった場合、もしくは、前記車速検出部によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ前記操舵輪の操舵を行う場合には、前記操舵角制御を実行し、
前記車速検出部によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ前記操舵輪の操舵を行わない場合には、前記操舵角制御を実行しないことを特徴とする無人産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無人産業車両の一種である無人フォークリフトでは、例えば特許文献1のように、油圧回路装置によって操舵輪の操舵が行われている。油圧回路装置は、ステアリングホイールの操作に基づいて操舵輪の操舵を行う。無人フォークリフトは、操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出器と、ステアリングホイールの操作を制御する制御装置と、を備えている。制御装置は、操舵角検出器により検出される操舵角が目標操舵角に近づくようにステアリングホイールの操作を行う操舵角制御を実行する。そして、無人フォークリフトは、制御装置が操舵角制御を実行することにより、ステアリングホイールの操作が行われて、油圧回路装置によって操舵輪の操舵角が目標操舵角に近づくように操舵輪の操舵が行われることで、予め定められた走行経路に沿って走行するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-140843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このように、油圧回路装置によって操舵輪の操舵が行われる無人フォークリフトにおいては、ステアリングホイールから操舵輪までの間に作動油が存在しているため、例えば、電動パワーステアリングのように、ステアリングホイールから操舵輪までの間が全て剛体によって連結されていない。よって、例えば、ステアリングホイールの操作が行われて、操舵輪が一方向に操舵した後、無人フォークリフトを停止させたときに、操舵輪が地面からの反力を受けることで、操舵輪が、一方向とは逆方向へ僅かに操舵してしまう場合がある。
【0005】
すると、無人フォークリフトを停止させたときに、操舵角検出器により検出される操舵角が目標操舵角に一致していたとしても、操舵角検出器により検出される操舵角が目標操舵角に対して僅かにずれてしまうことになる。このため、例えば、無人フォークリフトが停止しており、操舵輪の操舵を行う必要が無い場合であっても、制御装置は、操舵角制御を再び実行することになる。これが繰り返し行われることになると、例えば、無人フォークリフトが停止しており、操舵輪の操舵を行う必要が無い場合であっても、ステアリングホイールが操作され続けることになってしまうため、無人フォークリフトを用いて作業する作業者に不安を与えてしまう虞がある。なお、このような課題は、無人フォークリフトに限るものではなく、油圧回路装置によって操舵輪の操舵が行われる無人産業車両であれば、共通の課題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する無人産業車両は、車体と、前記車体に設けられる操舵輪と、前記車体に設けられるステアリングホイールと、前記ステアリングホイールの操作に基づいて前記操舵輪の操舵を行う油圧回路装置と、前記操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出器と、前記操舵角検出器により検出される操舵角が目標操舵角に近づくように前記ステアリングホイールの操作を行う操舵角制御を実行する制御装置と、備えた無人産業車両であって、車速を検出する車速検出部を備え、前記制御装置は、前記車速検出部によって検出された車速が予め定められた車速以上であった場合、もしくは、前記車速検出部によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ前記操舵輪の操舵を行う場合には、前記操舵角制御を実行し、前記車速検出部によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ前記操舵輪の操舵を行わない場合には、前記操舵角制御を実行しない。
【0007】
これによれば、制御装置は、車速検出部によって検出された車速が予め定められた車速以上であった場合、もしくは、車速検出部によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ前記操舵輪の操舵を行う場合には、操舵角制御を実行する。よって、例えば、無人産業車両が走行していたり、無人産業車両が停止している状態において、据切りのような操舵輪の操舵を行う必要が有ったりする場合に、制御装置における操舵角制御が実行される。したがって、このような、操舵輪の操舵を行う必要が有る場合の操舵輪の操舵角の制御性が維持される。
【0008】
一方で、制御装置は、車速検出部によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪の操舵を行わない場合には、操舵角制御を実行しないため、例えば、無人産業車両が停止している状態において、操舵輪の操舵を行う必要が無い場合に、ステアリングホイールが操作され続けることが無い。したがって、無人産業車両を用いて作業する作業者の不安を低減させることができる。以上により、操舵輪の操舵角の制御性を維持しつつも、作業者の不安を低減させることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、操舵輪の操舵角の制御性を維持しつつも、作業者の不安を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態における無人フォークリフトの概略平面図。
図2】無人フォークリフトの電気的構成を示すブロック図。
図3】制御装置の制御を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、無人産業車両を無人フォークリフトに具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、無人フォークリフト10は、車体11と、駆動輪12及び操舵輪13と、を備えている。駆動輪12は、車体11の前下部に設けられている。操舵輪13は、車体11の後下部に設けられている。また、無人フォークリフト10は、駆動輪12を駆動させる走行用モータM1を備えている。走行用モータM1は、図示しないバッテリの電力によって駆動する。したがって、本実施形態の無人フォークリフト10は、バッテリから走行用モータM1へ電力が供給されることにより走行用モータM1が駆動され、走行用モータM1の駆動によって駆動輪12が回転駆動されることで走行動作を行うバッテリ式である。
【0012】
無人フォークリフト10は、荷役装置14を備えている。荷役装置14は、車体11の前部に立設されたマスト15と、マスト15に固定されたリフトブラケット16と、リフトブラケット16に装備される一対のフォーク17と、を備えている。フォーク17には、荷が積載される。リフトブラケット16及びフォーク17は、図示しないリフトシリンダによって昇降動作する。マスト15は、リフトブラケット16を昇降可能に支持する。マスト15は、図示しないティルトシリンダによってフォーク17と共に傾動する。リフトシリンダ及びティルトシリンダは油圧シリンダである。
【0013】
無人フォークリフト10は、油圧ポンプ18及び油圧タンク19を備えている。油圧ポンプ18及び油圧タンク19は、車体11に設けられている。油圧タンク19には、作動油が貯留されている。油圧ポンプ18は、油圧タンク19に貯留されている作動油をリフトシリンダ及びティルトシリンダに供給する。そして、油圧ポンプ18からリフトシリンダ及びティルトシリンダに対して作動油が供給されることにより、リフトシリンダによるリフトブラケット16及びフォーク17の昇降動作やティルトシリンダによるマスト15の傾動動作といった無人フォークリフト10の荷役動作が行われる。
【0014】
無人フォークリフト10は、ステアリングホイール20及び運転シート21を備えている。ステアリングホイール20及び運転シート21は、車体11に設けられている。ステアリングホイール20は、運転シート21の前方に配置されている。運転シート21には、作業者が着座可能である。そして、運転シート21に着座した作業者は、無人フォークリフト10の走行動作を行うために必要なステアリングホイール20の操作や、無人フォークリフト10の荷役動作を行うために必要な図示しない荷役レバーの操作を行うことが可能である。したがって、本実施形態の無人フォークリフト10は、運転シート21に着座する作業者が、無人フォークリフト10の走行動作を行うために必要なステアリングホイール20の操作や、無人フォークリフト10の荷役動作を行うために必要な荷役レバーの操作を行う有人フォークリフトとしても機能する。
【0015】
無人フォークリフト10は、ステアリングシリンダ22を備えている。ステアリングシリンダ22は、車体11に設けられている。ステアリングシリンダ22は、復動型シリンダである。ステアリングシリンダ22は、油圧タンク19に貯留されている作動油が油圧ポンプ18によって供給されることにより作動する。ステアリングシリンダ22には、ステアリングホイール20の操作に応じた作動油が油圧ポンプ18から供給される。
【0016】
そして、ステアリングシリンダ22は、ステアリングホイール20の操作に応じた作動油が油圧ポンプ18から供給されることにより、ステアリングシリンダ22に対する油圧ポンプ18からの作動油の供給量に応じた操舵輪13の操舵を行う。よって、油圧ポンプ18及びステアリングシリンダ22は、ステアリングホイール20の操作に基づいて操舵輪13の操舵を行う油圧回路装置23を構成している。したがって、無人フォークリフト10は、ステアリングホイール20の操作に基づいて操舵輪13の操舵を行う油圧回路装置23を備えている。
【0017】
図2に示すように、無人フォークリフト10は、制御装置30を備えている。制御装置30は、中央処理制御装置(CPU)を備えている。また、制御装置30は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成されるメモリを備えている。さらに、制御装置30は、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えている。
【0018】
無人フォークリフト10は、操舵輪13の操舵角を検出する操舵角検出器31を備えている。操舵角検出器31は、制御装置30に電気的に接続されている。そして、操舵角検出器31により検出された操舵輪13の操舵角に関する検出信号が制御装置30に送信される。制御装置30には、操舵角検出器31から送信された検出信号に基づいて、操舵輪13の操舵角を演算する操舵角演算プログラムが予め記憶されている。
【0019】
無人フォークリフト10は、無人フォークリフト10の走行速度、すなわち無人フォークリフト10の車速を検出する車速検出部としてのエンコーダ32を備えている。エンコーダ32は、駆動輪12の回転数から無人フォークリフト10の車速を検出する。エンコーダ32は、制御装置30に電気的に接続されている。そして、エンコーダ32によって検出された無人フォークリフト10の車速に関する検出信号が制御装置30に送信される。制御装置30には、エンコーダ32から送信された検出信号に基づいて、無人フォークリフト10の車速を演算する車速演算プログラムが予め記憶されている。
【0020】
制御装置30は、例えば、GPS(Global Positioning System)や、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の公知の技術を用いて、無人フォークリフト10の現在位置を取得する。そして、制御装置30には、無人フォークリフト10の現在位置に関する情報に基づいて、予め定められた走行経路に対する無人フォークリフト10の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出プログラムが予め記憶されている。
【0021】
制御装置30には、無人フォークリフト10の位置ずれ量に基づいて、無人フォークリフト10が予め定められた走行経路へ復帰するための目標操舵角を算出する目標操舵角算出プログラムが予め記憶されている。そして、制御装置30には、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に近づくようにステアリングホイール20の操作を行う操舵角制御を実行する実行プログラムが予め記憶されている。したがって、制御装置30は、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に近づくようにステアリングホイール20の操作を行う操舵角制御を実行する。
【0022】
制御装置30は、管理サーバー40と無線通信を行う。制御装置30は、無人フォークリフト10の現在位置や位置ずれ量等の情報を図示しない通信アンテナを介して管理サーバー40に送信する。管理サーバー40は、制御装置30から送信された情報を受信して、無人フォークリフト10の運行の管理を行ったり、無人フォークリフト10のフォーク17に積載されている荷に関する情報の管理を行ったりする。
【0023】
例えば、管理サーバー40は、制御装置30から送信された情報に基づいて、無人フォークリフト10に走行指令等の指令信号を送信する。制御装置30は、例えば、管理サーバー40から走行指令を受信すると、無人フォークリフト10が走行動作を行うように走行用モータM1の駆動を制御する。
【0024】
制御装置30には、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速以上であった場合、もしくは、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪13の操舵を行う場合には、操舵角制御を実行するプログラムが予め記憶されている。なお、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であるときに、操舵輪13の操舵を行う必要が有る場合としては、例えば、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りのような操舵輪13の操舵を行う必要が有る場合が挙げられる。
【0025】
据切りのような操舵輪13の操舵を行う必要が有る場合とは、例えば、無人フォークリフト10が停止している状態において、無人フォークリフト10の走行指令を管理サーバー40から制御装置30が受信したときに、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に対してずれている場合である。したがって、制御装置30には、無人フォークリフト10が停止している状態において、無人フォークリフト10の走行指令を管理サーバー40から受信したときに、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に対してずれていると、据切りを行う必要が有ると判定する判定プログラムが予め記憶されている。
【0026】
そして、制御装置30には、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りを行う必要が有ると判定すると、操舵角制御を実行するプログラムが予め記憶されている。
【0027】
一方で、制御装置30には、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪13の操舵を行わない場合には、操舵角制御を実行しないプログラムが予め記憶されている。なお、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であるときに、操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合としては、例えば、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りのような操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合が挙げられる。
【0028】
据切りのような操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合とは、例えば、無人フォークリフト10が停止している状態において、無人フォークリフト10の走行指令を管理サーバー40から制御装置30が受信していない場合である。したがって、制御装置30には、無人フォークリフト10が停止している状態において、無人フォークリフト10の走行指令を管理サーバー40から受信していない場合には、据切りを行う必要が無いと判定する判定プログラムが予め記憶されている。
【0029】
また、据切りのような操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合とは、例えば、無人フォークリフト10が停止している状態において、無人フォークリフト10の走行指令を管理サーバー40から制御装置30が受信したときに、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に一致している場合である。したがって、制御装置30には、無人フォークリフト10が停止している状態において、無人フォークリフト10の走行指令を管理サーバー40から受信したときに、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に一致していると、据切りを行う必要が無いと判定する判定プログラムが予め記憶されている。
【0030】
そして、制御装置30には、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りを行う必要が無いと判定すると、操舵角制御を実行しないプログラムが予め記憶されている。
【0031】
本実施形態において、「予め定められた車速」とは、例えば、0.01m/sである。エンコーダ32によって検出された車速が0.01m/s未満である場合、無人フォークリフト10は停止した状態である。なお、エンコーダ32によって検出される車速に関する信号にはノイズが重畳する場合があるため、無人フォークリフト10が停止している状態であっても、エンコーダ32によって検出される車速が零にならない場合がある。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図3に示すように、制御装置30は、ステップS11において、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速以上であるか否かを判定する。制御装置30は、ステップS11において、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速以上であると判定すると、ステップS12に移行し、ステップS12において、操舵角制御を実行する。これにより、無人フォークリフト10が走行している場合に、制御装置30における操舵角制御が実行される。
【0033】
一方、制御装置30は、ステップS11において、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速以上ではない、すなわち、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であると判定すると、ステップS13に移行する。そして、制御装置30は、ステップS13において、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りを行う必要が有るか否かを判定する。
【0034】
制御装置30は、ステップS13において、据切りを行う必要が有ると判定すると、ステップS12に移行し、ステップS12において、操舵角制御を実行する。これにより、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りのような操舵輪13の操舵を行う必要が有る場合に、制御装置30における操舵角制御が実行される。したがって、制御装置30は、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速以上であった場合、もしくは、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪13の操舵を行う場合には、操舵角制御を実行する。
【0035】
一方で、制御装置30は、ステップS13において、据切りを行う必要が無いと判定すると、ステップS14に移行し、ステップS14において、操舵角制御を実行しない。これにより、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りのような操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合に、制御装置30における操舵角制御が実行されない。したがって、制御装置30は、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪13の操舵を行わない場合には、操舵角制御を実行しない。
【0036】
油圧回路装置23によって操舵輪13の操舵が行われる無人フォークリフト10においては、ステアリングホイール20から操舵輪13までの間に作動油が存在しているため、例えば、電動パワーステアリングのように、ステアリングホイール20から操舵輪13までの間が全て剛体によって連結されていない。よって、例えば、ステアリングホイール20の操作が行われて、操舵輪13が一方向に操舵した後、無人フォークリフト10を停止させたときに、操舵輪13が地面からの反力を受けることで、操舵輪13が、一方向とは逆方向へ僅かに操舵してしまう場合がある。すると、無人フォークリフト10を停止させたときに、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に一致していたとしても、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に対して僅かにずれてしまうことになる。
【0037】
このとき、制御装置30は、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りを行う必要が無いと判定すると、操舵角制御を実行しない。これにより、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りのような操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合に、制御装置30における操舵角制御が実行されないため、無人フォークリフト10が停止しており、操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合、制御装置30が操舵角制御を再び実行してしまうことが無い。したがって、例えば、無人フォークリフト10が停止しており、操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合であっても、ステアリングホイール20が操作され続けてしまうことが回避される。
【0038】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)制御装置30は、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速以上であった場合、もしくは、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪13の操舵を行う場合には、操舵角制御を実行する。よって、例えば、無人フォークリフト10が走行していたり、無人フォークリフト10が停止している状態において、据切りのような操舵輪13の操舵を行う必要が有ったりする場合に、制御装置30における操舵角制御が実行される。したがって、このような、操舵輪13の操舵を行う必要が有る場合の操舵輪13の操舵角の制御性が維持される。
【0039】
一方で、制御装置30は、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪13の操舵を行わない場合には、操舵角制御を実行しないため、例えば、無人フォークリフト10が停止している状態において、操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合に、ステアリングホイール20が操作され続けることが無い。したがって、無人フォークリフト10を用いて作業する作業者の不安を低減させることができる。以上により、操舵輪13の操舵角の制御性を維持しつつも、作業者の不安を低減させることができる。
【0040】
(2)例えば、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に対して僅かだけずれている場合においては、制御装置30における操舵角制御が実行されないように設定することが考えられる。これによれば、例えば、ステアリングホイール20の操作が行われて、操舵輪13が一方向に操舵した後、無人フォークリフト10を停止させたときに、操舵輪13が地面からの反力を受けることで、操舵輪13が、一方向とは逆方向へ僅かに操舵しても、制御装置30における操舵角制御が実行されない。したがって、ステアリングホイール20が操作され続けることが無い。しかし、このように、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に対して僅かだけずれている場合においては、制御装置30における操舵角制御が実行されないように設定してしまうと、例えば、操舵輪13の操舵を精度良く行う必要が有る場合に、操舵輪13の操舵角の制御性が悪化してしまう虞がある。そこで、本実施形態では、エンコーダ32によって検出された車速が予め定められた車速未満であって、且つ操舵輪13の操舵を行わない場合には、制御装置30における操舵角制御が実行されないようにした。これによれば、操舵角検出器31により検出される操舵角が目標操舵角に対して僅かだけずれている場合においては、制御装置30における操舵角制御が実行されないように設定するといった必要が無く、操舵輪13の操舵を行う必要が無い場合に限って、制御装置30における操舵角制御が実行されないようにすることができる。したがって、操舵輪13の操舵を精度良く行う必要が有る場合に、操舵輪13の操舵角の制御性が悪化してしまうといったことが無く、操舵輪13の操舵角の制御性を維持することができる。
【0041】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
○ 実施形態において、車速検出部としては、エンコーダ32に限らず、無人フォークリフト10の車速を検出することができれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0043】
○ 実施形態において、無人フォークリフト10は、バッテリ式に限らず、例えば、エンジン式であってもよいし、バッテリB1に加えてエンジンをさらに備えたハイブリッド式であってもよい。
【0044】
○ 実施形態では、無人産業車両として、無人フォークリフト10に具体化したが、これに限らず、無人フォークリフト10以外の無人産業車両に具体化してもよい。例えば、無人トーイングトラクタ等の無人産業車両に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…無人産業車両としての無人フォークリフト、11…車体、13…操舵輪、20…ステアリングホイール、23…油圧回路装置、30…制御装置、31…操舵角検出器、32…車速検出部としてのエンコーダ。
図1
図2
図3