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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063503
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】電位治療器及び睡眠誘導プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20220415BHJP
【FI】
A61M21/02 D
A61M21/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171804
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】502247927
【氏名又は名称】コスモヘルス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520396544
【氏名又は名称】コスモ技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】南雲 陽一
(72)【発明者】
【氏名】田島 彰憲
(72)【発明者】
【氏名】岳村 英之
(57)【要約】
【課題】使用者に電位を印加する電位治療器であって、使用者を眠りへと誘導させるような処理を行うことが可能な電位治療器の提供。
【解決手段】使用者に電位を印加するための波形を生成、出力する波形生成出力部10と、使用者の睡眠状態に関する情報であって、睡眠状態にあるか否かを示す情報を取得又は受信する睡眠情報取得部(通信部30)と、を備え、就寝モードの開始から第1の基準時点までに睡眠情報取得部において睡眠状態にあることを示す情報が得られない場合に、波形生成出力部10において第1の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第1の出力波形の生成、出力を行うことを特徴とする電位治療器1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に電位を印加する電位治療器であって、
使用者に電位を印加するための波形を生成、出力する波形生成出力部と、
使用者の睡眠状態に関する情報であって、睡眠状態にあるか否かを示す情報を取得又は受信する睡眠情報取得部と、
を備え、
就寝モードの開始から第1の基準時点までに前記睡眠情報取得部において睡眠状態にあることを示す情報が得られない場合に、前記波形生成出力部において第1の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第1の出力波形の生成、出力を行うことを特徴とする電位治療器。
【請求項2】
前記第1の出力波形を出力後、第2の基準時点までに前記睡眠情報取得部において睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合に、前記第1の出力波形の出力を停止することを特徴とする請求項1に記載の電位治療器。
【請求項3】
前記第1の出力波形を出力したまま第3の基準時点に至った場合に、前記第1の出力波形の出力を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の電位治療器。
【請求項4】
前記睡眠状態に関する情報に関する情報に浅い睡眠状態であることを示す第1の睡眠情報と、深い睡眠状態であることを示す第2の睡眠情報が含まれ、
前記第1の基準時点までに前記第1の睡眠情報が得られた場合であって、第3の基準時点までに前記睡眠情報取得部において前記第2の睡眠情報が得られなかった場合、前記第1の出力波形の生成、出力を行うことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の電位治療器。
【請求項5】
前記睡眠状態に関する情報に関する情報に浅い睡眠状態であることを示す第1の睡眠情報と、深い睡眠状態であることを示す第2の睡眠情報が含まれ、
前記第1の出力波形の出力の停止後、第4の基準時点までに前記睡眠情報取得部において前記第2の睡眠情報が得られなかった場合、前記第1の出力波形の生成、出力を行うことを特徴とする請求項2に記載の電位治療器。
【請求項6】
前記第1の出力波形の出力を所定期間とすることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の電位治療器。
【請求項7】
前記睡眠状態に関する情報に浅い睡眠状態であることを示す第1の睡眠情報と、深い睡眠状態であることを示す第2の睡眠情報が含まれ、
前記第1の出力波形の出力中に、前記睡眠情報取得部において前記第2の睡眠情報が得られた場合に、前記第1の出力波形の出力を停止することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の電位治療器。
【請求項8】
前記第1の出力波形が、矩形波であることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の電位治療器。
【請求項9】
前記第1の出力電圧の振幅が、1000Vを超えるものであることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の電位治療器。
【請求項10】
就寝モードの前記第1の出力波形の出力を行っていない期間の何れかにおいて、前記第1の出力電圧よりも低い第2の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第2の出力波形の生成、出力を行うことを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の電位治療器。
【請求項11】
使用者に電位を印加するための波形を生成、出力する波形生成出力部と、使用者が睡眠状態にあるか否かを示す情報を取得又は受信する睡眠情報取得部と、を備える電位治療器において、
就寝モードの開始から第1の基準時点までに前記睡眠情報取得部において睡眠状態にあることを示す情報が得られたか否かを判別するステップと、
睡眠状態にあることを示す情報が得られなかった場合に、前記波形生成出力部において第1の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第1の出力波形の生成、出力を行うステップと、
を実行させることを特徴とする睡眠誘導プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に電位を印加する電位治療器、及び電位治療器における睡眠誘導プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被治療者に対して電位を印加することで、肩こり、頭痛、不眠症、慢性便秘等の症状についてこれを改善する効能があることが知られており、被治療者に電位を印加する電位治療器が利用されている。
このような電位治療器において、使用者の脳波を眠りに適した周波数に誘導することに関する技術が特許文献1によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-38451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示される技術は、使用者の体動をセンサで検知することで入眠を判定し、入眠中に使用者の脳波を誘導するための、レム睡眠とノンレム睡眠に対応する波長の周波数の出力を行うものである。
特許文献1の技術では、入眠中において脳波を誘導するもの、即ち、すでに眠りに入っている人の脳波を誘導するものであるため、寝つきが悪いような場合に効果を得られるものではない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、寝つきが悪いような場合において、使用者を眠りへと誘導させるような処理を行うことが可能な電位治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
使用者に電位を印加する電位治療器であって、使用者に電位を印加するための波形を生成、出力する波形生成出力部と、使用者の睡眠状態に関する情報であって、睡眠状態にあるか否かを示す情報を取得又は受信する睡眠情報取得部と、を備え、就寝モードの開始から第1の基準時点までに前記睡眠情報取得部において睡眠状態にあることを示す情報が得られない場合に、前記波形生成出力部において第1の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第1の出力波形の生成、出力を行うことを特徴とする電位治療器。
【0007】
(構成2)
前記第1の出力波形を出力後、第2の基準時点までに前記睡眠情報取得部において睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合に、前記第1の出力波形の出力を停止することを特徴とする構成1に記載の電位治療器。
【0008】
(構成3)
前記第1の出力波形を出力したまま第3の基準時点に至った場合に、前記第1の出力波形の出力を停止することを特徴とする構成1又は2に記載の電位治療器。
【0009】
(構成4)
前記睡眠状態に関する情報に関する情報に浅い睡眠状態であることを示す第1の睡眠情報と、深い睡眠状態であることを示す第2の睡眠情報が含まれ、前記第1の基準時点までに前記第1の睡眠情報が得られた場合であって、第3の基準時点までに前記睡眠情報取得部において前記第2の睡眠情報が得られなかった場合、前記第1の出力波形の生成、出力を行うことを特徴とする構成1から3の何れかに記載の電位治療器。
【0010】
(構成5)
前記睡眠状態に関する情報に関する情報に浅い睡眠状態であることを示す第1の睡眠情報と、深い睡眠状態であることを示す第2の睡眠情報が含まれ、前記第1の出力波形の出力の停止後、第4の基準時点までに前記睡眠情報取得部において前記第2の睡眠情報が得られなかった場合、前記第1の出力波形の生成、出力を行うことを特徴とする構成2に記載の電位治療器。
【0011】
(構成6)
前記第1の出力波形の出力を所定期間とすることを特徴とする構成1から5の何れかに記載の電位治療器。
【0012】
(構成7)
前記睡眠状態に関する情報に浅い睡眠状態であることを示す第1の睡眠情報と、深い睡眠状態であることを示す第2の睡眠情報が含まれ、前記第1の出力波形の出力中に、前記睡眠情報取得部において前記第2の睡眠情報が得られた場合に、前記第1の出力波形の出力を停止することを特徴とする構成1から5の何れかに記載の電位治療器。
【0013】
(構成8)
前記第1の出力波形が、矩形波であることを特徴とする構成1から7の何れかに記載の電位治療器。
【0014】
(構成9)
前記第1の出力電圧の振幅が、1000Vを超えるものであることを特徴とする構成1から8の何れかに記載の電位治療器。
【0015】
(構成10)
就寝モードの前記第1の出力波形の出力を行っていない期間の何れかにおいて、前記第1の出力電圧よりも低い第2の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第2の出力波形の生成、出力を行うことを特徴とする構成1から9の何れかに記載の電位治療器。
【0016】
(構成11)
使用者に電位を印加するための波形を生成、出力する波形生成出力部と、使用者が睡眠状態にあるか否かを示す情報を取得又は受信する睡眠情報取得部と、を備える電位治療器において、就寝モードの開始から第1の基準時点までに前記睡眠情報取得部において睡眠状態にあることを示す情報が得られたか否かを判別するステップと、睡眠状態にあることを示す情報が得られなかった場合に、前記波形生成出力部において第1の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第1の出力波形の生成、出力を行うステップと、を実行させることを特徴とする睡眠誘導プログラム。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電位治療器によれば、寝つきが悪いような場合において、使用者を眠りへと誘導させるような処理を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る実施形態の電位治療器の構成の概略を示すブロック図
図2】波形生成出力部の構成の概略を示すブロック図
図3】第1パルス昇圧回路(波形生成昇圧回路部)を示す回路図
図4】第1、第2パルス昇圧回路の出力波形の一例を示す図
図5】第1整流回路(整流回路部)を示す回路図
図6】第1放電回路部を示す回路図
図7】放電回路の動作に関する説明図
図8】第1通信回路(光通信回路部)を示す回路図
図9】第1、第2整流回路、出力回路からの出力波形の一例を示す図
図10】放電回路が無い場合における、第1、第2整流回路、出力回路からの出力波形の一例を示す図
図11】放電回路部分の他の例を示す図
図12】実施形態の電位治療器の就寝モードで出力される波形の例を示す図
図13】就寝モードの動作の説明図
図14】就寝モードの処理の概略を示したフローチャート
図15】就寝モードの処理の概略を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0020】
図1は、本発明に係る実施形態の電位治療器の構成の概略を示すブロック図である。
本実施形態の電位治療器1は、家庭用電源に接続されて高電圧を発生させる本体部100と、本体部100で発生された電圧が入力され、これに基づく電界を発生させて使用者に電位を印加する通電マット200を備える。
本体部100は、装置全体の制御や各種の演算処理などを行う制御部である制御マイコン20と、使用者に電位を印加するための波形を生成、出力する波形生成出力部10と、使用者に対するインターフェースであり例えばタッチパネルで構成される表示部/操作部40と、外部装置である携帯端末300との間で使用者の睡眠状態に関する情報等を送受信する通信部30と、を備える。
【0021】
脳波センサデバイス400は、脳波の周波数を検知する脳波センサ401と、携帯端末300との間で情報を送受信する通信部(特に図示せず)を有している。使用者が脳波センサデバイス400を装着することで、使用者の脳波を検知し、これを携帯端末300に送るものである。なお、ここでは、アイマスク型のものを例としているが、脳波情報(或いは睡眠の状態を判別可能な任意の生体情報)を取得、送信できる任意のデバイスであってよい。
携帯端末300は、例えばスマートホン等の情報処理端末であり、脳波センサデバイス400から、脳波に関するデータを取得し、当該脳波データから、使用者が起きている状態であるか、浅い睡眠状態(例えばレム睡眠状態)であるか、深い睡眠状態(例えばノンレム睡眠状態)であるかの判別を行い、これを電位治療器1へと送信する。ここでは、スマートホン等の汎用的な情報処理端末を例としているが、使用者の睡眠状態を判別するための専用の装置等であっても勿論よい。また、携帯型の装置ではなく据え置き型の装置等であってもよい。
睡眠状態を判別するための生体情報を取得する装置(ここの例では脳波センサデバイス400)と、睡眠状態を判別する装置(ここの例では携帯端末300)は、別体である必要は無く、一体的に構成されるものであってもよい。また別体とする場合の両者の間の通信は任意の方式を用いることができる。
【0022】
本体部100の通信部30は、携帯端末300から、使用者が起きている状態であるか、浅い睡眠状態であるか、深い睡眠状態であるかの情報を取得する。即ち、使用者の睡眠状態に関する情報であって、睡眠状態にあるか否かを示す情報を取得又は受信する睡眠情報取得部として機能するものである。
なお、通信部30と携帯端末300の間の通信は任意の方式を用いることができる。また、ここでは外部装置から使用者の睡眠状態に関する情報を取得するものを例としているが、電位治療器1として、睡眠状態を判別するため生体情報を取得する装置や、睡眠状態を判別する機能を備えるものであっても勿論よい。
【0023】
図2は、波形生成出力部10の構成の概略を示すブロック図である。
波形生成出力部10は、被治療者に電位を印加するための波形及び電圧を生成する波形生成昇圧回路部である第1パルス昇圧回路12a、第2パルス昇圧回路12bと、
第1パルス昇圧回路12a、第2パルス昇圧回路12b(波形生成昇圧回路部)からの出力を整流する整流回路部である第1整流回路13a、第2整流回路13bと、
第1整流回路13a、第2整流回路13b(整流回路部)によって得られた出力を導子である通電マット200へ出力する出力部である出力回路14と、
第1整流回路13a、第2整流回路13b(整流回路部)に備えられるコンデンサを放電させるための放電回路部である第1放電回路部15a、第2放電回路部15bと、
制御マイコン20(制御部)からの制御信号を電気的に絶縁しつつ第1放電回路部15a、第2放電回路部15bへ伝える通信回路部である第1光通信回路16a、第2光通信回路16bと、
家庭用電源に接続されて装置内に電源を供給する電源部である電源回路17と、
第1パルス昇圧回路12a、第2パルス昇圧回路12b(波形生成昇圧回路部)に所定の直流電圧(本実施形態では114V)を供給する所定電圧供給部である電圧制御回路18と、
第1放電回路部15a、第2放電回路部15bへ電源を供給する放電用電源回路19と、
を有している。
【0024】
本実施形態の電位治療器1は、制御マイコン20の制御に基づいて、第1パルス昇圧回路12a、第1整流回路13a、第1放電回路部15a、第1光通信回路16aによって、正側の高圧出力波形(図9(a)に波形例を示した)を生成し、第2パルス昇圧回路12b、第2整流回路13b、第2放電回路部15b、第2光通信回路16bによって、負側の高圧出力波形(図9(b)に波形例を示した)を生成する。この正側の高圧出力波形と負側の高圧出力波形を、出力回路14において合成することで、高圧交流波形(図9(c)に波形例を示した)を得て、これを通電マット200へと出力するものである。
正側の高圧出力波形を生成する第1パルス昇圧回路12a、第1整流回路13a、第1放電回路部15a、第1光通信回路16aと、負側の高圧出力波形を生成する第2パルス昇圧回路12b、第2整流回路13b、第2放電回路部15b、第2光通信回路16bは、正負の違いによる相違部分があるものの、基本的に同様の概念であるため、以下、第1パルス昇圧回路12a、第1整流回路13a、第1放電回路部15a、第1光通信回路16aに関して、即ち正側について主に説明を行い、負側については説明を簡略化若しくは省略する。
【0025】
図3は、第1パルス昇圧回路12aを示す回路図である。
第1パルス昇圧回路12aは、制御マイコン20から出力される波形制御用PWM信号から、出力に発生させる波形に対応した変動電圧を作り出す第1パルスSW回路121aと、昇圧トランスTrとこれを一定の周期でプッシュプル動作にてスイッチング駆動する為のスイッチング回路を有する第1昇圧回路122aと、を備える。
なお、昇圧トランスTrはパルストランスを用いて小型化を図っている。本実施形態では入力電圧70Vのパルスをプッシュプル動作により入力し、出力に±7,000Vの電圧を発生させる約100倍の昇圧パルストランスを用いている。
第1パルス昇圧回路12aは、電圧制御回路18からの直流電圧をもとにハーフブリッジ動作の電界効果トランジスタ(以下単に「FET」)のスイッチ回路により希望する出力波形の半波を生成し、昇圧トランスTrのコモン端子に供給する。
制御マイコン20からのPWM信号は、本実施形態では約50kHzの搬送周波数の信号が出力されて2個のFET1211、1212を交互にスイッチング動作させることによって半波の信号を昇圧トランスTrのコモン端子に生成させている。
昇圧トランスTrの1次側は2つの巻き線が直列に巻いてあり、それぞれの片側にはスイッチ動作を行う2つのFET1221、1222が接続され、FET1221とFET1222は本実施形態では約18kHzの周波数で交互にスイッチされる。
このように1次側の巻き線に交互に電流を流すことにより、コアの磁束も交互に変化するので2次側には約18kHzの周波数で極性が交互に入れ替わり、かつ振幅は希望する出力波形の半波の出力(昇圧された第1のパルス状の波形)が発生する。
なお、第2パルス昇圧回路12bは、第1パルス昇圧回路12aと同様の構成であり、2次側に約18kHzの周波数で極性が交互に入れ替わり、かつ振幅は希望する出力波形の半波の出力(昇圧された第2のパルス状の波形)を発生させる。
図4は、パルス昇圧回路の出力波形の一例を示す図(パルスがわかるように、パルスの数を減らして模式的に示した図)であり、図4(a)は第1パルス昇圧回路12aの出力波形(第1のパルス状の波形)、図4(b)は第2パルス昇圧回路12bの出力波形(第2のパルス状の波形)である。
【0026】
図5は、第1整流回路13aを示す回路図である。
第1整流回路13aは、整流ダイオード133、134と平滑コンデンサ131、132による一般的な整流回路である。昇圧トランスTrからのパルス出力電圧(図4)に応じた高耐圧の整流ダイオードと高耐圧の平滑コンデンサを用いる。本実施形態では、ダイオード2個と平滑コンデンサ2系統で構成される倍電圧整流回路を用いている。なお、第2整流回路13bは、ダイオード133、134の方向性が逆になったものである。
第1整流回路13aでは、第1パルス昇圧回路12aの昇圧トランスTrに発生したプラス側のパルスと、マイナス側のパルスが、それぞれコンデンサ131、132にチャージされ、これらを足したプラスの電圧が出力電圧になる。なお、第2整流回路13bは、ダイオード133、134の方向性が逆になったものであり、第2パルス昇圧回路12bの昇圧トランスTrに発生したプラス側のパルスと、マイナス側のパルスが、それぞれコンデンサ132、131にチャージされ、これらを足したマイナスの電圧が出力電圧になる。
コンデンサ131、132にチャージされた電圧は放電しなければ直流の出力となるが、実際には放電回路によってある程度の電流は流れて放電されることになるので直流とはならず、出力に高圧の半波の波形が発生される。
【0027】
図6は、第1放電回路部15aを示す回路図である。
第1放電回路部15aは、半導体素子を用いて構成される定電流回路を用いている。放電回路には整流回路から得られた高電圧が印加されるため、本実施形態では、コレクタ-エミッタ間を多段に接続したダーリントントランジスタで構成し、それぞれのベース端子間を高抵抗で接続した高耐圧スイッチ素子群によって第1放電回路151aを構成している。また、第1放電回路部15aは、第1光通信回路16aからの出力信号を電圧信号に変換し、第1放電回路151aの高耐圧スイッチ素子群に加える電圧に応じてコレクタ電流を定電流制御する第1放電制御回路152aを備えている。
第1放電回路部15aは、制御マイコン20からのPWM信号に基づく電流制御を可能とし、後述する光通信回路が用いられていることによって所望する波形に応じて細やかな電流制御が可能である。
第1光通信回路16aから入力されたPWM信号は抵抗1521とコンデンサ1522による復調回路によって電圧変化信号に変換される。
抵抗1521とコンデンサ1522による復調回路のカットオフ周波数は、PWM信号の1/10倍くらいの周波数にすることができ、PWM信号の搬送周波数を50kHz程度に設定すればカットオフ周波数は5kHz程度まで高くすることができ、数kHzで変化する信号をオペアンプ1523によるバッファ回路に入力することができる。
バッファ回路の出力は、次段のオペアンプ1524と第1放電回路151aを構成するダーリントントランジスタ群の最下段のダーリントントランジスタのベースに加えられる。ダーリントントランジスタのエミッタには抵抗Reが接続され、かつ、エミッタはオペアンプ1524の作動増幅マイナス側端子に接続されているので、入力の電圧変化に応じて抵抗Reに流れる電流を制御できる定電流回路を構成している。即ち、制御マイコン20からのPWM信号に基づいて、抵抗Reに流れる電流(=放電電流)が制御されるものである。
また、1段目のオペアンプ1523の出力が一定の電圧(ツェナーダイオード1525のツェナー電圧)を超えた場合には、強制放電用トランジスタ1526にベース電流を流し第1放電回路151aに流れる放電電流を最大化することができるようになっている。即ち、制御マイコン20からのPWM信号のデューティー比が一定値を超えた場合には、放電電流が最大化される。
なお、第2放電回路部15bは、第1放電回路部15aと同様の構成である。
【0028】
第1放電回路部15aは、制御マイコン20からのPWM信号に基づいて、第1パルス昇圧回路12a(波形生成昇圧回路部)からの出力(振幅)がゼロである期間、即ち、図4(a)における期間Ta2において、第1放電回路151aに流れる放電電流を最大化させる。
また、第1放電回路部15aは、制御マイコン20からのPWM信号に基づいて、第1パルス昇圧回路12a(波形生成昇圧回路部)からの出力(振幅)が減少していく期間、即ち、図4(a)における期間Ta1において、当該出力(振幅)の減少程度に応じて放電回路による放電量を増加させる。
図7は、第1放電回路部15aにおける放電電流制御の概念を説明する図である。図7の上段側は第1パルス昇圧回路12aからの出力波形、下段側は第1放電回路部15aにおける放電電流の大きさを示す概念図である。
図7に示されるように、第1パルス昇圧回路12aからの出力(振幅)が減少していく期間Ta1において、出力(振幅)の減少スピードが大きくなるに従い、放電電流も大きくしており、出力(振幅)がゼロである期間Ta2では、放電電流が最大化される。これにより第1整流回路13aの平滑コンデンサ131、132のチャージ量が制御される。
当該制御が制御マイコン20からのPWM信号に基づいて行われるものであるが、本実施形態の電位治療器1では、次に説明する通信回路を備えることにより、マイコン側と高圧回路側とを絶縁しつつ、高速且つ細やかな制御で整流回路13のコンデンサの放電を行うことができる。
なお、上記説明は負側の第2放電回路部15bについても同様であり、図4(b)の期間Tb1において出力(振幅)の減少程度に応じて放電回路による放電量が増加され、期間Tb2において放電量が最大化される。
【0029】
図8は、第1光通信回路16aを示す回路図である。
第1光通信回路16aは、制御マイコン20からのPWM信号を光に変換する発光素子(本実施形態では赤外線発光ダイオード)162と、発光素子162から出力される光を受光して電気信号に変換する受光素子(本実施形態ではフォトダイオード)164とで構成される通信ユニットを有する。通信ユニットは、耐圧の高いフォトカプラなどの一般部品で構成することも考えられるが、高圧電位治療器の最高ピーク電圧である14,000Vに対応したフォトカプラを一般市販品として入手することは困難であり、本実施形態では、赤外線発光ダイオードとフォトダイオードを充分な絶縁距離を保った上で透明(発光部が発する光に対して透明)な樹脂(絶縁性光伝導体163)にてモールドした構成としている。即ち、第1光通信回路16aは、発光素子(発光部)162と、受光素子(受光部)164と、これらを絶縁しつつ光学的に結合する絶縁性光伝導体163と、を備えている。
制御マイコン20から出力されるPWM信号は、スイッチングトランジスタ161のベースに供給され、コレクタに接続されている赤外線発光ダイオード162をPWM動作(発光)させる。
PWM信号に基づいて点滅する赤外光は絶縁性光伝導体(本実施形態で使用しているのはエポキシ樹脂)163を通り、相手側の逆バイアスをかけたフォトダイオード164に届き、フォトダイオード164に電流が流れる。
この電流に基づいて、トランジスタ165、166をスイッチングすることによって、高電圧でも安全に絶縁された回路に対し応答速度の速いPWM出力を得る(第1放電回路部15aへ入力する)ことが出来る。応答速度の速いPWM信号を伝達できることにより、細やかな制御を行うことができるものである。
なお、第2光通信回路16bは、第1光通信回路16aと同様の構成である。
【0030】
図9は、第1、第2整流回路、出力回路からの出力波形の一例を示す図であり、図9(a)は第1整流回路13aの出力波形(正側の高圧出力波形)、図9(b)は第2整流回路13bの出力波形(負側の高圧出力波形)、図9(c)は、出力回路14の出力波形(高圧交流波形)をそれぞれ示す。
一方、図10(a)~(c)は、放電回路のダーリントントランジスタ群による放電が行われない場合の出力波形を示す図であり、図9(a)~(c)にそれぞれ対応する図である。
放電回路のダーリントントランジスタ群による放電がされない場合、周波数がある程度高くなってくると、図10(a)~(c)に示されるように、整流回路のコンデンサのチャージ電圧が下がりきらないことによって、求める波形(ここの例では正弦波)に対して、波形がなまった状態となり、振幅が低下する問題がある。正側の高圧出力波形(図10(a))、負側の高圧出力波形(図10(b))の何れについても、昇圧回路からの出力が減少していく際に整流回路のコンデンサのチャージ電圧が下がりきらず、結果として所望の波形より出力が大きくなってしまっている。このような正側の高圧出力波形(図10(a))、負側の高圧出力波形(図10(b))が、出力回路で足し合わされる結果、図10(c)に示されるような、なまった波形となり、振幅が低下するものである。
これに対し、本実施形態の電位治療器1では、上記の各回路機能部を備えることにより、図7で説明したように、昇圧回路からの出力の振幅が減少していく期間Ta1において、振幅の減少スピードが大きくなるに従い、放電電流を徐々に大きくする制御が行われるため、図9(a)~(c)に示されるように、波形のなまりと振幅の低下を抑制することができる。即ち、整流回路のコンデンサのチャージ電圧を適切に制御することが可能であるため、正側の高圧出力波形(図9(a))、負側の高圧出力波形(図9(b))の何れについても、所望の波形が得られ、その結果、出力回路からの出力波形(図9(c))においても所望の波形(ここの例では正弦波)が得られるものである。
【0031】
上記構成の波形生成出力部10によれば、出力波形の周波数が高いような場合においても、出力波形がなまってしまい、振幅が低下することを抑制することができる。さらに言えば、出力波形の周波数が変動しても、これに合わせて波形のなまりと振幅の低下を抑制するように放電電流を細かく調整するといった細やかな制御が可能である。これにより、出力波形の周波数の変動幅を大きくしても所望の波形を得ることが可能となる。
【0032】
なお、マイコン側との絶縁をしつつ、放電回路の制御を行うものとして、絶縁トランスを用いるものも考えられる。
図11に、そのような例を示した。
図11の回路例では、絶縁トランス1528の1次側に、制御マイコン20からの信号によって入力信号の振幅を増減させることが可能なトランス駆動回路1527を設けており、これによって2次側の出力電圧を変化させることが出来る。
2次側に発生した交流電圧は、整流回路1529によってコンデンサにチャージされて直流になるが、この電圧が放電回路151a´を構成するダーリントントランジスタ群の最下段のダーリントントランジスタのベースに加えられることにより、エミッタに接続された抵抗Reを介して電流が流れる。
抵抗Reに流れる電流が増加すると、最下段トランジスタのエミッタ電圧が上昇し、ベースに加えられた電圧で電流が制御される定電流回路として機能する。これにより、放電電流を制御し、出力波形のなまりと振幅の低下を抑制するこができる。
この定電流回路は、最下段トランジスタのベースに加える電圧を変化させることによって電流を変化させることが出来るようになるが、整流回路のコンデンサは小さくするとリプルが発生するため一定以上の容量が必要となる。このため、コンデンサにチャージされた電圧は一定の時定数で変化せざるをえなく、急峻に変化をさせることが出来ない。
このため、絶縁トランスを用いた図11の放電回路では、回路の仕様として低い周波数においては出力波形のなまりと振幅の低下を抑制するこができるが、出力波形の周波数が高い周波数になると、出力波形のなまりと振幅の低下が生じてしまうという問題がある。即ち、回路特性によって、波形のなまりと振幅の低下を抑制可能な出力波形の周波数の範囲が決まってしまい、多様な周波数に対応させることが難しいという問題がある。
これに対し、波形生成出力部10では、上記で説明した各回路機能部を備えることにより、高速且つ細やかな制御で整流回路のコンデンサの放電を行うことができ、広い範囲の周波数において出力波形がなまってしまい、振幅が低下することを抑制することができる。
【0033】
なお、上記説明では、“制御部からの制御信号を電気的に絶縁しつつ前記放電回路部へ伝える通信回路部”の例として、応答性の高い光通信回路を用いているが、同等の応答性が可能な電波を用いた通信回路(電波通信回路部)を用いることもできる。たとえば、昨今携帯機器に多く用いられているBluetooth(登録商標)技術を用いた通信などでも構成が可能である。
【0034】
また、上記説明では、出力波形の例として正弦波を用いて説明をしているが、以下でも例示されるように、任意の出力波形に対応することができる(直流波形(出力が一定で変化が無いもの)を除いて、上記説明の放電による効果を得ることができる。)。
【0035】
次に、本実施形態の電位治療器1の“就寝モード”について説明する。
【0036】
“就寝モード”は、寝つきが悪いような場合において使用者を眠りへと誘導させる機能であり、使用者が寝つけない状態であると判別された場合に、0.5Hz~14Hzの周波数で、高い電位を印加することによって、脳波をリラックス状態や睡眠時の周波数(α波(8~14Hz),θ波(4~7Hz),δ波(0.5~3Hz))へと誘導するものである。
図12は、就寝モードにおける出力波形の例を示す図であり、図12(a)が、“第1の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第1の出力波形”であり、図12(b)が、“第1の出力電圧よりも振幅が低い第2の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第2の出力波形”に該当する。
ここでは、第1の出力波形と第2の出力波形が同じ周波数であるものを例としており、何れも0.5Hz~14Hzの周波数を有する矩形波である。第1の出力電圧は、その波高が-4500Vであり、第2の出力電圧は、その波高が-1000Vである。なおここではマイナスの出力を例としているが、プラスの出力であってもよく、プラスとマイナスの混合であってもよい。
矩形波は高周波成分を有するものであるが、このような高周波部分(矩形波の立ち上がりや立下り部分)を有する波形に対しても、上記で説明した各回路機能部を備えることにより、波形のなまりや振幅の低下を抑制して、高い電圧の出力を行うことができる。
【0037】
図13は、就寝モードの動作例の説明するための説明図である。使用者から得られる睡眠状態(即ち、通信部30が受信する情報)としての、“目覚め”を薄いグレー、“浅い睡眠”を濃いグレー、“深い睡眠”を黒で表している。
図13では、時間経過(横軸)と共に使用者の睡眠状態が変化する例をA~Eの5つ示しており、そのそれぞれに対して、電位治療器1がどのような出力処理を行うのかを示している。
【0038】
先ず、就寝モードの開始(0分)から、第1の基準時点Tまでの期間において、低出力である第2の出力波形(図12(b))を波形生成出力部において生成、出力する。
第1の基準時点Tまでに睡眠状態(即ち、“浅い睡眠”又は“深い睡眠”の状態)にあることを示す情報が得られた場合(パターンA、B)と、“目覚め”の状態が続いている場合(パターンC~E)で、異なる動作となる。Tまでに睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合には、そのまま低出力である第2の出力波形の出力を継続し、一方、“目覚め”の状態が続いている場合には、高出力である第1の出力波形(図12(a))を波形生成出力部において生成、出力する。即ち、“就寝モードの開始から第1の基準時点までに睡眠情報取得部において睡眠状態にあることを示す情報が得られない場合に、波形生成出力部において第1の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第1の出力波形の生成、出力を行う”ものである。なお、ここでの周波数は、8~14Hzの範囲であることが好ましい。
就寝時に一定期間(T)経過後も“目覚め”が続いている、即ち、寝つきが悪い状態であると判断された場合に、より高い出力にて、脳波の誘導(睡眠への誘導)を行うものである。
なお、ここではTの例として30分であるものを示している。Tは“寝つきが悪い”として判断する任意の期間を設定することができるが、例えば、20~40分の範囲であることが好ましい。またTを使用者に設定させるようなものであってもよい。
【0039】
第1の基準時点Tで“目覚め”の状態が続いている場合(パターンC~E)は、第1の出力が行われ、これが第2の基準時点Tまで継続される。
第2の基準時点Tまでに睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合(パターンC、D)と、“目覚め”の状態が続いている場合(パターンE)で、異なる動作となる。睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合には、第1の出力を停止し、低出力である第2の出力を行う。一方、“目覚め”の状態が続いている場合には、高出力である第1の出力を継続する。即ち、“第1の出力波形を出力後、第2の基準時点までに睡眠情報取得部において睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合に、第1の出力波形の出力を停止する”ものである。
睡眠状態へと移行したと判断された場合に低出力に戻し、一方で依然として目覚めの状態が続いている場合には高出力である第1の出力を継続することで、眠りへの誘導を継続するものである。なお、ここでの周波数は、0.5~3Hzの範囲であることが好ましい。
ここではTの例として70分(Tから40分後)であるものを示している。Tについても任意の期間を設定することができるが、例えば、60~80分の範囲であることが好ましい。またTについて使用者に設定させるようなものであってもよい。
【0040】
上記のように第2の基準時点Tで“目覚め”の状態が続いている場合(パターンE)は、第1の出力が継続して行われ、これが第3の基準時点Tまで継続される。
第3の基準時点Tまで第1の出力を行った後は、第1の出力を停止し、低出力である第2の出力を行う。即ち、“第1の出力波形を出力したまま第3の基準時点に至った場合に、第1の出力波形の出力を停止する”ものである。
うまく睡眠誘導ができないような場合において、高出力の電位を印加し続けるのは好ましくない場合も考えられるため、一定の時点で高出力を停止するものである。なお、この後の第2の出力は、0.5~8Hzの範囲の周波数とすることが好ましい。
ここではTの例として90分(Tから20分後)であるものを示している。Tについても任意の期間を設定することができるが、例えば、80~100分の範囲であることが好ましい。またTについて使用者に設定させるようなものであってもよい。
【0041】
第1の基準時点Tで睡眠状態(即ち、“浅い睡眠”又は“深い睡眠”の状態)にあることを示す情報が得られている場合(パターンA、B)、第2の出力が第3の基準時点Tまで継続される。
第3の基準時点Tまでに、深い睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合(パターンA)と、これが得られなかった場合(パターンB)で、異なる動作となる。深い睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合には、引き続き低出力である第2の出力を行う。一方、深い睡眠状態に至らなかった場合には、高出力である第1の出力を行う。即ち、“浅い睡眠状態を示す情報を、第1の睡眠情報、深い睡眠状態を示す情報を第2の睡眠情報”とした場合に、“第1の基準時点までに第1の睡眠情報が得られた場合であって、第3の基準時点までに睡眠情報取得部において第2の睡眠情報が得られなかった場合、第1の出力波形の生成、出力を行う”ものである。
一旦睡眠状態に入ったと判断され、出力を低出力としていたが、一定期間内に“深い眠り”に至っていないような場合に、再度高出力にして深い眠りへの誘導を行うものである。なお、ここでの周波数は、0.5~8Hzの範囲であることが好ましい。再度の高出力は、基準時点Tまで行われる。高出力を有限としているのは、上記と同様に、高出力の電位を印加し続けるのは好ましくない場合も考えられるため、一定の時点で高出力を停止しているものである。
ここではTとして、パターンEの第1の出力の終期と同じものを例としているが、両者を違う期間として設定するものであっても構わない。また、Tの例として130分(Tから40分後)であるものを示している。Tについても任意の期間を設定することができるが、例えば、120~140分の範囲であることが好ましい。またTについて使用者に設定させるようなものであってもよい。
【0042】
第1の基準時点Tで“目覚め”の状態が続いていたが、第2の基準時点Tまでに浅い睡眠の状態である情報が得られている場合、第2の基準時点Tから、第2の出力が第4の基準時点Tまで行われる(パターンC、D)。
第4の基準時点Tまでに、深い睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合(パターンC)と、これが得られなかった場合(パターンD)で、異なる動作となる。深い睡眠状態にあることを示す情報が得られた場合には、引き続き低出力である第2の出力を行う。一方、深い睡眠状態に至らなかった場合には、高出力である第1の出力を行う。即ち、“浅い睡眠状態を示す情報を、第1の睡眠情報、深い睡眠状態を示す情報を第2の睡眠情報”とした場合に、“第1の出力波形の出力の停止後、第4の基準時点までに睡眠情報取得部において第2の睡眠情報が得られなかった場合、第1の出力波形の生成、出力を行う”ものである。
一旦睡眠状態に入ったと判断され、出力を低出力としていたが、一定期間内に“深い眠り”に至っていないような場合に、再度高出力にして深い眠りへの誘導を行うものである。なお、ここでの周波数は、0.5~8Hzの範囲であることが好ましい。再度の高出力は、基準時点Tまで行われる。高出力を有限としているのは、上記と同様に、高出力の電位を印加し続けるのは好ましくない場合も考えられるため、一定の時点で高出力を停止しているものである。
ここでは、Tの例として100分(Tから30分後)、Tの例として120分(Tから20分後)であるものを示している。T、Tについても任意の期間を設定することができるが、例えば、Tは90~110分の範囲、Tは110~130分の範囲であることが好ましい。またT、Tについて使用者に設定させるようなものであってもよい。
【0043】
以上のように、就寝後の一定期間内に、寝つきが悪い、或いは深い眠りに入っていかないと判断されるような場合において、使用者を眠りへと誘導させる高出力を行いつつも、うまく睡眠誘導ができないような場合においては、無理にこれを継続せずに一定の時点で高出力を停止するようにしている。
【0044】
図14と、図15は、就寝モードにおける処理の一例の概略を示したフローチャートであり、これに基づいて、就寝モードについて再度説明する。
図14図15の各処理は、通信部30からの情報の取得や波形生成出力部10に対する制御を行うこと等によって、基本的に制御マイコン20上で実行される。
なおここでは、制御マイコンが各種データ等に基づいて下記説明する処理を実行するもの、即ち、汎用的なマイコン上で機能がソフトウェア的に構成されるものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。各処理機能部が専用回路等によってハード的に一体若しくは個別に構成されるようなものであってもよい。各処理機能が専用回路的にハード的に構成される、若しくは、汎用回路上でソフト的に構成される、又はこれらの組み合わせ等とするかは、適宜選択可能なものである。
【0045】
使用者が、脳波センサデバイス400を装着しつつ、スマホ等の携帯端末300の対応のアプリを実行すること等により、睡眠情報を電位治療器1に送れるようにする。また、表示部/操作部40に対する使用者の操作等によって、電位治療器1の就寝モードを実行させることで、図14の処理が開始される。
ステップ101では、初期化処理として変数Sに0を代入する。変数Sは、睡眠のステータス情報を示す変数であり、“目覚め”は1、“浅い睡眠”は2、“深い睡眠”は3である。
【0046】
続くステップ102では、“波形出力処理”を行う。図15がステップ102で行われる“波形出力処理”を示すフローチャートである。NとTは波形出力処理に渡す引数である。Nは第1の出力か第2の出力かを示す情報であり、ここの例では1,2の値である。TはT~Tの各基準時点を示す情報であり、ここの例では図13で説明した“30分”等の時間情報である。
ステップ102では、N=2、T=T(本実施形態では“30分”)にて“波形出力処理”を呼び出している。第1の基準時点Tまで第2の出力を行わせるものとなる。
【0047】
図15を参照しつつ、“波形出力処理”の説明を行う。
ステップ201では、波形生成出力部に第2の出力電圧で0.5Hz~14Hzの周波数を有する第2の出力波形(図12(b))の生成、出力を行わせる。
続くステップ202では、通信部30による携帯端末300との通信によって携帯端末300から睡眠状態の情報を取得する。
ステップ203~206では、取得した睡眠状態の情報に応じて、変数Mに1~3の値を代入する。上述した変数Sと同様に、“目覚め”は1、“浅い睡眠”は2、“深い睡眠”は3である。
【0048】
続いてSとMを比較して、Mの方が大きい場合には、SにMを代入し(ステップ207:Yes→ステップ208)、そうでない場合(ステップ207:No)には、ステップ208をスキップする(即ち、Sの更新はされない)。
ステップ202~208の処理により、変数Sに睡眠のステータスを示す数値(“目覚め”は1、“浅い睡眠”は2、“深い睡眠”は3)が代入される。ここの例では、“目覚め”:1→“浅い睡眠”:2→“深い睡眠”:3の順方向にのみ更新が行われ、逆方向への更新は行われない。即ち、一度“浅い睡眠”の状態になった後は、例えその後に“目覚め”の状態になったとしても、ステータス情報Sとしては“浅い睡眠”としての情報が保持される。同様に、一度“深い睡眠”の状態になった場合は、その後に“目覚め”や“浅い睡眠”の状態になったとしても、ステータス情報Sとしては“深い睡眠”としての情報が保持される。
本実施形態では、就寝時の寝つきの助勢をすることを主な目的とし、一度目の“深い睡眠”になるべくスムースに至ることを重要視していることに関連してこのような処理としているが、Sを、最新の睡眠情報で常に更新するようなものであってもよい。
【0049】
ステップ209では、T(即ち、ここでは、T=30分)が経過したか否かを判別し、Tが経過していない場合にはステップ201へと戻って上記の処理を繰り返し、Tが経過した場合には“波形出力処理”を終了する。
図14のステップ102によって、T=T(本実施形態では30分)にて“波形出力処理”が実行されているため、ステップ209では、第1の基準時点Tの経過を判別することになる。これにより、第1の基準時点Tまで第2の出力を行う共に、この間における睡眠のステータス情報が変数Sに格納されることになる。
【0050】
図14に戻って説明を続ける。
ステップ102の“波形出力処理”に続くステップ103では、Sの値を判別する。即ち、就寝モードの開始から第1の基準時点Tまでにどのような睡眠状態に至ったかを判別するものである。
この第1の基準時点Tまでに深い睡眠に至っている場合には、睡眠誘導の必要は無いと判断され、第2の出力を継続し(ステップ103:3→ステップ113)、就寝モードを終了する。なお、ステップ113における第2の出力は、停止の指示があるまでそのまま継続させるものであっても良いし、一定期間(“一定期間”は使用者に設定させてもよい)だけ出力するようなものであってもよい。以下でそれぞれ実行されるステップ113の処理についても同様である。
【0051】
第1の基準時点Tまでに睡眠状態にあることを示す情報が得られない場合には、N=1、T=T(本実施形態では“70分”)にて“波形出力処理”を実行する(ステップ103:1→ステップ104)。“波形出力処理”は前述の説明の通りであり、第2の基準時点Tまで第1の出力を行わせつつ、この間における睡眠のステータス情報にて変数Sが更新されるものとなる。
ステップ104に続くステップ105では、Sの値が1であるか否かを判別する。即ち、第2の基準時点Tまで目覚めの状態が続いているか否かを判別するものである。
第2の基準時点Tまで目覚めの状態が続いていた場合には、第1の出力を第3の基準時点Tまで行い(ステップ105:Yes→ステップ109)、その後第1の出力を停止して第2の出力を行って(ステップ113)、就寝モードを終了する(パターンE)。
【0052】
ステップ106では、N=2、T=T(本実施形態では“100分”)にて“波形出力処理”を実行する。第4の基準時点Tまで第2の出力を行わせつつ、この間における睡眠のステータス情報にて変数Sが更新されるものとなる。
ステップ106に続くステップ107では、Sの値を判別する。即ち、第4の基準時点Tまでにどのような睡眠状態に至ったかを判別するものである。
第4の基準時点Tまでに深い睡眠に至っている場合には、それ以上の睡眠誘導の必要は無いと判断され、第2の出力を行って(ステップ106:3→ステップ113)、就寝モードを終了する(パターンC)。
第4の基準時点Tまでに浅い睡眠に至っているが、深い睡眠には至っていない場合、第1の出力を第5の基準時点Tまで行い(ステップ107:2→ステップ108)、その後第1の出力を停止して第2の出力を行って(ステップ113)、就寝モードを終了する(パターンD)。
【0053】
第1の基準時点Tまでに浅い睡眠に至っているが、深い睡眠には至っていない場合、N=2、T=T(本実施形態では“90分”)にて“波形出力処理”を実行する(ステップ103:2→ステップ110)。第3の基準時点Tまで第2の出力を行わせつつ、この間における睡眠のステータス情報にて変数Sが更新されるものとなる。
ステップ110の“波形出力処理”に続くステップ111では、Sの値を判別する。即ち、第3の基準時点Tまでにどのような睡眠状態に至ったかを判別するものである。
第3の基準時点Tまでに深い睡眠に至っている場合には、睡眠誘導の必要は無いと判断され、第2の出力を行って(ステップ111:3→ステップ113)、就寝モードを終了する(パターンA)。
第1の基準時点Tまでに浅い睡眠に至っているが、第3の基準時点Tまでに深い睡眠には至っていない場合、第3の基準時点Tから第6の基準時点Tまで第1の出力とし(ステップ111:2→ステップ112)、その後第1の出力を停止して第2の出力を行って(ステップ113)、就寝モードを終了する(パターンB)。
なお、前述のごとく本実施形態ではSは一方向的に更新されるため、ステップ109でSが1であることはない。
【0054】
以上のごとく、本実施形態の電位治療器1によれば、就寝後の一定期間内に、寝つきが悪い、或いは深い眠りに入っていないと判断されるような場合において、使用者を眠りへと誘導させるような処理を行うことが可能である。
加えて、使用者を眠りへと誘導させる高出力を行いつつも、うまく睡眠誘導ができないような場合においては、無理にこれを継続せずに一定の時点で高出力を停止しているためより実用性が高い。睡眠状態に関する情報は、必ずしも正確なものとは限らないため(睡眠情報は、電位治療器1にとっては外部装置から得られるものであり、その正確性が保証されるものではない)、より実用的な処理としているものである。例えば、特許文献1の場合、体動でレムかノンレムかを判断してこれに基づいて脳波を誘導する出力をし続けるものであるが、体動でレムかノンレムかを判断することは極めて難しく、使用者の睡眠のリズム(レム・ノンレムの終期)に合わない周期で誘導する結果となることも生じ得る。このような状態が継続されると、睡眠に対してむしろ悪影響となるおそれがある。
これに対し、本実施形態の電位治療器1によれば、使用者を眠りへと誘導させる高出力は、睡眠の初期の所定期間内のみにおいて行われるため、睡眠に対してむしろ悪影響となるような状況を抑制することができる。
【0055】
本実施形態では、脳波センサを備えたデバイスによって脳波情報を取得し、当該脳波情報に基づいて、睡眠の状態を判別するものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、使用者の睡眠の状態(少なくとも睡眠状態であるか否かの情報)を何らかの生体情報等に基づいて判別できるものであればよい。本発明は、睡眠の状態を示す情報を取得するための解決手段を提供するものではなく、睡眠の状態を示す情報を何らかの手法に基づいて取得することができる任意の装置を利用すればよいものである。
また、睡眠の状態を示す情報に関し、“浅い睡眠”や“深い睡眠”を示すものとしては、代表的にはレム睡眠やノンレム睡眠が挙げられるが、特にこれに限られるものではない。何らかの方式によって、使用者が浅い睡眠や深い睡眠であることが判別できれば、それに基づいて、本発明を適用できるものである。
本実施形態では、“浅い睡眠”や“深い睡眠”に関する情報も取得して、就寝後の所定期間内に浅い睡眠に至っていないと判断された場合や、さらに所定期間内に深い眠りに至っていないと判断された場合などに、出力を高くして睡眠誘導をするもの等を例としているが、単に睡眠状態であるか否かの情報に基づく処理としてもよい。即ち、就寝後の所定期間内に睡眠状態になっていないと判断された場合に、睡眠誘導の処理をするようなものであってもよい。
【0056】
実施形態では、第1の出力波形と第2の出力波形が一定周期の矩形波であるものを例としたが、本発明をこれに限るものではない。
第1の出力波形と第2の出力波形が同じ周波数である必要はなく、また、何れか若しくは両方が、矩形波ではない他の波形を有するものであってよい。
第1の出力波形と第2の出力波形は、周波数が0.5Hz~14Hzの範囲にある任意の波形であればよく、この範囲内で周波数が変動するようなものであってもよい。また、波高が変動するものであってもよい。
例えば、第1の出力波形として、周波数を14Hz~0.5Hzへと徐々に落としながら、出力は徐々に増加させるような波形としてもよい。より低周波数へ誘導するための一例として、例えば、周波数を7Hzから0.5Hzへと徐々に落としながら、出力は-1000Vから-5500Vへと徐々に増加させるような波形としてもよい。
なお、“周波数が0.5Hz~14Hzの範囲にある”とは、基本的にその範囲にあればよいものであり、例えば、局部的に15Hz以上の周波数となる区間がある波形を除外するものではない。
【0057】
本実施形態では、第1の出力波形の出力を行う際に、所定期間の出力を行うものを例としているが、第1の出力中に、“深い睡眠”であることが検知された時点で、第1の出力を停止するようなものであってもよい。即ち、“第1の出力波形の出力中に、睡眠情報取得部において第2の睡眠情報が得られた場合に、第1の出力波形の出力を停止する”ものであってよい。ここで、“第2の睡眠情報が得られた場合に、第1の出力波形の出力を停止する”とは、第2の睡眠情報が得られた際に即時停止するものに限られず、例えば、第2の睡眠情報が得られた時点から所定時間経過後に停止するもの等であってもよい。
【0058】
本実施形態では、高出力である第1の出力波形の出力を行っていない期間において、低出力である第2の出力波形の出力を行うものとしているが、本発明をこれに限るものではない。例えば、第2の出力を全く行わないものであってもよいし、第1の出力を行っていない期間の一部にのみ第2の出力を行うようなものであってもよい。
なお、薬機法では、低出力は1000V以下と定義されており、また最大出力は9000V以下と定義されている。従って、この観点から言えば、低出力とは、出力電圧の振幅が1000V以下、高出力とは、出力電圧の振幅が1000Vを超え、9000V以下のものである。
【符号の説明】
【0059】
1...電位治療器
10...波形生成出力部
20...制御マイコン(制御部)
30...通信部(睡眠情報取得部)
200...通電マット
300...携帯端末
400...脳波センサデバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15