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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063562
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】記録方法、記録装置、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/0045 20060101AFI20220415BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20220415BHJP
   G11B 20/12 20060101ALI20220415BHJP
   G11B 7/007 20060101ALI20220415BHJP
   G11B 7/243 20130101ALI20220415BHJP
   G11B 7/24038 20130101ALI20220415BHJP
【FI】
G11B7/0045 Z
G11B20/10 311
G11B20/12
G11B7/007
G11B7/243
G11B7/24038
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171889
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】320011029
【氏名又は名称】Verbatim Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100190355
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 紀央
(72)【発明者】
【氏名】中島 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】竹島 秀治
(72)【発明者】
【氏名】小松 昌生
【テーマコード(参考)】
5D029
5D044
5D090
【Fターム(参考)】
5D029JA01
5D029JB05
5D029JB18
5D029JB42
5D029JC18
5D044BC06
5D044CC06
5D044DE45
5D044DE49
5D044DE52
5D044DE57
5D044EF05
5D044GK12
5D044GK18
5D044JJ01
5D090AA01
5D090BB05
5D090CC02
5D090DD03
5D090DD05
5D090GG27
5D090GG33
5D090HH01
5D090JJ14
5D090KK02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】記録媒体へのデータの記録品質の低下を抑制することが可能な記録方法、記録装置及び記録媒体を提供する。
【解決手段】相変化方式による書き換えが可能な記録媒体(光ディスク20)の記録可能な領域内の第1領域にデータとしてファイルデータの記録を行うと共に、領域内の第2領域に領域単位ごとの記録回数に基づく管理情報を記録する。第2領域は、領域内に対して1か所又は複数か所に設けられる。記録媒体は、複数の層を含んで構成され、第2領域層ごとに設けられる。記録単位ごとの記録回数に応じて領域の優先度を付与する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化方式による書き換えが可能な記録媒体の記録可能な領域内にデータの記録を行うと共に、前記領域内の所定の領域単位ごとの記録回数に基づく管理情報を記録する、
記録方法。
【請求項2】
前記記録媒体の記録可能な領域内の第1領域に前記データとしてファイルデータの記録を行うと共に、当該領域内の第2領域に前記管理情報を記録する、
請求項1に記載の記録方法。
【請求項3】
前記第2領域は、前記領域の全体に対して1か所に設けられている、
請求項2に記載の記録方法。
【請求項4】
前記第2領域は、前記領域内の複数か所に設けられている、
請求項2に記載の記録方法。
【請求項5】
前記記録媒体は、書き換えが可能な複数の層を含んで構成され、
前記第2領域は、複数の前記層ごとに設けられている、
請求項4に記載の記録方法。
【請求項6】
前記第2領域は、前記領域単位ごとに設けられている、
請求項4に記載の記録方法。
【請求項7】
前記管理情報に基づいて前記第1領域に記録する際の記録条件を決定する、
請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項8】
前記記録条件は、前記第1領域内のいずれの領域に対して優先して記録するかを決定するための優先度を含む、
請求項7に記載の記録方法。
【請求項9】
前記領域単位ごとの記録回数Mが0≦M<N、N≦M<K、K≦M<L(M:整数、N,K,L:自然数)であるときのそれぞれの優先度をP,Q,Rとするとき、優先度が高い順にR,P,Qである、
請求項8に記載の記録方法。
【請求項10】
前記領域単位ごとの記録回数Mが0≦M<N、N≦M<K、K≦M<L(M:整数、N,K,L:自然数)であるときのそれぞれの優先度をP,Q,Rとするとき、優先度が高い順にQ,P,Rである、
請求項8に記載の記録方法。
【請求項11】
前記第1領域のうち前記領域単位ごとの記録回数MがN≦M<K(M:整数、N,K:自然数)である領域への記録を禁止する、
請求項7または請求項8に記載の記録方法。
【請求項12】
前記第1領域のうち前記領域単位ごとの記録回数MがM>L(M:整数、L:自然数)である領域への記録を禁止する、
請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項13】
前記第1領域の中で予め割り当てられた、少なくとも2つの領域で前記記録条件が異なる、
請求項7から請求項12のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つの領域間で、互いの領域を足し引きすることを許容する、
請求項13に記載の記録方法。
【請求項15】
前記第1領域のうちDCイレーズ又はダミー記録された領域の前記領域単位ごとの記録回数MをM=0またはK≦M(M:整数、K:自然数)として、当該記録回数に基づく管理情報を前記第2領域に記録する、
請求項7から請求項14のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項16】
前記管理情報には、前記領域単位ごとの記録回数と記録時期を示す情報が含まれ、
前記領域単位ごとの記録回数と前記記録時期に関する情報とに基づいて前記記録条件を決定する、
請求項7から請求項15のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項17】
前記記録条件は、前記第1領域内のいずれかの領域に対して記録する際の出力条件を含む、
請求項16に記載の記録方法。
【請求項18】
前記第1領域にデータの記録を行わない期間に、前記領域単位のうち、不要なデータが記録された領域に対して、DCイレーズ又はダミー記録を行う、
請求項2から請求項17のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項19】
前記ダミー記録を行う際に、前記領域単位ごとの記録回数Mが、M≧K(M:整数、K:自然数)となるまで繰り返す、
請求項18に記載の記録方法。
【請求項20】
前記管理情報には、前記領域単位ごとの記録回数を示す情報が含まれる、
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項21】
前記管理情報には、前記領域単位ごとの記録回数に基づく優先度に関する情報が含まれる、
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項22】
相変化方式による書き換えが可能な記録媒体の記録可能な領域内にデータの記録を行うデータ記録部と、
前記領域内の所定の領域単位ごとの記録回数に基づく管理情報を記録する管理情報記録部と、
を備える記録装置。
【請求項23】
相変化方式による書き換えが可能な領域を有する記録媒体であって、
前記領域には、データの記録と前記領域内の所定の領域単位ごとの記録回数に基づく管理情報の記録が可能である、
記録媒体。
【請求項24】
相変化方式による書き換えが可能な領域を有する記録媒体であって、
前記領域は、
ファイルデータの記録が可能な第1領域と、
前記第1領域内の所定の領域単位ごとの記録回数に基づく管理情報の記録が可能な第2領域と、
を含む記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録方法、記録装置、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化方式の記録媒体は、例えば、ポリカーボネート基板上に、誘電体層、相変化記録層、誘電体層、反射冷却層、紫外線硬化樹脂からなる保護層などが積層されている。このような相変化方式の記録媒体では、相変化記録層にレーザ光を照射し、そのレーザ光のパルス出力とパルス幅に対応して照射部の相状態を、例えば結晶状態と非結晶状態との間で可逆的に移行または相転移させて情報の記録または消去を行う(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-24264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した記録媒体では、データの書き換え時に元のデータを消去せずにオーバーライトすると、ジッタ値が上昇し、ジッタ特性が悪化する現象が起きる。このジッタ特性の悪化は、例えば1回目のオーバーライト時に顕著であり、記録品質が低下する。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、記録媒体へのデータの記録品質の低下を抑制する記録方法、記録装置、及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、相変化方式による書き換えが可能な記録媒体の記録可能な領域内にデータの記録を行うと共に、前記領域内の所定の領域単位ごとの記録回数に基づく管理情報を記録する、記録方法である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記記録媒体の記録可能な領域内の第1領域に前記データとしてファイルデータの記録を行うと共に、当該領域内の第2領域に前記管理情報を記録する。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記第2領域は、前記領域の全体に対して1か所に設けられている。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記第2領域は、前記領域内の複数か所に設けられている。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記記録媒体は、書き換えが可能な複数の層を含んで構成され、前記第2領域は、複数の前記層ごとに設けられている。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記第2領域は、前記領域単位ごとに設けられている。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記管理情報に基づいて前記第1領域に記録する際の記録条件を決定する。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記記録条件は、前記第1領域内のいずれの領域に対して優先して記録するかを決定するための優先度を含む。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記領域単位ごとの記録回数Mが0≦M<N、N≦M<K、K≦M<L(M:整数、N,K,L:自然数)であるときのそれぞれの優先度をP,Q,Rとするとき、優先度が高い順にR,P,Qである。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記領域単位ごとの記録回数Mが0≦M<N、N≦M<K、K≦M<L(M:整数、N,K,L:自然数)であるときのそれぞれの優先度をP,Q,Rとするとき、優先度が高い順にQ,P,Rである。
【0016】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記第1領域のうち前記領域単位ごとの記録回数MがN≦M<K(M:整数、N,K:自然数)である領域への記録を禁止する。
【0017】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記第1領域のうち前記領域単位ごとの記録回数MがM>L(M:整数、L:自然数)である領域への記録を禁止する。
【0018】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記第1領域の中で予め割り当てられた、少なくとも2つの領域で前記記録条件が異なる。
【0019】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記少なくとも2つの領域間で、互いの領域を足し引きすることを許容する。
【0020】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記第1領域のうちDCイレーズ又はダミー記録された領域の前記領域単位ごとの記録回数MをM=0またはK≦M(M:整数、K:自然数)として、当該記録回数に基づく管理情報を前記第2領域に記録する。
【0021】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記管理情報には、前記領域単位ごとの記録回数と記録時期を示す情報が含まれ、前記領域単位ごとの記録回数と前記記録時期に関する情報とに基づいて前記記録条件を決定する。
【0022】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記記録条件は、前記第1領域内のいずれかの領域に対して記録する際の出力条件を含む。
【0023】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記第1領域にデータの記録を行わない期間に、前記領域単位のうち、不要なデータが記録された領域に対して、DCイレーズ又はダミー記録を行う。
【0024】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記ダミー記録を行う際に、前記領域単位ごとの記録回数Mが、M≧K(M:整数、K:自然数)となるまで繰り返す。
【0025】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記管理情報には、前記領域単位ごとの記録回数を示す情報が含まれる。
【0026】
また、本発明の一態様は、上記記録方法において、前記管理情報には、前記領域単位ごとの記録回数に基づく優先度に関する情報が含まれる。
【0027】
また、本発明の一態様は、相変化方式による書き換えが可能な記録媒体の記録可能な領域内にデータの記録を行うデータ記録部と、前記領域内の所定の領域単位ごとの記録回数に基づく管理情報を記録する管理情報記録部と、を備える記録装置である。
【0028】
また、本発明の一態様は、相変化方式による書き換えが可能な領域を有する記録媒体であって、前記領域には、データの記録と前記領域内の所定の領域単位ごとの記録回数に基づく管理情報の記録が可能である、記録媒体である。
【0029】
また、本発明の一態様は、相変化方式による書き換えが可能な領域を有する記録媒体であって、前記領域は、ファイルデータの記録が可能な第1領域と、前記第1領域内の所定の領域単位ごとの記録回数に基づく管理情報の記録が可能な第2領域と、を含む記録媒体である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、記録媒体へのデータの記録品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る光ディスクのデータの書き換えによるジッタ特性の一例を示す図。
図2】実施形態に係る光ディスクの管理領域の第1例を示す図。
図3】実施形態に係る光ディスクの管理領域の第2例を示す図。
図4】実施形態に係る管理情報の具体例を示す図。
図5】実施形態に係る領域単位ごとに記録回数を記録する場合のデータ例を示す図。
図6】実施形態に係る光ディスクドライブ装置の構成の一例を示すブロック図。
図7】実施形態に係る記録条件1を適用したときの記録方法の一例を示す模式図。
図8】実施形態に係る記録条件1に記録条件3を付加して適用したときの記録方法の一例を示す模式図。
図9】実施形態に係る光ディスクのデータ領域に2つの領域が設定されている例を示す図。
図10】実施形態に係る光ディスクのデータ領域に2つの領域が設定されている別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
[光ディスクの記録方法の概要]
本実施形態に係る光ディスクは、レーザ光の照射によりデータの書き換えが可能な相変化方式の記録媒体である。例えば、光ディスクは、中心に円形の穴を有する円盤状のポリカーボネート基板上に、誘電体層、相変化記録層、誘電体層、反射冷却層、紫外線硬化樹脂からなる保護層などが積層されて形成されている。この光ディスクでは、相変化記録層にレーザ光を照射し、そのレーザ光のパルス出力とパルス幅に対応して照射部の相状態を、例えば結晶状態と非結晶状態との間で可逆的に移行または相転移させて情報の記録または消去を行う。
【0033】
未記録の光ディスクは相変化記録層の全面が結晶化されており、レーザ光を照射することで一旦膜を高温にして(溶融)から急速冷却することで非結晶化させ、マークを記録する。未記録のときは全面が結晶化されているため、1回目の記録では比較的に高品質に記録できる。しかし、記録されているデータを消去せずに2回目の記録(オーバーライト)を行うと、1回目に記録したマークの消し残りが多く存在するため、ノイズが多く比較的に品質が悪くなり、ジッタ特性が悪化する。また、3回目以降記録を繰り返すと、徐々にマークの消し残りが均一化されてノイズが減り、ジッタ特性が良くなる傾向がある。
【0034】
図1は、光ディスクのデータの書き換えによるジッタ特性の一例を示す図である。この図において、縦軸がジッタ、横軸が記録回数である。なお、横軸は記録回数Mを対数で表している。光ディスクは、初期状態(記録回数0)ではデータが未記録の状態であり、1回目の記録ではジッタ値は低い。次に、1回目の記録が行われた領域を書き換えて(オーバーライトして)記録回数が2回になるとジッタ値が急激に上昇する。その後、当該領域の書き換えを繰り返すと、徐々にジッタ値は低下し、10回目の記録でほぼ下げ止まり、10回目以降は安定した記録状態でデータの書き換えを行うことができるようになる。また、記録回数が100回を超えるあたりから再びジッタ値はゆっくりと上昇しはじめ、特定の記録回数(例えば、1000回)を超えると、寿命と判断される。
【0035】
このように、1回目の記録ではジッタ値は低く問題はないが、2回目の記録でジッタ値は急激に上昇する。また、10回目の記録以降は再びジッタ値が低くなり、寿命がくるまでは安定して使用することができる。例えば、光ディスクの記録可能な領域のうち、記録回数が10回を超えている領域をアーカイブ領域として使用することで、ジッタ値の低い領域にアーカイブすることができる。
【0036】
本実施形態では、光ディスクへのデータの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えるために、光ディスクの記録可能な領域内の所定の領域単位ごとの記録回数に基づいて、データを記録する際の記録条件を決定する。例えば、所定の領域単位とは、セクタである。本実施形態係る光ディスクドライブ装置は、セクタごとの記録回数を管理情報として光ディスクに記録し、この管理情報に基づいてデータを記録する際の記録条件を決定する。なお、本実施形態では、所定の領域単位がセクタである例を用いて説明するが、これに限定されるものではなく、クラスタや、トラックなどを所定の領域単位としてもよい。
【0037】
なお、以下の記載において、光ディスクの記録可能な領域のうち、光ディスクに保存するファイルのデータ(以下、「ファイルデータ」とも称する)を記録する領域を「データ領域」と称する。光ディスクに保存するファイルとは、例えば光ディスクドライブ装置を使用するユーザが光ディスクへ保存したいファイルのことを指す。また、光ディスクへのファイルデータの記録に伴って、光ディスクドライブ装置が上記管理情報を記録する領域を「管理領域」と称する。例えば、「データ領域」及び「管理領域」は、「JIS X 6232(対応国際規格ISO/IEC 30192)」、「JIS X 6233(対応国際規格ISO/IEC 30193)」などで規定されている光ディスクの記録フォーマットのユーザ領域内に設けられている。
【0038】
(管理領域の配置例)
次に、セクタごとの記録回数を記録する管理領域の設ける箇所について説明する。
図2は、光ディスクの管理領域の第1例を示す図である。第1例は、ユーザ領域全体に対して1か所に管理領域が設けられている例である。図2(A)は、光ディスク20の断面を示している。光ディスク20はレイヤ0、レイヤ1、及びレイヤ2の3層構造である。ユーザ領域は、レイヤ0の内周から外周、レイヤ1の外周から内周へ、そしてレイヤ2の内周から外周へと続く一連の領域である。例えば、セクタごとの記録回数を記録する管理領域は、このユーザ領域全体に対して1か所に設けられている。図示する例では、レイヤ0の内周側に管理領域が設けられている。図2(B)は、図2(A)に示す光ディスク20全体でのユーザ領域をレイヤ0の内周からレイヤ2の外周まで一続きの領域としてイメージ化して表している。レイヤ0の内周側に設けられた管理領域は、ユーザ領域の先頭に相当する。すなわち、この第1例では、ユーザ領域全体の先頭に管理領域が設けられている。
【0039】
なお、第1例では、ユーザ領域全体に対して1か所に設けられている管理領域が、ユーザ領域全体の先頭に設けられている例を説明したが、ユーザ領域全体の最後に設けられてもよい。また、管理領域は、ユーザ領域全体の先頭または先頭に近いところに設けられてもよいし、最後または最後に近いところに設けられてもよい。
【0040】
図3は、光ディスクの管理領域の第2例を示す図である。第2例は、レイヤごとに管理領域が設けられている例である。図3(A)は、光ディスク20の断面を示している。図2(A)と同様に、光ディスク20はレイヤ0、レイヤ1、及びレイヤ2の3層構造である。また、ユーザ領域は、レイヤ0の内周から外周、レイヤ1の外周から内周へ、そしてレイヤ2の内周から外周へと続く一連の領域である。例えば、セクタごとの記録回数を記録する管理領域は、各レイヤのユーザ領域の内周側に1か所ずつ合計3か所に設けられている。図3(B)は、図3(A)に示す光ディスク20全体でのユーザ領域をレイヤ0の内周からレイヤ2の外周まで一続きの領域としてイメージ化して表している。管理領域は、レイヤ0の内周側、レイヤ1の内周側、及びレイヤ2の内周側にそれぞれ設けられている。
【0041】
なお、第2例では、レイヤごとに1か所に設けられている管理領域が、各レイヤの内周側に設けられている例を説明したが、外周側に設けられてもよい。また、管理領域が、各レイヤの内周側に設けられている例を説明したが、外周側に設けられてもよい。または、管理領域が、レイヤごとに複数か所(例えば、レイヤごとに内周側と外周側のそれぞれ1か所)に設けられてもよい。
【0042】
(管理領域の具体例)
次に、管理情報の具体例を説明する。セクタごとの記録回数を管理情報として記録する際には、記録回数とその領域とが関連付けられる。このとき、記録回数ごとに該当領域(例えば、セクタ)が関連付けられてもよいし、領域(例えば、セクタ)ごとに記録回数が関連付けられてもよい。以下、図4を参照して説明する。
【0043】
図4は、本実施形態に係る管理情報の具体例を示す図である。図4(A)は、あるデータ領域の記録状態(各領域の記録回数)の一例を示している。この図において、L0、L1、L2のそれぞれは、レイヤ0、レイヤ1、レイヤ2を示す。L0sとL0eは、レイヤ0のデータ領域の開始アドレスと終了アドレスを示す。L1sとL1eは、レイヤ1のデータ領域の開始アドレスと終了アドレスを示す。L2sとL2eは、レイヤ2のデータ領域の開始アドレスと終了アドレスを示す。また、a及びbは、レイヤ0のデータ領域内の特定のアドレスを示す。c及びdは、レイヤ1のデータ領域内の特定のアドレスを示す。e及びfは、レイヤ2のデータ領域内の特定のアドレスを示す。図4(A)に示す記録状態の例では、レイヤ0のa~bのデータ領域の記録回数MがM=1、レイヤ1のc~dのデータ領域の記録回数MがM=1000、レイヤ2のe~fのデータ領域の記録回数MがM=2であり、それ以外のデータ領域の記録回数MがM=0である。
【0044】
図4(B)は、図4(A)に示すデータ領域の記録状態における管理情報の第1例を示している。この第1例の管理情報は、記録回数ごとに該当領域(例えば、セクタ)が関連付けられる例である。図示するように、管理情報には、記録回数と領域アドレスとが関連付けられている。領域アドレスは、データ領域内の位置を特定する情報であり、一例としてセクタのアドレスである。
【0045】
図4(B)に示す管理情報では、記録回数「M=0」に対して、記録回数が0回のデータ領域のアドレスとして「L0s~a、b~L0e、L1s~c、d~L1e、L2s~e、f~L2e」が関連付けられている。記録回数「M=1」に対しては、記録回数が1回のデータ領域のアドレスとして「a~b」が関連付けられている。記録回数「M=2」に対しては、記録回数が1回のデータ領域のアドレスとして「e~f」が関連付けられている。記録回数「M=3」に対しては、該当する領域(セクタ)がないためNullが関連付けられている。記録回数「M=L(例えば、1000)」に対しては、記録回数が1000回のデータ領域のアドレスとして「c~d」が関連付けられている。
【0046】
このように、記録回数ごとに該当領域(例えば、セクタ)が関連付けられる場合には、該当する領域がない記録回数の情報も含めて上限の記録回数までのすべての情報(例えば、L=1000の場合には1001個の情報)を記録する必要はあるが、記録回数から該当領域を探索するのが容易であるという利点がある。
【0047】
図4(C)は、図4(A)に示すデータ領域の記録状態における管理情報の第2例を示している。この第2例の管理情報は、領域(例えば、セクタ)ごとに記録回数が関連付けられる例である。図示するように、管理情報には、領域アドレスと記録回数とが関連付けられている。
【0048】
図4(C)に示す管理情報では、領域アドレス「L0s~a」には記録回数「M=0」、領域アドレス「a~b」には記録回数「M=1」、領域アドレス「b~L0e」には記録回数「M=0」、領域アドレス「L1s~c」には記録回数「M=0」、領域アドレス「c~d」には記録回数「M=1000」、領域アドレス「d~L1e」には記録回数「M=0」、領域アドレス「L2s~e」には記録回数「M=0」、領域アドレス「e~f」には記録回数「M=2」、領域アドレス「f~L2e」には記録回数「M=0」がそれぞれ関連付けられている。
【0049】
このように、領域(例えば、セクタ)ごとに記録回数が関連付けられる場合には、記録回数から該当領域を探索する際にすべてに領域で記録回数によるソート処理がひつようになるが、記録するたびに情報を追加していけばよいため情報量が少なくて済むという利点がある。
【0050】
なお、記録回数は、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとに記録されてもよい。
図5は、領域単位ごとに記録回数を記録する場合のデータ例を示す図である。図5(A)は、各セクタのヘッダ情報(アドレス・制御情報)の一部に、そのセクタの記録回数を記録する際のデータ例を示している。一方、図5(B)は、各セクタのデータ(ファイルデータ)の一部に、そのセクタの記録回数を付加して記録する際のデータ例を示している。なお、光ディスク20の種類によってヘッダ情報とデータとがセクタ内でばらばらに存在している構成の場合でも、その中のいずれかのヘッダ情報の一部として又はセクタ内に付加して記録回数が記録されてもよい。すなわち、領域単位(例えば、セクタ)ごとに管理領域が設けられてもよい。
【0051】
また、図2図3、及び図5などを参照して、記録回数を記録する管理領域が設けられている位置の例を説明したが、これらの位置の例に限定されるものではなく、光ディスク20の記録可能な領域の中のいずれの位置であってもよい。また、記録回数を記録する管理領域は、記録回数を記録する専用の領域であってもよいし、既存の他の情報の少なくとも一部を記録するための領域を利用してもよい。例えば、記録日時を記録するための領域のうち記録時間を記録する領域を、記録回数を記録する領域として利用してもよい。
【0052】
[光ディスクドライブ装置の構成]
図6は、本実施形態に係る光ディスクドライブ装置の構成の一例を示すブロック図である。図示する光ディスクドライブ装置10は、通信部110と、ディスクドライブ120と、記憶部130と、制御部140とを備えている。通信部110は、光ディスクドライブ装置10に接続されるパーソナルコンピュータなどの外部機器(不図示)と接続され、光ディスクに記録するファイルデータの受信や、光ディスクから読み出したファイルデータの送信などを行う。
【0053】
ディスクドライブ120は、光ディスク20を載置するためのターンテーブルを有し、ターンテーブルに載置された光ディスク20に対して記録または読み出しを行う。例えば、ディスクドライブ120は、光ピックアップ(OPU;Optical Pick Up)、ターンテーブルに載置された光ディスク20を回転させるためのスピンドルモーター、及び各部を制御するドライブ制御部などを備えている。光ピックアップは、レーザ光を光ディスク20に対して照射し、かつ光ディスク20からの反射光を受光する。ドライブ制御部は、スピンドルモーターの回転を制御することにより、挿入された光ディスク20の回転を制御するとともに、光ピックアップを光ディスク20の半径方向へ変位させながらレーザの発光を制御する。記録時には、ドライブ制御部は、回転させた光ディスクに光ピックアップからレーザ光を照射してファイルデータや管理情報などを書き込む。読み出し時には、ドライブ制御部は、回転させた光ディスク20に光ピックアップからレーザ光を照射し、反射した光を光ピックアップで受光し、ファイルデータや管理情報などを読み取る。
【0054】
記憶部130は、記録条件記憶部131と、領域設定記憶部132とを備えている。記録条件記憶部131は、セクタごとの記録回数に基づいてデータを記録する際の記録条件に関する情報が記憶されている。例えば、記録条件としては、セクタごとの記録回数に応じてどのセクタに優先的に記録するかといった優先度の情報や記録を禁止するセクタの情報、或いは光ディスクに照射するレーザ光の出力条件などが含まれる。
【0055】
領域設定記憶部132は、光ディスク20の記録領域に関する設定情報が記憶されている。例えば、領域設定記憶部132は、ファイルデータを記録するデータ領域、管理情報を記録する管理領域が設けられている場所についての設定情報が記憶されている。また、領域設定記憶部132は、データ領域のうちリライタブル領域とアーカイブ領域とのそれぞれの場所についての設定情報が記憶されている。
【0056】
制御部140は、記録制御部141と、読み出し制御部142と、領域設定部143とを備えている。
【0057】
記録制御部141は、光ディスク20の記録可能な領域内にデータの記録を行うデータ記録部としての機能を有する。例えば、記録制御部141は、通信部110を介して外部機器から送信された光ディスク20へ記録するファイルのファイルデータをデータ領域に記録する。また、記録制御部141は、セクタごとの記録回数に基づく管理情報を管理領域に記録する。管理情報とは、例えばセクタごとの記録回数を示す情報である。記録制御部141は、この管理情報に基づいて、記録条件記憶部131に記憶されている記録条件を参照して、データを記録する際の記録条件を決定する。そして、記録制御部141は、決定した記録条件に従ってデータの記録を行う。また、記録制御部141は、データを記録したセクタの記録回数をカウントアップして管理情報を更新する(書き換える)。
【0058】
読み出し制御部142は、光ディスク20に記録されているファイルデータや管理情報を読み出す。
領域設定部143は、光ディスク20の記録領域に関する設定情報を設定する。例えば、は、領域設定部143は、データ領域のうちリライタブル領域とするデータ領域と、アーカイブ領域とするデータ領域を設定し、設定情報を領域設定記憶部132に記憶させる。
【0059】
[記録条件の具体例]
次に、セクタごとの記録回数に基づく記録条件の具体例を説明する。
(記録条件1)
記録条件1は、セクタごとの記録回数Mが0≦M<N、N≦M<K、K≦M<L(M:整数、N,K,L:自然数)であるときのそれぞれの優先度をP,Q,Rとするとき、優先度が高い順にR,P,Qとなる条件である。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるN、K、Lのそれぞれを、N=1、K=10、L=1000とする。すなわち、この例による記録条件1では、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが10以上1000未満のセクタへの記録を最も優先し、その次に記録回数Mが0のセクタへの記録を優先し、記録回数Mが1以上10未満のセクタへの記録は優先度を下げる。なお、記録回数Mが1以上10未満のセクタの中でも、回数が少ない程ジッタ特性が悪くなる。そのため、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが1以上10未満のセクタの中でも、より回数が多いセクタに対して優先的に記録してもよい。
【0060】
図7は、記録条件1を適用したときの記録方法の一例を示す模式図である。ここでは、記録条件1として、セクタごとの記録回数による優先度(優先順位)が「10回以上(1000回未満)>0回>9回>8回>7回>6回>5回>4回>3回>2回>1回」として設定されている。以下、記録条件1を適用したときの記録方法について、(1)~(8)の順にどの領域への記録が優先されるか説明する。なお、この図では、データ領域の一部を模式的に表している。
【0061】
(1)初期状態のデータ領域の記録回数Mは0であるため、最初の記録が行われると、記録されたデータ領域R1の記録回数Mは1となる。光ディスクドライブ装置10は、記録されたデータ領域R1内のセクタの記録回数Mが1になるように管理情報を更新する。残りのデータ領域R2内のセクタの記録回数Mは0のままである。
【0062】
(2)上記(1)の記録状態においてデータを追記する場合、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが0のデータ領域((1)のデータ領域R1)に追記する。光ディスクドライブ装置10は、追記したデータ領域R3内のセクタの記録回数Mが1になるように管理情報を更新する。残りのデータ領域R4内のセクタの記録回数Mは0のままである。
【0063】
(3)上記(2)の記録状態において記録データの一部を書き換える場合、光ディスクドライブ装置10は、書き換え先のデータ領域として、記録回数Mが1の領域より記録回数Mが0の領域を優先する。例えば、光ディスクドライブ装置10は、データ領域R5に記録されているデータを記録回数Mが0のデータ領域((2)のデータ領域R4)の一部に書き換える。光ディスクドライブ装置10は、書き換えたデータ領域R6内のセクタの記録回数Mが1になるように管理情報を更新する。残りのデータ領域R7内のセクタの記録回数Mは0のままである。なお、この記録データの書き換えにより、記録回数Mが1のデータ領域R5は、データは残っているが上書きが可能な空き領域となる。
【0064】
(4)上記(3)の記録状態においてデータを追記する場合、光ディスクドライブ装置10は、追記するデータ領域として、記録回数Mが1の領域より記録回数Mが0の領域を優先する。例えば、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが0のデータ領域((3)のデータ領域R7)の一部にデータを追記する。光ディスクドライブ装置10は、追記したデータ領域R8内のセクタの記録回数Mが1になるように管理情報を更新する。残りのデータ領域R9内のセクタの記録回数Mは0のままである。
【0065】
(5)上記(4)の記録状態においてデータを追記する場合、光ディスクドライブ装置10は、追記するデータ領域として、記録回数Mが1の領域より記録回数Mが0の領域を優先する。例えば、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが0のデータ領域((4)のデータ領域R9)にデータを追記する。光ディスクドライブ装置10は、追記したデータ領域R9内のセクタの記録回数Mが1になるように管理情報を更新する。なお、ここでは、データ領域R9内のすべてのセクタにデータが記録され、記録回数Mが0のデータ領域が残っていない例を示している。
【0066】
(6)上記(5)の記録状態においてデータを追記する場合、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが0のデータ領域が残っていないため、追記するデータ領域として、記録回数Mが1の空き領域((5)のデータ領域R5)を選択して上書きする。光ディスクドライブ装置10は、上書きしたデータ領域R5内のセクタの記録回数Mが2になるように管理情報を更新する。
【0067】
(7)上記(6)の記録状態において記録データの一部を消去する場合、光ディスクドライブ装置10は、消去するデータ領域を、データは残っているが上書きが可能な空き領域とする。例えば、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが2のデータ領域R5とR10記録回数Mが1のデータ領域R10を消去したとする。消去したデータ領域R5は、データは残っているが上書きが可能な空き領域となりセクタの記録回数Mは2のままである。また、消去したデータ領域R10は、データは残っているが上書きが可能な空き領域となりセクタの記録回数Mは1のままである。
【0068】
(8)上記(7)の記録状態においてデータを追記する場合、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが1の領域より記録回数Mが2の領域を優先する。例えば、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが1の空き領域R10よりも記録回数Mが2の空き領域R5に上書きする。光ディスクドライブ装置10は、上書きしたデータ領域R5内のセクタの記録回数Mが3になるように管理情報を更新する。
【0069】
このように、光ディスクドライブ装置10は、セクタごとの記録回数による優先度(優先順位)「10回以上>0回>9回>8回>・・・>2回>1回」に従って、データの記録を行う。この記録条件1による記録方法は、ジッタ特性が悪くなるセクタは、なるべく記録しないようにすることを目的とした記録方法である。
【0070】
(記録条件2)
記録条件2は、記録条件1とは逆に、ジッタ特性が悪くなるセクタを優先的に記録するデータ領域として使用することで、記録回数が10回以上のジッタ特性の良好なデータ領域を積極的に増やすことを目的とした記録条件である。例えば、記録条件2は、セクタごとの記録回数Mが0≦M<N、N≦M<K、K≦M<L(M:整数、N,K,L:自然数)であるときのそれぞれの優先度をP,Q,Rとするとき、優先度が高い順にQ,P,Rとなる条件である。
【0071】
一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるN、K、Lのそれぞれを、N=1、K=10、L=1000とする。すなわち、この例による記録条件2では、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが1以上10未満のセクタへの記録を最も優先し、その次に記録回数Mが0のセクタへの記録を優先し、記録回数Mが10以上1000未満のセクタへの記録は優先度を下げる。なお、記録回数Mが1以上10未満のセクタの中でも、回数が少ない程ジッタ特性が悪くなる。そのため、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが1以上10未満のセクタの中でも、より回数が少ないセクタに対して優先的に記録して、記録回数が増えるようにしてもよい。例えば、記録条件2として、セクタごとの記録回数による優先度(優先順位)が「1回>2回>3回>4回>5回>6回>7回>8回>9回>0回>10回以上(1000回未満)」と設定されてもよい。
【0072】
(記録条件3)
記録条件3は、データの追記時にDCイレーズが可能な場合の条件の一例である。光ディスクドライブ装置10は、データを追記する際に、追記先のデータ領域を事前にDCイレーズし、DCイレーズした領域のセクタごとの記録回数MがM=0になるように管理情報を更新する。DCイレーズでは、レーザ光を相変化記録層に照射することにより一旦膜を高温(マークの記録時よりは低温)にしてから徐冷することで再結晶化させる(結晶だった部分も再結晶化)。そのため、DCイレーズした領域は、初期状態と同様にマークの無い結晶化された状態になるため、記録回数Mを0とすることができる。例えば、記録条件1をベースに、この記録条件3を付加してもよい。
【0073】
図8は、記録条件1に記録条件3を付加して適用したときの記録方法の一例を示す模式図である。ここでは、図7に示す例と同様に、セクタごとの記録回数による優先度(優先順位)が「10回以上(1000回未満)>0回>9回>8回>7回>6回>5回>4回>3回>2回>1回」として設定されている。(1)~(5)までの処理は、図7と同様であるため、その説明を省略する。(6)において、データを追記する際に事前にDCイレーズするイレーズ処理が行われる。
【0074】
(6)光ディスクドライブ装置10は、データを追記する際に事前にイレーズ処理を実行する。例えば、光ディスクドライブ装置10は、(5)の記録状態において空き領域であるデータ領域R5にデータを追記する場合、まずデータ領域R5をDCイレーズする。このとき、光ディスクドライブ装置10は、データ領域R5のうち追記するのに必要なデータの分の領域のみをDCイレーズしてもよいし、追記するデータの分よりもデータ領域R5が大きい場合でもデータ領域R5のすべてをDCイレーズしてもよい。ここでは、データ領域R5のすべてをDCイレーズしている例を示している。この場合、データ領域R5は初期状態(1回も記録されていない状態)と同様の状態として扱うことができる。光ディスクドライブ装置10は、データ領域R5内のセクタの記録回数Mが0になるように管理情報を更新する。
【0075】
(7)光ディスクドライブ装置10は、上記(6)で事前にDCイレーズした記録回数Mが0のデータ領域((6)のデータ領域R5)の一部にデータを追記する。光ディスクドライブ装置10は、追記したデータ領域R51内のセクタの記録回数Mが1になるように管理情報を更新する。なお、データ領域R5のうちデータ領域R51以外のデータ領域R52にはデータが追記されていない。そのため、データ領域R52内のセクタの記録回数Mは0のままである。
【0076】
(8)上記(7)の記録状態において記録データの一部を消去する。ここでの消去とは、上記(6)のDCイレーズとは異なり、データは残っているが上書きが可能な空き領域とするものである。例えば、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが1のデータ領域R11に記録されているデータを消去したとする。消去したデータ領域R11内のセクタの記録回数Mは1のままである。
【0077】
(9)上記(8)の記録状態においてデータを追記する場合、光ディスクドライブ装置10は、追記するデータ領域として、記録回数Mが1の領域より記録回数Mが0の領域を優先する。例えば、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが1のデータ領域R11よりも記録回数Mが0のデータ領域((8)のデータ領域R52)を優先してデータを追記する。光ディスクドライブ装置10は、追記したデータ領域R52内のセクタの記録回数Mが1になるように管理情報を更新する。
【0078】
なお、記録条件3では、データを追記する際にイレーズ処理(DCイレーズ)をしてから追記する例を説明したが、イレーズ処理の分だけ時間が必要なる。追記するデータ量が多くなるとDCイレーズするデータ量が多くなり、記録にかかる処理時間が増加する。そこで、光ディスクドライブ装置10は、データ領域にデータの記録を行わない期間に、消去したデータ領域(データは残っているが上書きが可能な空き領域、すなわち、不要なデータが記録された領域)に対して、予めDCイレーズを行ってもよい。これにより、光ディスクドライブ装置10は、DCイレーズしてからデータを記録する場合であっても、記録時間が増加してしまうことを抑制することができる。
【0079】
また、光ディスクドライブ装置10は、DCイレーズに代えて、ダミー記録をおこなってもよい。ダミー記録は、例えば、通常の記録(オーバーライト)を複数回(例えば、10回程度)繰り返す記録方法である。例えば、光ディスクドライブ装置10は、ダミー記録を行う際に、セクタごとの記録回数MがK≦M(M:整数、K自然数)となるまで繰り返してもよい。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるKを、K=10とする。すなわち、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが10以上になるまでダミー記録を繰り返すことで、マークの消し残りが均一化されてノイズが減り、ジッタ特性が良好な状態にすることができる。このダミー記録の場合には、DCイレーズした領域のように初期状態(マークの無い結晶化された状態)とは異なる。そのため、光ディスクドライブ装置10は、DCイレーズの場合のように記録回数Mを0にしないで、ダミー記録により記録した回数をそのまま管理情報として更新する。
【0080】
また、ダミー記録は、高周波変調記録としてもよい。高周波変調記録は、レーザ光を照射した部分がすべてマークとなるような記録であり、この後に、通常の記録(オーバーライト)が行われた場合、高周波変調記録で記録した部分の消し残りが少なくなり、比較的に高品質に記録できる。
【0081】
(記録条件4)
記録条件4は、光ディスク20の書き換えの寿命に関する条件である。具体的には、記録条件4では、データ領域のうちセクタごとの記録回数MがM>L(M:整数、L:自然数)である領域への記録を禁止する。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるLを、L=1000とする。すなわち、この例による記録条件4では、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが1000以上のジッタ特性が悪くなるセクタへの記録を禁止する。これにより、光ディスクドライブ装置10は、寿命がきたデータ領域には記録しないようにすることができる。
【0082】
なお、データ領域のうちセクタごとの記録回数MがM>L(例えば、1000)である領域への記録を禁止するのに代えて、当該セクタへの記録の優先度(優先順位を)を最も低くしてもよい。このように、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが10以上1000未満のセクタへの記録を最も優先するが、記録回数Mが1000以上のセクタは、寿命に到達したセクタであるため、記録を禁止してもよい。
【0083】
(記録条件5)
記録条件5は、光ディスク20のアーカイブ利用に関する条件である。具体的には、記録条件5では、データ領域のうちセクタごとの記録回数MがN≦M<K(M:整数、N,K:自然数)である領域への記録を禁止する。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるN、Kのそれぞれを、N=1、K=10とする。すなわち、この例による記録条件5では、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが1以上10未満のジッタ特性が悪くなるセクタへの記録を禁止する。これにより、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが10以上1000未満のセクタまたは記録回数Mが0のセクタへの記録を優先するため、ジッタ特性が良好な記録を行うことができ、アーカイブ利用に好適である。つまり、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが10以上1000未満のセクタ及び記録回数Mが0のセクタのうちの一部または全部を、アーカイブ領域としてもよい。
【0084】
(記録条件6)
記録条件6は、データ領域の中の領域によって異なる記録条件を適用する例である。記録条件6では、データ領域の中で予め割り当てられた少なくとも2つの領域で記録条件が異なる。例えば、アーカイブ領域とリライタブル領域とで異なる記録条件とする。具体的には、アーカイブ領域では、データ領域のうちセクタごとの記録回数MがN≦M(M:整数、N,K:自然数)である領域への記録を禁止する。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるNを、N=1とする。すなわち、この例による記録条件6では、光ディスクドライブ装置10は、アーカイブ領域では記録回数Mが1以上のセクタへの記録を禁止する。つまり、光ディスクドライブ装置10は、アーカイブ領域では、1回のみ記録を許可することで、ジッタ特性が良好な記録を行うことができ、アーカイブ利用に好適である。一方、リライタブル領域では、上述した記録条件1~4のいずれか一つ又は複数を適用する。
【0085】
また、リライタブル領域のうちセクタごとの記録回数MがK≦M<L(M:整数、N,K,L:自然数)となった領域を、リライタブル領域から除きアーカイブ領域に足してもよい。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるK、Lのそれぞれを、K=10、L=1000とする。すなわち、光ディスクドライブ装置10は、リライタブル領域のうち記録回数Mが10以上となった領域を、リライタブル領域からアーカイブ領域に変更してもよい。記録回数Mが10以上となった領域は、ジッタ特性が良好であるため、アーカイブ利用に好適である。
【0086】
なお、光ディスクドライブ装置10は、アーカイブ領域の一部をリライタブル領域に変更してもよい。例えば、アーカイブ領域に1回目の記録として書かれたデータの一部が不要になった場合、上書き可能な領域として開放されるが、アーカイブ領域のままでは2回目の記録は許可されない。この領域をリライタブル領域に変更する事で、上書きして利用する事が可能になる。また、リライタブル領域の中で、記録回数が進んで記録回数MがK≦M(例えば、K=10)となり、かつ不要になった上書き可能な領域をアーカイブ領域に変更する事で、アーカイブに適した領域を確保することもできる。このように、光ディスクドライブ装置10は、リライタブル領域とアーカイブ領域の間で、互いの領域を足し引きすることを許容する。なお、光ディスクドライブ装置10は、リライタブル領域とアーカイブ領域とそれ以外の領域との間で、互いの領域を足し引きすることを許容してもよい。すなわち、光ディスクドライブ装置10は、少なくとも2つの領域間で、互いの領域を足し引きすることを許容してもよい。例えば、最初は予備としてアーカイブ領域とリライタブル領域とは別の予備領域を設定しておき、アーカイブ領域とリライタブル領域とのどちらかが足りなくなった時に、足りなくなった領域に予備領域を追加の領域として設定する。光ディスクドライブ装置10は、ドライブの空き時間に予備領域に対してダミー記録を行うことで、予備領域内でK≦M(例えば、K=10)となる領域を増やしていくようにしてもよい。
【0087】
図9は、光ディスク20のデータ領域に2つの領域(アーカイブ領域とリライタブル領域)が設定されている例を示す図である。この図9に示す例では、光ディスク20は、図2に示すようにユーザ領域全体に対して1か所に管理領域が設けられており、ユーザ領域全体を所定の比率でアーカイブ領域とリライタブル領域とに分けられている。図9(A)は、光ディスク20の断面を示している。レイヤ0、レイヤ1、及びレイヤ2の途中(全体に対する比率で決まる位置)までがアーカイブ領域に設定され、残りがリライタブル領域に設定されている。図9(B)は、図9(A)に示す光ディスク20全体でのユーザ領域をレイヤ0の内周からレイヤ2の外周まで一続きの領域としてイメージ化して表している。レイヤ0の内周側に管理領域が設けられ、当該管理領域を除くレイヤ0の内周からレイヤ2の外周の途中までがアーカイブ領域に設定され、残りがリライタブル領域に設定されている。すなわち、光ディスク20のユーザ領域は、所定の比率でアーカイブ領域とリライタブル領域との2つの領域に分けられている。
【0088】
図10は、光ディスク20のデータ領域に2つの領域(アーカイブ領域とリライタブル領域)が設定されている別の例を示す図である。この図10に示す例では、図3に示すようにレイヤごとに管理領域が設けられており、光ディスク20の中心からの半径値で内側の領域と外側に領域とに分けられている。図10(A)は、光ディスク20の断面を示している。レイヤ0、レイヤ1、及びレイヤ2のいずれも光ディスク20の中心から所定の半径値の内側がアーカイブ領域に設定され、所定の半径値の外側がリライタブル領域に設定されている。すなわち、光ディスク20のユーザ領域は、中心からの所定の半径値でアーカイブ領域とリライタブル領域との2つの領域に分けられている。図10(B)は、図10(A)に示す光ディスク20全体でのユーザ領域をレイヤ0の内周からレイヤ2の外周まで一続きの領域としてイメージ化して表している。
【0089】
(記録条件7)
記録条件7は、データを記録する際の出力条件を含む。出力条件とは、例えば、光ディスク20に照射するレーザ光の出力強度である。例えば、光ディスクドライブ装置10は、データ領域にファイルデータを記録するとともに、管理領域にセクタごとの記録回数と記録時期に関する情報とを記録する。すなわち、管理情報には、記録回数に加えて記録時期を示す情報が含まれる。また、光ディスクドライブ装置10は、データ領域にファイルデータを記録する際に、記録する領域に以前データが記録されたときの記録時期に応じて出力条件を変更する。具体的には、光ディスクドライブ装置10は、記録時期が所定の時期より前である場合、当該所定の時期より後である場合の通常の出力強度よりも高い出力強度とする。なお、記録する領域については、前述した記録条件1~6のいずれかに従って決定される。このように、記録条件7では、セクタごとの記録回数と記録時期に関する情報とに基づいて出力条件が決定される。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係る光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20(相変化方式による書き換えが可能な記録媒体の一例)の記録可能な領域内にデータの記録を行うと共に、上記領域内の所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づく管理情報を記録する。これにより、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20への記録を所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づいて管理することができるため、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることができる。
【0091】
例えば、管理情報には、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数を示す情報が含まれる。これにより、光ディスクドライブ装置10は、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数を光ディスク20に記録することができるとともに読み出すことができる。よって、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20へのデータの記録品質の低下を抑制することができる。
【0092】
また、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20の記録可能な領域内のデータ領域(第1領域の一例)に上記データとしてファイルデータの記録を行うと共に、当該領域内の管理領域(第2領域の一例)に上記管理情報を記録する。これにより、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20への記録を所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づいて管理することができるため、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることができる。
【0093】
例えば、管理領域は、ユーザ領域の全体に対して1か所に設けられてもよい。これにより、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20のデータ領域全体を対象として所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数を読み出す場合に、特定の箇所のみ読み出せば良いため、読み出しが簡単であり、読み出し時間も少なくて済む。
【0094】
また、管理領域は、ユーザ領域内の複数か所に設けられてもよい。この場合、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20のデータ領域の一部の管理情報を読み出すときには、複数の管理領域のうちの一部の管理領域のみを読み出しの対象とすればよいため、読み出しが簡単であり、読み出し時間も少なくて済む。
【0095】
例えば、光ディスク20は、書き換えが可能な複数の層(例えば、レイヤ0、レイヤ1、レイヤ2)を含んで構成され、管理領域が複数の層ごとに設けられてもよい。この場合、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20のデータ領域の一部の層の管理情報のみを読み出すときには、複数の層ごとに設けられている管理領域のうちの該当する層の管理領域のみを読み出しの対象とすればよいため、読み出しが簡単であり、読み出し時間も少なくて済む。
【0096】
また、管理領域は、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとに設けられてもよい。この場合、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20のデータ領域の一部のセクタのみを読み出すときには、読み出しの対象となる該当する層の管理領域のみを読み出しの対象とすればよいため、読み出しが簡単であり、読み出し時間も少なくて済む。
【0097】
また、光ディスクドライブ装置10は、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づく管理情報に基づいてデータ領域に記録する際の記録条件を決定する。これにより、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20へ記録する際に、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づく記録条件で記録することができるため、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることができる。
【0098】
例えば、上記記録条件は、データ領域内のいずれの領域に対して優先して記録するかを決定するための優先度を含む。これにより、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20へ記録する際に、記録回数に基づいてどの領域を優先して記録するかを決めることができるため、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることができる。
【0099】
一例として、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数Mが0≦M<N、N≦M<K、K≦M<L(M:整数、N,K,L:自然数)であるときのそれぞれの優先度をP,Q,Rとするとき、優先度が高い順にR,P,Qである(記録条件1)。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるN、K、Lのそれぞれを、N=1、K=10、L=1000とする。これにより、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20へ記録する際に、ジッタ特性の良い領域を優先して記録することができるため、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることができる。
【0100】
また、別の例として、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数Mが0≦M<N、N≦M<K、K≦M<L(M:整数、N,K,L:自然数)であるときのそれぞれの優先度をP,Q,Rとするとき、優先度が高い順にQ,P,Rである(記録条件2)。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるN、K、Lのそれぞれを、N=1、K=10、L=1000とする。これにより、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20へ記録する際に、ジッタ特性の悪い領域を優先して記録することによりジッタ特性の良い領域を積極的に増やすため、最終的にはジッタ特性の良い領域が増えることとなり、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることができる。
【0101】
また、光ディスクドライブ装置10は、データ領域のうち所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数MがN≦M<K(M:整数、N,K:自然数)である領域への記録を禁止してもよい(記録条件5)。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるN、Kのそれぞれを、N=1、K=10とする。これにより、光ディスクドライブ装置10は、ジッタ特性の悪い領域への記録を禁止することによりジッタ特性の良い領域を優先して記録することができるため、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることができる。
【0102】
また、光ディスクドライブ装置10は、データ領域のうち所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数MがM>L(M:整数、L:自然数)である領域への記録を禁止してもよい(記録条件4)。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるLを、L=1000とする。これにより、光ディスクドライブ装置10は、寿命がきたデータ領域には記録しないため、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることができる。
【0103】
光ディスク20は、データ領域の中で予め割り当てられた、少なくとも2つの領域(例えば、アーカイブ領域とリライタブル領域)で記録条件が異なる(記録条件6)。これにより、光ディスクドライブ装置10は、例えば、アーカイブ領域では1回のみ記録を許可し、リライタブル領域では他の記録条件とすることで、一つのディスクでアーカイブ利用にもリライタブルも好適な記録を実現することができる。
【0104】
また、上記少なくとも2つの領域(例えば、アーカイブ領域とリライタブル領域)間で、互いの領域を足し引きすることを許容する。これにより、光ディスクドライブ装置10は、光ディスク20への記録が継続的に行われていく中で、アーカイブ領域とリライタブル領域を最適化することができる。
【0105】
また、光ディスクドライブ装置10は、データ領域のうちDCイレーズ又はダミー記録された領域の所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数MをM=0またはK≦M(M:整数、K:自然数)として、当該記録回数に基づく管理情報を管理領域に記録してもよい(記録条件3)。これにより、光ディスクドライブ装置10は、ジッタ特性の悪い領域もDCイレーズ又はダミー記録を行うことで、1回目の記録(ジッタ特性の良い記録)として扱うことが可能である。
【0106】
また、光ディスクドライブ装置10は、データ領域にデータの記録を行わない期間に、所定の領域単位(例えば、セクタ)のうち、不要なデータが記録された領域に対して、DCイレーズ又はダミー記録を行ってもよい。これにより、光ディスクドライブ装置10は、DCイレーズ又はダミー記録を行ってからデータを記録する場合であっても、記録時間が増加してしまうことを抑制することができる。
【0107】
また、光ディスクドライブ装置10は、ダミー記録を行う際に、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数Mが、M≧K(M:整数、K:自然数)となるまで繰り返してもよい。一例として、図1に示すジッタ特性の例の場合、上記の条件におけるKを、K=10とする。これにより、光ディスクドライブ装置10は、記録回数Mが10以上になるまでダミー記録を繰り返すことで、マークの消し残りが均一化されてノイズが減り、ジッタ特性が良好な状態にすることができる。
【0108】
また、管理情報には、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数と記録時期を示す情報が含まれてもよい。そして、光ディスクドライブ装置10は、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数と記録時期に関する情報とに基づいて記録条件を決定してもよい。これにより、光ディスクドライブ装置10は、記録回数のみならず記録時期も考慮して適した記録条件で記録することができる。
【0109】
例えば、この記録条件は、データ領域内のいずれかの領域に対して記録する際の出力条件を含む(記録条件7)。これにより、光ディスクドライブ装置10は、記録時期が所定の時期より前である場合には、当該所定の時期より後である場合の通常の出力強度よりも高い出力強度で記録することができるため、高品質の記録が可能である。
【0110】
また、本実施形態に係る相変化方式による書き換えが可能な領域を有する光ディスク20(記録媒体の一例)は、上記領域には、データの記録と上記領域内の所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づく管理情報の記録が可能である。これにより、光ディスク20は、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づく管理情報を記録することができるため、例えば、光ディスクドライブ装置10が当該管理情報に基づいて記録を行うことにより、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることが可能となる。よって、光ディスク20は、データの記録品質の低下を抑制することが可能となる。
【0111】
また、本実施形態に係る相変化方式による書き換えが可能な領域を有する光ディスク20(記録媒体の一例)は、ファイルデータの記録が可能なデータ領域(第1領域の一例)と、データ領域内の所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づく管理情報の記録が可能な管理領域(第2領域の一例)とを含む。これにより、光ディスク20は、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づく管理情報を記録することができるため、例えば、光ディスクドライブ装置10が当該管理情報に基づいて記録を行うことにより、データの書き換えにより発生するジッタの影響を抑えることが可能となる。よって、光ディスク20は、データの記録品質の低下を抑制することが可能となる。
【0112】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0113】
また、上記実施形態では、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数を示す情報を管理情報として記録する例を説明したが、記録回数を示す情報に代えて又は加えて、記録回数に基づく優先度に関する情報が管理情報として記録されてもよい。例えば、上述の記録条件1又は記録条件2などで説明した所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録回数に基づく優先度(優先順位)や、所定の領域単位(例えば、セクタ)ごとの記録の禁止の有無などに関する情報が管理情報として記録されてもよい。
【0114】
なお、上述した光ディスクドライブ装置10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した光ディスクドライブ装置10が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した光ディスクドライブ装置10が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0115】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に光ディスクドライブ装置10が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0116】
また、光ディスクドライブ装置10の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。また、本実施形態の光ディスクドライブ装置10内の各構成要素は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0117】
また、近年、PCM(Phase-Change Memory)あるいはPRAM(Phase-change Random Access Memory)などの相変化メモリのLSIへの応用が注目されている。相変化メモリでは、光ディスクのような反射率の差異を用いるのではなく、結晶状態で電気抵抗が低くなり、アモルファス状態で電気抵抗が高くなる現象を利用した電気的情報として記憶を行なう。本発明はこのような記録方式にも適用することができる。
【符号の説明】
【0118】
10 光ディスクドライブ装置、20 光ディスク、110 通信部、120 ディスクドライブ、130 記憶部、131 記録条件記憶部、132 領域設定記憶部、140 制御部、141 記録制御部、142 読み出し制御部、143 領域設定部
図1
図2
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図10