(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063617
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】口紅等の収納容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/06 20060101AFI20220415BHJP
【FI】
A45D40/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171967
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000210573
【氏名又は名称】竹内工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平川 昌志
(57)【要約】
【課題】 実願平1-137150では外筒部材とハカマを回転させて口紅等を繰り出しする際に、なかでも勢いよく外筒部材とハカマを回転させた場合に皿部材も勢いよく上昇してしまうことで皿部材が所定の位置より上方に移動してしまい、外筒部材の上端部よりも上方に突出してしまうことがあった。
【解決手段】 案内溝の開口部には安全突起を形成した、あるいは内筒部材の切欠き部の案内溝の開口部と対応する位置には安全突起を形成したことで皿部材が所定の位置より上方に移動してしまい、外筒部材の上端部よりも上方に突出してしまうことを解決している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定された内筒部材と、この内筒部材に形成された上部が開口する軸心方向の切欠部と、前記内筒部材内に上下移動可能に取付けられた前記切欠部と係合する係合ピンを有する口紅等を直接支持する皿部材と、前記内筒部材の外周部に回動可能に取付けられた螺旋部材と、この螺旋部材の外周部を覆う外筒部材と、前記螺旋部材に形成された前記皿部材の係合ピンと係合し、前記外筒部材の上端部より皿部材の上端部が突出しないように案内する螺旋溝と、前記内筒部材の上部側の切欠部に開口するように形成された前記外筒部材の上端部より前記皿部材の上端部が上方に突出した状態で前記係合ピンが挿入される係止溝と、前記螺旋部材の上部に形成された前記係止溝内に前記係合ピンを挿入位置させ、前記皿部材の上端部を前記外筒部材の上端部より上方に突出させることのできる前記螺旋溝に開口する案内溝とを備え、案内溝の開口部には係合ピンが螺旋溝から案内溝へ案内されることを一時的に阻害する安全突起が形成されていることを特徴とする口紅等の収納容器。
【請求項2】
ハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定された内筒部材と、この内筒部材に形成された上部が開口する軸心方向の切欠部と、前記内筒部材内に上下移動可能に取付けられた前記切欠部と係合する係合ピンを有する口紅等を直接支持する皿部材と、前記内筒部材の外周部に回動可能に取付けられた螺旋部材と、この螺旋部材の外周部を覆う外筒部材と、前記螺旋部材に形成された前記皿部材の係合ピンと係合し、前記外筒部材の上端部より皿部材の上端部が突出しないように案内する螺旋溝と、前記内筒部材の上部側の切欠部に開口するように形成された前記外筒部材の上端部より前記皿部材の上端部が上方に突出した状態で前記係合ピンが挿入される係止溝と、前記螺旋部材の上部に形成された前記係止溝内に前記係合ピンを挿入位置させ、前記皿部材の上端部を前記外筒部材の上端部より上方に突出させることのできる前記螺旋溝に開口する案内溝とを備え、内筒部材の切欠き部の案内溝の開口部と対応する位置には係合ピンが螺旋溝から案内溝へ案内されることを一時的に阻害する安全突起が形成されていることを特徴とする口紅等の収納容器。
【請求項3】
係合ピンの安全突起と対応する位置には、安全突起と対応し係合ピンが螺旋溝から案内溝へ案内されることを一時的に阻害する形状に形成され安全受けが形成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の口紅等の収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口紅、リップクリーム、スチックアイシャドウ、スチックフアンデーション等の棒状化粧品を収納する口紅等の収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の口紅等の収納容器はハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定された軸心方向の切欠部を有する内筒部材と、この内筒部材の外周部に回動可能に取付けられた螺旋溝を有する螺旋部材と、この螺旋部材の外周部を覆う外筒部位と、前記内筒部材内を上下移動する口紅を支持する皿部材と、この皿部材に形成された前記内筒部材の切欠部および前記螺旋部材の螺旋溝と係合する係合ピンと、前記外筒部材の外周部を覆う前記ハカマ部材と着脱可能に嵌合するキャップとから構成されていた。
【0003】
しかしながらこのように構成された従来の口紅等の収納容器では、口紅の充填時には外筒部材の上端部より皿部材の上端部が上方に突出していると口紅の充填を容易に行なうことができるが、使用時に皿部材の上端部が上筒部材の上端部より上方に突出していると見苦しく、かつ該突出している皿部材の上端部で怪我をする等の消費者苦情が生じやすい。
従来の口紅収納容器は前述のように構成されているため、皿部材の上端部を外筒部材の上端部より突出させるか、あるいは外筒部材の上端部より突出しないようにするか、いずれか一方にしか設定することができないという欠点があった。
【0004】
この改善策として本出願人は先にハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定された内筒部材と、この内筒部材に形成された上部が開口する軸心方向の切欠部と、前記内筒部材内に上下移動可能に取付けられた前記切欠部と係合する係合ピンを有する口紅等を直接支持する自重で移動可能な金属材製の皿部材と、前記内筒部材の外周部に回動可能に取付けられた螺旋部材と、この螺旋部材の外周部を覆う外筒部材と、前記螺旋材に形成された前記皿部材の係合ピンと係合し、前記外筒部材の上端部より皿部材の上端部が突出しないよう案内する螺旋溝と、前記内筒部材の上部側の切欠部に開口するように形成された前記外筒部材の上端部より前記皿部材の上端部が上方に突出した状態で前記係合ピンが挿入される係止溝と、前記螺旋部材の上部に形成された前記係止溝内に前記係合ピンを挿入位置させ、前記皿部材の上端部を前記外筒部材の上端部より上方に突出させることのできる前記螺旋溝に開口する案内溝とで構成される口紅等の収納容器を考案し、実願平1-137150号を出願している。
【0005】
この実願平1-137150号は以上のような従来の欠点、すなわち口紅等の充填時には金属材製の皿部材の上端部を外筒部材の上端部よりも上方に突出させることができ、使用時には皿部材の上端部が外筒部材の上端部よりも上方に突出することのない、口紅等の充填作業が容易にでき、かつ使用時には安全に、見苦しくなることなく使用することができるものであったが、外筒部材とハカマを回転させて口紅等を繰り出しする際に、なかでも勢いよく外筒部材とハカマを回転させた場合に皿部材も勢いよく上昇してしまうことで皿部材が所定の位置より上方、すなわち皿部材の係合ピンが案内溝の位置まで移動してしまい、皿部部材が外筒部材の上端部よりも上方に突出してしまうことがあった。
そうなってしまうと安全に、見苦しくなく使用できるとは言えなくなってしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実願平1-137150(実開平3-99513)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は口紅等の充填時には金属材製の皿部材の上端部を外筒部材の上端部よりも上方に突出させることができ、使用時には皿部材の上端部が外筒部材の上端部よりも上方に突出することのない、口紅等の充填作業が容易にでき、かつ使用時には安全に、見苦しくなることなく使用することができるものであったが、外筒部材とハカマを回転させて口紅等を繰り出しする際に、なかでも勢いよく外筒部材とハカマを回転させた場合に皿部材も勢いよく上昇してしまうことで皿部材が所定の位置より上方に移動してしまい、外筒部材の上端部よりも上方に突出してしまうことのない口紅等の収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定された内筒部材と、この内筒部材に形成された上部が開口する軸心方向の切欠部と、前記内筒部材内に上下移動可能に取付けられた前記切欠部と係合する係合ピンを有する口紅等を直接支持する金属材製の皿部材と、前記内筒部材の外周部に回動可能に取付けられた螺旋部材と、この螺旋部材の外周部を覆う外筒部材と、前記螺旋部材に形成された前記皿部材の係合ピンと係合し、前記外筒部材の上端部より皿部材の上端部が突出しないように案内する螺旋溝と、前記内筒部材の上部側の切欠部に開口するように形成された前記外筒部材の上端部より前記皿部材の上端部が上方に突出した状態で前記係合ピンが挿入される係止溝と、前記螺旋部材の上部に形成された前記係止溝内に前記係合ピンを挿入位置させ、前記皿部材の上端部を前記外筒部材の上端部より上方に突出させることのできる前記螺旋溝に開口する案内溝とを備え、案内溝の開口部には係合ピンが螺旋溝から案内溝へ案内されることを一時的に阻害する安全突起が形成されている、あるいは内筒部材の切欠き部の案内溝の開口部と対応する位置には係合ピンが螺旋溝から案内溝へ案内されることを一時的に阻害する安全突起が形成されていることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は外筒部材とハカマを回転させて口紅等を繰り出しする際に、なかでも勢いよく外筒部材とハカマを回転させた場合に皿部材も勢いよく上昇してしまうことで皿部材が所定の位置より上方に移動してしまい、外筒部材の上端部よりも上方に突出してしまうことを防止するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】第1の実施例の皿部材を上昇させた説明図である。
【
図5】第1の実施例の皿部材を押し上げた説明図である。
【
図6】第1の実施例の係合ピンが係止溝に入った説明図である。
【
図9】第2の実施例の皿部材を上昇させた説明図である。
【
図10】第2の実施例の
図9のB部の拡大図である。
【
図11】第2の実施例の係合ピンが係止溝に入った説明図である。
【
図13】第3の実施例の皿部材を上昇させた説明図である。
【
図15】第4の実施例の皿部材を上昇させた説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
外筒部材とハカマを回転させて口紅等を繰り出しする際に、なかでも勢いよく外筒部材とハカマを回転させた場合に皿部材も勢いよく上昇してしまうことで皿部材が所定の位置より上方に移動してしまい、外筒部材の上端部よりも上方に突出してしまうことを防止するという目的を、案内溝の開口部に係合ピンが螺旋溝から案内溝へ案内されることを一時的に阻害する安全突起を形成した、あるいは内筒部材の切欠き部の案内溝の開口部と対応する位置に係合ピンが螺旋溝から案内溝へ案内されることを一時的に阻害する安全突起を形成したことで実現した。
【実施例0012】
以下、図面に示す実施例により、本考案を詳細に説明する。
第1図ないし第7図の実施例において、1はハカマ部材で、このハカマ部材1は上部が開口したハカマ部材本体2と、このハカマ部材本体に2に嵌合固定された該ハカマ部材本体2の開口端部より上方の外周部にキャップ嵌合部3が形成されたキャップ嵌合部材4とから構成されている。
【0013】
5は前記ハカマ部材1内に下端部が挿入固定された内筒部材で、この内筒部材5は上下部にリング状の螺旋部材係止突部6、7と、軸心方向の切欠部8と、上部寄りの部位に前記切欠部8に開口する係止溝9とが形成されている。
【0014】
10は前記内筒部材5の外周部を回動可能に覆う前記螺旋部材係止突部6,7に係止される螺旋部材で、この螺旋部材10には上部に水平方向の支持軸12を有する螺旋溝13と、前記内筒部材5の係止溝9と対応する部位に前記螺旋溝13に開口する案内溝14とが形成されている。
【0015】
15は前記螺旋部材10の外周部を覆うように取付けられた外筒部材である。
【0016】
16は前記内筒部材5内に上下移動可能に取付けられた口紅17を支持する自重で移動可能な所定の重量を有する皿部材で、この皿部材16には前記内筒部材5の切欠部8および前記螺旋部材10の螺旋溝13と係合する係合ピン18が取付けられている。この皿部材16の原料には主に鉄、真鍮などの銅合金、あるいはアルミニウム等の金属材が利用されるが、それに限らず他の材料、例えば金属粉とプラスチック材を練り込ませた材料を成形をしたあっても差し支えない。
【0017】
この係合ピン18の皿部材16への取付け部位は、該係合ピン18が螺旋部材10の螺旋溝13および支持溝12と係合している場合には皿部材16の上端部が外筒部材15の上端部より突出しない位置で、かつ係合ピン18が前記内筒部材5の係止溝9と係合している場合には皿部材16の上端部が外筒部材15の上端部より突出した状態となる位置に取付けられている。
【0018】
19前記外筒部材15の外周部を覆う前記ハカマ部材1のキャップ嵌合部3と着脱可能に嵌合するキャップである。
【0019】
上記構成の口紅等の収納容器20は、ハカマ部材lと外筒部材15とを持って回動させ、皿部材16を第3図に示すように上部に位置させる。
【0020】
しかる後、第5図に示すように、皿部材16の上端部を外筒部材15の上端部より突出できるようにハカマ部材1の下面の押し上げピン挿入孔24より押し上げピン23を挿入して皿部材16を上方に押し上げて係合ピン18を螺旋部材10の案内溝14内に位置させることができる。
【0021】
この状態で皿部材16を上昇させる方向にハカマ部材1と外筒部材15とを回動させることにより、係合ピン18は第6図に示すように、内筒部材5の係止溝9内へ押込まれ係止される。
このように外筒部材15の上端部より皿部材16の上端部が突出した状態で皿部材16に口紅17を充填する。
【0022】
皿部材16に口紅17が充填されると、ハカマ部材1と外筒部材15とを持って皿部材16を下方に下げるように回動させることにより、螺旋部材10の案内溝14の螺旋溝13と同一傾斜面に形成された面によって、係合ピン18を係止溝9より切欠部8内に押し下げ下降する。
【0023】
この状態で外筒部材15の上端部より皿部材16の上端部が下方に位置し、ハカマ部材1と外筒部材15との回動操作で皿部材16は上下移動するが、係合ピン18は螺旋部材10の螺旋溝13および支持溝12としか係合しないので、第3図に示すように皿部材16の上端部が外筒部材15の上端部より突出することがない。
【0024】
11は螺旋溝13の上側淵の係合ピン18が螺旋溝13から案内溝14へ案内される位置に形成された安全突起で、この安全突起11は係合ピン18が螺旋溝13から案内溝14へ案内されることを一時的に阻害するように作用しているもので、口紅等を繰り出しする際に、勢いよく外筒部材15とハカマ部材1を回転させた場合に皿部材16も勢いよく上昇してしまうことがあり、皿部材16が所定の位置より上方に移動してしまい外筒部材15の上端部よりも上方に突出してしまうことがあるが、この安全突起11と係合ピン18が接触することで勢いが減衰し係合ピン18を確実に支持軸12へ導くことができる。
【0025】
次に発明の異なる実施例について説明する。なを、これらの実施例の説明に当たって、前記発明の実施例と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図8ないし
図12に示す第2の実施例において、第1の実施例と主に異なる点は安全突起11aで、この安全突起11aは内筒部材5aの切割溝8aの皿部材16が上昇する際に係合ピン18が螺旋溝13aによって押し付けられる側の、係合ピン18が螺旋溝13aから案内溝14へ案内される位置と対応する切割溝8aに形成されているもので、安全突起11aと係合ピン18が接触することで勢いが減衰し係合ピン18を確実に支持軸12へ導くことができる。
このような構造とした口紅等の収納容器20aとしても良い。
【0026】
図13ないし
図14に示す第3の実施例において、前記第1の実施例と主に異なる点は係合ピン18cで、この係合ピン18cは安全突起11と対応する位置に、係合ピン18cが螺旋溝13から案内溝14へ案内されることを一時的に阻害することがよりしやすくなるように螺旋溝13に形成された安全突起11と対応するように安全突起11とほぼ同形状の安全受け19cが形成されている。
このように安全受け19cが形成された係合ピン18cを使用したことにより、安全突起11と係合ピン18cの安全受け19cが接触することで勢いが減衰し係合ピン18cをより確実に支持軸12へ導くことができる。このようにした口紅等の収納容器としても良い。
【0027】
図15および
図16に示す第4の実施例において、前記第2の実施例と主に異なる点は係合ピン18dで、この係合ピン18dは安全突起11aと対応する位置に、係合ピン18dが螺旋溝13から案内溝14へ案内されることを一時的に阻害することがよりしやすくなるように切欠部8aに形成された安全突起11aと対応する安全突起11aとほぼ同形状の安全受け19dが形成されている。
このように安全受け19dが形成された係合ピン18dを使用したことにより、安全突起11aと係合ピン18dの安全受け19dが接触することで勢いが減衰し係合ピン18dをより確実に支持軸12へ導くことができる。このようにした口紅などの収納容器としても良い。