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特開2022-63629シート状二次電池及びシート状二次電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063629
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】シート状二次電池及びシート状二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/172 20210101AFI20220415BHJP
   H01M 50/10 20210101ALI20220415BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220415BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220415BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20220415BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20220415BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20220415BHJP
   H01M 50/572 20210101ALI20220415BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20220415BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20220415BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20220415BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20220415BHJP
【FI】
H01M2/06 K
H01M2/02 K
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01M10/0566
H01M2/26 A
H01M2/30 D
H01M2/34 B
H01G11/84
H01G11/78
H01G11/74
H01M10/052
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020171985
(22)【出願日】2020-10-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】320009152
【氏名又は名称】エナックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】三枝 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】景山 宏之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 準也
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 直子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真一
(72)【発明者】
【氏名】近野 慎一
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA12
5E078AB02
5E078HA02
5E078KA01
5E078KA06
5E078LA08
5H011AA01
5H011AA17
5H011BB03
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD13
5H011EE04
5H011FF03
5H011FF04
5H011JJ25
5H011JJ27
5H028AA07
5H028BB05
5H028BB10
5H028BB15
5H028CC05
5H028EE01
5H028EE06
5H029AJ11
5H029AJ15
5H029BJ04
5H029CJ05
5H029CJ12
5H029CJ16
5H029DJ02
5H029DJ05
5H029EJ01
5H029EJ12
5H029HJ12
5H043AA01
5H043AA02
5H043AA11
5H043AA13
5H043BA19
5H043BA20
5H043CA08
5H043DA09
5H043EA60
5H043GA22
5H043GA24
5H043HA02E
5H043JA06E
5H043KA45E
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外装体のシール強度及び長期密封信頼性を高めたシート状二次電池、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】外装体100の周囲に金属製の中間層どうしが溶接により接着された溶接シール部130が形成され、内部電極と、電解液と、第1及び第2の内部リードと、第1及び第2の接続手段111、121のうち外装体内に含まれる部分とは、外装体内に密封収容される、シート状二次電池10を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の正電極とシート状の負電極とをセパレータを介して積層して形成した内部電極(150)と、
絶縁性樹脂製の外面層(101A、101B)、金属製の中間層(102A、102B)、及び熱可塑性樹脂製の内面層(103A、103B)を含む複層構造の外装体(100)であって、前記内部電極及び電解液を収容する収容部(140)を備える前記外装体と、
前記外装体の内部において、前記正電極に接続された第1の内部リード(114)と、
前記外装体の内部において、前記負電極に接続された第2の内部リード(124)と、
前記第1の内部リードに対向し、前記外装体の外部に配置される第1の外部リード(110)と、
前記第2の内部リードに対向し、前記外装体の外部に配置される第2の外部リード(120)と、
前記外装体を貫通して一端(111b)が前記第1の内部リードに接続され、他端(111a)が前記第1の外部リードに接続され、前記第1の内部リード及び前記第1の外部リードを電気的に接続する第1の接続手段(111)と、
前記外装体を貫通して一端(121b)が前記第2の内部リードに接続され、他端(121a)が前記第2の外部リードに接続され、前記第2の内部リード及び前記第2の外部リードを電気的に接続する第2の接続手段(121)と、
を備え、
前記外装体の周囲に前記金属製の中間層どうしが溶接により接着された溶接シール部(130)が形成され、前記内部電極と、前記電解液と、前記第1及び第2の内部リードと、前記第1及び第2の接続手段のうち前記外装体内に含まれる部分とは、前記外装体内に密封収容されている、シート状二次電池。
【請求項2】
前記収容部は、複数段の階段構造(145)を有する、請求項1に記載のシート状二次電池。
【請求項3】
前記第1の接続手段は、前記第1の外部リード、前記外装体、及び前記第1の内部リードを順に貫通しており、前記第1の内部リードに接続された前記正電極は、前記第1の接続手段の前記一端(111b)を収容する空間(161)を有し、
前記第2の接続手段は、前記第2の外部リード、前記外装体、及び前記第2の内部リードを順に貫通しており、前記第2の内部リードに接続された前記負電極は、前記第2の接続手段の前記一端(121b)を収容する空間(162)を有する、請求項1又は2に記載のシート状二次電池。
【請求項4】
折り目が前記溶接シール部側に突出するように前記外装体内で折り曲げられ、前記外装体及び前記第1の内部リード間に位置するとともに、前記外装体及び前記正電極間にも位置する第1の内部絶縁部材(113)と、
折り目が前記溶接シール部側に突出するように前記外装体内で折り曲げられ、前記外装体及び前記第2の内部リード間に位置するとともに、前記外装体及び前記負電極間に位置する第2の内部絶縁部材(123)と
をさらに備える、請求項3に記載のシート状二次電池。
【請求項5】
請求項1に記載のシート状二次電池の製造方法であって、
前記外装体の形状は、平面視して矩形であり、
前記方法は、
前記外装体内に、前記内部電極、前記電解液、並びに前記第1及び第2の内部リードを配置する工程と、
前記第1の接続手段を加圧下で前記第1の外部リード、前記外装体、及び前記第1の内部リードを順に貫通させる工程と、
前記第2の接続手段を加圧下で前記第2の外部リード、前記外装体、及び前記第2の内部リードを順に貫通させる工程と、
前記外装体の3辺の前記金属性の中間層を溶接して接着する工程と、
前記外装体の残り1辺の前記内面層をヒートシールして接着する工程と、
前記シート状二次電池を充放電させ、前記ヒートシールの一部を開放して前記外装体内のガス抜きを行う工程と、
前記残り1辺の前記金属性の中間層を溶接して接着する工程と
を備えた前記方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状二次電池及びシート状二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体積当り及び重量当りの容量及びエネルギーが大きく、高エネルギー密度の二次電池として、例えば、リチウムあるいはリチウム合金を用いた非水電解液二次電池のリチウムイオン二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池は、メモリー効果がなく、自己放電が少ない等の利点を備え、カメラ一体型VTR装置、オーディオ機器、携帯型コンピュータ、携帯電話、及び電気自動車用電池など様々な電気・電子機器、通信機器、光学機器、音響機器等の広範囲な分野で使用されている。
【0003】
一般的なリチウムイオン二次電池の構造は次のとおりである。正極集電体とその表面に塗布された活物質で構成された正電極と、負極集電体とその表面に塗布された負極活物質等で構成された負電極とを、セパレータを介して積層あるいは巻回し、内部に電解液を収容できる電池ケースに収容される。正電極及び負電極に接続される正極リード及び負極リードを電池ケースの外部に取出し、正極端子及び負極端子として用いる場合、または、電池ケースに設けられた正極端子及び負極端子に正極リード及び負極リードを接続する場合がある。どちらの構造も充電時にはリチウムが正電極の正極活物質から電解液中にリチウムイオンとして抜け出し、負電極の負極活物質中に入り込み、放電時にはこの負極活物質中に入り込んだリチウムイオンが電解液中に放出され、再び正電極の正極活物質中に戻ることにより、充放電が行われる。
【0004】
特許文献1及び2は、リチウムイオン二次電池等の二次電池として、ヒートシール性に優れた熱可塑性樹脂製の内面層と、アルミ箔等の金属箔製の中間層と、ポリアミド系樹脂等の電気絶縁性に優れた絶縁樹脂製の外面層とを有する3層構造のラミネートフィルムを用いて可撓性の袋状外装体を形成し、この袋状外装体の中にシート状の内部電極と電解液とを封入して形成する、軽量かつ薄型で可撓性を有するシート状二次電池を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4199948号
【特許文献2】特許5171824号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2の従来のシート状二次電池において、3層構造の外装体の周囲の熱可塑性樹脂製の内面層どうしを熱融着(ヒートシール)により密封接着するものであるが、外装体のシール強度及び長期密封信頼性への課題が残る。
【0007】
このような事情に鑑み、本発明は、外面層、中間層としての金属層、及び内面層を含む複層構造を有する外装体の周囲の金属層どうしを溶接により密封接着した構成を有するシート状二次電池及びシート状二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明には以下の態様が含まれる。
〔1〕
シート状の正電極とシート状の負電極とをセパレータを介して積層して形成した内部電極(150)と、
絶縁性樹脂製の外面層(101A、101B)、金属製の中間層(102A、102B)、及び熱可塑性樹脂製の内面層(103A、103B)を含む複層構造の外装体(100)であって、前記内部電極及び電解液を収容する収容部(140)を備える前記外装体と、
前記外装体の内部において、前記正電極に接続された第1の内部リード(114)と、
前記外装体の内部において、前記負電極に接続された第2の内部リード(124)と、
前記第1の内部リードに対向し、前記外装体の外部に配置される第1の外部リード(110)と、
前記第2の内部リードに対向し、前記外装体の外部に配置される第2の外部リード(120)と、
前記外装体を貫通して一端(111b)が前記第1の内部リードに接続され、他端(111a)が前記第1の外部リードに接続され、前記第1の内部リード及び前記第1の外部リードを電気的に接続する第1の接続手段(111)と、
前記外装体を貫通して一端(121b)が前記第2の内部リードに接続され、他端(121a)が前記第2の外部リードに接続され、前記第2の内部リード及び前記第2の外部リードを電気的に接続する第2の接続手段(121)と、
を備え、
前記外装体の周囲に前記金属製の中間層どうしが溶接により接着された溶接シール部(130)が形成され、前記内部電極と、前記電解液と、前記第1及び第2の内部リードと、前記第1及び第2の接続手段のうち前記外装体内に含まれる部分とは、前記外装体内に密封収容されている、シート状二次電池。
〔2〕
前記収容部は、複数段の階段構造を有する、〔1〕に記載のシート状二次電池。
〔3〕
前記第1の接続手段は、前記第1の外部リード、前記外装体、及び前記第1の内部リードを順に貫通しており、前記第1の内部リードに接続された前記正電極は、前記第1の接続手段の前記一端(111b)を収容する空間(161)を有し、
前記第2の接続手段は、前記第2の外部リード、前記外装体、及び前記第2の内部リードを順に貫通しており、前記第2の内部リードに接続された前記負電極は、前記第2の接続手段の前記一端(121b)を収容する空間(162)を有する、〔1〕又は〔2〕に記載のシート状二次電池。
〔4〕
折り目が前記溶接シール部側に突出するように前記外装体内で折り曲げられ、前記外装体及び前記第1の内部リード間に位置するとともに、前記外装体及び前記正電極間にも位置する第1の内部絶縁部材(113)と、
折り目が前記溶接シール部側に突出するように前記外装体内で折り曲げられ、前記外装体及び前記第2の内部リード間に位置するとともに、前記外装体及び前記負電極間に位置する第2の内部絶縁部材(123)と
をさらに備える、〔3〕に記載のシート状二次電池。
〔5〕
〔1〕に記載のシート状二次電池の製造方法であって、
前記外装体の形状は、平面視して矩形であり、
前記方法は、
前記外装体内に、前記内部電極、前記電解液、並びに前記第1及び第2の内部リードを配置する工程と、
前記第1の接続手段を加圧下で前記第1の外部リード、前記外装体、及び前記第1の内部リードを順に貫通させる工程と、
前記第2の接続手段を加圧下で前記第2の外部リード、前記外装体、及び前記第2の内部リードを順に貫通させる工程と、
前記外装体の3辺の前記金属性の中間層を溶接して接着する工程と、
前記外装体の残り1辺の前記内面層をヒートシールして接着する工程と、
前記シート状二次電池を充放電させ、前記ヒートシールの一部を開放して前記外装体内のガス抜きを行う工程と、
前記残り1辺の前記金属性の中間層を溶接して接着する工程と
を備えた前記方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るシート状二次電池の概略構成図である。
図2】一実施形態に係るシート状二次電池の断面図である。
図3】一実施形態に係るシート状二次電池の断面図である。
図4】一実施形態に係るシート状二次電池の製造方法の説明図である。
図5】一実施形態に係るシート状二次電池の製造方法の説明図である。
図6】別の実施形態に係るシート状二次電池の概略構成図である。
図7】別の実施形態に係るシート状二次電池の概略構成図である。
図8】シミュレーション条件の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔シート状二次電池10の構成〕
図1~3を用いて、本発明の一実施形態に係るシート状二次電池10の構成について説明する。
【0011】
図1(a)は、シート状二次電池10の平面図であり、図1(b)は、シート状二次電池10の概略斜視図である。図2(a)は、図1に示すAA線断面図であり、図2(b)は同BB線断面図である。図3図1に示すCC線断面図である。なお、図1(b)では、理解しやすいように、外装体100の収容部140を強調して顕著に立体的に描いているが、シート状二次電池10は全体的にシート状である。
【0012】
シート状二次電池10は、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウム二次電池、ポリマー二次電池、又は電気二重層キャパシタ等である。
【0013】
シート状二次電池10は、
1つ又は複数のシート状の正電極151と1つ又は複数のシート状の負電極152とをセパレータ153を介して積層して形成した内部電極150と、
絶縁性樹脂製の外面層101A、101B、金属製の中間層(単に「金属層」という)102A、102B、及び熱可塑性樹脂製の内面層103A、103Bを含む複層構造の外装体100であって、内部電極150及び電解液を収容する収容部140を備える外装体100と、
外装体100の内部において、正電極151に接続された第1の内部リード(正極内部リード)114と、
外装体100の内部において、負電極152に接続された第2の内部リード(負極内部リード)124と、
第1の内部リード114に対向し、外装体100の外部に配置される第1の外部リード(正極外部リード)110と、
第2の内部リード124に対向し、外装体100の外部に配置される第2の外部リード(負極外部リード)120と、
外装体100を貫通して一端111bが第1の内部リード114に接続され、他端111aが第1の外部リード110に接続され、第1の内部リード114及び第1の外部リード110を電気的に接続する第1の接続手段111と、
外装体100を貫通して一端121bが第2の内部リード124に接続され、他端121aが第2の外部リード120に接続され、第2の内部リード124及び第2の外部リード120を電気的に接続する第2の接続手段121と
を備える。
【0014】
外装体100は、絶縁性樹脂製の外面層101A、101B、金属層102A、102B、及び熱可塑性樹脂製の内面層103A、103Bを含む複層構造を有する2つのラミネートフィルム100A(表側)、100B(裏側)を重ね合わせ、その周囲(全周)の金属層102A、102Bどうしを溶接により接着して、内部電極150等を収容できる袋状に形成される。このため、外装体100の周囲(全周)には、金属層102A、102Bどうしの溶接により接着された溶接シール部130が形成されている。
【0015】
なお、ラミネートフィルム100A、100Bの形状は、一般的には平面視して矩形であるが、楕円形又は3角以上の多角形であってもよい。また、外装体100を2つのラミネートフィルム100A、100Bを用いて形成する場合に限らず、一枚のラミネートフィルム100Aを二つに折り曲げた後、周囲(全周又は折り曲げ箇所以外の箇所)の金属層102Aを互いに溶接して接着し、袋状に形成するようにしてもよい。
【0016】
外装体100は、シート状二次電池10のハウジングとして、内部電極150と、電解液と、第1及び第2の内部リード114、124と、第1及び第2の接続手段111、121のうち外装体100内に含まれる部分とを密封収容するよう構成される。外装体100は、可撓性及び強度に優れていることが好ましい。また、外装体100の内面層103A、103Bは、内部の電解液に対して優れた耐電解液性を有することが好ましい。
【0017】
外装体100の金属層102A、102Bの材料は、溶接性に優れた金属材料であり、さらに可撓性及び/又は剛性に優れた金属材料であると好ましい。金属材料は、例えばアルミニウム、ステンレス、ニッケル若しくはニッケル合金、銅若しくは銅合金、鉄若しくは鉄合金、又はこれらの組み合わせの材料としてよい。金属層102A、102Bは、予め箔状(薄板状)に形成されたものでもよいし、外面層101A、101B又は内面層103A、103B上に薄膜形成又はめっき形成により形成されたものであってもよい。
【0018】
外装体100を構成するラミネートフィルム100A、100Bは、例えば、(i)ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、又はこれらの組み合わせから選択される電気絶縁性に優れた絶縁性樹脂製の外面層101A、101Bと、(ii)アルミニウム、ステンレス(SUS)、ニッケル若しくはニッケル合金、銅若しくは銅合金、鉄若しくは鉄合金、又はこれらの組み合わせから選択される溶接性に優れた金属材料製の金属層102A、102Bと、(iii)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、アイオノマー、又はこれらの組み合わせから選択される耐電解液性及びヒートシール性に優れた熱可塑性樹脂製の内面層103A、103Bとからなる3層構造を有する。
【0019】
外面層101A、101B、金属層102A、102B、及び内面層103A、103Bそれぞれを、異なる材料又は同じ材料で2層以上設けるようにし、外装体100が4層以上の複層構造を有するようにしてもよい。また、内面層に用いる材料の融点が金属層に用いる材料の融点よりも低くなるように、内面層及び金属層の材料を選択することで、外装体100の成型加工(しぼり加工)に際し、内面層によるヒートシール性と金属層による溶接性とを分けて、ラミネートフィルムどうしの接着に用いることができる。
【0020】
外装体100を構成するラミネートフィルム100A、100Bそれぞれの厚さ(単に「外装体100の厚さ」ともいう)は、0.05~1.0mm、0.05~0.5mm、0.05~0.3mm、0.05~0.2mm、0.1~1.0mm、0.1~0.5mm、0.1~0.3mm、又は0.1~0.2mmである。好ましくは、外装体100の厚さは、0.05~0.3mmであり、さらに好ましくは0.1~0.2mmである。例えば、3層構造を有する外装体100の場合、外面層101A、101Bの厚さを0.01~0.3mm、0.02~0.1mm、又は0.03~0.05mmとし、内面層103A、103Bの厚さを0.01~0.3mm、0.05~0.2mm、又は0.08~0.1mmとし、外装体100の厚さのうち残りを金属層102A、102Bの厚さが占めるようにしてもよい。金属層102A、102Bは、外面層101A、101B及び内面層103A、103Bに比べて十分に厚く構成してもよい。
【0021】
内部電極150は、1つ又は複数のシート状の正電極151と1つ又は複数のシート状の負電極152とを、1つ又は複数のシート状のセパレータ153を介して交互に積層して形成される。正電極151は、アルミニウム又はアルミニウム合金などの正極集電体の両面に、コバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)、マンガン酸リチウム複合酸化物(LMO)、又はニッケル酸リチウム複合酸化物(LNO)などの正極活物質を積層して形成される。負電極10bは、銅若しくは銅合金又はニッケルなどの負極集電体の両面に、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、又はハードカーボンなどの炭素材料の負極活物質を積層して形成される。複数の正電極151及び複数の負電極152はそれぞれ、端部151a及び端部152aにおいてまとめられ、それぞれ対応する第1の内部リード114及び第2の内部リード124に接続され、超音波溶着等で接着される。
【0022】
第1の外部リード110、第1の接続手段111、及び第1の内部リード114はそれぞれ、好ましくは正電極151の正極集電体と同じ材料(アルミニウム又はアルミニウム合金など)で形成される。同じ材料で形成することで、接触抵抗を低減でき、熱膨張係数の違いによる熱変形を防止ないし低減できる。同様に、第2の外部リード120、第2の接続手段121、及び第2の内部リード124はそれぞれ、好ましくは負電極152の負極集電体と同じ材料(銅若しくは銅合金又はニッケルなど)で形成される。なお、第1及び第2の外部リード110、120並びに第1及び第2の内部リード114、124はそれぞれシート状(板状)に形成される。
【0023】
第1の内部リード114は、外装体100内部にて正電極151の端部151aと接続され、外装体100の外部に配置された第1の外部リード110と対向配置される。第1の内部リード114及び第1の外部リード110は、外装体100を貫通する第1の接続手段111を介して、互いに電気的に接続されている。同様に、第2の内部リード124は、外装体100の内部にて負電極152の端部152aと接続され、外装体100の外部に配置された第2の外部リード120と対向配置される。第2の内部リード124及び第2の外部リード120は、外装体100を貫通する第2の接続手段121を介して、互いに電気的に接続されている。
【0024】
なお、第1及び第2の接続手段111、121はそれぞれ1つに限らず複数設けてもよいし、第1及び第2の接続手段111、121の径、厚み、及び長さも、互いにそれぞれ異なるものであってもよい。また、シート状二次電池10が出力する仕様電流値に応じて、第1及び第2の内部リード114、124及び第1及び第2の外部リード110、120の形状(各リードの幅、長さ、及び厚み、並びに、接続手段111、121が貫通するための孔の径及び数など)及び材質を調整し、且つ/又は、第1及び第2の内部リード114、124と第1及び第2の外部リード110、120との接続数(第1及び第2の接続手段111、121の数)を調整するとよい。
【0025】
第1及び第2の接続手段111、121としては、(i)ソリッドリベット、フルチューブラリベット、セミチューブラリベット、スプリットリベット、コンプレッショクリベット、若しくはブラインドリベット等のリベット止めを用いた手段(単に「リベット」)、(ii)第1の外部リード110及び第1の内部リード114のいずれか一方に一体的に若しくは固定的にスタッドを設けるとともに他方にこのスタッドが嵌入する貫通孔を設け、当該スタッドを貫通孔内に嵌入してその先端部をかしめて固着する手段(単に「スタッド」)、又は(iii)ボルトナット止めを用いた手段(単に「ボルトナット」)を例示することができる。好ましくは、第1の接続手段111は、第1の内部リード114及び第1の外部リード110と同じ材料製のリベットであり、第2の接続手段121は、第2の内部リード124及び第2の外部リード120と同じ材料製のリベットである。
【0026】
リベットは、貫通軸と外装体100外部に位置する外側鍔部(端部111a、121a)とが予め一体的に形成されたものである。リベットの外側鍔部は、図2に記載のような半球状のものであってもよいが、その外表面をフラットとし厚みを均一としたものであってもよい。外装体100内部に位置するリベットの内側鍔部(端部111b、121b)は、貫通軸の先端がかしめられることにより貫通軸の一部が押し潰されて形成される。かしめられることにより形成される内側鍔部(端部111b、121b)が、正電極151及び負電極152と接触しないように、空間161、162が正電極151及び負電極152に形成されている。
【0027】
第1の外部リード110と外装体100との間には外部絶縁部材112が設けられ、第1の内部リード114と外装体100との間には内部絶縁部材113が設けられている。同様に、第2の外部リード120と外装体100との間には外部絶縁部材122が設けられ、第2の内部リード124と外装体100との間には内部絶縁部材123が設けられている。外部絶縁部材112、122及び内部絶縁部材113、123の材料は、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、又はこれらの組み合わせから選択される電気絶縁性に優れた絶縁性樹脂製であり、外装体100の外面層101A、101Bの材料と同じ材料としてもよい。外部絶縁部材112、122及び内部絶縁部材113、123の材料は、ヒートシール時の熱による影響を回避するという観点から、外装体100の内面層103A、103Bの材料よりも融点の高い材料で形成するとよい。例えば、外部絶縁部材112、122及び内部絶縁部材113、123の材料を、ポリフェニレンサルファイドとしてもよい。
【0028】
外装体100の金属層102A、102Bが露出している溶接シール部130と外装体100内部の金属部材(内部リード114、124、正電極151、負電極152等)とが接触しショートするのを防ぐために、図2に示すように、内部絶縁部材113、123は、折り目が溶接シール部130側に突出するように折り曲げられて(断面略コ字状に)構成されている。このような簡易な構成で溶接シール部130と外装体100内部の金属部材との接触によるショートが防止される。また、内部絶縁部材113、123により、第1及び第2の内部リード114、124と内面層103Aとの接触、並びに正電極151の端部151a及び負電極152の端部152aと内面層103Bとの接触を防止する。
【0029】
第1の外部リード110と第1の内部リード114とを第1の接続手段111で接続すると、第1の外部リード110と第1の内部リード114との間に、外部絶縁部材112及び内部絶縁部材113とが加圧下に挟み込まれる。これにより、第1の接続手段111が貫通する外装体100の貫通孔が密封シールされつつ、第1の外部リード110と第1の内部リード114とが電気的に接続される。同様に、第2の外部リード120と第2の内部リード124とを第2の接続手段121で接続すると、第2の外部リード120と第2の内部リード124との間に、外部絶縁部材122及び内部絶縁部材123とが加圧下に挟み込まれる。これにより、第2の接続手段121が貫通する外装体100の貫通孔が密封シールされつつ、第2の外部リード120と第2の内部リード124とが電気的に接続される。
【0030】
本実施形態のシート状二次電池は、外面層、金属層(中間層)、及び内面層を含む複層構造の外装体の周囲の金属層どうしを溶接により密封接着した構成を備えている。この構成により、外装体の熱可塑性樹脂製の内面層どうしのヒートシールによる密封接着した従来の構成に比べて、外装体のシール強度及び長期密封信頼性が向上する。
【0031】
〔シート状二次電池10の製造方法〕
図4及び図5を用いて、シート状二次電池10の製造方法について説明する。
【0032】
正電極151と負電極152とをセパレータ153を介して積層して内部電極150を作製する(図4(a))、複層構造のラミネートフィルム100A、100Bを1段成型加工して、ラミネートフィルム100A、100Bに収容部140を形成する(図4(b))。なお、ラミネートフィルム100A、100Bのいずれか一方のみを1段成型加工するものであってもよい。
【0033】
内部電極150、第1及び第2の内部リード114、124、内部絶縁部材113、123等をラミネートフィルム100A、100Bの収容部140内に組み込む(図4(c))。外部絶縁部材112、122と第1及び第2の外部リード110、120をラミネートフィルム100A上に配置し、第1及び第2の接続手段111、121により、第1及び第2の内部リード114、124と第1及び第2の外部リード110、120とを接続する。
【0034】
その後、ラミネートフィルム100A、100Bの3辺の金属層102A、102Bどうしを溶接により接着し、溶接シール部130を形成する。溶接は、レーザー溶接、アーク溶接、抵抗溶接、又はろう付けなどの手法を用いて、金属層102A、102Bの溶接箇所を溶融する温度まで加熱し、固まらせることで溶接シール部130を形成する。なお、ラミネートフィルム100A、100Bの形状が矩形ではなく、楕円形や多角形である場合は、その周囲の一部をガス抜き用のヒートシールのために残し、その他の箇所を溶接により接着すればよい。
【0035】
残りの1辺は、溶接ではなく、ラミネートフィルム100A、100Bの内面層103A、103Bどうしを熱溶着し、ヒートシール部135を形成する(図5(a))。この際、外装体100内を真空吸引して、全体を密封する。ヒートシールは、ラミネートフィルム100A、100Bの内面層103A、103Bは溶融するが金属層102A、102Bは溶融しない温度に加熱して固まらせることでヒートシール部135を形成する。外装体100のヒートシール部135の一部をカットして開口部を形成し、該開口部から外装体100の内部に電解液を注入した後、開口部をヒートシールする。なお、ヒートシール部135の形成に際し、予め電解液を注入するための開口部を形成しておき、注入後にヒートシールするようにしてもよい。
【0036】
その後、シート状二次電池10の初充電を行い、ガスポケット部分に溜まったガスを、ガス抜き工程にて除去する。ガス抜きが終了した後、溶接シール部130が形成されていない残りの1辺において、ラミネートフィルム100A、100Bの金属層102A、102Bどうしを溶接により密封接着し、溶接シール部130を形成し、不要なガスケット部分をカットする(図5(b))。このようにして、シート状二次電池10の製造が行われる。
【0037】
〔シート状二次電池20〕
図6~8を用いて、本発明の別の実施形態に係るシート状二次電池20について説明する。
【0038】
図6は、シート状二次電池20の平面図であり、図7は、シート状二次電池20の概略斜視図である。シート状二次電池20は、包装体100の収容部140が複数段の階段構造145を有する点でシート状二次電池10の構成と相違する。階段構造145の段数は、2段以上であればよいが、製造コスト等を考慮して2~10段、2~8段、2~6段、2~4段、又は2~3段としてもよい。なお、シート状二次電池10と同じ構成には同じ符号を付しており、説明は省略する。
【0039】
図7(a)は外装体100の収容部140が1段成型により形成されたものであり(即ち、複数段の階段構造を有しない構成)、シート状二次電池10の構成に相当する。図7(b)は、外装体100の収容部140が2段成型により形成されたものであり(即ち、収容部140が2段の階段構造を有する構成)、図7(c)は、外装体100の収容部140が3段成型により形成されたものである(即ち、収容部140が3段の階段構造を有する構成)。
【0040】
本実施形態のシート状二次電池20では、内部電極150等を収容する収容部140に複数段の階段構造145が設けられた構成を備え、下記シミュレーション試験例で示すように、外装体100内部で発生するガスに伴う電池内圧の上昇による外装体100の膨張の影響を低減することができる。
【0041】
〔シミュレーション試験例〕
シート状二次電池20にて発生するガスに伴う電池内圧の上昇による最大合成変位を、外装体100の収容部140が1段成型のもの(複数段の階段構造を有しない構成)と、複数段成型のもの(2段の階段構造を有する構成、3段の階段構造を有する構成)について、シミュレーションにより計算した。このシミュレーション結果から、外装体100の収容部140に複数段の階段構造を設けたことによる膨張抑制効果について検証した。なお、本試験は電池構造の強度計算を意図しているものではないので、計算は弾性領域で行った。
【0042】
本試験は、70mm×45mmのシート状の電池構造を計算モデルとし、電池内圧が0.002MPa上昇した場合の変位を計算した。計算水準は、外装体の材料の種類、材料の厚み、並びに外装体の階段構造の有無及び段数とし、シミュレーション条件は以下に記す。また、当該電池構造を計算するに際し、x,y,z方向(図8に記載のxyz軸参照)に対する拘束条件を設定しており、1段成型のもの(複数段の階段構造を有しない構成)から3段成型のもの(3段の階段構造を有する構成)まで全て同一の条件で計算を行った。
【0043】
なお、本試験は、シート状二次電池20の外装体100が金属層のみで構成された場合のシミュレーションであるが、一般的に外装体100の外面層及び内面層の厚さは金属層の厚さに比べて十分に小さく、最大合成変位に対する影響は無視できる程に小さい。そのため、外面層、金属層及び内面層を含む複層構造の外装体に対しても、本試験の結果と同様に、包装体の収容部に複数段の階段構造を設けたことによる膨張抑制効果が期待できる。
【0044】
<シミュレーション条件>
計算ソフト:SOLIDWORKS(登録商標)
計算モデル:線形等方性弾性
<各外装体パラメータ>外装体の材質の物性値
SUS304
降伏強さ:2.06807 E+08 N/m2
引張り強さ:5.17017 E+08 N/m2
弾性係数:1.9 E+11 N/m2
ポアソン比:0.29
質量密度:8,000 kg/m3
温度膨張率:1.8 E-05 /Kelvin
SUS316
降伏強さ:1.72369 E+08 N/m2
引張り強さ:5.8 E+08 N/m2
弾性係数:1.93 E+11 N/m2
ポアソン比:0.27
質量密度:8,000 kg/m3
温度膨張率:1.6 E-05 /Kelvin
Al合金3003-H14
降伏強さ:1.45 E+08 N/m2
引張り強さ:1.5 E+08 N/m2
弾性係数:6.9 E+11 N/m2
ポアソン比:0.33
質量密度:2,730 kg/m3
温度膨張率:2.3 E-05 /Kelvin
<計算モデル構造>
拘束条件(1~3段成型のもについてすべて同一条件)
構造寸法:図8に記載
<パラメータ水準>
外装体の材料(SUS304、SUS316、Al合金3003-H14)
外装体の厚み(金属薄板の厚みを想定):0.1mm、0.2mm
外装体の構造:1段成型、2段成型、3段成型
【0045】
<シミュレーション結果>
表1に最大合成変位のシミュレーション結果を示す。最大合成変位の値が小さいほど、膨張抑制効果が高いことを意味する。
【0046】
【表1】
【0047】
SUS304の結果から、外装体の厚みが大きいほど、最大合成変位が小さくなり、膨張抑制効果が向上することが分かった。また、SUS304及びSUS316の結果と、Al合金3003-H14の結果との比較から、同じ厚み(0.2mm)であっても、剛性(機械特性)の優れた材料(SUS304及びSUS316)を用いることで、最大合成変位が小さくなり、膨張抑制効果が向上することが分かった。
【0048】
また、全ての材料及び全ての厚みにおいて、成型段数が1段(収容部140が複数段の階段構造を有しない構成)のものに比べ、成型段数が2段及び3段(収容部140が2段の階段構造を有する構成及び3段の階段構造を有する構成)の場合の方が最大合成変位が小さくなることが分かった。また、段数を増やした方が、その効果が高いことも分かった。
【0049】
包装体の収容部が複数段の階段構造を備えた構成により、包装体の収容部にかかる最大主応力が緩和されたため、最大合成変位が低い結果となったと推測される。また、包装体の材料や厚さに関わらず、包装体の収容部に複数段の階段構造を備えた構成が、膨張抑制効果を向上できることが分かった。
【0050】
上記各実施形態で説明される寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構造又は様々な条件に応じて変更される。また、本発明は、具体的に記載された上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0051】
10、20 シート状二次電池
100 外装体
100A、100B 複層構造を有するラミネートフィルム
101A、101B 外面層
102A、102B 金属層
103A、103B 内面層
110、120 外部リード
111、121 接続手段
112、122 外部絶縁部材
113、123 内部絶縁部材
114、124 内部リード
130 溶接シール部
135 ヒートシール部
140 収容部
145 複数段の階段構造
150 内部電極
161、162 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-02-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の正電極とシート状の負電極とをセパレータを介して積層して形成した内部電極(150)と、
絶縁性樹脂製の外面層(101A、101B)、金属製の中間層(102A、102B)、及び熱可塑性樹脂製の内面層(103A、103B)を含む複層構造の外装体(100)であって、前記内部電極及び電解液を収容する収容部(140)を備える前記外装体と、
前記外装体の内部において、前記正電極に接続された第1の内部リード(114)と、
前記外装体の内部において、前記負電極に接続された第2の内部リード(124)と、
前記第1の内部リードに対向し、前記外装体の外部に配置される第1の外部リード(110)と、
前記第2の内部リードに対向し、前記外装体の外部に配置される第2の外部リード(120)と、
前記外装体を貫通して一端(111b)が前記第1の内部リードに接続され、他端(111a)が前記第1の外部リードに接続され、前記第1の内部リード及び前記第1の外部リードを電気的に接続する第1の接続手段(111)と、
前記外装体を貫通して一端(121b)が前記第2の内部リードに接続され、他端(121a)が前記第2の外部リードに接続され、前記第2の内部リード及び前記第2の外部リードを電気的に接続する第2の接続手段(121)と、
を備え、
前記外装体の全周に前記金属製の中間層どうしが溶接により接着された溶接シール部(130)が形成され、前記内部電極と、前記電解液と、前記第1及び第2の内部リードと、前記第1及び第2の接続手段のうち前記外装体内に含まれる部分とは、前記外装体内に密封収容され
前記収容部は、複数段の階段構造(145)を有する、シート状二次電池。
【請求項2】
前記第1の接続手段は、前記第1の外部リード、前記外装体、及び前記第1の内部リードを順に貫通しており、前記第1の内部リードに接続された前記正電極は、前記第1の接続手段の前記一端(111b)を収容する空間(161)を有し、
前記第2の接続手段は、前記第2の外部リード、前記外装体、及び前記第2の内部リードを順に貫通しており、前記第2の内部リードに接続された前記負電極は、前記第2の接続手段の前記一端(121b)を収容する空間(162)を有する、請求項に記載のシート状二次電池。
【請求項3】
折り目が前記溶接シール部側に突出するように前記外装体内で折り曲げられ、前記外装体及び前記第1の内部リード間に位置するとともに、前記外装体及び前記正電極間にも位置する第1の内部絶縁部材(113)と、
折り目が前記溶接シール部側に突出するように前記外装体内で折り曲げられ、前記外装体及び前記第2の内部リード間に位置するとともに、前記外装体及び前記負電極間に位置する第2の内部絶縁部材(123)と
をさらに備える、請求項に記載のシート状二次電池。
【請求項4】
請求項1に記載のシート状二次電池の製造方法であって、
前記外装体の形状は、平面視して矩形であり、
前記方法は、
前記外装体内に、前記内部電極、前記電解液、並びに前記第1及び第2の内部リードを配置する工程と、
前記第1の接続手段を加圧下で前記第1の外部リード、前記外装体、及び前記第1の内部リードを順に貫通させる工程と、
前記第2の接続手段を加圧下で前記第2の外部リード、前記外装体、及び前記第2の内部リードを順に貫通させる工程と、
前記外装体の3辺の前記金属性の中間層を溶接して接着する工程と、
前記外装体の残り1辺の前記内面層をヒートシールして接着する工程と、
前記シート状二次電池を充放電させ、前記ヒートシールの一部を開放して前記外装体内のガス抜きを行う工程と、
前記残り1辺の前記金属性の中間層を溶接して接着する工程と
を備えた前記方法。