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特開2022-63665スペーサ部材及びスペーサ・ファイルセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063665
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】スペーサ部材及びスペーサ・ファイルセット
(51)【国際特許分類】
   B42F 13/22 20060101AFI20220415BHJP
   B42F 7/00 20060101ALI20220415BHJP
   B42D 15/00 20060101ALN20220415BHJP
【FI】
B42F13/22
B42F7/00 A
B42D15/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172031
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】515348460
【氏名又は名称】有限会社サンクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 明典
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA17
2C017QC02
2C017UD11
(57)【要約】
【課題】紙葉類を係脱可能な綴じ具に綴じた状態で略360度開いて折り返した紙葉類同士の隙間を塞ぎ、紙葉類に文字や絵画等を楽に且つ正確に記載することができるスペーサ部材及び当該スペーサ部材をファイルに装着したスペーサ・ファイルセットを提供する。
【解決手段】先端部2STが係脱可能に形成された綴じ片2Tを有する綴じ具2と、綴じ片に綴じた紙葉類1とを備え、紙葉類を綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイル10に装着可能に形成されたスペーサ部4材である。スペーサ部材には、綴じ片に挿通された係止孔411を有し紙葉類に近接して配置された保持部41と、当該保持部に連結され綴じ具の外方で略360度開いて折り返す前の紙葉類と反対側に配置された板状のスペース部42とを備え、スペース部は、略360度開いて折り返した紙葉類同士の綴じ具による隙間を塞ぐ大きさに形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が係脱可能に形成された綴じ片を有する綴じ具と、前記綴じ片に綴じた紙葉類とを備え、前記紙葉類を前記綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルに装着可能に形成されたスペーサ部材であって、
前記スペーサ部材には、前記綴じ片に挿通された係止孔を有し前記紙葉類に近接して配置された保持部と、当該保持部に連結され前記綴じ具の外方で略360度開いて折り返す前の前記紙葉類と反対側に配置された板状のスペース部とを備え、
前記スペース部は、略360度開いて折り返した前記紙葉類同士の前記綴じ具による隙間を塞ぐ大きさに形成されていることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項2】
請求項1に記載されたスペーサ部材において、
前記綴じ具には、前記紙葉類を表裏両側から保護する表表紙と裏表紙とが装着され、
前記保持部は、前記紙葉類と略同一の大きさに形成されて前記表表紙又は前記裏表紙の裏面側に配置され、前記スペース部は、略360度開いて折り返した前記紙葉類の前記綴じ具の外方に突出された領域と略同一の大きさに形成されて前記表表紙又は前記裏表紙の表面側に配置されていることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項3】
請求項2に記載されたスペーサ部材において、
前記スペース部は、芯材と当該芯材を包むフィルム材とから成り、前記綴じ具の長手方向で上下一体に形成され、
前記フィルム材の上端部が前記表表紙又は前記裏表紙の上端部の位置で前記保持部の上端部と連結され、前記フィルム材の下端部が前記表表紙又は前記裏表紙の下端部の位置で前記保持部の下端部と連結されていることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項4】
請求項3に記載されたスペーサ部材において、
前記フィルム材の上端部が前記表表紙又は前記裏表紙の上端部で折り返されて前記保持部の上端部と連結され、前記フィルム材の下端部が前記表表紙又は前記裏表紙の下端部で折り返されて前記保持部の下端部と連結されていることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項5】
請求項3に記載されたスペーサ部材において、
前記フィルム材の上端部が前記表表紙又は前記裏表紙の上端部より上方へ突出した前記保持部の上端部と連結され、前記フィルム材の下端部が前記表表紙又は前記裏表紙の下端部で折り返されて前記保持部の下端部と連結されていることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項6】
請求項3に記載されたスペーサ部材において、
前記保持部は、前記綴じ具の長手方向で上下一体に形成され、係止孔は、前記綴じ具の幅方向で長孔状に形成されていることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項7】
請求項6に記載されたスペーサ部材において、
前記保持部の上部と下部には、前記綴じ具の幅方向内方へ突設した一対の支持片が形成され、当該支持片に前記係止孔がそれぞれ形成されていること、
前記保持部の幅方向内端部は、前記両支持片以外の領域では前記スペース部の幅方向内端部より幅方向外方に形成されていることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項8】
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載されたスペーサ部材において、
前記保持部は、前記綴じ具の長手方向で上下2つの保持片に分割され、上方に位置する上保持片と下方に位置する下保持片には、前記係止孔がそれぞれ形成され、当該係止孔は、前記紙葉類の前記綴じ片に綴じる綴じ孔より大きいことを特徴とするスペーサ部材。
【請求項9】
請求項8に記載されたスペーサ部材において、
前記上保持片と前記下保持片との分割線は、上下に湾曲する波形状に形成されていることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項10】
請求項2に記載されたスペーサ部材において、
前記スペース部は、芯材と当該芯材を包むフィルム材とから成り、前記フィルム材の幅方向外端部が、前記綴じ具の幅方向で折り曲げ可能に前記保持部の幅方向外端部と連結されていることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項11】
請求項3乃至請求項10のいずれか1項に記載されたスペーサ部材において、
前記芯材は、所要の厚さを有する樹脂製の発泡シート又は樹脂製の段ボールシートから成ることを特徴とするスペーサ部材。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載されたスペーサ部材を装着したスペーサ・ファイルセットであって、
前記綴じ具には、
前記綴じ片の基端部を長手方向に適宜の間隔で連結する左右の連結部と、
前記左右の連結部に長手方向で交互に形成された複数の軸受け部と、
前記各軸受け部に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸と、
前記左右の連結部の間に装着されたバネ部材と、を備え、
左右いずれか一方の前記連結部の背面側には、前記表表紙及び前記裏表紙と接続された背表紙が固定され、
前記綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、前記背表紙が固定された一方の前記連結部と前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部とは、前記バネ部材の付勢力によって、前記回転中心軸に対する互いの開き角が略80~100度の状態まで回動可能に形成されていることを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【請求項13】
請求項12に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記バネ部材は、長手方向で交互に配置された前記軸受け部の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、前記回転中心軸の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネであり、
前記圧縮捻りコイルバネの一方の端縁アーム部は、前記背表紙が固定された一方の前記連結部を背面側へ付勢し、前記圧縮捻りコイルバネの他方の端縁アーム部は、前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部を幅方向外方へ付勢していることを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【請求項14】
請求項13に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
隣接する前記軸受け部の長手方向端面には、前記回転中心軸に対して傾斜状に形成されたカム面をそれぞれ設け、
前記カム面は、左右の前記綴じ片の先端部の係合状態において互いに離間し、解除状態において互いに当接するように形成されていることを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【請求項15】
請求項14に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記カム面を設けた前記軸受け部は、少なくとも前記連結部における長手方向の端部近傍に設けたことを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれか1項に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
左右の前記綴じ片の前記基端部は、長手方向の板幅以上の寸法で、長手方向で互いに位置ずれして形成され、
左右の前記綴じ片の先端部には、前記基端部の先端側から幅方向内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設した位置から長手方向へ傾斜した傾斜部で互いに係合する係合部が形成されていることを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【請求項17】
請求項12乃至請求項16のいずれか1項に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記左右の綴じ片は、互いに向き合い、先端部に対する底部の深さが異なる略コの字状断面に形成され、
前記保持部の係止孔は、前記底部の深さの深い綴じ片に挿入されていることを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【請求項18】
請求項12乃至請求項17のいずれか1項に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記回転中心軸は、前記背表紙が固定された一方の前記連結部の幅方向中心線に対して、所定量だけ前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部側へ偏心した位置に配置されていることを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【請求項19】
請求項12乃至請求項18のいずれか1項に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
一方の前記連結部の背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部と、当該基部より幅広に形成された爪部とから成り、当該爪部が基部先端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部が形成され、
前記背表紙には、大径部で前記爪部が通過し、小径部で前記基部と係合した状態で前記爪部に挟まれる異径長孔状の背表紙係止孔が形成されていることを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【請求項20】
請求項19に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記背表紙には、前記鉤爪状係止部及び前記綴じ片を回避した長手方向中央部に対してラベルシートが貼着され、当該ラベルシートは、前記スペース部に隠れない範囲で前記表表紙及び前記裏表紙まで延設されていることを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【請求項21】
請求項12乃至請求項20のいずれか1項に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記綴じ具に対して前記紙葉類が正常に綴じられた状態では、前記保持部と前記スペース部とで挟まれていない前記表表紙又は前記裏表紙の他端側の先端部の一部を、前記保持部と前記スペース部とで挟まれた前記裏表紙又は前記表表紙の他端側の先端部に対して長く形成して、前記紙葉類の他端側を前記表表紙及び前記裏表紙とともに前記綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態では、前記紙葉類の他端側の先端部に対して、前記裏表紙又は前記表表紙の他端側の先端部を短縮させ、前記表表紙又は前記裏表紙の他端側の先端部の一部を僅かに突出させることを特徴とするスペーサ・ファイルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサ部材及びスペーサ・ファイルセットに関し、詳しくは、係脱可能に形成された綴じ具に綴じた紙葉類を綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルに装着可能であり、略360度開いて折返した紙葉類の綴じ具による隙間を塞ぐスペーサ部材及び当該スペーサ部材を装着したスペーサ・ファイルセットに関する。ここでは、ファイルには、画用紙を綴じるスケッチブックも含まれる。
【背景技術】
【0002】
紙葉類を綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルであれば、電車等の狭いスペース内でも、360度折り返したファイルを片手で把持して、折り返した紙葉類に記載された文章を楽に読むことができ、又は折り返した紙葉類に所要の筆記又は描画等を楽に行うことができる。そのため、360度折り返し可能なファイルが、一般に好まれ、世の中で広く利用されている。上記360度折り返し可能なファイルが、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0003】
すなわち、特許文献1には、図30図31に示すように、端縁部101に綴じ孔列102を有する画用紙103が、綴じ孔列102の綴じ孔102aの挿通された綴じリング104を有する綴じ具105によって綴じ合わされているスケッチブック100が開示されている。このスケッチブック100によれば、画用紙103を綴じリング104を支点に略360度開いて折り返すことができる。
【0004】
また、画用紙103が、綴じ孔列102の綴じ孔102aの挿通された綴じリング104によって綴じられているので、画用紙103を綴じリング104を支点に360度開いて折り返した状態でも、表側の画用紙103と裏側の画用紙103とが密着し、両者の間に隙間が生じることはない。そのため、360度折り返した画用紙103の上に描画等を行おうとした場合、画用紙103が撓むことなく、適正に記載できる。
【0005】
また、画用紙103には、綴じ孔列102の形成箇所の近傍でその綴じ孔列102に沿って延びる破断線106を形成し、この破断線106の形成箇所でその画用紙103を破断することができるようになっている。画用紙103をスケッチブック100から取り外す時には、綴じリング104によって綴じ合わされている複数枚の画用紙103の中から1枚を矢印Pのように引張り、破断線106に沿って引き破る。このようにすると、スケッチブック100から取り外したい画用紙103が、破断線106の形成箇所でまっすぐに容易に破断される。したがって、不要な画用紙103をスケッチブック100から簡単に取り外すことができる。
【0006】
一方、特許文献2には、図32に示すように、紙葉類201と、紙葉類201の一端側を綴じ込む綴じ具202と、綴じ具202に装着され紙葉類201を外側から保護する表表紙203と裏表紙204と背表紙205とを備え、紙葉類201の他端側を表表紙203及び裏表紙204とともに綴じ具202を支点に360度開いて折り返すことができるファイル200が開示されている。
【0007】
また、綴じ具202には、紙葉類201の一端側に形成された綴じ孔201aに挿通される複数の綴じ片206a、206bを備えている。そして、綴じ片206a、206bは、長手方向(図面の表裏方向)に延設された左右のベース部207a、207bの側壁から幅方向外方へそれぞれ突出して形成され、ベース部207a、207bを幅方向に開閉させることによって、綴じ片206a、206bの先端部が係脱可能に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3132319号公報
【特許文献2】特開2017-140785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたスケッチブック100では、以下のような問題があった。すなわち、特許文献1のスケッチブック100では、画用紙103が、綴じ孔102aの挿通された円環状の綴じリング104によって綴じられているので、必要な枚数の画用紙103のみを選択して綴じることができない。したがって、例えば、スケッチに使用しない分の画用紙103をも綴じた重いスケッチブック100を携帯しなければならず、不便であった。
【0010】
また、破断線106の形成箇所で画用紙103を破断するので、一旦取り外した画用紙103を、再度、綴じ具105に綴じることができない。したがって、例えば、以前のスケッチの時には、上手く描けなかったが、破って捨てるには惜しい画用紙103を、一旦そのスケッチブック100から取り外して、家に置いてある他のスケッチブック100に綴じて保管しておくような事はできない。
【0011】
この点、特許文献2に開示されたファイル200は、ベース部207a、207bを幅方向に開閉させることによって、綴じ片206a、206bの先端部が係脱可能に形成されているので、必要な枚数の紙葉類201のみを選択して綴じ具202に綴じることができ、また、一旦取り外した紙葉類201を、再度、綴じ具202に綴じることもできる。
【0012】
ところが、図32に示すように、紙葉類201の他端側を表表紙203及び裏表紙204とともに綴じ具202を支点に360度開いて折り返した状態では、表表紙203と裏表紙204の一端側が、左右のベース部207a、207bの側壁に当接するので、折り返した紙葉類201同士の間には、ベース部207a、207bの幅寸法に相当する隙間Wが生じることになる。そのため、360度折り返した紙葉類201の上に筆記又は描画等を行おうとした場合、上記隙間Wがあることによって、紙葉類201が撓みやすくなり、文字や絵画等を楽に記載できないという問題があった。
【0013】
また、上記隙間Wは、表表紙203と裏表紙204の一端側が、左右のベース部207a、207bの側壁に当接し、他端側が互いに当接した状態で、楔状に形成されるので、仮に、表表紙203と裏表紙204の厚みを増加しても、また、一般的な薄板状の下敷き部材を紙葉類201の間に挿入しても、紙葉類201の幅方向中央付近では、紙葉類201の撓み量が最大化しやすい状態を回避することができない。そのため、紙葉類201の撓み量が記載又は描く場所によって変化することになり、文字や絵画等を正確に記載できない。特に、筆の撓みを微妙に制御しながら描く絵画等の場合には、描く場所による紙葉類201の撓み量の変化は、絵画等の出来栄えに与える影響が大きかった。
【0014】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、係脱可能な綴じ具に紙葉類を綴じた状態で略360度開いて折り返した紙葉類同士の隙間を塞ぎ、紙葉類に文字や絵画等を楽に且つ正確に記載することができるスペーサ部材及び当該スペーサ部材をファイルに装着したスペーサ・ファイルセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係るスペーサ部材及びスペーサ・ファイルセットは、次のような構成を有している。
(1)先端部が係脱可能に形成された綴じ片を有する綴じ具と、前記綴じ片に綴じた紙葉類とを備え、前記紙葉類を前記綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルに装着可能に形成されたスペーサ部材であって、
前記スペーサ部材には、前記綴じ片に挿通された係止孔を有し前記紙葉類に近接して配置された保持部と、当該保持部に連結され前記綴じ具の外方で略360度開いて折り返す前の前記紙葉類と反対側に配置された板状のスペース部とを備え、
前記スペース部は、略360度開いて折り返した前記紙葉類同士の前記綴じ具による隙間を塞ぐ大きさに形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、スペーサ部材には、綴じ片に挿通された係止孔を有し紙葉類に近接して配置された保持部と、当該保持部に連結され綴じ具の外方で略360度開いて折り返す前の紙葉類と反対側に配置された板状のスペース部とを備え、スペース部は、略360度開いて折り返した紙葉類同士の綴じ具による隙間を塞ぐ大きさに形成されているので、紙葉類を綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態で、紙葉類の綴じ具から外方へ突出された領域(記載用又は描画用の領域)にスペース部を挿入させて、紙葉類の撓みを全面的に抑制することができる。
【0017】
よって、本発明によれば、紙葉類を係脱可能な綴じ具に綴じた状態で略360度開いて折り返した紙葉類同士の隙間を塞ぎ、紙葉類に文字や絵画等を楽に且つ正確に記載することができるスペーサ部材を提供することができる。
【0018】
(2)(1)に記載されたスペーサ部材において、
前記綴じ具には、前記紙葉類を表裏両側から保護する表表紙と裏表紙とが装着され、
前記保持部は、前記紙葉類と略同一の大きさに形成されて前記表表紙又は前記裏表紙の裏面側に配置され、前記スペース部は、略360度開いて折り返した前記紙葉類の前記綴じ具の外方に突出された領域と略同一の大きさに形成されて前記表表紙又は前記裏表紙の表面側に配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、綴じ具には、紙葉類を表裏両側から保護する表表紙と裏表紙とが装着され、保持部は、紙葉類と略同一の大きさに形成されて表表紙又は裏表紙の裏面側に配置され、スペース部は、略360度開いて折り返した紙葉類の綴じ具の外方に突出された領域(記載用又は描画用の領域)と略同一の大きさに形成されて表表紙又は裏表紙の表面側に配置されているので、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返す際、保持部に連結されたスペース部も一緒に折り返されて、略360度開いて折り返した表表紙と裏表紙との間に、スペース部が自動的に挿入される。そして、スペース部は、略360度開いて折り返した紙葉類の綴じ具の外方に突出された領域(記載用又は描画用の領域)と略同一の大きさに形成されているので、360度折り返した紙葉類の上に筆記又は描画等を行おうとした場合、スペース部が紙葉類の外縁から外方へはみ出すことなく、紙葉類同士の隙間をスペース部によって確実に塞ぐことができる。その結果、360度折り返した紙葉類を把持しやすく、紙葉類全体が撓みにくくなり、文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載できる。
【0020】
(3)(2)に記載されたスペーサ部材において、
前記スペース部は、芯材と当該芯材を包むフィルム材とから成り、前記綴じ具の長手方向で上下一体に形成され、
前記フィルム材の上端部が前記表表紙又は前記裏表紙の上端部の位置で前記保持部の上端部と連結され、前記フィルム材の下端部が前記表表紙又は前記裏表紙の下端部の位置で前記保持部の下端部と連結されていることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、スペース部は、芯材と当該芯材を包むフィルム材とから成り、綴じ具の長手方向で上下一体に形成され、フィルム材の上端部が表表紙又は裏表紙の上端部の位置で保持部の上端部と連結され、フィルム材の下端部が表表紙又は裏表紙の下端部の位置で保持部の下端部と連結されているので、スペース部の上下位置を、表表紙又は裏表紙の上端部と下端部とで規制できる。そのため、スペース部が略360度開いて折返した紙葉類同士の隙間を、綴じ具の長手方向でより正確に塞ぎ、紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0022】
(4)(3)に記載されたスペーサ部材において、
前記フィルム材の上端部が前記表表紙又は前記裏表紙の上端部で折り返されて前記保持部の上端部と連結され、前記フィルム材の下端部が前記表表紙又は前記裏表紙の下端部で折り返されて前記保持部の下端部と連結されていることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、フィルム材の上端部が表表紙又は裏表紙の上端部で折り返されて保持部の上端部と連結され、フィルム材の下端部が表表紙又は裏表紙の下端部で折り返されて保持部の下端部と連結されているので、スペース部Dを表表紙又は裏表紙の上端部及び下端部から突出させずに保持部と連結できる。そのため、スペーサ部材が邪魔にならず安全な状態で、略360度開いて折返した紙葉類同士の隙間を塞ぎ、紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0024】
(5)(3)に記載されたスペーサ部材において、
前記フィルム材の上端部が前記表表紙又は前記裏表紙の上端部より上方へ突出した前記保持部の上端部と連結され、前記フィルム材の下端部が前記表表紙又は前記裏表紙の下端部で折り返されて前記保持部の下端部と連結されていることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、フィルム材の上端部が表表紙又は裏表紙の上端部より上方へ突出した保持部の上端部と連結されているので、フィルム材の上端部と保持部の上端部とを溶着又は縫製等で簡単に連結できる。また、フィルム材の下端部が表表紙又は裏表紙の下端部で折り返されて保持部の下端部と連結されているので、スペース部を表表紙又は裏表紙の下端部から突出させずに保持部と連結できる。そのため、フィルム材と保持部との連結作業性を向上させつつ、略360度開いて折り返した紙葉類を把持する際、スペーサ部材が邪魔にならず安全な状態を確保できる。
【0026】
(6)(3)に記載されたスペーサ部材において、
前記保持部は、前記綴じ具の長手方向で上下一体に形成され、係止孔は、前記綴じ具の幅方向で長孔状に形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、保持部は、綴じ具の長手方向(矢印Nの方向)で上下一体に形成され、係止孔は、綴じ具2の幅方向(矢印Hの方向)で長孔状に形成されているので、長孔状の係止孔を、開放した各綴じ片の先端部に対して余裕をもって挿入又は離脱させて、ファイルに対してスペーサ部材を簡単に装着し又は取り外すことができる。そのため、ファイルに対するスペーサ部材の装着性及び離脱性をより一層向上させることができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材をファイルに簡単に装着して、紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材をファイルから簡単に取り外すことができるので、ファイルを本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0028】
(7)(6)に記載されたスペーサ部材において、
前記保持部の上部と下部には、前記綴じ具の幅方向内方へ突設した一対の支持片が形成され、当該支持片に前記係止孔がそれぞれ形成されていること、
前記保持部の幅方向内端部は、前記両支持片以外の領域では前記スペース部の幅方向内端部より幅方向外方に形成されていることを特徴とする。
【0029】
本発明においては、保持部の上部と下部には、綴じ具の幅方向内方へ突設した一対の支持片が形成され、当該支持片に係止孔がそれぞれ形成されているので、綴じ片が綴じ具の長手方向(矢印Nの方向)の上部と下部のみに形成された場合でも、スペーサ部材をファイルに装着することができる。また、保持部の幅方向内端部は、両支持片以外の領域ではスペース部の幅方向内端部より幅方向外方に形成されているので、綴じ片が綴じ具の長手方向で上部から下部まで連続的に形成されている場合でも、保持部が綴じ片と干渉せずに、スペーサ部材をファイルに装着することができる。そのため、綴じ具の種類によらず、各種のファイルに対するスペーサ部材の装着性及び離脱性を確保することができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材を各種ファイルに簡単に装着して、紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材を各種ファイルから簡単に取り外すことができるので、当該ファイルを本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0030】
(8)(3)乃至(5)のいずれか1つに記載されたスペーサ部材において、
前記保持部は、前記綴じ具の長手方向で上下2つの保持片に分割され、上方に位置する上保持片と下方に位置する下保持片には、前記係止孔がそれぞれ形成され、当該係止孔は、前記紙葉類の前記綴じ片に綴じる綴じ孔より大きいことを特徴とする。
【0031】
本発明においては、保持部は、綴じ具の長手方向(矢印Nの方向)で上下2つの保持片に分割され、上方に位置する上保持片と下方に位置する下保持片には、係止孔がそれぞれ形成され、当該係止孔は、紙葉類の綴じ片に綴じる綴じ孔より大きいので、上保持片の係止孔と下保持片の係止孔とを、開放した各綴じ片の先端部に対して余裕をもって挿入又は離脱させて、ファイルに対してスペーサ部材を簡単に装着し又は取り外すことができる。そのため、ファイルに対するスペーサ部材の装着性及び離脱性をより一層向上させることができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材をファイルに簡単に装着して、紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材をファイルから簡単に取り外すことができるので、ファイルを本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0032】
(9)(8)に記載されたスペーサ部材において、
前記上保持片と前記下保持片との分割線は、上下に湾曲する波形状に形成されていることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、上保持片と下保持片との分割線は、上下に湾曲する波形状に形成されているので、紙葉類に分割線による凹みが生じにくい。また、上保持片と下保持片との分割線が上下に波形状に湾曲することによって、スペース部の曲げ癖も生じにくくなる。そのため、略360度開いて折返した紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0034】
(10)(2)に記載されたスペーサ部材において、
前記スペース部は、芯材と当該芯材を包むフィルム材とから成り、前記フィルム材の幅方向外端部が、前記綴じ具の幅方向で折り曲げ可能に前記保持部の幅方向外端部と連結されていることを特徴とする。
【0035】
本発明においては、スペース部は、芯材と当該芯材を包むフィルム材とから成り、フィルム材の幅方向外端部が、綴じ具の幅方向(矢印Hの方向)で折り曲げ可能に保持部の幅方向外端部と連結されているので、スペース部と保持部との連結部を綴じ具の長手方向(矢印Nの方向)に沿って直線状に形成しつつ、保持部を表表紙又は裏表紙の裏面側に配置して、フィルム材の幅方向外端部を折り返してスペース部を表表紙又は裏表紙の表側に配置できる。この場合には、スペース部を表表紙又は裏表紙の上端部及び下端部から突出させずに保持部と連結できる。そのため、スペーサ部材が邪魔にならず安全な状態で、略360度開いて折返した紙葉類同士の隙間を塞ぎ、紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0036】
(11)(3)乃至(10)のいずれか1つに記載されたスペーサ部材において、
前記芯材は、所要の厚さを有する樹脂製の発泡シート又は樹脂製の段ボールシートから成ることを特徴とする。
【0037】
本発明においては、芯材は、所要の厚さを有する樹脂製の発泡シート又は樹脂製の段ボールシートから成るので、スペース部として必要な剛性を確保しつつ、重量軽減を図ることができる。また、樹脂製の発泡シート又は樹脂製の段ボールシートは、ある程度の弾性を備えているので、紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に記載することができる。なお、樹脂製の発泡シートは、発泡倍率が8~10倍程度の低密度発泡シートが好ましい。また、樹脂製の段ボールシートは、強度及び耐久性等の面で優れ、平面サイズの大きいスケッチブック等に適している。
【0038】
(12)(1)乃至(11)のいずれか1つに記載されたスペーサ部材を装着したスペーサ・ファイルセットであって、
前記綴じ具には、
前記綴じ片の基端部を長手方向に適宜の間隔で連結する左右の連結部と、
前記左右の連結部に長手方向で交互に形成された複数の軸受け部と、
前記各軸受け部に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸と、
前記左右の連結部の間に装着されたバネ部材と、を備え、
左右いずれか一方の前記連結部の背面側には、前記表表紙及び前記裏表紙と接続された背表紙が固定され、
前記綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、前記背表紙が固定された一方の前記連結部と前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部とは、前記バネ部材の付勢力によって、前記回転中心軸に対する互いの開き角が略80~100度の状態まで回動可能に形成されていることを特徴とする。
【0039】
本発明においては、綴じ具には、綴じ片の基端部を長手方向(矢印Nの方向)に適宜の間隔で連結する左右の連結部と、左右の連結部に長手方向で交互に形成された複数の軸受け部と、各軸受け部に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸と、左右の連結部の間に装着されたバネ部材と、を備え、左右いずれか一方の連結部の背面側には、表表紙及び裏表紙と接続された背表紙が固定され、綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、背表紙が固定された一方の連結部と背表紙が固定されていない他方の連結部とは、バネ部材の付勢力によって、回転中心軸に対する互いの開き角が略80~100度の状態まで回動可能に形成されているので、例えば、背表紙を下方又は斜め下方に向けて、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、他方の連結部は、表表紙及び裏表紙に接続された背表紙の影響を受けにくいことから、主にバネ部材の付勢力の影響を受けて略80~100度回動する。そのため、他方の連結部に連結された他方の綴じ片の先端部に対して、スペーサ部材における保持部の係止孔を簡単に挿入し又は離脱させることができる。
【0040】
したがって、スペーサ・ファイルセットの綴じ具に対してスペーサ部材を簡単に装着し又は取り外すことができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材をスペーサ・ファイルセットの綴じ具に簡単に装着して、紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材をスペーサ・ファイルセットの綴じ具から簡単に取り外すことができるので、スペーサ部材を取り外したファイルのみを本棚等に効果的に収納することができる。
【0041】
(13)(12)に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記バネ部材は、長手方向で交互に配置された前記軸受け部の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、前記回転中心軸の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネであり、
前記圧縮捻りコイルバネの一方の端縁アーム部は、前記背表紙が固定された一方の前記連結部を背面側へ付勢し、前記圧縮捻りコイルバネの他方の端縁アーム部は、前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部を幅方向外方へ付勢していることを特徴とする。
【0042】
本発明においては、バネ部材は、長手方向(矢印Nの方向)で交互に配置された軸受け部の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、回転中心軸の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネであり、圧縮捻りコイルバネの一方の端縁アーム部は、背表紙が固定された一方の連結部を背面側へ付勢し、圧縮捻りコイルバネの他方の端縁アーム部は、背表紙が固定されていない他方の連結部を幅方向外方へ付勢しているので、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネによる捻り方向の付勢力の大部分は、背表紙が固定されていない他方の連結部を幅方向外方へ回動させるモーメント力として作用する。
【0043】
そのため、他方の連結部に連結された他方の綴じ片の先端部は、圧縮捻りコイルバネの捻り方向の付勢力によって、安定した姿勢に保持される。したがって、安定した姿勢に保持される綴じ片の先端部に対して、スペーサ部材における保持部の係止孔をより一層簡単に挿入し又は離脱させることができる。その結果、略360度開いて折返した表表紙と裏表紙との隙間をスペース部によってより一層簡単に塞ぎ、紙葉類に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0044】
(14)(13)に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
隣接する前記軸受け部の長手方向端面には、前記回転中心軸に対して傾斜状に形成されたカム面をそれぞれ設け、
前記カム面は、左右の前記綴じ片の先端部の係合状態において互いに離間し、解除状態において互いに当接するように形成されていることを特徴とする。
【0045】
本発明においては、隣接する軸受け部の長手方向端面には、回転中心軸に対して傾斜状に形成されたカム面をそれぞれ設け、カム面は、左右の綴じ片の先端部の係合状態において互いに離間し、解除状態において互いに当接するように形成されているので、左右の綴じ片の先端部の係合を解除したとき、カム面同士の当接に伴い、圧縮捻りコイルバネが長手方向へ伸長する付勢力が、カム面が形成された軸受け部に伝達される。そのため、圧縮捻りコイルバネが長手方向へ伸長する付勢力が伝達された軸受け部を介して、左右の連結部同士の開き角の保持力を増強させることができる。
【0046】
したがって、左右の連結部同士の開き角を最大の状態で保持させることができる。その結果、綴じ片の先端部に対して、スペーサ部材における保持部の係止孔を挿入し又は離脱させる場合において、綴じ片の先端部同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片の先端部に対してスペーサ部材における保持部の係止孔が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。なお、ここでは、圧縮捻りコイルバネに替えて、圧縮コイルバネを用いることもできる。
【0047】
(15)(14)に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記カム面を設けた前記軸受け部は、少なくとも前記連結部における長手方向の端部近傍に設けたことを特徴とする。
【0048】
本発明においては、カム面を設けた軸受け部は、少なくとも連結部における長手方向の端部近傍に設けたので、左右の綴じ片の先端部の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネの長手方向へ伸長する付勢力がカム面に作用して、綴じ具の長手方向の端部近傍における、連結部の開き角を最大の状態で保持させることができる。そのため、綴じ具の長手方向の長さが大きいファイル(例えば、大きなスケッチブック等)においても、綴じ片の先端部同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片の先端部にスペーサ部材における保持部の係止孔が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0049】
また、綴じ具の長手方向の端部近傍における、連結部の開き角を最大の状態で保持させることができるので、連結部の長手方向における捻じり剛性を補完することができる。そのため、例えば、圧縮捻りコイルバネをよりコンパクトに形成して、連結部の厚さ(幅方向の寸法)を極力薄く形成することができる。したがって、紙葉類の他端側を表表紙及び裏表紙と共に綴じ具を支点に360度開いて折り返したときにおける、紙葉類の一端側での連結部による表表紙と裏表紙との隙間を縮小でき、スペーサ部材におけるスペース部の厚さを薄く形成できる。その結果、より一層コンパクトなスペーサ・ファイルセットを提供できる。
【0050】
(16)(12)乃至(15)のいずれか1つに記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
左右の前記綴じ片の前記基端部は、長手方向の板幅以上の寸法で、長手方向で互いに位置ずれして形成され、
左右の前記綴じ片の先端部には、前記基端部の先端側から幅方向内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設した位置から長手方向へ傾斜した傾斜部で互いに係合する係合部が形成されていることを特徴とする。
【0051】
本発明においては、左右の綴じ片の基端部は、長手方向の板幅以上の寸法で、長手方向(矢印Nの方向)で互いに位置ずれして形成され、左右の綴じ片の先端部には、基端部の先端側から幅方向内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設した位置から長手方向へ傾斜した傾斜部で互いに係合する係合部が形成されているので、複数のスペーサ・ファイルセットを重ね合わせて書棚等に収納する時に、隣接するスペーサ・ファイルセットの綴じ具同士の干渉を避けることができ、書棚等に収納するファイル収納数を増加させることができる。
【0052】
(17)(12)乃至(16)のいずれか1つに記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記左右の綴じ片は、互いに向き合い、先端部に対する底部の深さが異なる略コの字状断面に形成され、
前記保持部の係止孔は、前記底部の深さの深い綴じ片に挿入されていることを特徴とする。
【0053】
本発明においては、左右の綴じ片は、互いに向き合い、先端部に対する底部の深さが異なる略コの字状断面に形成され、保持部の係止孔は、底部の深さの深い綴じ片に挿入されているので、スペース部を綴じ片の底部より外方へ突出させずに、綴じ具に綴じる紙葉類の枚数を増大させることができる。したがって、綴じ具に綴じる紙葉類の枚数を増大させた場合でも、スペース部が邪魔にならずに、スペーサ・ファイルセットを楽に持ち運ぶことができる。
【0054】
(18)(12)乃至(17)のいずれか1つに記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記回転中心軸は、前記背表紙が固定された一方の前記連結部の幅方向中心線に対して、所定量だけ前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部側へ偏心した位置に配置されていることを特徴とする。
【0055】
本発明においては、回転中心軸は、背表紙が固定された一方の連結部の幅方向中心線に対して、所定量だけ背表紙が固定されていない他方の連結部側へ偏心した位置に配置されているので、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除し、左右の連結部の開き角を最大の状態で保持させるストッパ部を、一方の連結部の幅方向側面側と、他方の連結部の背面側に形成することができる。そのため、一方の連結部及び他方の連結部の幅方向の必要な厚さを確保しつつ、長手方向の好適な位置にストッパ部を設けることができる。
【0056】
また、長手方向の好適な位置にストッパ部を設けることによって、左右の連結部同士の開き角を、長手方向で略均等に保持させることができる。その結果、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除し、スペーサ部材における保持部の係止孔を綴じ片から離脱させる場合、又は綴じ片に挿入させる場合において、長手方向の全体における綴じ片の先端部同士の離間距離を略均等に維持して、保持部の係止孔が綴じ片の先端部に引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0057】
(19)(12)乃至(18)のいずれか1つに記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
一方の前記連結部の背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部と、当該基部より幅広に形成された爪部とから成り、当該爪部が基部先端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部が形成され、
前記背表紙には、大径部で前記爪部が通過し、小径部で前記基部と係合した状態で前記爪部に挟まれる異径長孔状の背表紙係止孔が形成されていることを特徴とする。
【0058】
本発明においては、一方の連結部の背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部と、当該基部より幅広に形成された爪部とから成り、当該爪部が基部先端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部が形成され、背表紙には、大径部で爪部が通過し、小径部で基部と係合した状態で爪部に挟まれる異径長孔状の背表紙係止孔が形成されているので、背表紙の長手方向中央部を山型に湾曲させた状態で、背表紙係止孔の大径部に爪部を通過させた後、背表紙の長手方向中央部を平坦な状態に戻して、背表紙係止孔の小径部に基部を係合した状態で、爪部によって背表紙係止孔の小径部を挟み込んで拘束することができる。
【0059】
そのため、背表紙を一方の連結部の背面側に簡単に固定でき、背表紙を固定するための新たな連結部材を、一方の連結部に付設する必要がない。したがって、背表紙を固定する一方の連結部の構造を簡素化して、紙葉類の他端側を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返したときにおける、紙葉類の一端側での連結部による表表紙と裏表紙との隙間を最小化でき、スペーサ部材におけるスペース部の厚さを最小化させることができる。その結果、スペース部が邪魔にならずに、スペーサ・ファイルセットを楽に持ち運ぶことができる。
【0060】
(20)(19)に記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記背表紙には、前記鉤爪状係止部及び前記綴じ片を回避した長手方向中央部に対してラベルシートが貼着され、当該ラベルシートは、前記スペース部に隠れない範囲で前記表表紙及び前記裏表紙まで延設されていることを特徴とする。
【0061】
本発明においては、背表紙には、鉤爪状係止部及び綴じ片を回避した長手方向中央部に対してラベルシートが貼着され、当該ラベルシートは、スペース部に隠れない範囲で表表紙及び裏表紙まで延設されているので、スペーサ・ファイルセットの名称等をラベルシートに記載することができ、スペーサ・ファイルセットの識別性、検索性を高めることができる。
【0062】
(21)(12)乃至(20)のいずれか1つに記載されたスペーサ・ファイルセットにおいて、
前記綴じ具に対して前記紙葉類等が正常に綴じられた状態では、前記保持部と前記スペース部とで挟まれていない前記表表紙又は前記裏表紙の他端側の先端部の一部を、前記保持部と前記スペース部とで挟まれた前記裏表紙又は前記表表紙の他端側の先端部に対して長く形成して、前記紙葉類の他端側を前記表表紙及び前記裏表紙とともに前記綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態では、前記紙葉類の他端側の先端部に対して、前記裏表紙又は前記表表紙の他端側の先端部を短縮させ、前記表表紙又は前記裏表紙の他端側の先端部の一部を僅かに突出させることを特徴とする。
【0063】
本発明においては、綴じ具2に対して紙葉類1等が正常に綴じられた状態(略360度折り返す前の状態)では、保持部とスペース部とで挟まれていない表表紙又は裏表紙の他端側の先端部の一部(例えば、上方部)を、保持部とスペース部とで挟まれた裏表紙又は表表紙の他端側の先端部に対して長く形成して、紙葉類の他端側を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態では、紙葉類の他端側の先端部に対して、裏表紙又は表表紙の他端側の先端部を短縮させ、表表紙又は裏表紙の他端側の先端部の一部を僅かに突出させるので、紙葉類の他端側を表表紙及び裏表紙と共に略360度開いて折り返した状態から、略360度折り返す前の状態へ戻す際、表表紙又は裏表紙の他端側の先端部の突出させた一部に指を掛けることができ、略360度折り返す前の状態へ簡単に戻すことができる。そのため、略360度折り返す前の状態へ戻す際の操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば、紙葉類を係脱可能な綴じ具に綴じた状態で略360度開いて折り返した紙葉類同士の隙間を塞ぎ、紙葉類に文字や絵画等を楽に且つ正確に記載することができるスペーサ部材及び当該スペーサ部材をファイルに装着したスペーサ・ファイルセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本実施形態における第1実施例に係るスペーサ部材が装着されたスペーサ・ファイルセットを裏表紙側から見た正面図である。
図2図1に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、第1実施例のスペーサ部材が装着された裏表紙を綴じ具を支点に略180度開いた状態の展開図である。
図3図1に示すA-A断面図である。
図4図3に示すB矢視図である。
図5図4に示すC-C断面図である。
図6図1に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの要部断面図である。
図7図1に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態の断面図である。
図8図7に示すC部拡大断面図である。
図9図2に示す第1実施例のスペーサ部材の正面図である。
図10図9に示す第1実施例のスペーサ部材における上保持片をスペース部の上端部を支点に上方へ略180度開いた状態の展開図である。
図11図10に示すD-D断面図である。
図12図9に示す第1実施例のスペーサ部材における芯材を変更した第1変形例のD-D断面図である。
図13図9に示す第1実施例のスペーサ部材における保持部を変更した第2変形例の正面図である。
図14図9に示す第1実施例のスペーサ部材における保持部を変更した第3変形例の正面図である。
図15図14に示すE-E断面図である。
図16図9に示す第1実施例のスペーサ部材における保持部を変更した第4変形例の正面図である。
図17図16に示すF-F断面図である。
図18】本実施形態における第2実施例に係るスペーサ部材が装着されたスペーサ・ファイルセットを裏表紙側から見た正面図である。
図19図18に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、第2実施例のスペーサ部材が装着された裏表紙を綴じ具を支点に略180度開いた状態の展開図である。
図20図18に示すG-G断面図である。
図21図19に示すH-H断面図である。
図22図19に示す第2実施例のスペーサ部材の正面図である。
図23図16に示す第4変形例のスペーサ部材における保持部を変更した第5変形例の正面図である。
図24図7に示すC部の綴じ具における拡大断面図である。
図25図24に示すI視の部分正面図である。
図26図24に示す綴じ具において、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの正面図である。
図27図26に示す綴じ具における部分斜視図である。
図28図26に示すF部詳細図であって、(A)は左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの正面図を示し、(B)は左右の綴じ片の先端部同士を係合したときの正面図を示す。
図29図26に示す綴じ具における分解斜視図である。
図30】特許文献1に記載されたスケッチブックにおいて、画用紙を綴じ具を支点に略180度開いた状態の展開図である。
図31図30に示すスケッチブックにおいて、破断線の形成箇所で画用紙を破断する状態を表す部分拡大図である。
図32】特許文献2に記載されたファイルにおいて、紙葉類の他端側を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に360度開いて折り返した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
はじめに、本実施形態に係るスペーサ部材について、第1実施例とその第1~第4変形例と第2実施例を詳細に説明する。次に、本実施形態のスペーサ部材を装着した他の実施形態であるスペーサ・ファイルセットについて詳細に説明する。
【0067】
<第1実施例のスペーサ部材とその第1~第4変形例>
まず、本実施形態に係る第1実施例のスペーサ部材とその第1~第4変形例について、図1図3図6図17を用いて詳細に説明する。図1に、本実施形態における第1実施例に係るスペーサ部材が装着されたスペーサ・ファイルセットを裏表紙側から見た正面図を示す。図2に、図1に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、第1実施例のスペーサ部材が装着された裏表紙を綴じ具を支点に略180度開いた状態の展開図を示す。図3に、図1に示すA-A断面図を示す。図6に、図1に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの要部断面図を示す。図7に、図1に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態の断面図を示す。図8に、図7に示すC部拡大断面図を示す。図9に、図2に示す第1実施例のスペーサ部材の正面図を示す。図10に、図9に示す第1実施例のスペーサ部材における上保持片をスペース部の上端部を支点に上方へ略180度開いた状態の展開図を示す。図11に、図10に示すD-D断面図を示す。図12に、図9に示す第1実施例のスペーサ部材における芯材を変更した第1変形例のD-D断面図を示す。図13に、図9に示す第1実施例のスペーサ部材における保持部を変更した第2変形例の正面図を示す。図14に、図9に示す第1実施例のスペーサ部材における保持部を変更した第3変形例の正面図を示す。図15に、図14に示すE-E断面図を示す。図16に、図9に示す第1実施例のスペーサ部材における保持部を変更した第4変形例の正面図を示す。図17に、図16に示すF-F断面図を示す。
【0068】
図1図3図6図17に示すように、本実施形態の第1実施例に係るスペーサ部材4(4A)とその第1~第4変形例4(4B、4C、4D、4E)は、先端部2STが係脱可能に形成された綴じ片2Tを有する綴じ具2と、綴じ片2Tに綴じた紙葉類1とを備え、紙葉類1を綴じ具2を支点に略360度開いて折り返すことができるファイル10に装着可能に形成されたスペーサ部材4である。
【0069】
なお、紙葉類1は、例えば、A4、B5等(JIS規格)の各種ノートサイズの用紙又はスケッチブックの画用紙等であって、紙葉類1の一端側には、綴じ具2の綴じ片2Tに挿通する綴じ孔11が、複数(例えば、10個)形成されている。綴じ具2の綴じ片2Tは、先端部2ST(2STa、2STb)が係合・離間可能に形成されている。また、各綴じ片2T(2Ta、2Tb)の基端部2LT(2LTa、2LTb)が、長手方向(矢印Nの方向)に延設された左右の連結部21(21a、21b)に適宜の間隔で連結されている。ここでは、綴じ具2の連結部21(21a、21b)の長手方向の長さは、紙葉類1の長手方向の長さより短く形成されているが、紙葉類1の長手方向の長さと同程度でも良い。
【0070】
綴じ具2には、紙葉類1を表裏両側から保護する表表紙31と裏表紙32とが装着されているが、必ずしも、表表紙31又は裏表紙32が装着されていなくても良い。また、綴じ具2には、紙葉類1と表表紙31及び裏表紙32との間に台紙1Dが装着されているが、必ずしも、台紙1Dが装着されていなくても良い。表表紙31又は裏表紙32が装着されていない場合のスペーサ部材4Gについては、後述する。
【0071】
また、表表紙31と裏表紙32は、一方の連結部21aの背面側に固定された背表紙33とインテグラルヒンジで接続され、折り曲げ可能に形成されている。インテグラルヒンジは、背表紙33が固定された一方の連結部21aの背面における幅方向両角部と当接する位置に形成されていることが好ましい。また、表表紙31と裏表紙32には、表表紙31及び裏表紙32を閉じたときに、綴じ具2の綴じ片2Tとの干渉を回避する逃げ用異形孔311、321が形成されている。
【0072】
表表紙31及び裏表紙32を綴じ具2を支点に360度開いて折り返すときには、逃げ用異形孔311、321が綴じ具2の綴じ片2Tから離脱する。表表紙31及び裏表紙32の逃げ用異形孔311、321は、幅方向(開き方向)で横長の略長円状に形成されると共に、綴じ片2Tとの干渉を避けるため、幅方向先端側が僅かに鍵型に屈曲して形成されていることが好ましい。なお、綴じ片2Tの詳細な構造については、他の実施形態であるスペーサ・ファイルセットにて詳述する。
【0073】
また、第1実施例のスペーサ部材4(4A)とその第1~第4変形例4(4B、4C、4D、4E)には、綴じ片2Tに挿通された係止孔411を有し紙葉類1に隣接して配置された保持部41、41D、41Eと、当該保持部41、41D、41Eに連結され綴じ具2の外方で略360度開いて折り返す前の紙葉類1と反対側に配置された板状のスペース部42、42D、42Eとを備え、スペース部42、42D、42Eは、略360度開いて折り返した紙葉類1同士の綴じ具2による隙間Wを塞ぐ大きさに形成されている。したがって、紙葉類1を綴じ具2を支点に略360度開いて折り返した状態で、紙葉類1の綴じ具2から外方へ突出された領域(記載用又は描画用の領域)にスペース部42、42D、42Eを挿入させて、紙葉類1の撓みを全面的に抑制することができる。
【0074】
よって、本実施形態に係るスペーサ部材4(4A、4B、4C、4D、4E)によれば、紙葉類1を係脱可能な綴じ具2に綴じた状態で略360度開いて折り返した紙葉類1同士の隙間Wを塞ぎ、紙葉類1に文字や絵画等を楽に且つ正確に記載することができるスペーサ部材4を提供することができる。なお、略360度開いて折り返した紙葉類1を片手で簡単に把持する場合でも、スペーサ部材4(4A、4B、4C、4D、4E)によって紙葉類1の撓みを全面的に抑制されるので、紙葉類1に記載された文字等を楽に読むことができる。
【0075】
また、綴じ具2には、紙葉類1を表裏両側から保護する表表紙31と裏表紙32とが装着され、保持部41、41D、41Eは、紙葉類1と略同一の大きさに形成されて表表紙31又は裏表紙32の裏面側に配置され、スペース部42、42D、42Eは、略360度開いて折り返した紙葉類1の綴じ具2の外方に突出された領域(記載用又は描画用の領域)と略同一の大きさに形成されて表表紙31又は裏表紙32の表面側に配置されている。また、スペース部42、42D、42Eは、略360度開いて折り返した表表紙31と裏表紙32との一端側の離間距離に相当する厚さt3で略均一に形成されている。
【0076】
したがって、綴じ具2に綴じた紙葉類1を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返す際、保持部41、41D、41Eに連結されたスペース部42、42D、42Eも一緒に折り返されて、略360度開いて折り返した表表紙31と裏表紙32との間に、スペース部42、42D、42Eが自動的に挿入される。
【0077】
そして、スペース部42、42D、42Eは、略360度開いて折り返した紙葉類1の綴じ具2の外方に突出された領域(記載用又は描画用の領域)と略同一の大きさに形成されているので、360度折り返した紙葉類1の上に筆記又は描画等を行おうとした場合、スペース部42、42D、42Eが紙葉類1の外縁から外方へはみ出すことなく、紙葉類1同士の隙間Wをスペース部42、42D、42Eによって確実に塞ぐことができる。その結果、360度折り返した紙葉類1を把持しやすく、紙葉類1全体が撓みにくくなり、文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載できる。
【0078】
ここでは、保持部41、41D、41Eは、裏表紙32の裏面側に配置され、スペース部42、42D、42Eは、裏表紙32の表面側に配置されている。そして、保持部41、41D、41Eの一端側に形成された複数の係止孔411は、複数の綴じ片2Tに係止されている。そのため、本実施形態のスペーサ部材4(4A、4B、4C、4D、4E)は、スペース部42、42D、42Eと保持部41、41D、41Eとが裏表紙32を表裏両面から挟み込むように、綴じ片2Tに装着されている。したがって、スペーサ部材4(4A、4B、4C、4D、4E)を、ファイル10と一緒に楽に持ち運ぶことができる。
【0079】
なお、本実施形態のスペーサ部材4(4A、4B、4C、4D、4E)は、スペース部42、42D、42Eと保持部41、41D、41Eとが表表紙31を表裏両面から挟み込むように、綴じ片2Tに装着しても良い。また、綴じ片2Tには、裏表紙32を表裏両面から挟み込むスペーサ部材4と、表表紙31を表裏両面から挟み込むスペーサ部材4とを、それぞれ装着しても良い。
【0080】
また、図1図2図9図17に示すように、第1実施例のスペーサ部材4(4A)とその第1~第4変形例4(4B、4C、4D、4E)において、スペース部42、42D、42Eは、芯材421と当該芯材421を包むフィルム材43、43D、43Eとから成り、綴じ具2の長手方向で上下一体に形成されている。また、フィルム材43、43D、43Eの上端部432、432D、432Eは、表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32Jの位置で保持部41、41D、41Eの上端部412、412D、412Eと連結されている。フィルム材43、43D、43Eの下端部433、433D、433Eは、表表紙31又は裏表紙32の下端部31K、32Kの位置で保持部41、41D、41Eの下端部414、414D、414Eと連結されている。
【0081】
したがって、スペース部42、42D、42Eの上下位置を、表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32Jと下端部31K、32Kとで規制できる。そのため、スペース部42、42D、42Eが略360度開いて折返した紙葉類1同士の隙間Wを、綴じ具2の長手方向でより正確に塞ぎ、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0082】
また、図11図15図17に示すように、第1実施例のスペーサ部材4(4A)とその第1、第3、第4変形例4(4C、4D、4E)において、芯材421は、所要の厚さを有する樹脂製の発泡シート421Aで形成され、図12に示すように、第2変形例のスペーサ部材4(4B)において、芯材421は、所要の厚さを有する樹脂製の段ボールシート421Bで形成されている。
【0083】
芯材421は、所要の厚さを有する樹脂製の発泡シート421A又は樹脂製の段ボールシート421Bから成るので、スペース部42として必要な剛性を確保しつつ、重量軽減を図ることができる。また、樹脂製の発泡シート421A又は樹脂製の段ボールシート421Bは、ある程度の弾性を備えているので、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に記載することができる。なお、樹脂製の発泡シート421Aは、発泡倍率が8~10倍程度の低密度発泡シートが好ましい。なお、第3変形例のスペーサ部材4(4D)においては、芯材421は、異なる厚さを有する複数の樹脂製の発泡シート421A(421A1、421A2)で形成されている。この場合、文字や絵画等の筆圧に応じて、各発泡シート421A(421A1、421A2)の発泡倍率を変えることもできる。
【0084】
また、図12に示すように、樹脂製の段ボールシート421Bは、表平面板421aと裏平面板421aと両者を所定のピッチで連結する縦板421bとから構成されているので、強度及び耐久性等の面で優れ、平面サイズの大きいスケッチブック等に適している。なお、図12に示す縦板421bは、紙葉類1の幅方向(矢印Hの方向)に延設されているが、綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)に延設しても良い。
【0085】
なお、フィルム材43、43D、43Eは、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製フィルム又は布製フィルムで形成されている。保持部41、41D、41Eは、例えば、ポリエステル、ポリエチレン等の樹脂製シートで形成されている。フィルム材43、43D、43Eが樹脂製フィルムであれば、溶着又は縫製等によって、保持部41、41D、41Eと連結することが好ましい。フィルム材43、43D、43Eが布製フィルムであれば、縫製等によって、保持部41、41D、41Eと連結することが好ましい。また、フィルム材43、43D、43Eにファスナー又はクリップを設けて、スペース部42と保持部41とを係脱可能に連結しても良い。
【0086】
また、図1図2図9図15に示すように、第1実施例のスペーサ部材4(4A)とその第1~第3変形例4(4B、4C、4D)において、フィルム材43、43Dの上端部432、432Dは、表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32Jで折り返されて保持部41、41Dの上端部412、412Dと連結されている。また、フィルム材43、43Dの下端部433、433Dは、表表紙31又は裏表紙32の下端部31K、32Kで折り返されて保持部41、41Dの下端部414、414Dと連結されている。フィルム材43(431)は、芯材421の表面全体と芯材421の裏面の外周縁近傍とを包むように形成され、接着剤で接合されている。
【0087】
この場合、スペース部42、42Dを表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32J及び下端部31K、32Kから突出させずに保持部41、41Dと連結できる。そのため、スペーサ部材4、4Dが邪魔にならず安全な状態で、略360度開いて折返した紙葉類1同士の隙間Wを塞ぎ、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0088】
また、図16図17に示すように、第4変形例のスペーサ部材4(4E)においては、フィルム材43Eの上端部432Eが、表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32Jより上方へ突出した保持部41Eの上端部412Eと連結されている。したがって、フィルム材43Eの上端部432Eと保持部41Eの上端部412Eとを溶着又は縫製等で簡単に連結できる。
【0089】
また、フィルム材43Eの下端部433Eが、表表紙31又は裏表紙32の下端部31K、32Kで折り返されて保持部41Eの下端部414Eと連結されている。したがって、スペース部42Eを表表紙31又は裏表紙32の下端部31K、32Kから突出させずに保持部41Eと連結できる。そのため、フィルム材43Eと保持部41Eとの連結作業性を向上させつつ、略360度開いて折り返した紙葉類1を下端部で把持する際、スペーサ部材4Eが邪魔にならず安全な状態を確保できる。
【0090】
また、図1図2図6図9図13に示すように、第1実施例のスペーサ部材4(4A)とその第1、第2変形例4(4B、4C)において、保持部41は、綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)で上下2つの保持片41a、41b、41Ca、41Cbに分割され、上方に位置する上保持片41a、41Caと下方に位置する下保持片41b、41Cbには、係止孔411(411A、411C)がそれぞれ形成され、当該係止孔411(411A、411C)は、紙葉類1の綴じ片2Tに綴じる綴じ孔11より大きく形成されている。
【0091】
したがって、上保持片41a、41Caと下保持片41b、41Cb、41Cbとを、綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)で回動させることによって、上保持片41a、41Caの係止孔411(411A、411C)と下保持片41b、41Cb、41Cbの係止孔411(411A、411C)とを、開放した各綴じ片2Tの先端部2STに対して余裕をもって挿入又は離脱させて、ファイル10に対してスペーサ部材4(4A、4B、4C)を簡単に装着し又は取り外すことができる。
【0092】
そのため、ファイル10に対するスペーサ部材4(4A、4B、4C)の装着性及び離脱性をより一層向上させることができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材4(4A、4B、4C)をファイル10に簡単に装着して、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材4(4A、4B、4C)をファイル10から簡単に取り外すことができるので、ファイル10を本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0093】
また、図1図3に示すように、第1実施例のスペーサ部材4(4A)とその第1変形例4(4B)においては、係止孔411(411A)の内径t2が紙葉類1の綴じ孔11の内径t1より大きく形成されているので、綴じ具2に対して紙葉類1等が正常に綴じられた状態(略360度折り返す前の状態)では、保持部41の係止孔411(411A)を綴じ片2Tの内周側に移動させて、スペース部42の幅方向内端縁42Nの位置を、綴じ片2Tの先端部2STに近接させることができる。そして、スペース部42の幅方向外端縁42Gの位置を、紙葉類1の他端側の先端部12と略一致させることができる。
【0094】
また、図7図8に示すように、紙葉類1を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返した状態では、保持部41の係止孔411(411A)を綴じ片2Tの外周側に移動させて、スペース部42の幅方向内端縁42Nの位置を、綴じ片2Tの基端部2LTを連結する連結部21(21a)に近接させることができる。そして、スペース部42の幅方向外端縁42Gの位置を、紙葉類1の他端側の先端部12と略一致させることができる。
【0095】
なお、図9図10に示すように、第1実施例のスペーサ部材4Aとその第1変形例4Bの係止孔411Aは、丸孔として形成されているが、図13に示すように、第2変形例4Cの係止孔411Cは、長手方向(矢印Nの方向)に長い長孔として形成されている。係止孔411Cを長手方向に長い長孔として形成することによって、ファイル10に対するスペーサ部材4Cの装着性及び離脱性をより一層向上させることができると同時に、スペーサ部材4Cを表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返す際、綴じ片2Tの先端部2ST同士の継ぎ目に係止孔411Cの円弧部ではなく直線部が当接するので、引っかかりにくくなる作用効果も奏する。
【0096】
また、図9図10に示すように、第1実施例のスペーサ部材4Aとその第1変形例4Bにおいては、上保持片41Caと下保持片41Cbとの分割線413は、綴じ具2の幅方向(矢印Hの方向)へ直線状に形成されているが、図13に示すように、第3変形例のスペーサ部材4(4C)においては、上保持片41Caと下保持片41Cbとの分割線413Cは、上下に湾曲する波形状に形成されている。上保持片41Caと下保持片41Cbとの分割線413Cが、上下に湾曲する波形状に形成されたことによって、紙葉類1に分割線413Cによる凹みが生じにくい作用効果を奏する。また、上保持片41Caと下保持片41Cbとの分割線413Cが上下に波形状に湾曲することによって、スペース部42の曲げ癖も生じにくくなる作用効果も奏する。そのため、略360度開いて折返した紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0097】
また、図14図17に示すように、第3、第4変形例のスペーサ部材4D、4Eにおいては、保持部41D、41Eは、綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)で上下一体に形成され、係止孔411D、411Eは、綴じ具2の幅方向(矢印Hの方向)で長孔状に形成されている。ここでは、係止孔411D、411Eは、保持部41D、41Eの上部と下部に2個ずつ形成されているが、これに限定されるものではない。
【0098】
なお、係止孔411D、411Eは、綴じ具2の幅方向(矢印Hの方向)で長孔状に形成されているので、保持部41D、41Eが上下に分割されていなくても、長孔状の係止孔411D、411Eを、開放した各綴じ片2Tの先端部2STに対して余裕をもって挿入又は離脱させて、ファイル10に対してスペーサ部材4D、4Eを簡単に装着し又は取り外すことができる。
【0099】
そのため、ファイル10に対するスペーサ部材4D、4Eの装着性及び離脱性をより一層向上させることができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材4D、4Eをファイル10に簡単に装着して、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材4D、4Eをファイル10から簡単に取り外すことができるので、ファイル10を本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0100】
また、第3、第4変形例のスペーサ部材4D、4Eにおいては、保持部41D、41Eの上部と下部には、綴じ具2の幅方向内方へ突設した一対の支持片41DN1、41DN2、41EN1、41EN2が形成され、当該支持片41DN1、41DN2、41EN1、41EN2に長孔状の係止孔411D、411Eがそれぞれ形成されている。したがって、綴じ片2Tが綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)の上部と下部のみに形成された場合でも、スペーサ部材4D、4Eをファイル10に装着することができる。
【0101】
また、保持部41D、41Eの幅方向内端部41DN、41ENは、両支持片41DN1、41DN2、41EN1、41EN2以外の領域ではスペース部42D、42Eの幅方向内端部42DN、42ENより幅方向外方に形成されている。したがって、綴じ片2Tが綴じ具2の長手方向で上部から下部まで連続的に形成されている場合でも、保持部41D、41Eが綴じ片2Tと干渉せずに、スペーサ部材4D、4Eをファイル10に装着することができる。
【0102】
そのため、第3、第4変形例のスペーサ部材4D、4Eでは、綴じ具2の種類によらず、各種のファイル10に対するスペーサ部材4D、4Eの装着性及び離脱性を確保することができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材4D、4Eを各種ファイル10に簡単に装着して、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材4D、4Eを各種ファイル10から簡単に取り外すことができるので、当該ファイル10を本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0103】
<第2実施例のスペーサ部材>
次に、本実施形態に係る第2実施例のスペーサ部材について、図18図22を用いて詳細に説明する。図18に、本実施形態における第2実施例に係るスペーサ部材が装着されたスペーサ・ファイルセットを裏表紙側から見た正面図を示す。図19に、図18に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、第2実施例のスペーサ部材が装着された裏表紙を綴じ具を支点に略180度開いた状態の展開図を示す。図20に、図18に示すG-G断面図を示す。図21に、図19に示すH-H断面図を示す。図22に、図19に示す第2実施例のスペーサ部材の正面図を示す。
【0104】
図18図22に示すように、本実施形態の第2実施例に係るスペーサ部材4(4F)は、先端部2STが係脱可能に形成された綴じ片2Tを有する綴じ具2と、綴じ片2Tに綴じた紙葉類1とを備え、紙葉類1を綴じ具2を支点に略360度開いて折り返すことができるファイル10に装着可能に形成されたスペーサ部材4である。ここでは、前述した第1実施例に係るスペーサ部材4(4A)とその第1~第4変形例4(4B、4C、4D、4E)と相違する内容を中心に説明し、共通する内容は、極力割愛する。
【0105】
第2実施例のスペーサ部材4(4F)には、綴じ片2Tに挿通された係止孔411(411F)を有し紙葉類1に隣接して配置された保持部41Fと、当該保持部41Fに連結され綴じ具2の外方で略360度開いて折り返す前の紙葉類1と反対側に配置された板状のスペース部42Fとを備え、スペース部42Fは、略360度開いて折り返した紙葉類1同士の綴じ具2による隙間Wを塞ぐ大きさに形成されている。ここでは、綴じ具2には、紙葉類1を表裏両側から保護する表表紙31と裏表紙32とが装着されているが、必ずしも、表表紙31又は裏表紙32が装着されていなくても良い。また、綴じ具2には、紙葉類1と表表紙31及び裏表紙32との間に台紙1Dが装着されているが、必ずしも、台紙1Dが装着されていなくても良い。
【0106】
また、保持部41Fは、紙葉類1と略同一の大きさに形成されて表表紙31又は裏表紙32の裏面側に配置され、スペース部42Fは、略360度開いて折り返した紙葉類1の綴じ具2の外方に突出された領域(記載用又は描画用の領域)と略同一の大きさに形成されて表表紙31又は裏表紙32の表面側に配置されている。また、スペース部42Fは、略360度開いて折り返した表表紙31と裏表紙32との一端側の離間距離に相当する厚さt3で略均一に形成されている。ここでは、保持部41Fは、裏表紙32の裏面側に配置され、スペース部42Fは、裏表紙32の表面側に配置されている。
【0107】
なお、第2実施例のスペーサ部材4(4F)についても、スペース部42Fと保持部41Fとが表表紙31を表裏両面から挟み込むように、綴じ片2Tに装着しても良い。また、綴じ片2Tには、裏表紙32を表裏両面から挟み込むスペーサ部材4Fと、表表紙31を表裏両面から挟み込むスペーサ部材4Fとを、それぞれ装着しても良い。
【0108】
また、スペース部42Fは、芯材421(421A)と当該芯材421(421A)を包むフィルム材43Fとから成り、綴じ具2の長手方向で上下一体に形成されている。また、スペース部42Fは、フィルム材F43Fの幅方向外端部434F(435F、436F)が、綴じ具2の幅方向(矢印Hの方向)で折り曲げ可能に保持部41Fの幅方向外端部41FGと連結されている。
【0109】
すなわち、フィルム材43Fは、芯材421(421A)の表面全体と裏面全体を包み、芯材421(421A)の外周縁に沿って溶着又は縫製等によって接続されている。また、フィルム材43Fの表面側の幅方向外端部435Fが、保持部41Fの幅方向外端部41FGの裏面に溶着又は縫製等によって接続され、フィルム材43Fの裏面側の幅方向外端部436Fが、保持部41Fの幅方向外端部41FGの表面に溶着又は縫製等によって接続されている。また、芯材421は、所要の厚さを有する樹脂製の発泡シート421Aで形成されているが、所要の厚さを有する樹脂製の段ボールシート421Bで形成しても良い。
【0110】
したがって、スペース部42Fと保持部41Fとの連結部を綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)に沿って直線状に形成しつつ、保持部41Fを表表紙31又は裏表紙32の裏面側に配置して、フィルム材43Fの幅方向外端部434Fを折り返してスペース部42Fを表表紙31又は裏表紙32の表側に配置できる。この場合には、スペース部42Fを表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32J及び下端部31K、32Kから突出させずに保持部41Fと連結できる。そのため、スペーサ部材4Fが邪魔にならず安全な状態で、略360度開いて折返した紙葉類1同士の隙間Wを塞ぎ、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0111】
また、係止孔411(411F)の内径t2は、紙葉類1の綴じ片2Tに綴じる綴じ孔11の内径t1と略同一に形成されている。しかし、スペース部42Fは、フィルム材F43Fの幅方向外端部434F(435F、436F)が、綴じ具2の幅方向(矢印Hの方向)で折り曲げ可能に保持部41Fの幅方向外端部41FGと連結されているので、開放した各綴じ片2Tの先端部2STに対して係止孔411(411F)を簡単に挿入又は離脱させることができる。
【0112】
そのため、ファイル10に対するスペーサ部材4(4F)の装着性及び離脱性をより一層向上させることができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材4(4F)をファイル10に簡単に装着して、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材4(4F)をファイル10から簡単に取り外すことができるので、ファイル10を本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0113】
<スペーサ・ファイルセット>
次に、他の実施形態に係るスペーサ・ファイルセットについて、図1図8図18図20図24図29を用いて詳細に説明する。図1に、本実施形態における第1実施例に係るスペーサ部材が装着されたスペーサ・ファイルセットを裏表紙側から見た正面図を示す。図2に、図1に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、第1実施例のスペーサ部材が装着された裏表紙を綴じ具を支点に略180度開いた状態の展開図を示す。図3に、図1に示すA-A断面図を示す。図6に、図1に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの要部断面図を示す。図7に、図1に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態の断面図を示す。図8に、図7に示すC部拡大断面図を示す。図18に、本実施形態における第2実施例に係るスペーサ部材が装着されたスペーサ・ファイルセットを裏表紙側から見た正面図を示す。図19に、図18に示すスペーサ・ファイルセットにおいて、第2実施例のスペーサ部材が装着された裏表紙を綴じ具を支点に略180度開いた状態の展開図を示す。図20に、図18に示すG-G断面図を示す。図24に、図7に示すC部の綴じ具における拡大断面図を示す。図25に、図24に示すI視の部分正面図を示す。図26に、図24に示す綴じ具において、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの正面図を示す。図27に、図26に示す綴じ具における部分斜視図を示す。図28に、図26に示すF部詳細図であって、(A)は左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの正面図を示し、(B)は左右の綴じ片の先端部同士を係合したときの正面図を示す。図29に、図26に示す綴じ具における分解斜視図を示す。
【0114】
本他の実施形態に係るスペーサ・ファイルセット10Sは、図1図8図18図20図24図29に示すように、前述した本実施形態に係るスペーサ部材4(4A、4B、4C、4D、4E、4F)を装着したスペーサ・ファイルセット10Sであって、綴じ具2には、綴じ片2Tの基端部2LTを長手方向に適宜の間隔で連結する左右の連結部21(21a、21b)と、左右の連結部21(21a、21b)に長手方向で交互に形成された複数の軸受け部22(22a、22b)と、各軸受け部22(22a、22b)に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸23と、左右の連結部21(21a、21b)の間に装着されたバネ部材24と、を備えている。
【0115】
また、左右いずれか一方の連結部21aの背面側には、表表紙31及び裏表紙32と接続された背表紙33が固定され、綴じ片2Tの先端部2ST同士の係合を解除したとき、背表紙33が固定された一方の連結部21aと背表紙33が固定されていない他方の連結部21bとは、バネ部材24の付勢力によって、回転中心軸23に対する互いの開き角αが略80~100度の状態まで回動可能に形成されている。
【0116】
したがって、例えば、背表紙33を下方又は斜め下方に向けて、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、他方の連結部21bは、表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33の影響を受けにくいことから、主にバネ部材24の付勢力の影響を受けて略80~100度回動する。
【0117】
そのため、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対して、スペーサ部材4における保持部41の係止孔411を簡単に挿入し又は離脱させることができる。したがって、スペーサ・ファイルセット10Sに対してスペーサ部材4を簡単に装着し又は簡単に取り外すことができる。なお、バネ部材24は、後述するように、圧縮捻りコイルバネ24N又は圧縮コイルバネ24Mが好ましいが、他の種類のバネ(例えば、捻りコイルバネ、引張りバネ等)を用いることもできる。また、異なる種類のバネ部材24を組み合わせても良い。
【0118】
また、図1図2図7に示すように、表表紙31の他端側の先端部312及び裏表紙32の他端側の先端部322には、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、紙葉類1の他端側の先端部12と略揃うように幅方向で短縮形成された短縮部31S、32Sを備えていることが好ましい。この場合、図7に示すように、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、短縮部31S、32Sが掌に閊えることがなく、紙葉類1の他端側を片手で安定して持つことができる。
【0119】
なお、図1に示すように、綴じ具2に対して紙葉類1等が正常に綴じられた状態(略360度折り返す前の状態)では、表表紙31の他端側の先端部312及び裏表紙32の他端側の先端部322は、短縮部31S、32Sに対して僅かに短く形成しても良い。この場合、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、紙葉類1の他端側の先端部12に対して、表表紙31の他端側の先端部312及び裏表紙32の他端側の先端部322が僅かに引っ込んでいる。そのため、短縮部31S、32S以外の箇所でも、紙葉類1の他端側を片手で把持することも可能となり、略360度開いたときの把持領域を自由に選択できて、利便性が向上する。
【0120】
ただし、綴じ具2に対して紙葉類1等が正常に綴じられた状態(略360度折り返す前の状態)で、表表紙31の他端側の先端部312及び裏表紙32の他端側の先端部322を、紙葉類1の他端側の先端部12に対して短く形成した場合には、表表紙31及び裏表紙32によって保護されない個所で、紙葉類1の汚れや損傷等が生じる恐れがある。これを防止するため、図3図6図8に示すように、紙葉類1と略同一サイズの台紙1Dを、紙葉類1を挟むように装着することが好ましい。台紙1Dは、紙葉類1を保護する厚紙又は樹脂等の素材で形成されていれば良い。
【0121】
また、図18に示すように、綴じ具2に対して紙葉類1等が正常に綴じられた状態(略360度折り返す前の状態)では、保持部41Fとスペース部42Fとで挟まれていない表表紙31の他端側の先端部312の一部(例えば、上方部)を、保持部41Fとスペース部42Fとで挟まれた裏表紙32の他端側の先端部322に対して長く形成して、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、紙葉類1の他端側の先端部12に対して、裏表紙32の他端側の先端部322を短縮させ、表表紙31の他端側の先端部312の一部を僅かに突出させることが好ましい。紙葉類1の他端側の先端部12に対する、表表紙31の他端側の先端部312の一部の突出量は、指が掛かる程度であれば良く、例えば、2~5mmで良い。
【0122】
この場合、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32と共に略360度開いて折り返した状態から、略360度折り返す前の状態へ戻す際、表表紙31の他端側の先端部312の突出した一部に指を掛けることができ、略360度折り返す前の状態へ簡単に戻すことができる。そのため、略360度折り返す前の状態へ戻す際の操作性が向上する。
【0123】
なお、表表紙31の他端側の先端部312の一部(例えば、上方部)を、裏表紙32の他端側の先端部322に対して長く形成させる上記内容については、表表紙31と裏表紙32とを逆転させても良い。すなわち、綴じ具2に対して紙葉類1等が正常に綴じられた状態(略360度折り返す前の状態)では、保持部41Fとスペース部42Fとで挟まれていない裏表紙32の他端側の先端部322の一部(例えば、上方部)を、保持部41Fとスペース部42Fとで挟まれた表表紙31の他端側の先端部312に対して長く形成して、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、紙葉類1の他端側の先端部12に対して、表表紙31の他端側の先端部312を短縮させ、裏表紙32の他端側の先端部322の一部を僅かに突出させても良い。
【0124】
また、図24図26図27図29に示すように、バネ部材24は、長手方向(矢印Nの方向)で交互に形成された軸受け部22(22a、22b)の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、回転中心軸23の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネ24Nであり、圧縮捻りコイルバネ24Nの一方の端縁アーム部241は、背表紙33が固定された一方の連結部21aを背面側へ付勢し、圧縮捻りコイルバネ24Nの他方の端縁アーム部242は、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bを幅方向外方へ付勢していることが好ましい。
【0125】
この場合、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネ24Nによる捻り方向の付勢力Rの大部分は、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bを幅方向外方へ回動させるモーメント力として作用する。
【0126】
そのため、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、圧縮捻りコイルバネ24Nの捻り方向の付勢力Rによって、安定した姿勢に保持される。したがって、安定した姿勢に保持される綴じ片2Tbの先端部2STbに対して、スペーサ部材4における保持部41の係止孔411を、より一層簡単に挿入し又はより一層簡単に離脱させることができる。その結果、略360度開いて折返した表表紙31と裏表紙32との隙間Wをスペース部42によってより一層簡単に塞ぎ、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0127】
なお、圧縮捻りコイルバネ24Nは、連結部21(21a、21b)の長手方向の中央部近傍に1つ装着されているが、2つ以上装着しても良い。また、圧縮捻りコイルバネ24Nの装着位置は、必ずしも長手方向の中央部近傍に限らなくても良い。また、圧縮捻りコイルバネ24Nにおける、長手方向(軸方向)に伸長しようとする付勢力Qは、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士を係合させる方向に作用し、また、周方向に捻る付勢力Rは、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除させる方向に作用する。
【0128】
そのため、直接的に又は間接的に、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)又は左右の連結部21(21a、21b)を長手方向で互いに反対側へ移動させることによって、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除すれば、圧縮捻りコイルバネ24の捻り方向の付勢力Rによって、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)が、自動的に幅方向へ離間する。
【0129】
また、図26図29に示すように、隣接する軸受け部22(22a、22b)の長手方向端面には、回転中心軸23に対して傾斜状に形成されたカム面221(221a、221b)をそれぞれ設け、カム面221(221a、221b)は、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合状態において互いに離間し、解除状態において互いに当接するように形成されていることが好ましい。
【0130】
この場合、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、カム面221(221a、221b)同士の当接に伴い、圧縮捻りコイルバネ24Nが長手方向へ伸長する付勢力Qが、カム面221(221a、221b)が形成された軸受け部22(22a、22b)に伝達される。
【0131】
そのため、圧縮捻りコイルバネ24Nが長手方向へ伸長する付勢力Qが伝達された軸受け部22(22a、22b)を介して、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αの保持力を増強させることができる。したがって、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αを最大の状態で保持させることができる。その結果、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に対して、スペーサ部材4における保持部41の係止孔411を挿入し又は離脱させる場合において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に対してスペーサ部材4における保持部41の係止孔411が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0132】
なお、圧縮捻りコイルバネ24Nに替えて、圧縮コイルバネ24Mを用いることもできる。その場合、圧縮コイルバネ24Mの長手方向へ伸長する付勢力Qが、カム面221(221a、221b)を介して軸受け部22(22a、22b)に伝達され、左右の連結部21(21a、21b)同士を開き方向に回動させることができる。
【0133】
また、カム面221(221a、221b)を設けた軸受け部22(22a、22b)は、少なくとも連結部21(21a、21b)における長手方向の端部近傍に設けたことが好ましい。これによって、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネ24Nの長手方向へ伸長する付勢力Qがカム面221(221a、221b)に作用して、綴じ具2の長手方向の端部近傍における、連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させることができる。
【0134】
そのため、綴じ具2の長手方向の長さが大きいファイル(例えば、大きなスケッチブック等)においても、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)にスペーサ部材4における保持部41の係止孔411が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0135】
また、カム面221(221a、221b)を設けた軸受け部22(22a、22b)は、少なくとも連結部21(21a、21b)における長手方向の端部近傍に設けたことによって、綴じ具2の長手方向の端部近傍における、連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させることができるので、連結部21(21a、21b)の長手方向における捻じり剛性を補完することができる。
【0136】
そのため、例えば、圧縮捻りコイルバネ24Nをよりコンパクトに形成して、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向の寸法)を極力薄く形成することができる。したがって、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32と共に綴じ具2を支点に360度開いて折り返したときにおける、紙葉類1の一端側での連結部21(21a、21b)による表表紙31と裏表紙32との隙間Wを縮小でき、スペーサ部材4におけるスペース部42の厚みt3を薄く形成できる。その結果、より一層コンパクトなスペーサ・ファイルセット10Sを提供できる。なお、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向の寸法)を極力薄く形成することによって、360度開いて折り返したときにおける、綴じ具2に綴じ得る紙葉類1の枚数をより一層増加できる。したがって、コンパクトでありながら大量の紙葉類1の収容できるスペーサ・ファイルセット10Sを提供できる。
【0137】
また、図25図27に示すように、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の基端部2LT(2LTa、2LTb)は、長手方向(矢印Nの方向)の板幅d4以上の寸法で、長手方向で互いに位置ずれして形成され、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)には、基端部2LT(2LTa、2LTb)の先端側から幅方向(矢印Hの方向)内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設した位置から長手方向へ傾斜した傾斜部2QT(2QTa、2QTb)で互いに係合する係合部2GT(2GTa、2GTb)が形成されていることが好ましい。この場合、複数のスペーサ・ファイルセット10Sを重ね合わせて書棚等に収納する時に、隣接するスペーサ・ファイルセット10Sの綴じ具2同士の干渉を避けることができ、書棚等に収納するファイル収納数を増加させることができる。
【0138】
なお、図25に示すように、左右の綴じ片2Ta、2Tbの先端部2STa、2STbに形成した係合部2GTa、2GTbには、互いに板幅方向へ山型に突出する凸部2GT1a、2GT1bが先端側に形成され、相手方の凸部2GT1a、2GT1bに対して、長手方向及び幅方向で係合する凹部2GT2a、2GT2bが基端側に形成されている。これによって、係合部2GTa、2GTb同士が、長手方向と幅方向とで確実に係合し、不用意な係合の解除を回避することができる。
【0139】
また、図3図6図20に示すように、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)は、互いに向き合う略コの字状断面に形成され、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対する基端部2LTbにおける略コの字状断面の底部2KTbの深さd2を、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaに対する基端部2LTaにおける略コの字状断面の底部2KTaの深さd1より、大きく形成し、また、他方の綴じ片2Tbには、保持部41の係止孔411が係止されていることが好ましい。
【0140】
この場合、スペース部42に対して他方の綴じ片2Tbの略コの字状断面の底部2KTbの突出量を増大させることができる。そのため、スペース部42を他方の綴じ片2Tbの略コの字状断面の底部2KTbより外方へ突出させずに、綴じ具2に綴じる紙葉類1の枚数を増大させることができる。したがって、綴じ具2に綴じる紙葉類1の枚数を増大させた場合でも、スペース部42が邪魔にならずに、スペーサ・ファイルセット10Sを楽に持ち運ぶことができる。
【0141】
なお、図24に示すように、他方の綴じ片2Tbでは、他方の連結部21bの側壁から斜め外方へ突出した基端部2LTbの付け根部と略コの字状断面の底部2KTbとが交差する位置の内角βは、100~120度程度の鈍角で形成されていることが好ましい。また、図20に示すように、略コの字状断面の底部2KTbと先端部2STbとの交差する位置のコーナRは、一方の綴じ片2Taの当該コーナRより大きく形成することが好ましい。この場合、多くの紙葉類1を、深さd2の深い略コの字状断面の底部2KTbを経由して360度折り返す際の、保持部41の係止孔411の変形又は引っ掛りや紙葉類1の綴じ孔11の変形等を回避しやすい等の利点がある。
【0142】
また、略コの字状断面の底部2KTa、2KTbは、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合状態において、左右の連結部21(21a、21b)より幅方向外方で、互いに略平行になるように形成されていることが好ましい。これによって、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の幅方向寸法を最小化しつつ、より多くの紙葉類1を綴じることができる。この場合でも、略コの字状断面に形成された左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の角部(屈曲部)を円弧状に形成することが好ましい。これによって、より多くの紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に対して360度折り返す際にも、保持部41の係止孔411や紙葉類1の綴じ孔11が綴じ片2T(2Ta、2Tb)の角部(屈曲部)に引っかかることなく、スムーズに折り返すことができる。
【0143】
また、図24に示すように、回転中心軸23は、背表紙33が固定された一方の連結部21aの幅方向中心線CLに対して、所定量d3だけ背表紙33が固定されていない他方の連結部21b側へ偏心した位置に配置されていることが好ましい。この場合、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除し、左右の連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させるストッパ部212a、212bを、一方の連結部21aの幅方向側面側と、他方の連結部21bの背面側に形成することができる。そのため、一方の連結部21a及び他方の連結部21bの幅方向の必要な厚さを確保しつつ、長手方向の好適な位置にストッパ部212a、212bを設けることができる。
【0144】
また、長手方向の好適な位置にストッパ部212a、212bを設けることによって、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αを、長手方向で略均等に保持させることができる。その結果、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除し、スペーサ部材4における保持部41の係止孔411を綴じ片2Tから離脱させる場合、又は綴じ片2Tに係止させる場合において、長手方向の全体における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間距離を略均等に維持して、保持部41の係止孔411が綴じ片2Tの先端部2STに引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0145】
また、図1図3図4図5図18図20に示すように、一方の連結部21aの背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部211Pと、当該基部211Pより幅広に形成された爪部211Tとから成り、当該爪部211Tが基部先端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部211が形成され、背表紙33には、大径部331で爪部211Tが通過し、小径部332で基部211Pと係合した状態で爪部211Tに挟まれる異径長孔状の背表紙係止孔33Hが形成されていることが好ましい。
【0146】
これによって、背表紙33の長手方向中央部を山型に湾曲させた状態で、背表紙係止孔33Hの大径部331に爪部211Tを通過させた後、背表紙33の長手方向中央部を平坦な状態に戻して、背表紙係止孔33Hの小径部332に基部211Pを係合した状態で、爪部211Tによって背表紙係止孔33Hの小径部332を挟み込んで拘束することができる。
【0147】
そのため、背表紙33を一方の連結部21aの背面側に簡単に固定でき、背表紙33を固定するための新たな連結部材を、一方の連結部21aに付設する必要がない。したがって、背表紙33を固定する一方の連結部21aの構造を簡素化して、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したときにおける、紙葉類1の一端側での連結部21による表表紙31と裏表紙32との隙間Wを最小化でき、スペーサ部材4におけるスペース部42の厚さt3を最小化させることができる。その結果、スペース部42が邪魔にならずに、スペーサ・ファイルセット10Sを持ち運ぶこと8できる。
【0148】
なお、鉤爪状係止部211は、基部211Pと爪部211Tとが連結して、側面視でL字状に形成されている。小径部332は、大径部331の長手方向中央側に接続されている。一方の連結部21aの背面側には、基部211Pの周囲に、爪部211Tの外方への突出量を最小化させつつ、背表紙係止孔33Hを挿入しやすいように、僅かな窪み部21Hが形成されている。また、爪部211Tの外方への突出量を最小化させることによって、図8に示すように、紙葉類1を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返した状態で、スペース部42の幅方向内端部42Nを、綴じ片2Tの基端部2LTを連結する連結部21(21a)に、より一層近接させることができる。
【0149】
また、図1図18に示すように、背表紙33には、鉤爪状係止部211及び綴じ片2Tを回避した長手方向中央部に対してラベルシート34が貼着され、当該ラベルシート34は、スペース部42に隠れない範囲で表表紙31及び裏表紙32まで延設されていることが好ましい。これによって、スペーサ・ファイルセット10Sの名称等をラベルシート34に記載することができ、スペーサ・ファイルセット10Sの識別性、検索性を高めることができる。
【0150】
<作用効果>
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るスペーサ部材4によれば、スペーサ部材4(4A、4B、4C、4D、4E、4F、4H)には、綴じ片2Tに挿通された係止孔411を有し紙葉類1に近接して配置された保持部41、41D、41E、41F、41Hと、当該保持部に連結され綴じ具2の外方で略360度開いて折り返す前の紙葉類1と反対側に配置された板状のスペース部42、42D、42E、42F、42Hとを備え、スペース部42、42D、42E、42F、42Hは、略360度開いて折り返した紙葉類1同士の綴じ具2による隙間Wを塞ぐ大きさに形成されているので、紙葉類1を綴じ具2を支点に略360度開いて折り返した状態で、紙葉類1の綴じ具2から外方へ突出された領域(記載用又は描画用の領域)に、スペース部42、42D、42E、42F、42Hを挿入させて、紙葉類1の撓みを全面的に抑制することができる。
【0151】
よって、本実施形態によれば、紙葉類1を係脱可能な綴じ具2に綴じた状態で略360度開いて折り返した紙葉類1同士の隙間Wを塞ぎ、紙葉類1に文字や絵画等を楽に且つ正確に記載することができるスペーサ部材4を提供することができる。
【0152】
また、本実施形態によれば、綴じ具2には、紙葉類1を表裏両側から保護する表表紙31と裏表紙32とが装着され、保持部41、41D、41E、41Fは、紙葉類1と略同一の大きさに形成されて表表紙31又は裏表紙32の裏面側に配置され、スペース部42、42D、42E、42Fは、略360度開いて折り返した紙葉類1の綴じ具2の外方に突出された領域(記載用又は描画用の領域)と略同一の大きさに形成されて表表紙31又は裏表紙32の表面側に配置されているので、紙葉類1を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返す際、保持部41、41D、41E、41Fに連結されたスペース部42、42D、42E、42Fも一緒に折り返されて、略360度開いて折り返した表表紙31と裏表紙32との間に、スペース部42、42D、42E、42Fが自動的に挿入される。そして、スペース部42、42D、42E、42Fは、略360度開いて折り返した紙葉類1の綴じ具2の外方に突出された領域(記載用又は描画用の領域)と略同一の大きさに形成されているので、360度折り返した紙葉類1の上に筆記又は描画等を行おうとした場合、スペース部42、42D、42E、42Fが紙葉類1の外縁から外方へはみ出すことなく、紙葉類1同士の隙間Wをスペース部42、42D、42E、42Fによって確実に塞ぐことができる。その結果、360度折り返した紙葉類1を把持しやすく、紙葉類1全体が撓みにくくなり、文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載できる。
【0153】
また、本実施形態によれば、スペース部42、42D、42Eは、芯材421と当該芯材421を包むフィルム材43、43D、43Eとから成り、綴じ具2の長手方向で上下一体に形成され、フィルム材43、43D、43Eの上端部432、432D、432Eが表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32Jの位置で保持部41、41D、41Eの上端部412、412D、412Eと連結され、フィルム材43、43D、43Eの下端部433、433D、433Eが表表紙31又は裏表紙32の下端部31K、32Kの位置で保持部41、41D、41Eの下端部414、414D、414Eと連結されているので、スペース部42、42D、42Eの上下位置を、表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32Jと下端部31K、32Kとで規制できる。そのため、スペース部42、42D、42Eが略360度開いて折返した紙葉類1同士の隙間Wを、綴じ具2の長手方向でより正確に塞ぎ、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0154】
また、本実施形態によれば、フィルム材43、43Dの上端部432、432Dが表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32Jで折り返されて保持部41、41Dの上端部412、412Dと連結され、フィルム材43、43Dの下端部433、433Dが表表紙31又は裏表紙32の下端部31K、32Kで折り返されて保持部41、41Dの下端部414、414Dと連結されているので、スペース部42、42Dを表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32J及び下端部31K、32Kから突出させずに保持部41、41Dと連結できる。そのため、スペーサ部材4、4Dが邪魔にならず安全な状態で、略360度開いて折返した紙葉類1同士の隙間Wを塞ぎ、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0155】
また、本実施形態によれば、フィルム材43Eの上端部432Eが表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32Jより上方へ突出した保持部41Eの上端部412Eと連結されているので、フィルム材43Eの上端部432Eと保持部41Eの上端部412Eとを溶着又は縫製等で簡単に連結できる。また、フィルム材43Eの下端部433Eが表表紙31又は裏表紙32の下端部31K、32Kで折り返されて保持部41Eの下端部414Eと連結されているので、スペース部42Eを表表紙31又は裏表紙32の下端部31K、32Kから突出させずに保持部41Eと連結できる。そのため、フィルム材43Eと保持部41Eとの連結作業性を向上させつつ、略360度開いて折り返した紙葉類1を把持する際、スペーサ部材4Eが邪魔にならず安全な状態を確保できる。
【0156】
また、本実施形態によれば、保持部41D、41Eは、綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)で上下一体に形成され、係止孔411D、411Eは、綴じ具2の幅方向(矢印Hの方向)で長孔状に形成されているので、長孔状の係止孔411D、411Eを、開放した各綴じ片2Tの先端部2STに対して余裕をもって挿入又は離脱させて、ファイル10に対してスペーサ部材4D、4Eを簡単に装着し又は取り外すことができる。そのため、ファイル10に対するスペーサ部材4D、4Eの装着性及び離脱性をより一層向上させることができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材4D、4Eをファイル10に簡単に装着して、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材4D、4Eをファイル10から簡単に取り外すことができるので、ファイル10を本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0157】
また、本実施形態によれば、保持部41D、41Eの上部と下部には、綴じ具2の幅方向内方へ突設した一対の支持片41DN1、41DN2、41EN1、41EN2が形成され、当該支持片41DN1、41DN2、41EN1、41EN2に長孔状の係止孔411D、411Eがそれぞれ形成されているので、綴じ片2Tが綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)の上部と下部のみに形成された場合でも、スペーサ部材4D、4Eをファイル10に装着することができる。また、保持部41D、41Eの幅方向内端部41DN、41ENは、両支持片41DN1、41DN2、41EN1、41EN2以外の領域ではスペース部42D、42Eの幅方向内端部42DN、42ENより幅方向外方に形成されているので、綴じ片2Tが綴じ具2の長手方向で上部から下部まで連続的に形成されている場合でも、保持部41D、41Eが綴じ片2Tと干渉せずに、スペーサ部材4D、4Eをファイル10に装着することができる。そのため、綴じ具2の種類によらず、各種のファイル10に対するスペーサ部材4D、4Eの装着性及び離脱性を確保することができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材4D、4Eを各種ファイル10に簡単に装着して、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材4D、4Eを各種ファイル10から簡単に取り外すことができるので、当該ファイル10を本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0158】
また、本実施形態によれば、保持部41は、綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)で上下2つの保持片41a、41bに分割され、上方に位置する上保持片41aと下方に位置する下保持片41bには、係止孔411Aがそれぞれ形成され、当該係止孔411Aは、紙葉類1の綴じ片2Tに綴じる綴じ孔11より大きいので、上保持片41aの係止孔411Aと下保持片41bの係止孔411Aとを、開放した各綴じ片2Tの先端部2STに対して余裕をもって挿入又は離脱させて、ファイル10に対してスペーサ部材4(4A、4B、4C)を簡単に装着し又は取り外すことができる。そのため、ファイル10に対するスペーサ部材4(4A、4B、4C)の装着性及び離脱性をより一層向上させることができる。その結果、必要に応じてスペーサ部材4(4A、4B、4C)をファイル10に簡単に装着して、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。また、装着したスペーサ部材4(4A、4B、4C)をファイル10から簡単に取り外すことができるので、ファイル10を本棚等に収納する際の収納効率の低下を回避することができる。
【0159】
また、本実施形態によれば、上保持片41Caと下保持片41Cbとの分割線413Cは、上下に湾曲する波形状に形成されているので、紙葉類1に分割線413Cによる凹みが生じにくい。また、上保持片41Caと下保持片41Cbとの分割線413Cが上下に波形状に湾曲することによって、スペース部42の曲げ癖も生じにくくなる。そのため、略360度開いて折返した紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0160】
また、本実施形態によれば、スペース部42Fは、芯材421と当該芯材421を包むフィルム材43Fとから成り、フィルム材F43Fの幅方向外端部434F(435F、436F)が、綴じ具2の幅方向(矢印Hの方向)で折り曲げ可能に保持部41Fの幅方向外端部41FGと連結されているので、スペース部42Fと保持部41Fとの連結部を綴じ具2の長手方向(矢印Nの方向)に沿って直線状に形成しつつ、保持部41Fを表表紙31又は裏表紙32の裏面側に配置して、フィルム材43Fの幅方向外端部434Fを折り返してスペース部42Fを表表紙31又は裏表紙32の表側に配置できる。この場合には、スペース部42Fを表表紙31又は裏表紙32の上端部31J、32J及び下端部31K、32Kから突出させずに保持部41Fと連結できる。そのため、スペーサ部材4Fが邪魔にならず安全な状態で、略360度開いて折返した紙葉類1同士の隙間Wを塞ぎ、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に且つ正確に記載することができる。
【0161】
また、本実施形態によれば、芯材421は、所要の厚さを有する樹脂製の発泡シート421A又は樹脂製の段ボールシート421Bから成るので、スペース部42として必要な剛性を確保しつつ、重量軽減を図ることができる。また、樹脂製の発泡シート421A又は樹脂製の段ボールシート421Bは、ある程度の弾性を備えているので、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に記載することができる。
【0162】
また、本他の実施形態に係るスペーサ・ファイルセット10Sによれば、綴じ具2には、綴じ片2Tの基端部2LTを長手方向に適宜の間隔で連結する左右の連結部21(21a、21b)と、左右の連結部21(21a、21b)に長手方向(矢印Nの方向)で交互に形成された複数の軸受け部22(22a、22b)と、各軸受け部22(22a、22b)に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸23と、左右の連結部21(21a、21b)の間に装着されたバネ部材24と、を備え、左右いずれか一方の連結部21aの背面側には、表表紙31及び裏表紙32と接続された背表紙33が固定され、綴じ片2Tの先端部2ST同士の係合を解除したとき、背表紙33が固定された一方の連結部21aと背表紙33が固定されていない他方の連結部21bとは、バネ部材24の付勢力によって、回転中心軸23に対する互いの開き角αが略80~100度の状態まで回動可能に形成されているので、例えば、背表紙33を下方又は斜め下方に向けて、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、他方の連結部21bは、表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33の影響を受けにくいことから、主にバネ部材24の付勢力の影響を受けて略80~100度回動する。そのため、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対して、スペーサ部材4における保持部41の係止孔411を簡単に挿入し又は離脱させることができる。したがって、スペーサ・ファイルセット10Sに対してスペーサ部材4を簡単に装着し又は取り外すことができる。
【0163】
また、本他の実施形態によれば、バネ部材24は、長手方向(矢印Nの方向)で交互に配置された軸受け部22(22a、22b)の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、回転中心軸23の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネ24Nであり、圧縮捻りコイルバネ24Nの一方の端縁アーム部241は、背表紙33が固定された一方の連結部21aを背面側へ付勢し、圧縮捻りコイルバネ24Nの他方の端縁アーム部242は、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bを幅方向外方へ付勢しているので、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネ24Nによる捻り方向の付勢力Rの大部分は、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bを幅方向外方へ回動させるモーメント力として作用する。
【0164】
そのため、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、圧縮捻りコイルバネ24Nの捻り方向の付勢力Rによって、安定した姿勢に保持される。したがって、安定した姿勢に保持される綴じ片2Tbの先端部2STbに対して、スペーサ部材4における保持部41の係止孔411をより一層簡単に挿入し又は離脱させることができる。その結果、略360度開いて折返した表表紙31と裏表紙32との隙間Wをスペース部42によってより一層簡単に塞ぎ、紙葉類1に対して文字や絵画等をより一層楽に記載することができる。
【0165】
また、本他の実施形態によれば、隣接する軸受け部22(22a、22b)の長手方向端面には、回転中心軸23に対して傾斜状に形成されたカム面221(221a、221b)をそれぞれ設け、カム面221(221a、221b)は、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合状態において互いに離間し、解除状態において互いに当接するように形成されているので、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、カム面221(221a、221b)同士の当接に伴い、圧縮捻りコイルバネ24Nが長手方向へ伸長する付勢力Qが、カム面221(221a、221b)が形成された軸受け部22(22a、22b)に伝達される。そのため、圧縮捻りコイルバネ24Nが長手方向へ伸長する付勢力Qが伝達された軸受け部22(22a、22b)を介して、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αの保持力を増強させることができる。したがって、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αを最大の状態で保持させることができる。その結果、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に対して、スペーサ部材4における支持部41の係止部411を挿入し又は離脱させる場合において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に対してスペーサ部材4における保持部41の係止孔411が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。なお、ここでは、圧縮捻りコイルバネ24Nに替えて、圧縮コイルバネ24Mを用いることもできる。
【0166】
また、本他の実施形態によれば、カム面221(221a、221b)を設けた軸受け部22(22a、22b)は、少なくとも連結部21(21a、21b)における長手方向の端部近傍に設けたので、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネ24Nの長手方向へ伸長する付勢力Qがカム面221(221a、221b)に作用して、綴じ具2の長手方向の端部近傍における、連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させることができる。そのため、綴じ具2の長手方向の長さが大きいファイル(例えば、大きなスケッチブック等)においても、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)にスペーサ部材4における保持部41の係止孔411が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0167】
また、綴じ具2の長手方向の端部近傍における、連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させることができるので、連結部21(21a、21b)の長手方向における捻じり剛性を補完することができる。そのため、例えば、圧縮捻りコイルバネ24Nをよりコンパクトに形成して、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向の寸法)を極力薄く形成することができる。したがって、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32と共に綴じ具2を支点に360度開いて折り返したときにおける、紙葉類1の一端側での連結部21(21a、21b)による表表紙31と裏表紙32との隙間Wを縮小でき、スペーサ部材4におけるスペース部42の厚さt3を薄く形成できる。その結果、より一層コンパクトなスペーサ・ファイルセット10Sを提供できる。
【0168】
また、本他の実施形態によれば、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の基端部2LT(2LTa、2LTb)は、長手方向の板幅d4以上の寸法で、長手方向(矢印Nの方向)で互いに位置ずれして形成され、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)には、基端部2LT(2LTa、2LTb)の先端側から幅方向内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設した位置から長手方向へ傾斜した傾斜部2QT(2QTa、2QTb)で互いに係合する係合部2GT(2GTa、2GTb)が形成されているので、複数のスペーサ・ファイルセット10Sを重ね合わせて書棚等に収納する時に、隣接するスペーサ・ファイルセット10Sの綴じ具2同士の干渉を避けることができ、書棚等に収納するファイル収納数を増加させることができる。
【0169】
また、本他の実施形態によれば、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)は、互いに向き合う略コの字状断面に形成され、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対する基端部2LTbにおける略コの字状断面の底部2KTbの深さd2を、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaに対する基端部2LTaにおける略コの字状断面の底部2KTaの深さd1より、大きく形成し、また、他方の綴じ片2Tbには、保持部41の係止孔411が係止されているので、スペース部42に対して他方の綴じ片2Tbの略コの字状断面の底部2KTbの突出量を増大させることができる。そのため、スペース部42を他方の綴じ片2Tbの略コの字状断面の底部2KTbより外方へ突出させずに、綴じ具2に綴じる紙葉類1の枚数を増大させることができる。したがって、綴じ具2に綴じる紙葉類1の枚数を増大させた場合でも、スペース部42が邪魔にならずに、スペーサ・ファイルセット10Sを持ち運ぶことができる。
【0170】
また、本他の実施形態によれば、回転中心軸23は、背表紙33が固定された一方の連結部21aの幅方向中心線CLに対して、所定量d3だけ背表紙33が固定されていない他方の連結部21b側へ偏心した位置に配置されているので、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除し、左右の連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させるストッパ部212a、212bを、一方の連結部21aの幅方向側面側と、他方の連結部21bの背面側に形成することができる。そのため、一方の連結部21a及び他方の連結部21bの幅方向の必要な厚さを確保しつつ、長手方向の好適な位置にストッパ部212a、212bを設けることができる。
【0171】
また、長手方向の好適な位置にストッパ部212a、212bを設けることによって、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αを、長手方向で略均等に保持させることができる。その結果、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除し、スペーサ部材4における保持部41の係止孔411を綴じ片2Tから離脱させる場合、又は綴じ片2Tに係止させる場合において、長手方向の全体における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間距離を略均等に維持して、保持部41の係止孔411が綴じ片2Tの先端部2STに引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0172】
また、本他の実施形態によれば、一方の連結部21aの背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部211Pと、当該基部211Pより幅広に形成された爪部211Tとから成り、当該爪部211Tが基部先端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部211が形成され、背表紙33には、大径部331で爪部211Tが通過し、小径部332で基部211Pと係合した状態で爪部211Tに挟まれる異径長孔状の背表紙係止孔33Hが形成されているので、背表紙33の長手方向中央部を山型に湾曲させた状態で、係止孔33Hの大径部331に爪部211Tを通過させた後、背表紙33の長手方向中央部を平坦な状態に戻して、背表紙係止孔33Hの小径部332に基部211Pを係合した状態で、爪部211Tによって背表紙係止孔33Hの小径部332を挟み込んで拘束することができる。
【0173】
そのため、背表紙33を一方の連結部21aの背面側に簡単に固定でき、背表紙33を固定するための新たな連結部材を、一方の連結部21aに付設する必要がない。したがって、背表紙33を固定する一方の連結部21aの構造を簡素化して、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したときにおける、紙葉類1の一端側での連結部21による表表紙31と裏表紙32との隙間Wを最小化でき、スペーサ部材4におけるスペース部42の厚さt3を最小化させることができる。その結果、スペース部42が邪魔にならずに、スペーサ・ファイルセット10Sを楽に持ち運ぶことができる。
【0174】
また、本の実施形態によれば、背表紙33には、鉤爪状係止部211及び綴じ片2Tを回避した長手方向中央部に対してラベルシート34が貼着され、当該ラベルシート34は、スペース部42に隠れない範囲で表表紙31及び裏表紙32まで延設されているので、スペーサ・ファイルセット10Sの名称等をラベルシート34に記載することができ、スペーサ・ファイルセット10Sの識別性、検索性を高めることができる。
【0175】
また、本他の実施形態によれば、綴じ具2に対して紙葉類1等が正常に綴じられた状態(略360度折り返す前の状態)では、保持部41とスペース部42とで挟まれていない表表紙31又は裏表紙32の他端側の先端部312、322の一部(例えば、上方部)を、保持部41とスペース部42とで挟まれた裏表紙32又は表表紙31の他端側の先端部322、312に対して長く形成して、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返した状態では、紙葉類1の他端側の先端部12に対して、裏表紙32又は表表紙31の他端側の先端部322、312を短縮させ、表表紙31又は裏表紙32の他端側の先端部312、322の一部を僅かに突出させるので、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32と共に略360度開いて折り返した状態から、略360度折り返す前の状態へ戻す際、表表紙31又は裏表紙32の他端側の先端部312、322の突出させた一部に指を掛けることができ、略360度折り返す前の状態へ簡単に戻すことができる。そのため、略360度折り返す前の状態へ戻す際の操作性を向上させることができる。
【0176】
<変形例>
なお、本実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することが可能なことは言うまでもない。例えば、本実施形態では、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)は、互いに向き合う略コの字状断面に形成され、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対する基端部2LTbにおける略コの字状断面底部2KTbの深さd2を、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaに対する基端部2LTaにおける略コの字状断面の底部2KTaの深さd1より、大きく形成したが、必ずしも、これに限る必要はない。
【0177】
例えば、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)は、互いに向き合う略コの字状断面に形成され、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対する基端部2LTbにおける略コの字状断面の底部2KTbの深さd2を、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaに対する基端部2LTaにおける略コの字状断面底部2KTaの深さd1と、略同一に形成してもよい。
【0178】
また、先端部2STbに対するコの字状断面の底部2KTbの深さd2が異なる他方の綴じ片2Tbを複数種類用意して、綴じる紙葉類1の枚数に応じて、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taと組み合わせても良い。この場合、一方の綴じ片2Ta及び連結部21aを成形する金型を共通にすることができるので、他方の綴じ片2Tb及び連結部21bを成形する金型のみを増加させるだけで、紙葉類1の綴じ枚数の異なる綴じ具2を低コストで簡単に製造することができる。
【0179】
また、例えば、本実施形態に係るスペーサ部材4では、綴じ具2には、紙葉類1を表裏両側から保護する表表紙31と裏表紙32とが装着され、保持部41、41D、41E、41Fは、紙葉類1と略同一の大きさに形成されて表表紙31又は裏表紙32の裏面側に配置され、スペース部42、42D、42E、42Fは、略360度開いて折り返した紙葉類1の綴じ具2の外方に突出された領域(記載用又は描画用の領域)と略同一の大きさに形成されて表表紙31又は裏表紙32の表面側に配置されている。しかし、必ずしも、綴じ具2には、表表紙31及び/又は裏表紙32が装着されている必要はない。
【0180】
例えば、図23に示す保持部41Hとスペース部42Hとを備えたスペーサ部材4Hであれば、綴じ具2には、表表紙31と裏表紙32とが装着されている必要はない。すなわち、保持部41Hは、紙葉類1と略同一の大きさに形成され、保持部41Hの幅方向内端部には、綴じ片2Tに挿入する係止孔411Hが形成されている。そして、スペース部42Hの幅方向内端部42HNと幅方向外端部42HGは、略360度開いて折り返した紙葉類1の綴じ具2の外方に突出された領域(記載用又は描画用の領域)と略同一の大きさに形成されて、スペース部42Hの芯材を包むフィルム材の上端部432Hが保持部41Hの上端部412Hと連結され、フィルム材の下端部433Hが保持部41Hの下端部414Hと連結されている。また、スペース部42Hの幅方向外端部42HGは、保持部41Hの幅方向外端部41HGの近傍に形成されている。この場合、綴じ具2には、紙葉類1を保護する表表紙31及び/又は裏表紙32の代わりに、上記スペーサ部材4Hを装着することができる。したがって、必ずしも、綴じ具2には、表表紙31と裏表紙32とが装着されている必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明は、係脱可能に形成された綴じ具に綴じた紙葉類を綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルに装着可能であり、略360度開いて折返した紙葉類の綴じ具による隙間を塞ぐスペーサ部材及び当該スペーサ部材を装着したスペーサ・ファイルセットとして利用できる。
【符号の説明】
【0182】
1 紙葉類
2 綴じ具
2T、2Ta、2Tb 綴じ片
2GT、2GTa、2GTb 係合部
2KT、2KTa、2KTb 底部
2LT、2LTa、2LTb 基端部
2QTa、2QTb 傾斜部
2ST、2STa、2STb 先端部
4、4A、4B、4C、4D スペーサ部材
4E、4F、4H スペーサ部材
10 ファイル
10S スペーサ・ファイルセット
11 綴じ孔
21、21a、21b 連結部
22、22a、22b 軸受け部
23 回転中心軸
24 バネ部材
24N 圧縮捻りコイルバネ
31 表表紙
32 裏表紙
33 背表紙
33H 背表紙係止孔
34 ラベルシート
41、41D、41E 保持部
41DN、41EN 幅方向内端部
41DN1、41DN2 支持片
41EN1、41EN2 支持片
41F、41H 保持部
41FG 幅方向外端部
41a、41Ca 上保持片、保持片
41b、41Cb 下保持片、保持片
42、42D、42E スペース部
42F、42H スペース部
42DN、42EN 幅方向内端部
43 表皮材
211 鉤爪状係止部
211P 基部
211T 爪部
221、221a、221b カム面
241、242 端縁アーム部
31J、32J 上端部
31K、32K 下端部
312、322 先端部
331 大径部
332 小径部
411A、411C、411D 係止孔
411E、411F、411G 係止孔
412、412D、412E 上端部
412G 上端部
413、413B 分割線
414、、414D、414E 下端部
414G 下端部
421 芯材
421A 発泡シート
421B 段ボールシート
432、432D、432E 上端部
432G 上端部
434F、435F、436F 幅方向外端部
CL 幅方向中心線
α 開き角
W 隙間
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