(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063694
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】床敷物
(51)【国際特許分類】
A47G 27/02 20060101AFI20220415BHJP
D04B 21/14 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
A47G27/02 101A
D04B21/14 Z
A47G27/02 103Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172072
(22)【出願日】2020-10-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.販売日 令和 2年 3月16日 2.販売場所 株式会社ニトリ 全店舗 3.公開者 株式会社ニトリ(北海道札幌市北区新琴似七条一丁目2番39号) [刊行物等] 1.ウェブサイトの掲載日 令和 2年 3月16日 2.ウェブサイトのアドレス https://www.nitori-net.jp/ec/(ウェブサイトのトップページ) https://www.nitori-net.jp/ec/product/7225117s 3.公開者 株式会社ニトリ(北海道札幌市北区新琴似七条一丁目2番39号)
(71)【出願人】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】平松 武久
【テーマコード(参考)】
3B120
4L002
【Fターム(参考)】
3B120AA14
3B120BA19
4L002AA05
4L002AA06
4L002AA07
4L002AA08
4L002AB02
4L002AC07
4L002CB01
4L002DA00
4L002EA00
4L002EA05
4L002FA00
(57)【要約】
【課題】水洗いが可能で、かつ歩行しやすく、さらに適度なクッション性および十分な衝撃性をもった床敷物を提供する。
【解決手段】床敷物1は、立体編物(ダブルラッセル)10を含む中材10Aを備えている。立体編物10は、表裏面を構造する一対の編地11、12と、一対の編地11,12を連結する連結糸20とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体編物と、クッション層とを含む中材を備えた多層構造の床敷物において、
前記立体編物は、表裏面を構成する一対の編地と、
前記一対の編地を連結する連結糸とを備えた床敷物。
【請求項2】
前記連結糸は互いに混合された、モノフィラメントとマルチフィラメントとを有する、請求項1記載の床敷物。
【請求項3】
前記立体編物に対し、直径30mmの平面視円形状の圧縮板を用いて3mm沈下させる際の圧縮応力をP1とし、直径200mmの平面視円形状の圧縮板を用いて3mm沈下させる際の圧縮応力をP2とした場合、
3≦P1/P2≦5
となる、請求項2記載の床敷物。
【請求項4】
前記モノフィラメントと前記マルチフィラメント22の重量混合比率は、50:50~90:10となる、請求項2または3記載の床敷物。
【請求項5】
前記連結糸の密度は、20mg/cm3~50mg/cm3となる、請求項2乃至4のいずれか記載の床敷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は床敷物に係り、とりわけ水洗いが可能で、かつ歩行しやすく、さらに適度なクッション性および十分な衝撃性をもった床敷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりウレタン樹脂製の中材を含む床敷物が知られている。しかしながらウレタン樹脂製の中材を含む床敷物は水洗いが困難で、乾燥しずらく、通気性に問題がある。
【0003】
このため従来より、水洗いが可能でかつ歩行しやすく、かつ適度なクッション性および十分な衝撃性をもった床敷物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、水洗いが可能で、かつ歩行しやすく、さらに適度なクッション性および十分な衝撃性をもった床敷物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、立体編物層と、クッションシート層とを含む中材を備えた多層構造の床敷物において、前記立体編物は、表裏面を構成する一対の編地と、前記一対の編地を連結する連結糸とを備えた床敷物である。
【0007】
本開示は、前記連結糸は互いに混合された、モノフィラメントとマルチフィラメントとを有する、床敷物である。
【0008】
本開示は、前記立体編物に対して、直径30mmの平面視円形状の圧縮板を用いて3mm沈下させる際の圧縮応力をP1とし、直径200mmの平面視円形状の圧縮板を用いて3mm沈下させる際の圧縮応力をP2とした場合、3≦P1/P2≦5となる、床敷物である。
【0009】
本開示は、前記モノフィラメントと前記マルチフィラメント22の重量混合比率は、50:50~90:10となる、床敷物である。
【0010】
本開示は、前記連結糸の密度は、20mg/cm3~50mg/cm3となる、床敷物である。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本開示によれば、水洗いが可能で、かつ歩行しやすく、さらに適度なクッション性および十分な衝撃性をもった床敷物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本実施の形態による床敷物を示す側断面図。
【
図6】
図6は破断強力および引裂き強力の測定結果を示す図表。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。
【0014】
まず
図4により床敷物1全体について述べる。
図4に示すように、床敷物1は、表裏面を構成する一対の編地11,12と、一対の編地11,12を連結する連結糸20とからなる立体編物(ダブルラッセルともいう)10と、表面の編地11を覆うクッションシート4(ポリウレタンフォームなど任意の素材のクッションシートを用いることができる)とを有する中材10Aと、中材10Aの前記クッションシート4を表面側から覆う表材2とを備えている。
【0015】
なお、本実施の形態において、中材10Aの裏面側には裏材は配置されていないが、中材10Aの裏面側に裏材を設けてもよい。
【0016】
図4において、表材2は立体編物10と、クッションシート4とを含む中材10Aの表面および側面を覆うともに、中材10Aに縫い糸を用いて縫い込まれて、縫い込み部3が形成されている。
【0017】
本実施の形態において、床敷物1とは例えばカーペット、ラグ等の床敷物をいう。
【0018】
次に中材10Aを構成するダブルラッセル10に
図1により説明する。
【0019】
ダブルラッセル10は、上述のように、表裏面を構成する一対の編地11、12と、一対の編地11、12を連結する連結糸20とを有する。
【0020】
また連結糸20は
図1乃至
図3に示すように、モノフィラメント21と、マルチフィラメント22との混合糸からなる。
【0021】
次に各構成部材について説明する。
【0022】
ダブルラッセル10の連結糸20に用いるモノフィラメント21は、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、サラン繊維、ポリ乳酸、ポリカプロラクタン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸等の脂肪族系ポリエステル、該脂肪族系ポリエステルと芳香族系ポリエステルの共重合体、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の素材の繊維を用いることができるが、この内ポリトリメチレンテレフタレート繊維を連結糸に用いると、繰り返し又は長時間圧縮後の回復性が良好となるので好ましい。モノフィラメント21に用いる糸の繊度は、好ましくは50~1000dtexであり、より好ましくは80~600dtexであり、更に好ましくは100~350dtexである。
【0023】
また連結糸20のマルチフィラメント22は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエステル系エラストマー繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維が上げられるが特に限定するものではない。繊維の形態は、未加工糸、紡績糸、撚糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等いずれのものを採用してもよいが、好ましくは仮撚加工を施された嵩高加工糸であり、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート繊維に嵩高加工を施した、仮撚加工糸である。ソフトなクッション性向上の為にも甘撚糸または仮撚加工糸が好ましい。マルチフィラメント22に用いる繊維の繊度は、好ましくは0.1~50dtexであり、より好ましくは0.5~20dtexであり、更に好ましくは1~10dtexである。
【0024】
またダブルラッセル10の表裏面を構成する編地11、12に用いる繊維として、特に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、サラン繊維、ポリ乳酸、ポリカプロラクタン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸等の脂肪族系ポリエステル、該脂肪族系ポリエステルと芳香族系ポリエステルの共重合体、ポリエステル系エラストマー繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維、その他、任意の繊維を用いることができる。
【0025】
ダブルラッセル10の作成にあたっては、相対する2列の針床を有するダブルラッセル編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等で編成できるが、寸法安定性のよい立体編物を得るには、ダブルラッセル編機を用いるのが好ましい。ダブルラッセル10の表裏面を構成する一対の編地11、12は、上述した繊維を用いてメッシュ状に編み込まれているものが好ましく、各編地11、12のコース方向Lに沿うメッシュ最大径は2~8.0mm、より好ましくは、2.5~5.0mmとなっている。
【0026】
またダブルラッセル10の厚みは6~20.0m、好ましくは10~15mm、例えば、13.3mmとなっている。
【0027】
上述のようにダブルラッセル10の連結糸20はモノフィラメント21とマルチフィラメント22との混合糸からなっており、このうちモノフィラメント21は曲げ剛性の高いフィラメントであり、マルチフィラメントは曲げ剛性の小さなフィラメントである。
【0028】
本実施の形態において、ダブルラッセル10の連結糸20はその密度が20~50mg/cm3となっている。具体的には、連結糸20の密度は、好ましくは31.6mg/cm3となっている。なお、連結糸20を含むダブルラッセル10の密度は、好ましくは55.8mg/cm3、ダブルラッセル10を含む床敷物1全体の密度は、好ましくは69.3mg/cm3となっている。
【0029】
またダブルラッセル10の連結糸20を構成するモノフィラメント21とマルチフィラメント22の重量混合比率は、50:50~90:10となっている。例えば、この重量混合比率は、好ましくは60:40~80:20となっている。またダブルラッセル10に対し、直径30mmの平面視円形状の圧縮板を用いて3mm沈下させる際の圧縮応力をP1とし、直径200mmの平面視円形状の圧縮板を用いて3mm沈下させる際の圧縮応力をP2とした場合、圧縮応力比P1/P2は、3≦P1/P2≦5となる。例えば、この圧縮応力比P1/P2は、好ましくは、3.5≦P1/P2≦4.5となる。
【0030】
重量混合比率において、モノフィラメント21の重量を大きくすることによりダブルラッセル10の形状回復力は高くなるが、重量混合比率が上記の範囲より大きい場合、ダブルラッセル10の剛性が大きくなり(例えば直径100mmの平面視円形状の圧縮板を用いて2.6mm圧縮の場合、圧縮荷重は250~1000Nとなる)、歩行により踏む込む際には硬く、踏む込んだ後の底付き時のクッション性は乏しいものになり、歩行する際の妨げとなる。また、圧縮応力比P1/P2については、重量混合比のうち、モノフィラメント21の重量が大きくなることにより低下し(例えば、重量混合比率が「100:0」の場合、1.0~2.0となる)、点荷重の分散性が低くなる。このため、ダブルラッセル10の沈み込み範囲は部分的になり易くなり、ダブルラッセル10を中材10Aとして使用する床敷物1上を歩行する際の妨げとなる。
【0031】
またダブルラッセル10が部分的に沈み込み易くなると、ダブルラッセル10のクッション性が極端に低下してしまう。
【0032】
上述のようにダブルラッセル10がピンポイントで荷重を吸収する特性をもつと、このようなダブルラッセル10はベッド等に用いることに適しているが、床敷物としては不適となる。
【0033】
一方、マルチフィラメント22の重量が上記の重量混合比率の範囲より大きくなると、すなわち、モノフィラメント21の重量を少なくすると、ダブルラッセル10の剛性が小さくなり、初期圧縮荷重が小さくなる。例えばマルチフィラメント22を重量混合比率で30%以上混合させると、直径100mmの平面視円形状の圧縮板を用いて2.6mm圧縮の場合、初期圧縮荷重は250N以下、例えば、初期圧縮荷重は213Nとなる。
【0034】
マルチフィラメント22の重量が上記の重量混合比率の範囲より大きくなると、すなわち、モノフィラメント21の重量を少なくすると、踏み込んだ後の底付き時のクッション性は向上する。しかしながら、ダブルラッセル10の剛性が小さくなると、形状回復力が小さくなり、初期状態よりも厚みが薄くなる。このためダブルラッセル10を中材10Aとして有する床敷物1上を歩行する際、厚みが薄くなった分、踏み込む際の足への衝撃吸収性が低下するため、ダブルラッセル10を床敷物1として使用することは適切ではない。
なお、本実施の形態において、「衝撃吸収性」とは踏み込む際の足への衝撃吸収性をいい、「クッション性」とは、踏み込んだ後の底付き時のクッション性をいう。
【0035】
例えば、マルチフィラメント22の重量が上記の重量混合比率の範囲より大きくなると、ダブルラッセル10の形状安定性が損なわれ、経時的に薄くて硬くなり易くなり、床敷物として不適となる。
【0036】
本実施の形態において、前記ダブルラッセル10に対して、直径30mmの平面視円形状の圧縮板を用いて3mm沈下させる際の圧縮応力をP1とし、直径200mmの平面視円形状の圧縮板を用いて3mm沈下させる際の圧縮応力をP2とした場合、圧縮応力比P1/P2は、3≦P1/P2≦5となる。
圧縮板の面積の違いにより発生するダブルラッセル10の圧縮応力の差は、表面の編地11の剛性にも関係するが、連結糸20においてモノフィラメント21とマルチフィラメント22の重量混合比率に大きく関係する。上述のように、重量混合比率においてモノフィラメント21の重量が大きい場合には、単位面積当たりの応力比率P1/P2は小さくなる(例えば、モノフィラメント21のみでは、「P1/P2=1.0~2.0」となる)。一方、連結糸20においてマルチフィラメント22の重量が大きくなるにつれて、単位面積当たりの応力比率P1/P2は高くなる(例えば、重量混合比率「モノフィラメント21:マルチフィラメント22=71:29」では、「P1/P2=3.9」となる)。
圧縮応力比P1/P2が小さくなると、ダブルラッセル10への応力は垂直に作用し、踏み込んだ後の足へのクッション性は乏しくなり、接地部分のみが凹み、歩行する際の妨げになる。一方、圧縮応力比P1/P2が高くなるにつれて、踏み込む際の足への衝撃吸収性が低下するが、踏み込んだ後の足へのクッション性は向上する。これにより、圧縮応力が圧縮接地面の周辺も広がることになり、歩行しやすくなる。本実施の形態においては、上述のように、モノフィラメント21とマルチフィラメント22の重量混合比率を「50:50~90:10」にするとともに、ダブルラッセル10の表面の編地11をクッションシート4で覆う。このことにより、ダブルラッセル10の踏み込む際の足への衝撃吸収性が低下しても、この足への衝撃吸収性の低下をクッションシート4により補うことができ、床敷物に適した歩行性と十分な衝撃吸収性をもつことができる。また、上述のように、踏み込んだ後の足へのクッション性を向上させることができる。
【0037】
以上のように本実施の形態によれば、ダブルラッセル10を床敷物1の中材10Aとして用い、ダブルラッセル10の連結糸20をモノフィラメント21と、マルチフィラメント22との混合糸から構成するとともに、モノフィラメント21とマルチフィラメント22の重量混合比率を50:50~90:10と定め、更にダブルラッセル10と表材2との間にクッションシート4を設け、多重構造の床敷物1を構成した。このことにより、ダブルラッセル10の形状回復力を適切な値に定めることができ、かつ衝撃吸収性を過度に低下させることがない。このことにより、ダブルラッセル10を有する床敷物1に、床敷物1としての最適な特性、すなわち走行のしやすさ、および適度なクッション性および十分な衝撃吸収性をもたせることができる。
【0038】
さらにまた、床敷物1の中材10Aとしてダブルラッセル10を用いることにより、中材10Aとしてウレタンフォーム等のウレタン樹脂製のものを用いる場合に比べて、床敷物1の水洗いが可能となり、かつ床敷物1の乾燥作用を容易に行うことができる。さらにまた床敷物1の中材10Aとしてダブルラッセル10を用いることにより、ウレタン樹脂製の中材10Aを用いる場合に比べて、床敷物1の通気性を高めることができる。
【実施例0039】
次に本実施の形態の具体的実施例について説明する。
【0040】
本実施例では、上述したダブルラッセル10に対して(a)圧縮板を用いて圧縮させる圧縮実験を行い、かつ(b)破断実験を行った。
【0041】
以下、ダブルラッセル10に対して、(a)圧縮板を用いて圧縮させる圧縮実験、および(b)破断強力および引裂き強力の測定を行った各々実験結果を示す。
【0042】
(a)圧縮実験
(i)実験例
まず剛体平面上に20cm角の本実施の形態によるダブルラッセルを載置した。
【0043】
次に直径30mmの平面視円形状の圧縮板を用い、ダブルラッセルが30mm沈み込むまでダブルラッセルを圧縮した。
【0044】
圧縮板を用いてダブルラッセルを圧縮させる圧縮機として、島津オートグラフAG-B型(株式会社島津製作所)を用いた。
【0045】
圧縮速度は10mm/minとし、ダブルラッセルが30mm沈み込んだ後、圧縮板を10mm/minで上昇させた。
【0046】
ダブルラッセルが30mm沈み込んだ時の圧縮気の圧縮強度は、49.2Nであり、単位面積当たりの応力は6.964KPa(N/cm2)であった。
【0047】
次に圧縮板として直径200mmの平面視円形状のものを用いた。
【0048】
すなわちまず、剛体平面上に20cm角の本実施の形態によるダブルラッセルを載置した。
【0049】
次に直径200mmの平面視円形状の圧縮板を用い、ダブルラッセルが30mm沈み込むまでダブルラッセルを圧縮した。
【0050】
圧縮板を用いてダブルラッセルを圧縮させる圧縮機として、島津オートグラフAG-B型(株式会社島津製作所)を用いた。
【0051】
圧縮速度は10mm/minとし、ダブルラッセルが30mm沈み込んだ後、圧縮板を10mm/minで上昇させた。
【0052】
ダブルラッセルが30mm沈み込んだ時の圧縮気の圧縮強度は、559Nであり、単位面積当たりの応力は1.780KPa(N/cm2)であった。
【0053】
このように本実施例において、直径30mmの圧縮板を用いた際の単位面積当たりの応力はP1は6.964KPaであり、直径200mmの圧縮板を用いた際の単位面積当たりの応力P2は1.780KPaとなった。
すなわちP1/P2=3.91となった。
その結果を
図5に示す。
【0054】
次にモノフィラメント21とマルチフィラメント22の重量混合比率を50:50~90:10の範囲で各種変化させたダブルラッセルを各種準備した。
【0055】
次にこのようにモノフィラメント21とマルチフィラメント22の重量混合比率を各種変化させたダブルラッセル10に対して、上述と同様の圧縮実験を行った。
【0056】
この場合、P1/P2は、
3≦P1/P2≦5となった。
【0057】
(ii)考察
以上のように本実施の形態によれば、圧縮試験において、直径30mm平面視円形状の圧縮板を用いた場合の単位面積当たりの応力P1と、直径200mmの平面視円形状の圧縮板を用いた場合の単位面積当たりの応力P2との比率P1/P2が、3≦P1/P2≦5となった。
【0058】
このため本実施の形態によれば、安定した形状回復力をもつことになり、ダブルラッセルが部分的に沈み易くなることはなく、ダブルラッセルを有する床敷物上を歩行する際の妨げとなることはない。またダブルラッセルが部分的に沈み込み易くなることはないので、床敷物に適した歩行性と、適度なクッション性および十分な衝撃吸収性をもつことができた。
【0059】
(b)破断強力および引裂き強力の測定
次に本実施の形態によるダブルラッセルを準備した。
【0060】
次にこのダブルラッセルに対して、互いに直交する縦方向と横方向に沿って、下記のような破断強力の測定および引裂き強力の測定を行った。
【0061】
(1)破断強力の測定
島津社製オートグラフ引張試験機を使用し、ダブルラッセルの試料長200mm、試験片の幅40mm、引張速度50mm/minで試験片測定試料長100mm間にて測定し、その時得られた最高の破断強力を測定値とした。
【0062】
(2)引裂き強力の測定
島津社製オートグラフ引張試験機を使用し、ダブルラッセルの試料長250mm、試験片の幅50mm、引張速度200mm/minで試験片幅方向の真中、すなわち25mmのところより垂直に試験片長さ方向に100mm切れ込みを入れ、幅25mmで切れ込んだ100mm長さに、つかみ幅50mmで上下につかみ試験片測定試料長100mm間にて測定し、その時得られた最高の引裂き強力を測定値とした。
【0063】
破断強力および引裂き強力の測定結果を
図6に示す。
図6に示すように、本実施の形態によるダブルラッセルは、十分な破断強力および引裂き強力をもつことが判った。