(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063705
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】引き戸装置
(51)【国際特許分類】
E06B 1/12 20060101AFI20220415BHJP
E06B 1/52 20060101ALI20220415BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
E06B1/12 Z
E06B1/52
E05D15/06 125Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172087
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000125990
【氏名又は名称】株式会社くろがね工作所
(72)【発明者】
【氏名】田上 峰
【テーマコード(参考)】
2E011
2E034
【Fターム(参考)】
2E011AC03
2E011AD01
2E011AD03
2E011EA02
2E011EB03
2E034BA15
2E034BE00
2E034CA01
2E034CB00
(57)【要約】
【課題】 本発明は、従来の問題点に鑑みて、簡単な構成で、出入口開口高さの設定に応じて、高さ調整が可能な出入口開口枠を有する引き戸装置を提供することを課題とする。
【解決手段】出入口開口枠体と引き戸扉とメンテナンスパネルからなる引き戸装置で、出入口開口枠体は、戸先側縦枠と、メンテナンス側中枠と、固定側中枠を有し、戸先側縦枠のメンテナンス側見付部とメンテナンス側中枠のメンテナンス側見付部の上部にメンテナンスパネルを架け渡すとともに、戸先側縦枠の固定側見付部と、固定側中枠の固定側見付部の上部に出入口上枠を架け渡して形成され、メンテナンスパネルで、戸先側縦枠のメンテナンス側見付部の上端部と、メンテナンス側中枠のメンテナンス側見付部の上端部の正面側を覆い隠し、出入口上枠の両端部で、戸先側縦枠の固定側見付部の上端部と、固定側中枠の固定側見付部の上端部の正面側覆い隠す構成とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面などの出入口開口部を開閉自在に閉塞する引き戸装置で、引き戸装置は、引き戸扉が壁面内に引き込み可能なものであって、さらに、引き戸装置は、出入口開口部に設置される出入口開口枠体と、少なくともレール部材と、レール部材に、スライド開閉自在に吊り下げられる引き戸扉と、引き戸装置の調整などを行うメンテナンス開口部と、該メンテナンス開口部を閉塞するメンテナンスパネルからなり、出入口開口枠体は、少なくとも、出入口開口部の戸先側の戸先側縦枠と、出入口開口部の引き込み側であって出入口開口部の出入り方向の一方側のメンテナンス側中枠と、他方側である固定側中枠を有し、戸先側縦枠は、メンテナンス側見付部と他方側の固定側見付部を有し、メンテナンス側中枠は、メンテナンス側見付部を有し、固定側中枠は、固定側見付部を有したものであって、戸先側縦枠のメンテナンス側見付部とメンテナンス側中枠のメンテナンス側見付部の上部にメンテナンスパネルを架け渡すとともに、戸先側縦枠の固定側見付部と、固定側中枠の固定側見付部の上部に出入口上枠を架け渡して形成されるものであって、出入口開口枠体を、メンテナンスパネルの両端部で、戸先側縦枠のメンテナンス側見付部の上端部と、メンテナンス側中枠のメンテナンス側見付部の上端部の正面側を覆い隠し、出入口上枠の両端部で、戸先側縦枠の固定側見付部の上端部と、固定側中枠の固定側見付部の上端部の正面側覆い隠すことを特徴とする引き戸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内で出入り口として使用される開口部に設置される引き戸装置であって、主に引き戸装置の出入口開口枠の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面などに設けられた出入口開口部を開閉自在に閉塞する引き戸装置として、少なくとも、出入口を形成する出入口開口枠と、固定部材であるレール部材と、レール部材に吊り下げられる吊り金具を介して吊り下げされる引き戸扉と、引き戸装置をメンテナンスするために開放可能なメンテナンスパネルからなる引き戸装置が提供されている。
そして、このような引き戸装置の中に、引き戸扉の開放時に引き戸扉を壁面内に形成される戸袋部に引き込むものがある。
このように壁面内に戸袋部を有する引き戸装置は、通常、出入口開口部の戸先側を形成する戸先側縦枠と、同じく出入口開口部の戸袋側を形成する中枠を有し、中枠は、引き戸扉を挟んで、出入り方向の一方側に設置される中枠と、他方側に設置される中枠とで構成されており、戸先側縦枠の上部と一方側の中枠の上部が開口部上枠で連結され、そして、メンテナンスパネルは、他方側の中枠の上部と戸先側縦枠の上部に設置され、戸先側縦枠と中枠と開口部上枠、メンテナンスパネルで出入口開口枠を形成している。
【0003】
そして、一般的には、特許文献1のように、開口部上枠、メンテナンスパネルは、中枠の上部と戸先側縦枠の上部の対向面間に配置されるため、出入口開口枠の内寸高さに合わせて中枠の上部と戸先側縦枠の高さを設定し、都度その高さに合わせて部材を製作している。
しかしながら、出入口開口枠高さは、一般的には2000ミリメートルとされることが多いが、引き戸装置が設置される建築物の設計思想により、15ミリメール程度の微妙な違いが生じることがある。そのため、引き戸装置を製作する工場では、15ミリメール程度違うだけの長尺な枠材が混在することとなり、生産効率を上げることが難しいといった問題がある。
特に、鋼板製の出入口開口枠の場合、木製やアルミ製といった枠のように、設置現場で切断して調整を行うことが難しいといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みて、簡単な構成で、出入口開口高さの設定に応じて、高さ調整が可能な出入口開口枠を有する引き戸装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として、壁面などの出入口開口部を開閉自在に閉塞する引き戸装置で、引き戸装置は、引き戸扉が壁面内に引き込み可能なものであって、さらに、引き戸装置は、出入口開口部に設置される出入口開口枠体と、少なくともレール部材と、レール部材に、スライド開閉自在に吊り下げられる引き戸扉と、引き戸装置の調整などを行うメンテナンス開口部と、該メンテナンス開口部を閉塞するメンテナンスパネルからなり、出入口開口枠体は、少なくとも、出入口開口部の戸先側の戸先側縦枠と、出入口開口部の引き込み側であって出入口開口部の出入り方向の一方側のメンテナンス側中枠と、他方側である固定側中枠を有し、戸先側縦枠は、メンテナンス側見付部と他方側の固定側見付部を有し、メンテナンス側中枠は、メンテナンス側見付部を有し、固定側中枠は、固定側見付部を有したものであって、戸先側縦枠のメンテナンス側見付部とメンテナンス側中枠のメンテナンス側見付部の上部にメンテナンスパネルを架け渡すとともに、戸先側縦枠の固定側見付部と、固定側中枠の固定側見付部の上部に出入口上枠を架け渡して形成されるものであって、出入口開口枠体を、メンテナンスパネルの両端部で、戸先側縦枠のメンテナンス側見付部の上端部と、メンテナンス側中枠のメンテナンス側見付部の上端部の正面側を覆い隠し、出入口上枠の両端部で、戸先側縦枠の固定側見付部の上端部と、固定側中枠の固定側見付部の上端部の正面側覆い隠す構成とした。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によると、メンテナンスパネルを、戸先側縦枠のメンテナンス側見付部とメンテナンス側中枠のメンテナンス側見付部の上部に架け渡すとともに、出入口上枠を、戸先側縦枠の固定側見付部と固定側中枠の固定側見付部の上部に架け渡し、それぞれの見付部の正面側を覆い隠す構成としているので、メンテナンスパネル高さの範囲、あるいは出入口上枠の高さの範囲において、メンテナンスパネル、あるいは出入口上枠を上下方向に移動させても、メンテナンス側見付部、あるいは固定側見付部の上端を、メンテナンスパネルあるいは出入口上枠で隠すことが可能であるから、該見付部の上端部が露呈することがなく、メンテナンスパネル、出入口上枠を上下方向に移動させることにより出入口開口枠体の開口高さの調整が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の室内側(メンテナンス側)からの正面図
【
図2】メンテナンスパネルと、室内側ランマ下地パネルを省略した本発明の室内側からの正面図
【
図6】
図4の状態より出入口開口高さを低くした状態の拡大断面図
【
図7】上枠取付アングルを固定側中枠に取り付けた状態を示す拡大斜視図
【
図8】室外側ランマ下地パネルを取り付けた状態を示す拡大斜視図
【
図9】室内側ランマ下地パネルを取り付けた状態を示す中枠側の拡大斜視図
【
図10】室内側ランマ下地パネルを取り付けた状態を示す戸先側の拡大斜視図
【
図11】メンテナンスパネルを取り付けた状態を示す中枠側の部分拡大斜視図
【
図12】設置された引き戸装置の戸先側縦枠付近の戸先側からの拡大斜視図
【
図13】設置された引き戸装置のメンテナンス側中枠付近の戸袋側からの拡大斜視図
【
図14】設置された引き戸装置の固定側中枠付近の戸袋側からの拡大斜視図
【
図15】室外側ランマ下地パネルを最も下げた状態を示す拡大斜視図
【
図16】室内側ランマ下地パネルを最も下げた状態を示す拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
引き戸扉の出入口開口部の開口高さが調整可能な引き戸装置を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0010】
以下実施例1を図面に基づいて説明する。
図1において、符号1は引き戸枠を示している。
引き戸枠1は、
図1~5に示すように、建物側の鉄骨11・・・にL金具12・・・を介して固定された戸尻側縦枠13および戸先側縦枠14と、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14の上端間に、建物側の鉄骨11・・・にL金具12・・・を介して配設されたレール取付材15より門形に形成されている。
【0011】
そして、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14間で、メンテナンス側中枠3と固定側中枠30が、レール取付材15の室内側(実施例ではメンテナンス側)と室外側(実施例では固定側)の両面に上端が固定され、室内側と室外側に所定間隔を有して配設されている。
尚、便宜上、一方側を室内側、他方側を室外側として説明しているが、メンテナンス等を行うメンテナンス側が、室内側、室外側のいずれであっても良いことは云うまでもない。
また、メンテンナンス側に対する対向側を、メンテナンスパネルにように取り外すことがないので固定側と云う。
通常は建築側の意匠性を考慮して、メンテナンス側が室内側として設定されることが多く、以下の説明においても、メンテナンス側を室内側として、他方側の固定側を室外側として説明する。
以下、戸尻側縦枠13とメンテナンス側中枠3間を戸袋室内側、戸尻側縦枠13と固定側中枠30間を戸袋室外側、戸袋室内側と戸袋室外側をあわせて戸袋側、戸先側縦枠14とメンテナンス側中枠3間を出入口室内側、戸先側縦枠14と固定側中枠30間を出入口室外側、出入口室内側と出入口室外側をあわせて出入口側と云う。
【0012】
図2、
図3において、符号2は、レール取付材15の室内側内面にネジ止め連結されているレールベース材を示している。
符号6は、レール材5に吊り下げられた引き戸扉を示し、符号16は、戸袋側の床面全幅にわたって固定されたベース材を示し、符号17は、ベース材16の出入口側端部に回転自在に設けられ、 固定側中枠30、メンテナンス側中枠3間でやや出入口側に突出して取り付けられたガイドローラーを示している。
図1~3において、符号4・・・は、戸袋室内側及び戸袋室外側の両面上下方向に所定間隔を有して配設された下地桟を示している。
図1、
図4において符号7は、レール取付材15の室内側の出入口側に取り付けられる室内側ランマ下地パネルを示し、符号19は、レール取付材15の室外側の出入口側に設けられる室外側ランマ下地パネルを示している。
【0013】
そして、上記引き戸枠1(レール材5が取り付けられたレールベース材2を含む。)、ベース材16、メンテナンス側中枠3、固定側中枠30、下地桟4・・・、室外側ランマ下地パネル19、室内側ランマ下地パネル7が、内装仕上げ(化粧ボード、クロス等の貼り付け)の行われるまでに施工され、内装仕上げが終了した後、室内側ランマ下地パネル7の下部のメンテナンス開口部から、引き戸扉6がレール材5に吊り込まれ、引き戸扉6の摺動確認、閉鎖スピードの調整作業等が行われる。以上が本件発明の引き戸装置の概要である。
【0014】
以下、各部材について詳述する。
戸尻側縦枠13は、
図5に示すように、出入口側面131と室内側面133と室外側面132と、室内側側面133及び室外側側面132の建築側の鉄骨11側の端部から互いに近づく方向に所定寸法突出する連結突片134、134より横断面略コ字形に形成されている。
【0015】
戸先側縦枠14は、
図5に示すように、建物側の鉄骨11側の上下方向に所定間隔を有して固定用部材141・・・が設けられ、出入口開口部の出入方向で室内側に突出して室内側の化粧ボード100の出入り口側端面を隠蔽するメンテナンス側戸先見付部147と、出入方向で室外側に突出して室外側の化粧ボード100の出入口側端面を隠蔽する固定側戸先見付部146と、メンテナンス側戸先見付部147と固定側戸先見付部146間に位置し、上部がメンテナンス側戸先見付部147と固定側戸先見付部146より上方に突出し、引き戸扉6の戸先側端部が位置する部分に閉鎖用凹部が上下方向に渡って設けられた戸当たり部148より扁平な略コ字形に形成されている。
【0016】
レール取付材15は、
図2、
図4に示すように、上面板151と、上面板151の室内側端部が垂下した室内側垂下突片152と、上面板151の室外側端部が垂下した室外側垂下突片153と、室外側垂下突片153の下端に連結された断面コ字形のレール材連結部154と、レール材連結部154の下端部に下方に向かって連接する下地補強部155と、上面板151の上面に溶接固定された溶接補強材としての上面基板156と、レール材連結部154の戸先端部近傍に設けられた戸先側連結座25と、レール材連結部154の戸尻端部近傍に設けられた戸尻側連結座26とで構成されている。
そして、レール取付材15には、レール材連結部154の垂直面の室内側にレール材5が取り付けられたレールベース材2が連結され、レール取付材連結部154の室外側に室外側ランマ下地パネル19が取り付けられる。
【0017】
戸先側縦枠14とレール取付材15は上記のように構成され、レール取付材15の戸先側端部の上部に設けられた上部突片と下部に設けられた下部突片を、該突片に対応して戸先側縦枠14の戸尻側面の上部に近傍に設けられた差込孔に差し込み、レール取付材15の戸尻側端部の上部に設けられた上部突片と下部に設けられた下部突片を、該突片に対応して戸尻側縦枠13の戸先側面の上端近傍に設けられた差込孔に差し込み、外れ止めネジにてネジ止めして、レール取付材15と戸先側縦枠14を仮組みした状態で、レール取付材15と戸尻側縦枠13を同様にして門型状に仮組みする。
次に、門型状に仮組みした前記部材を立たせ、垂直、水平度などを確認しながら、戸先側縦枠14の固定用部材141・・・と、レール取付材15の上面基板156と、戸尻側縦枠13の連結突片134をL金具12・・・を介して、建物側の鉄骨11と溶接連結する。
このとき、レール取付材15は、前述の通り、戸先側縦枠14、戸尻側縦枠13に対し上下2個所が指し込まれているので、溶接作業中に容易に捩れが発生することがない。
【0018】
ベース材16は、
図2、
図4に示すように、戸袋側の床面全幅に位置する固定面161と、固定面161の室内側及び室外側の端部に形成された立ち上がり面162、162と、立ち上がり面162、162から内方に突出して形成されたL字形の下地ボード受け面163、163と、固定面161の出入口側端部に、出入口側に突出し、引き戸扉6の下端面に形成されたガイド溝60内に嵌合するガイドローラー17を、その上面で回転自在に保持するガイドローラー取付部材164が固着されている。
そして、ガイドローラー取付部材164の出入り口側端部はアンカーボルトにて床面に固定されると共に、ベース材16の出入口側端部はメンテナンス側中枠3、固定側中枠30の内面と連結され、さらに、戸尻側端部が戸尻側縦枠13と連結され床面に固定される。
【0019】
レールベース材2は、
図2、
図4に示すように、レール材5が室内側に連結されるレール部材連結壁21と、レール部材連結壁21に上端から室外側に突出する上部水平壁211と、レール部材連結壁21の下端から室外側に突出する下部水平壁212と、上部水平壁211の室外側端部から上方向に突出する上部連結用突壁22と、下部水平壁212の室外側端部から下方向に突出する下部連結用突壁23より構成されている。
そして、レールベース材2の下部水平壁212の室内側端部から室内側に突出した状態で固着された、レールベース材2のほぼ全幅に渡って下面が開口する、断面下向きコ字形の横振れ規制部材24が下部水平壁212の下面に固着されている。
【0020】
レールベース材2と横振れ規制部材24は、レール材5が取り付けられた状態で、出入口側と戸袋側のほぼ全幅にわたって、レール取付材15のレール取付材連結部154の室内側に戸袋側が上がる状態(レール材5が後ろ上がりの状態となるよう)で連結され、レールベース材2の前端部を上下方向に調整することによってレールベース材2(レール材5)の傾斜角度が調整可能とされる。
【0021】
そして、レール取付材15の戸尻側連結座26に設けられた連結用螺孔に対応して、引き戸扉6の開閉方向に長い戸尻側連結孔213が、レールベース材2のレール連結壁21の戸尻側端部に形成され、レール取付材15の戸先側連結座25に設けられた連結用螺孔に対応して、上下方向に略円弧状の戸先側連結孔214が、レール連結壁21の戸先側端部に形成され、戸尻側連結孔213を挿通して戸尻側連結座26に螺合する戸尻側連結ボルトを回動中心として、戸先側端部が上下方向に移動可能となり、引き戸扉6の自閉スピードが最適となるよう戸先側下がりの傾斜姿勢が選択され、戸先側連結孔214を挿通して戸先側固定ボルトが戸先側連結座25に完全に螺合されると共に、下部連結用突壁23がレール取付材連結部154に固定ネジで室内側から固定され、レールベース材2(レール材5)の傾斜姿勢が確実に維持される。
【0022】
レール材5は、レールベース材2の戸先側端近傍から戸袋部端近傍に渡って配設され、
図2、
図4に示すように、レールベース材2よりやや短目に設定されるレール材固定材501と、レール材固定材501の室内側に連結される断面略コ字形で、レール材固定材501とほぼ同長のアルミ合金製のレール補強部材502と、レール補強部材502のコ字状内部に挟持保持されるスライドレール503で構成される。
スライドレール503は、アウターメンバー51と、アウターメンバー51の略3分の2程度の長さのボールリテーナ52に回転自在に保持されたボール53・・・を介して、アウターメンバー51に摺動自在に保持される、アウターメンバー51の略3分の1程度の長さのインナーメンバー54より構成されるボールベアリング式のスライドレールであって、インナーメンバー54はアウターメンバー51内を摺動移動するものである。
そして、インナーメンバー54の室内側には、インナーメンバー54と同程度の長さの吊りブラケット55が固着されている。
【0023】
そして、レール材固定材501は、レールベース材2のレール部材連結壁21の引き戸扉6の開閉方向に所定間隔を有して設けられた複数個の係止孔(図示せず。)・・・に戸先側から係合する、戸尻側が開口する複数個の係止爪501aを有している。
レール材5は上記のように、レール材固定材501にレール補強部材502が連結され、アウターメンバー51がレール補強部材502に挟持保持される状態で固定され、レール材固定材501の下面が前記横振れ規制部材24の上面に載置した状態、かつ、係止孔・・・に係止爪501a・・・を対応させた状態で、戸尻側方向にスライドさせて、係止爪501a・・・を係止孔・・・に係合させ、アウターメンバー51の室内側面から、レール部材連結壁21の螺孔に対して、六角孔のネジ21aで螺合し、かつ、横振れ規制部材24の下面からレール材5の戸先側端部に突出するようにネジを螺合し、レール材5の移動を防止し、レール材5は横振れ規制部材24に載置された状態でレールベース材2に取り付けられる。
【0024】
吊りブラケット55は、
図4に示すように、下端部が横振れ規制部材24の下方に突出して、インナーメンバー54の室内側に固着される連結固着部551と、連結固着部551の下端部で、横振れ規制部材24の下方位置で室外側に突出して連設された上片554と、上片554の室外側端部に垂下して連設された垂下面553と、垂下面553の下端部で室内側に突出して形成された吊り下げ支持面552より構成されている。
尚、吊り下げ支持面552の開閉方向側両端部には、室内側が開口する吊り下げボルト挿通孔が形成され、吊り下げボルト挿通孔が引き戸扉6の戸先側吊り下げ部、戸尻側吊り下げ部となる。
【0025】
メンテナンス側中枠3は、
図4、
図5に示すように、上端部がレール取付材15の室内側垂下突片152の室内側にネジ止め連結され、内面側に位置する補強枠31と、補強枠31の出入り口側の端部から室内側に位置するメンテナンス側外側枠36より構成されている。
そして、メンテナンス側外側枠36は、出入り口側の端部から室内側に突出し、室内側戸袋化粧ボード100の出入口側端部を隠蔽するメンテナンス側中枠見付部32と、メンテナンス側中枠見付部32の内面側端部から戸尻側縦枠13方向に突出し、室内側戸袋化粧ボード100が貼り付けられる化粧ボード支持部33と、化粧ボード支持部33の戸尻側縦枠13側の端部からL字形に戸尻側縦枠13方向に突出し、下地桟4・・・のメンテナンス側中枠3側の端部の突き片43が差し込まれて連結される下地桟連結部34より形成され、下端部がベース材16と連結され立設する。
【0026】
固定側中枠30は、
図4、
図5に示すように、上端部がレール取付材15の室外側垂下突片153の室外側からネジ止め連結され、その下方部で下地補強部155の下端部の室外側に室内側からネジ止め連結される内面側に位置する室外側補強枠301と、室外側補強枠301の出入り口側の端部から室外側に位置する固定側外側枠306より構成されている。
固定側外側枠306は、室外側補強枠301の出入り口側の端部から室外側に突出し、室外側戸袋化粧ボード100の出入口側端部を隠蔽する固定側中枠見付部302と、固定側中枠見付部302の内面側端部から戸尻側縦枠13方向に突出し、室外側戸袋化粧ボード100が貼り付けられる固定側化粧ボード支持部303と、固定側化粧ボード支持部303の戸尻側縦枠13側の端部からL字形に戸尻側縦枠13方向に突出し、下地桟4・・・の固定側中枠30側の端部の突き片43が差し込まれて連結される固定側下地桟連結部304より形成され、下端部がベース材16と連結され立設する。
【0027】
下地桟4は、
図2に示すように、基板表面部41と、基板表面部41の上下端部をL字形に折り曲げた上下のフランジ部42、42より構成され、メンテナンス側中枠3、固定側中枠30側の端部に突出した突き片43が設けられ、前記のように、フランジ部42、42と突き片43間に設けられた隙間に、メンテナンス側中枠3及び固定側中枠30の下地桟連結部34、固定側下地桟連結部304が差し込まれ、基板表面部41が戸尻側縦枠13とネジ止め連結され上下方向に所定間隔を有して配設されている。
【0028】
室外側ランマ下地パネル19は、
図4、
図6に示すように、室外側表面基板191の上端部に形成されたL字形の上部連結用突片192と、室外側表面基板191の下端部に室外側に突出して形成された略コ字形の出入口上枠193より形成されている。
そして、出入口上枠193は、室外側に面する上枠室外側見付部193aと、上枠見付部193aの上端から室内側に突出し、前記上部連結用突片192に連接している、化粧ボード支持部193bと、上枠見付部193aの下端から室内側に水平に突出し、出入口の開口部の上端部を形成する室外側上部開口内面部193cを有している。
室外側上部開口内面部193cは、戸先側縦枠14の固定側戸先見付部146、固定側中枠の固定側中枠見付部302間と同じ寸法となる幅で形成されているが、上枠室外側見付部193aと、化粧ボード支持部193bは、出入口開口部を固定側から見た背面視において、出入口幅、固定側戸先見付部146の幅、固定側中枠見付部302の幅の合計寸法より若干長い幅で設定されており、上枠室外側見付部193aの両端が、室内側に折り曲げられて、側面蓋193d、193dとされる。
そして、上部連結用突片192には、縦長の小判孔である固定調整小判孔192aが、出入り方向に貫通して設けられ、化粧ボード支持部193cの両端近傍には、上下方向に貫通孔が設けられている。
【0029】
室外側ランマ下地パネル19の取り付けは、上枠取付アングル20、20を介して行われるので、上枠取付アングル20について説明する。
尚、上枠取付アングル20は、固定側中枠30の固定側中枠見付部302と戸先側縦枠14の固定側戸先見付部146の互いに対向する面である、固定側中枠内面302bと固定側戸先内面146bにそれぞれ取り付けられるもので、対称に対向して取り付けられるものであるので、固定側中枠30に取り付けられる上枠取付アングル20で説明する。
上枠取付アングル20は、
図7に示すように固定側中枠見付部302の上端部近傍で、メンテナンス側戸先見付部147と対向する面の固定側中枠内面302bに沿って形成される上下方向に長い長方形の板状の支持片201と、支持片201の上端部で、固定側中枠見付部302の上方で出入口開口部側に水平に突出する取付片202で形成され、鋼板を曲げ加工して成型される。
そして、支持片201には縦長の長方形状の固定調整長孔201aが設けられ、取付片202には上下方向に貫通する上枠取付螺孔202aが設けられている。
【0030】
室外側ランマ下地パネル19の取り付けは、上枠取付アングル20の支持片201を固定側中枠内面302bの所定の位置に沿わし、固定側中枠内面302bに設けられた固定孔と、固定調整長孔201aを使用してネジにて、上枠取付アングル20を固定側中枠30に固定する。
そして他の上枠取付アングル20を、戸先側縦枠14の固定側戸先内面146bに、取付片202が出入口開口部の上方の位置になる向きで支持片201を所定の位置に沿わし、固定側戸先内面146bに設けられた固定孔と、固定調整長孔201aを使用してネジにて、上枠取付アングル20を戸先側縦枠14に固定する。
【0031】
この時、上枠取付アングル20の固定調整長孔201aの一番下側でネジ固定する。そのため、上枠取付アングル20は、固定側戸先見付部146、固定側中枠見付部302の上端面より上方に突出した高さで固定されている。
そして、室外側ランマ下地パネル19を室外側から室内側方向に向かって、出入口上枠193の化粧ボード支持部193bの内面の下面と室外側上部開口内面部193cの上面間に前記上枠取付アングル20が入るように移動させ、上枠室外側見付部193aの両端側で、戸先側縦枠14の固定側戸先見付部146の正面側(室外側)の固定側戸先正面146aの上端部と、固定側中枠30の固定側中枠見付部302の正面側(室外側)の固定側中枠正面302aの上端部を正面から覆い隠すように配置する。
次に上部連結用突片192の室内側面を、レール材連結部154の室外側面に当接させ、化粧ボード支持部193bの両端に設けられた前記貫通孔と上枠取付アングル20の上枠取付螺孔202aを使いネジにて、化粧ボード支持部193bと上枠取付アングル20を固定させる。
そして、
図8に示すように固定調整小判孔192aを使って、レール取付材15に上部連結用突片192部を固定することによって、室外側ランマ下地パネル19は取り付けられる。
この時、上部連結用突片192の固定調整小判孔192aの一番下側でネジ固定されることとなる。
【0032】
また、前述のとおり、上枠室外側見付部193aの両端側で、固定側戸先正面146aの上端部と、固定側中枠正面302aの上端部を覆い隠すように配置され、上枠室外側見付部193aの両端の側面蓋193d、193dが、固定側戸先内面146bの対向側面、固定側中枠内面302bの対向側面に沿うように取り付けられている。
このように室外側ランマ下地パネル19を取り付けることにより、室外側ランマ下地パネル19は上下方向に調整可能となる。
【0033】
例えば、室外側ランマ下地パネル19を取り外した状態で、上枠取付アングル20を固定しているネジを緩め、固定調整長孔201aの小判孔の範囲内で上枠取付アングル20を一番下げ、ネジを締め固定する。この状態で
図6に示すように上枠取付アングル20は15ミリメートル下がって取り付けられる。そして、前述の手順で室外側ランマ下地パネル19を取り付けると、室外側ランマ下地パネル19は、前述の位置より15ミリメートル下がった位置に配置され、上部連結用突片192の固定調整小判孔192aの一番上側でネジ固定されることとなる。
そのため、出入口上枠193部は、15ミリメートルの範囲で上下調整が可能となり、出入口開口部の高さも15ミリメートルの範囲で上下調整可能となる。
【0034】
一般的には、出入口開口部の高さは設計段階であらかじめ決まっているため、設計図に合わせて、上枠取付アングル20を所定の高さに固定し、室外側ランマ下地パネル19取り付けることとなる。
そして、出入口上枠193部の上枠室外側見付部193aの両端側が、戸先側縦枠14の固定側戸先見付部146の正面側(室外側)の固定側戸先正面146aの上端部と、固定側中枠30の固定側中枠見付部302の正面側(室外側)の固定側中枠正面302aの上端部を正面から覆い隠しているので、室外側ランマ下地パネル19を上下方向に移動させても、固定側中枠見付部302、固定側戸先見付部146の上端部が露呈することがないため、戸先側縦枠14、固定側中枠30を出入口開口部の高さに合わせて作り替える必要がなく、本実施例においては、高さ15ミリメートルの範囲の場合は同じものを使用できる。
【0035】
室内側ランマ下地パネル7は、
図4、
図6、
図9に示すように、表面基板72と、表面基板72の上端部に形成されたL字形の上端連結突片71と、室外側表面基板71の下端部に室外側に突出して形成された基板側下突片721より構成され、基板側下突片721にて、室内側化粧ボード100の下端縁の下面を支持隠蔽する。
表面基板72と、基板側下突片721は、出入口側を室内側から見た正面視において、出入口幅、メンテナンス側戸先見付部147の幅、メンテナンス側中枠見付部32の幅の合計寸法よりほぼ同じ幅で設定されている。
そして、上端連結突片71には、縦長の小判孔である固定小判孔71a・・・が設けられ、基板側下突片721の両端近傍には閉塞部材固定孔721a、721aが上下方向に貫通して設けられ、基板側下突片721の両端下面には、閉塞部材固定孔721a、721aを利用して閉塞部材8、8がねじ止め固定されている。
【0036】
閉塞部材8、8は、
図4、
図6、
図9、
図10に示すようにメンテナンス側中枠3のメンテナンス側中枠見付部32と戸先側縦枠14のメンテナンス側戸先見付部147の互いに対向する面であるメンテナンス側中枠内面32bとメンテナンス側戸先内面147bにそれぞれ取り付けられるもので、対称形状のものが対向して取り付けられるものであるので、メンテナンス側中枠3に取り付けられる閉塞部材8で説明する。
【0037】
閉塞部材8は、
図4、
図9に示すようにメンテナンス側中枠見付部32の上端部近傍で、メンテナンス側戸先見付部147と対向する面のメンテナンス側中枠内面32bに沿って形成される上下方向に長い長方形の板状の鉛直取付片81と、鉛直取付片81の下端部で対向するメンテナンス側戸先見付部147側に向かって水平に突出するパネル取付座82と、鉛直取付片81の上端部で、メンテナンス側中枠見付部32の上方面を覆うように戸袋側に水平に突出する上面片83と、上面閉塞片83の突出端から垂下し、メンテナンス側中枠内面32bとメンテナンス側中枠内面32bの対向面間に挿入される鉛直取付片81とほぼ同じ高さの側面閉塞片84で形成され、鋼板を曲げ加工して成型される。
そして、鉛直取付片81には縦長の小判孔である固定調整小判孔81aが設けられ、パネル取付座82には上下方向に貫通するパネル取付螺孔82a、上面片83には、上下方向に貫通し雌ネジ加工される下地パネル取付螺孔83aが設けられている。
【0038】
そして、閉塞部材8、8は、基板側下突片721の下面に、基板側下突片721の閉塞部材固定孔721a、721aと、下地パネル取付螺孔83a、83aを使用してねじ止め固定される。
このように閉塞部材8、8が取り付けられた室内側ランマ下地パネル7は、次のように取り付けられる。
まず、閉塞部材8、8の鉛直取付片81、81が、戸先側縦枠14のメンテナンス側戸先内面147b、メンテナンス側中枠3のメンテナンス側中枠内面32bに沿うように配置し、メンテナンス側戸先内面147b、メンテナンス側中枠内面32bの上端部付近に設けられた固定孔と固定調整小判孔81aで位置合わせを行い、上端連結突片71の室外側面を、レール取付材15の室内側垂下突片152に当接させる。
そして、前記固定孔と固定調整小判孔81aでねじ止めし、上端連結突片71の固定小判孔71a・・・を使い室内側垂下突片152にネジ止めする。
この時、固定調整小判孔81aと固定小判孔71aの一番下側でネジ固定されることとなる。
また、閉塞部材8の上面片83は、メンテナンス側戸先見付部147、メンテナンス側中枠見付部32の上方の位置となり、側面閉塞片84は、メンテナンス側戸先内面147bとメンテナンス側戸先内面147bの対向面間、メンテナンス側中枠内面32bとメンテナンス側中枠内面32bの対向面間で、該対向面側に沿うように配置する。
このように室内側ランマ下地パネル7を取り付けることにより室内側ランマ下地パネル7は上下方向に調整可能となる。
【0039】
例えば、閉塞部材8を、メンテナンス側戸先内面147b、メンテナンス側中枠内面32bに固定しているネジと、上端連結突片71と室内側垂下突片152を固定しているネジを緩め、固定調整小判孔81a、固定小判孔71aの小判孔の内で室内側ランマ下地パネル7を一番下げ、ネジを締め固定する。
この状態で室内側ランマ下地パネル7は15ミリメートル下がって取り付けられる。
そのため、室内側ランマ下地パネル7は、15ミリメートルの範囲で上下調整が可能となり、後述するメンテナンスパネル90との組み合わせで、出入口開口部の高さも15ミリメートルの範囲で上下調整可能となる。
一般的には、前述の出入口上枠193と同様に出入口開口部の高さは設計段階であらかじめ決まっているため、設計図に合わせて、室内側ランマ下地パネル7の高さを調整し所定の高さに取り付けることとなる。
【0040】
そして、このように設置された引き戸枠1に、せっこうボードなどが貼られ、壁面と出入口開口部が形成される。
まず、基板側下突片721の上面に下地ボード101の下端を載せ、表面基板72の室内側面に下地ボード101を沿わし、ネジにて表面基板72に固定され下地ボード101が貼り付けられ、さらに、メンテナンス側中枠見付部32の戸袋側から戸袋部に下地ボード101が貼り付けられ、メンテナンス側戸先見付部147のメンテナンス側戸先内面147bと対向する側にも下地ボード101が貼り付けられる。
そして、下地ボード101の表面に化粧用の下地ボード100が下地ボード101に重ねて貼り付けられる。
次に室外側で、室外側ランマ下地パネル19の化粧ボード支持部193bの上面に下地ボード101の下端を載せ、室外側表面基板191の室外側面に下地ボード101を沿わし、ネジにて室外側表面基板191に固定され下地ボード101が貼り付けられ、さらに、固定側中枠見付部302の戸袋側から戸袋に下地ボード101が貼り付けられ、固定側戸先見付部146の出入口開口部側と対向する側にも下地ボード101が貼り付けられる。
そして、化粧ボード100が貼り付けられた状態で、化粧ボード100の表面にクロスシート等が貼り付けられる化粧仕上げが成されることとなる。
【0041】
実施例において、戸先側縦枠14と固定側中枠30間に形成される開口部、床面から室外側ランマ下地パネル19の室外側上枠見付部193の下面までの開口部が出入り口開口部とされるが、室内側の出入り口開口部の上端から室内側ランマ下地パネル7の基板側下突片721の下面までがメンテナンス開放部9として開放されている。
メンテナンス開放部9は、引き戸扉6の吊り下げ作業の他、レールベース材2(レール材5)の傾斜角度の調整や引き戸扉6の閉止時のブレーキ装置の調整・交換、レール材5の着脱などに使用される。
メンテナンス開放部9は、通常、メンテナンスパネル90で隠蔽されているが、メンテナンス時にはメンテナンスパネル90が取り外される。
そして、本実施例の引き戸装置は、メンテナンス開放部9の上方に壁面内部に当たる部分にレール材5の大部分が収容され、メンテナンスパネル90の高さが低くなるように構成されているものである。
【0042】
前述の閉塞部材8の側面閉塞片84は、施工された(化粧用)下地ボード100と、メンテナンス側戸先見付部147、メンテナンス側中枠見付部32の上方と後述するメンテナンスパネル90の左右閉塞片91、91間に発生する隙間を閉塞するものであり、メンテナンス側戸先見付部147のメンテナンス側戸先内面147bとメンテナンス側戸先内面147bの対向面間、メンテナンス側中枠見付部32のメンテナンス側中枠内面32bとメンテナンス側中枠内面32bの対向面間に配置しているので、閉塞部材8、8を下げたとしても、メンテナンス側戸先見付部147、メンテナンス側中枠見付部32に入り込むため閉塞部材8、8の上下調整が可能である。
そして、側面閉塞片84は、前記隙間から露呈しているので、通常はメンテナンス側中枠見付部32、メンテナンス側戸先見付部147と同色の塗装が施される。
【0043】
吊りブラケット55に吊り下げられる引き戸扉6は、吊りブラケット55の吊り下げボルト挿通に対応する位置で、上端面に引き戸扉6の吊り下げ具である吊り下げボルト61、61が設けられたパネル形状を成し、
図2、
図4に示すように、戸先側と戸尻側の両端部上面に、揺れ止め規制部材24の室内側の突片を抱え込むように揺れ止め部材245、245が取り付けられ、下端面の開閉方向に前記ガイドローラー17が挿通するガイド溝60が形成され、引き戸扉6の戸先側端面には、引き戸の閉鎖状態で戸先側縦枠14の閉鎖用凹部148内に位置する戸当たり部材600(
図5に示す。)が、戸先側縦枠14方向に突出して設けられている。
【0044】
そして、引き戸扉6は、メンテナンス開放部9より、戸先側と戸尻側の揺れ止め部材245、245の上端を最も低い位置まで下げた状態で、引き戸扉6の吊り下げボルト61、61を、吊り下げボルト挿通孔に挿入して、ボルト頭部を吊り下げ用支持面552に載置させ、必要に応じて頭部をスパナで回動して引き戸扉6を所定の高さに位置させる。
次に、ボルト頭部を回動させて戸当たり部材600と戸先側縦枠14の閉鎖用凹部148との当り具合などを調整した後、ボルト保持体65、65が、メンテナンス開放部9から臨む垂下面553にネジにて連結されて、レール材5に吊りブラケット55を介して吊り下げられる。
そして、揺れ止め部材245、245を、固定ネジを緩めて上昇させ、横振れ規制部材24の室内側突片を上方の凹溝で抱え込むように位置させ、固定ネジを締めて所定高さに固定する。
さらに、引き戸扉6を吊り下げた状態で、引き戸扉6の開閉速度を確認し、必要に応じてレールベース材2の傾斜角度を調節し、引き戸扉6の開閉速度を設定する。
その他、全開ストッパー、ブレーキ装置、フリーストッパー装置等のオプション部材がメンテナンス開放部9から取り付けられる。
【0045】
メンテナンスパネル90は、
図2、
図11に示すように、メンテナンス側中枠見付部32の出入方向と直行するように露呈するメンテナンス側中枠正面32a上部と、メンテナンス側戸先見付部147の出入方向と直行するように露呈するメンテナンス側戸先正面147a上部を正面から覆い、メンテナンス側中枠見付部32とメンテナンス側戸先見付部147間に架け渡される横長長方形の板状の正面閉塞部91と、正面閉塞部91の上端から室内側化粧ボード100側に突出し、室内側ランマ下地パネル7の基板側下突片721の先端部分上面に載置され、室内側化粧ボード100に張られたクロス103の下縁を隠蔽する載置用突片92と、正面閉塞部91の下端から室外側に突出し、メンテナンス側中枠内面32bとメンテナンス側戸先内面147b間で出入口の室内側の上辺を形成するL字形の開口部上内面部93より構成される。
そして、正面閉塞部91の左右両端は、載置用突片92とほぼ同じ寸法同じ方向に突出する左右閉塞片911、911を形成し、左右閉塞片911、911は、メンテナンス側中枠見付部32、メンテナンス側戸先見付部147の、メンテナンス側中枠内面32bと対向する側面と、メンテナンス側戸先内面147bと対向する側面側を覆うものである。
【0046】
このように構成されたメンテナンスパネル90は、次のように取り付けられる。
まず、開口部上内面部93をメンテナンス側中枠内面32b間に、閉塞部材8のパネル取付座82の下方からメンテナンス側戸先内面147bを上方にむかって挿入する。
次に、メンテナンスパネル90の上方を回転させるように、載置用突片92を基板側下突片721の先端部分上面に載置する。そして、開口部上内面部93の両端部に設けられた上下方向の貫通孔の固定孔931、931を使って、パネル取付座82のパネル取付螺孔82aに対して下面側に化粧ネジ900、900で連結して取り付けが完了する。
【0047】
この状態で、
図12、
図13に示すように正面閉塞部91の両端で、メンテナンス側中枠正面32a上端部とメンテナンス側戸先正面147a上端部を覆うとともに、閉塞部材8の正面側も覆い隠している。
そして、載置用突片92の先端は、通常の寸法設定では、室内側化粧ボード100(クロス103)まで届いていない。これは、引き戸枠1や室内側化粧ボード100の施工時の施工誤差により、載置用突片92の先端と室内側化粧ボード100(クロス103)まで距離が変化するため、該施工誤差を考慮してあらかじめ隙間を設ける設定としている。
また、左右閉塞片911の先端も載置用突片92の先端と同じ寸法分の突出とされており、前記と同様、左右閉塞片911の先端も室内側化粧ボード100(クロス103)まで届いていない。これも前記と同様で施工誤差を考慮してあらかじめ隙間を設ける設定としている。
【0048】
尚、該隙間は、引き戸装置の施工時に設計図通りに施工されたとして、通常3ミリメートル以上設けておくことが望ましく、実施例においてはメンテナンスパネル90の載置用突片92の突出量を正面閉塞部91から6ミリメートルと短く設定し5.5ミリメートルとしている。
3ミリメートル未満であると、施工時の誤差を吸収しきれずにメンテナンスパネル90が正しく取り付けできないことがある。
そのため、メンテナンスパネル90の左右閉塞片911、911も載置用突片92と同様に、正面閉塞部91から6ミリメートルと短く設定し5.5ミリメートルとしている。
【0049】
以上のように、メンテナンスパネル90でメンテナンス側中枠正面32a上端部とメンテナンス側戸先正面147a上端部を覆うから、前述のとおり、室内側ランマ下地パネル7を15ミリメートルの範囲で上下調整したとしても、メンテナンス側中枠見付部32、メンテナンス側戸先見付部147の上端がメンテナンスパネル90で隠れるため露呈することがない。
そのため、戸先側縦枠14、メンテナンス側中枠3を出入口開口部の高さに合わせて作り替える必要がなく、本実施例においては、高さ15ミリメートルの範囲の場合は同じものを使用できる。
また、メンテナンス側中枠見付部32の上端高さと、固定側中枠見付部302の上端高さを同じにすることが可能であり、また、メンテナンス側戸先見付部147の上端高さと、固定側戸先見付部146の上端高さを同じにすることが可能となる。
【0050】
したがって、戸先側縦枠146は左右対称(室内側と室外側で対称)に形成することが可能で、さらに、メンテナンス側中枠3と固定側中枠30を対称形とすることが可能となる。
このように、戸先側縦枠146を左右対称、メンテナンス側中枠3と固定側中枠30を対称形とすることにより、引き戸扉6の開閉方向が左右で逆、例えば、
図1の右方向の開放方向が、左方向の開放方向になり戸袋部も左側になる場合でも、戸先側縦枠146、メンテナンス側中枠3と固定側中枠30は、反転させて同じものが使用できるので、引き戸枠1の据え付け施工時に左右の違いを細かく見る必要がなく管理がやり易い。
また、戸先側縦枠146、メンテナンス側中枠3、固定側中枠30の製作時にも左右分けて製作管理する必要がないため、量産が容易となりコストダウンを図ることが可能となる。
【0051】
本発明のメンテナンスパネル90のようにメンテナンス側中枠見付部32の正面とメンテナンス側戸先見付部147の正面を覆う場合、メンテナンスパネルの高さが高い場合だと意匠的に見慣れないため不自然に感じるが、本件実施例のように、メンテンナンスパネルの高さを室外側の室外側上枠見付部193の高さの3倍以内に収めるように設定すると、不自然さを感じることが少ない。さらに該高さを2倍以下にすれば不自然さを感じることが特に少なくなる。したがって、本件メンテナンスパネル90の構成は、メンテナンス開放部9の上方にレール材5の大部分が収容されている引き戸装置に採用することがより適したものである。