(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063711
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】アンテナ及び非侵襲血糖値チェッカー
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/14 20060101AFI20220415BHJP
H01Q 7/00 20060101ALI20220415BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20220415BHJP
H01Q 19/02 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
H01Q15/14 Z
H01Q7/00
H01Q1/22 Z
H01Q19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172093
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000113665
【氏名又は名称】マスプロ電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】福島 滉希
【テーマコード(参考)】
5J020
5J047
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA04
5J020BC10
5J020BD04
5J020DA03
5J047AA02
5J047AA12
5J047AB13
5J047EF05
(57)【要約】
【課題】ループアンテナ等のアンテナ素子の指向性が制御可能なアンテナ、及び当該アンテナが用いられた非侵襲血糖値チェッカーを提供する。
【解決手段】アンテナ1は、ループアンテナ4と、第1面無給電素子6(第1無給電素子)を備えている。ループアンテナ4の利得には、突出した部分であるメインローブが存在している。第1面無給電素子6は、薄膜状であり、ループアンテナ4と接触しない状態で配置されており、メインローブMLの突出方向を、第1面無給電素子6が配置されない場合の方向に対し、第1面無給電素子6からループアンテナ4への方向(+x方向)に傾ける。又、アンテナ1が一対用いられることで、非侵襲血糖値チェッカーが形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子と、
1以上の無給電素子と、
を備えており、
前記アンテナ素子の利得には、突出した部分であるローブが1以上存在しており、
前記無給電素子は、
前記アンテナ素子と接触しない状態で配置されており、
少なくとも一つの前記ローブの突出方向を、前記無給電素子が配置されない場合の方向に対し、前記無給電素子から前記アンテナ素子への方向に傾ける
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記無給電素子は、線状、薄膜状又は板状である
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記アンテナ素子は、ループアンテナである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
更に、前記ループアンテナと電気的に接続される電気素子を備えており、
前記ループアンテナは、平らな形状を呈するループアンテナ本体と、当該ループアンテナ本体と前記電気素子とを結ぶワイヤーと、を有している
ことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記無給電素子は、前記ループアンテナを挟んで前記電気素子と反対側であって、前記ループアンテナ本体を含む仮想的平面内に配置された第1無給電素子を含んでいる
ことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記第1無給電素子から前記ループアンテナへの方向がx方向とされ、前記仮想的平面内に含まれる前記x方向の垂線の方向がy方向とされ、前記ループアンテナにより送受信される電波の空気中における波長がλとされた場合に、
前記第1無給電素子のx方向の大きさは、λ/6以上であり、
前記第1無給電素子のy方向の大きさは、5λ/6以上であり、
前記第1無給電素子と前記ループアンテナとのx方向における間隔は、λ/12以上λ/6以下である
ことを特徴とする請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
更に、第1面及び当該第1面と対向する第2面を有する基板を備えており、
前記ループアンテナ本体、前記電気素子及び前記第1無給電素子は、前記第1面に設けられており、
前記無給電素子は、更に第2無給電素子を含んでおり、
前記第2無給電素子は、前記第2面に設けられており、前記ループアンテナを挟んで前記電気素子と反対側に配置されている
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記第1無給電素子から前記ループアンテナへの方向がx方向とされ、前記仮想的平面内に含まれる前記x方向の垂線の方向がy方向とされ、前記ループアンテナにより送受信される電波の空気中における波長がλとされた場合に、
前記第2無給電素子のy方向の大きさは、5λ/6以上であり、
前記第2無給電素子と前記ループアンテナとのx方向における間隔は、2λ/7以上2λ/5以下である
ことを特徴とする請求項7に記載のアンテナ。
【請求項9】
更に、前記第1無給電素子と前記第2無給電素子とを電気的に接続するポールが設けられている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記第1無給電素子は、グランドパターンと、連結部を介して電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項5ないし請求項9の何れかに記載のアンテナ。
【請求項11】
前記第2無給電素子は、グランドパターンと、連結部を介して電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9の何れかに記載のアンテナ。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11の何れかに記載のアンテナが一対用いられる
ことを特徴とする非侵襲血糖値チェッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばミリ波又はその近傍の波長の電波を送受信可能なアンテナ、及びこのアンテナが用いられた非侵襲血糖値チェッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
指向性が制御されるアンテナとして、特開2010-200202号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。
このアンテナは、給電素子としてのダイポールアンテナと、このダイポールアンテナと並行に配置される無給電素子と、を有している。
ダイポールアンテナの指向性は、無給電素子が線状構造と共に有するミアンダ構造、渦巻き構造あるいは折り返し構造に係る形状及び大きさの設定により制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のアンテナでは、線状の無給電素子の並行配置により、ダイポールアンテナの指向性が制御されるところ、ループアンテナの指向性が有効に制御されるか否かは不明である。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、ループアンテナ等のアンテナ素子の指向性が制御可能なアンテナを提供することである。
又、本発明の別の主な目的は、当該アンテナが用いられた非侵襲血糖値チェッカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、アンテナにおいて、アンテナ素子と、1以上の無給電素子と、を備えており、前記アンテナ素子の利得には、突出した部分であるローブが1以上存在しており、前記無給電素子は、前記アンテナ素子と接触しない状態で配置されており、少なくとも一つの前記ローブの突出方向を、前記無給電素子が配置されない場合の方向に対し、前記無給電素子から前記アンテナ素子への方向に傾けることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記無給電素子は、線状、薄膜状又は板状であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記アンテナ素子は、ループアンテナであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、更に、前記ループアンテナと電気的に接続される電気素子を備えており、前記ループアンテナは、平らな形状を呈するループアンテナ本体と、当該ループアンテナ本体と前記電気素子とを結ぶワイヤー、を有していることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記無給電素子は、前記ループアンテナを挟んで前記電気素子と反対側であって、前記ループアンテナ本体を含む仮想的平面内に配置された第1無給電素子を含んでいることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記第1無給電素子から前記ループアンテナへの方向がx方向とされ、前記仮想的平面内に含まれる前記x方向の垂線の方向がy方向とされ、前記ループアンテナにより送受信される電波の空気中における波長がλとされた場合に、前記第1無給電素子のx方向の大きさは、λ/6以上であり、前記第1無給電素子のy方向の大きさは、5λ/6以上であり、前記第1無給電素子と前記ループアンテナとのx方向における間隔は、λ/12以上λ/6以下であることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明において、更に、第1面及び当該第1面と対向する第2面を有する基板を備えており、 前記ループアンテナ本体、前記電気素子及び前記第1無給電素子は、前記第1面に設けられており、前記無給電素子は、更に第2無給電素子を含んでおり、前記第2無給電素子は、前記第2面に設けられており、前記ループアンテナを挟んで前記電気素子と反対側に配置されていることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、上記発明において、前記第1無給電素子から前記ループアンテナへの方向がx方向とされ、前記仮想的平面内に含まれる前記x方向の垂線の方向がy方向とされ、前記ループアンテナにより送受信される電波の空気中における波長がλとされた場合に、前記第2無給電素子のy方向の大きさは、5λ/6以上であり、前記第2無給電素子と前記ループアンテナとのx方向における間隔は、2λ/7以上2λ/5以下であることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、上記発明において、前記第1無給電素子と前記第2無給電素子とを電気的に接続するポールが設けられていることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、上記発明において、前記第1無給電素子は、グランドパターンと、連結部を介して電気的に接続されていることを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明は、上記発明において、前記第2無給電素子は、グランドパターンと、連結部を介して電気的に接続されていることを特徴とするものである。
請求項12に記載の発明は、非侵襲血糖値チェッカーであって、上記のアンテナが一対用いられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の主な効果は、ループアンテナ等のアンテナ素子の指向性が制御可能なアンテナが提供されることである。
又、本発明の別の主な効果は、当該アンテナが用いられた非侵襲血糖値チェッカーが提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】検討例1(本発明に属する実施例1)に係るアンテナの斜視説明図である。
【
図4】
図1におけるアンテナ外方の+x側から-x方向へみた場合の図である。
【
図5】本発明に属さない検討例2(比較例1)に係るアンテナの斜視説明図である。
【
図7】(A)は
図5における検討例2のアンテナ外方の+y側から-y方向へみた場合の図に、xz面指向性図をx方向で反転のうえ一部重ねた図であり、(B)は検討例2のアンテナのxz面指向性図である。
【
図8】(A)は
図1における検討例1のアンテナ外方の+y側から-y方向へみた場合の図に、xz面指向性図をx方向で反転のうえ一部重ねた図であり、(B)は検討例1のxz面指向性図である。
【
図9】
図1のアンテナの動作例に係る非侵襲血糖値チェッカーの(A)要部拡大図,(B)全体説明図である。
【
図10】(A)検討例3,(B)検討例4,(C)検討例5に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図11】(A)検討例6,(B)検討例7,(C)検討例8,(D)検討例9,(E)検討例10に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図12】(A)検討例11,(B)検討例12,(C)検討例13,(D)検討例14に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図13】(A)検討例15,(B)検討例16,(C)検討例17,(D)検討例18,(E)検討例19に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図14】(A)検討例20,(B)検討例21,(C)検討例22,(D)検討例23,(E)検討例24に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図15】(A)検討例25,(B)検討例26,(C)検討例27に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図16】(A)検討例28,(B)検討例29,(C)検討例30に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図17】(A)検討例31,(B)検討例32,(C)検討例33,(D)検討例34に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図18】(A)検討例35,(B)検討例36,(C)検討例37に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図19】(A)検討例38,(B)検討例39,(C)検討例40,(D)検討例41に係るアンテナのxz面指向性図である。
【
図20】(A)検討例42,(B)検討例43,(C)検討例44に係るアンテナのxz面指向性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に属する実施例、及び本発明に属さない比較例の何れかに相当する検討例が、適宜図面に基づいて説明される。これらの実施例及び比較例の一部は、他の実施例又は比較例の変更例である場合がある。
本発明は、以下の実施例に限定されない。又、本発明の捉え方によって、本発明に属する(実施例)とされた検討例が、別の捉え方により本発明に属さない比較例とされたり、比較例とされた検討例が、別の捉え方により実施例とされたりすることがある。
【0010】
≪検討例1の構成等≫
図1は、検討例1に係るアンテナ1の斜視説明図である。
検討例1は、本発明に属している(実施例1)。
アンテナ1は、基板2と、アンテナ素子としてのループアンテナ4と、第1面無給電素子6と、第1面連結部7a,7bと、第1面GND8(GNDはグランドであり,以下同じ)と、電気素子としてのチップ9と、透明な保護層10と、第2面無給電素子12と、第2面連結部13a,13bと、第2面GND14と、複数のポール16と、を備えている。
【0011】
基板2は、誘電体製であり、熱硬化性樹脂、セラミックフィラー、ガラスクロスのコンポジット基板材製であって、その比誘電率は3.48で、その誘電正接tanδは0.0037である。基板2は、1辺が10mm(ミリメートル)で肉厚が1.524mmの正方板状であり、第1面2aと、これに対向する(平行である)第2面2bと、を有している。基板2の第1面2aには、それぞれ後述される、第1面無給電素子6、ループアンテナ4等が形成される箔状(薄膜状)の導体が誘電体上に積層されている。又、第2面2bには、後述される第2面無給電素子12等が形成される箔状(薄膜状)の導体が誘電体上に積層されている。よって、基板2は、いわゆる両面基板である。第1面2a及び第2面2bの各導体は、何れも金属製であり、銅製であって、それらの肉厚は、何れも0.035mmである。尚、基板2の材質、比誘電率、tanδ、及び各種寸法、並びに各導体の材質及び各種寸法の少なくとも何れかは、前記以外であっても良い。
基板2の第1面2aには、ループアンテナ4、第1面無給電素子6、チップ9及び保護層10が配置されている。即ち、ループアンテナ4(後述のループアンテナ本体20)、第1面無給電素子6、及びチップ9は、第1面2aを含む仮想的平面内に配置されている。
他方、基板2の第2面2bには、第2面無給電素子12が配置されている。
【0012】
ループアンテナ4は、導体である。
ループアンテナ4は、ループアンテナ本体20と、第1ワイヤー22と、第2ワイヤー24と、を有する。尚、ループアンテナ4の材質は、銅以外であっても良いし、ループアンテナ本体20、第1ワイヤー22、及び第2ワイヤー24の一部の材質が残部の材質と異なるものとされても良い。
ループアンテナ本体20は、基板2の第1面2aの中央部上側に配置されている。
ループアンテナ本体20は、矩形状部20aと、複数(2箇所)の結線部20bと、を有する。
矩形状部20aの各辺は、基板2の向かい合う辺と平行である。矩形状部20aの一部は、途切れている。矩形状部20aは、複数(2箇所)の孔部20cを有している。一対の孔部20cは、途切れた部分を挟んで対称的に配置されている。各孔部20cの形成により、リターンロスが軽減され、帯域幅が調整される。
各結線部20bは、矩形状部20aの対応する端部(途切れた部分の両側の何れか)に配置されている。各結線部20bは、矩形状部20aに対して、チップ9の側に突出している。各結線部20bの方向は、矩形状部20aの端部に直交しており、矩形状部20aにおける一対の辺と同方向である。
第1ワイヤー22は、導線であり、一方の結線部20bとチップ9とにわたっている。
第2ワイヤー24は、導線であり、他方の結線部20bと第1面GND8とにわたっている。
第1ワイヤー22又は第2ワイヤー24と対応する結線部20bとの接続部、第1ワイヤー22とチップ9との接続部、及び第2ワイヤー24端部と第1面無給電素子6との接続部は、それぞれワイヤーボンディング(図示略)により接続されている。ワイヤーボンディングは、金製である。尚、ワイヤーボンディングの材質は、金以外であっても良い。
以下、次のようにxyz空間が定義される。各結線部20bの先端同士を結ぶ仮想線分の中点を通る基板2の第1面2aの垂線が基板2の第2面2bと交わる点が原点とされる。又、当該垂線がz軸(第1面2a側が+z)とされる。更に、矩形状部20aにおける結線部20bと同方向の辺の方向を向き原点を通る仮想直線がx軸(チップ9側が+x)とされる。又更に、z軸及びx軸に対し右手系となる軸がy軸とされる。当該形態におけるxyz空間は、説明の便宜上定められたものである。
尚、ループアンテナ4の大きさ、形状及び配置の少なくとも何れかは、上述及び図示のものから変更されても良い。例えば、孔部20c及び結線部20bの少なくとも何れかは、省略されても良い。又、ループアンテナ本体20は、基板2の辺に対して傾いた状態で配置されても良い。
【0013】
図2は、基板2の第1面2a側の図であり、アンテナ1外方の+z側から-z方向へみた場合の図である。
第1面無給電素子6は、導体である。
第1面無給電素子6は、概ね基板2の第1面2aの-x側3分の1を覆っており、その+x側に、ループアンテナ本体20を配置するための孔30が開けられている。孔30からは、基板2の第1面2aが露出している。孔30の中央部に、ループアンテナ本体20が配置されている。
第1面無給電素子6は、本発明の第1無給電素子に相当する。
【0014】
第1面連結部7aは、孔30の-y側であって、第1面無給電素子6の+x側に配置されている。
第1面連結部7bは、孔30の+y側であって、第1面無給電素子6の+x側に配置されている。
第1面連結部7a,7bは、配置及び大きさを除き、第1面無給電素子6と同様に成る。
【0015】
第1面GND8は、孔30及び第1面連結部7a,7bの+x側に配置されている。
第1面GND8は、形状、配置及び大きさを除き、第1面無給電素子6と同様に成る。
第1面GND8の形状は、y方向及びx方向に延びる太い“T”字状となっている。x方向の部分における幅(y方向の大きさ)は、孔部20cの幅より大きくなっている。
第1面連結部7a,7bは、それぞれ、第1面無給電素子6と第1面GND8とを連結する。
【0016】
第1面無給電素子6のx方向の大きさx1(
図2参照)は、3.5mmであり、空気中における35GHzの電波の波長λ≒8.565mm(波長短縮率を考慮した波長λ
g)に対して約λ/3(0.76λ
g)に相当しており、λ/6(0.3λ
g)以上である。波長λ,λ
gについては、すぐ後で詳述される。第1面無給電素子6のy方向の大きさy1(
図2参照)は、基板2の一辺の大きさと同じ10mmであり、1λ強(2.2λ
g)以上に相当しており、5λ/6(1.5λ
g)以上である。第1面無給電素子6(の+x側のy方向に延びる辺)とループアンテナ4(のループアンテナ本体20の-x側のy方向に延びる辺)とのx方向における間隔x3(
図2参照)は、約1mmであり、約λ/10(0.22λ
g)であって、λ/12を上回り、λ/6を下回る(0.15λ
gを上回り、0.3λ
gを下回る)。
尚、第1面無給電素子6、第1面連結部7a,7b、第1面GND8の形状及び肉厚等の大きさの少なくとも一方は、上述のものから変更されても良い。第1面無給電素子6、第1面連結部7a,7b、及び第1面GND8の少なくとも何れかは、板状であっても良い。
【0017】
チップ9は、高周波を扱うための素子であり、ここではミリ波の送受信用の素子(送受信器)であって、基板2に比べて微細な直方体状である。チップ9は、第1面無給電素子6の肉厚の10倍程度の高さを有している。
チップ9は、第1面GND8上に搭載される。第1面GND8は、GNDの役割を担うグランドパターンである。第1面連結部7a及び第1面連結部7bは、第1無給電素子としての第1面無給電素子6にGNDを電気的に接続する連結部である。
尚、基板2の第1面2aにおける第1面無給電素子6より+x側の部分には、チップ9と電気的に接続されるアンテナ側端子群31(
図9)が設けられている。アンテナ側端子群31は、複数の端子を有している。又、チップ9は、送信及び受信の一方のみを扱うものであっても良い。更に、ループアンテナ4と電気的に接続される電気素子は、チップ9に代えて、あるいはチップ9と共に、ループアンテナ4の接続端子等であっても良い。
【0018】
保護層10は、第1面2aの全体を覆う、シリコーン樹脂製の不導体の層である。保護層10の比誘電率は2.6で、誘電正接tanδは0.0015である。保護層10の肉厚は、1mmである。尚、保護層10の透光性の度合、材質、比誘電率、tanδ、及び各種寸法の少なくとも何れかは、前記以外であっても良い。保護層10は、第1面2aの一部を覆っても良い。
ループアンテナ4、第1面無給電素子6、及びチップ9は、保護層10内に埋め込まれる。
【0019】
ループアンテナ4の実寸の周長、即ち第1ワイヤー22、ループアンテナ本体20の周長、及び第2ワイヤー24の各実寸の合計は、約5.6mmである。
ループアンテナ4で送受信する電波の周波数fは、人体を透過可能な電波の減衰の度合等により血糖値をチェックするため、ミリ波帯(30GHz(ギガヘルツ)以上300GHz以下)に属する35GHzとされている。よって、ループアンテナ4に係る電波の空気中の波長λは、光速c≒30万km/s(キロメートル毎秒)として、次の通りである。
λ=c/f≒8.565mm
当該電波は、発生時において、実際には殆ど基板2内となるから、基板2内の波長λgを考慮する必要がある。基板2内では、基板2の比誘電率εrに対し、次のように空気中の波長λが短縮されて、波長λgとなる。
λg=λ/√εr≒8.565/√3.48=4.59mm
但し、ループアンテナ4の内の第1ワイヤー22及び第2ワイヤー24は、基板2内ではなく保護層10内にあり、この部分においては波長がλgから少し長くなる。
よって、ループアンテナ4の電気的な周長は、当該電波の1波長に相当するものとなっている。
ループアンテナ4で送受信する電波の指向性は、一対のアンテナ1を第2面2bが向かい合う状態で使用して電波を送受信することから、-z側に大きくなることが好ましい。
本発明における各種の無給電素子の大きさを規定する波長は、基板2の比誘電率εrが基板の材質の違いにより様々になり得ることから、空気中の波長λとする。以下の検討例(実測又はシミュレーション)における、各種の無給電素子の大きさを規定する波長λ算出の過程において、必要に応じ基板2の比誘電率εr及び波長短縮率を考慮した波長λgが用いられ、最終的には空気中の波長λに基づいて各種の無給電素子の大きさが適宜規定される。但し、本発明における各種の無給電素子の大きさを規定する波長は、波長短縮率を考慮した波長λgとされても良い。上述及び下記検討例では、主に空気中の波長λに隣接する()内に、波長短縮率を考慮した波長λg(相当値)が適宜記載される。
尚、電波の周波数f(空気中の波長λ,波長λg)は、ミリ波帯に代えてミリ波帯の隣接帯域に属するものとする等、適宜変更されても良い。好ましくは、ループアンテナ4に係る電波の周波数は、10GHz以上400GHz以下である。又、電波の使用目的は、血糖値のチェック(人体の透過)以外のものであっても良い。
【0020】
ここで、アンテナ1において、ミリ波で指向性を一方向に強めたい場合に多用されるパッチアンテナではなく、ループアンテナ4が用いられた理由が説明される。
即ち、電波の減衰により血糖値をチェックする場合、その精度を向上するために、使用可能な帯域幅が重要となるからである。ループアンテナ4は、使用可能な帯域幅がパッチアンテナより広いという特徴を有している。
尚、使用可能な帯域幅を確保する目的以外の目的で、ループアンテナ4が用いられても良い。
【0021】
図3は、基板2の第2面2b側の図であり、アンテナ1外方の-z側から+z方向へみた場合の図である。
第2面無給電素子12は、第1面無給電素子6と、形状以外同様に成る。
第2面無給電素子12は、概ね基板2の第2面2bの-x側5分の1程度を覆っている。第2面無給電素子12の+x側には、窓32が設けられている。窓32は、ループアンテナ本体20の-z側に配置されており、ループアンテナ4に係る電波の通過を可能としている。
第2面無給電素子12は、本発明の第2無給電素子に相当する。
【0022】
第2面連結部13aは、窓32の-y側であって、第2面無給電素子12の+x側に配置されている。
第2面連結部13bは、窓32の+y側であって、第2面無給電素子12の+x側に配置されている。
第2面連結部13a,13bは、配置及び大きさを除き、第2面無給電素子12と同様に成る。
【0023】
第2面GND14は、窓32及び第2面連結部13a,13bの+x側に配置されている。
第2面GND14は、形状、配置及び大きさを除き、第2面無給電素子12と同様に成る。
第2面GND14は、GNDの役割を担うグランドパターンである。第2面連結部13a,13bは、第2面無給電素子12に第2面GND14を電気的に接続する連結部である。
第2面無給電素子12のx方向の大きさx2(
図3参照)は、1.75mmであり、約λ/5(0.38λ
g)に相当している。第2面無給電素子12のy方向の大きさy2(
図2参照)は、基板2の一辺の大きさと同じ10mmであり、1λ強(2.2λ
g)以上に相当しており、5λ/6(1.5λ
g)以上である。第2面無給電素子12(の+x側のy方向に延びる辺)とループアンテナ4(のループアンテナ本体20の-x側のy方向に延びる辺)とのx方向における間隔x8(
図2参照)は、約2.75mmであり、約λ/3(0.6λ
g)であって、2λ/7以上2λ/5以下(0.5λ
g以上0.75λ
g以下)である。
尚、第2面無給電素子12、第2面連結部13a,13b、第2面GND14は、第1面無給電素子6、第1面連結部7a,7b、第1面GND8と同様の変更例を有する。
【0024】
図4は、アンテナ1外方の+x側から-x方向へみた場合の図である。
各ポール16は、円柱状であり、第1面無給電素子6及び第2面無給電素子12と同じ材質で形成されている。各ポール16の直径は、0.6mmである。尚、ポール16は、導電材又は誘電体でスルーホール内が充填されたものであっても良い。又、各ポール16は、基板2の第1面2aから第2面2bにかけて開けられたスルーホール内に設けられている。尚、ポール16の一部又は全部の形状、大きさ及び材質の少なくとも何れかは、前記のものから変更されても良い。一部のポール16は、他のポール16と異なっていても良く、ポール16が2種類以上設けられても良い。
各ポール16は、第1面無給電素子6及び第1面連結部7a,7bが結合した部分の外周縁、並びに第1面GND8の外周縁に沿って並べられている。尚、各ポール16の配置は、前記のもの以外とされても良い。
各ポール16は、第1面無給電素子6、第1面連結部7a,7b、及び第1面GND8、並びに第2面無給電素子12、第2面連結部13a,13b、及び第2面GND14に垂直である。尚、各ポール16の姿勢は、前記以外のものであっても良く、一部の姿勢が他の姿勢と異なっていても良い。
各ポール16は、第1面無給電素子6、第1面連結部7a,7b、及び第1面GND8と、第2面無給電素子12、第2面連結部13a,13b、及び第2面GND14とを、電気的に接続するものである。
【0025】
≪検討例2の構成等≫
検討例1のアンテナ1に対する検討例2のアンテナ901が、以下説明される。
検討例2は、本発明に属していない(比較例1)。
図5は、アンテナ901の斜視説明図である。
図6は、基板2の第1面2a側の図であり、アンテナ901外方の+z側から-z方向へみた場合の図である。尚、アンテナ901において、検討例1のアンテナ1と同様に成る部材及び部分については、同じ符号が付され、適宜説明が省略される。
アンテナ901は、基板2と、ループアンテナ4と、第1面GND908と、チップ9と、保護層10と、を備えており、第1面無給電素子6、第1面連結部7a,7b、第2面無給電素子12、第2面連結部13a,13b、第2面GND14、及び複数のポール16を備えていない。
第1面GND908は、アンテナ1における第1面GND8の一部に相当する形状を呈している。より詳しくは、第1面GND908は、第1面GND8におけるx方向に延びる部分に相当する形状を呈している。
【0026】
≪検討例1,2の指向性等≫
次いで、検討例2のアンテナ901、及び本発明の検討例1のアンテナ1に係る、利得の分布、及びその分布の方向特性である指向性等が説明される。
尚、アンテナ1の利得(指向性)、及びアンテナ901の利得(指向性)は、シミュレーションにより解析されたものである。当該シミュレーションにおけるシミュレータは、電磁界シミュレーション(HFSS)である。
【0027】
図7Aは、検討例2のアンテナ901外方の+y側から-y方向へみた場合の図に、xz面指向性図をx方向で反転のうえ一部重ねた図である。
図7Bは、検討例2のアンテナ901のxz面指向性図である。
一般的である1λ長の平らなループアンテナの指向性は、所定の方向(ループアンテナを含む仮想的な平面に垂直な方向)に利得が強く隣接方向に対して利得が突出する部分であるメインローブと、当該メインローブと逆方向に利得が突出する部分であるバックローブとを含む“8”字状である。
アンテナ901のxz面指向性は、ループアンテナ4の設計において、特にxy面に平行なループアンテナ本体20によって、メインローブを-z側に突出させ、-z側に大きく確保しようとするものである。
しかし、実際には、
図7Aにあるように、メインローブMLは、-x方向に突出したものとなっている。又、メインローブML、及び+z側に突出したバックローブBLの他に、+x側に突出したサイドローブSLが出現している。
これらの点は、ループアンテナ4がチップ9との接続のため第1ワイヤー22及び第2ワイヤー24において+x側及び+z側に飛び出た部分を有していることによるものと考えられる。
又、アンテナ901の-z側の利得(
図7Bにおける-z側のz軸との交点)は、-3.60dBとなっており、十分に確保されていない。
【0028】
図8Aは、検討例1のアンテナ1外方の+y側から-y方向へみた場合の図に、xz面指向性図をx方向で反転のうえ一部重ねた図である。
図8Bは、検討例1のアンテナ1のxz面指向性図である。
アンテナ1のxz面指向性におけるローブ(利得突出部分)は、
図8Aに示されるように、-z方向に突出したメインローブML、及び+z方向に突出したバックローブBLのみとなっており、サイドローブSLはなく、又特にメインローブMLの大きさが十分に確保されたものとなっている。検討例1のアンテナ1の指向性は、第1面無給電素子6及び第2面無給電素子12等により、検討例2のアンテナ901の指向性、特にメインローブMLが+x方向に傾けられて(強制されて)、設計意図通り-z側に最大の指向性が確保されている。
又、アンテナ1の-z側の利得は、4.34dBとなっており、十分なものとなっている。
【0029】
≪検討例1の動作例等≫
かようなアンテナ1の一動作例として、
図9に示されるように、非侵襲血糖値チェッカー101に用いられる場合が、以下説明される。
非侵襲血糖値チェッカー101は、アンテナ1において、チップ9を、送信機能を有するチップ9aとしたアンテナ1aと、アンテナ1において、チップ9を、受信機能を有するチップ9bとしたアンテナ1bと、ホルダ102と、アナライザ108と、を有している。
ホルダ102は、一対のアンテナ1a,1bを、各第2面2bが向かい合った状態で保持する。ホルダ102は、各アンテナ1a,1bの+x側に位置する。ホルダ102は、一対のアンテナ1a,1bに対応する一対のホルダ側端子群110を有する。各ホルダ側端子群110は、対応する基板2のアンテナ側端子群31と電気的に接続される。
アンテナ1aのチップ9aは、一方のホルダ側端子群110に接続された送信側リード線112(複線)を介して、アナライザ108に電気的に接続されている。アナライザ108からチップ9aに動作電源が供給されると、チップ9aを構成している発振器は、35GHzの電波に係る高周波電圧(送信信号)を発生し、ループアンテナ4は、35GHzの電波を、
図8に示される主に-z側を向いた指向性で放射する。
他方、アンテナ1bのチップ9bは、他方のホルダ側端子群110に接続された受信側リード線114(複線)を介して、アナライザ108に電気的に接続されている。アンテナ1aからの35GHzの電波は、各基板2間を通過し、
図8に示される主に-z側を向いた指向性において他方の基板2のループアンテナ4で受信されて高周波電圧(受信信号)となり、チップ9bで受信される。チップ9bは、受信した35GHzの高周波信号を検波し、受信強度に応じた検波電圧を出力する。血液中の血糖濃度に応じて、35GHzの高周波信号の減衰量が変化するところ、アナライザ108は、当該減衰量を検出する。尚、チップ9bは、35GHzの高周波信号を直接検波するところ、これを直接検波せずに、例えば数GHzといった比較的に低い周波数の高周波信号に一旦周波数変換し(ダウンコンバート)、その低い周波数の高周波信号を検波しても良い。このようにダウンコンバートすることにより、回路規模がより大きくなる一方、必要に応じて不要なノイズを抑制するフィルターが使用できたり、必要な検波利得が得られたりする等、システム設計がより容易になる。又、送信側リード線112及び受信側リード線114は、同じ構成を有していても良いし、互いに異なる構成を有していても良い。
アナライザ108は、コンピュータで構成される。尚、アナライザ108は、専用機等であっても良い。
アナライザ108は、送信機能を有するチップ8aを制御すると共に、受信機能を有するチップ9bが受信検波した信号に基づいた解析を行う。
尚、チップ9aとは別体の送信機が設けられても良いし、チップ9bとは別体の受信機が設けられても良い。又、アナライザ108は、チップ9bのみと接続され、チップ9aを制御しないものとされても良い。
【0030】
血糖値測定の実施者は、対象者の耳たぶELを一対のアンテナ1で挟み、対象者に非侵襲血糖値チェッカー101をセットする。
実施者は、アナライザ108を操作して、アンテナ1aから電波を送出させる。指向性に従い主にアンテナ1b側へ送出された電波は、伝搬路である耳たぶELにおける減衰を経て、送出側に強い指向性を持つ当該アンテナ1により受信される。当該減衰は、耳たぶELの血管内における血液の血糖の大小に応じる。
受信された電波は、受信信号となってアナライザ108に供給される。アナライザ108は、受信信号の強度等により、電波の減衰度合等を解析し、対象者の血糖値を推定する。
血糖値推定の良好な精度を確保するため、あるいは他の用途において十分な利得を確保するため、アンテナ1a,1bの-z側の利得は、好ましくは3dB以上であり、より好ましくは4dB以上である。
【0031】
≪検討例1の作用効果等≫
以上のアンテナ1は、ループアンテナ4と、第1面無給電素子6(第1無給電素子)及び第2面無給電素子12(第2無給電素子)と、を備えており、ループアンテナ4の利得には、突出した部分であるメインローブMLが存在しており、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12は、ループアンテナ4と接触しない状態で配置されており、メインローブMLの突出方向を、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12が配置されない場合の方向(検討例2)に対し、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12からループアンテナ4への方向(+x方向)に傾ける。
よって、無給電素子としての第1面無給電素子6,第2面無給電素子12により、サイドローブSLの発生が抑制され、又バックローブBLに対してメインローブMLの利得を強調することができて、ループアンテナ4の指向性が、目的の方向(-z方向)に調整され、単一指向化される。
【0032】
又、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12は、薄膜状である。よって、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12は、より設置し易いものとなる。
更に、アンテナ1は、ループアンテナ4と電気的に接続されるチップ9を備えており、ループアンテナ4は、平らな形状を呈するループアンテナ本体20と、ループアンテナ本体20とチップ9とを結ぶ第1ワイヤー22及び第2ワイヤー24とを有している。よって、特に第1ワイヤー22及び第2ワイヤー24の設置により、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12を設けない場合のループアンテナ4の利得が、-x側に傾いたメインローブMLを有するものとなるところ、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12の設置により、メインローブMLが、+x側に強制され、所望の-z方向を向くように調整される。
又更に、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12は、ループアンテナ4を挟んでチップ9と反対側(-x側)であって、ループアンテナ本体20を含む仮想的平面(基板2の第1面2a)内に配置されている。よって、第1ワイヤー22及び第2ワイヤー24により-x側に傾いたループアンテナ4の-z側のメインローブMLの方向が、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12により+x側に強制されることで、所望の-z方向を向くように調整される。又、メインローブMLの利得が、他のローブに対してより強調される。
又、第1面無給電素子6からループアンテナ4への方向がx方向とされ、仮想的平面(基板2の第1面2a)内に含まれるx方向の垂線の方向がy方向とされ、ループアンテナ4により送受信される電波の空気中の波長がλとされた場合に、第1面無給電素子6のx方向の大きさx1は、λ/6(0.3λg)以上のλ/3(0.76λg)であり、第1面無給電素子6のy方向の大きさy1は、5λ/6(1.5λg)以上の1λ強(2.2λg)であり、第1面無給電素子6とループアンテナ4とのx方向における間隔x3は、約1mmであり、λ/12以上λ/6以下(0.15λg以上0.3λg以下)である。よって、メインローブMLの方向及び利得が、十分に調整される。
【0033】
更に、第1面2a及び第1面2aと対向する第2面2bを有する基板2を備えており、ループアンテナ本体20、チップ9及び第1面無給電素子6は、第1面2aに設けられており、無給電素子として、更に第2面無給電素子12の第2面無給電素子12を含んでおり、第2面無給電素子12は、第2面2bに設けられており、ループアンテナ4を挟んでチップ9と反対側に配置されている。よって、メインローブMLの方向及び利得が、より一層良好に調整される。
又、第1面無給電素子6からループアンテナ4への方向がx方向とされ、仮想的平面(第1面2a)内に含まれるx方向の垂線の方向がy方向とされ、ループアンテナ4により送受信される電波の空気中の波長がλとされた場合に、第2面無給電素子12のy方向の大きさy2は、5λ/6以上の1λ強(2.2λg)であり、第2面無給電素子12とループアンテナ4とのx方向における間隔x8は、2.75mmであり、λ/3(0.6λg)であって、2λ/7以上2λ/5以下(0.5λg以上0.75λg以下)である。よって、メインローブMLの方向及び利得が、より一層良好に調整される。
【0034】
更に、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12を電気的に接続する各ポール16が設けられている。よって、第1無給電素子及び第2無給電素子が協調的に動作して、メインローブMLの方向及び利得が、より一層良好に調整される。
又更に、第1面無給電素子6は、第1面GND8と、第1面連結部7a及び第1面連結部7bを介して電気的に接続されている。又、第2面無給電素子12は、第2面GND14と、第2面連結部13a及び第2面連結部13bを介して電気的に接続されている。よって、各無給電素子の電位がGNDに揃えられ、第1面無給電素子6,第2面無給電素子12が、指向性の調整において、より一層確実に作用する。
【0035】
加えて、アンテナ1a,1bが一対用いられることで非侵襲血糖値チェッカー101が形成される。
よって、各アンテナ1a,1bがメインローブMLを人体(耳たぶEL)側に向くようにセットされることで、感度が良好で測定精度が向上された非侵襲血糖値チェッカー101が提供される。
【0036】
≪検討例1の他の変更例等≫
尚、検討例1が適宜変更されて成る、本発明の他の形態(本発明に属する検討例1の各種の変更例)が例示される。
アンテナ1における基板2が複数枚に分割されたり、保護層10が省略されたりする等、各種の部材又は部分に係る個数、配置、形式、及び大きさの少なくとも何れかは、適宜変更されても良い。
アンテナ素子は、ループアンテナ4以外とされても良い。
【0037】
≪検討例3~4≫
検討例3~4は、検討例1から、ポール16の一部又は全部をなくしたものである。
このうち、検討例3は、第1面無給電素子6の第1面GND8に属するポール16を残し、他のポール16を取り除いたものである。
図10Aは、検討例3のxz面指向性図である。検討例3は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.66dBと、十分な値となっている。
他方、検討例4は、全部のポール16を取り除いたものである。
図10Bは、検討例4のxz面指向性図である。検討例4は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.47dBと、十分な値となっている。
【0038】
≪検討例5≫
検討例5は、検討例4から、第2面無給電素子12をなくしたものである。
図10Cは、検討例5のxz面指向性図である。検討例5は、-z側(-180°側)ではなくやや-x側に傾いた約-160°の方向に強い指向性を有していて、検討例2に対して指向性が強制しきれていない面がある。検討例5の-z側の利得は、4.32dBと、十分な値となっている。
【0039】
≪検討例6~10≫
検討例6は、検討例4から、第1面無給電素子6の第1面連結部7a及び第1面連結部7bをなくしたものである。検討例6の第1面無給電素子6は、第1面無給電素子6及び第1面GND8のみを有する。検討例6における第1面無給電素子6の第1面無給電素子6のx方向の大きさx1(
図2参照)は、検討例4と同じ3.5mmであり、35GHzの電波の空気中の波長λに対して約λ/3(0.76λ
g)となっている。
検討例7~9は、検討例6における、第1面無給電素子6の第1面無給電素子6のx方向の大きさx1を、λ/4(0.47λ
g),λ/6(0.31λ
g),λ/8(0.23λ
g)に相当するように順次小さくしていったものである。検討例7~9において、第1面無給電素子6におけるy方向に延びる+x側の辺(孔30側の辺)の位置が固定される。
検討例10は、検討例4から、第1面無給電素子6の第1面連結部7a及び第1面連結部7b並びに第1面無給電素子6をなくしたものである。検討例10の第1面無給電素子6は、第1面GND8のみとなっている。
【0040】
図11Aは、検討例6のxz面指向性図である。検討例6(x1≒λ/3)は、第1面連結部7a及び第1面連結部7bがなくても、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.82dBと、十分な値となっている。
図11Bは、検討例7のxz面指向性図である。検討例7(x1≒λ/4)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.43dBと、十分な値となっている。
図11Cは、検討例8のxz面指向性図である。検討例8(x1≒λ/6)は、-z側に強い指向性を有しているものの、検討例6,7に対して-60°方向にも指向性が表れている。検討例8の-z側の利得は、3.49dBである。
図11Dは、検討例9のxz面指向性図である。検討例9(x1≒λ/8)は、-z側に指向性を有しているものの、検討例6,7に対して-60°方向にも指向性が強く表れている。検討例9の-z側の利得は、3.11dBである。
図11Eは、検討例10のxz面指向性図である。検討例10(x1=0)の指向性は、検討例6~9に対して大きく歪んでいる。検討例8の-z側の利得は、-1.53dBと、十分に確保されていない。
検討例6~10、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第1面無給電素子6の第1面無給電素子6のx方向の大きさx1は、λ/6(0.3λ
g)以上とされることが好ましく、λ/4(0.45λ
g)以上とされることがより好ましい(請求項6)。
【0041】
≪検討例11~14≫
検討例11~14は、検討例7(x1≒λ/4(0.47λ
g))における、第1面無給電素子6の第1面無給電素子6のy方向の大きさy1(
図2参照)を、1λ(1.85λ
g),5λ/6(1.56λ
g),2λ/3(1.25λ
g),λ/2(0.93λ
g)に相当するように順次小さくしていったものである。検討例11~14において、第1面無給電素子6のy方向における中央の位置は、何れも基板2の中央となり、第1面無給電素子6は、y方向において中央寄せされている。尚、検討例7のy1は、10mmであり、1λを上回っている。
図12Aは、検討例11のxz面指向性図である。検討例11(y1≒1λ)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.24dBと、十分な値となっている。
図12Bは、検討例12のxz面指向性図である。検討例12(y1≒5λ/6)は、-z側に強い指向性を有し、検討例11に比べ若干約-70°の方向にも指向性が出て、指向性に僅かな歪みが生じている。検討例12の-z側の利得は、3.16dBとなっている。
図12Cは、検討例13のxz面指向性図である。検討例13(y1≒2λ/3)は、検討例12で生じた歪みが強く出ている。検討例13の-z側の利得は、1.81dBである。
図12Dは、検討例14のxz面指向性図である。検討例14(y1≒λ/2)の指向性は、検討例13と同様となっている。検討例13の-z側の利得は、1.42dBである。
検討例11~14、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第1面無給電素子6の第1面無給電素子6のy方向の大きさy1は、5λ/6(1.5λ
g)以上とされることが好ましく、1λ(1.85λ
g)以上とされることがより好ましい(請求項6)。
【0042】
≪検討例15~19≫
検討例15は、検討例4から、第2面無給電素子12の第2面連結部13a及び第2面連結部13bをなくしたものである。検討例15の第2面無給電素子12は、第2面無給電素子12及び第2面GND14のみを有する。検討例15における第2面無給電素子12の第2面無給電素子12のy方向の大きさy2(
図3参照)は、検討例4と同じ10mmであり、1λ(1.85λ
g)を上回っている。
検討例16~18は、検討例15における、第2面無給電素子12の第2面無給電素子12のy方向の大きさy2を、1λ(1.85λ
g),5λ/6(1.56λ
g),2λ/3(1.25λ
g)に相当するように順次小さくしていったものである。検討例16~18の各第2面無給電素子12は、y方向において中央寄せされている。
検討例19は、検討例4から、第2面無給電素子12の第2面連結部13a及び第2面連結部13b並びに第2面無給電素子12をなくしたものである。検討例10の第2面無給電素子12は、第2面GND14のみとなっている。
【0043】
図13Aは、検討例15のxz面指向性図である。検討例15(y2>1λ)は、第2面連結部13a及び第3部分12がなくても、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、5.06dBと、十分な値となっている。
図13Bは、検討例16のxz面指向性図である。検討例16(y2≒1λ)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.77dBと、十分な値となっている。
図13Cは、検討例17のxz面指向性図である。検討例17(y2≒5λ/6)は、-z側に強い指向性を有しており、その-z側の利得は、3.73dBである。
図13Dは、検討例18のxz面指向性図である。検討例18(y2≒2λ/3)は、-z側に指向性を有しているものの、検討例17に対して約-80°の方向にも指向性が強く表れている。検討例18の-z側の利得は、2.75dBである。
図13Eは、検討例19のxz面指向性図である。検討例19(y2=0)の指向性は、検討例15~18に対して約-120°の方向に大きく曲がっている。検討例17の-z側の利得は、2.17dBである。
検討例15~19、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第2面無給電素子12の第2面無給電素子12のy方向の大きさy2は、5λ/6(1.5λ
g)以上とされることが好ましく、1λ(1.85λ
g)以上とされることがより好ましい(請求項8)。
【0044】
≪検討例20~24≫
検討例20~24は、検討例16(y2≒1λ)における、第2面無給電素子12の第2面無給電素子12のx方向の大きさx2(
図3参照)を、λ/6(0.31λ
g),λ/8(0.23λ
g),λ/16(0.12λ
g),λ/32(0.06λ
g),λ/64(0.03λ
g)に相当するように順次小さくしていったものである。検討例20~24において、第2面無給電素子12におけるy方向に延びる+x側の辺(窓32側の辺)の位置が固定される。尚、検討例16のx2は、1.8mmであり、約λ/5(0.39λ
g)に相当する。
図14Aは、検討例20のxz面指向性図である。検討例20(x2≒λ/6)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.80dBと、十分な値となっている。
図14Bは、検討例21のxz面指向性図である。検討例21(x2≒λ/8)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.88dBとなっている。
図14Cは、検討例22のxz面指向性図である。検討例22(x2≒λ/16)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.95dBである。
図14Dは、検討例23のxz面指向性図である。検討例23(x2≒λ/32)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.93dBである。
図14Eは、検討例24のxz面指向性図である。検討例24(x2≒λ/64)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.80dBである。
検討例23,24のx2は、順に約0.28,0.14mmであり、少なくともこれらの第2面無給電素子12は、y方向に延びる線状となっている(線状無給電素子)。
検討例20~24、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第2面無給電素子12の第2面無給電素子12のx方向の大きさx2は、線状の幅として確保されていれば足りる。
【0045】
≪検討例25~27≫
検討例25~27は、検討例16における、第1面無給電素子6の第1面無給電素子6(のy方向に延びる+x側の辺)とループアンテナ本体20(のy方向に延びる-x側の辺)との間隔x3(
図2参照)を、λ/12(0.15λ
g),λ/6(0.31λ
g),λ/4(0.47λ
g)に相当するように順次大きくしていったものである。検討例25~27において、ループアンテナ本体20(におけるy方向に延びる-x側の辺)の位置が固定される。尚、検討例16の間隔x3は、1mmであり、約λ/10(0.22λ
g)に相当する。
図15Aは、検討例25のxz面指向性図である。検討例25(x3≒λ/12)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.28dBと、十分な値となっている。
図15Bは、検討例26のxz面指向性図である。検討例26(x3≒λ/6)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.68dBとなっている。
図15Cは、検討例27のxz面指向性図である。検討例27(x3≒λ/4)は、-z側及び-x側(約-84°の方向)に強い指向性を有し、その-z側の利得は、3.46dBである。
検討例16,25~27、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第1面無給電素子6の第1面無給電素子6とループアンテナ本体20との間隔x3は、λ/12以上λ/6以下(0.15λ
g以上0.3λ
g以下)とされることが好ましい(請求項6)。
【0046】
≪検討例28~30≫
検討例28~30は、検討例16における、第2面無給電素子12の第2面無給電素子12(のy方向に延びる+x側の辺)と第2面GND14(のy方向に延びる-x側の辺)との間隔x4(
図3参照)を、λ/3(0.62λ
g),λ/4(0.47λ
g),λ/10(0.18λ
g)に相当するように順次小さくしていったものである。検討例28~30において、第2面GND14(におけるy方向に延びる-x側の辺)の位置が固定される。尚、検討例16の間隔x4は、3.9mmであり、約λ/2(0.85λ
g)に相当する。
図16Aは、検討例28のxz面指向性図である。検討例28(x4≒λ/3)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.77dBと、十分な値となっている。
図16Bは、検討例29のxz面指向性図である。検討例29(x4≒λ/4)は、-z側に強い指向性を有するものの、-z側の利得(3.74dB)より+z側の利得の方が大きくなっていて、指向性が逆転している。
図16Cは、検討例30のxz面指向性図である。検討例30(x4≒λ/10)は、+z側への指向性の逆転がより顕著に表れている。検討例30の-z側の利得は、-1.78dBである。
検討例28~30、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第2面無給電素子12の第2面無給電素子12と第2面GND14との間隔x4は、λ/4(0.45λ
g)以上とされることが好ましく、λ/3(0.6λ
g)以上とされることがより好ましい。
【0047】
≪検討例31~34≫
検討例31~33は、検討例16における、第1面無給電素子6の第1面GND8の形状を太い“T”字状から長方形状に変え、そのy方向の大きさy3(
図2参照)を、1λ(1.85λ
g),5λ/6(1.56λ
g),2λ/3(1.25λ
g)に相当するように順次小さくしていったものである。
検討例34は、長方形状の第1面GND8におけるy方向の大きさy3を1λ(1.85λ
g)とし、x方向の大きさx5(
図2参照)をλ/6(0.3λ
g)としたものである。
検討例31~33において、第1面GND8のx5は、約λ/4(0.45λ
g)とされる。
検討例31~34において、第1面GND8のy方向中央位置が基板2のy方向中央位置と一致するように固定される。
検討例34において、第4部分におけるy方向に延びる-x側の辺が固定される。
尚、検討例16の太い“T”字状の第1面GND8の全幅(y方向の大きさ)は基板2の一辺の大きさと同じ10mm(>1λ強(2.2λ
g))であり、最も+x側のy方向に延びる辺の大きさは6mm(約7λ/10(1.3λ
g))である。又、検討例16におけるx方向で最も大きい大きさは2.5mm(約3λ/10(0.54λ
g))であり、y方向両側の部分におけるx方向の大きさは1mm(約λ/10(0.22λ
g))である。
【0048】
図17Aは、検討例31のxz面指向性図である。検討例31(y3≒1λ,x5≒λ/4)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.78dBと、十分な値となっている。
図17Bは、検討例32のxz面指向性図である。検討例32(y3≒5λ/6,x5≒λ/4)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.64dBと、十分な値となっている。
図17Cは、検討例33のxz面指向性図である。検討例33(y3≒2λ/3,x5≒λ/4)は、-z側に強い指向性を有するものの、-z側の指向性が+x側に若干傾いている。検討例33の-z側の利得は、4.53dBである。
図17Dは、検討例34のxz面指向性図である。検討例34(y3≒1λ,x5≒λ/6)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.79dBと、十分な値となっている。尚、x5が検討例34(λ/6(0.3λ
g))より小さいと、チップ9のx方向の大きさより小さくなり、チップ9が適切に搭載されなくなる。
検討例31~33、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第1面GND8におけるy方向の大きさy3は、2λ/3以上とされることが好ましく、5λ/6(1.56λ
g)以上とされることがより好ましく、1λ(1.85λ
g)以上とされることがより一層好ましい。
又、検討例34、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第1面GND8におけるx方向の大きさx5は、λ/6(0.3λ
g)以上とされることが好ましい。
【0049】
≪検討例35~37≫
検討例35~37は、検討例16における、第2面無給電素子12の第2面GND14のy方向の大きさy4(
図2参照)を、1λ(1.85λ
g),2λ/3(1.25λ
g),λ/2(0.93λ
g)に相当するように順次小さくしていったものである。検討例35~37において、第2面GND14のy方向中央位置が基板2のy方向中央位置と一致するように固定される。尚、検討例16のy4は基板2の一辺の大きさと同じ10mm(>1λ強(2.2λ
g))である。
図18Aは、検討例35のxz面指向性図である。検討例35(y4≒1λ)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.78dBと、十分な値となっている。
図18Bは、検討例36のxz面指向性図である。検討例36(y4≒2λ/3)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.82dBと、十分な値となっている。
図18Cは、検討例37のxz面指向性図である。検討例37(y4≒λ/2)は、-z側に強い指向性を有するものの、+x側にも指向性が膨らんでいる(サイドローブ)。検討例33の-z側の利得は、4.20dBである。
検討例35~37、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第2面GND14におけるy方向の大きさy4は、λ/2(0.9λ
g)以上とされることが好ましく、2λ/3(1.2λ
g)以上とされることがより好ましい。
【0050】
≪検討例38~41≫
検討例38~39は、検討例35における、第2面無給電素子12の第2面GND14のx方向の大きさx6(
図3参照)を、λ/3(0.6λ
g),λ/4(0.45λ
g)に相当するように順次小さくしていったものである。検討例38~39において、第2面GND14の-x側のy方向に延びる辺の位置が固定される。尚、検討例35のx6は、4.5mm(約λ/2(0.98λ
g))である。
検討例40~41は、検討例35における、第2面無給電素子12の第2面GND14(の-x側のy方向に延びる辺)とループアンテナ本体20(の-x側のy方向に延びる辺)とのx方向での間隔x7(
図3参照)を、λ/6(0.3λ
g),λ/4(0.45λ
g)に相当するように順次大きくしていったものである。検討例40~41において、第2面GND14の+x側は基板2の第2面2b(の+x側のy方向に延びる辺)からはみ出す。尚、検討例35のx7は、1.13mm(約λ/8(0.25λ
g))である。
【0051】
図19Aは、検討例38のxz面指向性図である。検討例38(x6≒λ/3)は、-z側に強い指向性を有すると共に+x側にサイドローブを有し、その-z側の利得は、4.95dBである。
図19Bは、検討例39のxz面指向性図である。検討例39(x6≒λ/4)は、-z側に強い指向性を有すると共に+x側にサイドローブを有し、その-z側の利得は、4.98dBである。
図19Cは、検討例40のxz面指向性図である。検討例40(x7≒λ/6)は、-z側に強い指向性を有するものの、+x側にも指向性が膨らんでいる(サイドローブ)。検討例40の-z側の利得は、5.18dBである。
図19Dは、検討例41のxz面指向性図である。検討例41(x7≒λ/4)は、-z側に強い指向性を有するものの、+x側のサイドローブがより大きくなっている。検討例41の-z側の利得は、5.84dBである。
検討例38~39、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第2面GND14におけるy方向の大きさx6は、λ/4(0.45λ
g)以上とされることが好ましく、サイドローブ解消の観点からはλ/2(0.9λ
g)以上とされることがより好ましい。
検討例40~41、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第2面GND14とループアンテナ本体20とのx方向での間隔x7は、λ/4(0.45λ
g)以下とされることが好ましく、サイドローブ解消の観点からはλ/6(0.3λ
g)以下とされることがより好ましく、λ/8(0.25λ
g)以下とされることがより一層好ましい。
【0052】
≪検討例42~44≫
検討例42~44は、検討例35における、第2面無給電素子12の第2面無給電素子12(のy方向に延びる+x側の辺)とループアンテナ本体20(のy方向に延びる-x側の辺)とのx方向での間隔x8(
図3参照)を、2λ/7(0.5λ
g)に相当するように小さくし、あるいは2λ/5(0.75λ
g),λ/2(0.93λ
g)に相当するように順次大きくしていったものである。検討例42~44において、ループアンテナ本体20(におけるy方向に延びる-x側の辺)の位置が固定される。尚、検討例35の間隔x8は、約λ/3(0.6λ
g)に相当する。
図20Aは、検討例42のxz面指向性図である。検討例42(x8≒2λ/7)は、-z側に強い指向性を有し、その-z側の利得は、4.67dBと、十分な値となっている。
図20Bは、検討例43のxz面指向性図である。検討例43(x8≒2λ/5)は、-z側に強い指向性を有するものの、+x側60°方向に僅かにサイドローブが出現している。検討例43の-z側の利得は、4.76dBとなっている。
図20Cは、検討例44のxz面指向性図である。検討例44(x8≒λ/2)は、-z側に強い指向性を有するものの、+x側のサイドローブがより大きくなっており、指向性が崩れている。検討例44の-z側の利得は、4.31dBである。
検討例35,42~44、及び電波の空気中の波長λをミリ波及び隣接帯域において変更したシミュレーション結果(説明略)から、第2面無給電素子12の第2面無給電素子12とループアンテナ本体20との間隔x8は、サイドローブ解消の観点からは2λ/7以上2λ/5以下(0.5λ
g以上0.75λ
g以下)とされることがより好ましい(請求項8)。
【符号の説明】
【0053】
1,1a,1b・・アンテナ、2・・基板、2a・・第1面、2b・・第2面、4・・ループアンテナ、6・・第1面無給電素子(第1無給電素子)、7a,7b・・第1面連結部(連結部)、8・・第1面GND(グランドパターン)、9,9a,9b・・チップ(電気素子)、12・・第2面無給電素子(第2無給電素子)、13a,13b・・第2面連結部(連結部)、14・・第2面GND(グランドパターン)、16・・ポール、20・・ループアンテナ本体、22・・第1ワイヤー(ワイヤー)、24・・第2ワイヤー(ワイヤー)、101・・非侵襲血糖値チェッカー、ML・・メインローブ(ローブ)。