(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063746
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】寿命評価システムおよび寿命評価方法
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20220415BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172142
(22)【出願日】2020-10-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】久保 直紀
(72)【発明者】
【氏名】足立 新
(72)【発明者】
【氏名】國府 裕毅
(72)【発明者】
【氏名】橋口 達哉
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD18
2G024AD28
2G024BA12
2G024BA21
2G024BA22
2G024BA27
2G024CA30
2G024FA01
(57)【要約】
【課題】機械部品の疲労被害度に関するパラメータの自由度が高く、汎用性の高い寿命評価システムおよび寿命評価方法を提供する。
【解決手段】寿命評価システム10は、ネットワーク14を介して相互通信可能に構成された第1および第2情報処理装置12,13で構成されている。第1情報処理装置12は、センサ15が計測するパラメータの種別が入力され、そのパラメータの種別を第2情報処理装置13に送信する。第2情報処理装置13は、パラメータの種別に基づいて、頻度分布の算出方法、応力頻度分布の換算方法、および、寿命の算出方法を選択する。第2情報処理装置13は、その選択した算出方法を用いて機械部品11の寿命を算出・評価し、第1情報処理装置12に送信する。第1情報処理装置12は、その評価結果をディスプレイなどに出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械部品の疲労被害度に関するパラメータの計測値を取得する取得部と、
前記取得部が取得したパラメータの頻度分布を算出する頻度分布算出部と、
前記頻度分布を応力頻度分布に換算する応力頻度換算部と、
前記応力頻度分布に基づいて前記機械部品の寿命を算出して評価する寿命評価部と、
前記寿命評価部による評価結果を出力する出力部と、を備えた寿命評価システムであって、
前記パラメータの種別を入力する入力部と、
前記パラメータの種別を選択情報として、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択する選択部と、をさらに備える
寿命評価システム。
【請求項2】
前記入力部は、前記選択情報として、前記機械部品の形状および性質の少なくとも一方を入力可能に構成され、
前記選択部は、前記選択情報に基づいて、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択する
請求項1に記載の寿命評価システム。
【請求項3】
前記入力部は、前記選択情報として、前記機械部品の性質が入力可能に構成され、
前記選択情報として前記機械部品の性質が必要であることを前記出力部を通じて通知する通知部をさらに備える
請求項2に記載の寿命評価システム。
【請求項4】
前記入力部は、前記選択情報として、前記機械部品の作動状態が入力可能に構成され、
前記選択部は、前記作動状態を加味して、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択する
請求項1~3のいずれか一項に記載の寿命評価システム。
【請求項5】
前記頻度分布算出部は、二次元の頻度分布を算出可能に構成され、
前記応力頻度換算部は、前記二次元の頻度分布を二次元の応力頻度分布に換算し、前記二次元の応力頻度分布を完全両振りの応力振幅に相当する一次元の応力頻度分布へ変換可能に構成され、
前記寿命評価部は、前記一次元の応力頻度分布に基づいて前記機械部品の寿命を算出する
請求項1~4のいずれか一項に記載の寿命評価システム。
【請求項6】
前記入力部は、前記選択情報として、前記機械部品の識別情報が入力可能に構成され、
前記寿命評価部は、新たな識別情報が入力されたことを条件に、前記寿命をリセットする
請求項1~5のいずれか一項に記載の寿命評価システム。
【請求項7】
前記選択部は、前記機械部品が搭載された装置の稼動時に前記取得部が取得した計測値の推移を示す波形情報を加味して、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択する
請求項1~6のいずれか一項に記載の寿命評価システム。
【請求項8】
ネットワークを介して接続されて相互通信可能に構成された第1情報処理部と第2情報処理部とを備え、
前記第1情報処理部は、前記入力部を含み、前記入力部で入力した前記選択情報を前記第2情報処理部に送信し、
前記第2情報処理部は、前記選択部を含み、前記第1情報処理部が送信した前記選択情報に基づいて各種方法を選択する
請求項1~7のいずれか一項に記載の寿命評価システム。
【請求項9】
前記第1情報処理部は、前記取得部と前記頻度分布算出部とを含み、
前記第2情報処理部は、前記選択部が選択した頻度分布の算出方法を前記第1情報処理部に送信する
請求項8に記載の寿命評価システム。
【請求項10】
前記第2情報処理部は、前記応力頻度換算部と前記寿命評価部とを含み、前記評価結果を前記第1情報処理部に送信し、
前記第1情報処理部は、前記出力部を含み、前記第2情報処理部が送信した前記評価結果を受信し、前記出力部に出力する
請求項9に記載の寿命評価システム。
【請求項11】
機械部品の寿命を評価する寿命評価システムによる寿命評価方法であって、
前記寿命評価システムを構成する情報処理装置が、
前記機械部品の疲労被害度に関するパラメータの計測値を取得するステップと、
前記取得したパラメータの頻度分布を算出するステップと、
前記頻度分布を応力頻度分布に換算するステップと、
前記応力頻度分布に基づいて前記機械部品の寿命を算出して評価するステップと、
前記評価した結果を出力するステップと、を実行するとともに、
さらに、
前記パラメータの種別を入力するステップと、
前記パラメータの種別を選択情報として、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択するステップと、を実行する
寿命評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品の寿命評価システムおよび寿命評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機械部品の疲労被害度に関するパラメータとして、機械部品に発生する振動の加速度、あるいは、機械部品に発生する歪み量を用いて、機械部品の寿命を評価する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、特定のパラメータを用いて機械部品の寿命を評価していることで評価手法やその評価手法に用いられる設定値も予め定められたものとなる。そのため、汎用性が低く、例えば、特定のパラメータとは異なるパラメータを検出するセンサのみが設けられた機械部品を評価対象とした場合には、その特定のパラメータを検出するセンサを新たに設ける必要があった。
【0005】
本発明は、機械部品の疲労被害度に関するパラメータの自由度が高く、汎用性の高い寿命評価システムおよび寿命評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する寿命評価システムは、機械部品の疲労被害度に関するパラメータの計測値を取得する取得部と、前記取得部が取得したパラメータの頻度分布を算出する頻度分布算出部と、前記頻度分布を応力頻度分布に換算する応力頻度換算部と、前記応力頻度分布に基づいて前記機械部品の寿命を算出して評価する寿命評価部と、前記寿命評価部による評価結果を出力する出力部と、を備える。この寿命評価システムは、前記パラメータの種別を入力する入力部と、前記パラメータの種別を選択情報として、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択する選択部と、をさらに備える。
【0007】
上記課題を解決する寿命評価方法は、機械部品の寿命を評価する寿命評価システムを構成する情報処理装置が、前記機械部品の疲労被害度に関するパラメータの計測値を取得するステップと、前記取得したパラメータの頻度分布を算出するステップと、前記頻度分布を応力頻度分布に換算するステップと、前記応力頻度分布に基づいて前記機械部品の寿命を算出して評価するステップと、前記評価した結果を出力するステップと、を実行する。そして、上記情報処理装置が、前記パラメータの種別を入力するステップと、前記パラメータの種別を選択情報として、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択するステップと、をさらに実行する。
【0008】
上記構成によれば、機械部品の疲労被害度について計測可能なパラメータの自由度が高まることで寿命評価システムの汎用性を高めることができる。また、そのパラメータの種別に適した算出方法が選択されることから、機械部品の寿命を高い精度のもとで算出・評価することができる。
【0009】
上記構成の寿命評価システムにおいて、前記入力部は、前記選択情報として、前記機械部品の形状および性質の少なくとも一方を入力可能に構成され、前記選択部は、前記選択情報に基づいて、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択することが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、パラメータの種別に加えて、機械部品の形状および性質の少なくとも1つに基づいて、各種の算出方法を選択することができる。すなわち、より多くの情報に基づいて、各種の算出方法を選択することができる。そのため、例えば、寿命の評価対象となる機械部品が変更されたとしても、変更後の機械部品の形状や性質が特定可能となるため、変更後の機械部品に適した各種方法を選択することができる。その結果、機械部品の寿命をより高い精度のもとで算出・評価することができる。
【0011】
上記構成の寿命評価システムにおいて、前記入力部は、前記選択情報として、前記機械部品の性質が入力可能に構成され、前記選択情報として前記機械部品の性質が必要であることを、前記出力部を通じて通知する通知部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、寿命の評価対象となる機械部品が変更されたとしても、変更後の機械部品の性質入力を確実に行うことができる。
上記構成の寿命評価システムにおいて、前記入力部は、前記選択情報として、前記機械部品の作動状態が入力可能に構成され、前記選択部は、前記作動状態を加味して、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、機械部品の作動状態を加味したうえで各種方法が選択されることにより、機械部品の寿命をさらに高い精度のもとで算出・評価することができる。
上記構成の寿命評価システムにおいて、前記頻度分布算出部は、二次元の頻度分布を算出可能に構成され、前記応力頻度換算部は、前記二次元の頻度分布を二次元の応力頻度分布に換算し、前記二次元の応力頻度分布を完全両振りの応力振幅に相当する一次元の応力頻度分布へ変換可能に構成され、前記寿命評価部は、前記一次元の応力頻度分布に基づいて前記機械部品の寿命を算出することが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、選択情報に適した頻度分布が二次元の頻度分布であったとしても、機械部品の寿命の算出・評価を高い精度のもとで行うことができる。
上記構成の寿命評価システムにおいて、前記入力部は、前記選択情報として、前記機械部品の識別情報が入力可能に構成され、前記寿命評価部は、新たな識別情報が入力されたことを条件に、前記寿命をリセットすることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、評価対象となる機械部品が交換されたとしても、交換後の機械部品の寿命の算出・評価を高い精度のもとで行うことができる。
上記構成の寿命評価システムにおいて、前記選択部は、前記機械部品が搭載された装置の稼動時に前記取得部が取得した計測値の推移を示す波形情報を加味して、前記頻度分布の算出方法、前記応力頻度分布の換算方法、および、前記寿命の算出方法を選択することが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、疲労被害度に関するパラメータの推移に基づいて各種の算出方法を選択することができる。その結果、機械部品の寿命を高い精度のもとで算出・評価しつつ、寿命評価システムの汎用性を高めることができる。
【0017】
上記構成の寿命評価システムは、ネットワークを介して接続されて相互通信可能に構成された第1情報処理部と第2情報処理部とを備える。また、前記第1情報処理部は、前記入力部を含み、前記入力部で入力した前記選択情報を前記第2情報処理部に送信し、前記第2情報処理部は、前記選択部を含み、前記第1情報処理部が送信した前記選択情報に基づいて各種方法を選択することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、寿命評価システムがネットワークを介して接続された第1情報処理部と第2情報処理部とで構成されることにより、例えば、第1情報処理部と第2情報処理部とが異なる場所に設置される場合や第1情報処理部が複数ある場合などに、選択情報に基づいて選択される方法が変更される場合であっても、容易に対応することができる。
【0019】
上記構成の寿命評価システムにおいて、前記第1情報処理部は、前記取得部と前記頻度分布算出部とを含み、前記第2情報処理部は、前記選択部が選択した頻度分布の算出方法を前記第1情報処理部に送信することが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、取得部と頻度分布算出部とが第1情報処理部に含まれることにより、パラメータが計測されるたびにその計測値が第2情報処理部に送信されることもない。その結果、第1情報処理部と第2情報処理部との間における通信回数を低減することができる。また、パラメータが計測されるたびにその計測値が第2情報処理部に蓄積されることもないことから、第2情報処理部におけるデータ量を削減することができる。
【0021】
上記構成の寿命評価システムにおいて、前記第2情報処理部は、前記応力頻度換算部と前記寿命評価部とを含み、前記評価結果を前記第1情報処理部に送信し、前記第1情報処理部は、前記出力部を含み、前記第2情報処理部が送信した前記評価結果を受信し、前記出力部に出力することが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、第2情報処理部が応力頻度換算部と寿命評価部とを含んでいることにより、例えば、第1情報処理部と第2情報処理部とが異なる場所に設置される場合や第1情報処理部が複数ある場合などに、応力頻度の換算方法や寿命の算出方法が変更されたとしても容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】寿命評価システムの第1実施形態の概略構成を示す図。
【
図2】第1実施形態の寿命評価システムの概略構成を示す機能ブロック図。
【
図3】第1実施形態において、一次元の応力頻度分布を模式的に示す図。
【
図4】第1実施形態において、S-N線図データの構成を模式的に示す図。
【
図5】第1実施形態の寿命評価システムにおける処理の流れを模式的に示す図。
【
図6】第1実施形態において、選択情報処理を示すフローチャート。
【
図7】第1実施形態において、選択処理を示すフローチャート。
【
図8】第1実施形態において、マイナー則のS-N線と各種修正後のS-N線との関係を模式的に示す図。
【
図9】第1実施形態において、寿命評価処理を示すフローチャート。
【
図10】第1実施形態の寿命評価システムにおいて、第2情報処理装置に対する第3情報処理装置の接続方法を模式的に示す図。
【
図11】第2実施形態の寿命評価システムの概略構成を示す機能ブロック図。
【
図12】第2実施形態の寿命評価システムにおける処理の流れを模式的に示す図。
【
図13】変形例において、波形形状の一例を示すグラフ。
【
図14】変形例において、波形形状の他の例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
図1~
図10を参照して、寿命評価システムおよび寿命評価方法の第1実施形態について説明する。まず、
図1を参照して、寿命評価システムの概略構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、寿命評価システム10は、機械部品11の寿命を評価するシステムである。機械部品11は、搭載された装置の稼動中に機械的な負荷が作用する部品である。機械部品11は、例えば、車両、エンジン、トランスミッション、モータ、歯車などを試験対象として、耐久性試験や性能試験、制御適合試験、認証試験などの各種試験を行う試験装置の構成部品のほか、その試験対象そのものの構成部品である。
【0026】
寿命評価システム10は、第1情報処理部を構成する第1情報処理装置12と、第2情報処理部を構成する第2情報処理装置13と、を備えている。第1情報処理装置12は、寿命評価システム10の使用者が各種情報の入力などを行うことができる使用者側の情報処理装置である。第2情報処理装置13は、寿命評価システム10の供給者が各種情報の入力などを行うことができる供給者側の情報処理装置である。第1情報処理装置12と第2情報処理装置13は、ネットワーク14を介して接続されて相互通信可能に構成されている。第1情報処理装置12と第2情報処理装置13との間における情報の送受信は、ネットワーク14を介して行われる。
【0027】
第1情報処理装置12には、センサ15が接続されている。センサ15は、機械部品11の疲労被害度に関するパラメータを計測するとともに、その計測値を示す信号を第1情報処理装置12に出力する。第1情報処理装置12は、オペレータによって入力された情報やセンサ15の計測値に基づく情報などを第2情報処理装置13に送信する。
【0028】
第2情報処理装置13は、第1情報処理装置12からの情報を受信し、その受信した情報に基づいて機械部品11の寿命を算出して評価する。第2情報処理装置13は、その評価結果を示す寿命情報を第1情報処理装置12に送信する。第1情報処理装置12は、第2情報処理装置13からの寿命情報を受信し、その受信した寿命情報を出力する。
【0029】
図2~
図4を参照して、第1情報処理装置12および第2情報処理装置13の概略構成について説明する。
図2に示すように、第1情報処理装置12は、入力部21、出力部22、および、第1処理部23を備えている。第1処理部23には、入力部21および出力部22のほか、センサ15が接続されている。
【0030】
入力部21は、オペレータの操作に応じた情報を第1処理部23に入力可能に構成されている。入力部21は、例えばキーボードやマウス、タッチパネルなどで構成される。
入力部21は、センサ15が計測するパラメータの種別を示すパラメータ情報を第1処理部23に入力可能に構成されている。パラメータの種別は、例えばトルクや荷重、歪みなど、センサ15の計測値の物理量を示すものである。
【0031】
入力部21は、機械部品11の性質を示す性質情報、機械部品11の作動状態を示す作動情報、機械部品11の形状を示す形状情報、および、機械部品11を識別する識別情報を部品情報として第1処理部23に入力可能に構成されている。性質情報は、機械部品11の材質であってもよいし、機械部品11の引張強さや降伏応力、ヤング率、ポアソン比などの具体的な数値で示される機械的な性質であってもよい。性質情報は、各種規格(例えばJISなど)で規定された材料記号から選択される構成が好ましい。作動情報は、装置稼動時における機械部品11の運動態様(例えば回転や揺動、停止)を示す情報やその運動態様の度合い(運動態様が回転であれば回転速度など)を示す情報である。形状情報は、機械部品11のおおよその形状のほか、具体的な寸法値であってもよいし、機械部品11の形状を示すCADデータなどであってもよい。識別情報は、機械部品11をその個体ごとに識別可能な情報である。こうした部品情報の入力に関して、入力部21は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどを用いて部品情報を入力可能に構成されていてもよいし、部品情報を含む画像を読み取り可能な画像読み取り機器や部品情報を含むRF-IDタグと近距離無線通信可能な無線機器などを含んで構成されていてもよい。
【0032】
また、入力部21は、センサ15による計測の開始や終了、各種情報の送受信など、第1処理部23が実行する処理を指示可能に構成されている。
出力部22は、例えばディスプレイであり、各種情報の入力画面や実行中の処理の経過、第2情報処理装置13からの寿命情報などをオペレータが認識可能なかたちで出力可能に構成されている。
【0033】
第1処理部23は、センサ15からの信号、入力部21からの各種情報、入力部21を通じたオペレータからの指示、第2情報処理装置13からの各種情報、および、メモリーに記憶したプログラムや各種のデータに基づいて各種の処理を実行する。
【0034】
第1処理部23は、各種機能部として、第1送受信部24、第1取得部25、および、通知部26を有している。
第1送受信部24は、第2情報処理装置13との間における情報の送受信を行う。第1取得部25は、センサ15が出力した信号に基づいてセンサ15の計測値を取得するとともに、入力部21を通じて入力された情報や第1送受信部24が受信した情報を取得する。通知部26は、第2情報処理装置13に送信する選択情報が後述する送信条件を満たしていないことを出力部22を通じてオペレータに通知する。
【0035】
第1処理部23は、第1取得部25が取得したパラメータ情報および部品情報を選択情報として、また、第1取得部25が取得したセンサ15の計測値を計測情報として、第1送受信部24を通じて第2情報処理装置13に送信する。
【0036】
第2情報処理装置13は、第2処理部31を備えている。第2処理部31は、第1情報処理装置12からの各種情報、および、メモリーに記憶したプログラムや各種のデータに基づいて各種の処理を実行する。
【0037】
第2処理部31は、各種機能部として、第2送受信部32、第2取得部33、選択部34、頻度分布算出部35、応力頻度換算部36、および、寿命評価部37を備えている。
第2送受信部32は、第1情報処理装置12との間で情報の送受信を行う。
【0038】
第2取得部33は、第2送受信部32が受信した各種情報を取得し、その取得した各種情報を記憶部40の所定領域に格納する。具体的には、第2取得部33は、選択情報を選択情報データ41として、また、計測情報を計測データ42として記憶部40の所定領域に格納する。第1実施形態において、第2取得部33は、機械部品11の疲労被害度に関するパラメータの計測値を取得する取得部として機能する。
【0039】
選択部34は、選択情報データ41と記憶部40に予め格納されている対応付けデータ43とに基づいて、頻度分布算出部35による頻度分布の算出方法、応力頻度換算部36による応力頻度分布の換算方法、および、寿命評価部37による寿命の算出方法の各々について、その算出方法を選択し、決定する。対応付けデータ43は、選択情報データ41の構成パターン(パラメータ情報+性質情報、パラメータ情報+性質情報+形状情報、パラメータ情報+性質情報+作動情報、パラメータ情報+性質情報+形状情報+作動情報など)ごとに最適な算出方法が対応付けられたデータである。選択情報は、各種の算出方法について、最適な算出方法を選択するための情報である。
【0040】
頻度分布算出部35は、選択部34が選択した算出方法を用いて、計測データ42に基づく計測値の頻度分布を算出する。頻度分布算出部35は、その算出した頻度分布を示す頻度分布データ44を記憶部40の所定領域に格納する。
【0041】
応力頻度換算部36は、選択部34が選択した換算方法を用いて、頻度分布データ44に基づく頻度分布を一次元の応力頻度分布に換算する。応力頻度換算部36は、その換算した応力頻度分布を示す応力頻度分布データ45を記憶部40の所定領域に格納する。
【0042】
図3に示すように、一次元の応力頻度分布は、応力σai(iは、0を除く整数)と、その応力σaiの繰り返し数である頻度niと、を対応付けたものである。
寿命評価部37は、選択部34によって選択した算出方法、記憶部40に格納された応力頻度分布データ45、および、記憶部40に予め格納されているS-N線図データ46に基づいて、機械部品11の疲労被害度Dを算出する。疲労被害度Dの算出方法については後述する。また、寿命評価部37は、算出した疲労被害度Dを実績データ50として機械部品11の識別情報に関連付けて記憶部40の所定領域に格納する。
【0043】
図4に示すように、S-N線図は、機械部品11における応力振幅σaと機械部品11が破断するまでの応力振幅σaの繰返し数Nとの関係を示した曲線である。S-N線図データ46は、機械部品11の性質ごとのS-N線図によって構成されている。
【0044】
寿命評価部37は、その算出した疲労被害度Dと記憶部40に予め格納されている閾値データ47の閾値Dtとを比較して機械部品11の寿命を評価する。この評価結果を示す寿命情報は、第2送受信部32を通じて第1情報処理装置12に送信される。
【0045】
なお、第1処理部23および第2処理部31は、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、或いは、それらの組合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを備え、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0046】
図5~
図9を参照して、第1実施形態の寿命評価システム10における処理の流れについて説明する。ここでは、新たな識別情報の機械部品11が評価対象となった場合を例に説明する。
【0047】
図5に示すように、最初のステップS101では、第1情報処理装置12において、選択情報の入力が行われる。具体的には、入力部21を操作するオペレータによって、パラメータ情報および部品情報が選択情報として入力される。第1処理部23は、入力された選択情報を第1取得部25で取得する。入力された選択情報は、入力部21を操作するオペレータによって、第2情報処理装置13への送信指示がなされる。
【0048】
次のステップS102では、第1情報処理装置12の第1処理部23が選択情報送信処理を実行する。
図6に示すように、選択情報送信処理において、第1処理部23は、入力された選択情報が送信条件を満足しているか否かを判断する(ステップS201)。送信条件は、選択情報としてパラメータ情報、性質情報、および、機械部品11の識別情報が入力されていることである。送信条件を満足している場合(ステップS201:YES)、第1処理部23は、第1送受信部24を通じて第2情報処理装置13に選択情報を送信する(ステップS202)。
【0049】
一方、送信条件を満足していない場合(ステップS201:NO)、第1処理部23は、通知部26を通じて、送信しようとしている選択情報が送信条件を満足していないことを示すメッセージを出力部22に出力する(ステップS203)。そして、第1処理部23は、ステップS101に戻って、選択情報が入力可能な状態へ移行する。
【0050】
選択情報が送信されると、第2情報処理装置13においては、その選択情報を第2処理部31の第2送受信部32が受信する。そして、第2処理部31が選択情報取得処理を実行する(ステップS103)。選択情報取得処理において、第2処理部31の第2取得部33は、第2送受信部32が受信した選択情報を取得し、その取得した選択情報を選択情報データ41として記憶部40の所定領域に格納する。また、第2処理部31は、選択情報に含まれる識別情報と実績データ50に格納されている識別情報とを照合する。第2処理部31は、選択情報に含まれる識別情報に該当する実績データ50が存在しない場合、当該識別情報の機械部品11が新たな評価対象であると判断する。このとき、寿命評価部37は、新たな識別情報が入力されたとして、疲労被害度Dの値をリセットするとともにそのリセットした値を後述する式(1)の初期値D1に設定する。
【0051】
次のステップS104では、第2処理部31が選択処理を実行する。選択処理において、第2処理部31の選択部34は、記憶部40に格納されている選択情報データ41および対応付けデータ43に基づいて、頻度分布算出部35による頻度分布の算出方法、応力頻度換算部36による応力頻度分布の換算方法、および、寿命評価部37による寿命の算出方法を選択する。
【0052】
図7に示すように、選択処理の最初のステップS301において、選択部34は、頻度分布の算出方法を選択する。選択部34は、極値法、最大最小法、振幅法、レインフロー法、2次元レインフロー法、および、レンジペアミーン法などのなかから、パラメータの種別に基づく最適な算出方法を選択する。極値法、最大最小法、振幅法、および、レインフロー法は、基本的に、センサ15の計測値において、変曲点の値または2つの変曲点のなす振幅とその計測回数である頻度とを示す一次元の頻度分布が算出される方法である。2次元レインフロー法、および、レンジペアミーン法は、基本的に、センサ15の計測値において、2つの変曲点の値の平均値(直流成分)を「列」、その平均値を基準とした該2つの変曲点の振幅(交流成分)を「行」として、各平均値に対して各振幅の頻度を対応付けたマトリクス表で示される二次元の頻度分布が算出される方法である。なお、選択部34は、パラメータの種別のほか、機械部品11の部品情報を加味して最適な算出方法を選択可能に構成されていてもよい。最適な算出方法は、予め行った実験やシミュレーションの結果のほか、機械部品11や機械部品11に類似する機械部品が組み込まれた装置の実際の計測結果などに基づいて対応付けられることが好ましい。
【0053】
次に、選択部34は、ステップS302~ステップS304の処理を行い、応力頻度分布の換算方法を選択する。
ステップS302において、選択部34は、頻度分布の疲労被害度に関するパラメータの値を応力に換算する換算方法を第1換算方法、第2換算方法、および、第3換算方法のなかから選択する。
【0054】
第1換算方法は、選択情報データ41に基づく機械部品11の性質情報と形状情報とに基づいて、それらの情報を示す値と疲労被害度に関するパラメータの値とを材料力学の各種公式に代入することにより応力に換算する。
【0055】
第2換算方法は、パラメータの種別ごとに予め行ったシミュレーションの結果に基づいて導出された換算係数であるシミュレーション係数を用いた関数に、疲労被害度に関するパラメータの値を代入することにより応力に換算する。
【0056】
第3換算方法は、パラメータの種別ごとに予め行った実験の結果に基づいて導出された換算係数である実験係数を用いた関数に、疲労被害度に関するパラメータの値を代入することにより応力に換算する。
【0057】
上述したシミュレーションおよび実験において、各換算係数は、例えば、試験対象に対して所定のパラメータの値が所定の値となるように負荷を付与したときのパラメータの値と応力の値との関係性に基づいて導出される。また、シミュレーションおよび実験においては、換算方法の選択に必要な要素をパラメータの種別のみとした場合の換算係数に加えて、パラメータの種別に加えて試験対象の性質や形状、作動状態を加味した場合の換算係数が導出されることが好ましい。
【0058】
ここで、上述した換算方法で換算された応力頻度分布は、頻度分布として一次元の頻度分布が算出される場合には、応力とその頻度とを示す一次元の応力頻度分布となる。この場合、寿命評価部37は、その一次元の応力頻度分布に基づいて機械部品11の寿命を算出する。
【0059】
一方、頻度分布として二次元の頻度分布が算出される場合には、平均応力(直流成分)を「列」、平均応力に対する応力振幅(交流成分)を「行」として、各平均応力に各応力振幅の頻度を対応付けたマトリクス表で示される二次元の応力頻度分布となる。また、S-N線図を用いて寿命を算出する場合には、応力頻度分布が一次元の必要がある。そのため、頻度分布として二次元の頻度分布が算出される場合には、二次元の応力頻度分布を一次元の応力頻度分布に変換する。ステップS303において、選択部34は、頻度分布の算出方法として二次元の頻度分布が得られる算出方法を選択しているか否かを判断する。
【0060】
二次元の頻度分布が得られる算出方法を選択している場合(ステップS303:YES)、選択部34は、選択情報データ41に基づいて、二次元の応力頻度分布を一次元の応力頻度分布に変換する変換方法を選択する(ステップS304)。選択部34は、例えば、修正グッドマンの式、ソダーバーグの式、ゲルバーの式、および、だ円表示などのなかから、機械部品11の部品情報に基づく最適な変換方法を選択し、次のステップS305の処理に移行する。一方、一次元の頻度分布が得られる算出方法を選択している場合(ステップS303:NO)、選択部34は、次のステップS305の処理に移行する。すなわち、選択部34は、応力頻度分布の換算方法として、頻度分布が一次元である場合には換算方法を選択し、頻度分布が二次元である場合には換算方法および変換方法を選択する。
【0061】
次のステップS305において、選択部34は、寿命の算出方法を選択する。具体的には、選択部34は、例えば、マイナー則、修正マイナー則、ハイバッハの方法、コーテン-ドランの方法、および、JSSC(一般社団法人日本鋼構造協会の略称)の指針にしたがって算出する方法、これらのなかから寿命の算出方法を選択する。
【0062】
これらの算出方法のうち、マイナー則は、記憶部40に格納されているS-N線図データ46をそのまま用いて寿命を算出する方法である。マイナー則以外の算出方法は、記憶部40に格納されているS-N線図データ46を修正した修正S-N線図を用いて寿命を算出する方法である。
【0063】
図8に示すように、修正マイナー則は、マイナー則のS-N線における疲労限度よりも応力が小さい範囲において、時間強度部分(傾斜部分)をそのまま延長した修正S-N線図である。ハイバッハの方法は、マイナー則のS-N線における疲労限度よりも応力が小さい範囲において、修正マイナー則よりも緩やかな傾斜を有する直線に修正した修正S-N線図である。コーテン-ドランの方法は、最大応力点を修正基点とし、所定の修正係数を用いて時間強度部分よりも大きな傾斜のS-N線を設定した修正S-N線図である。JSSCの指針は、マイナー則のS-N線における疲労限度よりも低い値を新たな疲労限度として設定したうえで、その設定した疲労限度までマイナー則の時間強度部分(傾斜部分)を延長した修正S-N線図である。
【0064】
他方、選択情報の送信が終了した第1情報処理装置12においては、機械部品11を搭載した装置の稼動開始にともなって計測情報送信処理が実行される(ステップS105)。具体的には、入力部21を通じてオペレータから第1処理部23に計測指示が入力される。計測指示を受けた第1処理部23は、第1取得部25が取得したセンサ15の計測値を計測情報として、第1送受信部24を通じて第2情報処理装置13に送信する。第1処理部23は、第1取得部25がセンサ15の計測値を取得するたびに、その計測値を計測情報として第2情報処理装置13に繰り返し送信する構成であってもよい。また、第1処理部23は、所定期間に第1取得部25が取得したセンサ15の計測値を計測情報として第2情報処理装置13に繰り返し送信する構成であってもよい。
【0065】
計測情報が送信されると、第2情報処理装置13においては、その計測情報を第2処理部31の第2送受信部32が受信する。そして、第2処理部31が計測情報取得処理(ステップS106)を実行する。この処理において、第2処理部31の第2取得部33は、第2送受信部32が受信した計測情報を取得し、その取得した計測情報を計測データ42として記憶部40の所定領域に格納する。
【0066】
次のステップS107では、第2処理部31が寿命評価処理を実行する。
図9に示すように、寿命評価処理の最初のステップS401では、頻度分布算出部35が頻度分布を算出する。頻度分布算出部35は、選択処理によって選択された算出方法および計測データ42に基づいて頻度分布を算出し、その算出した頻度分布を頻度分布データ44として記憶部40の所定領域に格納する。
【0067】
次のステップS402では、応力頻度換算部36が頻度分布を応力頻度分布に換算する。応力頻度換算部36は、選択処理によって選択された換算方法および頻度分布データ44に基づいて一次元の応力頻度分布を算出し、その算出した応力頻度分布を応力頻度分布データ45として記憶部40の所定領域に格納する。
【0068】
次のステップS403では、寿命評価部37が機械部品11の寿命を算出する。寿命評価部37は、S-N線図データ46から機械部品11に対応するS-N線図を選択し、そのS-N線図、選択処理によって選択された算出方法、および、応力頻度分布データ45に基づいて、下記の式(1)で示される疲労被害度Dを消費寿命として算出する。寿命評価部37は、算出した疲労被害度Dを実績データ50として機械部品11の識別情報に関連付けて記憶部40の所定領域に格納する。疲労被害度Dは、その値が大きいほど機械部品11の疲労が進んでいることを示す値であり、理論上、1に到達すると機械部品11が疲労破壊を起こす値である。式(1)において、D1は疲労被害度Dの初期値であり、niは応力σaiの頻度であり、Niは機械部品11に対応するS-N線図において応力σaiに対応付けられている繰返し数Nである。
【0069】
【0070】
次のステップS404では、寿命評価部37が機械部品11の寿命を評価する。具体的には、寿命評価部37は、疲労被害度Dと閾値データ47の閾値Dtとに基づいて、疲労被害度Dが閾値Dt以上か否かにより機械部品11の寿命を評価する。
【0071】
疲労被害度Dが閾値Dt未満である場合(ステップS404:NO)、寿命評価部37は、機械部品11の疲労が疲労破壊に対して余裕があると評価する。この場合、第2処理部31は、そのままステップS106の処理に戻り、第1情報処理装置12からの計測情報を受信して再び計測情報取得処理を実行する。
【0072】
一方、疲労被害度Dが閾値Dt以上の場合(ステップS404:YES)、寿命評価部37は、機械部品11が疲労限度に近づいていると評価する。この場合、第2処理部31は、メッセージ送信処理を実行する(ステップS405)。この処理において、第2処理部31は、第2送受信部32を通じて、機械部品11が疲労限度に近づいていることを示すメッセージを寿命情報として第1情報処理装置12に送信する。メッセージ送信処理の実行後、第2処理部31は、ステップS106の処理に戻り、第1情報処理装置12からの計測情報を受信して再び計測情報取得処理を実行する。
【0073】
なお、閾値Dtには、機械部品11の疲労がある程度進んでいることを示す値(第1閾値Dt1)や機械部品11の交換が必要となる値(第2閾値Dt2)など、複数の値が設定されてもよい。この第2閾値Dt2は、第1閾値Dt1よりも大きな値である。この場合、その閾値Dtに対応するメッセージが寿命情報として送信される。また、第2処理部31は、疲労被害度Dの上昇率に基づく機械部品11の交換時期や残り寿命などを示すメッセージを寿命情報として送信してもよい。
【0074】
寿命情報が送信されると、第1情報処理装置12の第1処理部23は、第1送受信部24で寿命情報を受信し、その受信した寿命情報を出力部22に出力する出力処理を実行する(ステップS108)。
【0075】
以上、寿命評価システム10における処理の流れについて、新たな識別情報の機械部品11が評価対象となった場合、すなわち、機械部品11の実績データ50が存在しない場合を例に説明した。一方で、機械部品11の実績データ50が存在する場合、寿命評価部37は、その実績データ50に格納されている疲労被害度Dを初期値D1に設定することで最新の疲労被害度Dを算出する。
【0076】
(作用)
上述した寿命評価システム10においては、センサ15のパラメータ情報や機械部品11の部品情報が選択情報として第1情報処理装置12に入力され、第2情報処理装置13に送信される。第2情報処理装置13は、その選択情報に基づいて、頻度分布の算出方法、応力頻度分布の換算方法、および、寿命の算出方法の各々について、複数ある方法から1つの方法を選択する。これにより、第2情報処理装置13においては、センサ15のパラメータの種別および機械部品11の機械的な性質や形状に適した算出方法で疲労被害度Dを算出することができる。第2情報処理装置13は、選択した算出方法を用いて算出した疲労被害度Dに基づいて機械部品11の寿命を評価し、その評価結果を第1情報処理装置12に送信する。第1情報処理装置12は、評価結果を出力部22に出力する。これにより、使用者側において機械部品11の寿命についての情報を取得することができる。
【0077】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)寿命評価システム10においては、パラメータの種別に適した方法で機械部品11の寿命が評価される。これにより、機械部品11の疲労被害度について計測可能なパラメータの自由度が高まることから、寿命評価システム10の汎用性を高めることができる。その結果、例えば、機械部品11が搭載された装置に予め取り付けられているセンサ15を用いて寿命を算出・評価することができる。また、そのパラメータの種別に適した算出方法が選択されることから、機械部品11の寿命を高い精度のもとで算出・評価することができる。
【0078】
(1-2)寿命評価システム10においては、機械部品11の性質や形状を加味して各種の算出方法が選択可能に構成されている。これにより、機械部品11の寿命をより高い精度のもとで算出・評価することができる。また、寿命評価システム10の使用者は、センサ15のパラメータ情報や機械部品11の部品情報などを入力するだけでよい。これにより、機械部品11の寿命を高い精度のもとで算出・評価するうえで使用者への負担を軽減することができる。
【0079】
(1-3)寿命評価システム10においては、選択情報の送信条件が満たされていない場合、出力部22を通じてその旨をオペレータに通知する。これにより、機械部品11となる機械部品が変更されたとしても、変更後の機械部品の性質情報や識別情報の入力を確実に行うことができる。
【0080】
(1-4)寿命評価システム10においては、機械部品11の作動状態を加味して、各種の算出方法の選択が可能に構成されている。これにより、機械部品11の寿命をさらに高い精度のもとで算出・評価することができる。
【0081】
(1-5)寿命評価システム10においては、頻度分布が二次元の頻度分布である場合には、その頻度分布を一次元の応力頻度分布に換算可能に構成されている。これにより、選択情報に適した算出方法によって二次元の頻度分布が得られる場合にも、機械部品11の寿命を高い精度のもとで算出・評価することができる。
【0082】
(1-6)寿命評価システム10は、使用者側の第1情報処理装置12と供給者側の第2情報処理装置13とを備え、これらがネットワーク14を通じて相互通信可能に構成されている。そして、第2情報処理装置13において選択処理が行われている。これにより、選択情報に基づいて選択される算出方法を供給者側が変更する場合に、すなわち対応付けデータ43を書き換える場合に供給者側が容易に対応することができる。
【0083】
なお、
図10に示すように、こうした変更は、例えば、供給者側の第3情報処理装置48を通じて行うことができる。第3情報処理装置48は、ネットワーク14を通じて相互通信可能に第2情報処理装置13に接続される構成であってもよいし、図中の点線で示すケーブル49を通じて相互通信可能に第2情報処理装置13に接続される構成であってもよい。
【0084】
(1-7)また、第2情報処理装置13において応力頻度分布の算出や寿命の算出・評価が行われている。これにより、各種換算係数、S-N線図データ46、閾値データ47、および、S-N線図の修正式などを更新する場合にも供給者側が容易に対応することができる。
【0085】
(1-8)寿命評価システム10においては、寿命の評価結果として、機械部品11の交換時期を第1情報処理装置12の出力部22に出力可能に構成されている。これにより、使用者側においては、機械部品11の交換等により、機械部品11の疲労破壊を防止することができる。
【0086】
(1-9)寿命評価システム10においては、異なる識別情報が入力されたことを条件に疲労被害度Dがリセットされる。これにより、機械部品11が交換されたとしても、その交換後の機械部品11の寿命を高い精度のもとで算出・評価することができる。
【0087】
(第2実施形態)
図11~
図12を参照して、寿命評価システムの第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の寿命評価システムは、第1実施形態において第2情報処理装置13で行っていた頻度分布の算出を第1情報処理装置12で行う。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0088】
図11に示すように、第2実施形態の寿命評価システム10においては、第2情報処理装置13の第2処理部31ではなく、第1情報処理装置12の第1処理部23に頻度分布算出部51が設けられている。
【0089】
第1情報処理装置12の第1処理部23において、第1取得部25は、センサ15の計測値を取得し、その取得した計測値の各々を記憶部52の所定領域に格納することにより計測データ53を生成する。第2実施形態において、第1取得部25は、機械部品11の疲労被害度に関するパラメータの計測値を取得する取得部として機能する。
【0090】
頻度分布算出部51は、選択部34が選択した算出方法を用いて、計測データ53に基づく計測値の頻度分布を算出し、その算出した頻度分布を示す頻度分布データ54を記憶部52の所定領域に格納する。頻度分布データ54は、第1送受信部24によって頻度分布情報として第2情報処理装置13に送信される。
【0091】
第2情報処理装置13の第2処理部31において、第2取得部33は、第2送受信部32が受信した頻度分布情報を取得し、その頻度分布情報を頻度分布データ55として記憶部40の所定領域に格納する。応力頻度換算部36は、その頻度分布データ55に基づいて応力頻度分布を算出する。
【0092】
図12を参照して、第2実施形態の寿命評価システム10における処理の流れについて説明する。
図12に示すように、まず、第1情報処理装置12において、選択情報の入力が行われたのち(ステップS501)、選択情報送信処理が実行される(ステップS502)。次に、第2情報処理装置13において、選択情報取得処理(ステップS503)と選択処理(ステップS504)とが実行される。
【0093】
選択処理が終了すると、第2情報処理装置13の第2処理部31は、算出方法送信処理を実行する(ステップS505)。具体的には、第2処理部31は、選択部34が選択した頻度分布の算出方法を示す算出方法情報を第2送受信部32を通じて第1情報処理装置12に送信する。
【0094】
算出方法情報が送信されると、第1情報処理装置12においては、その算出方法情報を第1処理部23の第1送受信部24が受信する。第1送受信部24が算出方法情報を受信すると、第1処理部23は、算出方法情報に基づいて頻度分布算出部51による頻度分布の算出方法を設定する算出方法設定処理を実行する(ステップS506)。
【0095】
機械部品11の運転が開始されると、第1処理部23は、計測データ生成処理を実行する(ステップS507)。この処理において、第1取得部25は、センサ15の計測値を取得し、その取得した計測値の各々を記憶部52の所定領域に格納することにより計測データ53を生成する。計測データ53は、予め定められた設定期間(第1設定期間)におけるセンサ15の計測値によって構成されるデータであって、その設定期間ごとに生成されるデータである。
【0096】
計測データ53が生成されると、第1処理部23は、頻度分布算出処理を実行する(ステップS508)。この処理において、頻度分布算出部51は、算出方法設定処理で設定された算出方法を用いて、計測データ53に基づく計測値の頻度分布を算出する。頻度分布算出部51は、その算出した頻度分布を示す頻度分布データ54を記憶部52の所定領域に格納する。
【0097】
頻度分布が算出されると、第1処理部23は、頻度分布送信処理を実行する(ステップS509)。この処理において、第1処理部23は、記憶部52に格納された頻度分布データ54を第1送受信部24を通じて第2情報処理装置13に送信する。頻度分布算出処理および頻度分布送信処理は、計測データ53が生成される設定期間(第1設定期間)ごとに行われる。なお、第1処理部23は、頻度分布算出処理で算出された頻度分布を積算し、所定の設定期間(第2設定期間)ごとに頻度分布送信処理を行う構成であってもよい。この第2設定期間は、第1設定期間よりも長い期間である。
【0098】
頻度分布が送信されると、第2情報処理装置13においては、その頻度分布を第2処理部31の第2送受信部32が受信する。第2送受信部32が頻度分布を受信すると、第2処理部31は寿命評価処理を実行する(ステップS510)。ステップS510の寿命評価処理において、第2処理部31は、
図9に示した寿命評価処理のステップS402以降の処理を実行する。また、疲労被害度Dが閾値Dt以下である場合(ステップS404:NO)、第2処理部31は、そのまま寿命評価処理を終了する。一方、疲労被害度Dが閾値Dtよりも大きい場合(ステップS404:YES)、第2処理部31は、メッセージ送信処理を実行して寿命評価処理を終了する。メッセージ送信処理が実行された場合、第1処理部23は、出力処理を実行する(ステップS511)。
【0099】
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)上記構成であっても、第1実施形態の(1-1)~(1-9)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0100】
(2-2)使用者側の第1情報処理装置12は、設定期間ごとに、計測データ53を生成するとともに計測データ53に基づいて算出した頻度分布を第2情報処理装置13へと送信する。これにより、センサ15の計測値が第1処理部23に入力されるたびに、その計測値を第2情報処理装置13に送信する必要がない。その結果、第1情報処理装置12と第2情報処理装置13との間における通信回数を低減することができる。また、センサ15の計測値が第2情報処理装置13に蓄積されることもないことから、第2情報処理装置13におけるデータ量を削減することができる。
【0101】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・寿命評価システム10は、使用者側の1つの情報処理装置により構成されてもよい。
【0102】
・寿命評価システム10において、第1情報処理部は、選択情報を入力可能に、また、その選択情報を第2情報処理装置13に送信可能に構成されていればよく、ネットワーク14に接続された複数の情報処理装置で構成されていてもよい。例えば、第1および第2実施形態において、第1情報処理部は、第1情報処理装置12に加えて、ウェブアプリケーションを通じて選択情報を入力可能な入力部を備える使用者側の情報処理装置を含んで構成されてもよい。
【0103】
また、第1情報処理部は、使用者側の情報処理装置だけでなく、供給者側の情報処理装置を含んで構成されてもよい。例えば、
図10に示す構成のように、第1および第2実施形態において、選択情報を入力可能な第1情報処理部は、第1情報処理装置12に加えて、供給者側の第3情報処理装置48を含んで構成されてもよい。こうした構成においては、第3情報処理装置48が選択情報を入力可能な入力部を備えていることから、使用者側の第1情報処理装置12から入力部21が割愛されてもよい。また、供給者側の第3情報処理装置48は寿命情報を出力可能な出力部を備えて構成されてもよい。この場合、第1情報処理装置12から出力部22が割愛されてもよい。なお、供給者側の第3情報処理装置48は、ウェブアプリケーションを通じて各種入出力が可能に構成されていてもよい。
【0104】
・第2情報処理部は、第2情報処理装置13に加えて、選択情報に基づいて選択される算出方法をウェブアプリケーションを通じて変更可能な供給者側の情報処理装置を含んで構成されてもよい。こうした構成によれば、(1-6)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0105】
・機械部品11は、例えばエンジンやトランスミッションなど、使用者側が製造・販売する製品を構成する部品であってもよい。この場合、第1情報処理部は、選択情報の入力と寿命情報の出力とが可能な使用者側の情報処理装置と、その製品に搭載されてセンサの計測値を示す計測情報をネットワーク14を介して第2情報処理装置13に送信する情報処理装置と、によって構成される。こうした構成によれば、寿命評価システムの使用者が機械部品11の寿命情報を確認可能であることから、製品の利用者に対して機械部品11の交換時期などのメンテナンス情報を案内することができる。
【0106】
・評価対象となる機械部品11は複数であってもよい。この場合、ネットワーク14を介して送受信される各種情報には、機械部品11を識別可能な情報が含まれる。また、情報処理装置においては、機械部品11ごとに、記憶部への各種データの格納や算出方法の選択、寿命の算出・評価が行われる。
【0107】
・機械部品11は、例えばエンジンやトランスミッションなど、使用者側が試験対象とする供試体を構成する部品であってもよい。こうした構成においては、使用者が供試体を載せ替えながら各供試体の試験を同一の試験装置で行ったとしても、その供試体ごとに機械部品11に適した各種の算出方法が選択される。そのため、供試体に対して耐久試験を行う場合には、その供試体が破損するタイミングを高い精度で予測することができる。また、供試体に対して性能試験や制御適合試験、認証試験などを行う場合には、その供試体の疲労破壊を未然に防ぐことができる。
【0108】
・選択部34は、パラメータの種別に加えて、該パラメータの計測値の推移(波形形状)を示す波形情報を加味して各種の算出方法を選択してもよい。
例えば、選択部34は、一定の判定期間において計測値がゼロレベルを横切る回数をカウントする。選択部34は、そのカウントした回数が予め定めた閾値よりも少ない場合には、二次元の頻度分布が算出される算出方法を選択する。また選択部34は、カウントした回数が閾値以上である場合には、一次元の頻度分布が算出される算出方法を選択する。閾値は、判定期間における計測値の平均値がゼロレベルに対してオフセットしているか否かの目安となる値である。
【0109】
具体的には、横軸を時間、縦軸を計測値とした
図13に示すグラフのように、判定期間Tにおいてゼロレベルを横切る回数が少ない場合、その判定期間Tにおける計測値の平均値は、ゼロレベルからオフセットされた値であると推定される。こうした場合、選択部34は、二次元の頻度分布が算出される算出方法を優先的に選択する。また、横軸を時間、縦軸を計測値とした
図14のように、判定期間Tにおいてゼロレベルを横切る回数が多数である場合、その判定期間Tにおける計測値の平均値は、ゼロレベルに近い値であると推定される。こうした場合、選択部34は、一次元の頻度分布が算出される算出方法を優先的に選択する。なお、こうした判定期間Tや閾値は、予め行った実験やシミュレーションの結果のほか、装置の実際の計測結果などに基づいて対応付けられることが好ましい。
【0110】
これにより、機械部品11に対するパラメータの変化に基づいて、各種の算出方法を選択することができる。例えば、入力部21を通じて作動情報が入力されない場合であっても、作動情報に類似する情報に基づいて各種の算出方法を選択することができる。また例えば、工作機械などの予め定められたパターンで稼動する装置に搭載された機械部品11を評価対象とした場合に、そのパターンごとに適した算出方法を選択することができる。その結果、機械部品11の寿命を高い精度のもとで算出・評価しつつ、寿命評価システム10の汎用性をさらに高めることができる。なお、波形情報は、機械部品11を搭載した装置が実際に稼動している本稼働時の計測値に基づくものであってもよいし、本稼働時を模擬した試運転時の計測値に基づくものであってもよい。
【0111】
・波形情報を加味する選択方法の他の例としては、計測値がゼロレベルを横切る回数に判定値を設定し、その判定値を超えるまでに要する時間に基づいて算出方法を選択してもよい。この例において、選択部34は、その要した時間が閾値よりも長い場合に、二次元の頻度分布が算出される算出方法を優先的に選択する。
【0112】
・波形情報を加味する選択方法の他の例としては、極値法による第1頻度と最大最小法による第2頻度とを算出し、第1頻度に対する第2頻度の比(=第2頻度/第1頻度)に基づいて算出方法を選択してもよい。この例において、第1頻度と第2頻度は、原理上、第1頻度≧第2頻度の関係を有する。選択部34は、第1頻度に対する第2頻度の比(=第2頻度/第1頻度)が閾値より小さい場合に、二次元の頻度分布が算出される算出方法を優先的に選択する。
【0113】
・疲労被害度Dは、機械部品11の加工情報に基づいて算出されてもよい。この場合、部品情報には、機械部品11の加工情報が含まれる。加工情報は、例えば曲げ加工や鍛造加工、熱処理、ショットピーニングなど、機械部品11に残留応力が生じる加工についての情報が入力されることが好ましい。こうした構成においては、S-N線図データ46は加工方法ごとに適したS-N線図を含んで構成され、選択部34はその加工方法に適したS-N線図を選択する。なお、加工情報は、性質情報、すなわち各種規格による材料記号から取得されてもよい。
【0114】
・実績データ50には、機械部品11の各種の算出方法が識別情報に関連付けられて格納されていてもよい。こうした構成によれば、選択部34は、実績データ50に識別情報が格納されている機械部品11については、その実績データ50に基づいて各種の算出方法を選択することができる。
【0115】
・疲労被害度Dは、二次元の頻度分布を換算した二次元の応力頻度分布から算出されてもよい。こうした構成において、疲労被害度Dは、例えば、二次元の応力頻度分布を構成する平均応力、平均応力に対する応力振幅、各平均応力に対応付けられた各応力振幅の頻度、これらを所定の関数に代入することにより算出される。
【0116】
・寿命評価システム10は、選択情報取得処理(ステップS103,S503)において、実績データ50が存在しない場合に識別情報の機械部品11が新たな評価対象であることをオペレータに確認する確認処理を実行してもよい。
【0117】
確認処理において、第2情報処理装置13の第2処理部31は、機械部品11についての実績データ50が存在しないことを示す無実績情報を第2送受信部32を通じて第1情報処理装置12に送信する。
【0118】
第1情報処理装置12の第1処理部23は、第1送受信部24が無実績情報を受信すると、通知部26を通じて、今回の評価対象である機械部品11が新たな評価対象であることを示すメッセージを出力部22に出力する。このメッセージは、機械部品11が新たな評価対象であるか否かを選択可能な選択肢付きのメッセージである。オペレータは、機械部品11が新たな評価対象であるか否かを入力部21を通じて選択する。
【0119】
新たな評価対象であることが選択された場合、第1処理部23は、その旨を示す確認情報を第1送受信部24を通じて第2情報処理装置13に送信する。第2情報処理装置13の第2処理部31は、第2送受信部32が確認情報を受信することを条件に、機械部品11が新たな評価対象であると判断する。
【0120】
一方、新たな評価対象ではないことが選択された場合、第1処理部23は、通知部26を通じて、機械部品11の部品情報を再度入力するメッセージを出力部22に出力する。部品情報が再び入力されると、第1処理部23は、その部品情報を第1送受信部24を通じて第2情報処理装置13に送信する。第2情報処理装置13の第2処理部31は、第2送受信部32が部品情報を受信することを条件に、実行中の選択情報取得処理を停止したのち、その受信した部品情報を選択情報の一部とした新たな選択情報取得処理を開始する。こうした確認処理を実行することにより、機械部品11が新たな評価対象であるか否かの判断がより確実なものとなる。
【符号の説明】
【0121】
10…寿命評価システム、11…機械部品、12…第1情報処理装置、13…第2情報処理装置、14…ネットワーク、15…センサ、21…入力部、22…出力部、23…第1処理部、24…第1送受信部、25…第1取得部、26…通知部、31…第2処理部、32…第2送受信部、33…第2取得部、34…選択部、35…頻度分布算出部、36…応力頻度換算部、37…寿命評価部、40…記憶部、41…選択情報データ、42…計測データ、43…対応付けデータ、44…頻度分布データ、45…応力頻度分布データ、46…S-N線図データ、47…閾値データ、48…第3情報処理装置、49…ケーブル、50…実績データ、51…頻度分布算出部、52…記憶部、53…計測データ、54…頻度分布データ、55…頻度分布データ。