(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063763
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
G01C 3/06 20060101AFI20220415BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220415BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
G01C3/06 110A
B64C39/02
G01C15/00 103C
G01C15/00 104C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172168
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519265251
【氏名又は名称】株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗 秀哉
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 賢司
(72)【発明者】
【氏名】松本 存史
【テーマコード(参考)】
2F112
【Fターム(参考)】
2F112AA09
2F112BA02
2F112CA06
2F112CA12
2F112DA02
2F112DA25
2F112EA01
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA35
2F112FA45
(57)【要約】
【課題】移動体が撮影した撮影画像により容易にサイズを測定可能とする技術を提供すること。
【解決手段】撮影部と、撮影部により撮影される撮影領域内に複数のレーザ光を照射するレーザ光照射部と、揚力または推力を発生する回転翼と、回転翼を駆動する駆動部と、駆動部を制御する制御部と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部と、
前記撮影部により撮影される撮影領域内に複数のレーザ光を照射するレーザ光照射部と、
揚力または推力を発生する回転翼と、
前記回転翼を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を備えた移動体。
【請求項2】
前記複数のレーザ光は2つのレーザ光であり、当該2つのレーザ光の光軸は交差する請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記2つのレーザ光の色は異なる請求項2に記載の移動体。
【請求項4】
撮影領域内に照射された前記2つのレーザ光が照射された位置と、被写体に照射されている色の配置と、2つの照射位置間の距離とに基づき、被写体との距離を導出する請求項2または請求項3に記載の移動体。
【請求項5】
前記複数のレーザ光の光軸は平行である請求項1に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローン等のカメラが搭載された移動体を自律的に飛行させ、インフラ設備等の劣化度合いを判断するため,クラックやサビなどを撮影することがある。劣化度合いを判断するためにはその寸法が判断基準の一つとなる。そこで、クラックやサビなどの測定対象のあたりに、スケールなどのサイズを測るための目安となるものを配置して撮影し、撮影画像から測定対象のサイズを測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ドローンが撮影するような場所ではスケールを配置することが困難であったり、配置するために足場を組む必要があった。そのため、測定対象のサイズを移動体が撮影した画像により測定することは困難であった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、移動体が撮影した撮影画像により容易にサイズを測定可能とする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、撮影部と、前記撮影部により撮影される撮影領域内に複数のレーザ光を照射するレーザ光照射部と、揚力または推力を発生する回転翼と、前記回転翼を駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備えた移動体である。
【0007】
本発明の一態様は、上記移動体であって、前記複数のレーザ光は2つのレーザ光であり、当該2つのレーザ光の光軸は交差する。
【0008】
本発明の一態様は、上記移動体であって、前記2つのレーザ光の色は異なる。
【0009】
本発明の一態様は、上記移動体であって、撮影領域内に照射された前記2つのレーザ光が照射された位置と、被写体に照射されている色の配置と、2つの照射位置間の距離とに基づき、被写体との距離を導出する。
【0010】
本発明の一態様は、上記移動体であって、前記複数のレーザ光の光軸は平行である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、移動体が撮影した撮影画像により容易にサイズを測定可能とする技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】ドローン100の機能構成を表す機能ブロック図。
【
図3】光軸を距離Xとなる位置で交差させる場合の構成を示す図。
【
図6】被写体との距離を導出する処理の流れを示すフローチャート。
【
図7】4つのレーザ光照射部を設けた場合の照射位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施形態のドローン100の斜視図である。ドローン100は、移動体の一例である。ドローン100は、カメラ170、レーザ光照射部180A、180B、およびブレード152を備える。レーザ光照射部180A、180Bを特に区別しない場合には、レーザ光照射部180と表現する。
【0014】
カメラ170は、撮影部の一例であり、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどで構成される。カメラ170で撮影された撮影画像は不揮発性メモリに記憶される。
【0015】
レーザ光照射部180は、カメラ170により撮影される撮影領域内に複数(
図1では2つ)のレーザ光を照射する。レーザ光照射部180Aが照射するレーザ光の色と、レーザ光照射部180Aが照射するレーザ光の色は異なっている。さらに、レーザ光照射部180Aが照射するレーザ光の光軸と、レーザ光照射部180Aが照射するレーザ光の光軸は交差する。ブレード152は、揚力または推力を発生する回転翼である。
【0016】
図2は、ドローン100の機能構成を表す機能ブロック図である。ドローン100は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、ドローン制御プログラムを実行することによって通信部110、制御部120を備える装置として機能する。なお、通信部110、および制御部120の各機能の全てまたは一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0017】
ドローン制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。ドローン制御プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0018】
通信部110は、GPS(Global Positioning System)通信部111、および無線LAN(Local Area Network)通信部112で構成される。GPS通信部111は、GPS等の人工衛星から受信された電波を受信する。受信された電波により、ドローン100の位置が測定される。無線LAN通信部112は、無線LANにより必要に応じて他の装置との近距離通信を行う。なお、他の通信手段として、LTE(Long Term Evolution)を用いて通信する構成を設けてもよい。
【0019】
ドローン100は、ロータ150、バッテリ160、カメラ170、およびレーザ光照射部180A、180Bを備える。バッテリ160は、ドローン100の各部に電力を供給する。カメラ170は、ドローン100の前方向を撮影可能である。カメラ170として全天球カメラを用いてもよい。
【0020】
ロータ150は、制御部120の制御に応じて、ドローン100を空中自在に飛行させるための揚力または推力を発生させる動力部である。ドローン100が備えるロータ150の数は、本実施形態では4基であるが、ドローン100に要求される飛行性能等に応じて、3基、6基、8基等であってよい。
【0021】
ロータ150は、モータ151、およびブレード152を備える。モータ151は、例えばDCブラシレスモータであり、ブレード152を駆動する。モータ151は、駆動部の一例である。モータ151の回転軸にはブレード152が取り付けられている。モータ151は、制御部120の制御に応じてブレード152を回転させる。ブレード152は回転することによりドローン100に揚力および推力を発生させる。ロータ150の駆動によってドローン100を移動させる方法については公知であるため詳細な説明を省略する。
【0022】
図2における制御部120はドローン100の各部の動作を制御する。制御部120は、例えばCPU等のプロセッサ、およびRAMを備えた装置により実行される。制御部120は、ドローン制御プログラムを実行することによって、飛行制御部121、距離導出部122、および撮影制御部123として機能する。
【0023】
飛行制御部121は、ドローン100の飛行に関する制御を行う。距離導出部122は、ドローン100と被写体との距離を導出する。具体的に、距離導出部122は、カメラ170で撮影されている画像に示される、撮影領域内に照射された2つのレーザ光が照射された位置と、被写体に照射されている色の配置と、2つの照射位置間の距離とに基づき、被写体との距離を導出する。なお、距離導出部122は、2つのレーザ光が照射された位置を取得できることから、レーザ光の照射位置が重なったか否かも判定できる。撮影制御部123は、撮影や、撮影により得られた画像を不図示の不揮発性メモリに記憶するなど、撮影に関する制御を行う。
【0024】
次に、ドローン100と被写体との距離をXとする場合の構成について説明する。
図3は、レーザ光照射部180が照射した2つのレーザ光の光軸を、ドローン100からの距離Xとなる位置で交差させる場合の構成を示す図である。
図3には、レーザ光照射部180Aから照射されたレーザ光の光軸181Aと、レーザ光照射部180Bから照射されたレーザ光の光軸181Bとが示されている。
【0025】
レーザ光照射部180Aとレーザ光照射部180Bとの間の長さをWとする。この場合、θ=tan-1(W/(2X))だけレーザ光照射部180を内側に傾ける構成とすることで、光軸が交差したときに、距離がXとなる。例えば、W=0.1m、X=3mとしたときθ≒0.95度となる。
【0026】
以上より、距離導出部122により、レーザ光の照射位置が重なったと判定されたときに撮影すると、被写体の距離がXのときの撮影画像が得られるため、撮影画像内の距離から、実際のサイズを測定することができる。なお、以上説明したドローン100と被写体との距離をXとする場合の構成では、レーザ光照射部180Aから照射されるレーザ光の色と、レーザ光照射部180Bから照射されるレーザ光の色は同じであってもよい。
【0027】
次に、距離を導出する構成について説明する。
図4は、距離の導出方法を説明するための図である。距離を導出する構成では、レーザ光照射部180Aから照射されるレーザ光の色と、レーザ光照射部180Bから照射されるレーザ光の色は異なる。
図4に示されるように、レーザ光照射部180Aから照射されるレーザ光の色を白丸で示し、照射位置をPaで示す。レーザ光照射部180Bから照射されるレーザ光の色を黒丸で示し、照射位置をPbで示す。また、
図4におけるA、B、Cは被写体の位置を示す。
【0028】
図5Aは、被写体位置Aにおける撮影画像を示す図である。
図5Bは、被写体位置Bにおける撮影画像を示す図である。
図5Cは、被写体位置Cにおける撮影画像を示す図である。
図5Aにおいて、d1は2つの照射位置間の距離を示す。
図5Cにおいて、d2は2つの照射位置間の距離を示す。このうちの
図5Bは、レーザ光の照射位置が重なった場合の撮影画像を示している。
【0029】
また、
図5Aと
図5Cとでは、被写体に照射されている色の配置が逆になる。これにより、右に白丸が配置され、左に黒丸が配置されている場合には、被写体の位置はレーザ光の交差位置より奥側であることが分かる。このとき被写体との距離D1は式1の通りである。
D1=(1+d1/W)×X…式1
【0030】
同様に、右に黒丸が配置され、左に白丸が配置されている場合には、被写体の位置はレーザ光の交差位置より手前側であることが分かる。このとき被写体との距離D2は式1の通りである。
D2=(1-d2/W)×X…式2
【0031】
以上より、2つのレーザ光が照射された位置と、被写体に照射されている色の配置と、2つの照射位置間の距離とに基づき、被写体との距離を導出することができる。また、撮影画像をプリントした写真にも2つのレーザ光が照射された位置と、被写体に照射されている色の配置が写っているため、被写体との距離を導出することができる。そして、導出された距離に基づいて、サイズを測定することができる。
【0032】
図6は、被写体との距離を導出する処理の流れを示すフローチャートである。距離導出部122は、照射位置間の距離dを取得する(ステップS101)。距離導出部122は、撮影画像において、
図5Aのように、照射位置Pbが照射位置Paより左か否かを判定する(ステップS102)。
【0033】
照射位置Pbが左で、照射位置Paが右の場合には(ステップS102:YES)、上記式1におけるd1にdを代入して距離を導出し(ステップS103)、本処理を終了する。照射位置Pbが照射位置Paより左ではない場合には(ステップS102:NO)、上記式2におけるd2にdを代入して距離を導出し(ステップS104)、本処理を終了する。なお、照射位置Pbが照射位置Paより左ではない場合には、
図5Bに示されるように照射位置Pbと照射位置Paとが一致する場合も含まれるが、この場合は式2においてd2=0であることから、D2=Xが導出される。
【0034】
上記d1やd2は、撮影画像で測定される距離とは異なる。具体的に、距離導出部122が2つの照射位置間の距離を測定する場合、一般的な処理として、撮影画像を仮想的な2次元座標に重畳させて、その座標内における距離を測定する。また、撮影画像をプリントした写真の場合には、定規などでその写真内での距離を測定する。いずれの場合においても、測定された照射位置間の距離に、適切な定数を乗じることでd1やd2を導出することができる。
【0035】
以上説明した実施形態では、2つのレーザ光の光軸が交差する形態について説明したが、2つのレーザ光の光軸は平行であってもよい。この場合、ドローン100と被写体との距離がどのような距離であっても、照射位置間の距離は一定であるので、照射位置間の距離に基づきサイズを測定することができる。
【0036】
以上説明した実施形態では、2つのレーザ光を用いる形態について説明したが、3つ以上のレーザ光を用いてもよい。例えば、各レーザ光の照射位置が被写体において格子点状に配置されるようにレーザ光照射部を設ける。また、複数のレーザ光の光軸が平行になるように設ける。
図7は、4つのレーザ光照射部を設けた場合の照射位置を示す図である。4つのレーザ光を用いる場合、
図7に示されるように、照射位置Pとなるようにレーザ光照射部を設ける。このようにすることで、
図7に示されるクラックCの横幅と縦幅のサイズを測定することができる。
【0037】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0038】
100…ドローン、110…通信部、111…GPS通信部、112…無線LAN通信部、120…制御部、121…飛行制御部、122…距離導出部、123…撮影制御部、150…ロータ、151…モータ、152…ブレード、160…バッテリ、170…カメラ、180、180A、180B…レーザ光照射部、181A、181B…光軸
【手続補正書】
【提出日】2022-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部と、
前記撮影部により撮影される撮影領域内に複数のレーザ光を照射するレーザ光照射部と、
揚力または推力を発生する回転翼と、
前記回転翼を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記レーザ光照射部は、各レーザ光の照射位置が被写体において格子点状に配置されるように設けられた移動体。
【請求項2】
前記複数のレーザ光の光軸は平行である請求項1に記載の移動体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一態様は、撮影部と、前記撮影部により撮影される撮影領域内に複数のレーザ光を照射するレーザ光照射部と、揚力または推力を発生する回転翼と、前記回転翼を駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記レーザ光照射部は、各レーザ光の照射位置が被写体において格子点状に配置されるように設けられた移動体である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】