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特開2022-63791引き寄せ具及びこれを用いた水耕栽培用プランター
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  • 特開-引き寄せ具及びこれを用いた水耕栽培用プランター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063791
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】引き寄せ具及びこれを用いた水耕栽培用プランター
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/04 20060101AFI20220415BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20220415BHJP
【FI】
A01G31/04 A
A01G31/00 604
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172212
(22)【出願日】2020-10-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】515339295
【氏名又は名称】株式会社恵葉&菜健康野菜
(74)【代理人】
【識別番号】100109254
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 雅典
(72)【発明者】
【氏名】池 祐史久
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朱鷺
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314ND05
2B314PD07
2B314PD10
2B314PD70
(57)【要約】
【課題】 栽培用プレートに固定されておらず、栽培用プレートの下側に潜り込むこともない引き寄せ具及びこれを用いた水耕栽培用プランターを提供する。
【解決手段】 平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように設置されて、最端面が前記栽培用プレートに当接させられる本体部と、前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下面側に接する爪部と、を備えてなることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように設置されて、最端面が前記栽培用プレートに当接させられる本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下面側に接する爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、
を備えてなることを特徴とする引き寄せ具。
【請求項2】
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように設置されて、最端面を前記栽培用プレートに当接させられる本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下面側に沿って延びる爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、
を備えてなることを特徴とする引き寄せ具。
【請求項3】
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように設置されて、最端面を前記栽培用プレートに当接させられる本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下側に延びる爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、を備えてなり、
前記爪状部が前記栽培用プレートの下面側に接することにより、前記本体部の上下方向の回転を制止することを特徴とする引き寄せ具。
【請求項4】
前記爪部は、前記養液槽の短手方向の両端壁の内側に沿うように設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の引き寄せ具。
【請求項5】
前記紐状体は、前記爪部を介して前記本体部に連結されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の引き寄せ具。
【請求項6】
平面視概ね矩形状の養液槽上の長手方向に栽培用プレートを並べて設置した水耕栽培用プランターにおいて、請求項1乃至5の何れかに記載の引き寄せ具を前記栽培用プレートと並ぶように設置したことを特徴とする水耕栽培用プランター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養液槽上に列状配置した栽培用プレートを列の一端側に引き寄せる引き寄せ具及びこれを用いた水耕栽培用プランターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物工場等で用いる水耕栽培用プランター10は、例えば図6(a)及び(b)に示すように、平面視矩形状の養液槽20と、多数の保持孔310に植物(不図示)を保持して養液槽20の短手方向の両縁部に架け渡され,長手方向に移動可能に並ぶ複数の矩形状の栽培用プレート30を備え、プレート下方に出る根を養液に浸けて植物を栽培する。プレート設置は、作業者が養液槽20の長手方向の後端(基端)20b側から栽培用プレート30を載せて、その後端縁に次の栽培用プレート30の前端縁を当接させ、順次押し出すように前端20a側へ移動させて行う。
【0003】
収穫等でプレートを回収する際は、最前端の栽培用プレート30に紐状体の一端を連結し、他端を養液槽20の後端20b側から引っ張りプレート列全体を引き寄せることで、最後端の栽培用プレート30を順次回収する。従来、紐状体はプレート自体に開けた紐通し穴に連結していたが、プレート列全体の重みで紐通し穴に応力集中が生じて、プレート材料に安価な発泡スチロールを用いた場合には、栽培用プレートが割れることがある。
【0004】
これに対し、紐状体を連結した断面コ字型又は断面C字型で横長の引き寄せ具(図なし)を栽培用プレートの前端縁に嵌合させる提案がされている(例えば、特許文献1参照。)。紐状体の引張力を引き寄せ具の横幅方向に分散し、応力集中による栽培用プレートの破損を防止する。但し紐状体がプレートの下側に通されて斜め下方に引っ張られるため、引き寄せ具の嵌合部にプレート移動方向の力(圧縮力)と、それに垂直な力(曲げモーメント)が作用する。曲げモーメントは圧縮力より相当小さいが、栽培用プレートを上方へ凸状に湾曲変形させる。湾曲したプレートは、隣の栽培用プレートに対して角度を付けて接し、圧縮力と共に垂直な力を与える。そして、すべてのプレートが湾曲変形することになる。
【0005】
そこで、出願人は、例えば図6(a)及び(b)に示すような単なる横長棒状の引き寄せ具40を提案している(例えば、特許文献2参照。)。この引き寄せ具40も、下側を通る紐状体50を引っ張られると、図6(c)に符号Mで示すような回転モーメントが生じるが、栽培用プレート30には嵌合していないため、プレートには最端面40aから移動方向の圧縮力のみが加えられて、曲げモーメントを加えられることはない。したがって、栽培用プレート30が凸状に湾曲変形する不都合は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-152174号公報
【特許文献2】特開2017-195863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のとおり、引き寄せ具40は栽培用プレート30を湾曲変形させることはないが、プレート列全体の重量(圧縮力)が大きくなると、栽培用プレート30と強く押し合い、回転モーメントMは大きくなる。ここで、嵌合するタイプの引き寄せ具と異なり、各々の動きを制止するものが無いため、最端面40aが少し上向くと、これと押し合う栽培用プレート30の前端縁も上向くことになる。すると、圧縮力の方向に角度が付くため、回転モーメントMは更に大きくなり、上向き角度が所定以上になった場合には、図6(d)に示すように栽培用プレート30が押し上げられて、その下側に引き寄せ具40が潜り込む事態に至ることがある。作業者がこれに気付かず、紐状体50を引っ張り続けると、引き寄せ具40がプレート下側に出ている植物の根を引っ掛けながら移動して、植物を傷めることになる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、栽培用プレートに固定されておらず、栽培用プレートの下側に潜り込むこともない引き寄せ具及びこれを用いた水耕栽培用プランターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように設置されて、最端面が前記栽培用プレートに当接させられる本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下面側に接する爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、
を備えてなることを特徴とする引き寄せ具を提供する。
【0010】
請求項2の発明は、
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように設置されて、最端面を前記栽培用プレートに当接させられる本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下面側に沿って延びる爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、
を備えてなることを特徴とする引き寄せ具を提供する。
【0011】
請求項3の発明は、
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように設置されて、最端面を前記栽培用プレートに当接させられる本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下側に延びる爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、を備えてなり、
前記爪状部が前記栽培用プレートの下面側に接することにより、前記本体部の上下方向の回転を制止することを特徴とする引き寄せ具を提供する。
【0012】
請求項4の発明は、
前記爪部は、前記養液槽の短手方向の両端壁の内側に沿うように設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の引き寄せ具を提供する。
【0013】
請求項5の発明は、
前記紐状体は、前記爪部を介して前記本体部に連結されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の引き寄せ具を提供する。
【0014】
請求項6の発明は、
平面視概ね矩形状の養液槽上の長手方向に栽培用プレートを並べて設置した水耕栽培用プランターにおいて、請求項1乃至5の何れかに記載の引き寄せ具を前記栽培用プレートと並ぶように設置したことを特徴とする水耕栽培用プランターを提供する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明に係る引き寄せ具は、栽培用プレートの下側を通る紐状体で引っ張られることにより、栽培用プレートに当接する本体部の最端面を上向かせる方向の回転モーメントを受けることになるが、本体部に固定した爪部がプレート下面側に接していることにより、本体部の回転が制止される。これにより、本体部の最端面が上向いて栽培用プレートを押し上げたり、その下側に引き寄せ具を潜り込んだりして、植物の根を引っ掛けることが防止される。
【0016】
請求項2の発明に係る引き寄せ具は、栽培用プレートの下側を通る紐状体で引っ張られることによる回転モーメントにより、栽培用プレートに当接する本体部の最端面が上向くことがあっても、栽培用プレートの下面側に沿って延びる爪部が当たることで、更に栽培用プレートが押し上げられたり、下側に引き寄せ具が潜り込んだりする前に本体部の回転が制止される。
【0017】
請求項3の発明に係る引き寄せ具は、栽培用プレートの下側を通る紐状体で引っ張られることによる上下方向の回転モーメントが作用しても、爪状部が栽培用プレートの下面側に接することで、本体部の上下方向の回転を制止する。これにより、栽培用プレートが押し上げられたり、下側に引き寄せ具が潜り込んだりすることがなく、植物の根を引っ掛けることが防止される。
【0018】
請求項4の発明に係る引き寄せ具は、爪部が養液槽の短手方向の両端内側に沿うように設けられているため、これに案内されて養液槽から脱落することなく、長手方向に沿って移動できる。
【0019】
請求項5の発明に係る引き寄せ具は、紐状体が栽培プレートよりも下側に位置する爪部に連結されることにより、栽培プレートの下面沿いに引っ張られるため、本体部の上下方向に回転しにくくなる。
【0020】
請求項6の発明に係る水耕栽培用プランターは、請求項1乃至5の発明と同様の効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】水耕栽培用プランターの構成部品を示す斜視図。
図2】水耕栽培用プランターを示す斜視図。
図3】引き寄せ具を示す斜視図。
図4】水耕栽培用プランターの引き寄せ具の周辺を示す側断面図。
図5】引き寄せ具の変形例を示す図。
図6】従来の引き寄せ具について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る水耕栽培プランター1及びこれに用いる引き寄せ具4について図面参照しながら説明する。本説明では、水平方向における物や動きの方向を表すために、平面視概ね矩形状である横長の養液槽2の「長手方向」及び「短手方向」を用いる。更に長手方向において栽培用プレート3の配置・回収作業が行われる側を「後端」、その反対側を「前端」とし、これらに準じて物や動きの前後を表す。引き寄せ具4は、養液槽2上に設置したときに横長の平面視概ね矩形状である本体部41の長手方向が、養液槽2の短手方向に一致して紛らわしいため、本体部41の長手方向は「左右方向」とする。
【0023】
(水耕栽培プランター1)
水耕栽培プランター1は、図1及び図2に示すように、平面視概ね矩形状の養液槽2と、養液槽2上にその長手方向に並ぶように設置されて列を成す複数の栽培用プレート3と、養液槽2の前端2a側に栽培用プレート3と並ぶように且つ栽培用プレート3に当接するように設置される引き寄せ具4とを備えてなる。引き寄せ具4は、養液槽2の長手方向寸法より長い紐状体44の一端が連結されており、栽培用プレート列の下側を通されて、他端が養液槽2の後端2b側まで延びている。この他端を引っ張ることにより、引き寄せ具4の本体部41が最前方の栽培用プレート3を押して、栽培用プレート列全体を後端2b側に引き寄せることができるようになり、後端2b側において、列の最後方にある栽培用プレート3を順次回収することができる。後端2b近傍に設置されるテーブル5は、回収作業時の栽培用プレート3の仮置き用である。
【0024】
(養液槽2)
養液槽2は、植物の栽培に必要な養液を湛えることができる所定深さのプラスチック製の貯留槽である。養液は、後述する栽培用プレート3の下側から出る植物の根が浸かる深さを保ちながら、溶存酸素の維持等のため、不図示の養液循環装置により少しずつ入れ替わるように循環する。
【0025】
(栽培用プレート3)
栽培用プレート3は、概ね矩形板状の発泡スチロール製プレートで、多数の植物保持孔31が上下板厚方向に貫通形成されており、各孔に栽培する植物(不図示)が挿入され、下面側から根が出るようにセットされる。栽培用プレート3は、図2に示すように養液槽2の短手方向の二つの両端壁21に架け渡されて、養液槽2上を長手方向にスライド移動できるように列状に連接配置される。栽培用プレート3の下面側には、両端壁21の上縁を受ける二本の溝32が長手方向の全長に亘って形成され、栽培用プレート3を養液槽2からずれ落ちないように案内する。なお、栽培用プレート3は、PP(ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)等、他の材料で形成してもよい。
【0026】
(引き寄せ具4)
引き寄せ具4は、図3に示すように、横断面矩形状の真直ぐな棒状の本体部41と、本体部41の下面側においてそれぞれ左右対称位置の2カ所に固定される爪部42及び案内部43と、本体部41に連結される紐状体44を備えてなる。2つの爪部42は、本体部41の左右両端と中央の中途部に一端を固定されており、当該固定端から後方へ略水平に延設される板状体である。2つの案内部43は、本体部41の左右両端近くに一端を固定されており、当該固定端から下方へ略垂直に突設される板状体である。
【0027】
(本体部41)
本体部41は、図2に示すように、左右横幅寸法が養液槽2の短手方向の幅寸法と略同じ長さで、両端壁21、21に架け渡され、図4に示すように、栽培用プレート3の前端縁3aに沿って接するように設置される。本体部41の左右方向の中央でその前方寄りの位置には、図3及び図4に示すように、上下方向に貫通する紐通し穴41bが形成されている。ここに紐状体44が挿通されて、その上面側には抜け止めとなる結び目441が設けられ、下面側から栽培用プレート3の下側を通すようにして養液槽2の後端2b側へ延ばされている。なお、紐通し穴41bは、紐状体44が下側に根が出る植物保持孔31と重ならないように中央に設けられているが、本体部41の移動に支障を生じない範囲で左右方向に位置変更することができる。
【0028】
(爪部42)
爪部42は、図4に示すように、引き寄せ具4が設置されたときに、栽培用プレート3の下面側に接するように形成されている。本体部41の下面は、案内用の溝32を有する栽培用プレート3の下面よりも高い位置にあり、それを調整するため、栽培用プレート3の下面に接する爪部42の上面は、本体部41の下面に比べて高さが控えられている。なお、自由端42a付近は上面が後方に向けて下方へ傾斜しているが、これは、栽培用プレート3に引き寄せ具4を当接させる際に、自由端42aが栽培用プレート3の前端縁3aに突っ掛からせないためである。
【0029】
(案内部43)
案内部43は、図1に示すように、本体部41の左右両端より内側に控えた位置から突設されて、それぞれ両端壁21の内側に沿わされる板状体で、本体部41が両端壁21からずれ落ちないよう長手方向に移動案内する。また、案内部43の前端縁は、図4に示すように、上から下に向けて後方へ控えるように傾斜している。栽培用プレート設置時に作業者が最前方のプレート3が前端2aに行き着いたことを見逃しても、養液槽2の前端壁22に乗り上げることにより、栽培用プレート3を逃がして直ちに損傷することを防止する。この際、爪部42で栽培用プレート3を持ち上げられるため、作業者に視覚的に気づかせることができる。
【0030】
(引き寄せ具4の作用)
引き寄せ具4は、紐状体44で後方へ引っ張られると、本体部41の最端面が最前端の栽培用プレート3の端縁を押して、栽培用プレート3の列全体を養液槽2の後端2b側に引き寄せることができる。本体部41は、図4に示すように、上下厚み寸法が栽培用プレート3の板厚寸法と概ね同じで、垂直な最端面(後端面)41aが栽培用プレート3の垂直な前端縁3aに偏りなく接しているだけであるから、紐状体44に大きな引っ張り力が作用しても栽培用プレート3を湾曲させるような曲げモーメントは生じない。また、上下厚み寸法に比べ前後幅寸法が大きく設定されており、前後端が容易に浮き上がることはない。
【0031】
本体部41は、上記従来の引き寄せ具40(図6)と同様に、栽培プレート3の重量増加等で紐状体44から受ける力が大きくなると、栽培用プレート3と相互に押し合うことで、最端面41aを上向かせる方向の回転モーメントが大きくなるが、上述したように、本体部41の前後幅寸法を大きく、前後方向への浮き上がりを生じにくいことに加えて、本体部41に固定されている爪部42が栽培用プレート3の下面側に接していることにより、本体部41の上下方向の回転が制止される。その結果として、本体部41の最端面41aが上向いて栽培用プレート3の前端縁3aを押し上げることが防止される。
【0032】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、引き寄せ具4を養液槽2上に設置して本体部41を栽培用プレート3に当接させたときに、爪部42の上面と栽培用プレート3の下面が相互に接するようにしたが、これらの間には隙間が設けられていても良い。本体部41の最端面41aが多少上向いても、爪部42が栽培用プレート3の下面側に接することにより、本体部41の上下方向の回転が制止されれば、栽培用プレート3がはね上げられたり、その下側に引き寄せ具4が潜り込んだりすることが防止できるからである。本体部41は棒状体としたが、栽培用プレート3の前端縁に接して、栽培用プレート3を安定的に引き寄せることができるものであれば、板状体でも差し支えない。
【0033】
上記実施形態では、本体部41を養液槽2上から逸脱しないように案内部43を設けたが、これに代えて、本体部41の下面側に、養液槽2の両端壁21の上縁を受け入れる案内溝や段差を設けても良い。案内部43の変形例としては、本体部41の両端から、両端壁21の外側に沿うように突設するものを採用することもできる。また、図5(a)に示すように、爪部42を本体部41の左右両端近くに設けて案内部としての機能も果たさせるようにしても良い。具体的には、上記実施形態の案内部43に相当する形状の垂下部分421と、そこから栽培用プレート3の下側へ延びて本体部41が回転モーメントで傾いたときに栽培用プレート3の下面に接する水平部分422を設けるようにしても良い。
【0034】
上記実施形態では、爪部42を本体部41において左右対称に設けることとしたが、必ずしも左右対称に設けなくても良い。上記実施形態では、爪部42を本体部41において左右方向の2カ所に分けて設けることとしたが、図5(b)に示すように1か所のみ設けることとしても良いし、3カ所以上に設けることとしても良い。また、紐状体44を本体部41に直接連結するのではなく、同図に示されるように爪部42を介して連結するようにしても良い。紐状体44は、紐通し穴41bを通すことにより本体部41に連結したが、本体部41の下面側に留め具で固定しても良い。
【0035】
上記実施形態では、養液槽2に並べられた全ての栽培用プレート3を一台の引き寄せ具4で引き寄せることとしたが、栽培用プレートの枚数が多くて重くなり、一度に引き寄せることが難しい場合には、列を長手方向に分割し、分割した各列の前端側にそれぞれ引き寄せ具を設置することとしても良い。上記実施形態では、栽培用プレート3が養液槽2の短手方向の両壁部に架け渡される水耕栽培用プランター1について述べたが、これに限らず、栽培用プレート3が養液槽2の養液上に浮かべられるように列を成して連接配置される水耕栽培用プランターに適用しても良い。その他、本発明は、上記実施形態及び上記変形例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しないで適宜変更して適用することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 水耕栽培用プランター
2 養液槽
3 栽培用プレート
4 引き寄せ具
41 本体部
42 爪部
43 案内部
44 紐状体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2020-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように、且つ前記養液槽の短手方向に架け渡されるように設置されて、最端面が前記栽培用プレートに当接させられる棒状の本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下面側に接する爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、
を備え、前記栽培用プレートに固定されることなく設置されることを特徴とする引き寄せ具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように、且つ前記養液槽の短手方向に架け渡されるように設置されて、最端面を前記栽培用プレートに当接させられる棒状の本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下面側に沿って延びる爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、
を備え、前記栽培用プレートに固定されることなく設置されることを特徴とする引き寄せ具。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように、且つ前記養液槽の短手方向に架け渡されるように設置されて、最端面を前記栽培用プレートに当接させられる棒状の本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下側に延びる爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、を備えてなり、
前記栽培用プレートに固定されることなく設置されて、前記爪部が前記栽培用プレートの下面側に接することにより、前記本体部の上下方向の回転を制止することを特徴とする引き寄せ具。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項1の発明は、
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように、且つ前記養液槽の短手方向に架け渡されるように設置されて、最端面が前記栽培用プレートに当接させられる棒状の本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下面側に接する爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、
を備え、前記栽培用プレートに固定されることなく設置されることを特徴とする引き寄せ具を提供する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項2の発明は、
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように、且つ前記養液槽の短手方向に架け渡されるように設置されて、最端面を前記栽培用プレートに当接させられる棒状の本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下面側に沿って延びる爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、
を備え、前記栽培用プレートに固定されることなく設置されることを特徴とする引き寄せ具を提供する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項3の発明は、
平面視概ね矩形状の養液槽上にその長手方向に並ぶように設置した栽培用プレートを前記長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具であって、
前記養液槽上に前記栽培用プレートと並ぶように、且つ前記養液槽の短手方向に架け渡されるように設置されて、最端面を前記栽培用プレートに当接させられる棒状の本体部と、
前記本体部に固定されており、前記本体部が前記栽培用プレートに当接するように設置されたときに前記栽培用プレートの下側に延びる爪部と、
前記本体部に一端を連結されており、前記栽培用プレートの下側を通される紐状体と、を備えてなり、
前記栽培用プレートに固定されることなく設置されて、前記爪部が前記栽培用プレートの下面側に接することにより、前記本体部の上下方向の回転を制止することを特徴とする引き寄せ具を提供する。