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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063809
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20220415BHJP
   H01R 12/55 20110101ALI20220415BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220415BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20220415BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20220415BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
H05K1/18 H
H01R12/55
H05K1/02 C
H05K7/12 J
H05K7/12 B
H05K5/00 B
H05K7/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172241
(22)【出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】柳田 聡司
【テーマコード(参考)】
4E353
4E360
5E223
5E322
5E336
5E338
【Fターム(参考)】
4E353AA06
4E353BB05
4E353CC05
4E353DD05
4E353DD08
4E353DR17
4E353DR46
4E353DR49
4E353EE01
4E353GG01
4E353GG09
4E353GG10
4E360BA08
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA27
4E360EE08
4E360GA07
4E360GA24
4E360GA33
4E360GB91
4E360GC02
4E360GC08
5E223AA28
5E223AB22
5E223AC21
5E223BA70
5E223BB01
5E223CB31
5E322AA01
5E322AA03
5E322AB08
5E322AB11
5E322EA10
5E322FA05
5E336AA04
5E336BB02
5E336BC04
5E336BC25
5E336CC02
5E336CC55
5E336EE01
5E336GG09
5E338AA02
5E338BB04
5E338BB13
5E338BB17
5E338BB75
5E338EE51
(57)【要約】
【課題】配線基板に実装される電子部品を備える電子装置において、製造時における電子部品の位置決めを安定させることができる電子装置を得る。
【解決手段】電子装置1は、配線パターンが形成された配線基板31と、本体部42及び本体部42から延びるリード部44を有する半導体素子40とを備え、半導体素子40は、リード部44が本体部42側へ折り返された形状となっており、本体部42とリード部44との間に配線基板31の端部側を挟持した状態で配線基板31に実装されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンが形成された配線基板と、
本体部及び前記本体部から延びるリード部を有する電子部品と、を備え、
前記電子部品は、前記リード部が前記本体部側へ折り返された形状となっており、前記本体部と前記リード部との間に前記配線基板の端部側を挟持した状態で前記配線基板に実装される電子装置。
【請求項2】
前記配線基板の端部にはスリット部が形成され、
前記電子部品の前記リード部が前記スリット部に挿入された状態で前記配線基板の端部側を挟持する請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記リード部には、前記本体部側へ折り返された先端側に前記本体部側に突出した凸部が設けられており、前記本体部と前記リード部で前記配線基板の端部側を挟持した状態では、前記配線基板に設けられた凹部に前記凸部が挿入される請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記配線基板及び前記電子部品を収容するケースを備え、
前記電子部品が実装された前記配線基板は、前記電子部品が前記ケースの内面に対向する向きで前記ケース内に収容され、
前記ケース内に充填された絶縁性及び熱伝導性を有する樹脂により、前記配線基板及び前記電子部品が前記ケース内で固定される請求項1~請求項3の何れか1項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配線パターンが形成された配線基板(プリント基板)と、配線基板に接続された電子部品(半導体素子)とを備える電子装置が開示されている。電子部品は、本体部から延在するリード端子を介して配線基板に接続されている。リード端子は、全体がL字状に屈曲されており、リード端子の先端が配線基板を挿通した状態で配線基板に半田付けされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-111271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された電子部品では、リード端子の先端を配線基板に挿通させて位置決めした後に、リード端子が配線基板に半田付けされる。そのため、リード端子を配線基板に半田付けするまでは、リード端子が配線基板に挿通されているだけで固定されていないため、電子部品の位置決めが安定しないという課題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、配線基板に実装される電子部品を備える電子装置において、製造時における電子部品の位置決めを安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る電子装置は、配線パターンが形成された配線基板と、本体部及び前記本体部から延びるリード部を有する電子部品とを備え、前記電子部品は、前記リード部が前記本体部側へ折り返された形状となっており、前記本体部と前記リード部との間に前記配線基板の端部側を挟持した状態で前記配線基板に実装されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電子装置によれば、電子部品は、本体部とリード部で配線基板の端部側を挟持するため、電子部品が配線基板に保持されて、電子部品の位置決めが安定した状態となる。従って、電子装置の製造時において、電子部品の位置決めが安定した状態でリード部を配線基板の配線パターンに接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るレギュレータ装置の分解斜視図である。
図2】本実施形態に係るレギュレータ装置の回路構成を示す回路図である。
図3】本実施形態に係るレギュレータ装置の断面を模式的に示す縦断面図である。
図4】本実施形態に係る回路基板の斜視図である。
図5】本実施形態に係る電子部品の拡大側面図である。
図6】本実施形態に係る電子部品を図5と異なる方向から見た部分拡大側面図である。
図7】本実施形態の第1変形例に係るレギュレータ装置の回路基板を示す分解斜視図である。
図8】本実施形態の第1変形例に係る電子部品の拡大側面図(一部断面図)である。
図9】本実施形態の第2変形例に係る電子部品の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図1図6を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係る電子装置の一例として、図1に示すレギュレータ装置1について説明する。本実施形態では、説明の便宜上、各図中に適宜示す上、左及び前の矢印で示す方向をそれぞれ、上方、左方及び前方と定義して説明する。また、各図中においては、図面を見易くするため、一部の符号を省略している場合がある。
【0010】
図1に示されるように、レギュレータ装置1は、ケース10と、ケース10の内部に収容される回路基板30と、ケース10に装着されるコネクタ18とを備える。レギュレータ装置1は、二輪車等の車両に搭載される交流発電機からバッテリに供給される電流の整流と電圧の変動を抑制する装置である。
【0011】
回路基板30は、絶縁基板の表面や内部に導体の配線が施された配線基板31と、配線基板31に実装された複数の電子部品とを備える。配線基板31には、前記複数の電子部品として、CPU等の複数の回路素子を含む制御部2(図2を参照)と、六つの半導体素子40と、三つのコンデンサ5とが実装されている。制御部2と各半導体素子40は、配線基板31に形成された配線によって電気的に接続されている。図2に示すように、六つの半導体素子40は、整流回路の整流素子として機能するものであり、交流発電機3から出力された電力を整流する。レギュレータ装置1は、六つの半導体素子40で整流された電力をバッテリ4に充電する。本実施形態の六つの半導体素子40は、一例として、サイリスタで構成されている。なお、半導体素子40は、サイリスタに限らず、ダイオードやMOSFET等の半導体素子で構成してもよく、回路方式に応じて個数も適宜変更してもよい。
【0012】
図1に示すように、ケース10は、上方に開口した箱状のケース本体12と、ケース本体12の開口を閉塞する蓋体14によって構成されている。蓋体14は必須ではなく、ケース本体12のみでケース10を構成してもよい。ケース本体12は、上方に開口した開口部13を有する金属製の矩形箱状部材である。ケース本体12は、前壁部12A、後壁部12B、左壁部12C、右壁部12D及び底壁部12Eを備えている。底壁部12E、左壁部12C及び右壁部12Dの外面には、回路基板30(複数の電子部品)の熱をケース本体12の外部に放熱するための複数の放熱フィン12Fが設けられている。複数の放熱フィン12Fは、それぞれ左右方向に延びる板状に形成されており、底壁部12E、左壁部12C及び右壁部12Dの外面において前後方向に並んで設けられている。ケース10は、アルミニウムや鉄などの金属で構成されている。
【0013】
ケース本体12の後壁部12Bには、一つのコネクタ装着部16が形成されている。コネクタ装着部16は、後壁部12Bを前後方向に貫通し、上方に開口した溝部である。コネクタ装着部16には、コネクタ18が装着される。コネクタ18は、ハウジング20とハウジング20に設けられる接続端子22を有している。接続端子22の一端は回路基板30の貫通孔32に挿入されて電気的に接続される。当該コネクタ18には、交流発電機3及びバッテリ4等と電気的に繋がるケーブルコネクタが接続される。
【0014】
ケース本体12の底壁部12Eには、前方部分にコンデンサ収容部24が形成され、後方部分に放熱面部26が形成されている。コンデンサ収容部24は、下方側に窪んだ凹部により構成されている。コンデンサ収容部24には、配線基板31の前端側に実装された三つのコンデンサ5が収容される。放熱面部26は、コンデンサ収容部24の底面よりも上方側の位置に配置された平面部により構成されている。放熱面部26の上方側には、回路基板30が離間して配置され、放熱面部26と回路基板30の下面(電子部品が実装される実装面)とが対向して配置されている。
【0015】
図3で模式的に示すように、ケース10の内部には、絶縁性を有する樹脂28が充填される。この樹脂28は、熱伝導性を有している樹脂である。樹脂28は、回路基板30とケース10の内面との間に充填されて、回路基板30とケース10との絶縁性を確保している。また、回路基板30の下面側には、通電により発熱する複数の半導体素子40が配置されており、複数の半導体素子40の熱が、樹脂28、放熱面部26、放熱フィン12Fを介してケース10の外部に放熱されるようになっている。
【0016】
上述したように、回路基板30は、配線基板31と、配線基板31に実装された六つの半導体素子40とを備える。図4に示すように、配線基板31は、前後方向及び左右方向に所定の幅を有し、上下方向を板厚方向とする矩形板状のプリント配線板である。配線基板31の左右方向の端部側には、それぞれ三つの半導体素子40が実装される。配線基板31の左右端部には、半導体素子40が実装される位置に、それぞれ三つのスリット部36が形成されている。各スリット部36は、上下方向に貫通して配線基板31の左右端部側に開口した溝部であり、後述する半導体素子40のリード部44の本数に応じた数の溝部が前後方向に並んで形成されている。
【0017】
図5及び図6に示すように、半導体素子40は、ブロック状の本体部42と、本体部42から延在する三つのリード部44とを有している。本体部42は、内部に図示しない半導体チップが封入されており、半導体チップの周囲をブロック状の樹脂でモールドすることにより構成されている。半導体チップは、三つのリード部44と電気的に接続されている。本体部42の外形は、概ね上下方向に扁平な長方形状に形成されている。本体部42の上面は、左側の部分が上方に突出した突出部42Aを有して段差形状になっている。
【0018】
三つのリード部44は、本体部42の側面(図5では左側面)から外部に突出している。各リード部44は、本体部42の側面から突出した基端部46と、基端部46から略U字状に折り曲げられた折返し部48と、折返し部48から基端部46の突出方向と逆方向に延びる先端部49とを有している。リード部44は、本体部42の側面から突出した後に、略U字状に折り曲げられて本体部42側に折り返されたクリップ状になっている。本体部42側に折り返された先端部49は、本体部42の突出部42Aの上面と所定の間隔をあけて対向した状態で延びるように設けられている。
【0019】
半導体素子40は、本体部42とリード部44の先端部49との間に配線基板31の端部が挿入されて、配線基板31に実装される。本体部42と先端部49との間に配線基板31を挿入すると、リード部44が弾性力に抗して変形され、復元力により本体部42と先端部49とで配線基板31を挟持するようになっている。その結果、半導体素子40が配線基板31に位置決めされた状態で保持される。このように保持された半導体素子40は、配線基板31の上面に形成された配線パターンにリード部44の先端部49を半田付けすることにより、配線基板31に実装される。
【0020】
半導体素子40が配線基板31に実装された状態では、三つのリード部44の折返し部48が配線基板31のスリット部36の三つの溝部にそれぞれ挿入され、半導体素子40が配線基板31に対して前後方向に移動してずれることが規制されている。リード部44の折返し部48は、スリット部36に挿入されることにより、配線基板31の端部から外側へ突出せず、スリット部36内に収まるように構成されている。なお、半導体素子40のリード部44の数、長さ、外形寸法は必要に応じて適宜設定されるものであるが、本実施形態では、一例として、三つのリード部44の長さ及び外形寸法が同一とされている。
【0021】
半導体素子40が配線基板31に実装された状態では、本体部42の突出部42Aの上面が配線基板31の下面に面接触した状態となる。その一方、図3に示すように、本体部42の下面は、ケース本体12の放熱面部26と所定の間隔をあけて対向した状態となる。半導体素子40は、通電により内部の半導体チップが発熱すると、その熱を本体部42の下面側から樹脂28を介してケース本体12の底壁部12E及び放熱フィン12Fに伝達して放熱するようになっている。なお、本体部42の下面をケース本体12の放熱面部26に直接接触させる配置としてもよい。
【0022】
以上説明したように、本実施形態では、半導体素子40は、本体部42とリード部44で配線基板31の端部側を挟持するため、半導体素子40が配線基板31に保持されて、半導体素子40の位置決めが安定した状態となる。従って、電子装置1の製造時において、半導体素子40の位置決めが安定した状態でリード部44を配線基板31の配線パターンに接続させることができる。
【0023】
なお、半導体素子の位置決めは、電子装置のケース側に半導体素子をネジ締結する方法や製造時の工程内で治工具を用いる方法でも可能である。しかし、これらの方法は半導体素子の固定位置に応じたケースへの加工処理や、治工具の製造を伴うものである。これに対して本実施形態では、半導体素子40が、配線基板31に保持されて位置決めされるため、ケース10への特別の加工処理やネジ等の締結部品の追加、治工具の製造が不要となっている。その結果、電子装置1の製造時における部品コスト削減と組立性の向上を図ることができる。更に、半導体素子40の位置決めが配線基板31に対して行われるため、半導体素子40をケース10内にセットした直後に半導体素子40を配線基板31に半田付けする実装工程が必須ではない。従って、半導体素子40の実装工程を他の部品の実装工程と合わせて行うことが可能となり、半田付けの作業を効率化させることで加工費用の低減を図ることができる。
【0024】
また、本実施形態では、配線基板31の端部にスリット部36が形成され、リード部44がスリット部36に挿入された状態で配線基板31の端部側を挟持している。そのため、半導体素子40が配線基板31に対して前後方向に移動してずれることが規制されるので、半導体素子40の位置決めが一層安定する。更に、リード部44の折返し部48は、スリット部36に挿入されることにより、配線基板31の端部から外側へ突出せず、スリット部36内に収まるように構成されている。そのため、ケース本体12の小型化等の理由で配線基板31の端部がケース本体12の内面に近接して配置される場合でも、リード部44とケース本体12との接触を回避させることができる。その結果、リード部44の短絡を抑制しつつ、レギュレータ装置1の小型化を図ることができる。
【0025】
また、本実施形態では、半導体素子40が実装された配線基板31は、半導体素子40がケース10の底壁部12Eの内面に対向する向きでケース10内に収容され、ケース10内に充填された樹脂28により、配線基板31及び配線基板31に実装された複数の電子部品がケース10内で固定されている。これにより、半導体素子40で発生した熱が、樹脂28と底壁部12Eを介してケース10の外部に放熱される。また、底壁部12Eには、複数の放熱フィン12Fが設けられているため、ケース10による放熱効果を向上させることができる。
【0026】
以下、図7及び図8を参照して、上記実施形態の第1変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。図7及び図8に示すように、この第1変形例では、配線基板31に実装される半導体素子60のリード部64に凸部67が設けられ、当該凸部67が配線基板31の凹部72に挿入される点に特徴がある。その他の構成は上記実施形態と同一である。
【0027】
第1変形例では、配線基板31の左右方向の端部には、上記実施形態のスリット部36に替えて、半導体素子60が実装される位置に、それぞれ三つの凹部72が設けられている。各凹部72は、配線基板31を板厚方向に貫通するスルーホールにより構成され、半導体素子60のリード部64の本数に応じた数のスルーホールが前後方向に並んでいる。凹部72の内面には、導通材料によって成膜された導通部74が形成されている。導通部74は、配線基板31の内部又は表面に形成された配線パターンに接続されている。
【0028】
半導体素子60は、上述の本体部42と、本体部42から延在する三つのリード部64とを有している。三つのリード部64は、本体部42の側面から外部に突出している。各リード部64は、本体部42の側面から突出した基端部66と、基端部46から略U字状に折り曲げられた折返し部68と、折返し部68から基端部66の突出方向と逆方向に延びる先端部69とを有している。リード部64は、本体部42の側面から突出した後に、略U字状に折り曲げられて本体部42側に折り返されたクリップ状になっている。本体部42側に折り返された先端部69は、本体部42の突出部42Aの上面と所定の間隔をあけて対向した状態で延びるように設けられている。リード部64には、先端部69の一部を曲げ加工することにより、本体部42(突出部42A)側に突出させた凸部67が設けられている。
【0029】
半導体素子60は、上記半導体素子40と同様に、本体部42とリード部64の先端部69との間に配線基板31の端部が挿入されて、配線基板31に実装される。本体部42と先端部69との間に配線基板31を挿入すると、リード部64の凸部67が配線基板31の凹部72に挿入される。その結果、リード部64の凸部67が配線基板31の凹部72に係合して、半導体素子60が配線基板31に位置決めされた状態で保持される。リード部64の凸部67が配線基板31の凹部72に係合すると、凸部67が導通部74に当接した状態となり、導通部74を介して半導体素子60と配線基板31の配線パターンとが電気的に接続される。なお、リード部64の先端部69を配線基板31の上面に形成された配線パターンに半田付けしてもよい。
【0030】
以上説明したように、第1変形例では、基本的には上記実施形態の構成を踏襲しているため、同様の作用及び効果を得ることができる。その上で、第1変形例では、半導体素子60が配線基板31に位置決めされて保持された状態において、リード部64の凸部67が配線基板31に設けられた凹部72に挿入されるため、半導体素子60の位置決めを一層安定させることができる。また、リード部64の凸部67を配線基板31の凹部72に挿入させることにより、半導体素子60と配線基板31の配線パターンとを電気的に接続させることができる。従って、配線基板31に対して半導体素子60を位置決めする工程と実装する工程とを一つの工程で完了させることができ、製造時の工数を低減させることができる。
【0031】
以下、図9を参照して、上記実施形態の第2変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。図9に示すように、この第2変形例では、配線基板31に実装される半導体素子80のリード部84の折返し部88が略C字状に形成されている点に特徴がある。その他の構成は上記実施形態と同一である。
【0032】
半導体素子80は、上述の本体部42と、本体部42から延在する三つのリード部84とを有している。三つのリード部84は、本体部42の側面から外部に突出している。各リード部84は、本体部42の側面から突出した基端部86と、基端部86から略C字状に折り曲げられた折返し部88と、折返し部88から基端部86の突出方向と逆方向に延びる先端部89とを有している。リード部84は、本体部42の側面から突出した後に、略C字状に折り曲げられて本体部42側に折り返されたクリップ状になっている。本体部42側に折り返された先端部89は、本体部42の突出部42Aの上面と所定の間隔をあけて対向した状態で延びるように設けられている。リード部84の折返し部88は、側面視で、基端部86及び先端部89に対して膨らんだ円弧状に形成されている。これにより、本体部42とリード部84の先端部89との間に配線基板31を挿入した際、リード部84の弾性変形による応力を折返し部88に集中させて、基端部86への応力負担を低減させることができる。
【0033】
以上説明した通り、第2変形例でも、基本的には上記実施形態の構成を踏襲しているため、同様の作用及び効果を得ることができる。その上で、第2変形例では、リード部84の弾性変形に伴う基端部86側の応力負担を低減させることで、本体部42の破損やリード部84をはんだ付けした際のはんだ疲労のリスクを抑制することができる。
【0034】
上記実施形態及び各変形例では、本発明に係る電子装置の一例として、二輪車等の車両に搭載されるレギュレータ装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、コンバータやインバータなどの他の電子装置にも本発明の構成を適用可能である。すなわち、リード部を用いて基板に実装される電子部品であれば、本発明の構成を適用することができる。また、上記実施形態及び各変形例では、基板に実装される電子部品の一例として半導体素子について説明したが、本発明は半導体素子に限定されるものではなく、リード部を用いて基板に実装される種々の電子部品に、本発明の構成を適用することができる。
【0035】
また、上記実施形態では、リード部の先端を配線基板に半田付けして実装する構成としたが、本発明はこれに限らない。リード部により配線基板を挟持する力が十分である場合には、半田付け等を不要とすることもできる。
【0036】
また、上記第1変形例では、配線基板31の凹部72をスルーホールで構成したが、本発明はこれに限らない。凹部は、内面に導通部74を備えない貫通孔で構成してもよい。この場合、凹部を介してリード部を導通させることはできないため、リード部の先端を配線基板に半田付けする必要がある。また、凹部は貫通孔に限らず、配線基板の表面に形成され、リード部の凸部が係合可能な形状の窪みであればよい。
【0037】
また、上記実施形態では、配線基板の端部に半導体素子が位置決めされて保持される構成としたが、本発明はこれに限らない。配線基板の中央部などに半導体素子が保持される構成も可能である。その場合には、例えば、配線基板に貫通孔を設け、半導体素子の直線状のリード部を貫通孔に挿通させた後に、リード部を折り曲げてクリップ状にすれば、配線基板の端部に限らず、配線基板の任意の位置に半導体素子を保持させることができる。若しくは、配線基板に、配線基板の端部(外縁部)と連続して設けられ、配線基板の任意の位置まで延在するスリットを設ける構成としてもよい。その場合には、リード部の本数に応じた数のスリットを設けてもよいし、任意の位置まで延在する一つのスリットを設けて、スリットの幅方向に対向する配線基板の端面の一方をリード部で挟持してもよい。
【0038】
また、上記貫通孔若しくはスリットを設けて半導体素子を配線基板の任意の位置に配置する場合には、貫通孔やスリットの寸法が半導体素子と他の電子部品との間の沿面距離(絶縁距離)や空間距離に含まれるように形成してもよい。これにより、配線基板に実装される電子部品間の必要距離を短縮することができるため、実装スペースの効率化を図ることができる。特に、大電流が流れる高圧電装品においては、電子部品間の沿面距離や空間距離を大きく取る必要があるため、上記実装スペースの効率化によって装置全体の小型化を図ることが期待できる。
【0039】
更に、上記貫通孔若しくはスリットを設けて半導体素子を配線基板の任意の位置に配置する場合において、半導体装置の本体部から延在する複数のリード部のうち、一部のリード部の先端部を、クリップ状に折り返された他のリード部の先端部と逆の方向に延在させる構成も可能である。この場合には、例えば、一部のリード部が基端部からクランク状に折り曲げられ、リード部の先端部が貫通孔又はスリット内に挿通されて配線基板の実装面に載置されるように構成することができる。すなわち、クリップ状に折り曲げられたリード部で貫通孔又はスリットを隔てて配線基板の一方側を挟持すると共に、他のリード部が、貫通孔又はスリットを隔てて配線基板の他方側に支持される。その結果、半導体素子の位置決めが一層安定するため、電子装置の製造時において、配線基板から半導体素子が脱落することを抑制することができる。更に、全てのリード部が同じ方向(形状)に延在する構成と比較して、配線基板上で隣り合って配置されるリード部間の距離を広げることが可能となり、リード部を配線基板に半田付けする際に、リード部間の半田ブリッジを抑制することができる。また、各リード部が接続される配線同士の沿面距離の確保を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 レギュレータ装置(電子装置)
10 ケース
28 樹脂
31 配線基板
36 スリット部
40 半導体素子(電子部品)
42 本体部
44 リード部
60 半導体素子(電子部品)
64 リード部
67 凸部
72 凹部
80 半導体素子(電子部品)
84 リード部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9