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  • 特開-仕切板取付具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006381
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】仕切板取付具
(51)【国際特許分類】
   A47B 77/06 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A47B77/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108564
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】591145461
【氏名又は名称】榎本金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】能勢 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂本 亞希
(72)【発明者】
【氏名】村田 昌史
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260FA03
(57)【要約】
【課題】 調理台の天板上面に仕切板を立設することができるとともに取付作業の際に、ブラケット本体に対してずれることなくしっかりと仮固定することができるパッキンを備えた仕切板取付具を提供する。
【解決するための手段】 仕切板取付具は、調理台Cの天板上面に固定され、仕切板4の下端の凹所4a、4aの周囲を押圧して挟持するブラケット本体と、ブラケット本体の押圧部11の間に仕切板4を密入するためのパッキン2と、ブラケット本体に外装するカバー部材3と、を備えてなり、パッキン2は、カバー部材3の内側面と係合するために一体成形されたラッチ20、20を有し、ブラケット本体の両側面には、ラッチ20、20を収容するラッチ収容部15、15を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理台の天板上面に固定され、仕切板の下端を押圧して挟持するブラケット本体と、前記ブラケット本体の押圧部の間に前記仕切板を密入するためのパッキンと、前記ブラケット本体に外装するカバー部材と、を備えてなり、
前記パッキンは、前記カバー部材の内側面と係合するために一体成形されたラッチを有し、
前記ブラケット本体の両側面には、前記ラッチを収容するラッチ収容部を有することを特徴とする仕切板取付具。
【請求項2】
ラッチは、パッキンの背面から水平方向に略三角柱状に延出して一体成形されたものであることを特徴とする請求項1記載の仕切板取付具。
【請求項3】
カバー部材は、パッキンのラッチと係合するための内側面から突出して形成された係合突起を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の仕切板取付具。
【請求項4】
ブラケット本体は、調理台の天板上面に固定ねじで固定され、仕切板の背面を押圧する第一インナーブラケットと、前記仕切板の正面を押圧する第二インナーブラケットと、の別体からなり、
前記仕切板は、下端の位置に切り欠き形成された凹所を有し、
前記第一インナーブラケット及び前記第二インナーブラケットの仕切板と対向する面は、前記仕切板の前記凹所に当接するように突出した段部を有することを特徴とする請求項1記載の仕切板取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理台の天板上面に仕切板を立設させるための仕切板取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅のキッチンにおいて、家族や友達とのコミュニケーションを重視するという観点から、調理台の一部をダイニングやリビングなどに対面するように配置したキッチンカウンターを設けたものや、複数人で囲みながら調理するために壁面から独立して部屋中央に配置した調理台を設けたものなどが普及している。
【0003】
一方、このようなキッチンの場合、油や水はねなどの飛散によって調理台の周辺や対面するダイニングやリビングなどを汚染してしまうおそれがあるため、調理台のコンロ部及びシンク部の領域とリビングやダイニングとの間を仕切ることができる仕切板や、その仕切板を立設させるための種々の仕切板取付具が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-195831号公報(特許第4762736号)
【特許文献2】特開2010-11953号公報(特許第5255927号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献の仕切板取付具は、2つのブラケットを固定ねじの締め付けによって仕切板を挟持するものであり、そのブラケット内に介装されたパッキンは、パット部材を小突起にのみ仮固定するものや、単に仕切板と挟持部材との間にパッキン材を介在させるものである。そのため、仕切板をブラケット本体で挟持するように固定ねじを締め付ける際にパッキンがずれたりすることがあり、そのずれを修正しながら取付作業を行う必要があり手間がかかるものであった。
【0006】
したがって、調理台の天板上面に仕切板を立設することができるとともに取付作業の際に、ブラケット本体に対してずれることなくしっかりと仮固定することができるパッキンを備えた仕切板取付具を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の仕切板取付具は、上記課題に鑑み、調理台の天板上面に固定され、仕切板の下端を押圧して挟持するブラケット本体と、前記ブラケット本体の押圧部の間に前記仕切板を密入するためのパッキンと、前記ブラケット本体に外装するカバー部材と、を備えてなり、
前記パッキンは、前記カバー部材の内側面と係合するために一体成形されたラッチを有し、
前記ブラケット本体の両側面には、前記ラッチを収容するラッチ収容部を有することを特徴とする。
【0008】
また、上述した構成に加え、ラッチは、パッキンの背面から水平方向に略三角柱状に延出して一体成形されたものであることが好ましい。
【0009】
また、上述した構成に加え、カバー部材は、パッキンのラッチと係合するための内側面から突出して形成された係合突起を有することが好ましい。
【0010】
また、上述した構成に加え、ブラケット本体は、調理台の天板上面に固定ねじで固定され、仕切板の背面を押圧する第一インナーブラケットと、前記仕切板の正面を押圧する第二インナーブラケットと、の別体からなり、
前記仕切板は、下端の位置に切り欠き形成された凹所を有し、
前記第一インナーブラケット及び前記第二インナーブラケットの仕切板と対向する面は、前記仕切板の前記凹所に当接するように突出した段部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1-4記載の発明によれば、調理台の天板上面に仕切板を立設することができるとともに取付作業の際に、ブラケット本体に対してずれることなくしっかりと仮固定することができるパッキンを備えた仕切板取付具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る仕切板取付具の一例を示す分解斜視図である。
図2図1のブラケット本体にパッキンを仮固定した状態を示す背面側からみたブラケット本体周辺の斜視図である。
図3図1のブラケット本体にパッキンを仮固定した状態を示す正面側からみたブラケット本体周辺の斜視図である。
図4】仕切板を立設した状態の仕切板取付具の内部構造を示す中央縦断面図である。
図5】カバー部材の係合突起とパッキンのラッチとの係合状態を示すための図4のA-A線断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る仕切板取付具によって調理台の天板上面に仕切板を立設した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
本実施形態の仕切板取付具1の一例について図1-6に基づいて詳細に説明する。また、本実施形態の仕切板取付具1の使用状態については、図6に示すように、壁面から独立して配置された調理台Cと、調理台Cと対面する位置にダイニングテーブルDが配置されたものであり、調理台Cのコンロ部やシンク部、及び、ダイニングテーブルDとの領域を仕切るように設置された仕切板4を立設させたものである。また、本実施形態において、調理台Cのコンロ部やシンク部の使用者の立ち位置側(図6において手前側)を正面方向とし、ダイニングテーブルD側(図6において奥側)を背面方向とする。
【0014】
仕切板4は、調理台CからダイニングテーブルD側を見渡すことが可能な透過性と、調理台Cのコンロ部の近傍に設置するための耐熱性と、を備えた板材(例えば耐熱性のガラス板やアクリル板等)が用いられている。また、この仕切板4は、調理台Cの天板上面に対して隙間なく設置するために、仕切板4の下端の角部よりやや内側の位置において、後述するブラケット本体の第一インナーブラケット10及び第二インナーブラケット18の段部12に当接し得るように切り欠き形成された2つの凹所4a、4aを有する。この凹所4a、4aは、仕切板4の下方に向かって開口するとともに、凹所4a、4a上部を略半円形状に湾曲させることで全体を逆U字状に形成されたものである。なお、この仕切板4は、調理台Cのコンロ部とシンク部の目隠しとして利用する場合において、透過性を有しないすりガラス等を使用してもよい。
【0015】
本実施形態の仕切板取付具1は、図1-6に示すように、調理台Cの天板上面に固定され、仕切板4の下端の凹所4a、4aの周囲を押圧して挟持するブラケット本体と、ブラケット本体の押圧部11の間に仕切板4を密入するためのパッキン2と、ブラケット本体に外装するカバー部材3と、を主要部として構成されるものである。
【0016】
ブラケット本体は、調理台Cの天板上面に固定ねじ5aで固定され、仕切板4の背面を押圧する第一インナーブラケット10と、仕切板4の正面を押圧する第二インナーブラケット18と、の別体からなり、第一インナーブラケット10に対して第二インナーブラケット18を固定ねじ5bで締め付けることで仕切板4の正面及び背面を押圧して挟持するものである。
【0017】
第一インナーブラケット10は、仕切板4の背面と対向する面において、仕切板4の背面を押圧する押圧部11と、仕切板4の凹所4a、4aを下方から支持する段部12と、この段部12の中央からやや下方にかけて調理台Cの天板上面に固定ねじ5aで固定するための天板固定部13と、を有する。
【0018】
第一インナーブラケット10の押圧部11は、天板固定部13及び段部12以外の面からなり、全体を略U字状の平面形状に形成し、固定ねじ5bをねじ込むための開孔部14と、パッキン2の小突起22を挿し込むための小孔11aを有する。
【0019】
第一インナーブラケット10の左右両側面は、カバー部材3を上方向からスライドさせながら外装するために、左右両側面から延出された縦方向に形成された略角柱状のガイド部16、16と、パッキン2のラッチ20、20を収容するための凹状のラッチ収容部15、15を有する。
【0020】
段部12は、仕切板4と対向する面の中央付近から下端において、仕切板4の凹所4a、4aに対して嵌まり込んで当接するように仕切板4側に向かって所定の厚みで突出して形成されたものである。この段部12は、本実施形態の仕切板4の凹所と同じ逆U字状と同形状とするために、段部12の上端は湾曲状に形成した支持面12aを有する。また、この段部12は、図4に示すように、ブラケット本体の押圧部11に取り付けられたパッキン2、2及び仕切板4の凹所4a、4aの内周面の一部に当接する程度の厚みを有するものであり、本実施形態では仕切板4の幅に対して約10分の1程度の厚みを有することが好適である。
【0021】
天板固定部13は、第一インナーブラケット10の段部12の中央付近から下方において、仕切板4の凹所4a、4a側に上面が開放された箱状に突出するように形成されたものである。この天板固定部13の底面は、仕切板4の直下に固定ねじ5aを位置させて挿し込むための開孔部13aと、底面の裏面側において環状の緩衝部材13dを収容しうる溝部13bと、を有する。また、この天板固定部13の側面の上端には、後述する第二インナーブラケット18の段部12下方に設けられた嵌合凹部19に嵌合し得るように、側面上端に略角柱状の係合部13c、13cが設けられているものである。
【0022】
第二インナーブラケット18は、仕切板4の正面側に対向する面において、仕切板4の正面を押圧する押圧部11と、押圧部11の下方に仕切板4の凹所4a、4aを下方から支持する段部12と、カバー部材3を差し込むために、左右両側面に延設された鍔状のガイド部16と、を有する。なお、この第二インナーブラケット18において、第一インナーブラケット10と共通する構成については図面に符号のみを付し詳細な説明を省略する。
【0023】
第二インナーブラケット18の段部12は、上述した第一インナーブラケット10の天板固定部13を有しないかわりに、第一インナーブラケット10の天板固定部13を嵌合するために、段部12下方において下端側を開口させた断面略方形状の嵌合凹部19を有する。この嵌合凹部19は、上端付近に第一インナーブラケット10の天板固定部13の係合部13cと係合するための水平方向に形成された2つの水平溝部19aを有することで、第一インナーブラケット10に対してずれることなく取付位置を合わせることが可能である。
【0024】
なお、第一インナーブラケット10は、この第一インナーブラケット10の段部12から天板固定部13にかけて湾曲した凹状の縦溝17を設けることで軽量化する。また、第一インナーブラケット10及び第二インナーブラケット18において、仕切板4の対向する面の反対側には、本実施形態の仕切板取付具1全体を軽量化するため、カバー部材3との空間を設けるために凹状とすることで、横断面形状が略コ字状に形成することが好適である。
【0025】
次に、ブラケット本体の押圧部11に仕切板4を密入するためのパッキン2について詳細に説明する。このパッキン2は、第一インナーブラケット10及び第二インナーブラケット18のそれぞれの押圧部11、11に取り付けられるものであり、難燃性ポリウレタン等の合成樹脂材を射出成形によって形成されたものである。このパッキン2は、ブラケット本体の押圧部11、11と同様の平面形状に形成されるものであり、全体が略逆U字状で下方に向かった開口形成されたものであり、ブラケット本体の段部12を避けながら押圧部11、11全体を覆うことが可能である。
【0026】
パッキン2は、パッキン2の背面側(ブラケット本体の押圧部11、11と対向する面)の中央付近に形成された小突起22と、ブラケット本体の押圧部11、11の上端に係合するようにパッキン2の上端から水平方向に延出した平板状の上端係合部24と、カバー部材3に係合するラッチ20、20と、を有する。
【0027】
パッキン2の左右両側面には、少なくとも左右両側部の上方及び下方の位置に、カバー部材3の内周面に当接するための略半円形状の突片23、23を有するものであり、この突片23、23によって、カバー部材3のガタつきを抑制するとともに、ブラケット本体とカバー部材3の接触によって生じうる金属音を低減することが可能である。
【0028】
ラッチ20、20は、パッキン2の左右両側縁近傍の背面から水平方向に延出して一体成形されたものであり、第一インナーブラケット10及び第二インナーブラケット18のラッチ収容部15、15内に収まるように、ラッチ収容部15、15と同じ高さのパッキン2の背面側から略三角柱状に延設されるものである。このラッチ20、20は、ブラケット本体のラッチ収容部15、15の側面に対して十分に当接し得る程度の底面の幅と、ラッチ収容部15、15から若干程度の突出する高さの突出高さと、を有するものであり、パッキン2の仮固定した状態を保持することや、ラッチ収容部15、15に対してずれることなく収まるようにするために、底面の幅に比べて突出高さは小さくすることが好適である。なお、このラッチ20、20は、パッキン2と同様の合成樹脂材から一体成形されたものであり、ラッチ20、20自体が弾性変形することで、カバー部材3の係合突起3aと容易に係合させることができるため、一般的な金属製の部材同士の圧入などに比べて、カバー部材3を容易に外装することが可能である。
【0029】
カバー部材3は、ブラケット本体に対して外装しうるようにするために全体を略箱状としたものであり、ブラケット本体側の面である底面側及び側面を開口して形成し、第一インナーブラケット10及び第二インナーブラケット18間を締め付ける固定ねじ5bのねじ頭を隠すことが可能である。このカバー部材3の内側面には、パッキン2のラッチ20、20と係合するための断面半円形状で突出して形成された2つの係合突起3a、3aが設けられており、カバー部材20をブラケット本体のガイド部16、16に沿って上方から下方に挿し込むように外装することで、ラッチ20、20に対して係合突起3a、3aを乗り越えさせて係合させることで外装した状態を保持することが可能である。
【0030】
したがって、上述した本実施形態の仕切板取付具1によって、調理台Cのコンロ部やシンク部と、ダイニングテーブルD側との領域を分ける仕切板4を立設することができるとともに、上述したパッキン2におけるラッチ20、20、上端係合部24、及び、小突起22によって仮固定した状態を保持することで、ブラケット本体に対してずれることなく、とりわけ、ブラケット本体のラッチ収容部15、15内に収容されたラッチ20、20によって左右方向のずれを抑えることで、しっかりとパッキン2をブラケット本体に仮固定することが可能である。それによって、調理台Cの天板上面に仕切板4を立設させる取付作業を容易にすることが可能である。
【0031】
上記の実施形態では本発明の好ましい実施形態を例示したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で改善や変更が可能である。例えば、カバー部材3の角部周辺に丸みを帯びたものなどのデザインに変更することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
C 調理台、D ダイニングテーブル、
1 仕切板取付具、
10 第一インナーブラケット、11 押圧部、11a 小孔、12 段部、12a 支持面、
13 天板固定部、13a 開孔部、13b 溝部、13c 係合部、13d 緩衝部材、14 開孔部、
15 ラッチ収容部、16 ガイド部、17 縦溝、18 第二インナーブラケット、
19 嵌合凹部、19a 水平溝部、
2 パッキン、20 ラッチ、22 小突起、23 突片、24 上端係合部、
3 カバー部材、3a 係合突部、
4 仕切板、4a 凹所、
5a、5b 固定ねじ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6