IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開-積層型キャパシター 図1
  • 特開-積層型キャパシター 図2
  • 特開-積層型キャパシター 図3
  • 特開-積層型キャパシター 図4
  • 特開-積層型キャパシター 図5
  • 特開-積層型キャパシター 図6
  • 特開-積層型キャパシター 図7
  • 特開-積層型キャパシター 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063833
(43)【公開日】2022-04-22
(54)【発明の名称】積層型キャパシター
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20220415BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049827
(22)【出願日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131113
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ミュン チャン
(72)【発明者】
【氏名】カン、シム チュン
(72)【発明者】
【氏名】シム、ウン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ファ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョン ス
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC02
5E001AE02
5E001AE03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC31
5E082EE16
5E082EE23
5E082EE26
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG27
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082GG30
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】積層型キャパシターを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、複数の誘電体層の積層構造、及び上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成され、上記内部電極と接続された外部電極と、を含み、上記本体は、上記複数の内部電極が露出し、第1方向に互いに対向する第1面及び第2面と、上記複数の誘電体層の積層方向である第2方向に互いに対向する第3面及び第4面と、上記第1及び第2方向に垂直な第3方向に互いに対向する第5面及び第6面と、を含み、上記複数の内部電極のうち少なくとも一部は、上記第3方向の外側領域が、内側領域に比べて上記第1方向の長さが短い第1ボトルネック構造と、上記第1方向の外側領域が、内側領域に比べて上記第3方向の長さが短い第2ボトルネック構造と、を含む、積層型キャパシターを提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層の積層構造、及び前記複数の誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の外部に形成され、前記複数の内部電極と接続された外部電極と、を含み、
前記本体は、前記複数の内部電極が露出し、第1方向に互いに対向する第1面及び第2面と、前記複数の誘電体層の積層方向である第2方向に互いに対向する第3面及び第4面と、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向に互いに対向する第5面及び第6面と、を含み、
前記複数の内部電極のうち少なくとも一部は、前記第3方向の外側領域が、内側領域に比べて前記第1方向の長さが短い第1ボトルネック構造と、前記第1方向の外側領域が、内側領域に比べて前記第3方向の長さが短い第2ボトルネック構造と、を含む、積層型キャパシター。
【請求項2】
前記第1ボトルネック構造及び前記第2ボトルネック構造は互いに連結され、
前記第1ボトルネック構造の外側面と第2ボトルネック構造の外側面は不連続である、請求項1に記載の積層型キャパシター。
【請求項3】
前記第2ボトルネック構造が前記外部電極と接続される、請求項1または2に記載の積層型キャパシター。
【請求項4】
前記第1ボトルネック構造は、前記第1方向における前記本体の内側に陥没した形状であり、前記第2ボトルネック構造は、前記第3方向における前記本体の内側に陥没した形状である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項5】
前記第1ボトルネック構造及び前記第2ボトルネック構造の外側面は、前記第1面及び第3面に対して傾斜した平面を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項6】
前記第1ボトルネック構造は、前記第3方向における前記本体の外側に向かうほど前記第1方向の長さが短くなる形状である、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項7】
前記第2ボトルネック構造は、前記第1方向における前記本体の外側に向かうほど前記第3方向の長さが短くなる形状である、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項8】
前記第1ボトルネック構造は、前記複数の内部電極において前記第1面に隣接した領域及び第2面に隣接した領域の両方に形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項9】
前記第1ボトルネック構造は、前記第1面に隣接した領域に形成された部分と、前記第2面に隣接した領域に形成された部分の形状が互いに異なる、請求項8に記載の積層型キャパシター。
【請求項10】
前記第2ボトルネック構造は、前記複数の内部電極において前記第5面に隣接した領域及び第6面に隣接した領域の両方に形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項11】
前記第1ボトルネック構造及び前記第2ボトルネック構造は互いに連結され、これらの連結部が、前記第3方向に前記外部電極と重なる、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項12】
前記第1ボトルネック構造は、前記複数の内部電極において前記第3方向の長さが一定である平坦部を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項13】
前記平坦部が前記第2ボトルネック構造と連結される、請求項12に記載の積層型キャパシター。
【請求項14】
前記平坦部は、前記複数の内部電極において前記第3方向の最外側面を成す、請求項12または13に記載の積層型キャパシター。
【請求項15】
前記第1ボトルネック構造において、前記平坦部と前記第2ボトルネック構造を連結する前記第1方向の長さをCとし、前記本体の前記第1方向の長さをLとしたときに、C/Lは0.069以上である、請求項14に記載の積層型キャパシター。
【請求項16】
前記第1ボトルネック構造において、前記平坦部と前記第2ボトルネック構造を連結する前記第1方向の長さをCとし、前記第2ボトルネック構造の前記第1方向の長さをBとしたときに、C>Bである、請求項14または15に記載の積層型キャパシター。
【請求項17】
前記第1ボトルネック構造の前記第3方向の長さをDとし、前記本体の前記第3方向の長さをWとしたときに、D/Wは0.013以上である、請求項1から16のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシターに関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシターは、電気を貯蔵することができる素子であって、基本的に、2つの電極を対向させ、電圧をかけると各電極に電気が蓄積される原理を用いる。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄電されながらキャパシターの内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると、電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合には、電極の極性が交番しながら交流電流が流れるようになる。
【0003】
かかるキャパシターは、電極の間に備えられる絶縁体の種類によって、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極の間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシター、電極材料としてタンタルを用いるタンタルキャパシター、電極の間にチタンバリウムなどの高誘電率の誘電体を用いるセラミックキャパシター、電極の間に備えられる誘電体として、高誘電率系セラミックを多層構造として用いる積層セラミックキャパシター(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極の間の誘電体としてポリスチレンフィルムを用いるフィルムキャパシターなど、様々な種類に区分され得る。
【0004】
中でも、積層セラミックキャパシターは、温度特性及び周波数特性に優れており、小型に実現可能であるという利点を有することから、近年、高周波回路などの様々な分野で多く応用されている。近年、積層セラミックキャパシターをさらに小さく実現するために、誘電体層と内部電極を薄く形成する試みが続けられている。
【0005】
一方、近年、積層型キャパシターの関連分野では、耐湿信頼性を向上させ、基板への実装時に発生する応力によるクラックなどを低減するための試みが多く行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の1つは、外部からの影響に対する信頼性(例えば、耐湿信頼性)が向上することができる積層型キャパシターを実現することにある。
【0007】
本発明の目的の1つは、基板などへの実装時におけるクラックが低減し、構造的安定性が向上することができる積層型キャパシターを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は、一例によって積層型キャパシターの新たな構造を提案する。具体的に、複数の誘電体層の積層構造、及び上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成され、上記内部電極と接続された外部電極と、を含み、上記本体は、上記複数の内部電極が露出し、第1方向に互いに対向する第1面及び第2面と、上記複数の誘電体層の積層方向である第2方向に互いに対向する第3面及び第4面と、上記第1及び第2方向に垂直な第3方向に互いに対向する第5面及び第6面と、を含み、上記複数の内部電極のうち少なくとも一部は、上記第3方向の外側領域が、内側領域に比べて上記第1方向の長さが短い第1ボトルネック構造と、上記第1方向の外側領域は、内側領域に比べて上記第3方向の長さが短い第2ボトルネック構造と、を含む。
【0009】
一実施形態において、上記第1及び第2ボトルネック構造は互いに連結され、上記第1ボトルネック構造の外側面と第2ボトルネック構造の外側面は不連続であることができる。
【0010】
一実施形態において、上記第2ボトルネック構造は上記外部電極と接続されることができる。
【0011】
一実施形態において、上記第1ボトルネック構造は、上記第1方向における上記本体の内側に陥没した形状であり、上記第2ボトルネック構造は、上記第3方向における上記本体の内側に陥没した形状であることができる。
【0012】
一実施形態において、上記第1及び第2ボトルネック構造の外側面は、上記第1面及び第3面に対して傾斜した平面を含むことができる。
【0013】
一実施形態において、上記第1ボトルネック構造は、上記第3方向における上記本体の外側に向かうほど上記第1方向の長さが短くなる形状であることができる。
【0014】
一実施形態において、上記第2ボトルネック構造は、上記第1方向における上記本体の外側に向かうほど上記第3方向の長さが短くなる形状であることができる。
【0015】
一実施形態において、上記第1ボトルネック構造は、上記内部電極において上記第1面に隣接した領域及び第2面に隣接した領域の両方に形成されることができる。
【0016】
一実施形態において、上記第1ボトルネック構造は、上記第1面に隣接した領域に形成された部分と、上記第2面に隣接した領域に形成された部分の形状が互いに異なることができる。
【0017】
一実施形態において、上記第2ボトルネック構造は、上記内部電極において上記第5面に隣接した領域及び第6面に隣接した領域の両方に形成されることができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1及び第2ボトルネック構造は互いに連結され、これらの連結部が、上記第3方向に上記外部電極と重なることができる。
【0019】
一実施形態において、上記第1ボトルネック構造は、上記内部電極において上記第3方向の長さが一定である平坦部を有することができる。
【0020】
一実施形態において、上記平坦部は上記第2ボトルネック構造と連結されることができる。
【0021】
一実施形態において、上記平坦部は、上記内部電極において上記第3方向の最外側面を成すことができる。
【0022】
一実施形態において、上記第1ボトルネック構造において、上記平坦部と上記第2ボトルネック構造を連結する上記第1方向の長さをCとし、上記本体の上記第1方向の長さをLとしたときに、C/Lは0.069以上であることができる。
【0023】
一実施形態において、上記第1ボトルネック構造において、上記平坦部と上記第2ボトルネック構造を連結する上記第1方向の長さをCとし、上記第2ボトルネック構造の上記第1方向の長さをBとしたときに、C>Bであることができる。
【0024】
一実施形態において、上記第1ボトルネック構造の上記第3方向の長さをDとし、上記本体の上記第3方向の長さをWとしたときに、D/Wは0.013以上であることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一例による積層型キャパシターは、外部からの影響に対する信頼性(例えば、耐湿信頼性)が向上することができる。これとともに、またはこれとは別に、基板などへの実装時におけるクラックが低減し、構造的安定性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシターの外観を概略的に示した斜視図である。
図2図1の積層型キャパシターにおけるI-I'の断面図である。
図3図1の積層型キャパシターにおけるII-II'の断面図である。
図4図3において、1つの内部電極を別に示したものである。
図5】変形例に採用可能な内部電極を示す。
図6】変形例に採用可能な内部電極を示す。
図7】本発明の一実施形態による積層型キャパシターの製造工程の一部として、内部電極を形成するための導電性パターンの形態を示す。
図8】本発明の一実施形態による積層型キャパシターの製造工程の一部として、内部電極を形成するための導電性パターンの形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0028】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシターの外観を概略的に示した斜視図である。図2図1の積層型キャパシターにおけるI-I'の断面図である。そして、図3図1の積層型キャパシターにおけるII-II'の断面図であり、図4図3において1つの内部電極を別に示したものである。また、図5及び図6は変形例に採用可能な内部電極を示す。
【0030】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシター100は、誘電体層111、及びこれを挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110と、外部電極131、132と、を含み、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一部はボトルネック構造151、152を有する。換言すると、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一部に複数のボトルネック構造151、152が形成された形態である。
【0031】
本体110は、複数の誘電体層111が積層された積層構造を含み、例えば、複数のグリーンシートを積層してから焼結することで得ることができる。このような焼結工程により、複数の誘電体層111は一体化された形態を有することができる。本体110の形状と寸法、及び誘電体層111の積層数が本実施形態に示されたものに限定されるものではなく、例えば、図1に示された形態のように、本体110は直方体と類似の形状を有することができる。本体110は、内部電極121、122がそれぞれ露出し、第1方向(X方向)に互いに対向する第1面S1及び第2面S2と、複数の誘電体層111の積層方向である第2方向(Z方向)に互いに対向する第3面S3及び第4面S4と、第1及び第2方向に垂直な第3方向(Y方向)に互いに対向する第5面S5及び第6面S6と、を含む。
【0032】
本体110に含まれた誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック材料を含み、例えば、BT系、すなわち、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミックを含むことができるが、十分な静電容量が得られるものであれば、当技術分野において公知の他の物質も使用可能である。誘電体層111には、必要に応じて、主成分であるかかるセラミック材料とともに、添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに含まれることができる。ここで、添加剤は、金属成分を含み、これらは製造過程で金属酸化物の形態で添加されることができる。かかる金属酸化物添加剤の例として、MnO、Dy、BaO、MgO、Al、SiO、Cr、及びCaCOのうち少なくとも1つの物質を含むことができる。
【0033】
複数の内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に導電性金属を含むペーストを所定の厚さで印刷した後、それを焼結することで得られる。この場合、複数の内部電極121、122は、図2に示された形態のように、本体110の互いに対向する第1面S1及び第2面S2に露出した第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。この場合、第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる外部電極131、132と連結され、駆動時に互いに異なる極性を有することができ、これらの間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。但し、外部電極131、132の個数や内部電極121、122との連結方式は、実施形態によって変わり得る。内部電極121、122を成す主要構成物質の例としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)などが挙げられ、これらの合金も使用可能である。
【0034】
外部電極131、132は、本体110の外部に形成され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。第1及び第2外部電極131、132は、導電性金属を含む物質をペーストで製造した後、それを本体110に塗布する方法などにより形成されることができる。導電性金属の例として、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、またはこれらの合金が挙げられる。そして、このように形成された電極層上には、Ni、Snなどを含む少なくとも1つのめっき層が形成されることができる。
【0035】
図3及び図4を参照すると、本実施形態では、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一部は第1及び第2ボトルネック構造151、152を有する。第1ボトルネック構造151において、第3方向(Y方向)の外側領域は、内側領域に比べて第1方向(X方向)の長さが短い。第2ボトルネック構造152において、第1方向(X方向)の外側領域は、内側領域に比べて第3方向(X方向)の長さが短い。この際、第2ボトルネック構造152は外部電極131、132と接続されることができ、図3では、第1外部電極131と接続された形態を示している。
【0036】
内部電極121、122に複数のボトルネック構造、すなわち、第1及び第2ボトルネック構造151、152が形成されることにより、積層型キャパシター100の耐湿信頼性が向上することができる。このような効果を奏する理由の1つは、湿気などが侵入しやすい本体110の角A領域と内部電極121、122との間の距離が従来より増加するためであると考えられる。この際、内部電極121、122にボトルネック構造151、152が形成されると静電容量が減少し得るが、第1及び第2ボトルネック構造151、152の形態を最適化することで、静電容量の減少を最小化することができる。これについての詳細な事項は後述する。一方、上述の形態のボトルネック構造151、152は第2内部電極122にも形成されることができ、以下の説明も第2内部電極122にも適用可能である。
【0037】
示された形態のように、第1及び第2ボトルネック構造151、152は互いに連結されることができるが、この際、第1ボトルネック構造151の外側面と第2ボトルネック構造152の外側面は不連続であることができる。これは、第1及び第2ボトルネック構造151、152の外側面が1つの連続した面を形成するのではなく、第1及び第2ボトルネック構造151、152が互いに別のボトルネック構造を形成することを意味する。
【0038】
第1ボトルネック構造151は、第1方向(X方向)における本体110の内側に陥没した形状であることができる。これと類似して、第2ボトルネック構造152は、第3方向(Y方向)における本体110の内側に陥没した形状であることができる。換言すると、第1及び第2ボトルネック構造151、152は、外側面が本体110の外側に凸状となっている形態よりは、本体110の内側に陥没した形状を有する。このような形態により、静電容量の減少が最小化される範囲内で、本体110の角Aと内部電極121、122との間隔を増加させることができるため、積層型キャパシター100の耐湿信頼性、応力安定性などを向上させることができる。
【0039】
一方、図3及び図4の実施形態では、第1及び第2ボトルネック構造151、152の外側面が曲面を含む構造を示しているが、ボトルネックの形態を維持する形状であれば、他の形状に変形されてもよい。例えば、図5に示された形態のように、内部電極121'は変形された形状の第1及び第2ボトルネック構造151、152を含み、第1及び第2ボトルネック構造151、152の外側面は平面を含むが、このような平面は、本体の第1面S1及び第3面S3に対して傾斜した形態である。この際、第1及び第2ボトルネック構造151、152の外側面の勾配は互いに異なることができる。
【0040】
さらに図3及び図4を参照して第1及び第2ボトルネック構造151、152の形態についてより具体的に説明すると、まず、第1ボトルネック構造151は、第3方向(Y方向)における本体110の外側に向かうほど第1方向(X方向)の長さが短くなる形状であることができる。これと類似して、第2ボトルネック構造152は、第1方向(X方向)における本体110の外側に向かうほど第3方向(Y方向)の長さが短くなる形状であることができる。但し、第1及び第2ボトルネック構造151、152は、一方向に向かうにつれて次第に長さが変化しなければならないわけではなく、全体的に見てボトルネック構造を維持していれば、一部領域において長さが一定な区間が存在してもよい。
【0041】
また、第1ボトルネック構造151は、内部電極121、122において、第1面S1に隣接した領域及び第2面S2に隣接した領域の両方に形成されることができる。そして、第2ボトルネック構造152は、内部電極121、122において、第5面S5に隣接した領域及び第6面S6に隣接した領域の両方に形成されることができる。この場合、示された形態のように、第1ボトルネック構造151は、第1面S1に隣接した領域に形成された部分と、第2面S2に隣接した領域に形成された部分の形状が互いに同一の形態であることができる。但し、図6に示された形態のように、設計の必要に応じて変形された例の内部電極121''では、第1ボトルネック構造151は、第1面S1に隣接した領域に形成された部分と、第2面S2に隣接した領域に形成された部分の形状が互いに異なってもよく、これは第2ボトルネック構造152も同様である。これを一般化して説明すると、図4において、長さCと長さFが互いに異なってもよく、同様に、長さDと長さEが互いに異なってもよいことを意味する。
【0042】
上述のように、本実施形態では、静電容量を十分に確保できる範囲で、内部電極121、122に複数のボトルネック構造151、152を形成しており、このような設計のために、第1及び第2ボトルネック構造151、152のサイズ条件が決定されることができる。具体的に、第1及び第2ボトルネック構造151、152が互いに連結される連結部121Cは、第3方向(Y方向)に外部電極131、132と重なることができ、図3を基準とすると、第1外部電極131に該当する。この場合、第1ボトルネック構造151の長さCが、第2ボトルネック構造152の長さBに比べて長いことができる。このような条件は、第1ボトルネック構造151の長さが第1外部電極131と重ならない程度に長くなる場合、静電容量の減少が顕著になり得ることを考慮したものである。
【0043】
示された形態のように、第1ボトルネック構造151は、内部電極121、122において、第3方向(Y方向)の長さが一定である平坦部P1、P2を有することができる。この際、平坦部P1、P2のうち第2ボトルネック構造と連結されたものは、第1平坦部P1に該当する。第1平坦部P1は、第2ボトルネック構造152と連結される領域に配置され、内部電極121、122の外側面に生じ得る急激な形状の変化を緩和する目的などで採用されることができる。また、平坦部P1、P2のうち、内部電極121、122において第3方向(Y方向)の最外側面を成すことは第2平坦部P2に該当する。第2平坦部P2は、内部電極121、122間の重畳面積が十分に得られ、静電容量の向上に寄与するための目的などで採用されることができる。
【0044】
本実施形態において、第1及び第2ボトルネック構造151、152は、耐湿信頼性、クラック発生率、静電容量特性などを考慮して、その長さ条件を最適の範囲で選択することができる。具体的に、図3及び図4を参照すると、第1平坦部P1と第2ボトルネック構造152を連結する第1方向(X方向)の長さをCとし、本体110の第1方向(X方向)の長さをLとしたときに、C/Lは0.069以上であることができる。また、第1及び第2ボトルネック構造151、152の相対的な長さ条件に関連して、第2ボトルネック構造152の第1方向の長さ(X方向)をBとしたときに、C>Bであることができる。上述のように、第2ボトルネック構造152の長さが過度に増加する場合、静電容量の減少が大きく発生する恐れがあるためである。
【0045】
そして、第1ボトルネック構造151の第3方向(Y方向)の長さ条件としては、第1ボトルネック構造151の第3方向(Y方向)の長さをDとし、本体110の第3方向(Y方向)の長さをWとしたときに、D/Wは0.013以上であることができる。
【0046】
本発明の発明者らは、下記のように第1及び第2ボトルネック構造151、152の長さ条件を変更しつつ、静電容量、クラック発生率、耐湿信頼性を測定した。先ず、下記表1は、Ref.と実施例で採用されたボトルネック部の長さ条件を示す。ここで、Ref.サンプルは、各比率値が0である場合であって、第1ボトルネック部なしに第2ボトルネック部のみを有する構造に該当し、第2ボトルネック部以外の内部電極は、上部からみた時に長方形の形態を有する。
【0047】
【表1】
【0048】
下記表2は、製造されたMLCC試料を基板に実装する前に、本体のカバー領域を中心に、外観にクラックが発生したかどうかを実験した結果である。実験結果、第1ボトルネック部が採用されていない場合(Ref.)に比べて、第1ボトルネック部を採用した実施例で不良率が低減することを確認した。特に、上述のC/L条件、D/W条件を満たす場合、不良率は0の水準になった。
【0049】
【表2】
【0050】
下記表3は、製造されたMLCC試料を基板に実装した後、基板の反りにより発生する応力などによってクラックが発生したかどうかを実験した結果である。上の実験結果と類似して、実装クラック実験結果からも、第1ボトルネック部が採用されていない場合(Ref.)に比べて、第1ボトルネック部を採用した実施例で不良率が低減することを確認した。特に、上述のC/L条件、D/W条件を満たす場合、不良率は0の水準になった。
【0051】
【表3】
【0052】
下記表4は、製造されたMLCC試料に対して耐湿不良有無を実験した結果であり、本体、特にカバー領域の抵抗特性(IR)を測定し、基準よりも抵抗値が低い場合を不良として処理した。耐湿不良実験結果からも、第1ボトルネック部が採用されていない場合(Ref.)に比べて、第1ボトルネック部を採用した実施例で不良率が低減することを確認した。特に、上述のC/L条件、D/W条件を満たす場合、不良率は0の水準になった。
【0053】
【表4】
【0054】
次に、下記表5のように、Ref.、実施例2、及び実施例5に対して静電容量を測定した。表5の結果を参照すると、複数のボトルネック部が採用された実施例では、1つのボトルネック部のみを有するRef.に比べて静電容量の低下が顕著ではなく、十分な静電容量が確保できることを確認した。
【0055】
【表5】
【0056】
一方、図7及び図8は、本発明の一実施形態による積層型キャパシターの製造工程の一部として、内部電極を形成するための導電性パターンの形態を示す。
【0057】
本体110を形成するために、誘電体層111と内部電極121、122を積層してセラミック積層体を用意するが、ここで、誘電体層111は焼成前であるため、セラミックグリーンシート状態である。上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤などを混合してスラリーを製造し、上記スラリーを、ドクターブレード法などにより数μmまたは1μm以下の厚さのシート(sheet)状に製作することができる。その後、上記セラミックグリーンシートが焼結されて誘電体層111が形成されることができる。
【0058】
上記セラミックグリーンシート上には内部電極用導電性ペーストを塗布することで、パターン形態の内部電極121を形成することができ、この際、内部電極121はスクリーン印刷法またはグラビア印刷法により形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストは導電性金属と添加剤を含み、上記添加剤は、非金属及び金属酸化物の何れか1つ以上であることができる。上記導電性金属はニッケルを含むことができる。上記添加剤は、金属酸化物としてチタン酸バリウムまたはチタン酸ストロンチウムを含むことができる。
【0059】
図7は、内部電極121を形成するための導電性ペーストが塗布された形態を示し、2つの内部電極121が互いに連結されている。誘電体層と導電性ペーストが積層された状態で、それを個別部品単位でダイシングすることで、複数のボトルネック構造を有する内部電極121を実現することができる。その後、上記セラミックグリーンシート積層体を焼成し、後で内部電極121と連結されるように外部電極を形成することで、積層型キャパシターを完成することができる。
【0060】
一方、図8は、より多くの内部電極121が連結された形態の導電性ペーストの塗布状態を示す。内部電極121には第1ボトルネック構造が連結されているが、個別部品単位で切断した際に、第1ボトルネック構造が誘電体層の外部に露出することができる。このように露出した内部電極121の側面を覆うようにサイドマージン部を形成することができ、サイドマージン部は、誘電体層111と同様のセラミック物質で形成されることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0062】
100 積層型キャパシター
110 本体
111 誘電体層
121、122 内部電極
131、132 外部電極
151、152 ボトルネック構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8