(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063890
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】日射遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/80 20060101AFI20220418BHJP
E05F 5/00 20170101ALI20220418BHJP
F16D 59/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
E06B9/80 E
E05F5/00 A
F16D59/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172260
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100129229
【弁理士】
【氏名又は名称】村澤 彰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊祐
【テーマコード(参考)】
2E042
3J058
【Fターム(参考)】
2E042AA07
2E042BA01
2E042CA04
2E042CB04
2E042CB08
3J058AA30
3J058AA37
3J058AB30
3J058BA61
3J058CC06
3J058CD26
3J058CD33
3J058CD37
3J058DD03
3J058DD10
3J058FA49
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遮蔽体の重量が異なる機種であっても、或いは同一機種において部材同士の摺動抵抗が異なっても、ブレーキ機構のブレーキ力を調整できる日射遮蔽装置を提供する。
【解決手段】日射遮蔽装置は、遮蔽体を昇降させる駆動軸16と、駆動軸を減速させるブレーキ機構17と、ブレーキ機構による駆動軸の減速度を調整する遊星歯車機構18とを備える。遊星歯車機構は太陽歯車21と内歯歯車19と複数の遊星歯車22と遊星キャリア23とを有する。駆動軸の軸方向に内歯歯車に押付け可能な弾性部材26aを有する調整機構26を更に備える。遊星キャリアが駆動軸に接続され、太陽歯車がブレーキ機構に接続される。調整機構が弾性部材を内歯歯車に押付ける力を調整して内歯歯車の回転速度を減速又は停止させることにより、太陽歯車の回転速度が増速され、ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して駆動軸の回転速度が減速されるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽体を昇降させるために正転又は逆転する駆動軸と、この駆動軸を減速させるブレーキ機構と、前記駆動軸と前記ブレーキ機構との間に設けられ前記ブレーキ機構による前記駆動軸の減速度を調整する遊星歯車機構とを備えた日射遮蔽装置であって、
前記遊星歯車機構が、前記駆動軸に遊嵌される太陽歯車と、この太陽歯車と同心状に設けられ前記太陽歯車を所定の間隔をあけて包囲する内歯歯車と、前記太陽歯車と前記内歯歯車との間に位置しかつ前記太陽歯車及び前記内歯歯車に噛合する複数の遊星歯車と、前記複数の遊星歯車を自転可能にかつ前記太陽歯車を中心に公転可能に保持する遊星キャリアとを有し、
前記駆動軸の軸方向に前記内歯歯車に押付け可能な弾性部材を有する調整機構を更に備え、
前記遊星キャリア又は前記太陽歯車が前記駆動軸に接続され、
前記太陽歯車又は前記遊星キャリアが前記ブレーキ機構に接続され、
前記調整機構が前記弾性部材の前記内歯歯車への押付力を調整して前記内歯歯車の回転速度を減速又は停止させることにより、前記太陽歯車又は前記遊星キャリアの回転速度が増速され、前記ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して前記駆動軸の回転速度が減速されるように構成された
ことを特徴とする日射遮蔽装置。
【請求項2】
遮蔽体を昇降させるために正転又は逆転する駆動軸と、この駆動軸を減速させるブレーキ機構と、前記駆動軸と前記ブレーキ機構との間に設けられ前記ブレーキ機構による前記駆動軸の減速度を調整する遊星歯車機構とを備えた日射遮蔽装置であって、
前記遊星歯車機構が、前記駆動軸に嵌着される太陽歯車と、この太陽歯車と同心状に設けられ前記太陽歯車を所定の間隔をあけて包囲する内歯歯車と、前記太陽歯車と前記内歯歯車との間に位置しかつ前記太陽歯車及び前記内歯歯車に噛合する複数の遊星歯車と、前記複数の遊星歯車を自転可能にかつ前記太陽歯車を中心に公転可能に保持する遊星キャリアとを有し、
前記駆動軸の軸方向に前記太陽歯車に押付け可能な弾性部材を有する調整機構を更に備え、
前記内歯歯車又は前記遊星キャリアが前記駆動軸に接続され、
前記遊星キャリア又は前記内歯歯車が前記ブレーキ機構に接続され、
前記調整機構が前記弾性部材を前記太陽歯車に押付ける力を調整して前記太陽歯車の回転速度を減速又は停止させることにより、前記遊星キャリア又は前記内歯歯車の回転速度が増速され、前記ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して前記駆動軸の回転速度が減速されるように構成された
ことを特徴とする日射遮蔽装置。
【請求項3】
遮蔽体を昇降させるために正転又は逆転する駆動軸と、この駆動軸を減速させるブレーキ機構と、前記駆動軸と前記ブレーキ機構との間に設けられ前記ブレーキ機構による前記駆動軸の減速度を調整する遊星歯車機構とを備えた日射遮蔽装置であって、
前記遊星歯車機構が、前記駆動軸に遊嵌される太陽歯車と、この太陽歯車と同心状に設けられ前記太陽歯車を所定の間隔をあけて包囲する内歯歯車と、前記太陽歯車と前記内歯歯車との間に位置しかつ前記太陽歯車及び前記内歯歯車に噛合する複数の遊星歯車と、前記複数の遊星歯車を自転可能にかつ前記太陽歯車を中心に公転可能に保持する遊星キャリアとを有し、
前記駆動軸の軸方向に前記遊星キャリアに押付け可能な弾性部材を有する調整機構を更に備え、
前記太陽歯車又は前記内歯歯車が前記駆動軸に接続され、
前記内歯歯車又は前記太陽歯車が前記ブレーキ機構に接続され、
前記調整機構が前記弾性部材を前記遊星キャリアに押付ける力を調整して前記遊星キャリアの回転速度を減速又は停止させることにより、前記内歯歯車又は前記太陽歯車の回転速度が増速され、前記ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して前記駆動軸の回転速度が減速されるように構成された
ことを特徴とする日射遮蔽装置。
【請求項4】
前記弾性部材が、弾性変形可能なクッション材又は金属ばねにより構成された請求項1ないし3いずれか1項に記載の日射遮蔽装置。
【請求項5】
前記ブレーキ機構が遠心式ブレーキ機構であり、前記遠心式ブレーキ機構が、前記太陽歯車又は前記遊星キャリアと一体的に設けられた回転支持体と、前記回転支持体の周囲に円周方向に間隔をあけて配設された複数のウエイト部材と、これらのウエイト部材を揺動可能に保持し前記回転支持体に取付けられた複数の支持ピンと、基端が前記複数のウエイト部材に取付けられ先端が前記複数のウエイト部材の外周面より外方に突設された複数のブレーキシューと、前記複数のウエイト部材を隙間をあけて包囲し前記複数のウエイト部材が前記回転支持体とともに回転したときに前記複数のブレーキシューが内周面に圧接されるブレーキケースとを有する請求項1記載の日射遮蔽装置。
【請求項6】
前記弾性部材が、前記遊星キャリアを収容するキャリアケースに前記遊星キャリアを包囲するリング状に形成され、
前記調整機構が、前記弾性部材と、前記キャリアケースの内周面に形成された雌ねじ部と、この雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、この雄ねじ部と一体的に設けられた操作部とを有し、
前記雄ねじ部を前記雌ねじ部にねじ込む方向又は緩める方向に前記操作部を操作することにより、前記弾性部材の前記内歯歯車に対する押付力が調整されるように構成された請求項1記載の日射遮蔽装置。
【請求項7】
前記弾性部材が、前記遊星キャリアを収容するキャリアケースに前記遊星キャリアを包囲するリング状に形成され、
前記調整機構が、前記弾性部材と、前記キャリアケースの内周面に形成された雌ねじ部と、この雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、この雄ねじ部と一体的に設けられた従動歯車と、この従動歯車に噛合する駆動歯車とを有し、
前記雄ねじ部を前記雌ねじ部にねじ込む方向又は緩める方向に前記駆動歯車を回転させることにより、前記弾性部材の前記内歯歯車に対する押付力が調整されるように構成された請求項1記載の日射遮蔽装置。
【請求項8】
前記駆動軸が第1駆動軸と第2駆動軸に分割され、
前記遊星歯車機構が第1ケースに収容され、
前記ブレーキ機構が前記第1ケースとは別に設けられた第2ケースに収容され、
前記第1駆動軸が前記第1ケースに挿入されて前記遊星キャリア、前記内歯歯車又は前記太陽歯車に接続され、
前記第2駆動軸の一端が前記第1ケースに挿入されて前記太陽歯車、前記遊星キャリア又は前記内歯歯車に接続されかつ他端が前記第2ケースに挿入されて前記ブレーキ機構に接続された請求項1ないし3いずれか1項に記載の日射遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽体の降下速度を減速させるブレーキ機構を備えた日射遮蔽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転入力軸と固定ケースの間に遊星歯車式増速機構と遠心式ブレーキ機構が設けられた日射遮蔽部材用減速装置が開示されている(例えば、特許文献1(請求項1、段落[0013]、段落[0023]、
図1、
図2、
図5及び
図6)参照。)。この日射遮蔽部材用減速装置では、遠心式ブレーキ機構は、回転入力軸に連動可能に設けられた回転支持体と、この回転支持体に基端側が軸支され開放端側が揺動可能な遠心体と、遠心体の外側に摺接し遠心体を内側に付勢する回転支持体と合成樹脂により一体成型された付勢ばね片と、遠心体に固着されたブレーキシューとを備える。また、遊星歯車式増速機構で回転支持体の回転が増速されることにより、ブレーキシューの摩擦面が固定ケースの内面に圧接され、ブレーキシューと固定ケースの摩擦力により回転入力軸の回転が低下するように構成される。なお、遮蔽部材は、主に窓枠などに固定されるセットフレームに取付けられる一対のサイドプレートと、一対のサイドプレートによって両端を回転可能に支持された巻取パイプと、巻取パイプに一端が連結されて巻取パイプに巻取り、巻解き可能に吊下げられるスクリーンと、スクリーンの下端に取付けられたウエイトバーと、ウエイトバーの下端に取付けられた引き具とを備える。
【0003】
このように構成された日射遮蔽部材用減速装置では、スクリーンの繰出し直後、巻取パイプの回転速度が遅いため、減速機構は作動しないが、スクリーンがある程度引き出されると、慣性により巻取パイプの回転速度も速くなるので、回転支持体は遊星歯車式増速機構により更に速くなる。そのため、遠心体は遠心力により付勢ばね片の付勢力に抗して拡開し、ブレーキシューが固定ケースの内面に圧接され、その摩擦力により回転入力軸の回転速度を低下させる。このように遠心体の拡がりは抑制されるので、急激なロールスクリーンの降下を生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示された日射遮蔽部材用減速装置では、ブレーキ力の変動範囲が問題になることがある。例えば、遠心式ブレーキ機構では、スクリーンの重量に応じて遠心ガバナの回転数が変化するため、スクリーンの重量に応じたブレーキ力を発揮する機構になっている。しかし、上記特許文献1に示された日射遮蔽部材用減速装置では、上記特許文献1に示された日射遮蔽部材用減速装置では、そのブレーキ力に変動範囲が存在するため、その変動範囲によっては、全てのスクリーン重量に対して対応できない場合がある。即ち、スクリーン重量に対してブレーキ力が強すぎると、スクリーンが所定の位置まで降下せず、逆にスクリーン重量に対してブレーキ力が弱すぎると、スクリーンが急降下してしまう不具合があった。また、このような不具合は、スクリーン重量の他、製品内の部材同士の摺動抵抗や施工環境にも左右されるという問題点もあった。そのため、搭載されている遠心体やブレーキシューの数量を変えた異なる仕様の減速装置を用意し、スクリーン重量や異なる機構の製品によって減速装置を使い分ける場合や、施工後に不具合があれば、別の仕様の減速装置へ交換する、といった対処が必要となる場合があった。
【0006】
本発明の目的は、遮蔽体の重量が異なる機種であっても、或いは同一機種において部材同士の摺動抵抗が異なっても、ブレーキ機構のブレーキ力を日射遮蔽装置に合せて調整できる、日射遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、
図1、
図2、
図6及び
図8に示すように、遮蔽体12を昇降させるために正転又は逆転する駆動軸16と、この駆動軸16を減速させるブレーキ機構17と、駆動軸16とブレーキ機構17との間に設けられブレーキ機構17による駆動軸16の減速度を調整する遊星歯車機構18とを備えた日射遮蔽装置10であって、遊星歯車機構18が、駆動軸16に遊嵌される太陽歯車21と、この太陽歯車21と同心状に設けられ太陽歯車21を所定の間隔をあけて包囲する内歯歯車19と、太陽歯車21と内歯歯車19との間に位置しかつ太陽歯車21及び内歯歯車19に噛合する複数の遊星歯車22と、複数の遊星歯車22を自転可能にかつ太陽歯車21を中心に公転可能に保持する遊星キャリア23とを有し、駆動軸16の軸方向に内歯歯車19に押付け可能な弾性部材26aを有する調整機構26を更に備え、遊星キャリア23又は太陽歯車が駆動軸16に接続され、太陽歯車21又は遊星キャリアがブレーキ機構17に接続され、調整機構26が弾性部材26aを内歯歯車19に押付ける力を調整して内歯歯車19の回転速度を減速又は停止させることにより、太陽歯車21又は遊星キャリアの回転速度が増速され、ブレーキ機構17がブレーキ機能を発揮して駆動軸16の回転速度が減速されるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点は、遮蔽体を昇降させるために正転又は逆転する駆動軸と、この駆動軸を減速させるブレーキ機構と、駆動軸とブレーキ機構との間に設けられブレーキ機構による駆動軸の減速度を調整する遊星歯車機構とを備えた日射遮蔽装置であって、遊星歯車機構が、駆動軸に嵌着される太陽歯車と、この太陽歯車と同心状に設けられ太陽歯車を所定の間隔をあけて包囲する内歯歯車と、太陽歯車と内歯歯車との間に位置しかつ太陽歯車及び内歯歯車に噛合する複数の遊星歯車と、複数の遊星歯車を自転可能にかつ太陽歯車を中心に公転可能に保持する遊星キャリアとを有し、駆動軸の軸方向に太陽歯車に押付け可能な弾性部材を有する調整機構を更に備え、内歯歯車又は遊星キャリアが駆動軸に接続され、遊星キャリア又は内歯歯車がブレーキ機構に接続され、調整機構が弾性部材を太陽歯車に押付ける力を調整して太陽歯車の回転速度を減速又は停止させることにより、遊星キャリア又は内歯歯車の回転速度が増速され、ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して駆動軸の回転速度が減速されるように構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の観点は、遮蔽体を昇降させるために正転又は逆転する駆動軸と、この駆動軸を減速させるブレーキ機構と、駆動軸とブレーキ機構との間に設けられブレーキ機構による駆動軸の減速度を調整する遊星歯車機構とを備えた日射遮蔽装置であって、遊星歯車機構が、駆動軸に遊嵌される太陽歯車と、この太陽歯車と同心状に設けられ太陽歯車を所定の間隔をあけて包囲する内歯歯車と、太陽歯車と内歯歯車との間に位置しかつ太陽歯車及び内歯歯車に噛合する複数の遊星歯車と、複数の遊星歯車を自転可能にかつ太陽歯車を中心に公転可能に保持する遊星キャリアとを有し、駆動軸の軸方向に遊星キャリアに押付け可能な弾性部材を有する調整機構を更に備え、内歯歯車又は太陽歯車が駆動軸に接続され、太陽歯車又は内歯歯車がブレーキ機構に接続され、調整機構が弾性部材を遊星キャリアに押付ける力を調整して遊星キャリアの回転速度を減速又は停止させることにより、太陽歯車又は内歯歯車の回転速度が増速され、ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して駆動軸の回転速度が減速されるように構成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点のいずれかに基づく発明であって、更に
図1に示すように、弾性部材26aが、弾性変形可能なクッション材又は金属ばねにより構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第5の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に
図1、
図2及び
図5に示すように、ブレーキ機構17が遠心式ブレーキ機構であり、遠心式ブレーキ機構17が、太陽歯車21又は遊星キャリアと一体的に設けられた回転支持体17aと、回転支持体17aの周囲に円周方向に間隔をあけて配設された複数のウエイト部材17bと、これらのウエイト部材17bを揺動可能に保持し回転支持体17aに取付けられた複数の支持ピン17cと、基端が複数のウエイト部材17bに取付けられ先端が複数のウエイト部材17bの外周面より外方に突設された複数のブレーキシュー17dと、複数のウエイト部材17bを隙間をあけて包囲し複数のウエイト部材17bが回転支持体17aとともに回転したときに複数のブレーキシュー17dが内周面に圧接されるブレーキケース17eとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の第6の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に
図1、
図6及び
図7に示すように、弾性部材26aが、遊星キャリア23を収容するキャリアケース24に遊星キャリア23を包囲するリング状に形成され、調整機構26が、弾性部材26aと、キャリアケース24の内周面に形成された雌ねじ部26bと、この雌ねじ部26bに螺合する雄ねじ部26cと、この雄ねじ部26cと一体的に設けられた操作部26dとを有し、雄ねじ部26cを雌ねじ部26bにねじ込む方向又は緩める方向に操作部26dを操作することにより、弾性部材26aの内歯歯車19に対する押付力が調整されるように構成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第7の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に
図9に示すように、弾性部材26aが、遊星キャリア22を収容するキャリアケース24に遊星キャリア22を包囲するリング状に形成され、調整機構56が、弾性部材26と、キャリアケース24の内周面に形成された雌ねじ部26bと、この雌ねじ部26bに螺合する雄ねじ部26cと、この雄ねじ部26cと一体的に設けられた従動歯車56aと、この従動歯車56aに噛合する駆動歯車56bとを有し、雄ねじ部26cを雌ねじ部26bにねじ込む方向又は緩める方向に駆動歯車56bを回転させることにより、弾性部材26aの内歯歯車19に対する押付力が調整されるように構成されたことを特徴とする。
【0014】
本発明の第8の観点は、第1ないし第3の観点のいずれかに基づく発明であって、更に
図10及び
図11に示すように、駆動軸が第1駆動軸71と第2駆動軸72に分割され、遊星歯車機構18が第1ケース81に収容され、ブレーキ機構が第1ケース81とは別に設けられた第2ケース82に収容され、第1駆動軸71が第1ケース81に挿入されて遊星キャリア23、内歯歯車又は太陽歯車に接続され、第2駆動軸72の一端が第1ケース81に挿入されて太陽歯車21、遊星キャリア又は内歯歯車に接続されかつ他端が第2ケース82に挿入されてブレーキ機構に接続されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の観点の日射遮蔽装置では、調整機構が駆動軸の軸方向に内歯歯車に押付け可能な弾性部材を有し、遊星キャリア又は太陽歯車を駆動軸に接続し、太陽歯車又は遊星キャリアをブレーキ機構に接続したので、調整機構が弾性部材の内歯歯車への押付力を調整して内歯歯車の回転速度を減速又は停止させることにより、太陽歯車又は遊星キャリアの回転速度が増速されて、ブレーキ機構によるブレーキ機能が発揮されて駆動軸の回転速度が減速される。この結果、遮蔽体が急降下するのを防止でき、遮蔽体を最適な速度で降下させることができる。また、遮蔽体の重量が異なる機種であっても、或いは同一機種において部材同士の摺動抵抗が異なっても、ブレーキ機構によるブレーキ力を日射遮蔽装置に合せて調整できる。
【0016】
本発明の第2の観点の日射遮蔽装置では、調整機構が駆動軸の軸方向に太陽歯車に押付け可能な弾性部材を有し、内歯歯車又は遊星キャリアを駆動軸に接続し、遊星キャリア又は内歯歯車をブレーキ機構に接続したので、調整機構が弾性部材を太陽歯車に押付ける力を調整して太陽歯車の回転速度を減速又は停止させることにより、遊星キャリア又は内歯歯車の回転速度が増速され、ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して駆動軸の回転速度が減速される。この結果、上記と同様に、遮蔽体が急降下するのを防止でき、遮蔽体を最適な速度で降下させることができる。また、遮蔽体の重量が異なる機種であっても、或いは同一機種において部材同士の摺動抵抗が異なっても、ブレーキ機構によるブレーキ力を日射遮蔽装置に合せて調整できる。
【0017】
本発明の第3の観点の日射遮蔽装置では、調整機構が駆動軸の軸方向に遊星キャリアに押付け可能な弾性部材を有し、内歯歯車又は太陽歯車を駆動軸に接続し、太陽歯車又は内歯歯車をブレーキ機構に接続したので、調整機構が弾性部材の遊星キャリアへの押付力を調整して遊星キャリアの回転速度を減速又は停止させることにより、太陽歯車又は内歯歯車の回転速度が増速され、ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して駆動軸の回転速度が減速される。この結果、上記と同様に、遮蔽体が急降下するのを防止でき、遮蔽体を最適な速度で降下させることができる。また、遮蔽体の重量が異なる機種であっても、或いは同一機種において部材同士の摺動抵抗が異なっても、ブレーキ機構によるブレーキ力を日射遮蔽装置に合せて調整できる。
【0018】
本発明の第4の観点の日射遮蔽装置では、弾性部材を、弾性変形可能なクッション材又は金属ばねにより構成したので、調整機構によりクッション材や金属ばねの内歯歯車、太陽歯車又は遊星キャリアへの押付力を調整することにより、上記と同様の効果を奏する。
【0019】
本発明の第5の観点の日射遮蔽装置では、ブレーキ機構が遠心式ブレーキ機構であるので、ブレーキ機構に接続された太陽歯車又は遊星キャリアの回転速度が増速されることにより、太陽歯車等と一体的に設けられた回転支持体も増速されるので、ウエイト部材が遠心力により支持ピンを中心に回転してブレーキシューをブレーキケース内面に押付ける。この結果、太陽歯車等の回転速度が減速して駆動軸の回転速度も減速するので、遮蔽体を最適な速度で降下させることができる。
【0020】
本発明の第6の観点の日射遮蔽装置では、雄ねじ部を雌ねじ部にねじ込む方向又は緩める方向に操作部を操作することにより、弾性部材の内歯歯車に対する押付力を外部から調整できる。このような簡単な操作で、弾性部材の内歯歯車に対する押付力を調整できる。
【0021】
本発明の第7の観点の日射遮蔽装置では、雄ねじ部を雌ねじ部にねじ込む方向又は緩める方向に駆動歯車を回転させることにより、弾性部材の内歯歯車に対する押付力を調整できる。駆動歯車の軸を自在継手を介して操作棒に接続すれば、より簡単な操作で、弾性部材の内歯歯車に対する押付力を外部から調整できる。
【0022】
本発明の第8の観点の日射遮蔽装置では、駆動軸を第1駆動軸と第2駆動軸に分割し、遊星歯車機構を第1ケースに収容し、ブレーキ機構を第1ケースとは別に設けられた第2ケースに収容し、第1駆動軸を第1ケースに挿入して遊星キャリア、内歯歯車又は太陽歯車に接続し、更に第2駆動軸の一端を第1ケースに挿入して太陽歯車、遊星キャリア又は内歯歯車に接続しかつ他端を第2ケースに挿入してブレーキ機構に接続したので、遊星歯車機構及びブレーキ機構を任意のユニットに組込むことができる、即ち遊星歯車機構及びブレーキ機構を多くの種類の日射遮蔽装置に採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明第1実施形態の日射遮蔽装置のブレーキ機構及び遊星歯車機構を示す縦断面図である。
【
図2】そのブレーキ機構及び遊星歯車機構の分解斜視図である。
【
図5】(a)はブレーキシューがブレーキケース内面に接触していない状態を示す
図1のC-C線断面図であり、(b)はブレーキシューがブレーキケース内面に圧接された状態を示す
図1のC-C線断面図である。
【
図6】その遊星歯車機構の内歯歯車への押付力を調整機構により調整する手順を示す
図1のD部断面図である。
【
図7】その日射遮蔽装置のヘッドレールの端部に取付けられたキャップを外して遊星歯車機構の内歯歯車への押付力を調整機構により調整した後にキャップをヘッドレールに取付ける手順を示す
図8のB部断面図である。
【
図8】その日射遮蔽装置の要部を破断した正面図である。
【
図9】本発明第2実施形態の日射遮蔽装置のブレーキ機構及び遊星歯車機構を示す縦断面図である。
【
図10】本発明第3実施形態の日射遮蔽装置のブレーキ機構、遊星歯車機構及び巻取ドラムを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
<第1の実施の形態>
図8に示すように、日射遮蔽装置10は、この実施の形態では、ローマンシェードである。このローマンシェード10は、固定用ブラケット(図示せず)を介して部屋の壁面に取付けられたヘッドレール11と、このヘッドレール11に上端がそれぞれ取付けられヘッドレール11の長さと略同一の幅を有する遮蔽体12と、ヘッドレール11から昇降可能に垂下されて遮蔽体12に連結された昇降コード13と、ヘッドレール11に設けられ昇降コード13を繰出し可能に巻取る巻取ドラム14とを備える。また、
図1及び
図2に示すように、ヘッドレール11には、遮蔽体12を昇降コード13及び巻取ドラム14を介して昇降させるために正転又は逆転する駆動軸16と、この駆動軸16を減速させるブレーキ機構17と、駆動軸16とブレーキ機構17との間に設けられブレーキ機構17による駆動軸16の減速度を調整する遊星歯車機構18とが設けられる。なお、
図7及び
図8中の符号11aは、ヘッドレール11の両端に取付けられたキャップである。
【0026】
遊星歯車機構18は、この実施の形態では、内歯歯車19の回転速度を減速又は停止させるプラネタリ型の遊星歯車機構である(
図1、
図2及び
図4)。また、遊星歯車機構18は、駆動軸16に遊嵌される太陽歯車21と、この太陽歯車21と同心状に設けられ太陽歯車21を所定の間隔をあけて包囲する上記内歯歯車19と、太陽歯車21と内歯歯車19との間に位置しかつ太陽歯車21及び内歯歯車19に噛合する複数の遊星歯車22と、複数の遊星歯車22を自転可能にかつ太陽歯車21を中心に公転可能に保持する遊星キャリア23とを有する。遊星キャリア23はキャリアケース24に回転可能に収容され、キャリアケース24には第1フランジ31を介して4本の脚部24aが突設される(
図2及び
図4)。また、太陽歯車21は後述のブレーキ機構17の回転支持体17aと一体的に設けられ、内歯歯車19はキャリアケース24の4本の脚部24aの間に回転可能に挿入される(
図1及び
図2)。更に、複数の遊星歯車22は、この実施の形態では、3個であり、これらの遊星歯車22は遊星キャリア23に円周方向に等間隔にかつ交互に突設された3本の突軸23a及び3本のピン23bのうち3本の突軸23aに回転可能に嵌入された後に、3本の突軸23a及び3本のピン23bの先端に第2フランジ32がビス(図示せず)で取付けられる(
図1、
図2及び
図4)。これにより遊星歯車22が突軸23aから抜けないようになっている。
【0027】
一方、ブレーキ機構17は、この実施の形態では、遠心式ブレーキ機構である(
図1、
図2及び
図5)。遠心式ブレーキ機構17は、太陽歯車21と一体的に設けられた回転支持体17aと、回転支持体17aの周囲に円周方向に間隔をあけて配設された複数のウエイト部材17bと、これらのウエイト部材17bを揺動可能に保持し回転支持体17aに取付けられた複数の支持ピン17cと、基端が複数のウエイト部材17bに取付けられ先端が複数のウエイト部材17bの外周面より外方に突設された複数のブレーキシュー17dと、複数のウエイト部材17bを隙間をあけて包囲し複数のウエイト部材17bが回転支持体17aとともに回転したときに複数のブレーキシュー17dが内周面に圧接されるブレーキケース17eとを有する。ウエイト部材17b及びブレーキシュー17dの個数は、この実施の形態では、それぞれ4個であり、支持ピン17cの本数は4本である(
図2及び
図5)。4本の支持ピン17cは端板17fにそれぞれ突設される。4本の支持ピン17cに4個のウエイト部材17bを揺動可能に嵌入した後に、回転支持体17aと一体的に設けられた第3フランジ33に4本の支持ピン17cの先端がビス(図示せず)で取付けられる(
図1及び
図2)。これにより4本の支持ピン17cが回転支持体17aに取付けられる。また、ブレーキケース17eには第4フランジ34が一体的に設けられ、この第4フランジ34はキャリアケース24の4本の脚部24aの先端面にビス(図示せず)で取付けられる(
図2及び
図5)。
【0028】
一方、駆動軸16の軸方向に内歯歯車19に押付け可能な弾性部材26aを有する調整機構26を更に備える(
図1及び
図2)。弾性部材26aは、この実施の形態では、合成ゴム、天然ゴム、軟質プラスチック等により形成された弾性変形可能なクッション材により構成される。また、弾性部材26aは、キャリアケース24に遊星キャリア23を包囲するようにリング状に形成される。更に、調整機構26は、上記弾性部材26aと、キャリアケース24の内周面に形成された雌ねじ部26bと、この雌ねじ部26bに螺合する雄ねじ部26cと、この雄ねじ部26cと一体的に設けられた操作部26dとを有する。そして、雄ねじ部26cを雌ねじ部26bにねじ込む方向又は緩める方向に操作部26dを操作することにより、弾性部材26aの内歯歯車19に対する押付力が調整されるように構成される。
【0029】
一方、遊星キャリア23は駆動軸16に接続され、太陽歯車21はブレーキ機構17に接続される(
図1及び
図2)。遊星キャリア23は、この実施の形態では、一方向クラッチ27を介して駆動軸17に接続される(
図1~
図3)。一方向クラッチ27は、駆動軸16に嵌入可能な六角孔27b(
図2及び
図3)を有する内輪27aと、この内輪27aに巻回された捩りコイルばね27cと、この捩りコイルばね27cを包囲する上記遊星キャリア23とを有する。上記捩りコイルばね27cの一端は内輪27aに係止し、他端は遊星キャリア23に係止する。そして、駆動軸16が一方向に回転すると、内輪27aが駆動軸16とともに一方向に回転し、捩りコイルばね27cのコイル径が拡大しようとして、捩りコイルばね27cの遊星キャリア23内面への密着力が増大するため、捩りコイルばね27c及び遊星キャリア23内面間に発生する摩擦抵抗が極めて大きくなって遊星キャリア23が駆動軸16とともに回転するように構成される。また、駆動軸16が他方向に回転すると、内輪27aが駆動軸16とともに一方向に回転し、捩りコイルばね27cのコイル径が縮小しようとして、捩りコイルばね27cの遊星キャリア23内面への密着力が低下するため、捩りコイルばね27c及び遊星キャリア23内面間に発生する摩擦抵抗が極めて小さくなって遊星キャリア23は駆動軸16とともに回転しない、即ち駆動軸16が空転するように構成される。この実施の形態では、駆動軸16が一方向に回転すると、遊星キャリア23が駆動軸16とともに回転し、遮蔽体12が降下するようになっている。更に、太陽歯車21はブレーキ機構17の回転支持体17aと一体的に設けられ、回転支持体17aととともに回転するように構成される(
図1及び
図2)。
【0030】
このように構成されたローマンシェード10の調整機構26による調整方法を説明する。先ず、ヘッドレール11の一端に取付けられたキャップ11aをヘッドレール11から外す(
図7(b))。次いで、調整機構26の操作部26dを手で右方向に回して雄ねじ部26cを雌ねじ部26bに対してねじ込んで(
図6(a)及び
図7(c))、雄ねじ部26cの先端面を弾性部材26aに当接させる(
図6(b))。そして、雄ねじ部26cの雌ねじ部26bに対するねじ込み量が所定量になるまで、弾性部材26aを駆動軸16の軸方向に内歯歯車19に押付ける。この状態で遮蔽体12を降下させる。このとき、弾性部材26aが内歯歯車19に押付けられることにより、内歯歯車19の回転速度が減速又は停止するので、太陽歯車21の回転速度が増速される。太陽歯車21の回転速度が増速されると、ブレーキ機構17によるブレーキ機能が発揮される。即ち、太陽歯車21と一体的に設けられた回転支持体17aが増速されるので、ウエイト部材17bが遠心力により支持ピン17cを中心に回転してブレーキシュー17dをブレーキケース17e内面に押付ける。この結果、太陽歯車21の回転速度が減速して駆動軸16の回転速度も減速するので、遮蔽体12を降下速度が低下する。遮蔽体12の降下速度が所望の速度より速い場合には、雄ねじ部26cの雌ねじ部26bに対するねじ込み量を増やし、遮蔽体12の降下速度が所望の速度より遅い場合には、雄ねじ部26cの雌ねじ部26bに対するねじ込み量を減らして、上記操作を繰返す。そして、遮蔽体12の降下速度が所望の速度になったときに、キャップ11aをヘッドレール11の一端に取付ける(
図7(d))。これにより遮蔽体12が急降下するのを防止でき、遮蔽体12を最適な速度で降下させることができる。また、キャップ11aをヘッドレール11から外すだけで、弾性部材26aの内歯歯車19に対する押付力を外部から調整できる。更に、遮蔽体12の重量が異なる機種であっても、或いは同一機種において部材同士の摺動抵抗が異なっても、ブレーキ機構17によるブレーキ力をローマンシェード10等の日射遮蔽装置に合せて調整できる。
【0031】
<第2の実施の形態>
図9は本発明の第2の実施の形態を示す。
図9において
図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、調整機構56が、弾性部材26aと、キャリアケース24の内周面に形成された雌ねじ部26bと、この雌ねじ部26bに螺合する雄ねじ部26cと、この雄ねじ部26cと一体的に設けられた従動歯車56aと、この従動歯車56aに噛合する駆動歯車56bとを有する。また、雄ねじ部26cを雌ねじ部26bにねじ込む方向又は緩める方向に駆動歯車54bを回転させることにより、弾性部材26aの内歯歯車19に対する押付力が調整されるように構成される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0032】
このように構成されたローマンシェードでは、雄ねじ部26cを雌ねじ部26bにねじ込む方向又は緩める方向に駆動歯車54bを回転させることにより、弾性部材26aの内歯歯車19に対する押付力を外部から調整できる。また、図示しないが駆動歯車54bの軸を自在継手を介して操作棒に接続すれば、キャップを外すという作業を行う必要がなく、より簡単な操作で、弾性部材26aの内歯歯車19に対する押付力を外部から調整できる。上記以外の調整機構による調整方法は第1の実施の形態の調整機構による調整方法と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0033】
<第3の実施の形態>
図10及び
図11は本発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態では、駆動軸が第1駆動軸71と第2駆動軸72に分割され、遊星歯車機構18が第1ケース81に収容され、ブレーキ機構が第1ケース81とは別に設けられた第2ケース82に収容される。また、第1駆動軸71が第1ケース81に挿入されて遊星キャリア23に接続される。第1駆動軸71は、この実施の形態では、一方向クラッチ27を介して遊星キャリア23に接続される(
図11)。更に、第2駆動軸72の一端が第1ケース81に挿入されて太陽歯車21と一体的に設けられた第1回転支持体91に接続されかつ他端が第2ケース82に挿入されてブレーキ機構の第2回転支持体(図示せず)に接続される(
図10及び
図11)。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0034】
このように構成されたローマンシェードでは、遊星歯車機構18及びブレーキ機構を任意のユニットに組込むことができる、即ち遊星歯車機構18及びブレーキ機構を多くの種類のローマンシェードを含む日射遮蔽装置に採用できる。また、調整機構26による調整方法は第1の実施の形態の調整機構による調整方法と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0035】
なお、上記第1~第3の実施の形態では、日射遮蔽装置としてローマンシェードを挙げたが、横型ブラインド、プリーツスクリーン等の日射遮蔽装置でもよい。また、上記第1~第3の実施の形態では、弾性部材として弾性変形可能なクッション材を挙げたが、金属ばねでもよい。また、上記第1~第3の実施の形態では、遠心式ブレーキ機構の回転支持体を太陽歯車と一体的に設けたが、回転支持外を遊星キャリアと一体的に設けてもよい。
【0036】
また、上記第1~第3の実施の形態では、ブレーキ機構として遠心式ブレーキ機構を挙げたが、オイルの粘性を利用してブレーキ力を発生するオイルダンパ式ブレーキ機構や、ショックアブソーバの仕組みでブレーキ力を発生させるショックアブソーバ式ブレーキ機構でもよい。オイルダンパの一例として次のような構成を挙げることができる。ブレーキケースと回転支持体との間にオイルが充填され、回転支持体に横断面略小判状のロータが嵌着される。そして、回転支持体の回転によってロータが回転するとき、オイルの粘性抵抗が発生して、ブレーキ機能を発揮する。一方、ショックアブソーバの一例として次のような構成を挙げることができる。ブレーキケースと回転支持体との間にリング板状の移動部材が収容され、移動部材が回転支持体に螺合し、回転支持体が回転することにより移動部材が軸方向に移動するように構成される。また、移動部材に細孔が設けられ、ブレーキケースと回転支持体との間にオイルが充填される。更に、移動部材がブレーキケースに対して軸方向に相対移動可能であって相対回転不能に構成される。そして、回転支持体の回転によって移動部材がその軸方向に移動するとき、ブレーキケース内のオイルが、移動部材の一方側から細孔を通って他方側に移動し、このときオイルの流通抵抗が発生して、ブレーキ機能を発揮する。
【0037】
また、上記第1~第3の実施の形態では、遊星キャリアを駆動軸に接続し、太陽歯車をブレーキ機構に接続し、調整機構が弾性部材の内歯歯車への押付力を調整して内歯歯車の回転速度を減速又は停止させることにより、太陽歯車の回転速度が増速され、ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して駆動軸の回転速度が減速されるように構成したが、太陽歯車を駆動軸に接続し、遊星キャリアをブレーキ機構に接続し、調整機構が弾性部材の内歯歯車への押付力を調整して内歯歯車の回転速度を減速又は停止させることにより、遊星キャリアの回転速度が増速され、ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して駆動軸の回転速度が減速されるように構成してもよい。
【0038】
また、上記第1~第3の実施の形態では、遊星歯車機構として内歯歯車の回転速度を減速又は停止させるプラネタリ型の遊星歯車機構を挙げたが、太陽歯車の回転速度を減速又は停止させるソーラ型の遊星歯車機構、或いは遊星キャリアの回転速度を減速又は停止させるスター型の遊星歯車機構でもよい。ソーラ型の遊星歯車機構は、調整機構が駆動軸の軸方向に太陽歯車に押付け可能な弾性部材を有し、内歯歯車又は遊星キャリアが駆動軸に接続され、遊星キャリア又は内歯歯車がブレーキ機構に接続され、調整機構が弾性部材を太陽歯車に押付ける力を調整して太陽歯車の回転速度を減速又は停止させることにより、遊星キャリア又は内歯歯車の回転速度が増速され、ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して駆動軸の回転速度が減速されるように構成される。また、スター型の遊星歯車機構は、調整機構が駆動軸の軸方向に遊星キャリアに押付け可能な弾性部材を有し、内歯歯車又は太陽歯車が駆動軸に接続され、太陽歯車又は内歯歯車がブレーキ機構に接続され、調整機構が弾性部材を遊星キャリアに押付ける力を調整して遊星キャリアの回転速度を減速又は停止させることにより、太陽歯車又は内歯歯車の回転速度が増速され、ブレーキ機構がブレーキ機能を発揮して駆動軸の回転速度が減速されるように構成される。
【符号の説明】
【0039】
10 ローマンシェード(日射遮蔽装置)
12 遮蔽体
16 駆動軸
17 ブレーキ機構
17a 回転支持体
17b ウエイト部材
17c 支持ピン
17d ブレーキシュー
17e ブレーキケース
18 遊星歯車機構
19 内歯歯車
21 太陽歯車
22 遊星歯車
23 遊星キャリア
24 キャリアケース
26 調整機構
26a 弾性部材
26b 雌ねじ部
26c 雄ねじ部
26d 操作部
56a 従動歯車
56b 駆動歯車
71 第1駆動軸
72 第2駆動軸
81 第1ケース
82 第2ケース