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特開2022-63913印刷システム、検出方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063913
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】印刷システム、検出方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20220418BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
B65H7/14
B41J3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172311
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉木 裕一
【テーマコード(参考)】
2C055
3F048
【Fターム(参考)】
2C055AA00
2C055AA02
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC04
3F048BA05
3F048BB09
3F048BB10
3F048CA04
3F048CC01
3F048DA06
3F048DC12
(57)【要約】
【課題】ラベル部が形成された用紙のラベル部の間の部分の誤検出を低減すること。
【解決手段】印刷システムは、印字面に所定の間隔でラベル部が形成された用紙を搬送する搬送部を制御する搬送制御部と、搬送部により搬送される用紙に光を照射し、照射した光の反射光を検知するセンサと、センサの出力を検出する検出部と、検出部が検出したセンサの出力に基づいて、電圧の変化量を算出する変化量算出部と、変化量算出部が算出した電圧の変化量に基づいて、隣り合うラベル部の間の部分を検出したことを判定する判定部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字面に所定の間隔でラベル部が形成された用紙を搬送する搬送部を制御する搬送制御部と、
前記搬送部により搬送される前記用紙に光を照射し、照射した前記光の反射光を検知するセンサと、
前記センサの出力を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記センサの前記出力に基づいて、電圧の変化量を算出する変化量算出部と、
前記変化量算出部が算出した電圧の前記変化量に基づいて、隣り合う前記ラベル部の間の部分を検出したことを判定する判定部と
を備える、印刷システム。
【請求項2】
前記変化量算出部は、所定のドットライン前の電圧値との間の差を算出する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記判定部は、電圧の前記変化量が継続して所定の閾値以上となる期間が所定の条件を満たした場合に、当該期間において隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を開始したと判定する、請求項1又は請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記判定部は、隣り合う前記ラベル部の間の部分を検出したと判定した後に、電圧の前記変化量が継続して所定の閾値以下となる期間が所定の条件を満たした場合に、当該期間において隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を終了したと判定する、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記判定部は、隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を開始したと判定してから、検出を終了したと判定するまでに前記用紙が搬送されたドット数が所定の範囲に含まれる場合に、隣り合う前記ラベル部の間の前記部分を検出したと判定する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記判定部は、隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を開始したと判定してから、検出を終了したと判定するまでに前記用紙が搬送されたドット数が所定の範囲に含まれない場合に、前記用紙がばたついていると判定する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記判定部は、隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を開始したと判定した後に、電圧の前記変化量が継続して所定の閾値以下となる期間が所定の条件を満たす場合に、用紙がないと判定する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記ラベル部の間の部分を検出してから前記用紙が搬送されたドット数に基づいて前記検出部がラベル部を検出しているか否かを判定し、前記検出部が前記ラベル部を検出しているか否かの判定結果に基づいて、ラベル部の間の部分を検出する処理を無効にするか否かを判定する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項9】
印刷システムが実行する検出方法であって、
印字面に所定の間隔でラベル部が形成された用紙を搬送する搬送部を制御するステップと、
センサが、前記搬送部により搬送される前記用紙に光を照射し、照射した前記光の反射光を検知するステップと、
前記センサの出力を検出するステップと、
検出する前記ステップで検出した前記センサの前記出力に基づいて、電圧の変化量を算出するステップと、
電圧の変化量を算出する前記ステップで算出した電圧の前記変化量に基づいて、隣り合う前記ラベル部の間の部分を検出したことを判定するステップと
を有する、検出方法。
【請求項10】
印刷システムのコンピュータに、
印字面に所定の間隔でラベル部が形成された用紙を搬送する搬送部を制御するステップと、
前記搬送部により搬送される前記用紙に光を照射し、照射した前記光の反射光を検知するセンサの出力を検出するステップと、
検出する前記ステップで検出した前記センサの前記出力に基づいて、電圧の変化量を算出するステップと、
電圧の変化量を算出する前記ステップで算出した電圧の前記変化量に基づいて、隣り合う前記ラベル部の間の部分を検出したことを判定するステップと
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、検出方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタなどの印刷システムに関して、用紙面に設けられた検出領域を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、搬送部が、用紙面の少なくとも一部に印字位置を決定するためのマークが設けられた用紙を搬送し、取得部が、搬送部により搬送される用紙面のマークを光学的に検出するセンサからの検出信号を、用紙が搬送されることに応じて所定の間隔で取得し、検出部が、所定の間隔で取得した検出信号の変化量の積算値に基づいてマークを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-132087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した技術では、用紙面に設けられたマークの部分の反射率と、マークが設けられていない部分の反射率との差を利用して、マークが検出される。このため、仮にマークが設けられていないラベル部が形成されたラベル用紙を利用する場合には、ラベル部の反射率とラベル部の間の部分の反射率との差からラベル部の間の部分の検出を行うことになる。以降、ラベル部の間の部分を「ギャップ部」と呼ぶ場合がある。
ラベル部の反射率とギャップ部の反射率との差は非常に小さい。この差よりも、ラベル用紙がばたつくことによる反射率の変化量の方が大きい場合がある。このため、ラベル用紙のばたつきをギャップ部と誤検出してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、ラベル部が形成された用紙のラベル部の間の部分の誤検出を低減できる印刷システム、検出方法、及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述の課題に鑑み、本発明の一態様に係る印刷システムは、印字面に所定の間隔でラベル部が形成された用紙を搬送する搬送部を制御する搬送制御部と、前記搬送部により搬送される前記用紙に光を照射し、照射した前記光の反射光を検知するセンサと、前記センサの出力を検出する検出部と、前記検出部が検出した前記センサの前記出力に基づいて、電圧の変化量を算出する変化量算出部と、前記変化量算出部が算出した電圧の前記変化量に基づいて、隣り合う前記ラベル部の間の部分を検出したことを判定する判定部とを備える
【0007】
(2)本発明の一態様に係る印刷システムにおいて、前記変化量算出部は、所定のドットライン前の電圧値との間の差を算出するようにしてもよい。
【0008】
(3)本発明の一態様に係る印刷システムにおいて、前記判定部は、電圧の前記変化量が継続して所定の閾値以上となる期間が所定の条件を満たした場合に、当該期間において隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を開始したと判定するようにしてもよい。
【0009】
(4)本発明の一態様に係る印刷システムにおいて、前記判定部は、隣り合う前記ラベル部の間の部分を検出したと判定した後に、電圧の前記変化量が継続して所定の閾値以下となる期間が所定の条件を満たした場合に、当該期間において隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を終了したと判定するようにしてもよい。
【0010】
(5)本発明の一態様に係る印刷システムにおいて、前記判定部は、隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を開始したと判定してから、検出を終了したと判定するまでに前記用紙が搬送されたドット数が所定の範囲に含まれる場合に、隣り合う前記ラベル部の間の前記部分を検出したと判定するようにしてもよい。
【0011】
(6)本発明の一態様に係る印刷システムにおいて、前記判定部は、隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を開始したと判定してから、検出を終了したと判定するまでに前記用紙が搬送されたドット数が所定の範囲に含まれない場合に、前記用紙がばたついていると判定するようにしてもよい。
【0012】
(7)本発明の一態様に係る印刷システムにおいて、前記判定部は、隣り合う前記ラベル部の間の部分の検出を開始したと判定した後に、電圧の前記変化量が継続して所定の閾値以下となる期間が所定の条件を満たす場合に、用紙がないと判定するようにしてもよい。
【0013】
(8)本発明の一態様に係る印刷システムにおいて、前記判定部は、前記ラベル部の間の部分を検出してから前記用紙が搬送されたドット数に基づいて前記検出部がラベル部を検出しているか否かを判定し、前記検出部が前記ラベル部を検出しているか否かの判定結果に基づいて、ラベル部の間の部分を検出する処理を無効にするか否かを判定するようにしてもよい。
【0014】
(9)本発明の一態様に係る検出方法は、印刷システムが実行する検出方法であって、印字面に所定の間隔でラベル部が形成された用紙を搬送する搬送部を制御するステップと、センサが、前記搬送部により搬送される前記用紙に光を照射し、照射した前記光の反射光を検知するステップと、前記センサの出力を検出するステップと、検出する前記ステップで検出した前記センサの前記出力に基づいて、電圧の変化量を算出するステップと、電圧の変化量を算出する前記ステップで算出した電圧の前記変化量に基づいて、隣り合う前記ラベル部の間の部分を検出したことを判定するステップとを有する。
【0015】
(10)本発明の一態様に係る検コンピュータプログラムは、印刷システムのコンピュータに、印字面に所定の間隔でラベル部が形成された用紙を搬送する搬送部を制御するステップと、前記搬送部により搬送される前記用紙に光を照射し、照射した前記光の反射光を検知するセンサの出力を検出するステップと、検出する前記ステップで検出した前記センサの前記出力に基づいて、電圧の変化量を算出するステップと、電圧の変化量を算出する前記ステップで算出した電圧の前記変化量に基づいて、隣り合う前記ラベル部の間の部分を検出したことを判定するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ラベル部が形成された用紙のラベル部の間の部分の誤検出を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態の印刷システムによって取得される波形の例1を示す図である。
図3】本実施形態の印刷システムによって取得される波形の例2を示す図である。
図4】本実施形態の印刷システムによって取得される波形の例3を示す図である。
図5】一実施形態に係るプリンタ装置の斜視図である。
図6】一実施形態に係る記録紙Pの平面図である。
図7】一実施形態に係る印字ユニットの正面側斜視図である。
図8】一実施形態に係る印字ユニットの正面側分解斜視図である。
図9】一実施形態に係る印字ユニットの背面側斜視図である。
図10】一実施形態に係る印字ユニットの正面図である。
図11図10に示す矢視VII-VII断面図である。
図12】一実施形態に係る印字ユニットの電装関係の正面側分解斜視図である。
図13】本実施形態の印刷システムのセンサの一例を示す図である。
図14】本実施形態の印刷システムの動作の例1を示すフロー図である。
図15】本実施形態の印刷システムの動作の例2を示すフロー図である。
図16】本実施形態の印刷システムの動作の例3を示すフロー図である。
図17】センサの出力の一例を示す図である。
図18】実施形態の変形例の印刷システムの動作を示す図である。
図19】実施形態の変形例の印刷システムの動作の例1を示すフロー図である。
図20】実施形態の変形例の印刷システムの動作の例2を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本実施形態の印刷システム、検出方法、及びコンピュータプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0019】
(実施形態)
(印刷システム)
図1は、本実施形態の印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。図示するように、印刷システム1は、プリンタ装置8にコマンドを送信するホスト端末2と、ホスト端末2が送信したコマンドと、印刷データとを受信し、受信したコマンドと、印刷データとに基づいて処理を行うプリンタ装置8とを備える。印刷システム1は、記録紙を搬送する。記録紙には、印字面に所定の間隔で剥離可能なラベル部が形成されている。印刷システム1は、センサを備え、センサは、搬送される記録紙に光を照射し、照射した光の反射光を検知し、光の反射光の検知結果を出力する。印刷システム1は、センサの出力を検出し、検出した出力に基づいて、電圧の変化量を算出する。印刷システム1は、電圧の変化量の算出結果に基づいて、隣り合うラベル部の間の部分を検出したことを判定する。以下、印刷システム1を構成するホスト端末2と、プリンタ装置8とについて順に説明する。
【0020】
(ホスト端末)
ホスト端末2は、通信部2-1と、記憶部2-2と、操作部2-3と、情報処理部2-4と、表示部2-5とを備える。
通信部2-1は、通信モジュールによって実現される。具体的には、通信部2-1は、無線LAN(登録商標)等の無線通信技術で無線通信を行う無線デバイスによって構成される。また、通信部2-1は、有線通信を行うデバイスによって構成されてもよい。ここでは、通信部2-1が、無線通信技術で無線通信を行う無線デバイスによって構成される場合について説明を続ける。
通信部2-1は、ネットワークを介して、プリンタ装置8などの外部の装置と通信する。具体的には、通信部2-1は、プリンタ装置8が送信したステータス情報を受信し、受信したステータス情報を情報処理部2-4に出力する。ここで、ステータス情報は、プリンタ装置8の状態を通知するための情報である。また、通信部2-1は、情報処理部2-4が出力した印刷データを取得し、取得した印刷データをプリンタ装置8に送信する。また、通信部2-1は、情報処理部2-4が出力したコマンドを取得し、取得したコマンドをプリンタ装置8に送信する。
【0021】
記憶部2-2は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部2-2には、情報処理部2-4により実行されるプログラムが記憶される。
操作部2-3は、ユーザインタフェースであり、入力部及び出力部を備える。入力部は、例えばキーボタンやタッチパネルである。キーボタンは、スタートキー、ストップキー、テンキー、クリアキー、リセットキー等である。スタートキーは、印刷動作を開始するためのキーボタンである。ストップキーは、印刷動作を中断するためのキーボタンである。テンキーは、数値設定等を行うためのキーボタンである。出力部は、本実施形態では表示部2-5である。表示部2-5は、画像の表示の他にタッチパネルとして機能する。表示部2-5は、印刷処理時の設定画面を表示する。ユーザは、この設定画面から、表示部2-5のタッチパネル機能やキーボタンの操作により、サイズ変更、濃度等の設定を行うことができる。
【0022】
情報処理部2-4は、通信部2-1が出力したステータス情報を取得し、取得したステータス情報に含まれるプリンタ装置8の状態を示す情報を取得する。情報処理部2-4は、取得したプリンタ装置8の状態を示す情報に基づいて、プリンタ装置8の状態を監視する。具体的には、情報処理部2-4は、プリンタ装置8が印刷中であるか否かを監視する。また、情報処理部2-4は印刷データを生成し、生成した印刷データを通信部2-1に出力する。また、情報処理部2-4はコマンドを生成し、生成したコマンドを通信部2-1に出力する。
情報処理部2-4の全部または一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部2-2に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。なお、情報処理部2-4の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0023】
(プリンタ装置)
プリンタ装置8は、処理部5と、メカニズム部9とを備える。処理部5は、通信部5-1と、記憶部5-2と、コマンド解析部5-3と、印刷データ作成部5-4と、印刷部制御部5-5と、搬送制御部5-6と、検出部5-7と、変化量算出部5-8と、判定部5-9とを備える。
通信部5-1は、通信モジュールによって実現される。具体的には、通信部5-1は、無線LAN(登録商標)等の無線通信技術で無線通信を行う無線デバイスによって構成される。また、通信部5-1は、有線通信を行うデバイスによって構成されてもよい。ここでは、通信部5-1が、無線通信技術で無線通信を行う無線デバイスによって構成される場合について説明を続ける。
通信部5-1は、ネットワークを介して、ホスト端末2などの外部の装置と通信する。具体的には、通信部5-1は、ホスト端末2が送信したコマンドと、印刷データとを受信する。また、通信部5-1は、印刷部制御部5-5が出力したステータス情報を取得し、取得したステータス情報をホスト端末2に送信する。
【0024】
記憶部5-2は、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部5-2は、プリンタ装置8に印刷を実行させるための制御用プログラムなどが記憶されている。
コマンド解析部5-3は、通信部5-1が受信したコマンドを取得し、取得したコマンドを解析する。
印刷データ作成部5-4は、通信部5-1が受信した印刷データを取得し、取得した印刷データに基づいて、印刷のイメージデータを作成する。
印刷部制御部5-5は、印刷データ作成部5-4が作成したイメージデータを取得し、取得したイメージデータに基づいて、サーマルヘッドに印刷させるための制御信号を作成する。印刷部制御部5-5は、作成した制御信号を印字ユニット10に出力する。また、印刷部制御部5-5は、コマンド解析部5-3からコマンドの解析結果を取得し、取得したコマンドの解析結果に基づいて処理を行う。具体的には、印刷部制御部5-5は、コマンドの解析結果が、リセットである場合には、プリンタ装置8をリセット(再起動)する。また、印刷部制御部5-5は、ステータス情報を作成し、作成したステータス情報を通信部5-1へ出力する。
【0025】
搬送制御部5-6は、印刷データ作成部5-4が作成したイメージデータを取得し、取得したイメージデータに基づいて、ステッピングモータを駆動させる制御信号を作成し、作成した制御信号を印字ユニット10に出力する。
検出部5-7は、センサ81が光の反射光の検知結果に基づいて出力する電圧値を検出する。検出部5-7の一例は、1ドットラインごとにセンサ81が出力する電圧値を検出する。検出部5-7は、センサ81が出力する電圧値の検出結果に基づいて、電圧波形を取得する。 変化量算出部5-8は、検出部5-7が取得した電圧波形に基づいて、電圧の変化量を算出する。変化量算出部5-8の一例は、NSlpドットライン前の電圧値と現在ドットの電圧値との間の変化量を算出する。具体的には、変化量算出部5-8は、式(1)に基づいて、変化量を算出する。
ΔVSen=VSen(N)-VSen(N-NSlp) (1)
式(1)において、ΔVSenはセンサが出力した電圧の変化量[V]であり、VSen(N)は現在のセンサ出力[V]であり、VSen(N-NSlp)は現在のドットに対してNSlpドット前のセンサ出力[V]である。
変化量算出部5-8は、変化量の算出結果に基づいて、変化量波形を取得する。
判定部5-9は、変化量算出部5-8が取得した変化量波形に基づいて、波形の立ち上がりと、波形の立ち下がりとを判定する。判定部5-9は、波形の立ち上がりの判定結果と、波形の立ち下がりの検出結果とに基づいて、ノイズと、ギャップと、紙無しとのいずれかを判定する。
【0026】
図2から図4を参照して、変化量波形について説明する。
図2は、本実施形態の印刷システムによって取得される波形の例1を示す図である。図2において、横軸は紙送りドット数[ドットライン]であり、縦軸は電圧[V]である。図2において、上図は電圧波形の一例であり、下図は変化量波形の一例である。図2は、判定部5-9が、変化量波形に基づいてギャップ部を検出する場合を示す。
判定部5-9は、変化量波形に基づいて電圧値が正の変化量に対する閾値(以下「立ち上がり電圧閾値」という)をドットライン数閾値NPrThr連続して越えているか否かを判定する。判定部5-9は、電圧値が立ち上がり電圧閾値をドットライン数閾値NPrThr連続して越えている場合に立ち上がりを検出したと判定する。判定部5-9は、立ち上がりを検出したと判定した場合に紙送りドット数のカウントを開始する。
判定部5-9は、紙送りドット数のカウントを開始した後に、変化量波形に基づいて電圧値が負の変化量に対する閾値(以下「立ち下がり電圧閾値」という)をドットライン数最小閾値NMinThr連続して越えていないか否かを判定する。判定部5-9は、電圧値が立ち下がり電圧閾値をドットライン数最小閾値NMinThr連続して越えていない場合に、立ち下がりが開始したと判定する。判定部5-9は、電圧値が立ち下がり電圧閾値を越える場合に、立ち下がり終了と判定する。判定部5-9は、立ち下がり終了と判定した場合に紙送りドット数のカウントを停止する。判定部5-9は、紙送りドット数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満であるか否かを判定する。判定部5-9は、紙送りドット数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満である場合にキャップ部を検出したと判定する。
【0027】
図3は、本実施形態の印刷システムによって取得される波形の例2を示す図である。図3において、横軸は紙送りドット数[ドットライン]であり、縦軸は電圧[V]である。図3において、上図は電圧波形の一例であり、下図は変化量波形の一例である。図3は、判定部5-9が、変化量波形に基づいて、紙のばたつき部を検出する場合を示す。
判定部5-9は、変化量波形に基づいて、電圧値が立ち上がり電圧閾値をドットライン数最小閾値NMinThr連続して越えているか否かを判定する。判定部5-9は、電圧値が立ち上がり電圧閾値をドットライン数最小閾値NMinThr連続して越えている場合に、立ち上がりを検出したと判定する。判定部5-9は、立ち上がりを検出したと判定した場合に紙送りドット数のカウントを開始する。
判定部5-9は、紙送りドット数のカウントを開始した後に、変化量波形に基づいて、電圧値が立ち下がり電圧閾値をドットライン数閾値NPrThr連続して越えていないか否かを判定する。判定部5-9は、立ち下がり電圧閾値をドットライン数閾値NPrThr連続して越えていない場合に、立ち下がりが開始したと判定する。判定部5-9は、電圧値が立ち下がり電圧閾値を越える場合に、立ち下がり終了と判定する。判定部5-9は、立ち下がり終了と判定した場合に紙送りドット数のカウントを停止する。判定部5-9は、紙送りドット数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満に含まれるか否かを判定する。判定部5-9は、紙送りドット数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満に含まれない場合に紙がばたついている、換言すればばたつき部を検出したと判定する。
【0028】
図4は、本実施形態の印刷システムによって取得される波形の例3を示す図である。図3において、横軸は紙送りドット数[ドットライン]であり、縦軸は電圧[V]である。図4において、上図は電圧波形の一例であり、下図は変化量波形の一例である。図4は、判定部5-9が、変化量波形に基づいて、紙無し部を検出する場合を示す。
判定部5-9は、変化量波形に基づいて、電圧値が立ち上がり電圧閾値をドットライン数閾値NPrThr連続して越えているか否かを判定する。判定部5-9は、電圧値が立ち上がり電圧閾値をドットライン数閾値NPrThr連続して越えている場合に、立ち上がりと判定する。判定部5-9は、立ち上がりと判定した場合に紙送りドット数のカウントを開始する。
判定部5-9は、紙送りドット数のカウントを開始した後に、変化量波形に基づいて、電圧値が立ち下がり電圧閾値をドットライン数最小閾値NMinThr連続して越えていないか否かを判定する。判定部5-9は、電圧値が立ち下がり電圧閾値をドットライン数最小閾値NMinThr連続して越えていない場合に、立ち下がりが開始したと判定する。判定部5-9は、紙送りドットライン数閾値NNoPap紙送りを行っても立ち下がりを検出しない場合、紙がなくなった、換言すれば、紙無し部を検出したと判定する。図1に戻り説明を続ける。
【0029】
コマンド解析部5-3、印刷データ作成部5-4、印刷部制御部5-5、搬送制御部5-6、検出部5-7、変化量算出部5-8、及び判定部5-9の全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部5-2に格納された制御用プログラムを実行することにより実現されるソフトウェア機能部である。なお、コマンド解析部5-3、印刷データ作成部5-4、印刷部制御部5-5、搬送制御部5-6、検出部5-7、変化量算出部5-8、及び判定部5-9の全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0030】
メカニズム部9は、印字ユニット10と、センサ81とを備える。印字ユニット10と、センサ81とについて説明する。
図5は、一実施形態に係るプリンタ装置の斜視図である。図5に示すように、プリンタ装置8は、記録紙Pを印刷可能に構成されたものである。記録紙Pは、熱を加えると発色する感熱紙であり、各種ラベルやレシート、チケット等の印刷等に好適に使用される。記録紙Pは、中空孔を有するように巻回されたロール紙Rの状態でプリンタ装置8にセットされ、ロール紙Rから引き出された部分に対して印刷が行われる。
【0031】
プリンタ装置8は、ケーシング3と、表示部4と、処理部5と、印字ユニット10とを有する。ケーシング3は、ABS(Acrylonitrile butadiene styrene)やABSとポリカーボネートとの複合材等のプラスチックや金属材料により中空箱状に形成されている。ケーシング3は、直方体状の本体部6と、本体部6の長手方向の一端部において、本体部6の厚み方向の一方側に突出したロール紙収容部7と、を有する。
【0032】
本体部6の長手方向の一端部には、印字ユニット10が収容されている。また、本体部6の長手方向の一端部の端面には、排出口3aが形成されている。排出口3aは、印字ユニット10を通って印刷された記録紙Pが排出される。本体部6の厚み方向においてロール紙収容部7と反対側の主面には、表示部4が配置されている。表示部4は、例えば液晶パネルであって、処理部5に接続されて各種の情報を表示する。ロール紙収容部7には、ロール紙Rが収容されている。
【0033】
(記録紙)
図6は、一実施形態に係る記録紙Pの平面図である。
図6に示すように、記録紙Pは、用紙の印字面に所定の間隔で剥離可能な複数のラベル部P1が形成されている。ラベル部P1は、記録紙Pの印字面と反対側の剥離紙P3(ベース紙)に接着された感熱層を矩形にダイカットしたものであり、記録紙Pの長手方向に間隔をあけて複数形成されている。ラベル部P1の周囲には、枠状のライナーP2が形成されている。ラベル部P1は、ライナーP2を残して剥離紙P3から剥離可能とされている。このように、本実施形態の記録紙Pは、ライナーP2有りのラベル剥離紙である。記録紙Pは、矢印の方向に搬送される。隣り合うラベルP1の間の剥離紙P3の部分をギャップ部Gと呼ぶ。図6において、(1)はヘッド端面の位置を示し、(2)は発熱体の位置を示し、(3)は紙無しと判定される場合のセンサ81の位置を示す。
【0034】
(印字ユニット)
図7は、一実施形態に係る印字ユニットの正面側斜視図である。図8は、一実施形態に係る印字ユニットの正面側分解斜視図である。図9は、一実施形態に係る印字ユニットの背面側斜視図である。
図7に示すように、印字ユニット10は、従動ギヤ56を有するプラテンローラ51と、プラテンローラ51を回転させるモータ61と、プラテンローラ51を回転可能に支持するとともにモータ61が組み付けられる本体フレーム11と、モータ61の駆動力を減速して従動ギヤ56に伝達する第1減速ギヤ65および第2減速ギヤ66と、プラテンローラ51の周面に圧接されるサーマルヘッド41と、を有する。
【0035】
印字ユニット10は、プラテンローラ51とサーマルヘッド41との間を通った記録紙Pを矢印Aが指向する方向に向かって排出する。以下、主に印字ユニット10の説明では、矢印Aに沿う方向を上下方向L1と定義する。また、プラテンローラ51の回転軸が延びる軸方向であって、上下方向L1と直交する方向を左右方向L2と定義する。さらに、上下方向L1および左右方向L2に直交する方向を前後方向L3と定義する。
【0036】
なお、上下方向L1において、記録紙Pが排出される側(矢印Aが指す側)を上と定義し、その反対側を下と定義する。また、左右方向L2において、モータ61が配置されている側を右と定義し、その反対側を左と定義する。また、前後方向L3において、プラテンローラ51が配置されている側を前と定義し、その反対のサーマルヘッド41が配置されている側を後と定義する。
【0037】
本体フレーム11は、例えばガラス繊維を含むポリカーボネート樹脂等の板材により形成されている。本体フレーム11は、上下方向L1から見て前方に向けて開放されたU字状に形成されている。具体的に、本体フレーム11は、左右方向L2に延在する背板部12と、背板部12の左右方向L2における一方側(左側)の端部から前方に向けて立設された第1側壁部13と、背板部12の左右方向L2における他方側(右側)の端部から前方および下方に向けて立設された第2側壁部14と、第1側壁部13と第2側壁部14との間に設けられた紙ガイド部20と、を有する。
【0038】
背板部12は、前後方向L3に厚みを有する板状に形成されている。第1側壁部13は、左右方向L2に厚みを有する板状に形成されている。第1側壁部13の上端縁には、下方に向けて切り込まれた第1ローラ挿入溝16Aが形成されている。第2側壁部14は、左右方向L2に厚みを有する板状に形成されている。第2側壁部14の上端縁には、下方に向けて切り込まれた第2ローラ挿入溝16Bが形成されている。
【0039】
第2ローラ挿入溝16Bは、左右方向L2から見た形状および形成位置が第1ローラ挿入溝16Aと一致するように形成されている。第1ローラ挿入溝16Aおよび第2ローラ挿入溝16Bには、プラテンローラ51が着脱可能に挿入される。第2側壁部14は、背板部12の左右方向L2における他方側(右側)の端部から前方に向かって延び、さらに下方に向かって延びている。
【0040】
第2側壁部14のうち、第2側壁部14と背板部12との接続部よりも下側には、モータ61が取り付けられている。モータ61は、第2側壁部14に対して左右方向L2の内側から取り付けられるとともに、モータ61の出力軸61Aが第2側壁部14を貫通して第2側壁部14の左右方向L2の外側に突出している。モータ61は、図示しない配線パターンがプリント配線されたフレキシブルプリント基板71を介して、処理部5に接続されている。モータ61は、処理部5からの信号に基づいて駆動する。
【0041】
第2側壁部14の外側には、ギヤボックス部17が形成されている。ギヤボックス部17は、第2側壁部14の周縁から左右方向L2の外側に向かって立設された周壁部18を有する。周壁部18は、左右方向L2から見て上方に向けて開放されたU字状に形成されている。ギヤボックス部17は、左右方向L2の外側に向かって開口している。
【0042】
周壁部18の前側の上端縁、および後側の上端縁には、下方に向かって凹む凹部19がそれぞれ形成されている。一対の凹部19は、前後方向L3から見て互いに形状および位置が一致するように形成されている。また、周壁部18の下部には、孔部18aが形成されている。これら一対の凹部19及び孔部18aには、ギヤボックス部17を覆う図示しないカバー部材が係合する。
【0043】
ギヤボックス部17の内部には、第1減速ギヤ65および第2減速ギヤ66が組み付けられている。図8に示すように、第1減速ギヤ65は、第2側壁部14から立設された第1回転軸67により回転自在に支持されている。第1減速ギヤ65は、モータ61の出力軸61Aに噛合している。第2減速ギヤ66は、第1回転軸67よりも上方において第2側壁部14から立設された第2回転軸68により回転自在に支持されている。第2減速ギヤ66は、第1減速ギヤ65に噛合している。
【0044】
紙ガイド部20は、左右方向L2に沿って延びる略直角三角形の柱状に形成されている。紙ガイド部20は、左右方向L2の一方側(左側)の端部が第1側壁部13の内側面に接続するとともに、左右方向L2の他方側(右側)の端部が第2側壁部14の内側面に接続している。紙ガイド部20には、前後方向L3から見て下方に向かって凹む一対の取付部20aが形成されている。
【0045】
一対の取付部20aは、左右方向L2に間隔をあけて形成されている。取付部20aの底部には、取付部20aの底部を上下方向に貫通する貫通孔20bが設けられている。本体フレーム11は、紙ガイド部20の貫通孔20bにボルト等の締結部材を挿通させて、ケーシング3に対して取り付けられている。
【0046】
サーマルヘッド41は、記録紙Pに対して印刷を行うものである。サーマルヘッド41は、前後方向L3から見て左右方向L2を長手方向とした矩形状に形成されている。サーマルヘッド41は、その長手方向と記録紙Pの幅方向とが一致した状態で配置されている。サーマルヘッド41のヘッド面41aには、左右方向L2に多数の発熱素子42が配列されている。
【0047】
ヘッド面41aは、記録紙Pの印字面と対向しており、プラテンローラ51の外周面との間で記録紙Pを挟持し得るようになっている。サーマルヘッド41は、フレキシブルプリント基板71を介して、処理部5に接続され、サーマルヘッド41上に搭載されたドライバーIC(不図示)が、処理部5からの信号に基づいて、発熱素子42の発熱を制御している。サーマルヘッド41は、発熱素子42の発熱が制御されて、各種の文字や図形等を記録紙Pの印字面へ印刷する。
【0048】
サーマルヘッド41は、本体フレーム11に支持されたヘッド支持体45に貼り付け固定されている。ヘッド支持体45は、左右方向L2を長手方向とした板状の部材であり、前面にサーマルヘッド41が貼り付け固定されている。ヘッド支持体45は、第1側壁部13と第2側壁部14との間に配置されているとともに、背板部12と紙ガイド部20との間に配置されている。
【0049】
図9に示すように、ヘッド支持体45と背板部12との間には、ヘッド支持体45と背板部12とを互いに離間させる方向に向けて付勢する弾性部材46が介装されている。すなわち、弾性部材46は、ヘッド支持体45を前方に向けて常に押圧するように構成されている。弾性部材46は、左右方向L2に間隔をあけて複数(本実施形態では3個)配列されている。
【0050】
図8に示すように、ヘッド支持体45の上端部には、ヘッド支持体45の回動範囲を規制するための一対のストッパ45aが形成されている。一対のストッパ45aは、略四角柱状に形成され、ヘッド支持体45における左右方向L2の外側に向けて延出している。一対のストッパ45aは、本体フレーム11の第1側壁部13の上部に形成された矩形状の孔部13a、および第2側壁部14の上部に形成された矩形状の孔部14a内に挿入されている。ストッパ45aは、ヘッド支持体45の回動に伴って孔部13a、孔部14a内を移動し、孔部13a、孔部14aの内壁面に接触可能に構成されている。ストッパ45aは、孔部13a、孔部14aの内壁面に接触することにより、ヘッド支持体45の回動量を規制している。
【0051】
図7に示すように、プラテンローラ51は、サーマルヘッド41に対向配置され、サーマルヘッド41との間に記録紙Pを挟んだ状態で回転することで、記録紙Pを矢印Aの指向する方向に送り出す。プラテンローラ51は、ローラシャフト52と、ローラシャフト52に外装されたローラ本体53と、ローラシャフト52の両端に装着された一対の軸受54と、を有する。ローラシャフト52は、本体フレーム11の第1側壁部13と第2側壁部14との離間距離よりやや長く形成されている。ローラ本体53は、例えばゴム等により形成され、左右方向L2に沿って、ローラシャフト52の両端を除く全体に亘って一様に配置されている。
【0052】
プラテンローラ51は、両端に装着された一対の軸受54が本体フレーム11の第1ローラ挿入溝16Aおよび第2ローラ挿入溝16Bに挿入される。これによりプラテンローラ51は、本体フレーム11に対して回転可能に、かつ着脱可能に保持される。プラテンローラ51は、第1ローラ挿入溝16Aおよび第2ローラ挿入溝16Bに挿入された状態において、ロール紙Rから引き出された記録紙Pを間に挟み、ローラ本体53がサーマルヘッド41に対して接触するように設けられている。
【0053】
図7に示すように、プラテンローラ51の左右方向L2における他方側(右側)の端部には、従動ギヤ56が固定されている。従動ギヤ56は、プラテンローラ51が第1側壁部13および第2側壁部14に保持されたときに、ギヤボックス部17の上部に組み付けられる。この際、従動ギヤ56は、左右方向L2から見て第2減速ギヤ66と重なるとともに第2減速ギヤ66よりも内側に配置され、第2減速ギヤ66に噛合している。これにより、モータ61からの回転駆動力は、第1減速ギヤ65および第2減速ギヤ66を介して従動ギヤ56に伝達される。プラテンローラ51は、第1側壁部13および第2側壁部14に保持された状態で回転し、記録紙Pを送り出すことができる。
【0054】
図10は、一実施形態に係る印字ユニットの正面図である。図11は、図10に示す矢視VII-VII断面図である。図12は、一実施形態に係る印字ユニットの電装関係の正面側分解斜視図である。
図11に示すように、紙ガイド部20は、サーマルヘッド41による印字エリア100に向かって、鋭角方向から記録紙Pを挿入するガイド斜面21を有している。
【0055】
ここで印字エリア100とは、発熱素子42が設けられたサーマルヘッド41のヘッド面41aであって、プラテンローラ51に対向する領域を言う。印字エリア100は、狭義にはヘッド面41aのうち、プラテンローラ51の周面に圧接している領域を言う。本実施形態の印字エリア100は、上下方向L1及び左右方向L2に延びる平面領域となっている。
【0056】
ガイド斜面21は、印字エリア100に対して角度θ1で傾斜している。角度θ1は、印字エリア100を基準面の0°としたときに、90°未満の鋭角となっている。角度θ1は、57.5°以下の鋭角であるとよい。これにより、記録紙Pに強い曲げを加えずに、ラベル部P1の剥離を防止して、記録紙Pを印字エリア100に挿入することができる。つまり、角度θ1の上限は、57.5°であるとよい。
【0057】
一方、角度θ1の下限は、角度θ2であるとよい。角度θ2は、印字エリア100からモータ61の周面61aに引いた接線101が、印字エリア100に対してなす角度である。モータ61の周面61aは、図7に示すように、記録紙Pの通紙経路内に配置されており、記録紙Pをガイドしている。角度θ1が角度θ2未満である場合、ガイド斜面21に対して記録紙Pが浮くため好ましくない。つまり、ガイド斜面21は、印字エリア100に対して角度θ2以上の角度で傾斜しているとよい。
【0058】
本実施形態のガイド斜面21は、印字エリア100に対して37.5°の鋭角で傾斜している。ガイド斜面21を37.5°にすることで、センサ81をガイド斜面21にレイアウトするために必要な最小限の内部スペースを紙ガイド部20に確保することができる。このように、角度θ1は、角度θ2以上且つ57.5°以下、より好ましくは37.5°以上且つ57.5°以下であるとよい。
【0059】
図10に示すように、ガイド斜面21には、センサ81を配置する開口部22が形成されている。開口部22は、正面視でT字状に形成されている。開口部22は、ガイド斜面21の左右方向において、一対の取付部20aの間に配置されている。開口部22は、一対の取付部20aの間において、左右方向の一方側(左側)の取付部20a寄りに配置されている。
【0060】
開口部22には、記録紙Pを検出するセンサ81が配置されている。
図13は、本実施形態の印刷システムのセンサの一例を示す図である。センサ81の一例は、フォトリフレクタである。フォトリフレクタは発光素子と受光素子とを有し、検出物体の反射光によって物体の存在(有無)と位置とを検知する。なお、センサ81は、フォトリフレクタ以外の非接触式のセンサであってもよい。また、センサ81は、接触式のセンサであっても構わない。センサ81は、図12に示すように、フレキシブルプリント基板71に設けられている。
【0061】
フレキシブルプリント基板71は、発熱素子42に接続されたヘッド接続部72と、モータ61に接続されたモータ接続部73と、センサ81に接続されたセンサ接続部74と、を備えている。センサ接続部74及びセンサ81は、センサホルダ91とともに、紙ガイド部20の開口部22に対し、紙ガイド部20の底面側から挿入されている。センサホルダ91は、樹脂成形部品であり、紙ガイド部20の開口部22に対し着脱可能に係合している。
【0062】
(印刷システムの動作)
図14は、本実施形態の印刷システムの動作の例1を示すフロー図である。図14は、主に、印刷システム1のプリンタ装置8が行う立ち上がり検出処理を示す。
(ステップS1-1)
プリンタ装置8において、検出部5-7は、センサ81が光の反射光の検知結果に基づいて出力する電圧値を検出し、センサ81が出力する電圧値の検出結果に基づいて、電圧波形を取得する。変化量算出部5-8は、検出部5-7が取得した電圧波形に基づいて、電圧の変化量を算出する。判定部5-9は、変化量算出部5-8が取得した変化量波形に基づいて、最初の立ち上がり検出処理であるか否かを判定する。
(ステップS2-1)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、最初の立ち上がり検出処理であると判定した場合に、立ち上がり検出の際の用紙送りドットライン数(以下「立ち上がり検出用紙送りドットライン数」という)をゼロとする。
(ステップS3-1)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、電圧の変化量が正の変化量であるか否かを判定する。
(ステップS4-1)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、電圧の変化量が正の変化量である場合に、電圧の変化量が閾値(立ち上がり電圧閾値)より大きいか否かを判定する。
【0063】
(ステップS5-1)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、電圧の変化量が正の変化量でない場合又は電圧の変化量が閾値以下である場合に立ち上がり検出用紙送りドットライン数をゼロとする。その後終了する。
(ステップS6-1)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、電圧の変化量が閾値より大きい場合に立ち上がり検出用紙送りドットライン数をカウントアップする。
(ステップS7-1)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち上がり検出用ドットライン数がドットライン数最小閾値NMinThr以上であるか否かを判定する。立ち上がり検出用ドットライン数がドットライン数最小閾値NMinThr未満である場合には終了する。
(ステップS8-1)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち上がり検出用ドットライン数がドットライン数最小閾値NMinThr以上である場合に、立ち上がりを検出したと判定する。
【0064】
図15は、本実施形態の印刷システムの動作の例2を示すフロー図である。図15は、主に、印刷システム1のプリンタ装置8が行う立ち下がり検出処理を示す。
(ステップS1-2)
プリンタ装置8において、検出部5-7は、センサ81が光の反射光の検知結果に基づいて出力する電圧値を検出し、センサ81が出力する電圧値の検出結果に基づいて、電圧波形を取得する。変化量算出部5-8は、検出部5-7が取得した電圧波形に基づいて、電圧の変化量を算出する。判定部5-9は、変化量算出部5-8が取得した変化量波形に基づいて、最初の立ち下がり検出処理であるか否かを判定する。
(ステップS2-2)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、最初の立ち下がり検出処理であると判定した場合に、立ち下がり検出の際の用紙送りドットライン数(以下「立ち下がり検出用紙送りドットライン数」という)をゼロとし、立ち下がり開始フラグをOFFとする。
(ステップS3-2)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、電圧の変化量が負の変化量であるか否かを判定する。
(ステップS4-2)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、電圧の変化量が負の変化量である場合に、電圧の変化量が閾値(立ち下がり電圧閾値)より大きいか否かを判定する。
(ステップS5-2)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、電圧の変化量が負の変化量でない場合又は電圧の変化量が閾値以下である場合に立ち下がり開始フラグがONであるか否かを判定する。
【0065】
(ステップS6-2)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち下がり開始フラグがONである場合に、立ち下がりを検出したと判定する。
(ステップS7-2)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち下がり開始フラグをONでないと判定した場合又は立ち下がりを検出したと判定した場合に、立ち下がり検出用紙送りドットライン数をゼロとし、立ち下がり開始フラグをOFFとする。その後終了する。
(ステップS8-2)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、電圧の変化量が閾値より大きい場合に立ち下がり検出用紙送りドットライン数をカウントアップする。
(ステップS9-2)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち下がり検出用ドットライン数がドットライン数最小閾値NMinThr以上であるか否かを判定する。立ち下がり検出用ドットライン数がドットライン数最小閾値NMinThr未満である場合には終了する。
(ステップS10-2)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち下がり検出用ドットライン数がドットライン数最小閾値NMinThr以上である場合に、立ち下がり開始フラグをONにする。
【0066】
図16は、本実施形態の印刷システムの動作の例3を示すフロー図である。図16は、主に、印刷システム1のプリンタ装置8が行うギャップ部Gを検出したことを判定する処理を示す。
(ステップS1-3)
プリンタ装置8において、検出部5-7は、センサ81が光の反射光の検知結果に基づいて出力する電圧値を検出し、センサ81が出力する電圧値の検出結果に基づいて、電圧波形を取得する。変化量算出部5-8は、検出部5-7が取得した電圧波形に基づいて、電圧の変化量を算出する。判定部5-9は、変化量算出部5-8が取得した変化量波形に基づいて、最初のギャップ部Gの判定であるか否かを判定する。
(ステップS2-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、最初のギャップ判定であると判定した場合に、紙送りドットライン数をゼロとし、立ち上がり検出フラグをOFFとする。
(ステップS3-3)
プリンタ装置8において、変化量算出部5-8は、検出部5-7が取得した電圧波形に基づいて、電圧の変化量を算出する。
(ステップS4-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、図14を参照して説明した立ち上がり検出処理を行う。
【0067】
(ステップS5-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち上がりを検出したか否かを判定する。
(ステップS6-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち上がりを検出した場合に、立ち上がり検出フラグをONとする。
(ステップS7-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち上がりを検出しない場合又は立ち上がり検出フラグをONとした場合に、立ち上がり検出フラグがONであるか否かを判定する。立ち上がり検出フラグがONでない場合には終了する。
(ステップS8-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち上がり検出フラグがONである場合に、紙送りドットライン数をカウントアップする。
【0068】
(ステップS9-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、紙送りドットライン数が、紙送りドットライン数閾値NNoPapドット以上であるか否かを判定する。
(ステップS10-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、紙送りドットライン数が、紙送りドットライン数閾値NNoPapドット以上である場合に、紙無し(紙無し部)を検出したと判定する。
(ステップS11-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、紙送りドットライン数が、紙送りドットライン数閾値NNoPapドット未満である場合に、図15を参照して説明した立ち下がり検出処理を行う。
(ステップS12-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち下がりを検出したか否かを判定する。立ち下がりを検出していない場合には、終了する。
(ステップS13-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、立ち下がりを検出した場合に、紙送りドットライン数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満に含まれるか否かを判定する。
【0069】
(ステップS14-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、紙送りドットライン数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満に含まれないと判定した場合に、ノイズを検出したと判定する。換言すれば、この場合、判定部5-9は、紙のばたつき部を検出したと判定する。
(ステップS15-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、紙送りドットライン数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満に含まれると判定した場合に、ギャップ部Gを検出したと判定する。
(ステップS16-3)
プリンタ装置8において、判定部5-9は、紙送りドットライン数をゼロとし、立ち上がり検出フラグをOFFとする。その後、立ち下がり検出処理を終了する。
【0070】
本実施形態に係る印刷システム1によれば、印字面に所定の間隔で剥離可能なラベル部P1が形成された記録紙P(用紙)を搬送するプラテンローラ51としての搬送部を制御する搬送制御部5-6と、搬送部により搬送される用紙に光を照射し、照射した光の反射光を検知するセンサ81と、センサ81の出力を検出する検出部5-7と、検出部5-7が検出したセンサ81の出力に基づいて、電圧の変化量を算出する変化量算出部5-8と、変化量算出部5-8が算出した電圧の変化量に基づいて、隣り合うラベル部P1の間の部分(ギャップ部G)を検出したことを判定する判定部5-9とを備える。
このように構成することによって、印刷システム1は、用紙に照射した光の反射光に基づいて、電圧の変化量を算出し、算出した電圧の変化量に基づいて、隣り合うラベル部P1の間の部分(ギャップ部G)を検出できるため、ラベル部P1が形成された用紙のラベル部P1の間の部分(ギャップ部G)の誤検出を低減できる。
用紙のラベル部P1の間の部分(ギャップ部G)の誤検出の原因の一つとして、用紙がばたつきくことによってセンサが誤検出することがあげられる。用紙がばたつくことによってセンサが誤検出することを低減するために、センサを大型化することがあげられる。しかし、仮に、印刷システム1を小型のサイズのプリンタに適用した場合には、センサを小型化することは難しい。本実施形態では、電圧の変化量に基づいて、隣り合うラベル部P1の間の部分(ギャップ部G)を検出できるため、センサを大型化することなく、用紙のラベル部P1の間の部分(ギャップ部G)の誤検出を低減できる。
また、変化量算出部5-8は、所定のドットライン前の電圧値との間の差を算出する。このように構成することによって、電圧の変化量を算出できる。所定のドットラインの一例は、3ドットから7ドットである。
また、判定部5-9は、電圧の変化量が継続して所定の閾値(立ち上がり電圧閾値)以上となる期間が所定の条件(ドットライン数閾値NPrThr連続して越えていること)を満たした場合に、当該期間において隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を開始したと判定する。このように構成することによって、電圧の変化量の立ち上がりを検出できるため、隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を開始したと判定できる。
【0071】
また、判定部5-9は、隣り合うラベル部P1の間の部分を検出したと判定した後に、電圧の変化量が継続して所定の閾値(立ち下がり電圧閾値)以下となる期間が所定の条件(ドットライン数最小閾値NMinThr連続して越えていないこと)を満たした場合に、当該期間において隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を終了したと判定する。このように構成することによって、電圧の変化量の立ち下がりを検出できるため、隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を終了したと判定できる。
また、判定部5-9は、隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を開始したと判定してから、検出を終了したと判定するまでに用紙が搬送されたドット数が所定の範囲(カウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満)に含まれる場合に、隣り合うラベル部P1の間の部分を検出したと判定する。このように構成することによって、隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を開始したと判定してから、検出を終了したと判定するまでに用紙が搬送されたドット数と、所定の範囲とに基づいて、ギャップ部Gを検出したか否かを判定できる。
【0072】
また、判定部5-9は、隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を開始したと判定してから、検出を終了したと判定するまでに用紙が搬送されたドット数が所定の範囲(カウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満)に含まれない場合に、用紙がばたついていると判定する。このように構成することによって、隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を開始したと判定してから検出を終了したと判定するまでに用紙が搬送されたドット数と、所定の範囲とに基づいて、ばたつき部を検出したか否かを判定できる。
図17は、センサの出力の一例を示す図である。図17において、横軸はPIとの距離[mm]であり、縦軸は電圧[V]である。図17には、プラテンに照射した光の反射光に基づいて算出した電圧と、台紙(剥離紙)に照射した光の反射光に基づいて算出した電圧と、ラベル部P1に照射した光の反射光に基づいて算出した電圧とが示される。また、図17には、ラベル部P1がばたつく範囲FRが示される。台紙(剥離紙)に照射した光の反射光に基づいて算出した電圧は、ギャップ部Gに照射した光の反射光に基づいて算出した電圧に該当する。図17によれば、ラベル部P1に該当する電圧とギャップ部Gに該当する電圧との差よりもラベル部P1のばたつきによって生じる電位差の方が大きいことが分かる。本実施形態では、ラベル部P1に該当する電圧とギャップ部Gに該当する電圧との差よりもラベル部P1のばたつきによって生じる電位差の方が大きい場合でも、ばたつき部を検出したか否かを判定できる。
紙のばたつきの検出に強いセンサはサイズが大きくなる。本実施形態では、小型のセンサを採用可能となり、製品を小型化できる。その結果、小型のラインサーマルプリンタなどの印刷システムにおいて、製品サイズを大きくすることなくラベル部P1を検出させることができる。
また、判定部5-9は、隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を開始したと判定した後に、電圧の変化量が継続して所定の閾値(立ち下がり電圧閾値)以下となる期間が所定の条件(紙送りドットライン数閾値NNoPap紙送りを行っても立ち下がりを検出しないこと)を満たす場合に、用紙が無いと判定する。このように構成することによって、隣り合うラベル部P1の間の部分の検出を開始したと判定してから用紙が搬送されたドット数と、所定の条件とに基づいて、用紙が無くなったことを判定できる。
【0073】
(実施形態の変形例)
(印刷システム)
実施形態の変形例の印刷システム1aの構成の一例は、図1を適用できる。ただし、判定部5-9の代わりに判定部5a-9を備える。
印刷システム1aにおいて、判定部5a-9は、判定部5-9を適用できる。ただし、判定部5a-9は、検出部5-7が取得した電圧波形に基づいて、ギャップ部Gを検出する処理を無効にするか否かを判定する。
図18は、実施形態の変形例の印刷システムの動作を示す図である。図18は、印刷システム1aが、ギャップ部Gの判定を行う記録紙Pの部分と、ギャップ部Gの判定を行わない記録紙Pの部分とが示される。印刷システム1aは、ギャップ部Gと想定される部分についてはギャップ部Gの判定を行い、ラベル部P1と想定される部分についてはギャップ部Gの判定を行わない。
印刷システム1aにおいて、判定部5a-9は、検出部5-7がギャップ部Gを検出しているか否かを判定する。判定部5a-9は、検出部5-7がギャップ部Gを検出していると判定した場合に、ギャップ部Gを検出するためのカウント数がギャップ部Gを検出するカウント数の閾値NGapEna以上であるか否かを判定する。判定部5a-9は、ギャップ部Gを検出するカウント数がギャップ部Gを検出するカウント数の閾値NGapEna以上である場合に、検出部5-7がラベル部P1を検出しているか否かを判定する。判定部5a-9は、検出部5-7がラベル部P1を検出していると判定した場合に、ギャップ部Gを検出した後の長さを示すカウント数をカウントアップする。判定部5a-9はギャップ部Gを検出した後の長さを示すカウント数をカウントアップした結果に基づいて、ギャップ部Gを検出する処理を無効にするか否かを判定する。
【0074】
(印刷システムの動作)
図19は、実施形態の変形例の印刷システムの動作の例1を示すフロー図である。図19は、主に、印刷システム1aのプリンタ装置8が行うギャップ部Gを検出しているか否かを判定する処理を示す。
(ステップS1-4)
プリンタ装置8において、検出部5-7は、センサ81が光の反射光の検知結果に基づいて出力する電圧値を検出し、センサ81が出力する電圧値の検出結果に基づいて、電圧波形を取得する。変化量算出部5-8は、検出部5-7が取得した電圧波形に基づいて、電圧の変化量を算出する。判定部5a-9は、変化量算出部5-8が取得した変化量波形に基づいて、最初のギャップ判定であるか否かを判定する。
(ステップS2-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、最初のギャップ判定であると判定した場合に、紙送りドットライン数をゼロとし、立ち上がり検出フラグをOFFとする。
(ステップS3-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ギャップ部Gの判定を制限する処理(以下「ギャップ判定制限処理」という)を実行する。
(ステップS4-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ギャップ部Gの検出が有効であるか否かを判定する。ギャップ部Gの検出が有効でないと判定した場合には、終了する。
(ステップS5-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-7は、ギャップ部Gの検出が有効であると判定した場合には、変化量算出部5-8は、検出部5-7が取得した電圧波形に基づいて、電圧の変化量を算出する。
(ステップS6-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、図14を参照して説明した立ち上がり検出処理を行う。
【0075】
(ステップS7-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、立ち上がりを検出したか否かを判定する。
(ステップS8-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、立ち上がりを検出した場合に、立ち上がり検出フラグをONとする。
(ステップS9-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、立ち上がりを検出しない場合又は立ち上がり検出フラグをONとした場合に、立ち上がり検出フラグがONであるか否かを判定する。立ち上がり検出フラグがONでない場合には終了する。
(ステップS10-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、立ち上がり検出フラグがONである場合に、紙送りドットライン数をカウントアップする。
【0076】
(ステップS11-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、紙送りドットライン数が、紙送りドットライン数閾値NNoPapドット以上であるか否かを判定する。
(ステップS12-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、紙送りドットライン数が、紙送りドットライン数閾値NNoPapドット以上である場合に、紙無しと判定する。
(ステップS13-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、紙送りドットライン数が、紙送りドットライン数閾値NNoPapドット未満である場合に、図15を参照して説明した立ち下がり検出処理を行う。
(ステップS14-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、立ち下がりを検出したか否かを判定する。立ち下がりを検出していない場合には、終了する。
【0077】
(ステップS15-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、立ち下がりを検出した場合に、紙送りドットライン数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満であるか否かを判定する。
(ステップS16-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、紙送りドットライン数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満でないと判定した場合に、ノイズであると判定する。換言すれば、この場合、判定部5a-9は、紙のばたつき部を検出したと判定する。
(ステップS17-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、紙送りドットライン数のカウントの結果がカウント数最小値NMinGap以上カウント数最大値NMaxGap未満であると判定した場合に、ギャップ部Gを検出したと判定する。
(ステップS18-4)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、紙送りドットライン数をゼロとし、立ち上がり検出フラグをOFFとする。
【0078】
図20は、実施形態の変形例の印刷システムの動作の例2を示すフロー図である。図20は、主に、印刷システム1aのプリンタ装置8が行うギャップ判定制限処理を示す。
(ステップS1-5)
プリンタ装置8において、検出部5-7は、センサ81が光の反射光の検知結果に基づいて出力する電圧値を検出し、センサ81が出力する電圧値の検出結果に基づいて、電圧波形を取得する。変化量算出部5-8は、検出部5-7が取得した電圧波形に基づいて、電圧の変化量を算出する。判定部5a-9は、変化量算出部5-8が取得した変化量波形に基づいて、最初のギャップ部Gの判定であるか否かを判定する。
(ステップS2-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ギャップ部Gを検出した後の長さを示すカウント数をゼロとし、ラベル部P1の長さを示すカウント数をゼロとし、ギャップ部Gの長さを示すカウント数をゼロとする。
(ステップS3-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ギャップ部Gを検出するためのカウント数が、ギャップ部Gを検出するカウント数の閾値NGapEna以上であるか否かを判定する。
(ステップS4-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ギャップ部Gを検出するためのカウント数がギャップ部Gを検出するカウント数の閾値NGapEna未満であると判定した場合に、ラベル部P1を検出しているか否かを判定する。
(ステップS5-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ラベル部P1を検出していないと判定した場合に、ギャップ部Gを検出しているか否かを判定する。
【0079】
(ステップS6-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ステップS4-5でラベル部P1を検出していると判定した場合又はステップS5-5でギャップ部Gを検出していると判定した場合に、前ドットラインと状態が変化したか否かを判定する。
(ステップS7-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、前ドットラインと状態が変化していない場合に、ラベル部P1の長さを示すカウント数をカウントアップする。
(ステップS8-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、前ドットラインと状態が変化している場合に、ギャップ部Gの長さを示すカウント数を、記憶部5-2に記憶させる。
(ステップS9-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ラベル部P1の長さを示すカウント数をゼロとし、ギャップ部Gの長さを示すカウント数をゼロとする。
(ステップS10-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ギャップ部Gを検出する処理を有効にすると判定する。
【0080】
(ステップS11-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ギャップ部Gを検出するためのカウント数が、ギャップ部Gを検出するカウント数の閾値NGapEna以上あると判定した場合に、ラベル部P1を検出しているか否かを判定する。ラベル部P1を検出していないと判定した場合には、ステップS10-5へ移行する。
(ステップS12-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ラベル部P1を検出していると判定した場合に、ギャップ部Gを検出した後の長さを示すカウント数をカウントアップする。
(ステップS13-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ギャップ部Gを検出した後の長さを示すカウント数がラベル長さの80%以下であるか否かを判定する。ギャップ部Gを検出した後の長さを示すカウント数がラベル長さの80%よりも大きい場合には、ステップS10-5へ移行する。
(ステップS14-5)
プリンタ装置8において、判定部5a-9は、ギャップ部Gを検出した後の長さを示すカウント数がラベル長さの80%以下である場合、ギャップ部Gを検出する処理を無効にすると判定する。
【0081】
実施形態の変形例に係る印刷システム1aによれば、前述した印刷システム1において、判定部5a-9は、ラベル部P1の間の部分を検出してから用紙が搬送されたドット数に基づいて検出部5-7がラベル部P1を検出しているか否かを判定し、検出部5-7がラベル部P1を検出しているか否かの判定結果に基づいて、ラベル部P1の間の部分を検出する処理を無効にするか否かを判定する。
このように構成することによって、検出部5-7がラベル部P1を検出していると判定される場合には、ラベル部P1の間の部分を検出する処理を無効にできるため、常にラベル部P1の間の部分を検出する処理を実行している場合よりも、消費電力を低減できる。また、ギャップ部Gを検出したことを判定する範囲を制限することによって、用紙がばたつくことによる誤検出をさらに減少させることができる。
【0082】
なお、上述した実施形態におけるホスト端末2、プリンタ装置8が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0083】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0084】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0085】
1、1a…印刷システム、2…ホスト端末、2-1…通信部、2-2…記憶部、2-3…操作部、2-4…情報処理部、2-5…表示部、3…ケーシング、3a…排出口、4…表示部、5…処理部、5-1…通信部、5-2…記憶部、5-3…コマンド解析部、5-4…印刷データ作成部、5-5…印刷部制御部、5-6…搬送制御部、5-7…検出部、5-8…変化量算出部、5-9、5a-9…判定部、6…本体部、7…ロール紙収容部、8…プリンタ装置、9…メカニズム部、10…印字ユニット、11…本体フレーム、12…背板部、13…第1側壁部、13a…孔部、14…第2側壁部、14a…孔部、16A…第1ローラ挿入溝、16B…第2ローラ挿入溝、17…ギヤボックス部、18…周壁部、18a…孔部、19…凹部、20…紙ガイド部、20a…取付部、20b…貫通孔、21…ガイド斜面、22…開口部、22a…内壁面、23…挟持部、24…被係合部、41…サーマルヘッド、41a…ヘッド面、42…発熱素子、45…ヘッド支持体、45a…ストッパ、46…弾性部材、51…プラテンローラ、52…ローラシャフト、53…ローラ本体、54…軸受、56…従動ギヤ、61…モータ、61a…周面、61A…出力軸、65…第1減速ギヤ、66…第2減速ギヤ、67…第1回転軸、68…第2回転軸、71…フレキシブルプリント基板、72…ヘッド接続部、73…モータ接続部、74…センサ接続部、74a…帯部、74b…切欠部、81…センサ、91…センサホルダ、92…ベース部、92a…リブ、93A…第1斜面部、93B…第2斜面部、94…係合部、95…肩部、96…凹部、100…印字エリア、101…接線、A…矢印、IC…ドライバー、L1…上下方向、L2…左右方向、L3…前後方向、P…記録紙、P1…ラベル、P2…ライナー、P3…剥離紙、R…ロール紙、S…空間、θ1…角度、θ2…角度
図1
図2
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