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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063948
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】画像記録装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172373
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 治久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB13
2C056EB36
2C056EB45
2C056EB47
2C056EC14
2C056EC28
2C056FA10
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】複数種類の基材を含む被記録媒体に画像を適切に記録できる画像記録装置を提供する。
【解決手段】画像記録装置では、制御装置は、被記録媒体とヘッドとを相対的に移動させながら、第1基材及び第2基材に光硬化性液体を吐出する記録処理と、第1基材の第1位置情報及び第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、第1基材上の光硬化性液体を硬化させるために照射される光の第1照射光量、及び、第1照射光量とは異なり且つ第2基材上の光硬化性液体を硬化させるために照射される光の第2照射光量を取得する照射光量取得処理と、被記録媒体と光照射部とを相対的に移動させながら、第1位置情報及び第2位置情報に基づき第1照射光量の光を第1基材に照射させ且つ第2照射光量の光を第2基材に照射させる第1光照射処理とを実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材及び前記第1基材と異なる表面状態を有する第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、
前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、
前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、
前記第1基材上の前記光硬化性液体を硬化させるために照射される前記光の第1照射光量、及び、前記第1照射光量とは異なり且つ前記第2基材上の前記光硬化性液体を硬化させるために照射される前記光の第2照射光量を取得する照射光量取得処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記第1照射光量の前記光を前記第1基材に照射させ且つ前記第2照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第1光照射処理と、を実行する、画像記録装置。
【請求項2】
前記第1照射光量及び前記第2照射光量は、前記光照射部から照射される前記光の前記被記録媒体における単位時間当たり単位面積当たりの照射照度、及び、前記光照射部から照射される前記光の前記被記録媒体における単位面積当たりの積算光量のいずれか一方の照射光量である、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1光照射処理にて、前記光照射部から照射される前記光の前記被記録媒体における光照射範囲が前記第1基材と前記第2基材との間にあるときに、前記第1照射光量と前記第2照射光量とを切り換える、請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1光照射処理では、前記光照射部から照射される前記光の前記被記録媒体における前記移動方向の光照射範囲に前記第1基材及び前記第2基材が入る混合位置にて、前記第1照射光量と前記第2照射光量とのうち光量が多い照射光量の前記光を照射させる、請求項1又は2記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記情報取得処理にて、前記第1光照射処理において前記光照射部から照射する前記光の前記第1照射光量と前記第2照射光量とを切り換える切換位置を受け付け、前記切換位置に基づいて前記第1位置情報及び前記第2位置情報を取得する、請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1光照射処理において、
前記光照射部の所定位置からの前記光の照射位置が前記第1基材上であるときに、前記第1照射光量の前記光を照射させ、
前記光照射部の所定位置からの前記光を照射位置が前記第2基材上であるときに、前記第2照射光量の前記光を照射させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記第1光照射処理は、
前記第1基材に前記第1照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、前記第1基材上の前記光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から本硬化させる処理、及び、
前記第2基材に前記第2照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、前記第2基材上の前記光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる又は本硬化させる処理を含んでいる、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記第1光照射処理は、
前記第1基材に前記第1照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、前記第1基材上の前記光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる第1仮硬化処理、及び、
前記第2基材に前記第2照射光量の光を前記所定回数照射することにより、前記第2基材上の前記光硬化性液体を前記所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる第2仮硬化処理を含んでいる、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記第1光照射処理は、
前記第1仮硬化処理により仮硬化した前記第1基材上の前記光硬化性液体に前記第1照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、前記光硬化性液体を仮硬化状態から本硬化させる処理、及び、
前記第2仮硬化処理により仮硬化した前記第2基材上の前記光硬化性液体に前記第2照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、前記光硬化性液体を仮硬化状態から本硬化させる処理を含んでいる、請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
第1基材及び前記第1基材と異なる第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、
前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、
前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、
前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量、及び、前記第1本硬化光量よりも高く且つ前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を取得する硬化光量取得処理と、を実行し、
前記第2本硬化光量から、前記第1本硬化光量を差し引いた第1差分光量を取得する第1差分処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記第1本硬化光量に応じた第3照射光量の前記光を前記第1基材及び前記第2基材に照射させる第2光照射処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第2位置情報に基づき前記第1差分光量に応じた第4照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第3光照射処理と、を実行する、画像記録装置。
【請求項11】
前記第2光照射処理は、前記第1基材及び前記第2基材に前記第3照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、前記第1基材上の前記光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から本硬化させ、前記第2基材上の前記光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいる、請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記第2光照射処理は、前記第1基材及び前記第2基材に前記第3照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、前記第1基材上の前記光硬化性液体及び前記第2基材上の前記光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいる、請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記第1位置情報は、前記移動方向における前記第1基材の第1上流端及び第1下流端を含み
前記第2位置情報は、前記移動方向における前記第2基材の第2上流端及び第2下流端を含み、
前記制御装置は、前記第3光照射処理にて、
前記光照射部から照射される前記光の前記被記録媒体における光照射範囲が前記第2上流端よりも前記移動方向の上流にあるときに、前記光の照射を開始させ、
前記光照射範囲が前記第2下流端よりも前記移動方向の下流にあるときに、前記光の照射を終了させる、請求項10~12のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項14】
前記制御装置は、
前記第2光照射処理において、前記光照射部の所定位置からの前記光の照射位置が前記第1基材上及び前記第2基材上であるときに、前記光を照射させ、
前記第3光照射処理において、前記光照射部の所定位置からの前記光を照射位置が前記第2基材上であるときに、前記光を照射させる、請求項10~12のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項15】
前記第3照射光量及び前記第4照射光量は、前記光照射部から照射される前記光の前記被記録媒体における単位時間当たり単位面積当たりの照射照度、及び、前記光照射部から照射される前記光の前記被記録媒体における単位面積当たりの積算光量のいずれか一方である、請求項10~14のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項16】
第1基材及び前記第1基材と異なる第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、
前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、
前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、
前記第1基材上の前記光硬化性液体を硬化させるための第1硬化光量、及び、前記第2基材上の前記光硬化性液体を硬化させるための第2硬化光量を取得する硬化光量取得処理と、を実行し、
前記第1硬化光量は、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第1仮硬化光量、及び、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量を有し、
前記第2硬化光量は、前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第2仮硬化光量、及び、前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を有し、
前記第1本硬化光量から、前記第1仮硬化光量及び前記第2仮硬化光量のうちの高い高硬化光量を差し引いた第2差分光量、及び、前記第2本硬化光量から前記高硬化光量を差し引いた第3差分光量を取得する第2差分処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記高硬化光量に応じた第5照射光量の前記光を前記第1基材及び前記第2基材に照射させる第4光照射処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報に基づき前記第2差分光量に応じた第6照射光量の前記光を前記第1基材に照射させ、前記第2位置情報に基づき前記第3差分光量に応じた第7照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第5光照射処理と、を実行する、画像記録装置。
【請求項17】
前記第4光照射処理は、前記第1基材及び前記第2基材に前記第5照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、前記第1基材上の前記光硬化性液体及び前記第2基材上の前記光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいる、請求項16に記載の画像記録装置。
【請求項18】
前記第5照射光量、第6照射光量及び前記第7照射光量は、前記光照射部から照射される前記光の前記被記録媒体における単位時間当たり単位面積当たりの照射照度、及び、前記光照射部から照射される前記光の前記被記録媒体における単位面積当たりの積算光量のいずれか一方である、請求項16又は17に記載の画像記録装置。
【請求項19】
前記移動機構は、
前記ヘッド及び前記光照射部を搭載して前記移動方向の往路側及び復路側に移動するキャリッジと、
前記被記録媒体を前記移動方向に交差する搬送方向に搬送する搬送装置と、を有している、請求項1~18のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項20】
第1基材及び前記第1基材と異なる表面状態を有する第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、
前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、
制御装置と、を備えた画像記録装置に、
前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、
前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、
前記第1基材上の前記光硬化性液体を硬化させるために照射される前記光の第1照射光量、及び、前記第1照射光量とは異なり且つ前記第2基材上の前記光硬化性液体を硬化させるために照射される前記光の第2照射光量を取得する照射光量取得処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記第1照射光量の前記光を前記第1基材に照射させ且つ前記第2照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第1光照射処理と、を実行させる、プログラム。
【請求項21】
第1基材及び前記第1基材と異なる第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、
前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、
制御装置と、を備えた画像記録装置に、
前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、
前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、
前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量、及び、前記第1本硬化光量よりも高く且つ前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を取得する硬化光量取得処理と、を実行し、
前記第2本硬化光量から、前記第1本硬化光量を差し引いた第1差分光量を取得する第1差分処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記第1本硬化光量に応じた第3照射光量の前記光を前記第1基材及び前記第2基材に照射させる第2光照射処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第2位置情報に基づき前記第1差分光量に応じた第4照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第3光照射処理と、を実行させる、プログラム。
【請求項22】
第1基材及び前記第1基材と異なる第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、
前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、
制御装置と、を備えた画像記録装置に、
前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、
前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、
前記第1基材上の前記光硬化性液体を硬化させるための第1硬化光量、及び、前記第2基材上の前記光硬化性液体を硬化させるための第2硬化光量を取得する硬化光量取得処理と、を実行し、
前記第1硬化光量は、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第1仮硬化光量、及び、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量を有し、
前記第2硬化光量は、前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第2仮硬化光量、及び、前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を有し、
前記第1本硬化光量から、前記第1仮硬化光量及び前記第2仮硬化光量のうちの高い高硬化光量を差し引いた第2差分光量、及び、前記第2本硬化光量から前記高硬化光量を差し引いた第3差分光量を取得する第2差分処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記高硬化光量に応じた第5照射光量の前記光を前記第1基材及び前記第2基材に照射させる第4光照射処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報に基づき前記第2差分光量に応じた第6照射光量の前記光を前記第1基材に照射させ、前記第2位置情報に基づき前記第3差分光量に応じた第7照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第5光照射処理と、を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像記録装置として、例えば、特許文献1のインクジェット画像記録装置が知られている。このインクジェット画像記録装置では、記録ヘッドから光硬化型インクを記録材料に吐出し、記録材料上の光硬化型インクに光を光照射手段から照射させて、画像を記録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-125674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のインクジェット画像記録装置では、画像記録の際に記録材料の情報に基づいて光量を補正している。しかしながら、1つの記録材料に複数種類の基材が存在する場合の画像記録方法については検討されていない。
【0005】
本発明はこのような事態に鑑み、複数種類の基材を含む被記録媒体に画像を適切に記録することができる画像記録装置及びそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る画像記録装置は、第1基材及び前記第1基材と異なる表面状態を有する第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、前記第1基材上の前記光硬化性液体を硬化させるために照射される前記光の第1照射光量、及び、前記第1照射光量とは異なり且つ前記第2基材上の前記光硬化性液体を硬化させるために照射される前記光の第2照射光量を取得する照射光量取得処理と、
前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記第1照射光量の前記光を前記第1基材に照射させ且つ前記第2照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第1光照射処理と、を実行する。
【0007】
本発明のある態様に係る画像記録装置は、第1基材及び前記第1基材と異なる第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量、及び、前記第1本硬化光量よりも高く且つ前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を取得する硬化光量取得処理と、を実行し、前記第2本硬化光量から、前記第1本硬化光量を差し引いた第1差分光量を取得する第1差分処理と、前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記第1本硬化光量に応じた第3照射光量の前記光を前記第1基材及び前記第2基材に照射させる第2光照射処理と、前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第2位置情報に基づき前記第1差分光量に応じた第4照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第3光照射処理と、を実行する。
【0008】
本発明のある態様に係る画像記録装置は、第1基材及び前記第1基材と異なる第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、前記第1基材上の前記光硬化性液体を硬化させるための第1硬化光量、及び、前記第2基材上の前記光硬化性液体を硬化させるための第2硬化光量を取得する硬化光量取得処理と、を実行し、前記第1硬化光量は、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第1仮硬化光量、及び、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量を有し、前記第2硬化光量は、前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第2仮硬化光量、及び、前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を有し、前記第1本硬化光量から、前記第1仮硬化光量及び前記第2仮硬化光量のうちの高い高硬化光量を差し引いた第2差分光量、及び、前記第2本硬化光量から前記高硬化光量を差し引いた第3差分光量を取得する第2差分処理と、前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記高硬化光量に応じた第5照射光量の前記光を前記第1基材及び前記第2基材に照射させる第4光照射処理と、前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報に基づき前記第2差分光量に応じた第6照射光量の前記光を前記第1基材に照射させ、前記第2位置情報に基づき前記第3差分光量に応じた第7照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第5光照射処理と、を実行する。
【0009】
本発明のある態様に係るプログラムは、第1基材及び前記第1基材と異なる表面状態を有する第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、制御装置と、を備えた画像記録装置に、前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、前記第1基材上の前記光硬化性液体を硬化させるために照射される前記光の第1照射光量、及び、前記第1照射光量とは異なり且つ前記第2基材上の前記光硬化性液体を硬化させるために照射される前記光の第2照射光量を取得する照射光量取得処理と、前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記第1照射光量の前記光を前記第1基材に照射させ且つ前記第2照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第1光照射処理と、を実行させる。
【0010】
本発明のある態様に係るプログラムは、第1基材及び前記第1基材と異なる第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、制御装置と、を備えた画像記録装置に、前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量、及び、前記第1本硬化光量よりも高く且つ前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を取得する硬化光量取得処理と、を実行し、前記第2本硬化光量から、前記第1本硬化光量を差し引いた第1差分光量を取得する第1差分処理と、前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記第1本硬化光量に応じた第3照射光量の前記光を前記第1基材及び前記第2基材に照射させる第2光照射処理と、前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第2位置情報に基づき前記第1差分光量に応じた第4照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第3光照射処理と、を実行させる。
【0011】
本発明のある態様に係るプログラムは、第1基材及び前記第1基材と異なる第2基材を含む被記録媒体に、光により硬化する光硬化性液体を吐出するノズルを有するヘッドと、前記被記録媒体上の前記光硬化性液体に前記光を照射する光照射部と、前記被記録媒体と前記ヘッド及び前記光照射部とを移動方向において相対的に移動する移動機構と、制御装置と、を備えた画像記録装置に、前記被記録媒体と前記ヘッドとを相対的に移動させながら、前記第1基材及び前記第2基材に前記光硬化性液体を吐出する記録処理と、前記第1基材の第1位置情報及び前記第2基材の第2位置情報を取得する情報取得処理と、前記第1基材上の前記光硬化性液体を硬化させるための第1硬化光量、及び、前記第2基材上の前記光硬化性液体を硬化させるための第2硬化光量を取得する硬化光量取得処理と、を実行し、前記第1硬化光量は、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第1仮硬化光量、及び、前記第1基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量を有し、前記第2硬化光量は、前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第2仮硬化光量、及び、前記第2基材上の前記光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を有し、前記第1本硬化光量から、前記第1仮硬化光量及び前記第2仮硬化光量のうちの高い高硬化光量を差し引いた第2差分光量、及び、前記第2本硬化光量から前記高硬化光量を差し引いた第3差分光量を取得する第2差分処理と、前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づき前記高硬化光量に応じた第5照射光量の前記光を前記第1基材及び前記第2基材に照射させる第4光照射処理と、前記被記録媒体と前記光照射部とを相対的に移動させながら、前記第1位置情報に基づき前記第2差分光量に応じた第6照射光量の前記光を前記第1基材に照射させ、前記第2位置情報に基づき前記第3差分光量に応じた第7照射光量の前記光を前記第2基材に照射させる第5光照射処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、複数種類の基材を含む被記録媒体に画像を適切に記録することができる画像記録装置を提供することが可能であるという効果を奏する。
【0013】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、追加付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係る画像記録装置であって、筐体の蓋を開けた状態の斜視図である。
図2】画像記録装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3(a)は画像記録装置を側方から視た断面図である。図3(b)はヘッドユニットを下方から視た図である。
図4図4(a)は被記録媒体を表示した表示部を示す図である。図4(b)は光照射部から被記録媒体に光を照射した場合の照射光量を模式的に示す図である。
図5】画像記録装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図6図6(a)は各基材の表面状態の選択リストを表示した表示部を示す図である。図6(b)は、各基材の表面状態と各液体の硬化条件との対応関係を示す図である。
図7図7(a)は第1基材と第2基材との間隔が光照射範囲未満である場合に光量を切り替えるタイミングを説明するための図である。図7(b)は第1基材と第2基材との間隔が光照射範囲以上である場合に光量を切り替えるタイミングを説明するための図である。
図8図8(a)は本発明の変形例2に係る画像記録装置において被記録媒体を表示した表示部を示す図である。図8(b)は、各基材の表面状態の選択リストを表示した表示部を示す図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、本発明の変形例4に係る画像記録装置における各基材に対する光量を示すグラフである。
図10図10(a)及び図10(b)は、本発明の変形例5に係る画像記録装置における各基材に対する光量を示すグラフである。
図11図11(a)及び図11(b)は、本発明の変形例6に係る画像記録装置における各基材に対する光量を示すグラフである。
図12】本発明の実施の形態2に係る画像記録装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図13図13(a)及び図13(b)は、図12の画像記録装置における各基材に対する光量を示すグラフである。
図14図14(a)及び図14(b)は、図12の画像記録装置における各基材に対する光量を示すグラフである。
図15】本発明の変形例6に係る画像記録装置における光量の切り換えタイミングを説明するための図である。
図16】本発明の実施の形態3に係る画像記録装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図17図17(a)及び図17(b)は、図16の画像記録装置における各基材に対する光量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0016】
(実施の形態1)
<画像記録装置の構成>
本発明の実施の形態1に係る画像記録装置10は、図1に示すように、例えば、ヘッド20から被記録媒体Aに、インク等の液体を吐出して画像を印刷するインクジェットプリンタである。被記録媒体Aとしては、布帛及び紙等の平板形状のシート、並びに、ボール及びマグカップ等の立体形状の物体が挙げられる。画像記録装置10は、ヘッドユニット12、移動機構13及び制御装置40(図2)を備え、ヘッドユニット12はヘッド20及び光照射部30を有している。なお、制御装置40の詳細については後述する。
【0017】
移動機構13は、被記録媒体Aとヘッド20及び光照射部30とを移動方向において相対的に移動させる走査装置50及び搬送装置60を有している。なお、走査装置50によりヘッド20を移動させる走査方向を左右方向と称し、搬送装置60により被記録媒体Aを搬送する搬送方向を前後方向と称する。ヘッド20から液体を吐出する吐出面20a(図3(b))に直交する吐出方向を上下方向と称する。この走査方向、搬送方向及び吐出方向は、互いに交差(例えば、直交)する方向である。但し、画像記録装置10の配置はこれに限定されない。
【0018】
走査装置50は、一対の走査レール51、キャリッジ52、駆動ベルト53、走査モータ54を有し、ヘッドユニット12を左右方向に移動させる。一対の走査レール51は、左右方向に延びる長尺部材であって、前後方向において互いの間にヘッドユニット12を挟むように互いに平行に配置されている。キャリッジ52は、ヘッドユニット12を搭載し、走査レール51に沿って移動可能に一対の走査レール51に支持されている。駆動ベルト53は、無端ベルトであって、左右方向に走査レール51に沿って延び、キャリッジ52に接続され、プーリを介して走査モータ54に連結されている。走査モータ54は、駆動ベルト53を駆動することにより、キャリッジ52を左右方向に往復移動させる。
【0019】
搬送装置60は、ステージ61、一対の搬送レール62、ステージ支持台63及び搬送モータ64(図2)を有している。ステージ61は、その上面に被記録媒体Aが載置され、上下方向において被記録媒体Aとヘッド20との間隔を規定する。一対の搬送レール62は、前後方向に延びている。ステージ支持台63は、例えば、ステージ61を取り外し可能に支持し、搬送レール62に沿って移動可能に一対の搬送レール62に支持され、搬送モータ64に連結されている。搬送モータ64は、ステージ支持台63を駆動することにより、ステージ61を搬送レール62に沿って前後方向に移動させる。
【0020】
ヘッドユニット12は、1つ又は複数のヘッド20、及び、1つ又は複数の光照射部30を備えている。ヘッド20が複数の場合、複数のヘッド20は互いに前後方向に並べられる。図3(a)及び図3(b)に示すように、ヘッド20は、複数のノズル21、複数の個別流路22、共通流路23、流路形成体24、及び、複数の駆動素子25を有している。流路形成体24は、その内部にノズル21、個別流路22及び共通流路23が形成されており、その下面(吐出面20a)にノズル21が開口している。共通流路23から複数の個別流路22に分岐し、個別流路22は共通流路23及びノズル21に接続されている。
【0021】
液体は、共通流路23を流れる間に、複数の個別流路22に分流し、ノズル21に供給される。駆動素子25は、圧電素子等であって、個別流路22に対応して設けられ、個別流路22の体積を変更するように駆動する。この駆動によって、個別流路22の液体に、ノズル21から液体を吐出する圧力が付与される。これにより、ヘッド20は、光により硬化する光硬化性液体を吐出する。
【0022】
光照射部30は、被記録媒体A上の光硬化性液体に光を照射する。光は、光硬化性液体を硬化させる光であって、例えば、紫外線である。例えば、光照射部30は、図3(a)に示すように、第1光照射部30a及び第2光照射部30bを有していている。第1光照射部30aはヘッド20の左に隣接して配置され、第2光照射部30bはヘッド20の右に隣接して配置されている。
【0023】
例えば、画像記録装置10は、ヘッド20が左及び右のそれぞれの方向に往路及び復路を移動する際に液体を吐出する双方向印刷を行う場合、一対の光照射部30のうち、印刷時の移動方向におけるヘッド20の上流に配置された光照射部30が光を照射する。このため、印刷時にヘッド20が右に移動する場合、ヘッド20の左の第1光照射部30aが光を照射する。印刷時にヘッド20が左に移動する場合、ヘッド20の右の第2光照射部30bが光を照射する。
【0024】
なお、画像記録装置10は、ヘッド20が往路で液体を吐出し復路で液体を吐出しない一方向印刷を行う場合、一対の光照射部30の一方を有していればよい。例えば、印刷時にヘッド20が右に移動する場合には、第1光照射部30aが、液体を吐出するヘッド20に追随して、光を照射しながら移動する。また、ヘッド20が左に移動する場合には、ヘッド20は吐出せずに、第1光照射部30aが、すでに一度照射された被記録媒体Aの上のインクに光を照射しながら移動してもよい。
【0025】
第1光照射部30aは、複数の第1光源31a、及び、第1光源31aが搭載された第1光源基板32aを有している。第1光源31aは、例えば、LEDであって、第1光源基板32aの下面に配置され、ノズル21から吐出されて被記録媒体Aに着弾した液体を硬化する光を発光する。第2光照射部30bは、複数の第2光源31b、及び、第2光源31bが搭載された第2光源基板32bを有している。第2光源31bは第1光照射部30aと同様であり、第2光源基板32bは第1光源基板32aと同様である。
【0026】
<制御装置の構成>
制御装置40は、図2に示すように、コンピュータ及びネットワーク等の外部装置に接続され、制御装置40は外部装置から印刷データ等の各種データを受信する。なお、制御装置40は、集中制御する単独の装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の装置によって構成されていてもよい。印刷データは、被記録媒体Aに印刷される画像を示す画像データ(例えば、ラスタデータ)を含んでいる。
【0027】
制御装置40は、入力部14、カメラ15及び表示部16に接続されている。入力部14は、キーボード及びマウス等、ユーザの操作によって制御装置40に情報を入力する入力装置であって、入力された情報を制御装置40に出力する。カメラ15は、例えば、ステージ61上の被記録媒体Aを撮像可能に配置され、ステージ61上の被記録媒体Aの画像を取得して制御装置40に出力する。表示部16は、スクリーン等であって、制御装置40からの情報を出力する。
【0028】
制御装置40は、演算部41、記憶部42及び波形生成部43を有している。記憶部42は、演算部41にアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。RAMは、各種データを一時的に記憶する。この各種データとしては、印刷データ、及び、演算部41により変換されたデータが例示される。ROMは、各種データ処理を行うためのプログラムを記憶している。なお、プログラムは、外部装置から取得されたものであってもよく、また、他の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0029】
演算部41は、CPU等のプロセッサ、及び、ASIC等の集積回路等により構成されている。演算部41がROMに記憶されたプログラムを実行することにより、制御装置40は駆動素子25、第1光照射部30a、第2光照射部30b、搬送モータ64及び走査モータ54を制御して、各種処理を行う。例えば、制御装置40は、データ取得処理、記録処理、情報取得処理、硬化光量取得処理、照射光量取得処理、第1光照射処理を実行する。各処理の詳細については後述する。
【0030】
波形生成部43は、駆動素子25に出力される駆動信号の波形を規定する波形信号を生成する。波形信号はヘッド20から吐出させる液体の量(吐出量)が異なる複数種類の信号を含んでいる。また、演算部41は、複数種類の波形信号から1種類の波形信号を、印刷データに基づいた1滴ごとの液体の吐出量に応じてノズル21毎及び駆動素子25の駆動周期毎に選択し、波形選択データ(吐出データ)を生成する。
【0031】
制御装置40は、ヘッド駆動回路28を介して駆動素子25に接続されている。制御装置40は、波形信号及び吐出データをヘッド駆動回路28に出力する。ヘッド駆動回路28は、吐出データに基づき駆動信号を生成して駆動素子25に出力する。駆動素子25は、この出力順に駆動信号に応じて駆動する。これにより、液体がヘッド20から吐出する。
【0032】
また、制御装置40は走査駆動回路55を介して走査モータ54に接続されており、印刷データに基づいて走査モータ54の制御データを走査駆動回路55に出力する。また、制御装置40は搬送駆動回路65を介して搬送モータ64に接続されており、印刷データに基づいて搬送モータ64の制御データを搬送駆動回路65に出力する。これにより、制御装置40は、搬送モータ64及び走査モータ54の駆動タイミング、回転速度、回転量等を制御する。
【0033】
さらに、制御装置40は第1光源駆動回路33aを介して第1光源31aに接続され、後述する各位置情報及び各照射光量に基づいた第1光源31aの制御データを第1光源駆動回路33aに出力する。制御装置40は第2光源駆動回路33bを介して第2光源31bに接続されており、各位置情報及び各照射光量に基づいた第2光源31bの制御データを第2光源駆動回路33bに出力する。これにより制御装置40は、第1光源31a及び第2光源31bのオン及びオフ、並びに光量を制御する。
【0034】
<印刷処理>
印刷処理では、制御装置40が、走査モータ54を制御して、ヘッドユニット12を右に移動させる走査、及び、ヘッドユニット12を左に移動させる走査を含む移動処理を実行する。また、制御装置40は、駆動素子25を制御して、ヘッド20のノズル21から液体を吐出させる吐出処理を実行する。
【0035】
この移動処理及び吐出処理を含む記録処理によって、ヘッド20が右又は左に移動しながら、ノズル21から液体を吐出する。これにより、ヘッド20の下面に対向する被記録媒体Aに液体が着弾する。
【0036】
さらに、制御装置40は、光源31a、31bを制御して光照射部30から光を照射させる第1光照射処理を実行する。この第1光照射処理にて、液体を吐出するヘッド20の移動方向において上流にある光照射部30a、30bは、光源31a、31bから光を照射する。これにより、光源31a、31bに対向する被記録媒体Aに光が照射され、被記録媒体A上の液体が光により硬化し、被記録媒体Aに定着する。
【0037】
この記録処理及び第1光照射処理を含む画像形成処理によって、画像が左右方向に形成されていく。そして、制御装置40は、搬送モータ64を制御して、被記録媒体Aを前方へ搬送させる搬送処理を実行する。これにより、画像が前後方向に形成される。このように、画像形成処理と搬送処理とが交互に繰り返されることにより、印刷処理が進んでいく。
【0038】
<データ取得処理>
制御装置40は、ヘッド20から光硬化性液体を吐出するための吐出データを取得するデータ取得処理を実行する。例えば、このデータ取得処理では、制御装置40は、印刷データから、ラスタデータ等の画像データを取得する。制御装置40は、画像を所定単位の領域(画素)に分割し、画素毎の画像の濃度を取得する。制御装置40は、所定の対応関係を参照して、画素毎に濃度に応じた波形信号を複数種類の波形信号から選択して、波形選択データ(吐出データ)を生成する。なお、画像の濃度と波形信号との対応関係は所定であって、記憶部42に記憶されている。
【0039】
また、制御装置40は、画素に位置に応じて、吐出データを、液体を吐出するノズル21、及び、このノズル21に対応する駆動素子25の駆動周期に割り当てる。これにより、吐出データは、画像データに基づいた1滴ごとの液体の吐出量に応じてノズル21毎及び駆動素子25の駆動周期毎に生成される。
【0040】
<情報取得処理>
制御装置40は、第1基材A1の第1位置情報及び第2基材A2の第2位置情報を取得する情報取得処理を実行する。例えば、図4(a)に示すように、制御装置40は、カメラ15によりステージ61上の被記録媒体Aの画像を取得し、画像を表示部16に出力する。被記録媒体Aには第1基材A1及び第2基材A2が設けられている。第1基材A1及び第2基材A2は、左右方向において互いに接触して配置されている。
【0041】
これに対し、ユーザは、表示部16の画像を見て、破線で示すように第1基材A1の位置及び第2基材A2の位置を入力部14によって入力する。これにより、制御装置40は、入力部14からの入力情報から、第1基材A1の位置を示す第1位置情報、及び、第2基材A2の位置を示す第2位置情報を入力部14から取得する。第1位置情報は第1基材A1の第1左端Eの位置及び第1右端Fの位置を有し、第2位置情報は第2基材A2の第2左端Gの位置及び第2右端Hの位置を有している。例えば、位置情報は、左右方向をX方向とし、前後方向をY方向とし、ステージ61における所定位置を基準とした座標位置で表されている。
【0042】
なお、制御装置40が画像認識可能である場合、カメラ15により被記録媒体Aの画像を取得し、この画像から基材A1、A2を抽出して基材A1、A2の位置情報を取得してもよい。この場合、制御装置40は被記録媒体Aの画像を表示部16に表示しなくてもよい。
【0043】
<硬化光量取得処理>
制御装置40は、第1基材A1上の光硬化性液体を硬化させるための第1硬化光量、及び、第2基材A2上の光硬化性液体を硬化させるための第2硬化光量を取得する硬化光量取得処理を実行する。なお、以下では、第1基材A1上の光硬化性液体を第1液体と称し、第2基材A2上の光硬化性液体を第2液体と称することがある。
【0044】
図4(a)の例では、被記録媒体Aがステージ61上に載置されている状態において、第1基材A1の下面及び第2基材A2の下面はステージ61の上面に対向し、第1基材A1の上面及び第2基材A2の上面は、ヘッド20の吐出面20a(図3(b))に対向している。第1基材A1の上面と第2基材A2の上面とは、互いに表面状態が異なる。例えば、第1基材A1と第2基材A2とは、材質が互いに異なることにより、表面状態が異なっていてもよい。また、第1基材A1と第2基材A2とは、色が互いに異なることにより、表面状態が異なっていてもよい。また、第1基材A1と第2基材A2とは、表面粗さ、表面の濡れ性、表面の水分含有率、吸水性、光の吸収性能、光の反射性能、及び、光を吸収することによる温度上昇性能の少なくとも1つが互いに異なっていてもよい。つまり、第1基材A1と第2基材A2とは、光硬化性液体を硬化させるための条件として、硬化に影響を及ぼすパラメータのうちのいずれかのパラメータが異なっていればよい。互いに同じ材質であっても、前述のパラメータが異なっていれば、第1基材A1と第2基材A2とすることができる。
【0045】
例えば、制御装置40は、図6(a)に示すように、上記情報取得処理にて入力された位置情報と同数の基材の表面状態の選択リストを表示部16に表示する。これに対して、ユーザは、表示部16における表示状態の選択リストを見て、点線で示すように第1基材A1及び第2基材A2のそれぞれについて材質の選択リスト及び色の選択リストから1つの材質及び1つの色を入力部14によって選択する。図6(a)の例では、第1基材A1は、透明のアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂(ABS)であり、第2基材A2は、白色のアクリル樹脂である。
【0046】
制御装置40は、第1基材A1の表面状態に対する第1硬化光量、及び、第2基材A2の表面状態に対する第2硬化光量を取得する。例えば、図6(b)に示すように、基材の表面状態と各液体の硬化条件とが予め対応付けられて、記憶部42に記憶されている。仮硬化は、着弾直後の未硬化状態の液体よりも粘度高いが、完全には硬化していない状態であって、被記録媒体A上において流動しない粘度にまで液体の粘度が高まった状態であり、具体的にはゲル状である。本硬化は、液体が完全に硬化している状態であって、具体的には、インク等の液体に手で触れてもインクが手につかない状態である。
【0047】
本硬化光量は、基材A1、A2上の単位面積当たりの未硬化の液体を本硬化させるために必要な光エネルギ(mJ/cm)であり、仮硬化光量は基材A1、A2上の単位面積当たりの未硬化の液体を仮硬化させるために必要な光エネルギ(mJ/cm)である。この本硬化光量及び仮硬化光量は、照射照度(mW/cm)と光の照射時間(s)とを掛け合わせた積算光量である。照射照度は、光照射部30から照射される光の被記録媒体Aにおける単位時間当たり且つ単位面積当たりの光エネルギ(mW/cm)である。積算光量は、光照射部30から照射される光の被記録媒体Aにおける単位面積当たりの光エネルギ(mJ/cm)である。
【0048】
例えば、制御装置40は、図6(b)の対応情報に基づいて、第1液体を仮硬化させる光量(第1仮硬化光量L1a)5(mJ/cm)、及び、第1液体を本硬化させる光量(第1本硬化光量L1b)10(mJ/cm)を取得する。また、制御装置40は、図6(b)の対応情報に基づいて、第2基材A2を仮硬化させる硬化光量(第2仮硬化光量L2a)20(mJ/cm)、及び、第2液体を本硬化させる光量(第2本硬化光量L2b)100(mJ/cm)を取得する。
【0049】
<照射光量取得処理>
制御装置40は、第1基材A1上の光硬化性液体を硬化させるために照射される光の第1照射光量、及び、第1照射光量とは異なり且つ第2基材A2上の光硬化性液体を硬化させるために照射される光の第2照射光量を取得する照射光量取得処理を実行する。
【0050】
例えば、制御装置40は、第1本硬化光量L1bを、未硬化の第1液体を本硬化させるために照射される光の第1照射光量(第1本照射光量)として取得する。制御装置40は、第1仮硬化光量L1aを、未硬化の第1液体を仮硬化させるために照射される光の第1照射光量(第1仮照射光量)として取得する。また、制御装置40は、第2本硬化光量L2bを、未硬化の第2液体を本硬化させるために照射される光の第2照射光量(第2本照射光量)として取得する。制御装置40は、第2仮硬化光量L2aを、未硬化の第2液体を仮硬化させるために照射される光の第2照射光量(第2仮照射光量)として取得する。
【0051】
<記録処理>
制御装置40は、被記録媒体Aとヘッド20とを相対的に移動させながら、吐出データに基づき第1基材A1及び第2基材A2に光硬化性液体を吐出する記録処理を実行する。これにより、吐出データに基づいた吐出量の液体がノズル21から吐出されて、第1基材A1上及び第2基材A2上に液体が着弾する。
【0052】
<第1光照射処理>
制御装置40は、被記録媒体Aと光照射部30とを相対的に移動させながら、第1位置情報及び第2位置情報に基づき第1照射光量の光を第1基材A1に照射させ且つ第2照射光量の光を第2基材A2に照射させる第1光照射処理を実行する。
【0053】
例えば、図4(b)で示すように、光照射部30が光を被記録媒体Aに照射すると、被記録媒体Aにおける光量(照射照度(mW/cm))は、上下方向に直交する方向においてヘッド20の光照射部30の中心ほど大きくなる。この照射照度が所定光量C以上の範囲を光照射範囲34とする。所定光量Cは、被記録媒体A上の液体の硬化を進行させる照射照度である。
【0054】
例えば、制御装置40は、情報取得処理において取得した位置情報と光照射範囲34とを比較して、光照射部30から光を照射させる範囲を算出する。図7(a)に示すように、左右方向において第1基材A1と第2基材A2との間隔が光照射範囲34よりも狭い。この場合、第1基材A1と第2基材A2との間隔において光照射範囲34に第1基材A1及び第2基材A2が含まれる。この混合位置では、制御装置40は、第1照射光量と第2照射光量とのうち光量が多い照射光量の光を照射させる。なお、混合位置において、制御装置40は、第1硬化光量と第2硬化光量とのうち光量が多い硬化光量に等しい照射光量の光を照射させてもよい。
【0055】
このため、光照射部30の走査において、光照射範囲34の右端34rが第2基材A2の第2左端Gにあり且つ光照射範囲34の左端34lが第1基材A1の第1右端Fよりも左にある位置iiiと、左端34lが第1基材A1の第1右端Fにあり且つ右端34rが第2基材A2の第2左端Gよりも右にある位置viとの間の混合位置に光照射範囲34がある場合、光照射範囲34は第1基材A1上及び第2基材A2上にある。よって、制御装置40は、第1照射光量及び第2照射光量のうち、積算光量が高い第2照射光量の光を第1基材A1及び第2基材A2に照射させる。
【0056】
また、光照射部30の走査において、右端34rが第1左端Eにある位置iと右端34rが第2左端Gの左側に隣接する位置iiとの間に光照射範囲34がある場合、光照射範囲34は第2基材A2になく第1基材A1にある。このため、制御装置40は、第1照射光量の光を第1基材A1に照射させる。
【0057】
さらに、光照射部30の走査において、左端34lが第1右端Fの右側に隣接する位置vと左端34lが第2右端Hにある位置viとの間に光照射範囲34がある場合、光照射範囲34は第1基材A1になく第2基材A2にある。このため、制御装置40は、第2照射光量の光を第2基材A2に照射させる。
【0058】
一方、図7(b)に示すように、左右方向において第1基材A1と第2基材A2との間隔が光照射範囲34と同じ又は光照射範囲34よりも広い。この場合、制御装置40は、第1光照射処理にて、光照射部30から照射される光の被記録媒体Aにおける光照射範囲34が第1基材A1と第2基材A2との間にあるときに、第1照射光量と第2照射光量とを切り換える。
【0059】
このため、光照射部30の走査において、右端34rが第1左端Eにある位置viiと左端34lが第1右端Fにある位置viiiとの間に光照射範囲34がある場合、光照射範囲34は第2基材A2になく第1基材A1にある。このため、制御装置40は第1照射光量の光を第1基材A1に照射させる。
【0060】
また、光照射部30の走査において、右端34rが第2左端Gにある位置ixと左端34lが第2右端Hにある位置xとの間に光照射範囲34がある場合、光照射範囲34は第1基材A1になく第2基材A2にある。このため、制御装置40は第2照射光量の光を第2基材A2に照射させる。
【0061】
なお、第1基材A1と第2基材A2との間隔が光照射範囲34よりも広い場合、制御装置40は、この間隔において光照射部30の照射を停止させてもよい。このように、光照射部30の光照射範囲34が第1基材A1及び第2基材A2に重ならない場合に、光照射部30を消灯することによって、画像記録装置10の省エネルギを図ることができる。
【0062】
<画像記録装置の制御方法>
以下では、画像記録装置10によって、図4(a)に示すように、第1基材A1、及び、第1基材A1と異なる表面状態を有する第2基材A2を含む被記録媒体Aに、画像を記録する場合について説明する。例えば、画像記録装置10の制御方法は、図5に示すフローチャートに沿って制御装置40により実行される。
【0063】
制御装置40はデータ取得処理を実行する(ステップS1)。このデータ取得処理において、制御装置40は、印刷データから画像データを取得し、この画像における画素毎の濃度を取得する。制御装置40は、濃度と波形信号との所定の対応関係に基づいて、画素毎に濃度に応じた波形信号を複数種類の波形信号から選択して、ノズル21毎及び駆動周期毎の吐出データを取得する。
【0064】
また、制御装置40は情報取得処理を実行する(ステップS2)。この情報取得処理では、制御装置40は、カメラ15によりステージ61上の被記録媒体Aの画像を取得して表示部16に出力する。ユーザが画像に基づいて第1基材A1の位置及び第2基材A2の位置を入力部14によって入力すると、制御装置40は第1基材A1の位置を示す第1位置情報、及び、第2基材A2の位置を示す第2位置情報を取得する。
【0065】
さらに、制御装置40は硬化光量取得処理を実行する(ステップS3)。この硬化光量取得処理では、制御装置40は、図6(a)に示すように、ステップS2の情報取得処理にて入力された位置情報の数と同数の基材の表面状態(例えば、材質、色)の選択リストを表示部16に表示する。ユーザが選択リストから基材A1、A2の表面状態を選択すると、制御装置40は基材A1、A2の表面状態を取得する。
【0066】
制御装置40は、図6(b)に示す表面状態と硬化条件との所定の対応関係に基づいて、第1基材A1について透明のABSに対する第1本硬化光量L1bの10(mJ/cm)を取得する。また、制御装置40は、表面状態と硬化条件との所定の対応関係に基づいて、第2基材A2について白いアクリル樹脂に対する第2本硬化光量L2bの100(mJ/cm)を取得する。
【0067】
そして、制御装置40は照射光量取得処理を実行する(ステップS4)。図6(a)の例では、第1本硬化光量L1bの10(mJ/cm)を第1照射光量として取得する。また、制御装置40は、第2本硬化光量L2bの100(mJ/cm)を第2照射光量として取得する。
【0068】
そして、制御装置40は記録処理を実行する(ステップS5)。この記録処理において、制御装置40は吐出データに基づいて走査モータ54及び駆動素子25を制御する。これにより、ヘッド20は、第1基材A1上及び第2基材A2上を右に移動しながら、吐出データに基づいた吐出量の液体をノズル21から吐出する。これにより、第1基材A1上及び第2基材A2上に液体が着弾する。
【0069】
それから、制御装置40は第1光照射処理を実行する(ステップS6)。制御装置40は各位置情報及び各照射光量に基づいて走査モータ54及び駆動素子25を制御する。これにより、例えば、記録処理にてヘッド20が右に移動しながら液体を吐出する場合、第1光照射処理では、ヘッド20よりも移動方向の上流にある第1光照射部30aから光を照射させる。このため、制御装置40は、第1光照射部30aの光照射範囲34と第1位置情報及び第2位置情報とを比較する。
【0070】
比較の結果、図4(a)の例では、光照射範囲34の右端34rが第1左端Eに至ると、制御装置40は第1光照射部30aのオンにして、第1光照射部30aに第1照射光量の光を照射させながら第1光照射部30aを右へ移動する。そして、制御装置40は、右端34rが第2左端Gの左側に隣接する第1右端Fに至るまで、第1光照射部30aから第1照射光量の光を照射させる。これにより、第1液体に第1本硬化光量L1bの光が照射され、第1液体が本硬化して第1基材A1に定着する。
【0071】
さらに、光照射範囲34の右端34rが第2左端Gに至ると、制御装置40は第1照射光量の光から第2照射光量の光に切り換え、第2照射光量の光を照射させながら第1光照射部30aを右へ移動する。そして、制御装置40は、光照射範囲34の左端34lが第2左端Gに至るまで、第1光照射部30aから第2照射光量の光を照射させる。これにより、第2液体に第2本硬化光量L2bの光が照射され、第2液体が本硬化して第2基材A2に定着する。
【0072】
印刷データに基づく印刷処理が終了していなければ(ステップS7:NO)、搬送処理を実行し(ステップS8)、ステップS5の処理に戻る。印刷処理が終了するまで、S5の記録処理、S6の第1光照射処理及びS8の搬送処理を繰り返し実行する。
【0073】
このように、1つの記録材料に複数種類の基材A1、A2が存在する場合においても、各液体を硬化させるために必要な硬化光量の光が各基材A1、A2上の液体に照射される。これにより、光エネルギの無駄を低減しつつ、各液体を硬化することができる。このため、複数種類の基材A1、A2を含む被記録媒体Aに画像を適切に記録することができる。
【0074】
また、第1照射光量及び第2照射光量は、光照射部30から照射される光の被記録媒体Aにおける単位面積当たりの積算光量である。制御装置40は、第1光照射処理では、光照射部30から照射される光の被記録媒体Aにおける移動方向の光照射範囲34に第1基材A1及び第2基材A2が入る混合位置にて、第1照射光量と第2照射光量とのうち光量が多い照射光量の光を照射させる。これによれば、光エネルギの無駄を低減しつつ、各液体を硬化することができる。
【0075】
また、右又は左に移動する光照射部30の同一走査時において各液体が仮硬化する。これにより、液体が第1基材A1上に着弾してから仮硬化するまでの時間と、液体が第2基材A2上に着弾してから仮硬化するまでの時間とを互いに同じ又は近づけることができる。このため、液体が硬化した硬化物のテクスチャを揃えることができる。例えば、液体が基材A1、A2に着弾してから基材A1、A2上で広がる前に仮硬化すると、その硬化物のテクスチャをマットに揃えられる。また、液体が基材A1、A2に着弾し基材A1、A2上で広がった後に仮硬化すると、その硬化物のテクスチャをグロスに揃えられる。
【0076】
<変形例1>
変形例1の画像記録装置10は、実施の形態1において、第1照射光量及び第2照射光量は、光照射部30から照射される光の被記録媒体Aにおける単位時間当たり単位面積当たりの照射照度である。制御装置40は、第1光照射処理では、光照射部30から照射される光の被記録媒体Aにおける移動方向の光照射範囲34に第1基材A1及び第2基材A2が入る混合位置にて、第1照射光量と第2照射光量とのうち光量が多い照射光量の光を照射させる。
【0077】
この場合、基材A1、A2における光の照射時間(s)は、光照射部30の移動速度(cm/s)及び左右方向における光照射部30からの光の光照射範囲34の長さ(cm)は所定であるため、これらから求められる。この光の照射時間(s)と照射照度(mW/cm)との積から積算光量(mJ/cm)が求められる。よって、第1照射光量及び第2照射光量として、照射照度(mW/cm)が用いられる。
【0078】
例えば、硬化光量取得処理において、基材の表面状態(例えば、材質及び色)と、本硬化光量及び仮硬化光量とが、予め対応付けられて、記憶部42に記憶されている。本硬化光量は、基材A1、A2上の単位面積当たりの液体を本硬化させるために必要な照射照度(mW/cm)であり、仮硬化光量は基材A1、A2上の単位面積当たりの液体を仮硬化させるために必要な照射照度(mW/cm)である。
【0079】
制御装置40は、この所定の対応情報に基づいて、第1基材A1の表面状態に応じた仮硬化光量(第1仮硬化光量L1a)又は本硬化光量(第1本硬化光量L1b)を第1照射光量として取得する。また、制御装置40は、所定の対応情報に基づいて、第2基材A2の表面状態に応じた仮硬化光量(第2仮硬化光量L2a)又は本硬化光量(第2本硬化光量L2b)を第2照射光量として取得する。
【0080】
そして、制御装置40は、第1光照射処理において、液体を吐出するヘッド20に後続する後続光照射部30から第1照射光量の光を第1基材A1に照射し、第2照射光量の光を第2基材A2に照射する。制御装置40は、第1基材A1及び第2基材A2が光照射範囲34に入る混合位置において、第1照射光量と第2照射光量のうち高い照射光量の光を照射する。これにより、光エネルギの無駄を低減しつつ、各液体を硬化することができる。
【0081】
<変形例2>
変形例2の画像記録装置10は、実施の形態1において、制御装置40は、情報取得処理にて、第1光照射処理において光照射部30から照射する光の第1照射光量と第2照射光量とを切り換える切換位置を受け付け、切換位置に基づいて第1位置情報及び第2位置情報を取得する。
【0082】
例えば、図8(a)に示すように、情報取得処理にて、制御装置40は、ステージ61上の被記録媒体Aの画像をカメラ15で取得して、画像を表示部16に表示する。ユーザは表示部16の画像を見て、第1基材A1と第2基材A2との間に切換位置を入力部14により入力する。制御装置40は、切換位置のうち、左端の第1切換位置B1と、光照射部30から光照射可能な範囲Dの左端との間を第1基材A1の第1位置情報とする。制御装置40は、第1切換位置B1と、第1切換位置B1の左に隣接する第2切換位置B2との間を第2基材A2の第2位置情報とする。制御装置40は、第2切換位置B2と、第2切換位置B2の左に隣接する第3切換位置B3との間を第3基材A3の第3位置情報とする。制御装置40は、切換位置のうち、右端の第3切換位置B3と、光照射部30から光照射可能な範囲Dの右端との間を第4基材A4の第4位置情報とする。
【0083】
図8(b)に示すように、硬化光量取得処理にて、制御装置40は、切換位置の数(例えば、3)に1を足した数(例えば、4)の基材の表面状態の選択リストを表示部16に表示する。これに対して、ユーザが選択リストから、基材A1~A4の表面状態を入力部14によって選択する。これにより、制御装置40は、例えば、図6(b)に示すような表面状態と硬化光量との所定の対応関係に基づいて、基材A1~A4の硬化光量を取得する。
【0084】
そして、照射光量取得処理にて、制御装置40は、硬化光量を照射光量として取得する。それから、第1光照射処理において、制御装置40は、液体を吐出するヘッド20に後続して移動する後続光照射部30から各照射光量の光を基材A1~A4に照射する。ここで、制御装置40は、範囲Dの左端と第1切換位置B1との間において第1照射光量の光を照射し、第1切換位置B1と第2切換位置B2との間において第2照射光量の光を照射し、第2切換位置B2と第3切換位置B3との間において第1照射光量の光を照射し、第3切換位置B3と範囲Dの右端との間において第2照射光量の光を照射する。これにより、光エネルギの無駄を低減しつつ、各液体を硬化することができる。
【0085】
<変形例3>
変形例3の画像記録装置10は、実施の形態1において、制御装置40は、第1光照射処理において、光照射部30の所定位置からの光の照射位置が第1基材A1上であるときに、第1照射光量の光を照射させる。制御装置40は、光照射部30の所定位置からの光を照射位置が第2基材A2上であるときに、第2照射光量の光を照射させる。
【0086】
この場合、制御装置40は、光照射部30における所定位置(例えば、中央)に対応する光照射範囲34の中央位置が第1基材A1にあるときに、第1照射光量の光を照射する。また、制御装置40は、光照射範囲34の中央位置が第2基材A2にあるときに、第2照射光量の光を照射する。これにより、光エネルギの無駄を低減しつつ、各液体を硬化することができる。また、この場合には、所定位置に対応する光照射範囲34の中央位置は点であり、点が第1基材と第2基材とに重複することはない。つまり、光の照射範囲を考慮する必要がなくなり、照射制御がシンプルになる。
【0087】
<変形例4>
変形例4の画像記録装置10では、実施の形態1及び変形例1~3において、第1光照射処理は、第1基材A1に第1照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、第1基材A1上の光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から本硬化させる処理、及び、第2基材A2に第2照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、第2基材A2上の光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる又は本硬化させる処理を含んでいる。
【0088】
具体的には、図9(a)の例では、制御装置40は、硬化光量取得処理において第1本硬化光量L1b及び第2本硬化光量L2bを取得する。第1本硬化光量L1bは、未硬化の第1液体を本硬化させるために必要な光量である。第2本硬化光量L2bは、第1本硬化光量L1bよりも高く、未硬化の第2液体を本硬化させるために必要な光量である。
【0089】
制御装置40は、照射光量取得処理にて、光照射部30から照射可能な光の最大光量と、各硬化光量とを比較する。図9(a)の例では、光照射部30の最大光量が第2本硬化光量L2b以上である。
【0090】
この場合、制御装置40は、第1本硬化光量L1bに基づいて第1照射光量を取得する。第1照射光量は、第1液体を1回の光の照射により未硬化状態から本硬化させるために照射される光の第1本照射光量p1bを含んでいる。第1本照射光量p1bは第1本硬化光量L1bに等しい。なお、第1本照射光量p1bは、第1本硬化光量L1b以上且つ第2本硬化光量L2b未満の光量であってもよい。
【0091】
また、制御装置40は、第2本硬化光量L2bに基づいて第2照射光量を取得する。第2照射光量は、第2液体を1回の光の照射により未硬化状態から本硬化させるために照射される光の第2本照射光量p2bを含んでいる。第2本照射光量p2bは第2本硬化光量L2bに等しい。なお、第2本照射光量p2bは、第2本硬化光量L2b以上の光量であってもよい。
【0092】
そして、制御装置40は、第1走査において、記録処理を実行し、ヘッド20を移動しながら、ヘッド20から液体を吐出させる。この第1走査において、制御装置40は、液体を吐出するヘッド20に後続する後続光照射部30により第1光照射処理を実行する。
【0093】
制御装置40は、第1光照射処理では、第1本照射光量p1bの光を後続光照射部30から第1基材A1に照射する第1本硬化処理、及び、第2本照射光量p2bの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する第2本硬化処理を実行する。これにより、光エネルギの無駄を低減しつつ、未硬化の第1液体及び未硬化の第2液体を共に本硬化することができる。
【0094】
ここで、未硬化の第1液体を仮硬化させるために必要な光量である第1仮硬化光量L1aは、第1本硬化光量L1bよりも低い。また、未硬化の第2液体を仮硬化させるために必要な光量である第2仮硬化光量L2aは、第2本硬化光量L2bよりも低い。このため、液体が吐出する第1走査において第1液体及び第2液体が未硬化状態から仮硬化状態を超えて本硬化している。よって、液体が基材A1、A2に着弾してから基材A1、A2上で広がる前に硬化することにより、第1液体の硬化物及び第2液体の硬化物のテクスチャをマットに揃えることができる。
【0095】
また、図9(b)の例では、光照射部30の最大光量が第1本硬化光量L1b及び第2仮硬化光量L2a以上且つ第2本硬化光量L2b未満である。このため、制御装置40は、図9(a)の例と同様に、第1本硬化光量L1bに基づいて第1照射光量を取得する。
【0096】
また、制御装置40は、第2仮硬化光量L2a及び第2本硬化光量L2bに基づいて第2照射光量を取得する。第2照射光量は、第2液体を1回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の第2仮照射光量p2a、及び、第2液体を1回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の第2追照射光量p2cを含んでいる。この第2仮照射光量p2aは第2仮硬化光量L2aに等しい。第2追照射光量p2cは、第2仮照射光量p2aとの合計光量p2tが第2本硬化光量L2bに等しくなるように設定されている。なお、第2仮照射光量p2aは第2仮硬化光量L2a以上であってもよい。合計光量p2tは第2本硬化光量L2b以上の光量であってもよい。
【0097】
そして、第1光照射処理では、制御装置40は、第1走査において、第1本照射光量p1bの光を後続光照射部30から第1基材A1に照射する第1本硬化処理、及び、第2仮照射光量p2aの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する第2仮硬化処理を実行する。これにより、第1液体が本硬化し、第2液体が仮硬化する。よって、第1液体の硬化物及び第2液体の硬化物のテクスチャをマットに揃えることができる。
【0098】
さらに、第1走査に続く第2走査において、制御装置40は、第2追照射光量p2cの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する第2追硬化処理を実行する。これにより、第2仮硬化処理における第2仮照射光量p2aの光の照射によって仮硬化した第2液体は、第2追硬化処理における第2追照射光量p2cの光の照射によって本硬化する。この第2走査では、光を後続光照射部30から第1基材A1に照射しない。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を未硬化状態から本硬化することができる。
【0099】
なお、最大光量が第1本硬化光量L1b及び第2仮硬化光量L2a未満である場合、第1光照射処理は、第1液体に第1照射光量の光を複数回照射することにより、第1液体を所定回数目で未硬化状態から本硬化し、第2液体に第2照射光量の光を複数回照射することにより、第2液体を前記所定回数目で未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいてもよい。この場合、第1照射光量は、第1液体を複数回の光の照射により未硬化状態から本硬化させるために照射される光の複数の第2本照射光量p2bを含んでいてもよい。第2照射光量は、第2液体を複数回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の複数の第2仮照射光量p2a、及び、第2液体を1回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の第2追照射光量p2cを含んでいてもよい。
【0100】
また、最大光量が第2本硬化光量L2bと第2仮照射光量p2aとの差分光量未満である場合、第1光照射処理は、第2仮硬化処理により仮硬化した第2液体に第2照射光量の光を複数回照射することにより、第2液体を仮硬化状態から本硬化させる処理を含んでいてもよい。この場合、第2照射光量は、第2液体を1回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の第2仮照射光量p2a、及び、第2液体を複数回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の複数の第2追照射光量p2cを含んでいてもよい。
【0101】
<変形例5>
変形例5の画像記録装置10では、実施の形態1及び変形例1~3において、第1光照射処理は、第1基材A1に第1照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、第1基材A1上の光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる第1仮硬化処理、及び、第2基材A2に第2照射光量の光を所定回数照射することにより、第2基材A2上の光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる第2仮硬化処理を含んでいる。
【0102】
第1光照射処理は、第1仮硬化処理により仮硬化した第1基材A1上の光硬化性液体に第1照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、光硬化性液体を仮硬化状態から本硬化させる処理、及び、第2仮硬化処理により仮硬化した第2基材A2上の光硬化性液体に第2照射光量の光を1回又は複数回照射することにより、光硬化性液体を仮硬化状態から本硬化させる処理を含んでいる。
【0103】
具体的には、図10(a)~図11(b)の例では、制御装置40は、硬化光量取得処理において第1仮硬化光量L1a、第1本硬化光量L1b、第2仮硬化光量L2a及び第2本硬化光量L2bを取得する。そして、制御装置40は、照射光量取得処理にて、光照射部30から照射可能な光の最大光量と、各硬化光量と比較する。図10(a)及び図10(b)の例では、光照射部30の最大光量が第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a以上且つ第1本硬化光量L1b未満である。図11(a)及び図11(b)の例では、光照射部30の最大光量が第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a未満である。
【0104】
そして、制御装置40は、各硬化光量及び最大光量に基づいて第1照射光量及び第2照射光量を取得する。ここで、制御装置40は、同一走査において第1液体及び第2液体が未硬化状態から仮硬化し、1回又は複数回の光の照射により第1液体及び第2液体を仮硬化状態から本硬化するように、第1照射光量及び第2照射光量を取得する。
【0105】
図10(a)の例では、第1照射光量は、第1液体を1回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の第1仮照射光量p1a、及び、第1液体を1回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の第1追照射光量p1cを含んでいる。また、第2照射光量は、第2液体を1回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の第2仮照射光量p2a、及び、第2液体を1回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の第2追照射光量p2cを含んでいる。
【0106】
この第1仮照射光量p1a及び第2仮照射光量p2aは、第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2aのうち高い光量以上である。第1仮照射光量p1a及び第2仮照射光量p2aは、互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。また、第1追照射光量p1cは、第1仮照射光量p1aとの合計光量p1tが第1本硬化光量L1bに等しくなるように設定される。第2追照射光量p2cは、第2仮照射光量p2aとの合計光量p2tが第2本硬化光量L2bに等しくなるように設定される。なお、合計光量p1tは第1本硬化光量L1b以上の光量であってもよく、合計光量p2tは第2本硬化光量L2b以上の光量であってもよい。
【0107】
そして、第1光照射処理では、制御装置40は、第1走査において、第1仮照射光量p1aの光を後続光照射部30から第1基材A1に照射する第1仮硬化処理、及び、第2仮照射光量p2aの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する第2仮硬化処理を実行する。これにより、第1液体及び第2液体が未硬化状態から仮硬化する。このように、同一の第1走査において第1液体及び第2液体が仮硬化するため、液体を硬化した硬化物のテクスチャをマットに揃えることができる。
【0108】
さらに、第2走査において、制御装置40は、第1追照射光量p1cの光を後続光照射部30から第1基材A1に照射する第1追硬化処理、及び、第2追照射光量p2cの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する第2追硬化処理を実行する。これにより、第1仮硬化処理における第1仮照射光量p1aの光の照射によって仮硬化した第1液体は、第1追硬化処理における第1追照射光量p1cの光の照射によって本硬化する。第2仮硬化処理における第2仮照射光量p2aの光の照射によって仮硬化した第2液体は、第2追硬化処理における第2追照射光量p2cの光の照射によって本硬化する。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を本硬化することができる。
【0109】
なお、図10(b)に示すように、制御装置40は、最大光量が第1本硬化光量L1bと第1仮照射光量p1aとの差分光量未満である場合、第1光照射処理の第1追硬化処理において、第1仮硬化処理により仮硬化した第1液体に第1追照射光量の光を複数回照射することにより、第1液体を仮硬化状態から本硬化させてもよい。
【0110】
この場合、第1照射光量は、第1液体を1回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の第1仮照射光量p1a、及び、第1液体を複数回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の複数の第1追照射光量p1c1、p1c2を含んでいる。この第1仮照射光量p1a、第1追照射光量p1c1及び第1追照射光量p1c2の合計光量p1tは、第1本硬化光量L1bに等しい。なお、合計光量p1tは第1本硬化光量L1b以上の光量であってもよい。
【0111】
また、図10(b)に示すように、制御装置40は、最大光量が第2本硬化光量L2bと第2仮照射光量p2aとの差分光量未満である場合、第1光照射処理の第2追硬化処理において、第2仮硬化処理により仮硬化した第2液体に第2追照射光量の光を複数回照射することにより、第2液体を仮硬化状態から本硬化させてもよい。
【0112】
この場合、第2照射光量は、第2液体を1回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の第2仮照射光量p2a、及び、第2液体を複数回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の複数の第2追照射光量p2c1、p2c2を含んでいる。この第2仮照射光量p2a、第2追照射光量p2c1及び第2追照射光量p2c2の合計光量p2tは、第2本硬化光量L2bに等しい。なお、合計光量p2tは第2本硬化光量L2b以上の光量であってもよい。
【0113】
ここで、第1追照射光量の光の照射回数は、合計光量p1tが第1本硬化光量L1b以上になる最小回数に設定される。また、第2追照射光量の光の照射回数は、合計光量p2tが第2本硬化光量L2b以上になる最小回数に設定される。なお、第1追照射光量の光の照射回数と第2追照射光量の光の照射回数とは、互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。
【0114】
そして、第1光照射処理では、制御装置40は、第1走査において、第1仮照射光量p1aの光を後続光照射部30から第1基材A1に照射し、第2仮照射光量p2aの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する。これにより、このように、同一の第1走査において第1液体及び第2液体が仮硬化するため、液体を硬化した硬化物のテクスチャをマットに揃えることができる。
【0115】
さらに、第2走査において、制御装置40は、第1追照射光量p1c1の光を後続光照射部30から第1基材A1に照射し、第2追照射光量p2c1の光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する。続いて、第3走査において、制御装置40は、第1追照射光量p1c2の光を後続光照射部30から第1基材A1に照射し、第2追照射光量p2c2の光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する。これにより、第1液体及び第2液体は、仮硬化状態から本硬化する。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を本硬化することができる。
【0116】
図11(a)の例では、第1照射光量は、第1液体を複数回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の複数の第1仮照射光量p1a1、p1a2、及び、第1液体を1回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の第1追照射光量p1cを含んでいる。第2照射光量は、第2液体を複数回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の第2仮照射光量p2a1、p2a2、及び、第2液体を1回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の第2追照射光量p2cを含んでいる。
【0117】
第1仮照射光量p1a1、p1a2は、第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2aが第1仮照射光量p1a1より大きく、且つ、第1仮照射光量p1a1と第1仮照射光量p1a2との合計光量p1t1以下になるように設定される。第1仮照射光量p1a1及び第2仮照射光量p2a2は、互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。第1追照射光量p1cは、第1仮照射光量p1a1、p2a2との合計光量p1t2が第1本硬化光量L1bに等しくなるように設定される。なお、合計光量p1t2は第1本硬化光量L1b以上の光量であってもよい。
【0118】
第2仮照射光量p2a1は第2仮照射光量p2a2よりも先に照射される光の光量である。第2仮照射光量p2a1、p2a2は、第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2aが第2仮照射光量p2a1より大きく、且つ、第2仮照射光量p2a1と第2仮照射光量p2a2との合計光量p2t1以下になるように設定される。第2仮照射光量p2a1及び第2仮照射光量p2a2は、互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。第2追照射光量p2cは、第2仮照射光量p2a1、p2a2との合計光量p2t2が第2本硬化光量L2bに等しくなるように設定される。なお、合計光量p2t2は第2本硬化光量L2b以上の光量であってもよい。
【0119】
そして、第1光照射処理では、制御装置40は、第1仮硬化処理、第1追硬化処理、第2仮硬化処理及び第2追硬化処理を実行する。図11(a)の例では、制御装置40は、第1仮硬化処理にて、第1基材A1に第1照射光量の光を2回照射することにより、第1液体を2回目の照射で未硬化状態から仮硬化させる。制御装置40は、第1追硬化処理にて、第1仮硬化処理により仮硬化した第1液体に第1照射光量の光を1回照射することにより、第1液体を仮硬化状態から本硬化させる。制御装置40は、第2仮硬化処理にて、第2基材A2に第2照射光量の光を2回照射することにより、第2液体を2回目の照射で未硬化状態から仮硬化させる。制御装置40は、第2追硬化処理にて、第2仮硬化処理により仮硬化した第2液体に第2照射光量の光を1回照射することにより、第2液体を仮硬化状態から本硬化させる。
【0120】
このため、第1走査では、制御装置40は、第1仮照射光量p1a1の光を後続光照射部30から第1基材A1に照射する第1仮硬化処理、及び、第2仮照射光量p2a1の光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する第2仮硬化処理を実行する。さらに、第2走査では、制御装置40は、第1仮照射光量p1a2の光を後続光照射部30から第1基材A1に照射する第1仮硬化処理、及び、第2仮照射光量p2a2の光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する第2仮硬化処理を実行する。
【0121】
これにより、合計光量p1t1の光が第1液体に照射され、第1液体が未硬化状態から仮硬化する。合計光量p2t1の光が第2液体に照射され、第2液体が未硬化状態から仮硬化する。このように、同一の第2走査において第1液体及び第2液体が仮硬化するため、液体を硬化した硬化物のテクスチャを揃えることができる。
【0122】
さらに、第3走査において、制御装置40は、第1追照射光量p1cの光を後続光照射部30から第1基材A1に照射する第1追硬化処理、及び、第2追照射光量p2cの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する第2追硬化処理を実行する。これにより、合計光量p1t1の光によって仮硬化した第1液体は、第1追照射光量p1cの光の照射によって本硬化する。合計光量p2t1の光の照射によって仮硬化した第2液体は、第2追照射光量p2cの光の照射によって本硬化する。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を本硬化することができる。
【0123】
なお、第1仮硬化光量L1aが第2仮硬化光量L2aよりも低い場合、第2仮照射光量p2a1を第1仮硬化光量L1aよりも低くする。これにより、例えば、第1走査において第2仮照射光量p2a1の光が漏れて第1基材A1に照射されても、第1液体が仮硬化することを抑制することができる。よって、同一の第2走査において第1液体及び第2液体を仮硬化して、硬化物のテクスチャを揃えることができる。
【0124】
また、最大光量が第1本硬化光量L1bと合計光量p1t1との差分光量未満である場合、図11(b)に示すように、制御装置40は、第1光照射処理の第1追硬化処理において、第1仮硬化処理により仮硬化した第1液体に第1追照射光量の光を複数回照射することにより、第1液体を仮硬化状態から本硬化させてもよい。
【0125】
この場合、第1照射光量は、第1液体を複数回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の第1仮照射光量p1a1、p1a2、及び、第1液体を複数回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の複数の第1追照射光量p1c1、p1c2を含んでいる。この第1仮照射光量p1a、第1仮照射光量p1a2、第1追照射光量p1c1及び第1追照射光量p1c2の合計光量p1t2は、第1本硬化光量L1bに等しい。なお、合計光量p1t2は第1本硬化光量L1b以上の光量であってもよい。
【0126】
また、最大光量が第2本硬化光量L2bと合計光量p2t1との差分光量未満である場合、図11(b)に示すように、制御装置40は、第1光照射処理の第2追硬化処理において、第2仮硬化処理により仮硬化した第2液体に第2追照射光量の光を複数回照射することにより、第2液体を仮硬化状態から本硬化させてもよい。
【0127】
この場合、第2照射光量は、第2液体を複数回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させるために照射される光の第2仮照射光量p2a1、p2a2、及び、第2液体を複数回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の複数の第2追照射光量p2c1、p2c2を含んでいる。この第2仮照射光量p2a1、第2仮照射光量p2a2、第2追照射光量p2c1及び第2追照射光量p2c2の合計光量p2t2は、第2本硬化光量L2bに等しい。なお、合計光量p2tは第2本硬化光量L2b以上の光量であってもよい。
【0128】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る画像記録装置10では、制御装置40は、データ取得処理、情報取得処理、硬化光量取得処理、第1差分処理、照射光量取得処理、記録処理、第2光照射処理及び第3光照射処理を実行する。
【0129】
データ取得処理では、制御装置40は、ヘッド20から光硬化性液体を吐出するための吐出データを取得する。記録処理では、被記録媒体Aとヘッド20とを相対的に移動させながら、吐出データに基づき第1基材A1及び第2基材A2に光硬化性液体を吐出する。情報取得処理では、第1基材A1の第1位置情報及び第2基材A2の第2位置情報を取得する。
【0130】
硬化光量取得処理では、制御装置40は、第1基材A1上の光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量、及び、第1本硬化光量よりも高く且つ第2基材A2上の光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を取得する。第1本硬化光量及び第2本硬化光量は、照射照度及び積算光量のいずれか一方である。
【0131】
第1差分処理では、制御装置40は、第2本硬化光量L2bから、第1本硬化光量L1bを差し引いた第1差分光量を取得する。第2光照射処理では、制御装置40は、被記録媒体Aと光照射部30とを相対的に移動させながら、第1位置情報及び第2位置情報に基づき第1本硬化光量に応じた第3照射光量の光を第1基材A1及び第2基材A2に照射させる。第3光照射処理では、制御装置40は、被記録媒体Aと光照射部30とを相対的に移動させながら、第2位置情報に基づき第1差分光量に応じた第4照射光量の光を第2基材A2に照射させる。第3照射光量及び第4照射光量は、照射照度及び積算光量のいずれか一方である。
【0132】
例えば、画像記録装置10の制御方法は、図12に示すフローチャートに沿って制御装置40により実行される。図12のフローチャートでは、図5のステップS3の硬化光量取得処理とステップS4の照射光量取得処理との間に、ステップS9の第1差分処理が実行される。また、図12のフローチャートでは、図5のステップS6の第1光照射処理に代えて、ステップS10の第2光照射処理及びステップS11の第3光照射処理が実行される。
【0133】
図13(a)の例では、第2光照射処理は、第1基材A1及び第2基材A2に第3照射光量の光を1回照射することにより、第1基材A1上の光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させ、第2基材A2上の光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいる。
【0134】
具体的には、制御装置40は、照射光量取得処理にて、光照射部30から照射可能な光の最大光量と、各硬化光量とを比較する。ここでは、光照射部30の最大光量が第1本硬化光量L1b以上且つ第2本硬化光量L2b未満である。そして、制御装置40は、各硬化光量及び最大光量に基づいて第3照射光量及び第4照射光量を取得する。
【0135】
第3照射光量は、第1液体を1回の光の照射により未硬化状態から本硬化させる第1本照射光量p1bを含んでいる。第1本照射光量p1bは第1本硬化光量L1bに等しい。ここでは、第1本硬化光量L1bが第2仮硬化光量L2aよりも高いため、第1本照射光量p1bの光を第2液体に1回照射することによって第2液体は未硬化状態から仮硬化する。なお、第1本照射光量p1bは、第1本硬化光量L1b以上且つ第2本硬化光量L2b未満の光量であってもよい。
【0136】
第4照射光量は、第2液体を1回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の第2追照射光量p2cを含んでいる。第2追照射光量p2cは、第2本硬化光量L2bと第1本硬化光量L1bとの差分である第1差分光量に等しい。第2追照射光量p2cと第1本照射光量p1bとの合計光量p2tは、第2本硬化光量L2bに等しい。なお、第2追照射光量p2cは第1差分光量以上の光量であってもよく、合計光量p2tは第1本硬化光量L1b以上の光量であってもよい。
【0137】
そして、第2光照射処理では、制御装置40は、第1走査において、第1本照射光量p1bの光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。これにより、第1液体が未硬化状態から本硬化し、第2液体が未硬化状態から仮硬化する。このように、同一の第1走査において第1液体及び第2液体が硬化するため、液体を硬化した硬化物のテクスチャをマットに揃えることができる。
【0138】
さらに、第3光照射処理では、制御装置40は、第2走査において、第2追照射光量p2cの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する。これにより、第2光照射処理における第1本照射光量p1bの光の照射によって仮硬化した第2液体は、第3光照射処理における第2追照射光量p2cの光の照射によって本硬化する。この第2走査では、光を後続光照射部30から第1基材A1に照射しない。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を未硬化状態から本硬化することができる。
【0139】
なお、最大光量が第1差分光量未満である場合、第3光照射処理は、第2光照射処理により仮硬化した第2液体に第4照射光量の光を複数回照射することにより、第2液体を仮硬化状態から本硬化させる処理を含んでいてもよい。この場合、第4照射光量は、第2液体を複数回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の複数の照射光量を含んでいてもよい。
【0140】
図13(b)の例では、第2光照射処理は、第1基材A1及び第2基材A2に第3照射光量の光を複数回照射することにより、第1基材A1上の光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から本硬化させ、第2基材A2上の光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいる。
【0141】
具体的には、制御装置40は、照射光量取得処理にて、光照射部30から照射可能な光の最大光量と、各硬化光量とを比較する。ここでは、光照射部30の最大光量が第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a未満且つ第1差分光量以上である。各硬化光量及び最大光量に基づいて第3照射光量及び第4照射光量を取得する。なお、第2追照射光量p2cと合計光量p1tとの合計光量p2tが第2本硬化光量L2bに等しい点を除いて、図13(b)の第4照射光量は、図13(a)の第4照射光量と同様である。
【0142】
第3照射光量は、第1液体を複数回(例えば、2回)の光の照射により未硬化状態から本硬化させる複数の第1本照射光量p1b1、p1b2を含んでいる。第1本照射光量p1b1と第1本照射光量p1b2との合計光量p1tは、第1本硬化光量L1bに等しい。また、第1本照射光量p1b1、p1b2は、所定回数目(例えば、2回目)の光の照射により第1液体及び第2液体が共に未硬化状態から仮硬化するように設定される。この例では、第1本照射光量p1b1、p1b2は、第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2aが第1本照射光量p1b1よりも高く、且つ、合計光量p1t以下になるように設定される。なお、合計光量p1tは第1本硬化光量L1b以上の光量であってもよい。
【0143】
そして、第2光照射処理では、制御装置40は、第1走査において、第1本照射光量p1b1の光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。この第1本照射光量p1b1は第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a未満であるため、第1液体及び第2液体は仮硬化せずに未硬化状態のままである。
【0144】
続いて、制御装置40は、第2走査において、第1本照射光量p1b2の光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。これにより、第1液体に照射された合計光量p1tが第1仮硬化光量L1aを超えて第1本硬化光量L1bに達し、第1液体は未硬化状態から仮硬化状態を経由し本硬化する。また、第2液体に照射された合計光量p1tが第2仮硬化光量L2aに達し、第2液体は未硬化状態から仮硬化する。このように、同一の第2走査において第1液体及び第2液体が仮硬化するため、液体を硬化した硬化物のテクスチャをグロスに揃えることができる。
【0145】
そして、第3光照射処理では、制御装置40は、第3走査において、第2追照射光量p2cの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する。これにより、第2光照射処理における合計光量p1tの光の照射によって仮硬化した第2液体は、第3光照射処理における第2追照射光量p2cの光の照射によって本硬化する。この第3走査では、光を後続光照射部30から第1基材A1に照射しない。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を未硬化状態から本硬化することができる。
【0146】
図14(a)の例では、第2光照射処理は、第1基材A1及び第2基材A2に第3照射光量の光を1回照射することにより、第1基材A1上の光硬化性液体及び第2基材A2上の光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいる。
【0147】
具体的には、制御装置40は、照射光量取得処理にて、光照射部30から照射可能な光の最大光量と、各硬化光量とを比較する。ここでは、光照射部30の最大光量が第1仮硬化光量L1a、第2仮硬化光量L2a及び第1差分光量以上且つ第1本硬化光量L1b未満である。各硬化光量及び最大光量に基づいて第3照射光量及び第4照射光量を取得する。
【0148】
図14(a)の第3照射光量は、第1本照射光量p1b1が第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a以上である点を除いて、図13(b)の第3照射光量と同様である。また、図14(a)の第4照射光量は、図13(b)の第4照射光量と同様である。
【0149】
そして、第2光照射処理では、制御装置40は、第1走査において、第1本照射光量p1b1の光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。この第1本照射光量p1b1は第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a以上であるため、第1液体及び第2液体は未硬化状態から仮硬化する。このように、同一の第1走査において第1液体及び第2液体が仮硬化するため、液体を硬化した硬化物のテクスチャをマットに揃えることができる。
【0150】
続いて、制御装置40は、第2走査において、第1本照射光量p1b2の光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。これにより、第1液体に照射された合計光量p1tが第1本硬化光量L1bに達し、第1液体は仮硬化状態から本硬化する。また、第2液体に照射された合計光量p1tが第2本硬化光量L2bに達せず、第2液体は仮硬化状態を維持する。
【0151】
そして、第3光照射処理では、制御装置40は、第3走査において、第2追照射光量p2cの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する。これにより、第2光照射処理における合計光量p1tの光の照射によって仮硬化した第2液体は、第3光照射処理における第2追照射光量p2cの光の照射によって本硬化する。この第3走査では、光を後続光照射部30から第1基材A1に照射しない。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を未硬化状態から本硬化することができる。
【0152】
図14(b)の例では、第2光照射処理は、第1基材A1及び第2基材A2に第3照射光量の光を複数回照射することにより、第1基材A1上の光硬化性液体及び第2基材A2上の光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいる。
【0153】
具体的には、制御装置40は、照射光量取得処理にて、光照射部30から照射可能な光の最大光量と、各硬化光量とを比較する。ここでは、光照射部30の最大光量が第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a未満且つ第1差分光量以上である。各硬化光量及び最大光量に基づいて第3照射光量及び第4照射光量を取得する。なお、図14(b)の第4照射光量は、図13(b)の第4照射光量と同様である。
【0154】
第3照射光量は、第1液体を複数回(例えば、3回)の光の照射により未硬化状態から本硬化させる複数の第1本照射光量p1b1、p1b2、p1b3を含んでいる。第1本照射光量p1b1と第1本照射光量p1b2と第1本照射光量p1b3との合計光量p1t2は、第1本硬化光量L1bに等しい。また、第1本照射光量p1b1、p1b2は、所定回数目(例えば、2回目)の光の照射により第1液体及び第2液体が共に未硬化状態から仮硬化するように設定される。この例では、第1本照射光量p1b1、p1b2は、第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2aが第1本照射光量p1b1よりも高く、且つ、第1本照射光量p1b1と第1本照射光量p1b2との合計光量p1t1以下になるように設定される。なお、合計光量p1t2は第1本硬化光量L1b以上の光量であってもよい。
【0155】
そして、第2光照射処理では、制御装置40は、第1走査において、第1本照射光量p1b1の光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。この第1本照射光量p1b1は第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a未満であるため、第1液体及び第2液体は仮硬化せずに未硬化状態のままである。
【0156】
続いて、制御装置40は、第2走査において、第1本照射光量p1b2の光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。これにより、第1液体に照射された合計光量p1t1が第1仮硬化光量L1aに達し、第1液体は未硬化状態から仮硬化する。また、第2液体に照射された合計光量p1t1が第2仮硬化光量L2aに達し、第2液体は未硬化状態から仮硬化する。このように、同一の第2走査において第1液体及び第2液体が仮硬化するため、液体を硬化した硬化物のテクスチャをグロスに揃えることができる。
【0157】
さらに、制御装置40は、第3走査において、第1本照射光量p1b3の光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。これにより、第1液体に照射された合計光量p1t2が第1本硬化光量L1bに達し、第1液体は仮硬化状態から本硬化する。また、第2液体に照射された合計光量p1t2が第2本硬化光量L2bに達せず、第2液体は仮硬化状態が維持される。
【0158】
そして、第3光照射処理では、制御装置40は、第3走査において、第2追照射光量p2cの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する。これにより、第2光照射処理における合計光量p1t2の光の照射によって仮硬化した第2液体は、第3光照射処理における第2追照射光量p2cの光の照射によって本硬化する。この第3走査では、光を後続光照射部30から第1基材A1に照射しない。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を未硬化状態から本硬化することができる。
<変形例6>
変形例6の画像記録装置10では、実施の形態2において、第1位置情報は、移動方向における第1基材A1の第1上流端及び第1下流端を含む。第2位置情報は、移動方向における第2基材A2の第2上流端及び第2下流端を含む。制御装置40は、第3光照射処理にて、光照射部30から照射される光の被記録媒体Aにおける光照射範囲34が第2上流端よりも移動方向の上流にあるときに、光の照射を開始させ、光照射範囲34が第2下流端よりも移動方向の下流にあるときに、光の照射を終了させる。
【0159】
例えば、図15の例では、光照射部30の走査において、右端34rが第2基材A2の第2左端Gにある位置xiと、左端34lが第2基材A2の第2右端Hにある位置xiiとの間に光照射範囲34がある場合、光照射範囲34は第2基材A2にある。
【0160】
このため、光照射部30が右に移動する場合には、位置xiよりも左にて第1光照射部30aの光照射を開始し、位置xiiよりも右にて第1光照射部30aの光照射を終了する。また、光照射部30が左に移動する場合には、位置xiiよりも右にて第2光照射部30bの光照射を開始し、位置xiよりも左にて第2光照射部30bの光照射を終了する。
【0161】
<変形例7>
変形例7の画像記録装置10では、実施の形態2及び変形例6において、制御装置40は、第2光照射処理において、光照射部30の所定位置からの光の照射位置が第1基材A1上及び第2基材A2上であるときに、光を照射させる。制御装置40は、第3光照射処理において、光照射部30の所定位置からの光を照射位置が第2基材A2上であるときに、光を照射させる。
【0162】
この場合、制御装置40は、光照射部30の所定位置(例えば、中央位置)に対応する光照射範囲34の中央位置が第1基材A1及び第2基材A2にあるときに、第3照射光量の光を第1基材A1及び第2基材A2に照射する。制御装置40は、光照射範囲34の中央位置が第2基材A2にあるときに、第4照射光量の光を第2基材A2に照射する。これにより、光エネルギの無駄を低減しつつ、各液体を硬化することができる。
【0163】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る画像記録装置10では、制御装置40は、データ取得処理、記録処理、情報取得処理、硬化光量取得処理、第2差分処理、記録処理、第4光照射処理及び第5光照射処理を実行する。実施の形態3のデータ取得処理、記録処理及び情報取得処理は、実施の形態1及び2と同様である。
【0164】
硬化光量取得処理では、第1基材A1上の光硬化性液体を硬化させるための第1硬化光量、及び、第2基材A2上の光硬化性液体を硬化させるための第2硬化光量を取得する。第1硬化光量は、第1基材A1上の光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第1仮硬化光量、及び、第1基材A1上の光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第1本硬化光量を有している。第2硬化光量は、第2基材A2上の光硬化性液体を未硬化状態から仮硬化させるための第2仮硬化光量、及び、第2基材A2上の光硬化性液体を未硬化状態から本硬化させるための第2本硬化光量を有している。
【0165】
第2差分処理では、第1本硬化光量から、第1仮硬化光量及び前記第2仮硬化光量のうちの高い高硬化光量を差し引いた第2差分光量、及び、第2本硬化光量から高硬化光量を差し引いた第3差分光量を取得する。
【0166】
第4光照射処理では、被記録媒体Aと光照射部30とを相対的に移動させながら、第1位置情報及び第2位置情報に基づき高硬化光量に応じた第5照射光量の光を第1基材A1及び第2基材A2に照射させる。第5光照射処理では、被記録媒体Aと光照射部30とを相対的に移動させながら、第1位置情報に基づき第2差分光量に応じた第6照射光量の光を第1基材A1に照射させ、第2位置情報に基づき第3差分光量に応じた第7照射光量の光を第2基材A2に照射させる。第5照射光量、第6照射光量及び第7照射光量は、照射照度及び積算光量のいずれか一方である。
【0167】
例えば、画像記録装置10の制御方法は、図16に示すフローチャートに沿って制御装置40により実行される。図16のフローチャートでは、図5のステップS3の硬化光量取得処理とステップS4の照射光量取得処理との間に、ステップS12の第2差分処理が実行される。また、図16のフローチャートでは、図5のステップS6の第1光照射処理に代えて、ステップS13の第4光照射処理及びステップS14の第5光照射処理が実行される。以下では、第2仮硬化光量L2aが第1仮硬化光量L1aよりも高い場合について説明する。なお、第1仮硬化光量L1aが第2仮硬化光量L2aよりも高い場合もこれと同様である
【0168】
図17(a)の例では、第4光照射処理は、第1基材A1及び第2基材A2に第5照射光量の光を1回照射することにより、第1基材A1上の光硬化性液体及び第2基材A2上の光硬化性液体を1回目の照射で未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいる。
【0169】
具体的には、制御装置40は、照射光量取得処理にて、光照射部30から照射可能な光の最大光量と、各硬化光量とを比較する。ここでは、光照射部30の最大光量が第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a以上且つ第2本硬化光量L2b未満である。そして、制御装置40は、各硬化光量及び最大光量に基づいて第5照射光量、第6照射光量及び第7照射光量を取得する。
【0170】
第5照射光量は、第2液体を1回の光の照射により未硬化状態から仮硬化させる第2仮照射光量p2aを含んでいる。第2仮照射光量p2aは第2仮硬化光量L2aに等しい。ここでは、第2仮硬化光量L2aが第1仮硬化光量L1aよりも高いため、第2仮照射光量p2aの光を1回、第1液体に照射することによって第1液体は未硬化状態から仮硬化する。なお、第2仮照射光量p2aは、第2仮硬化光量L2a以上且つ第1本硬化光量L1b未満の光量であってもよい。
【0171】
第6照射光量は、第2仮照射光量p2aの光の照射によって仮硬化した第1液体を、1回の光の照射により本硬化させるために照射される光の第1追照射光量p1cを含んでいる。第1追照射光量p1cは、第1本硬化光量L1bと第2仮硬化光量L2aとの差分である第2差分光量に等しい。第1追照射光量p1cと第2仮照射光量p2aとの合計光量p1tは、第1本硬化光量L1bに等しい。なお、第1追照射光量p1cは第2差分光量以上の光量であってもよく、合計光量p1tは第1本硬化光量L1b以上の光量であってもよい。
【0172】
第7照射光量は、第2仮照射光量p2aの光の照射によって仮硬化した第2液体を、1回の光の照射により本硬化させるために照射される光の第2追照射光量p2cを含んでいる。第2追照射光量p2cは、第2本硬化光量L2bと第2仮硬化光量L2aとの差分である第3差分光量に等しい。第2追照射光量p2cと第2仮照射光量p2aとの合計光量p2tは、第2本硬化光量L2bに等しい。なお、第2追照射光量p2cは第3差分光量以上の光量であってもよく、合計光量p2tは第2本硬化光量L2b以上の光量であってもよい。
【0173】
そして、第4光照射処理では、制御装置40は、第1走査において、第2仮照射光量p2aの光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。これにより、第1液体及び第2液体が共に未硬化状態から仮硬化する。このように、同一の第1走査において第1液体及び第2液体が仮硬化するため、液体を硬化した硬化物のテクスチャをマットに揃えることができる。
【0174】
さらに、第2走査において、制御装置40は、第5光照射処理及び第6光照射処理を実行する。第5光照射処理では第1追照射光量p1cの光を後続光照射部30から第1基材A1に照射し、第6光照射処理では第2追照射光量p2cの光を後続光照射部30から第2基材A2に照射する。これにより、第4光照射処理における第2仮照射光量p2aの光の照射によって仮硬化した第1液体は、第5光照射処理における第1追照射光量p1cの光の照射によって本硬化する。また、第4光照射処理における第2仮照射光量p2aの光の照射によって仮硬化した第2液体は、第6光照射処理における第2追照射光量p2cの光の照射によって本硬化する。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を未硬化状態から本硬化することができる。
【0175】
なお、最大光量が第2差分光量未満である場合、第5光照射処理は、第4光照射処理により仮硬化した第1液体に第6照射光量の光を複数回照射することにより、第1液体を仮硬化状態から本硬化させる処理を含んでいてもよい。この場合、第6照射光量は、第1液体を複数回の光の照射により仮硬化状態から本硬化させるために照射される光の複数の照射光量を含んでいてもよい。なお、最大光量が第3差分光量未満である場合、第6光照射処理は第5光照射処理と同様であり、第7照射光量は第6照射光量と同様である。
【0176】
図17(b)の例では、第4光照射処理は、第1基材A1及び第2基材A2に第5照射光量の光を複数回照射することにより、第1基材A1上の光硬化性液体及び第2基材A2上の光硬化性液体を所定回数目の照射で未硬化状態から仮硬化させる処理を含んでいる。
【0177】
具体的には、制御装置40は、照射光量取得処理にて、光照射部30から照射可能な光の最大光量と、各硬化光量とを比較する。ここでは、光照射部30の最大光量が第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2a未満である。そして、制御装置40は、各硬化光量及び最大光量に基づいて第5照射光量、第6照射光量及び第7照射光量を取得する。
【0178】
第5照射光量は、第2液体を複数回(例えば、2回)の光の照射により未硬化状態から仮硬化させる複数の第2仮照射光量p2a1、p2a2を含んでいる。第2仮照射光量p2a1と第2仮照射光量p2a2との合計光量p2t1は、第2仮硬化光量L2aに等しい。また、第2仮照射光量p2a1、p2a2は、所定回数目(例えば、2回目)の光の照射により第1液体及び第2液体が共に未硬化状態から仮硬化するように設定される。この例では、第2仮照射光量p2a1、p2a2は、第1仮硬化光量L1a及び第2仮硬化光量L2aが第2仮照射光量p2a1よりも高く、且つ、合計光量p2t1以下になるように設定される。なお、合計光量p2t1は第2仮硬化光量L2a以上の光量であってもよい。
【0179】
図17(b)の第6照射光量は、合計光量p2t1と第1追照射光量p1cとの合計光量p1tが第1本硬化光量L1bに等しい点を除いて、図17(a)の第6照射光量と同様である。また、図17(b)の第7照射光量は、合計光量p2t1と第2追照射光量p2cとの合計光量p2t2が第2本硬化光量L2bに等しい点を除いて、図17(a)の第7照射光量と同様である。
【0180】
そして、第4光照射処理では、制御装置40は、第1走査において、第2仮照射光量p2a1の光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。この第1液体に照射された第2仮照射光量p2a1が第1仮硬化光量L1aに達せず、第2液体に照射された第2仮照射光量p2a1が第2仮硬化光量L2aに達しないため、第1液体及び第2液体は未硬化状態を維持する。
【0181】
続いて、第2走査において、制御装置40は、第2仮照射光量p2a2の光を後続光照射部30から第1基材A1及び第2基材A2に照射する。この第1液体に照射された合計光量p2t1が第1仮硬化光量L1aに達し、第2液体に照射された合計光量p2t1が第2仮硬化光量L2aに達して、第1液体及び第2液体が共に未硬化状態から仮硬化する。このように、同一の第1走査において第1液体及び第2液体が仮硬化するため、液体を硬化した硬化物のテクスチャをグロスに揃えることができる。
【0182】
さらに、第3走査において、制御装置40は、第5光照射処理及び第6光照射処理を実行する。これにより、第1液体に照射された合計光量p1tが第1本硬化光量L1bに達し、第2液体に照射された合計光量p2t2が第2本硬化光量L2bに達して、第1液体及び第2液体が共に仮硬化状態から本硬化する。このため、光エネルギの無駄を低減しつつ、第1液体及び第2液体を未硬化状態から本硬化することができる。
【0183】
<その他の変形例>
上記全実施の形態及び全変形例において、移動機構13は、被記録媒体Aを移動させずに、ヘッド20及び光照射部30を左右方向に移動した。但し、移動機構13は、被記録媒体Aとヘッド20及び光照射部30とを左右方向において相対的に移動すればよい。このため、移動機構13は、ヘッド20及び光照射部30を移動させずに、被記録媒体Aを左右方向に移動させてもよい。また、移動機構13は、左右方向において、被記録媒体Aと、ヘッド20及び光照射部30とを移動させてもよい。
【0184】
上記全実施の形態及び全変形例において、画像記録装置10は、シリアルヘッド方式が用いられたが、ラインヘッド方式であってもよい。この場合、移動機構13は、走査装置50を有さずに、搬送装置60を有する。これにより、ヘッド20は左右方向に移動せず、搬送装置60により被記録媒体Aとヘッド20とが相対的に移動する。
【0185】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明の画像記録装置は、複数種類の基材を含む被記録媒体に画像を適切に記録することができる画像記録装置等として有用である。
【符号の説明】
【0187】
10 :画像記録装置
13 :移動機構
20 :ヘッド
21 :ノズル
30 :光照射部
30a :光照射部
30b :光照射部
40 :制御装置
52 :キャリッジ
60 :搬送装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17