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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063962
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
B60N2/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172402
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 健介
(72)【発明者】
【氏名】平松 龍一
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB03
3B087BC04
3B087BC05
3B087BC07
(57)【要約】
【課題】シートスライド装置の構造を簡略化する。
【解決手段】シートスライド装置1は、ロアレール2と、アッパーレール3と、ロック部材4と、レバー機構5と、を備える。レバー機構5は、レバー51と、レバーブラケット52と、保持スプリング53と、を備える。レバー51は、搭乗者によって操作される。レバーブラケット52は、ロック部材4に回転可能に保持されると共に、レバー51のロック解除動作に伴い、押圧部524によってロック部材4を押圧してロック部材4をロック解除位置に移動させる。保持スプリング53は、レバーブラケット52に装着される装着部531と、レバー51に装着され、レバー51をレバーブラケット52に保持するレバー保持部532と、レバー51の動作に連動してレバーブラケット52を動作させる連動部533と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の床に固定されるロアレールと、
シートに固定される共に、前記ロアレールに対してスライド可能なアッパーレールと、
前記ロアレールと前記アッパーレールとの相対移動を解除可能にロックするロック部材と、
前記ロック部材のロック状態とロック解除状態とを切り換えるレバー機構と、
を備え、
前記レバー機構は、
搭乗者によって操作されるレバーと、
前記ロック部材に回転可能に保持されると共に、前記レバーのロック解除動作に伴い、押圧部によって前記ロック部材を押圧して前記ロック部材をロック解除位置に移動させるレバーブラケットと、
前記レバーブラケットに装着される装着部と、前記レバーに装着され、前記レバーを前記レバーブラケットに保持するレバー保持部と、前記レバーの動作に連動して前記レバーブラケットを動作させる連動部と、を有する保持スプリングと、
を備えるシートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートの前後位置を調節するためのシートスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のシートの前後位置を調節し、所定の位置でシートをロックできるシートスライド装置が知られている。図9(a)は、従来のシートスライド装置の一例を示す断面図である。図9(b)は、従来のシートスライド装置の分解斜視図である。なお、図9(b)では、一部の部品を省略している。従来のシートスライド装置100は、主として、ロアレール110と、アッパーレール120と、ロック装置130と、レバー機構140とを備える。ロアレール110とアッパーレール120とは、ロック装置130によるロック時には前後方向に相対移動不能であり、ロック解除時には前後方向に相対移動可能になる。ロック装置130は、レバー機構140によりロック解除される。
【0003】
レバー機構140は、レバー141と、レバーブラケット142と、バネブラケット143とを備える。レバーブラケット142は、第一端部側(前方側)においてレバー141と接続されている。レバーブラケット142の第二端部側(後方側)には、ロック装置130を作動させる押圧部142aが設けられている。レバーブラケット142は、第一端部と第二端部との間に突起状の軸部142bを有している。バネブラケット143は、板バネから成り、貫通穴143aを有する。レバーブラケット142の軸部142bは、バネブラケットの貫通穴143aに挿入されると共に、アッパーレール120の側壁に設けられた貫通穴120aに軸支される。
【0004】
搭乗者がレバー141を持ち上げることにより、レバーブラケット142が軸部142bを中心として回転し、押圧部142a側が下がる。押圧部142aがロック装置130に力を及ぼすことにより、ロック装置130がロック解除される。
【0005】
ここで、図10を参照して、従来のロック装置130についてさらに詳しく説明する。図10(a)はロック装置130の分解斜視図、図10(b)はロック装置130の組立斜視図である。ロック装置130は、ロック体131と、軸部材132と、ロックブラケット133と、付勢部材134と、固定部材135と、を備えている。
【0006】
ロック体131は、複数のロック歯131aを備える。ロック体131は軸部材132によってロックブラケット133に接続される。ロック歯131aがロアレール110及びアッパーレール120の係合部(不図示)に係合しているとき、ロアレール110とアッパーレール120とはロックされた状態となる。付勢部材134は軸部材132に取り付けられ、ロック体131をロック状態に付勢している。ロックブラケット133は、ピン等の固定部材135によってアッパーレール120に固定される。
【0007】
ロック体131は、レバーブラケット142の押圧部142aによって下方に押圧されることで、軸部材132を中心として回転する。これにより、ロック歯131aが、ロアレール110及びアッパーレール120の係合部から離脱する。こうして、アレール110とアッパーレール120とのロックが解除され、アレール110とアッパーレール120とは相対移動可能になる。押圧部142aによるロック体131への力が除荷されると、付勢部材134の復元力により、ロック体131は自動的に逆回転し、ロック状態に戻る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来のシートスライド装置では、ロック装置やレバー機構は多数の部品から構成されているため、構造が複雑になり、シートスライド装置の質量が大きくなると共に、コストが高くなっていた。
【0009】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、シートスライド装置の構造を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の特徴を有する。
【0011】
車両の床に固定されるロアレールと、
シートに固定される共に、前記ロアレールに対してスライド可能なアッパーレールと、
前記ロアレールと前記アッパーレールとの相対移動を解除可能にロックするロック部材と、
前記ロック部材のロック状態とロック解除状態とを切り換えるレバー機構と、
を備え、
前記レバー機構は、
搭乗者によって操作されるレバーと、
前記ロック部材に回転可能に保持されると共に、前記レバーのロック解除動作に伴い、押圧部によって前記ロック部材を押圧して前記ロック部材をロック解除位置に移動させるレバーブラケットと、
前記レバーブラケットに装着される装着部と、前記レバーに装着され、前記レバーを前記レバーブラケットに保持するレバー保持部と、前記レバーの動作に連動して前記レバーブラケットを動作させる連動部と、を有する保持スプリングと、
を備えるシートスライド装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシートスライド装置では、保持スプリングという一つの部品によって、レバーとレバーブラケットとを連結できると共に、レバーの動作に連動してレバーブラケットを動作させることができる。したがって、本発明により、構造が簡略化されたシートスライド装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】シート及びシートスライド装置の概略側面図である。
図2】シートスライド装置の分解斜視図である。
図3図2における、アッパーレールのIII-III線断面図である。
図4】ロック部材の斜視図である。
図5】シートスライド装置の組立後の部分断面斜視図である。
図6】(a)レバーブラケットの斜視図、(b)保持スプリングの斜視図である。
図7】(a)ロアレール及びアッパーレールを省略した、シートスライド装置の組立斜視図、(b)(a)のVIIb部分を裏側から見た斜視図である。
図8】(a)レバーの非操作時の断面図、(b)レバーの操作時の断面図である。
図9】(a)従来のシートスライド装置の一例を示す断面図、(b)従来のシートスライド装置の一例を示す分解斜視図である。
図10】(a)従来のロック装置の一例を示す分解斜視図、(b)従来のロック装置の一例を示す組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のシートスライド装置について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態は、本発明の好ましい一具体例を示すものである。本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。なお、明確性のため、断面図において、一部の構成要素及びハッチングを省略することがある。
【0015】
<1 シートスライド装置の全体構造>
図1は、車両のシートS及びシートスライド装置1の概略側面図である。以下では、「車両上下方向」、「車両前後方向」、「車両左右方向(車幅方向)」をそれぞれ単に「上下方向」、「前後方向」、「左右方向」と表記する。
【0016】
シートスライド装置1は、ロアレール2と、アッパーレール3と、ロック部材4と、レバー機構5と、を備える。シートスライド装置1は、後述するレバー51の操作部511を除いて、一つのシートSに対し、左右一対設けられている。
【0017】
ロアレール2は、ブラケットBを介して車両のフロアに固定される。アッパーレール3は、シートSに固定されると共に、ロアレール2に組み付けられている。ロアレール2とアッパーレール3とは、ロック部材4によって解除可能にロックされている。ロック部材4がロック位置にあるとき、ロアレール2とアッパーレール3とは、前後方向に相対移動不能である。ロック部材4がロック解除位置にあるとき、ロアレール2とアッパーレール3とは、前後方向に相対移動可能になる。レバー機構5は、ロック部材4のロック状態とロック解除状態とを切り替える。以下、各構成要素について詳述する。
【0018】
<1-1 ロアレール及びアッパーレール>
主に図2を参照して、ロアレール2について説明する。図2は、シートスライド装置1の分解斜視図である。ロアレール2は、底壁21と、側壁22と、上壁23と、フランジ部24と、を備えた、前後方向に延びる長尺な部材から成る。側壁22、上壁23及びフランジ部24はそれぞれ一対設けられている。ロアレール2は、例えば金属製であり、プレス加工によって一体成形される。
【0019】
底壁21は、前後方向に延びる略平板状である。側壁22は、底壁21の左右両端から、底壁21と略直角を成して上方に延びている。上壁23は、側壁22の上端から他方側の側壁22に向けて延びている。フランジ部24は、側壁22の端部から下方に、側壁22と略平行に延びている。
【0020】
フランジ部24には、複数の切欠き24aが前後方向に間隔をあけて形成されている。複数の切欠き24aを設けることによって、フランジ部24の下端には複数のロック歯24bが形成される。ロック部材4がロック位置に配置されているとき、ロック歯24bは、後述するロック部材4の貫通穴41a内に配置される。
【0021】
次に、図2及び図3を参照して、アッパーレール3について説明する。図3は、図2における、アッパーレール3のIII-III線断面図である。
【0022】
図2及び図3に示すように、アッパーレール3は、上壁31と、側壁32と、底壁33と、フランジ部34と、を備えた、前後方向に延びる長尺な部材から成る。側壁32、底壁33及びフランジ部34はそれぞれ一対設けられている。アッパーレール3は、例えば金属製であり、プレス加工によって一体成形される。
【0023】
上壁31は、前後方向に延びる略平板状である。側壁32は、上壁31の左右両端から、上壁31と略直角を成して下方に延びている。底壁33は、側壁32から離れるように、側壁32の下端から斜め上方に向けて延びている。フランジ部34は、側壁32に近づくように底壁33から斜め上方に向けて延びると共に、屈曲して、側壁32から離れるように斜め上方に向けて延びている。
【0024】
図3に示すように、側壁32には、複数の切欠き32aが、前後方向に、ロアレール2の切欠き24aと同じ間隔で形成されている。複数の切欠き32aを設けることにより、側壁32には、複数のロック歯32bが形成される。ロック部材4がロック位置に配置されているとき、ロック歯32bは、後述するロック部材4の貫通穴41a内に配置される。
【0025】
ロアレール2とアッパーレール3とは、ロアレール2の一対のフランジ部24間の空間にアッパーレール3の側壁32が配置され、ロアレール2の側壁22とフランジ部24との間の空間に、アッパーレール3のフランジ部34が配置されるように組み立てられる。
【0026】
ロアレール2の底壁21と側壁22との間のコーナ部と、アッパーレール3の底壁33との間には、図2に示すボール等の転動手段6が配置されている。また、ロアレール2の側壁22の上端と、アッパーレール3のフランジ部34の上端との間には、ボール等の転動手段6が配置されている。この転動手段6により、ロアレール2とアッパーレール3とは、前後方向に円滑にスライドできるようになっている。
【0027】
<1-2 ロック部材>
主に図4を参照して、ロック部材4について説明する。図4は、ロック部材4の斜視図である。
【0028】
ロック部材4は、バネ鋼などの弾性変形可能な一枚の板材を、例えばプレス加工することにより製造される。ロック部材4は、ロック片41と、保持部42と、接続部43と、を備える。保持部42は、ロック片41よりも前方に設けられている。接続部43は、ロック片41と保持部42とを接続する長尺な部分である。
【0029】
ロック片41には、複数の貫通穴41aが前後方向に間隔をあけて設けられている。ロック片41のうち、前後方向において複数の貫通穴41aに隣接する部分は、ロック歯41bとして機能する。ロック部材4がロック位置に配置されているとき、ロアレール2のロック歯24b及びアッパーレール3のロック歯32bは、貫通穴41a内に挿入され、ロック部材4のロック歯41bは、ロアレール2の切欠き24a及びアッパーレール3の切欠き32a内に挿入される。こうして、ロアレール2とアッパーレール3とは前後にスライド不能にロックされる。
【0030】
保持部42は、後述するレバーブラケット52を回転可能に保持する部分である。保持部42は、接続部43の左右両端からそれぞれ立ち上がる一対の壁部421を備える。一対の壁部421の後方にはそれぞれ、円形の貫通穴421aが設けられている。貫通穴421aには、レバーブラケット52の軸部523が挿入される。
【0031】
接続部43は、その前端部に、上方に折り曲げることによって形成された支持部43aを有する。支持部43a上には、後述するレバー51の連結部513が接触した状態で配置される(図8(a)参照)。また、接続部43には、貫通穴43bが設けられている。貫通穴43bには、ロック部材4をアッパーレール3に固定するための固定部材7が挿入される(図5及び図8参照)。固定部材7の下部はロック部材4にカシメられ、固定部材4の上部はアッパーレール3にカシメられる。
【0032】
<1-3 レバー機構>
主に図2図5図6及び図7を参照して、レバー機構5について説明する。図5は、シートスライド装置1の組立後の部分断面斜視図である。レバー機構5は、レバー51と、レバーブラケット52と、保持スプリング53と、を備える。レバー51とレバーブラケット52とは、保持スプリング53によって連結されている。搭乗者がレバー51を操作することにより、レバー51の動作に連動してレバーブラケット52が動き、レバーブラケット52によってロック部材4のロック片41が下方に押圧されることで、ロック解除が行われる。以下、各構成要素について詳述する。
【0033】
図2及び図5に示すように、レバー51は、操作部511と、アーム部512と、連結部513と、を備える。操作部511及びアーム部512は、アッパーレール3の外部に配置されている。操作部511は、搭乗者が掴んでレバー51を操作する部位である。右側のシートスライド装置1のアーム部512と左側のシートスライド装置1のアーム部512とは、操作部511によって連結されている。連結部513は、各アーム部512の先端に設けられている。図2に示すように、連結部513は、切欠き513aと、切欠き513bと、を有する。切欠き513aは、連結部513の前方で且つ連結部513の下部に設けられている。切欠き513bは、連結部513の後方で且つ連結部513の上部に設けられている。後述するように、切欠き513a及び切欠き513bには、保持スプリング53が装着される。
【0034】
図6(a)は、レバーブラケット52の斜視図である。図7(a)は、ロアレール2及びアッパーレール3を省略した、シートスライド装置1の斜視図である。
【0035】
レバーブラケット52は、上壁521と、一対の側壁522と、一対の軸部523と、押圧部524と、を備える。上壁521の一部には開口部が設けられており、この開口部には固定部材7が挿入される(図5参照)。
【0036】
一対の側壁522は、上壁521から下方に延びている。各側壁522は、切欠き522aと、切欠き522bと、を有する。切欠き522aは、側壁522の前方で且つ側壁522の上部に設けられている。切欠き522bは、切欠き522aよりもわずかに後方で且つ側壁522の下部に設けられている。切欠き522bの前後方向における位置は、レバー51の切欠き513aと整合している。後述するように、切欠き522a及び切欠き522bには、保持スプリング53が装着される。
【0037】
軸部523は、側壁522に設けられている。一対の軸部523は、円柱状又は円筒状であり、各側壁522の外面から、互いに反対方向に突出している。
【0038】
図7(a)に示すように、レバーブラケット52は、ロック部材4の一対の側壁421間に配置される。一対の軸部523はそれぞれ、ロック部材4の貫通穴421a内に挿入される。これにより、レバーブラケット52は、ロック部材4の保持部42に回転可能に保持される。
【0039】
押圧部524は、側壁522の後端部に設けられ、側壁522から下方に突出する部分である。押圧部524は、ロック片41上に、好ましくは接触して配置されている。後述するように、押圧部524は、搭乗者が操作部511を持ち上げた際に、レバーブラケット52の回転に伴い下方に移動してロック片41を下方に押圧し、ロック部材4をロック解除位置に移動させる。
【0040】
図6(b)は保持スプリング53の斜視図である。図7(b)は図7(a)のVIIb部分を裏側から見た斜視図である。
【0041】
保持スプリング53は、例えば一本の線状のバネ鋼を折り曲げることによって形成することができる。保持スプリング53は、装着部531と、レバー保持部532と、連動部533と、を備える。装着部531は、保持スプリング53の前端部に設けられた部分であり、図7(a)に示すように、レバーブラケット52の切欠き522a内に装着される。レバー保持部532は、保持スプリング53の後端部に設けられた部分であり、図7(a)に示すように、レバー51の切欠き513b内に装着される。これにより、レバー51は、レバーブラケット52に保持される。連動部533は、レバー51の動作に連動してレバーブラケット52を動作させる部分である。連動部533は、図7(b)に示すように、一方の側壁522と他方の側壁522との間にわたって左右方向に延びると共に、一方の側壁522の切欠き522b内、レバー51の切欠き513a内、及び他方の側壁522の切欠き522b内に装着される。
【0042】
<2 ロック部材及びレバー機構の動作>
主に図8を参照して、ロック部材4及びレバー機構5の動作について説明する。図8(a)はレバー51の非操作時のシートスライド装置1の断面図であり、図8(b)はレバー51の操作時(すなわち、レバー51を上方に持ち上げたとき)のシートスライド装置1の断面図である。
【0043】
図8(a)に示す状態から、搭乗者がレバー51の操作部511を持ち上げると、レバー51はその後部(すなわち、連結部513と支持部43aとの接触点)を中心として回転する。レバー51が持ち上げられると、連動部533によってレバーブラケット52も持ち上げられ、レバーブラケット52は、軸部523を中心として回転する。すなわち、レバーブラケット52は、軸部523よりも前方部分が上方に移動し、軸部523よりも後方部分が下方に移動するように回転する。
【0044】
レバーブラケット52の回転に伴い、押圧部524が、ロック部材4のロック片41を下方に押圧する。これにより、主に接続部43が、弾性変形により下方に撓み、その結果、ロック片41が下方に移動する。そして、ロック歯41bが、ロアレール2の切欠き24a内、及びアッパーレール3の切欠き32a内から離脱する。こうして、ロアレール2とアッパーレール3とのロックが解除され、ロアレール2とアッパーレール3とは互いに前後方向にスライド可能になる。
【0045】
レバー51の操作部511に印加された力を除荷すると、レバー51自体の自重及び保持スプリング53の復元力によりレバー51が下がる。これにより、レバーブラケット52の押圧部524は上昇し、ロック部材4のロック片41を押圧しなくなる。その結果、ロック部材4はその弾性力により元の位置(すなわち、図8(a)の状態)に戻り、ロック歯41bは、切欠き24a及び切欠き32a内に挿入され、ロック歯24b及びロック歯32bは、貫通穴41a内に挿入される。こうして、ロアレール2とアッパーレール3とが前後方向にスライド不能となるようにロックされる。
【0046】
<3 特徴>
本発明では、保持スプリング53のレバー保持部532によってレバー51をレバーブラケット52に保持すると共に、連動部533によってレバーブラケット52がレバー51と連動するようにしている。すなわち、保持スプリング53という一つの部品によって、レバー51をレバーブラケット52に保持させることができると共に、レバー51の動作に伴ってレバーブラケット52を動作させることができるため、従来に比べ少ない部品数でシートスライド装置1を構成することができる。また、本発明では、ロック部材4に、レバーブラケット52を回転可能に保持するための保持部42を設けたため、レバーブラケット52を保持するための部品を別に設ける必要がない。したがって、本発明のシートスライド装置1では、部品数を減らすことができると共に、構造を簡略化することができる。
【0047】
また、本発明のシートスライド装置1では、従来と異なり、レバーブラケット52を保持するために、アッパーレール3の側壁32に貫通穴を設ける必要がないため、従来よりもアッパーレール3の強度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 シートスライド装置
2 ロアレール
3 アッパーレール
4 ロック部材
5 レバー機構
51 レバー
52 レバーブラケット
524 押圧部
53 保持スプリング
531 装着部
532 レバー保持部
533 連動部
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10