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特開2022-63982選択的増殖調整剤とそれを含む化粧料、皮膚外用剤、皮膚洗浄剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063982
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】選択的増殖調整剤とそれを含む化粧料、皮膚外用剤、皮膚洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20220418BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20220418BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220418BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q17/00
A61K36/53
A61P17/00 101
A61P17/00
A61P31/04
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172435
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】595137022
【氏名又は名称】東色ピグメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520398386
【氏名又は名称】継国 孝司
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】植草 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】継国 孝司
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC23
4C083DD23
4C083EE11
4C083FF01
4C088AB38
4C088AC05
4C088BA10
4C088CA08
4C088MA17
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZA90
4C088ZB35
(57)【要約】
【課題】前記黄色ブドウ球菌の増殖を阻害し、表皮ブドウ球菌が増殖し易い皮膚環境を調整することができる選択的増殖調整剤の提供。
【解決手段】シソの葉の水およびアルコールの混合液の可溶成分を有効成分として含有する、皮膚に対して有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のうち、前記黄色ブドウ球菌の増殖をより強く阻害し、表皮ブドウ球菌が増殖し易い皮膚環境を調整する、選択的増殖調整剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シソの葉を含有する、皮膚に対して有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と皮膚に対して有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のうち、前記黄色ブドウ球菌の増殖をより強く阻害し、表皮ブドウ球菌が増殖し易い皮膚環境を調整する、選択的増殖調整剤。
【請求項2】
シソの葉の水およびアルコールの混合液の可溶成分を有効成分として含有する、皮膚に対して有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のうち、前記黄色ブドウ球菌の増殖をより強く阻害し、表皮ブドウ球菌が増殖し易い皮膚環境を調整する、選択的増殖調整剤。
【請求項3】
請求項1または2記載の選択的増殖調整剤を含む化粧料。
【請求項4】
請求項1または2記載の選択的増殖調整剤を含む化粧料を除く皮膚外用剤。
【請求項5】
請求項1または2記載の選択的増殖調整剤を含む皮膚洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮ブドウ球菌が増殖し易い皮膚環境を調整する選択的増殖調整剤と、それを含む化粧料、皮膚外用剤、皮膚洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚上には、有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)が存在しているが、アトピー性皮膚炎や乾皮症などの皮膚疾患などの要因によって、健康な皮膚にはほとんど存在しない有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が繁殖している場合もある。
従来、有益菌である表皮ブドウ球菌に対しては抗菌効果を示さず、有害菌である黄色ブドウ球菌には抗菌効果を示す成分を含有する皮膚常在菌の生態系バランス調整剤などが知られている。
【0003】
特許文献1は、ファルネソールと、キシリトールとを配合し、有害な黄色ブドウ球菌に抗菌作用を有し、無害な表皮ブドウ球菌の生育には影響を与えないことを特徴とする選択的抗菌組成物の発明が開示され、選択的抗菌組成物が皮膚外用剤であることが開示されている。
特許文献2には、ニガリを有効成分とする、健康な肌に常在する表皮ブドウ球菌と皮膚疾患を持つ皮膚上に存在する有害な黄色ブドウ球菌を区別し、常在する有益な表皮ブドウ球菌の生育には影響を与えず、有害な黄色ブドウ球菌のみに抗菌作用を有することによる皮膚常在菌の生態系バランス調整剤の発明が開示されている。
特許文献3には、キダチキンバイ及びタコノキ属植物抽出物から選択される1種又は2種以上と、ニガリを有効成分とする、皮膚常在菌の生態系バランス調整剤の発明が開示されている。
特許文献4には、ヒノキチオール配糖体を有効成分とする皮膚常在菌の生態系バランス調整剤の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4011787号公報
【特許文献2】特許第4608198号公報
【特許文献3】特許第4949674号公報
【特許文献4】特開2007-246411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、皮膚に対して有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の増殖をより強く阻害するように作用し、皮膚に対して有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)が増殖し易い皮膚環境を調整する選択的増殖調整剤と、それを含有する化粧料、化粧料を除く皮膚外用剤、皮膚洗浄剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シソの葉を含有する、皮膚に対して有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と皮膚に対して有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のうち、前記黄色ブドウ球菌の増殖をより強く阻害し、前記表皮ブドウ球菌が増殖し易い皮膚環境を調整する、選択的増殖調整剤、それを含有する化粧料、化粧料を除く皮膚外用剤、皮膚洗浄剤を提供する。
【0007】
また本発明は、シソの葉の水およびアルコールの混合液の可溶成分を有効成分として含有する、皮膚に対して有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と皮膚に対して有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のうち、前記黄色ブドウ球菌の増殖をより強く阻害し、前記表皮ブドウ球菌が増殖し易い皮膚環境を調整する、選択的増殖調整剤、それを含有する化粧料、化粧料を除く皮膚外用剤、皮膚洗浄剤を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の選択的増殖調整剤は、皮膚に対して有害菌である黄色ブドウ球菌の増殖をより強く阻害し、前記表皮ブドウ球菌が増殖し易い皮膚環境を調整するように作用するものであり、前記作用によって、人の皮膚細菌叢において表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌のバランスが調整されることで、健康な皮膚の維持および健康な皮膚状態に回復させる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の試験結果を示す図であり、横軸は時間(hours)、縦軸は増加濁度(OD600)を示す。
図2】実施例2と比較例1~4の試験結果を示す図であり、横軸は選択的増殖調整剤の濃度(純分濃度)、縦軸は増殖阻害率(%)を示す。
図3】実施例3のファンデーションを使用した試験結果を示す図であり、横軸は選択的増殖調整剤の濃度(純分濃度)、縦軸は菌の減少菌数(対数表示)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<選択的増殖調整剤>
本発明の選択的増殖調整剤の第1実施形態は、シソの葉を含有するものである。
シソは、シソ(Perilla frutescens var. acuta)またはチリメンジソ(Perilla frutescens var. crispa (Labiatae)を使用することができる。
第1実施形態の選択的増殖調整剤は、粉末形態(固形状および粉末状)であることが好ましいが、他の形態であってもよい。
シソの葉は、例えば水洗した後、自然乾燥、凍結乾燥、温風乾燥などの方法により乾燥し、粉砕して粉末にしたものを使用することができる。
原料となるシソの葉は、大量採取した全草から葉を分離する分離作業上の問題から、葉の他に茎、根、花または実が含まれていてもよい。
【0011】
第1実施形態の選択的増殖調整剤は、シソの葉のみからなるものでもよいし、シソの葉と本発明の効果に影響を与えない成分との混合物からなるものでもよい。
【0012】
本発明の選択的増殖調整剤の第2実施形態は、シソの葉の水およびアルコールの混合液の可溶成分を有効成分として含有するものである。シソの葉の水およびアルコールの混合液の可溶成分は、水およびアルコールの混合液の抽出液である。
シソは、シソ(Perilla frutescens var. acuta)またはチリメンジソ(Perilla frutescens var. crispa (Labiatae)を使用することができる。
第2実施形態の選択的増殖調整剤は、液状形態または粉末形態(固形状および粉末状)であることが好ましいが、他の形態であってもよい。
原料となるシソの葉は、大量採取した全草から葉を分離する分離作業上の問題から、葉の他に茎、根、花または実が含まれていてもよい。
【0013】
第2実施形態の選択的増殖調整剤は、例えば、次の方法により製造することができる。
シソの葉を精製水で洗浄する。その後、必要に応じてシソの葉を細断する。
【0014】
その後、水およびアルコールの混合液を使用して、シソの葉から抽出液を得る。
アルコールとしては、多価アルコール、メタノール、エタノールなどを使用することができるが、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールから選ばれるものが好ましく、特に1,3-ブチレングリコール水溶液が好ましい。
1,3-ブチレングリコール水溶液を使用するときは、1,3-ブチレングリコール水溶液の濃度は35~65質量%が好ましい。
【0015】
抽出条件は、シソの葉の2~20倍量(体積基準)程度の溶媒を使用して、室温(10~30℃)で抽出することができるが、抽出時間の短縮のため、加温(例えば、30℃超~抽出溶媒の沸点までの温度範囲)してもよい。
【0016】
前工程で得た抽出液をろ過してろ過液を採取して、液状形態の選択的増殖調整剤を得る。
粉末形態の選択的増殖調整剤にするときは、その後、ろ過液を乾燥して、抽出物(可溶成分)を得る。乾燥は、自然乾燥、凍結乾燥、温風乾燥などを適用することができる。
【0017】
第2実施形態の選択的増殖調整剤は、シソの葉の水およびアルコールの混合液の可溶成分のみからなるものでもよいし、前記可溶成分と本発明の効果に影響を与えない成分との混合物からなるものでもよい。
本発明の効果に影響を与えない成分としては、一般的に使用されるpH調整剤、防腐剤、安定化剤などを挙げることができる。
第2実施形態の選択的増殖調整剤は、市販品をそのまま使用することができ、例えば商品名ファルコレックス シソ HB(一丸ファルコス株式会社)、ペリーラン・F(登録商標)-QS(株式会社テクノーブル)、シソ抽出液BG(丸善製薬株式会社)、シソ抽出液BG-30(香栄興業株式会社)などを使用することができる。
【0018】
第1実施形態と第2実施形態の選択的増殖調整剤は、皮膚に対して有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と皮膚に対して有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のうち、実施例において明らかにしているとおり、表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌の両方の増殖を阻害するが、前記黄色ブドウ球菌の増殖をより強く阻害することで、前記表皮ブドウ球菌が増殖し易い皮膚環境を調整するように作用するものである。
第1実施形態と第2実施形態の選択的増殖調整剤が上記のとおりに作用することによって、人の皮膚細菌叢において表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌のバランスが調整されることで、健康な皮膚の維持および健康な皮膚状態に回復させる効果が得られる。
第2実施形態の選択的増殖調整剤は、水およびアルコールの混合液の可溶成分が黄色ブドウ球菌の増殖を阻害するように作用する有効成分となるものであり、第1実施形態の選択的増殖調整剤は、前記水およびアルコールの混合液の可溶成分を含有していることにより黄色ブドウ球菌の増殖をより強く阻害するように作用するものである。
【0019】
<化粧料>
本発明の化粧料は、上記した第1実施形態または第2実施形態の選択的増殖調整剤を含有するものである。
本発明の化粧料は、固形粉体化粧料が好ましいが、その他の公知の乳液状、クリーム状、ジェル状の化粧料であってもよい。
【0020】
固形粉体化粧料は、公知の粉末相成分、油相成分およびその他の成分を使用することができる。
【0021】
粉体相成分としては、タルク、シリカ、マイカ、カオリン、セリサイト、アルミナ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、無水ケイ酸、硫酸バリウム、化粧品用タール色素、有機色素、βカロチン、カルサミン、カルミン、クロロフィル、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、各種雲母(天然物および合成品)、酸化クロム、カーボンブラック、白色顔料、パール顔料などの顔料、
アルミニウム粉末、球状ナイロン、球状ポリスチレン、雲母チタン、金雲母鉄、二酸化チタン、酸化チタン、酸化鉄などの無機粉体、
ナイロンパウダー、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル、ウールパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、ポリウレタンパウダー、でんぷん粉などの有機粉末などを挙げることができる。
【0022】
油相成分は、前記粉体相に含まれる以外のものであり、以下のものを挙げることができる。
炭化水素、スクワラン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、ワセリン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、アルキッド、アクリル、スルホンアミド樹脂、ニトロセルロース、
ミネラルオイル、オリーブ油、アーモンド油、カカオ脂、マカデミアナッツ油、アボカド油、硬化パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、月見草油、合成トリグリセライド、ロウ、ヒマワリ種子ロウ、ミツロウ、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル、直鎖・環状シリコーンオイル、ジメチルポリシロキサン、モノステアリン酸グリセリン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジメチコン、ロジンペンタエリスリトットエステル、ジイソオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリイソオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸イソプロピル、モノラウリ
ン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸デカグリジセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなどの油剤、
エタノール、イソプロパノール、多価アルコール、水溶性高分子、ベントナイト、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブタノール。
【0023】
その他の公知の化粧料成分としては、以下のものを挙げることができる。
グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジグリセリン、マンニトール、POEメチルグリコシド、生体高分子、蔗糖などの保湿剤、
エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルなどのエモリエント成分、
クインスシード、ペクチン、セルロース誘導体、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ソアギーナ、カルボキシビニルポリマー、
ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソオクタン酸ネオペンチルグリコール、モノオレイン酸ソルビタン、トリイソオクタン酸グリセリン、オクチルメトキシシンナメート、モノオレイン酸POEソルビタン、イソセチル、イソステアリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸イソプロピル、クエン酸アセチルトリブチル、ジ安息香酸トリメチルペンタンジイル、ステアリルコニウムベントナイト、
o-シメン-5-オール、安息香酸ナトリウム、イソプロピルメチルフェノール、エチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、カプリル酸グリセリル、グリセリン脂肪酸エステル、クロルフェネシン、サリチル酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、ビサボロール、ヒノキチオール、フェニルエチルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシエタノール、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、1,2-ヘキサンジオール、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシルグリセリン、シクロヘキシルグリセリン、フェニルプロパノールなどの防腐剤、
増粘剤、乳化剤、安定化剤、可塑剤、
陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、蛋白質系界面活性剤、
薬効成分、ビタミンCジパルミテート、ビタミン類、トコフェロール、アミノ酸、美白剤、殺菌剤、
pH調整剤、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、金属イオン封止剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、
紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料、キレート剤、酸化防止剤、分散剤、褐色防止剤、緩衝剤、沈殿防止成分、ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、使用性改質剤。
【0024】
本発明の化粧料中の選択的増殖調整剤の含有割合は、第1実施形態の選択的増殖調整剤の場合は、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~5質量%、さらに好ましくは0.05~1質量%であり、第2実施形態の選択的増殖調整剤の場合は、好ましくは0.00008~0.08質量%、より好ましくは0.0004~0.064質量%、さらに好ましくは0.0008~0.032質量%であるが、前記範囲に限定されるものではない。
上記の第2実施形態の選択的増殖調整剤の含有割合は、黄色ブドウ球菌の増殖阻害作用を発現させるためのシソの葉の水およびアルコールの可溶成分濃度(純分濃度)であり、上記の第1実施形態の選択的増殖調整剤の含有割合は、第1実施形態の選択的増殖調整剤に占めるシソの葉の水およびアルコールの可溶成分の割合(純分濃度)が小さいため、第2実施形態の選択的増殖調整剤と比べると含有割合が大きくなる。
本発明の化粧料は、ファンデーション、白粉、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、眉墨などのメークアップ化粧料などとして使用することができる。なお、化粧料であっても医薬部外品として販売される場合は、化粧料に含まれる。
【0025】
<化粧料を除く皮膚外用剤>
本発明の化粧料を除く皮膚外用剤は、上記の選択的増殖調整剤を含むものである。
本発明の化粧料を除く皮膚外用剤は、ローション、乳剤、クリーム、軟膏、貼り付け剤などの形態にすることができる。
【0026】
皮膚外用剤が含有する各種成分としては、以下のものを挙げることができる。
炭化水素、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、アルキッド、アクリル、スルホンアミド樹脂、ニトロセルロース、
ミネラルオイル、オリーブ油、アーモンド油、カカオ脂、マカデミアナッツ油、アボカド油、硬化パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、月見草油、合成トリグリセライド、ロウ、ヒマワリ種子ロウ、ミツロウ、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル、直鎖・環状シリコーンオイル、ジメチルポリシロキサン、モノステアリン酸グリセリン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ロジンペンタエリスリトットエステル、ジイソオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリイソオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸イソプロピル、モノラウリン酸プロピレングリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなどの油剤、
精製水、エタノール、イソプロパノール、多価アルコール、水溶性高分子、ベントナイト、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブタノール;グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジグリセリン、マンニトール、POEメチルグリコシド、生体高分子、蔗糖などの保湿剤;
エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルなどのエモリエント成分;クインスシード、ペクチン、セルロース誘導体、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ソアギーナ、カルボキシビニルポリマー、
ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソオクタン酸ネオペンチルグリコール、モノオレイン酸ソルビタン、トリイソオクタン酸グリセリン、オクチルメトキシシンナメート、モノオレイン酸POEソルビタン、イソセチル、イソステアリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸イソプロピル、クエン酸アセチルトリブチル、ジ安息香酸トリメチルペンタンジイル、ステアリルコニウムベントナイト、
増粘剤、乳化剤、安定化剤、
陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、蛋白質系界面活性剤、
薬効成分、ビタミンCジパルミテート、ビタミン類、アミノ酸、美白剤、殺菌剤;
タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、アルミナ、シリカ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム、化粧品用タール色素、有機色素、βカロチン、カルサミン、カルミン、クロロフィル、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、カーボンブラック、白色顔料、パール顔料などの顔料、
ナイロンパウダー、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル、ウールパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、でんぷん粉、アルミニウム粉末、球状ナイロン、球状ポリスチレン、雲母チタン、二酸化チタン、酸化チタン、酸化鉄、その他の粉体、
上記の化粧料と同様の防腐剤、
pH調整剤、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、金属イオン封止剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料、キレート剤、酸化防止剤、分散剤、褐色防止剤、緩衝剤、沈殿防止成分、ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、使用性改質剤、等が挙げられる。
【0027】
本発明の化粧料を除く皮膚外用剤中の選択的増殖調整剤の含有割合は、第1実施形態の選択的増殖調整剤の場合は、好ましくは0.01~25質量%、より好ましくは0.01~5質量%であり、第2実施形態の選択的増殖調整剤の場合は、好ましくは0.000008~0.2質量%、より好ましくは0.000008~0.08質量%、さらに好ましくは0.00008~0.048質量%であるが、前記範囲に限定されるものではない。
上記の第2実施形態の選択的増殖調整剤の含有割合は、黄色ブドウ球菌の増殖阻害作用を発現させるためのシソの葉の水およびアルコールの可溶成分濃度(純分濃度)であり、上記の第1実施形態の選択的増殖調整剤の含有割合は、第1実施形態の選択的増殖調整剤に占めるシソの葉の水およびアルコールの可溶成分の割合(純分濃度)が小さいため、第2実施形態の選択的増殖調整剤と比べると含有割合が大きくなる。
本発明の化粧料を除く皮膚外用剤は、皮膚疾患用の医薬部外品や医薬品などを挙げることができる。
【0028】
<皮膚洗浄剤>
本発明の皮膚洗浄剤は、上記の選択的増殖調整剤を含むものである。
本発明の皮膚洗浄剤は、公知の成分として、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤、油剤、水溶性ポリマー、上記の化粧料と同様の防腐剤、セラミドおよびその誘導体、pH調整剤、清涼剤、パール光沢付与剤、金属セッケン、油性ゲル化剤、樹脂、包接化合物、保湿剤、消臭剤、塩類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤、退色防止剤、消泡剤、香料、色素、感触調整あるいは着色用等の粉体、スクラブ剤、酵素などを含有することができる。
【0029】
本発明の皮膚洗浄剤中の選択的増殖調整剤の含有割合は、第1実施形態の選択的増殖調整剤の場合は、好ましくは0.01~25質量%、より好ましくは0.01~5質量%であり、第2実施形態の選択的増殖調整剤の場合は、好ましくは0.000008~0.2質量%、より好ましくは0.000008~0.08質量%、さらに好ましくは0.00008~0.048質量%であるが、前記範囲に限定されるものではない。
上記の第2実施形態の選択的増殖調整剤の含有割合は、黄色ブドウ球菌の増殖阻害作用を発現させるためのシソの葉の水およびアルコールの可溶成分濃度(純分濃度)であり、上記の第1実施形態の選択的増殖調整剤の含有割合は、第1実施形態の選択的増殖調整剤に占めるシソの葉の水およびアルコールの可溶成分の割合(純分濃度)が小さいため、第2実施形態の選択的増殖調整剤と比べると含有割合が大きくなる。
本発明の皮膚洗浄剤は、石けん、ハンドソープ、ボディソープ、ヘアーシャンプー、ヘアーリンス、ヘアートリートメント、洗顔、クレンジング、シェービング料、マッサージ料などを挙げることができる。
本発明の皮膚洗浄剤は、上記の化粧料または皮膚外用剤と併用することで、それぞれの選択的増殖調整効果をより発現し易くさせることができる。
【実施例0030】
実施例1(選択的増殖調整剤)
商品名ファルコレックス シソ HB(一丸ファルコス株式会社)(ブチレングリコール49.6質量%,精製水49.6質量%,シソ葉エキス0.8質量%)を選択的増殖調整剤として使用した。
選択的増殖調整剤を使用して、次のようにして表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する増殖阻害確認試験を実施した。
【0031】
マイクロプレート(96ウェル)(True Line社製)に選択的増殖調整剤を添加した培養液を入れ、表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌を接種し、24時間、32.5℃で培養した。
選択的増殖調整剤の濃度は、培養液中に0.02質量%(シソの葉エキスの純分濃度)になるように調整した。
測定は、マイクロプレートリーダー(TECAN社製)を用いて、600 nmで吸光度測定を一時間ごとに行い、濁度測定値とした。各時間の濁度測定値から初期濁度測定値を引いたものを増加濁度(OD600)とし、その結果を図1に示した。
図1から明らかなとおり、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)の両方の増殖が阻害されているが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する増殖阻害作用が表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)より強いことが確認された。
【0032】
実施例2(選択的増殖調整剤)および比較例1~4
実施例1と同様に試験した。但し、選択的増殖調整剤の濃度(純分濃度)を図2のグラフに示した3段階の濃度に変化させて、下記の式から増殖阻害率(%)を求めた。
また比較例1~4は、下記の4種の植物抽出液を使用して同様に試験して、増殖阻害率(%)を求めた。結果を図2に示す。
【0033】
増殖阻害率(%)=(ΔB-ΔD)/ΔB×100
ΔB=B24h-B0h
ΔD=D24h-D0h
B:コントロールの各菌の濁度測定値
D:シソの葉エキスを添加した際の各菌の濁度測定値
【0034】
ローズマリー(比較例1):ファルコレックス ローズマリー B(一丸ファルコス株式会社)
ラズベリー(比較例2):ファルコレックス キイチゴ B(一丸ファルコス株式会社)
メリッサ(比較例3):ファルコレックス メリッサ B(一丸ファルコス株式会社)
ペパーミント(比較例4):ファルコレックス ペパーミント B(一丸ファルコス株式会社)
【0035】
図2から明らかなとおり、実施例2の選択的増殖調整剤(シソの葉エキス)と比較例1~4を比べると、選択的増殖調整剤(シソの葉エキス)は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)の両方の増殖を阻害しているが、黄色ブドウ球菌の増殖をより強く選択的に阻害しており、増殖阻害率の差は顕著であった。
【0036】
実施例3(選択的増殖調整剤)
ファンデーション(基材88質量%、着色剤1質量%未満、油剤12質量%、その他1質量%未満)を使用した。
ファンデーションを滅菌容器に入れたものを用意し、選択的増殖剤(シソの葉エキス)を0.002、0.004、0.008、0.016、0.02質量%濃度になるように添加した。
選択的増殖剤(シソの葉エキス)を添加したファンデーションに表皮ぶどう球菌と黄色ぶどう球菌をそれぞれバルク菌濃度が105 cfu/gになるように接種した後、30℃で保管した。菌数測定は0時間後と24時間後に行い、LP希釈液「ダイゴ」(富士フィルム和光純薬株式会社)とSCDLP寒天培地(栄研化学株式会社)を用いて寒天平板希釈法にて行った。
培養は35℃で3~5日行い、コロニーの数をカウントし、菌数とした。結果を図3に示す。
図3から明らかなとおり、選択的増殖調整剤(シソの葉エキス)の濃度(純分濃度)が0.016~0.02質量%の範囲において、黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌の両方の増殖が阻害されているが、黄色ブドウ球菌に対する増殖阻害作用がより強く発揮された結果、黄色ブドウ球菌の減少数が最大となり、表皮ブドウ球菌の減少数との差が最大になった。
【0037】
実施例5(油性ファンデーション)
含有成分 配合量(質量%)
マイカ 100.00に調製
パルミチン酸オクチル 39.95
キャンデリラロウ 3.0
カルナウバロウ 2.0
トコフェロール 0.05
酸化チタン 45.0
選択的増殖調整剤(純分濃度0.8質量%) 0.1
着色顔料 適 量
合計(質量%) 100.00
【0038】
実施例6(肌用クリーム)
ステアリン酸 1.00
バチルアルコール 1.00
モノステアリン酸グリセリン 0.50
スクアラン 15.00
ソルビタンモノステアレート 2.00
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.00
水酸化カリウム 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.10
パラヒドロキシ安息香酸メチル 0.10
選択的増殖調整剤(純分濃度0.8質量%) 2.5
香料 0.10
精製水 100.00に調製
合計(質量%) 100.00
【0039】
実施例7(シャンプー)
2-ラウリル-N-カルボキシメチル-N-
ヒドロキシエチルイミダゾニウムベタイン 10.0
選択的増殖調整剤(純分濃度0.8質量%) 2.0
カチオン化セルロース 0.1
メチルパラベン 0.2
香料・色素 適 量
精製水 100.00に調製
合計(質量%) 100.00
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の選択的増殖調整剤は黄色ブドウ球菌の増殖阻害作用を有しており、メイクアップ化粧料などの化粧料、ローション、乳剤、クリーム、軟膏、貼り付け剤などの化粧料を除く皮膚外用剤、石けん、ハンドソープ、ボディソープ、ヘアーシャンプー、ヘアーリンス、ヘアートリートメントなど皮膚洗浄剤などに利用することができる。
図1
図2
図3