(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063996
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】気液撹拌装置
(51)【国際特許分類】
B01F 23/232 20220101AFI20220418BHJP
B01F 27/80 20220101ALI20220418BHJP
【FI】
B01F3/04 C
B01F7/16 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172455
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】591160604
【氏名又は名称】株式会社富喜製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】松本 琢史
【テーマコード(参考)】
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB17
4G035AE13
4G078AA01
4G078AB20
4G078BA05
4G078BA09
4G078CA06
4G078DA01
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】 液面変位による影響を抑え、液体中に微細気泡が撹拌混合された気液を安定的に供給できるようにした気液撹拌装置を創出することを課題とする。
【解決手段】 撹拌される液体61中に一部が沈設される直線円筒形状の二重筒体20Aと、外部から所定の気体70を二重筒体20Aの内部に供給する気体供給管50と、二重筒体20Aの内部に配置され、気体70を高速でせん断して微細気泡71を生成し、液体61中に撹拌混合させる羽根部32と、羽根部32を高速回転させる駆動部10と、撹拌混合された気液80を液体61中に放出する放出部40と、を備えた気液撹拌装置であって、二重筒体20Aが、同心軸状に配置された内筒部21と外筒部22とを有して形成され、内筒部21と外筒部22との間に隙間23が形成されると共に、内筒部21の所定の高さ位置に隙間23と内筒部21の内部とを径方向に連通する窓孔22Aが形成される構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌される液体(61)中に一部が沈設される直線円筒形状の二重筒体(20A)と、外部から所定の気体(70)を前記二重筒体(20A)の内部に供給する気体供給管(50)と、前記二重筒体(20A)の内部に配置され、前記気体(70)を高速でせん断して微細気泡(71)を生成し、前記液体(61)中に撹拌混合させる羽根部(32)と、該羽根部(32)を高速回転させる駆動部(10)と、前記撹拌混合された気液(80)を前記液体(61)中に放出する放出部(40)と、を備えた気液撹拌装置であって、
前記二重筒体(20A)が、同心軸状に配置された内筒部(21)と外筒部(22)とを有して形成され、前記内筒部(21)と前記外筒部(22)との間に隙間(23)が形成されると共に、前記内筒部(21)の所定の高さ位置に前記隙間(23)と前記内筒部(21)の内部とを径方向に連通する窓孔(22A)が形成されていることを特徴とする気液攪拌装置。
【請求項2】
外筒部(22)の下端と放出部(40)との間に吸水口(22a)が形成されている請求項1記載の気液攪拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡を液体中に撹拌させる気液撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水等の液体中に空気等から成る気体を効率よく撹拌混合させるために、液体中に微細な気泡を多数生成する撹拌混合装置(気液撹拌装置)が知られている(例えば特許文献1)。
この装置は、空気中に開口した上端開口部4を液面上に突出位置させて配置した直線円筒状の外殻体2と、この外殻体2の全長にわたり同軸心上に挿入組み付けされ、高速で回転駆動される直線円柱形状又は直線円筒形状の駆動体1とを有して構成されている。水中で外殻体2内の駆動体1を高速回転させると、渦流運動により水中に引き込まれた空気は、水と激しく攪拌されて細分化され、極めて細かい微細気泡に形成され、水と一緒に外殻体2の下端開口部5から下方に勢い良く放出される。駆動体1の高速回転動作により、微細気泡が撹拌混合した水が外殻体2の下端開口部5から外部に放出されると、外殻体2と駆動体1との間に形成された間隙7内の液面は低下することになるが、液面真下の外殻体2の筒壁3には窓孔6が開口されているので、間隙7内にはこの窓孔6を通して常に水が供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の記載の発明では、間隙7内の液面の位置は、外殻体2外の液面の位置に追従して変位する構成である。このため、水位が大きく変位し、例えば外殻体2外の液面の位置が窓孔6よりも低下する位置に変位した場合には、それに伴って間隙7内の液面の位置も低下するため、窓孔6から水が供給されなくなる。このため、下端開口部5から外部に放出される水量が不安定になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、液面変位による影響を抑え、液体中に微細気泡が撹拌混合された気液を安定的に供給できるようにした気液撹拌装置を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
撹拌される液体中に一部が沈設される直線円筒形状の二重筒体と、外部から所定の気体を二重筒体の内部に供給する気体供給管と、二重筒体の内部に配置され、気体を高速でせん断して微細気泡を生成し、液体中に撹拌混合させる羽根部と、羽根部を高速回転させる駆動部と、撹拌混合された気液を前記液体中に放出する放出部と、を備えた気液撹拌装置であって、
二重筒体が、同心軸状に配置された内筒部と外筒部とを有して形成され、内筒部と外筒部との間に隙間が形成されると共に、内筒部の所定の高さ位置に隙間と内筒部の内部とを径方向に連通する窓孔が形成されていることを特徴とする、とい云うものである。
本発明の主たる手段では、液体の内筒部への供給が、内筒部と外筒部との間の隙間に起こる毛管現象を利用して行われるようにしたことから、常に一定の量の液体を安定的に内筒部に供給することを達成し得る。
【0007】
また本発明の他の手段は、上記主たる手段に、外筒部の下端と放出部との間に吸水口が形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、吸水口を、ファインバブル発生部を構成する直線円筒形状からなる二重筒体20Aの下端の位置に設けることができることから、液面変位による影響を受け難くすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、外部の液面の変位による影響を抑え、液体中に微細気泡が撹拌混合された気液を常に安定して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例を示す気液撹拌装置の部分断面図である。
【
図3】気液撹拌装置の使用例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本発明の気液撹拌装置1は、取付けのベースとなる平板状のフランジ2を基準として、フランジ2の上部側に駆動部10が設けられ、フランジ2の下側にファインバブル発生部20が設けられて構成されている。
【0011】
駆動部10は、直流式又は交流式のモーター(図示せず)と、このモーターを収容する筐体11とを有して構成され、モーターの回転軸12がフランジ2に穿設された貫通孔2aを通じて下方のファインバブル発生部20側に延出する状態でフランジ2上に組み付けられている。尚、筐体11にはモーターに電力等を供給すると共にモーターの回転制御を行う信号を送るための電気ケーブル13が接続されている。
【0012】
ファインバブル発生部20は、同心軸状に配置された内筒部21と外筒部22からなる直線円筒形状からなる二重筒体20Aと、二重筒体20Aを構成する内筒部21の内側に設けられた撹拌機構30と、二重筒体20Aの下端に設けられた放出部40と、外部から二重筒体20Aを構成する内筒部21内に気体を供給する気体供給管50とを有して構成されている。尚、フランジ2の下面と放出部40の上面との間は、二重筒体20Aの外部に配置された補強用の複数(本実施例では3本)の支柱25を介して連結されている。
【0013】
二重筒体20Aを構成する内筒部21及び外筒部22の上端はフランジ2の下面に連結固定されており、内筒部21と外筒部22はその間に設けられた直線円筒状の空間から成る隙間23を介して径方向に対向配置されている。
また内筒部21の所定の高さ位置には隙間23と内筒部21の内部とを径方向に連通する液注入用の窓孔22Aが形成されている。
【0014】
撹拌機構30は、回転軸12の下端に連結されたシャフト31と、このシャフト31の複数の高さ位置に設けられた複数の羽根部32とを有して形成されている。モーターが駆動されて回転軸12に連結されているシャフト31が羽根部32と共に内筒部21内で高速で回転すると、気体70と液体61とが撹拌混合された気液80が生成される。
内筒部21の下端には放出部40に連結固定されており、撹拌混合された気液80は放出部40に設けられた放出口41から放出できるように構成されている。
また外筒部22の下端は放出部40に連結されずに環状に開放され、外部の液体61を隙間23内に取り込む吸水口22aとされており、この吸水口22aと内筒部21の内部とは隙間23及び窓孔22Aを介して連通している。
【0015】
次に、上記構成からなる気液撹拌装置の動作について説明する。
以下においては、処理槽60に貯めた水等の液体61中に、空気等から成る気体70をマイクロバブル、ナノバブル、あるいはファインバブル等と称される微細気泡71にして撹拌混合させる場合について説明する。
図3に示すように、気液撹拌装置1は、フランジ2より下側のファインバブル発生部20を処理槽60内の液体61中に沈設させる。この際、気体供給管50の上端は液面62よりも上に配設されており、空気等から成る気体70はこの気体供給管50を通じて二重筒体20Aを構成する内筒部21内に取り込まれる。
【0016】
また液体61は、外筒部22の下端に設けられた吸水口22aから内筒部21と外筒部22との間の隙間23に浸入する。浸入した液体61は毛管現象により隙間23内を上昇移動することができ、上昇した液体61は窓孔22Aを通じて内筒部21の内部に供給されるようになっている。
そして、駆動部10を駆動させてモーターを回転させると、シャフト31に設けられた複数の羽根部32が高速回転して渦流運動を引き起こし、気体70を液体61中に引き込みながら高速でせん断し、液体61と激しく攪拌させて細分化し、液体61中に極めて細かい微細気泡71が撹拌混合された気液80を生成する。
そして、このような気液80は、旋回流となって、下方の放出部40に設けられた放出口41から処理槽60の液体61中に向けて放出されることになる。
【0017】
ここで、本願発明では、吸水口22aから浸入した液体61が、隙間23に生じる毛管現象によって内筒部21の内部に供給される構成である。このため、処理槽60内の液体61の液面62が上下に大きく変位した場合であっても、その影響を受け難く常に一定の液体61を内筒部21の内部に供給することが可能である。このため、本発明の気液撹拌装置1では、液面の変位による影響を抑え、常に安定して微細気泡71が撹拌混合された気液80を放出することができる。
【0018】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記実施例では、窓孔22Aを内筒部21に1つに設けた場合を示して説明したが、本発明は上記実施例に限られるものではなく、2つ以上設けた構成であってもよい。
また上記実地例では、液体61として水の場合を例示し、気体70として空気の場合を例示して説明したが、本発明は上記実施例に限られるものではなく、その他の種類の液体及び気体であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、微細気泡を液体中に撹拌混合させる気液撹拌装置の分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 : 気液撹拌装置
2 ; フランジ
10 : 駆動部
11 : 筐体
12 : 回転軸
13 : 電源ケーブル
20 : ファインバブル発生部
20A: 二重筒体
21 : 内筒部
22 : 外筒部
22A: 窓孔
22a: 吸水口
23 : 隙間
25 : 支柱
30 : 撹拌機構
31 : シャフト
32 : 羽根部
40 : 放出部
41 : 放出口
50 : 気体供給管
60 : 処理槽
61 : 液体
70 : 気体
71 : 微細気泡
80 : 気液(液体と微細気泡との撹拌混合物)