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特開2022-63997水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システム
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  • 特開-水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システム 図1
  • 特開-水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システム 図2
  • 特開-水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システム 図3
  • 特開-水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システム 図4
  • 特開-水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システム 図5
  • 特開-水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システム 図6
  • 特開-水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022063997
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
G01L19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172456
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】591043581
【氏名又は名称】東京都
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(71)【出願人】
【識別番号】593114599
【氏名又は名称】株式会社トミス
(71)【出願人】
【識別番号】000147291
【氏名又は名称】株式会社清水合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】吉川 正浩
(72)【発明者】
【氏名】西岡 義浩
(72)【発明者】
【氏名】乗松 奈央
(72)【発明者】
【氏名】常包 翔
(72)【発明者】
【氏名】田口 拓蔵
(72)【発明者】
【氏名】田中 康規
(72)【発明者】
【氏名】上川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 忠
(72)【発明者】
【氏名】高木 秀是
(72)【発明者】
【氏名】小谷 久人
(72)【発明者】
【氏名】橋岡 由男
(72)【発明者】
【氏名】青木 伸行
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 幸一
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB20
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF31
2F055FF45
2F055GG11
2F055HH05
(57)【要約】
【課題】設置スペースを抑えつつ既設の配管にも簡便に装着して消火栓などの水道用配管機器の水道圧を測定可能であり、工具を必要とすることなくケーブルのねじれを防いだ状態で圧力センサを着脱でき、その取付け後には上方からの露出を抑えて破損を防止し、正確に水圧を測定できるメンテナンス性にも優れた水道用配管機器の水道圧測定装置と、消火栓の水圧測定データを外部から一括して監視する消火栓水圧監視システムを提供する。
【解決手段】水道用配管機器3の水道圧を測定するものであり、配管機器3の水道圧測定位置に、基部に連通穴21を有する圧力測定プレート10が装着され、この圧力測定プレート10の一側の延出部20には、連通穴21から水道圧測定位置に連通する連通路22が設けられ、この連通路22の延出部20側の下方位置にはユニオン継手11を介して圧力センサ12が非回転状態で着脱自在に設けられている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道用配管機器の水道圧を測定する装置であって、前記配管機器の水道圧測定位置に、基部に連通穴を有する圧力測定プレートが装着され、この圧力測定プレートの一側の延出部には、前記連通穴から水道圧測定位置に連通する連通路が設けられ、この連通路の前記延出部側の下方位置にはユニオン継手を介して圧力センサが非回転状態で着脱自在に設けられていることを特徴とする水道用配管機器の水道圧測定装置。
【請求項2】
前記水道用配管機器は、消火栓または空気弁であり、前記圧力測定プレートは、前記消火栓または前記空気弁と、補修弁との間に装着された請求項1に記載の水道用配管機器の水道圧測定装置。
【請求項3】
前記連通路は、前記延出部側に沿って下方に勾配が設けられた請求項1に記載の水道用配管機器の水道圧測定装置。
【請求項4】
前記延出部の上面側が、延出方向に向けて傾いたアール面或は傾斜面又はこれらの組み合わせにより形成され、前記延出部の下面側に前記圧力センサが雄ネジユニオン継手又は雌ネジユニオン継手からなる前記ユニオン継手を介して着脱自在に取付けられた請求項1乃至3の何れか1項に記載の水道用配管機器の水道圧測定装置。
【請求項5】
前記雄ネジユニオン継手又は前記雌ネジユニオン継手は、前記延出部の端部下面の中心近傍に設けられると共に、前記雄ネジユニオン継手又は前記雌ネジユニオン継手のユニオンネジの外径を前記延出部の下面巾より大きく形成した請求項4に記載の水道用配管機器の水道圧測定装置。
【請求項6】
前記連通路の端部下面側に設けられた水道圧測定位置に螺着されるユニオンネジと、このユニオンネジに挿通された導水路を有する前記圧力センサ取付用のネジ筒とを備えたユニオン継手を有し、前記導水路の先端流入口が前記連通路下面よりも突出した位置に設けられた請求項1乃至5の何れか1項に記載の水道用配管機器の水道圧測定装置。
【請求項7】
前記ユニオンネジと前記ネジ筒とが止め輪で回転自在に保持され、この止め輪挿入用の勾配部を前記導水路の先端に設けた請求項6に記載の水道用配管機器の水道圧測定装置。
【請求項8】
前記圧力測定プレートには、水道用配管機器のフランジ接続位置に呼び圧力の異なるフランジに接合可能としたボルト孔が設けられた請求項1乃至7の何れか1項に記載の水道用配管機器の水道圧測定装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の水道用配管機器の水道圧測定装置は、消火栓室又は弁室内に収容されて、水道圧測定装置により測定したデータを送信する送信手段を備えたことを特徴とする消火栓水圧監視システム。
【請求項10】
前記消火栓室又は弁室内には、水道圧測定装置の前記圧力センサ、前記送信手段と共にこれらの稼働用電源ユニットが収容されている請求項9に記載の消火栓水圧監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火栓などの水道用配管機器の水道圧を測定するための水道圧測定装置と、この水道圧測定装置により得られる水道圧の測定状況を外部から監視する消火栓水圧監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道法により、水道事業者には水道に公共の消防のための消火栓を設置することが義務付けられ、これに基づいて全国各地に数多くの消火栓が設置されている。消火栓の設置態様としては、地面下に設置される地下式と、地上に立管が延設されて設けられる地上式とがあり、積雪地や山間地帯などでは地上式が一部用いられることもあるものの、近年では、その多くが地下式によりマンホール内などに設置されている。火災発生時などには、これらの消火栓を通して給水がおこなわれ、このとき、消火栓につながる水道本管からの水道圧(水圧)が不足している場合には消火活動が難しくなるため、これに対応できるように、各消火栓は、常に所定の水圧で満たされている必要がある。
【0003】
特に、首都圏では、直下型地震などによる大規模火災が発生した場合などには緊急な消化活動が求められ、官邸や中央省庁、都庁等の行政機関、電力・ガスなどのインフラ企業、銀行本店等の首都機能を支える施設や、救命救急の拠点となる病院などの施設はより優先して迅速な復旧が望まれる。このことから、とりわけこれらの場所に設置されている配管機器には、火災時にも所定の給水圧力を発揮して安定して放水できるようにする必要がある。
【0004】
その一方で、主に都市部では、一段と生活の質の向上が要求され、いわゆるスマートシティと呼ばれる都市が世界中に増えてきている。スマートシティは、一般的に、ICT(Information and Communication Technology)やIoT(Internet of Things)、IoE(Internet of Everything)などの活用により、上下水道などのインフラを効率的に管理し、環境に配慮しつつ生活の質の向上や経済発展を目指す都市とされている。
【0005】
これらのことから、重要な施設等で使用される消火栓など、二次側への所定水圧の供給が絶えず要求される水道用の配管機器では、この配管機器内部の水圧を常時管理することが有効とされている。そのため、水道本管側から配管機器側への水圧を圧力測定用の器具で測定し、その測定値を、適宜の送信手段(通信手段)を通して外部の監視用のシステムに送り、この監視用システムで集中的に一括して管理・監視することが要望されており、このようなシステムが主に都市部において普及しつつある。
【0006】
ところで、監視用システムでの使用にかかわらず、水道用の消火栓などの配管機器への水圧測定はこれまでにも行われてきている。この場合、水道管に枝管を直接取付け、この枝管に圧力測定の器具を接続する構造が知られている。枝管は、エルボ形状に設けられ、その一端側の開口部が上方に向けて管の外周側に位置した状態で他端側が管に接続され、開口部の上端側に圧力測定器具が接続されるものが多い。これに加えて、フランジ部を備えた短管にエルボ形状の枝管を接続し、短管を二つの管の間に取り付けることで、枝管に接続した圧力測定器具で水圧測定するようにしたものも知られている。
【0007】
また、地下式消火栓の水道圧測定用の装置として、例えば、特許文献1の水道圧測定装置が開示されている。この水道圧測定装置は、消火栓と、水道管と、圧力リングと、圧力検出用のトランスデューサ(圧力測定器具)と、通信手段とを備えている。このうち、圧力リングは、圧力検出用トランスデューサの取付け用として消火栓と水道管との間にボルトで装着され、その中央付近には水の流路である挿通穴、この挿通穴の内壁から外壁に貫通する貫通孔がそれぞれ設けられている。貫通孔は、挿通穴に対して垂直方向に直線状に形成され、この貫通孔に対して水平方向から圧力検出用トランスデューサが取り付けられる。水道管から消火栓に加わる水圧は、圧力検出用トランスデューサによって測定され、その測定値が通信手段により外部に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-297388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
水道管に接続された消火栓等の配管機器内の水圧を測定する場合において、前者の枝管による圧力測定器具の取付け構造を消火栓に適用すると、消火栓又は消火栓の一次側の水道管に枝管を直接取り付けるために、これらに枝管接続用の加工を施す必要があり、既設の配管に対して枝管を取り付けることが難しいという問題がある。また、枝管を設けた短管を消火栓と水道管との間に介在しようとするときには、全体の面間寸法が大きく延長することから所定深さに配置されている消火栓に取付けできない場合がある。さらに、枝管に対する圧力測定器具の着脱作業が困難であり、メンテナンスや不具合が生じたときには、枝管が接続された消火栓又は水道管全体を取り換える必要が生じることもある。
【0010】
一方、後者の特許文献1の圧力プレートに圧力検出用トランスデューサを取付ける構造の場合、圧力検出用トランスデューサを螺着構造により圧力プレートに装着すると、圧力検出用トランスデューサとこれを制御する制御ボックスとを接続している信号線がねじれ、その接触が悪くなったり断線したりして故障の原因となることがある。施工やメンテナンス時には、圧力検出用トランスデューサ着脱用の工具が必要になり、消火栓が設置されている狭い消火栓室内での施工作業も難しい。圧力検出用トランスデューサが水平方向に取り付けられていることで円周方向に設置スペースが大きくなり、消火栓が設置されている所定広さの消火栓室内に取付けできなくなることもある。
【0011】
さらに、上述した何れの圧力測定器具の取付け構造においても、取付け後に圧力測定器具が消火栓の外周側に突出して上方から露出した状態で配置されるため、作業者が上方から作業を実施するときに圧力測定器具に接触したり、落下物等によって破損しやすくなる。また、圧力プレート内の水平方向にある貫通孔に砂や泥などの堆積物が溜まり、これが圧力測定器具内に流れ込む可能性も生じる。
【0012】
これらのことから、上記の圧力測定器具の取付け構造を利用して外部の監視用システムで水圧を監視しようとする場合、配管機器内の水圧を正確に測定できず、正しい水圧測定データを送信できなくなる場合があった。その結果、監視用システムにより設置箇所全体の配管機器の水圧測定状況を監視できなくなり、緊急時の火災発生等に所定の水圧で放水できない消火栓が一部に生じるおそれがある。
【0013】
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、設置スペースを抑えつつ既設の配管にも簡便に装着して消火栓などの水道用配管機器の水道圧を測定可能にする装置であり、工具を必要とすることなくケーブルのねじれを防いだ状態で圧力センサを着脱でき、圧力センサの取付け後には、上方からの露出を抑えて破損を防止し、正確に水圧を測定できるメンテナンス性にも優れた水道用配管機器の水道圧測定装置と、消火栓の水圧測定データを外部から一括して監視する消火栓水圧監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、水道用配管機器の水道圧を測定する装置であって、配管機器の水道圧測定位置に、基部に連通穴を有する圧力測定プレートが装着され、この圧力測定プレートの一側の延出部には、連通穴から水道圧測定位置に連通する連通路が設けられ、この連通路の延出部側の下方位置にはユニオン継手を介して圧力センサが非回転状態で着脱自在に設けられている水道用配管機器の水道圧測定装置である。
【0015】
請求項2に係る発明は、水道用配管機器は、消火栓または空気弁であり、圧力測定プレートは、消火栓または空気弁と、補修弁との間に装着された水道用配管機器の水道圧測定装置である。
【0016】
請求項3に係る発明は、連通路は、延出部側に沿って下方に勾配が設けられた水道用配管機器の水道圧測定装置である。
【0017】
請求項4に係る発明は、延出部の上面側が、延出方向に向けて傾いたアール面或は傾斜面又はこれらの組み合わせにより形成され、延出部の下面側に圧力センサが雄ネジユニオン継手又は雌ネジユニオン継手からなるユニオン継手を介して着脱自在に取付けられた水道用配管機器の水道圧測定装置である。
【0018】
請求項5に係る発明は、雄ネジユニオン継手又は雌ネジユニオン継手は、延出部の端部下面の中心近傍に設けられると共に、雄ネジユニオン継手又は雌ネジユニオン継手のユニオンネジの外径を延出部の下面巾より大きく形成した水道用配管機器の水道圧測定装置である。
【0019】
請求項6に係る発明は、連通路の端部下面側に設けられた水道圧測定位置に螺着されるユニオンネジと、このユニオンネジに挿通された導水路を有する圧力センサ取付用のネジ筒とを備えたユニオン継手を有し、導水路の先端流入口が連通路下面よりも突出した位置に設けられた水道用配管機器の水道圧測定装置である。
【0020】
請求項7に係る発明は、ユニオンネジとネジ筒とが止め輪で回転自在に保持され、この止め輪挿入用の勾配部を導水路の先端に設けた水道用配管機器の水道圧測定装置である。
【0021】
請求項8に係る発明は、圧力測定プレートには、水道用配管機器のフランジ接続位置に呼び圧力の異なるフランジに接合可能としたボルト孔が設けられた水道用配管機器の水道圧測定装置である。
【0022】
請求項9に係る発明は、水道用配管機器の水道圧測定装置は、消火栓室又は弁室内に収容されて、水道圧測定装置により測定したデータを送信する送信手段を備えた消火栓水圧監視システムである。
【0023】
請求項10に係る発明は、消火栓室又は弁室内には、水道圧測定装置の圧力センサ、送信手段と共にこれらの稼働用電源ユニットが収容されている消火栓水圧監視システムである。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に係る発明によると、設置スペースを抑えつつ既設の配管にも簡便に装着して消火栓などの水道用配管機器の水道圧を測定することができ、圧力測定プレートにユニオン継手により圧力センサを非回転状態で着脱自在に設けていることで、工具を必要とすることなくケーブルのねじれを防いだ状態でユニオン継手を回転操作して圧力センサを取付けでき、この圧力センサを圧力測定プレートの延出部側の下方位置に設けたことで上方側からの露出を抑え、作業時などの上方側からの接触や落下物等による圧力センサの破損を防いで正確な水圧測定を維持でき、ユニオン継手を片手で簡単に締緩して着脱できるためメンテナンス性にも優れている。
【0025】
請求項2に係る発明によると、消火栓または空気弁と、その一次側の補修弁との間に圧力測定プレートを装着することにより、既設配管の水道圧を測定可能に施工でき、狭い地下スペースに配設された消火栓や空気弁に対しても簡単な作業で圧力センサを取付けできる。圧力測定プレートの装着後には、補修弁を弁開状態にし、消火栓または空気弁に加わる水道圧を圧力センサで容易に測定できる。補修弁を弁閉状態にすることで、圧力測定プレートの装着や圧力センサの着脱、メンテナンスが容易にできる。
【0026】
請求項3に係る発明によると、通水時には、連通路内の空気を連通穴側に逃がしつつ、連通路の勾配に沿うようにして水をスムーズに圧力センサ側まで流入させることができ、水に混じった砂や泥、ゴミなどの堆積物が連通路内に溜まった際にも、連通路から堆積物を排出しやすくなる。
【0027】
請求項4に係る発明によると、作業者が誤って延出部に足を載せようとしたときには、アール面或は傾斜面又はこれらを組み合わせた延出部の上面側に足を掛けることが難しくなり、足掛けによる延出部への強い負荷を阻止できる。このことから、雄ネジユニオン継手又は雌ネジユニオン継手に圧力センサを直接取付けている場合にも、延出部側から圧力センサに強い力が働くことを阻止し、圧力センサが脱落したり破損したりすることを防いで、この圧力センサによる安定した水道圧の測定が可能になる。
【0028】
請求項5に係る発明によると、雄ネジユニオン継手又は雌ネジユニオン継手のユニオンネジの外径側が延出部の巾方向の両側から突出するため、圧力測定プレートの上方から目視しつつ、延出部の下方側から手をまわしてユニオンネジをつまむか、又は延出部の上方側からユニオンネジをつまんで回転操作でき、狭い場所でも工具を用いることなく容易に雄ネジユニオン継手又は雌ネジユニオン継手とともに圧力センサを着脱できる。
【0029】
請求項6に係る発明によると、ユニオンネジ、ネジ筒を備えた最少の部品構成によりユニオン継手を設け、このユニオン継手を通して圧力センサを圧力測定プレートに着脱でき、これらがシンプルな形状であることから製作も容易である。ユニオン継手の取付け後には、導水路の先端流入口が連通路下面よりも突出した位置に設けられることで、水に混入している砂や泥、ゴミなどの堆積物が先端流入口から流れ込むことを回避し、堆積物による圧力センサの不具合や故障を防止してこの圧力センサによる正確な水圧測定を維持可能となる。
【0030】
請求項7に係る発明によると、ユニオンネジとネジ筒とを止め輪を用いてワンタッチで一体化でき、ユニオンネジとネジ筒とを相互に回転自在のユニオン継手構造に接続できる。止め輪の取付け時には、導水路の先端側から勾配部を通して徐々に拡径させるように案内することで、強い力を加えることがなく、止め輪の破損を防ぎながら簡便に所定位置に確実に装着できる。
【0031】
請求項8に係る発明によると、呼び圧力の異なる水道圧配管機器に対しても一つの圧力測定プレートを共通して使用でき、消火用の配管機器に対して複数の圧力測定プレートを現場に準備することなく圧力測定プレートを取付けて、圧力センサによる水道圧測定が可能となる。
【0032】
請求項9に係る発明によると、配管機器までの配管を取り壊したり新たに施工することなく、消火栓室又は弁室内の既存の水道用配管機器にも水道圧測定装置本体や送信手段を容易に取付けでき、この簡単な設備により、離れた場所からでも遠隔操作によって各所の消火栓などの水道用配管機器の水圧の値やその変化などの水圧測定データを連続的に収集し、外部から一括して管理・監視することが可能となる。このことから、直下型地震などによる大規模火災時に対し、優先して復旧が望まれる主要施設の消火用配管機器に予め装置本体やシステム本体を設けておくことにより、水圧情報を速やかに収集することで、迅速な復旧が可能になる。
【0033】
請求項10に係る発明によると、消火栓室又は弁室内に圧力センサ、送信手段、電源ユニットを収容でき、外部に水圧測定用の機器や装置を必要とすることなく、水道用配管機器の設置箇所ごとに地下で一括的に水道圧の測定を実施できる。電源ユニットにより長期に渡って圧力センサ、送信手段を駆動できるため、現地でのメンテナンス等を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の水道用配管機器の水道圧測定装置の第1実施形態における装着状態を示す一部切欠き側面図である。
図2】消火栓水圧監視システムを示すブロック図である。
図3】(a)は、図1における水道用測定装置の平面図である。(b)は、(a)の一部切欠き側面図である。(c)は、(a)におけるA-A端面図である。
図4図1の要部拡大一部切欠き断面図である。
図5】(a)は、図1における雄ネジユニオン継手の一部切欠き側面図である。(b)は、筒形治具による雄ネジユニオン継手の取付け状態の要部を示す一部切欠き側面図である。
図6】本発明の水道用配管機器の水道圧測定装置の第2実施形態を示す一部切欠き要部拡大側面図である。
図7図6の雌ネジユニオン継手の装着状態を示す一部切欠き要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明における水道用配管機器の水道圧測定装置と消火栓水圧監視システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1においては、本発明の第1実施形態における水道用配管機器の水道圧測定装置が地中の配管に装着された状態、図2は消火栓水圧監視システムのブロック図、図3図4においては、図1図2における水道圧測定装置を示している。
【0036】
図1図3において、本発明の水道圧測定装置(以下、装置本体1という)は、地面GLよりも地下に敷設され、後述する圧力測定プレート10、ユニオン継手11、圧力センサ12を備えており、水道管2に接続された水道用配管機器3と補修弁4の間に配置され、水道圧(水圧)を測定可能に設けられる。装置本体1により測定された水圧の測定データは、消火栓水圧監視システム(以下、システム本体5という)により、外部に送信可能に設けられ、これにより、例えば、政府機関や官庁などの特に主要な施設・建造物に設置されている多数の消火栓などの水道用配管機器の水圧を、システム本体5を通して集中的に常時監視することが可能になっている。
【0037】
水道管2は、水平方向に埋設された水平配管6と、この水平配管6から分岐された分岐管7とを備えている。分岐管7には分岐部8が形成され、この分岐部8にはフランジ8aが設けられる。フランジ8aには補修弁4がそのフランジ部4aにより接続され、この補修弁4に対して装置本体1、水道用配管機器3が設けられる。
【0038】
水道用配管機器3は、水道管2からの給水を外部に放水可能とするために、常時所定圧力に維持することが要求される機器からなり、これを管理・監視するために、装置本体1を用いた水圧の測定がおこなわれる。本例における水道用配管機器3としては、一般的な構造の消火栓3が用いられる。
【0039】
補修弁4は、ボールバルブからなり、そのボデー内に装着された図示しない弁体にステムが接続され、このステムに操作ハンドル4bが取り付けられた構造になっている。補修弁4において、操作ハンドル4bの略90°の回転操作により分岐管7から消火栓3への流路が開閉され、その弁開時には、水道管2から分岐管7を通して水が補修弁4に流入し、この水が消火栓3内に充填され、この消火栓3の未使用時において、装置本体1により水道圧が測定可能に設けられる。一方、図示しない消火ホースを消火栓3に接続することで、水道管2からの給水を外部に放水可能となる。
【0040】
装置本体1は、消火栓3と補修弁4との間に配置された状態で、これらと共に消火栓室又は弁室(ピット)9内に収容される。消火栓室又は弁室9は、分岐管7の分岐部8から地表にかけて消火栓3、補修弁4、装置本体1の周囲を適宜のスペースを介して覆う広さに形成され、その上部には、開閉用の蓋体9aが取り付けられる。消火栓室又は弁室9内には、通信ユニットからなる送信手段100、電源ユニット101も収容され、蓋体9aを開閉してこれらの各種機器や配管の施工、修理やメンテナンス等が可能になっている。
【0041】
図2において、システム本体5は、装置本体1、通信ユニット100、電源ユニット101を備え、通信ユニット100を通して、装置本体1により測定した消火栓3の水圧データが外部に送信される。
【0042】
電源ユニット101は、電池からなり、後述する圧力センサ12、通信ユニット100のそれぞれに接続されて、これらに電力を供給するようになっている。この電力により、圧力センサ12、通信ユニット100は、常時稼働するように設けられている。
【0043】
通信ユニット(送信手段)100は、通信装置100aとデータ収集装置100bとを備え、ケーブル14を通して圧力センサ12に有線接続される。通信装置100aは、データ収集装置100b内のデータを外部に送信可能な適宜の装置からなり、一方、データ収集装置100bには、圧力センサ12で測定された水道圧の測定データが収集(保存)される。この水道圧測定データは、通信ユニット100から所定のネットワークNを通じて、外部に設置された監視センター102に送信可能に設けられる。
【0044】
通信ユニット100と監視センター102との間のネットワークNは、適宜の通信態様により設けられていればよく、この通信態様としては、無線ネットワークが好ましい。無線ネットワークとしては、例えば、インターネットネットワーク、携帯電話ネットワーク、衛星電話ネットワークなどを用いることができ、任意のネットワークNを選択して通信ユニット100から監視センター102にデータを送受信することが可能になっている。
【0045】
上記のように、消火栓(水道用配管機器)3が、装置本体1、通信ユニット100、電源ユニット101と共に消火栓室又は弁室9内に集約して収容されていることで、各所に設置されている消火栓3の設置場所を一つの単位として、それぞれの消火栓3で測定された水道圧が、監視センター102で一括して常時監視可能になっている。
【0046】
図1図3図4に示す装置本体1において、圧力測定プレート10は、略円板状に形成され、消火栓3のフランジ3a及び補修弁4のフランジ4a間にボルトナット13で装着され、消火栓3と補修弁4との間から導水した水圧を測定可能に設けられる。圧力測定プレート10の一側には、その延出方向の幅である下面巾Lにより延出部20が形成され、圧力測定プレート10の基部には水の流路となる連通穴21が形成される。
【0047】
延出部20の内部には、連通穴21から水道圧の測定位置まで連通する連通路22が設けられ、水道管2からの水が連通穴21内を上昇するときに、その一部が連通路22に流れ込む。連通路22は、連通穴21から延出部20の先端側に向けて形成される横向き孔23と、この横向き孔23から下方に向けて外部に連通する縦向き孔24との組み合わせにより設けられる。縦向き孔24は、延出部20の端部下面の中心近傍に設けられ、横向き孔23は、延出部20先端側まで貫通して形成され、その開口側には水漏れ防止用の栓体25が溶接により固着される。
【0048】
このようにして、連通路22は、横向き孔23と縦向き孔24とにより断面略L字形の流路に設けられ、この連通路22の延出部20側の下方位置には、ユニオン継手11接続用の開口部26が形成される。開口部26の開口側には雌ネジ30が形成され、延出部20の下面側において、雌ネジ30にユニオン継手11を介して圧力センサ12が非回転状態で着脱自在に設けられる。
【0049】
横向き孔23には、延出部20側に沿って、下方すなわち外径方向に向けて傾斜する勾配が設けられ、この勾配は、例えば水平方向から3°程度の角度θにより形成される。
【0050】
延出部20において、上面側の少なくとも外径側の一部は、延出方向に向けて傾いたアール面或は傾斜面、又はこれらの組み合わせにより形成される。本例では、最外径側がアール面31、このアール面31よりも内径側が傾斜面32により形成される。
【0051】
圧力測定プレート10の表裏面には、複数のボルト孔35が所定間隔で貫通して設けられ、これらボルト孔35は、水道用配管機器3(補修弁4)の呼び圧力が異なる場合にも、これに対応して異なる大きさのフランジ3a(フランジ4a)に接合可能な態様に形成される。この場合、呼び圧力が異なると、これに応じてボルト孔35のピッチ円の大きさも異なることから、予め、異なる呼び圧力に対応するボルト孔35が異なるピッチ円で形成されている。本実施形態では、一つの圧力測定プレート10で、呼び圧力7.5K、10K、16Kの3種類の呼び圧力に対応するように、3つの異なるピッチ円(呼び圧力)及びボルト孔径により各ボルト孔35が形成される。さらに、圧力測定プレート10の外径に関しても、3つの呼び圧力に対応したフランジ外径が段部状に形成される。
【0052】
一つのボルト孔35は、3種類の呼び圧力に対応しつつ連通穴21に対する同一の中心線上に重ねて配置され、圧力測定プレート10には合計で8つのボルト孔35が形成される。これにより、呼び圧力の異なるフランジに対して圧力測定プレート10を兼用可能になる。さらに、各ボルト孔35同士の間には、肉抜き部36が適宜の大きさで1箇所又は複数箇所に設けられ、これにより、圧力測定プレート10の軽量化や材料の削減化が図られる。
【0053】
圧力測定プレート10の表面側において、連通穴21とボルト孔35との間には適宜の幅及び深さにより環状溝37が形成され、この環状溝37には、フランジとのシール用ガスケット38が装着可能に設けられる。環状溝37は、圧力測定プレート10の上面側のみに限らず、下面側や或は上下面側の双方に設けるようにしてもよく、又は省略することもできる。環状溝37を形成しないときには、薄板の環状ガスケットを挟み込むように取付けるようにすればよい。
【0054】
図4図5(a)に示したユニオン継手11は、圧力測定プレート10側への接続側に雄ネジ形状を備えた雄ネジユニオン継手からなり、この雄ネジユニオン継手11は、ユニオンネジ40、ネジ筒41、C形止め輪42、2つのシール用Oリング43、44を備え、雌ネジ30を通して圧力測定プレート10の延出部20の端部下面の中心近傍に配置される。
【0055】
ユニオンネジ40は、雄ネジ45と、この雄ネジ45から筒状部分に続けて拡径状に形成された環状の操作部46とを有し、中央には挿着孔47が貫通形成される。雄ネジ45は、雌ネジ30に螺合可能な平行ねじにより、例えば4mm程度の短い長さのねじ部により形成され、その山数は3山程度の少ない山数により設けられる。
【0056】
操作部46は、その外径が延出部20の下面巾Lよりもやや大きくなるように形成され、その外周にはローレット加工が施され、このローレット加工により手で把持したときには、滑り止め機能が発揮される。
【0057】
ユニオンネジ40は、雄ネジ45と操作部46との間にOリング43が装着された状態で、連通路22の端部下面側に設けられた水道圧測定位置、すなわち縦向き孔24の開口側に着脱可能に設けられる。ユニオンネジ40の装着時には、Oリング43によりユニオンネジ40と連通路22(縦向き孔24)との間がシールされる。
【0058】
ネジ筒41は、ボルト頭部の形状を成す六角部50と、この六角部50と一体に形成され、ユニオンネジ40の挿着孔47に挿通可能な外径に設けられた円筒部分とを有し、ネジ筒41の中央には導水路52が貫通形成される。ネジ筒41の導水路52の下部側にはめねじ部53が形成され、このめねじ部53に圧力センサ12が取付け可能に設けられる。六角部50は、一般のボルト頭部よりも長尺状に形成されている。
【0059】
導水路52の先端には、この先端方向に傾斜するC形止め輪42挿入用の緩やかな勾配部56が形成され、この勾配部56により導水路52の先端外周側が円錐台形状に設けられる。勾配部56の先端は、C形止め輪42の内径よりも小径に形成され、この勾配部56に続けて、導水路52の円筒部分の外周側に環状の装着溝57が形成され、この装着溝57にC形止め輪42が装着可能に設けられる。
【0060】
装着溝57のC形止め輪42が係止する部分は、ネジ筒41の軸芯に対して垂直方向に形成されていることが望ましく、この場合、C形止め輪42の引っ掛かりが良くなり、装着後に水圧が加わった場合にも、C形止め輪42の広がりを防いで脱落を阻止できる。
【0061】
雄ネジユニオン継手11の組み立て時には、導水路52の円筒部分の外周側にユニオンネジ40とのシール用Oリング44を装着した状態で、この導水路52側をユニオンネジ40の挿着孔47に下方から奥まで挿入し、装着溝57にC形止め輪42を装着する。このとき、C形止め輪42は、図5(b)に示す筒形治具60を用いて取付けるようにする。
【0062】
筒形治具60は、その中心に導水路52の円筒部分を挿入可能な穴径の挿着穴61が貫通して形成され、その上部には、導水路52への取付け側よりも拡径した環状の押し込み操作部62が設けられる。
【0063】
筒形治具60を用いて装着溝57にC形止め輪42を取付ける際には、このC形止め輪42の内径側を勾配部56の先端側から被せるようにセットし、続いて、C形止め輪42の上に筒形治具60をセットし、押し込み操作部62を下方に押し込むようにする。
【0064】
このとき、C形止め輪42が、筒形治具60の底部で押されることにより、勾配部56に沿うように徐々に拡径する方向に弾性変形しながら下方にスライドし、導水路52の円筒部分の外径位置まで到達する。続いて、この円筒部分の外径に沿って移動し、装着溝57に到達したときに縮径してこの装着溝57に係合して抜け止めされる。
【0065】
このように、導水路52の先端に勾配部56を設けていることで、筒形治具60を用いてC形止め輪42を上方から押し込んで装着溝57に装着できるため、通常の工具を用いる場合に比較して取付けが容易になり、作業時間も短縮される。しかも、C形止め輪42が導水路52の円筒部分の外径よりも極端に大きく拡径することを防止できるため、C形止め輪42を過剰に拡径させて破損させることも防げる。C形止め輪42は、スナップリングプライヤなどの一般の工具を用いて取り付けることもできる。
【0066】
C形止め輪42の装着後には、このC形止め輪42によりネジ筒41が抜け止めされた状態でユニオンネジ40に一体化され、これらユニオンネジ40とネジ筒41とがOリング44でシールされつつ、それぞれが相互に回転可能な状態に設けられる。この構造により、雄ネジユニオン継手11は、例えば、一方側のネジ筒41を把持して回転不能とした状態で、このネジ筒41に対してユニオンネジ40を相対的に回転操作可能になる。
【0067】
雄ネジユニオン継手11は、雄ネジ45と雌ネジ30との螺合により延出部20に接続され、その接続後には、連通路22とユニオンネジ40とがOリング43でシールされて漏れが防がれる。このとき、導水路52に設けられる先端流入口63が、連通路22の横向き孔23の下面よりも突出した位置に設けられ、本例では、横向き孔23の中心線Pの近傍に位置するように設けられる。一方、操作部46の外周の一部が、下面巾Lよりも幅方向に突出した状態となる。
【0068】
図4に示した圧力センサ12は、連通穴21から連通路22に流れ込む水圧を測定可能に設けられ、この圧力センサ12として、例えば、図示しない半導体歪ゲージ式センサと呼ばれる感圧部を備えた構造のものが用いられる。この場合、歪ゲージとしては、絶縁膜を施した金属ダイヤフラムにプラズマCVDが施されて設けられ、歪ゲージが水圧を受けたときの変位が検出される。このような半導体蒸着形の歪ゲージの場合、水道管2側から高い圧力が加わる場合でも、耐久性や安定性を確保しつつ正確な水圧が検出される。
【0069】
圧力センサ12の先端側にはおねじ部65が形成され、このおねじ部65をめねじ53部に螺合させることにより、圧力センサ12がネジ筒41(雄ネジユニオン継手11)に回転不能の状態で取付けられる。圧力センサ12の後端側にはケーブル14の一端が接続され、このケーブル14の他端が、前述したように送信手段100に接続される。
【0070】
なお、水道用配管機器3は、消火栓に限らず、空気弁やそれ以外の各種の配管機器であってもよい。配管機器3として空気弁を用いた場合には、その機能を損なうことなく、この空気弁3と補修弁4との間に装置本体1を装着して水道圧を測定することができる。何れの場合にも、配管機器3と水道管2との流路の所定位置に圧力測定用プレート10を介在させることもでき、水道用配管機器3の一次側には、補修弁4以外の各種のバルブ並びに配管などを適宜設けることも可能である。
【0071】
圧力測定プレート10の連通路22の勾配の角度θは、水平方向から3°に限ることなく、連通路22内の空気を連通穴21からスムーズに逃がすような各種の角度θとすることが可能である。
【0072】
栓体25は、横向き孔23(連通路22)に対して固着されているが、螺着や嵌合等の手段により圧力測定プレート10に着脱自在に取付けられていてもよい。また、図示しないが、圧力測定プレート10は、栓体を設けることなくこの栓体用の孔を塞いだ形状により、鋳物によって一体成型することもできる。この場合、横向き孔が外部に貫通することなく、この横向き孔と縦向き孔とが連続した略L字形状の連通路が形成される。
【0073】
圧力測定プレート10のボルト孔35は、3種類以外の呼び径に対応させるようにしてもよく、例えば、単一のピッチ円や、或は2種類や4種類以上のピッチ円でボルト孔を設けることも可能である。複数の呼び圧力に兼用させる場合、ピッチ円や、ボルト孔の数(ボルトのピッチ間隔)を呼び圧力に応じて適宜設定すればよい。この場合、圧力測定プレート10の外径に関しても、その呼び圧力に対応した大きさに形成すればよい。
【0074】
圧力測定プレート10は、環状溝37を設け、この環状溝37にガスケット38を装着した、いわゆるGF形(溝形)のフランジ取付け構造であるが、GF形に限らず、いわゆるRF形(平面座形)やFF形(全面座形)などの各種のフランジ構造に形成し、これを消火栓3と補修弁4との間に取付けることも可能である。これらの場合、環状溝を形成することなくフラット状に形成すれば、RF形、FF形のそれぞれのフランジ構造に対応した態様のガスケットを装着できる。
【0075】
ユニオン継手として、雄ネジユニオン継手11を用いているが、これ以外の態様のユニオン継手や、又は各種のユニオン接続構造の継手部材を用いて圧力センサ12を圧力測定プレート10に装着することもできる。本実施形態における「ユニオン継手」や「ユニオン接続構造」とは、一般的なユニオン継手構造に加えて、一次側、二次側の2つの継手部材を備え、一方側の継手部材の回転を停止した状態で他方側の継手部材を回転させることが可能であれば、各種の継手構造を含むものとする。また、ケーブル14を回転させることなく圧力センサ12を延出部20に着脱できる構造であれば、ユニオン接続構造以外の接続構造を用いてもよい。
【0076】
ユニオンネジ40とネジ筒41とをC形止め輪で回転自在に保持しているが、C形止め輪以外の止め輪を用いてこれらを一体化するようにしてもよい。
【0077】
圧力センサ12は、雄ネジユニオン継手11に直接取付ける以外にも、例えば、金属管や樹脂製チューブなどを、雄ネジユニオン継手11と圧力センサ12との間に介在させた状態で取付けるようにしてもよい。
【0078】
次いで、上記実施形態における水道圧測定装置の配管への取付け手順並びに作用を述べる。
図1において、装置本体1を既設の水道管2に装着する際には、装置本体1側において、圧力測定プレート10に雄ネジユニオン継手11が接続されているときには、予めこの雄ネジユニオン継手11を圧力測定プレート10から取り外し、これら雄ネジユニオン継手11と圧力測定プレート10とを分離させておく。この場合、操作部46を把持してユニオンネジ40を緩める方向に回転すれば、ネジ筒41に対してユニオンネジ40が空転して雄ネジ45と雌ネジ30との螺合が外れ、雄ネジユニオン継手11を圧力測定プレート10から簡単に取り外せる。
【0079】
この状態で、めねじ部53におねじ部65を螺合させてネジ筒41に圧力センサ12を接続する。圧力センサ12は、スパナ等の一般的な工具を用いてネジ筒41に締付けでき、この場合、六角部50を一般のボルト頭部よりも長尺状に形成しているので、工具がユニオンネジ40に干渉することを回避できる。
これにより、C形止め輪42に過剰な力が加わることがなく、C形止め輪42が変形したり、装着溝57から脱落することを阻止できる。そのため、C形止め輪42の装着後には、例えば、0.75MPa程度の水圧が連通路22から雄ネジユニオン継手11に加わった場合にも、雄ネジユニオン継手11の強固な接続状態を維持するようになっている。
【0080】
圧力センサ12の接続後には、図示しないシールテープ等を用いてこの圧力センサ12をネジ筒41に固着する。これにより、圧力センサ12とネジ筒41との接続部分からの漏れを防いだ状態でこれらを回転不能な状態で固定し、その緩みを防いでいる。
【0081】
圧力センサ12の後端側には、ケーブル14を通して通信ユニット100を接続し、この通信ユニット100により圧力センサ12によって測定した水圧を収集可能に設ける。これにより、圧力センサ12による水圧測定時には、通信ユニット100内に、測定値がログとして記録されるようにもなっている。
【0082】
続いて、水道管2側において、補修弁4を弁閉状態に操作し、その後、ボルトナット13を緩めて補修弁4から消火栓3を取り外すようにする。
消火栓3の取り外し後には、補修弁4のフランジ4aの所定位置にガスケット38を配置し、この上から環状溝37にガスケット38を装着した圧力測定プレート10を載置し、さらにこの圧力測定プレート10の上に消火栓3のフランジ3aを載せる。この場合、圧力測定プレート10は、取付け後の雄ネジユニオン継手11や圧力センサ12が操作ハンドル4bなどの他の部品に干渉することが無ければ、延出部20を任意の方向に向けて配置した状態で補修弁4と消火栓3との間に取り付けできる。
【0083】
フランジ3a、4aに形成された図示しない取付け孔、ボルト孔35にボルトナット13を通し、このボルトナット13でワッシャ83を介して消火栓3、圧力測定プレート10、補修弁4を締付け固定する。この場合、ボルト孔35を呼び圧力の異なるフランジに接合可能に形成しているので、施工現場の配管機器の呼び圧力用の圧力測定プレートを予め別々に準備する必要がなく、3種類の異なる呼び圧力のフランジ径に対応して一つの圧力測定プレート10を使用して装置本体1を取付け可能となる。
【0084】
ボルトナット13の締付け後には、圧力測定プレート10の両面側に配置したガスケット38、38によるシール性が発揮され、漏れが防がれた状態で消火栓3と補修弁4との間に圧力測定プレート10が一体に固着される。
【0085】
この状態で、圧力測定プレート10に対して、圧力センサ12が接続された雄ネジユニオン継手11を取り付けるようにする。この場合、雄ネジユニオン継手11を把持し、連通路22の下向きの縦向き孔24から導水路52の円筒部分を挿入する。これにより、導水路52と同心状態で装着された雄ネジ45を、雌ネジ30への螺着位置まで案内することができる。
【0086】
雄ネジ45を雌ネジ30に案内して位置合わせすると、操作部46の外径が延出部20の下面巾Lよりも大きくなっていることで、操作部46の外周側が延出部20の幅方向の両側からやや突出する。これにより、作業者は、この突出部分を延出部20の上方から目視して操作部46の位置を確認しつつ、延出部20の下方側から手をまわしてこの操作部46をつまむか、又は、延出部20の上方側から操作部46をつまんで回転操作すればよい。
【0087】
この場合、例えば、ネジ筒41を薬指と小指とで固定した状態で、親指と人差し指と中指とで操作部46を把持してユニオンネジ40を締結方向に回転することにより、片手だけでネジ筒41を回転不能に保持しつつ、このネジ筒41に対して操作部46を回転して雄ネジ45を雌ネジ30に螺合できる。このように、ネジ筒41の回転を防いだ状態でユニオンネジ40を締付けることで、このネジ筒41に一体に接続された圧力センサ12を、雄ネジユニオン継手11を介して非回転状態で着脱自在に圧力測定プレート10に取付け可能となる。このため、圧力センサ12に接続されたケーブル14がねじれることがなく、ケーブル14の接触が悪くなったり断線したりすることを防ぎ、故障を防止して安定した水圧測定を実施できる。
【0088】
上記の着脱方法により、装着時に加えて、施工やメンテナンス時にも工具を別途必要とすることなく圧力測定プレート10に雄ネジユニオン継手11を着脱可能であり、消火栓室又は弁室9内が狭い場合であっても、片手で雄ネジユニオン継手11を着脱できるため施工容易となる。しかも、雄ネジ45と雌ネジ30とを短いねじ部で少ない山数(3山)により螺合しているので、少ないねじの回転数で締緩できる。
【0089】
雄ネジユニオン継手11は、装着後に延出部20側の下方位置に配置されることで、この延出部20よりも外側に突出することがなく、一方、圧力測定プレート10が円板状に形成されていることで高さ方向の寸法が抑えられる。これらにより、装置本体1の取付け後には、圧力測定プレート10の面方向並びに高さ方向にコンパクト性を発揮し、消火栓室又は弁室9内のスペースが狭い場合であっても、着脱時の作業性を確保しつつ装置本体1を設置可能となる。
【0090】
さらに、圧力センサ12は、その上方が延出部20により覆われていることで、上方側に対して露出することがなく、圧力センサ12に対して上方から誤って接触したり、落下物が圧力センサ12に当たるおそれがなく、破損することも防止する。
【0091】
延出部20の上面側を、その延出方向に向けてアール面31と傾斜面32との組み合わせにより形成していることで、延出部20の上面に足を載せようとしたとしても、傾斜方向(外側)に滑る方向の力が働き、足を載せることが難しい。このため、延出部20の上面側に強い負荷が加わることを阻止でき、本実施形態のように雄ネジユニオン継手11に圧力センサ12を螺合により直接取付けて、圧力センサ12に圧力測定プレート10からの力が伝わりやすい状態にあっても、延出部20から圧力センサ12への衝撃や振動などの力が加わることを阻止し、圧力センサの緩みや脱落、破損などを防ぐことができる。このように、雄ネジユニオン継手11に直接圧力センサを取付けていることで、装置本体1全体のコンパクト化を図っている。
【0092】
装置本体1の装着後には、補修弁4を弁開状態に操作することで、水道管2側からの水が補修弁4、装置本体1を通して消火栓3内に流入し、この消火栓3が水で満たされる。
このとき、圧力測定プレート10内にも連通穴21から連通路22に水が流れ込み、この連通路22を通して消火栓3側に加わっている水圧を圧力センサ12で測定可能となる。この場合、連通路22に延出部20側に沿って下方に3°の角度θによる勾配を設けていることから、この勾配により連通路22内に水が流入するときに連通路22から連通穴21側にエア抜きしつつ、その傾斜方向に滑らかに水が流れることで、圧力センサ12側まで確実に水を充填できる。そのため、連通路22内に空気が残存するおそれがなく、水圧を正確に測定できる。
【0093】
水道管2側からの水に砂や泥、ゴミなどの堆積物Tが混入している場合には、この堆積物Tが、図4に示すように連通路22を勾配に沿って圧力センサ12側に流れ、圧力センサ12の取付け部である縦向き孔24付近に集まるようになっている。
【0094】
このとき、導水路52の先端流入口63を、連通路22の下面よりも突出した位置に設けていることにより、この先端流入口63が連通路22の底付近に滞留する堆積物Tよりも高い位置になり、堆積物Tが先端流入口63から圧力センサ12の感圧部などに流れ込みにくくなる。このように、堆積物Tの圧力センサ12側への流入を阻止することで、圧力センサ12の故障などを防いで正確な圧力測定を維持する。
【0095】
圧力測定プレート10から雄ネジユニオン継手11を取り外すようにすれば、縦向き孔24を外部と連通させてこの縦向き孔24から堆積物Tをまとめて排出できるため、メンテナンスも容易になる。
さらに、栓体25を圧力測定プレート10に着脱自在に取付けた場合には、この栓体25を取り外して横向き孔23を外部と連通させ、この横向き孔23から堆積物Tを排出することも可能になる。この場合、雄ネジユニオン継手11を圧力測定プレート10に接続した状態のままで堆積物Tを除去するようにしてもよい。
【0096】
また、連通路22に、延出部20側に沿って下方に3°の角度θによる勾配を設けていることから、堆積物Tが縦向き孔24付近に集まるため、フラッシング作業で容易に堆積物Tを排出できる。
【0097】
上述したように、装置本体1は、圧力測定プレート10、雄ネジユニオン継手11、圧力センサ12を備え、圧力測定プレート10を消火栓3と補修弁4との間に装着してこの圧力測定プレート10に雄ネジユニオン継手11、圧力センサ12を取付ける構成としているので、既設の消火栓3や補修弁4、水道管2にも、これらに加工を施すことなく着脱でき、装置本体1に不具合が生じたりメンテナンス等を施す場合にも、配管全体を交換することなく作業を行える。上記実施形態では、既設の水道管2の消火栓3と補修弁4との間に装置本体1を取付ける場合を説明したが、配管を新設する場合にも既設の場合と同様にして装置本体1を簡便に取付けできる。
【0098】
上記の構成により、現在の設置態様の多くを占めている地下埋設型であり、首都圏などの都市部において、重要な施設や建造物に設置されている消火栓室又は弁室9内の消火栓3に対して、装置本体1、通信ユニット(送信手段)100、電源ユニット101を消火栓室又は弁室9内に収納することで、水道管設備全体の組み直しを行うことなく、必要最小限の施工作業で迅速にシステム本体5を組み込みできる。これらの組み込み後には、各所に設置された消火栓3の水圧測定を実施し、外部より監視することが可能になる。
【0099】
この場合、システム本体5において、圧力センサ12で測定した水圧をデータ収集装置100b内にデータとして収集し、この水圧測定データを通信装置100aによりネットワークNを通じて外部の監視センター102に送信することで、通信ユニット100を通して常に配管機器の圧力状況を監視センター102で一括して集中的に管理・監視でき、水圧の不足した配管機器にも迅速に対応し、緊急時に備えた水圧を確保可能になる。
【0100】
図6図7においては、本発明の水道用配管機器の水道圧測定装置の第2実施形態を示している。なお、この実施形態において、前記実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
【0101】
この実施形態では、圧力測定プレート70に形成された延出部20の下面側に、雌ネジユニオン継手からなるユニオン継手71を介して、圧力センサ12が着脱自在に取付けられている。
【0102】
延出部20において、その下方位置には、雌ネジユニオン継手71との接続用の筒状突部72が一体に形成される。筒状突部72は、所定の長さに形成され、この筒状突部72の外周基部側には雄ネジ73が形成される。一方、筒状突部72の内周側には連通路22の一部を成す縦向き孔24が形成され、この縦向き孔24の下端開口側には拡径状の段部溝74が形成される。
【0103】
雌ネジユニオン継手71は、ユニオンネジ80、ネジ筒81、C形止め輪75、Oリング43、44を備えている。
ユニオンネジ80は、筒状部82と、この筒状部82に続けて拡径状の操作部46とを有し、中央には挿着孔47が貫通形成される。筒状部82の内周には雄ネジ73に螺合する雌ネジ83が、例えば4mm程度の短いねじ部により形成され、その山数は3山程度に設けられる。ユニオンネジ80は、雌ネジ83よりも奥側の拡径した装着部位にOリング43が装着された状態で、縦向き孔24に着脱可能に設けられる。圧力測定プレート70への装着時には、Oリング43により筒状部82の内周と筒状突部72の外周との間がシールされる。
【0104】
ネジ筒81は、六角部50と、ユニオンネジ80の内周側に挿通可能な外径の円筒部分とを有し、ネジ筒81の中央に導水路52が貫通形成される。円筒部分の奥付近には、C形止め輪75の装着用の装着溝57が形成される。
【0105】
雌ネジユニオン継手71を組み立てる場合には、Oリング44を介在させた状態でネジ筒81の円筒部分をユニオンネジ80の挿着孔47に挿入し、図示しない筒形治具でC形止め輪75を押圧して装着溝57に装着すれば、ネジ筒81とユニオンネジ80とが相互に回転可能な状態で一体化した状態となる。筒形治具は、前述した筒形治具60と略同形状であって、雌ネジ73やOリング43の内径よりも小さい外径により形成される。これにより、雄ネジ73、Oリング43を傷付けることなく、装着溝57までC形止め輪75を押し込み可能となる。
【0106】
一体化した雌ネジユニオン継手71は、導水路52側を縦向き孔24に挿入しつつ、ネジ筒81を固定した状態で、このネジ筒81に対してユニオンネジ80を締結方向に回転し、雌ネジ83を雄ネジ73に螺合させることで延出部20に接続できる。その接続後には、図7に示すように、導水路52に設けられる先端流入口63が、連通路22の横向き孔23の下面よりも突出した位置となり、本例では、中心線Pの近傍に位置するように設けられる。このとき、筒状突部72の外周と筒状部82の内周との間は、Oリング43によりシールされ、漏れが防がれる。
【0107】
雌ネジユニオン継手71を使用した接続の場合には、筒状突部72の分だけ操作部46が延出部20に対して下方位置に配置され、これら操作部46と延出部20との間に空間Sが生じることから操作部46の位置が分かりやすくなり、把持もしやすくなって操作部46の操作性が向上する。このとき、前述した雄ネジユニオン継手11の場合と同様に、操作部46の外径が延出部20の下面巾よりも大きいことから、延出部20の上方側から操作部46の位置を目視しやすい(図示せず)。
【0108】
なお、筒状突部は、延出部20と別体に形成し、この筒状突部を螺子込みや嵌合などにより延出部20に固着して一体化するようにしてもよい。
【0109】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。例えば、地下式の消火栓以外にも、空気弁などの各種条件において設置される様々な配管機器にも利用でき、さらには、水圧以外の物理特性の測定用としても応用可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 装置本体
2 水道管
3 消火栓(水道用配管機器)
3a フランジ
4 補修弁
4a フランジ
9 消火栓室又は弁室
10 圧力測定プレート
11 雄ネジユニオン継手(ユニオン継手)
12 圧力センサ
20 延出部
21 連通穴
22 連通路
31 アール面
32 傾斜面
35 ボルト孔
40、80 ユニオンネジ
41、81 ネジ筒
42、75 C形止め輪
52 導水路
56 勾配部
63 先端流入口
71 雌ネジユニオン継手(ユニオン継手)
100 通信ユニット(送信手段)
101 電源ユニット
L 下面巾
θ 勾配の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7