(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064005
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】パネル
(51)【国際特許分類】
A47G 5/00 20060101AFI20220418BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20220418BHJP
A47B 96/04 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A47G5/00 Z
A47B13/00 Z
A47B96/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172471
(22)【出願日】2020-10-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和2年7月31日~令和2年9月30日、コクヨ株式会社 東京ショールーム(東京都港区港南1丁目8番35号)にて公開 (2)証明書の別紙1に記載の各配布日、証明書の別紙1に記載の各配布場所に発明品であるパネルの製品サンプルを配布
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】江頭 正和
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 嵩
(72)【発明者】
【氏名】八條 恒
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NP00
3B053NQ02
3B053NQ09
3B053NQ10
(57)【要約】
【課題】硬度が高い補強部を周縁部に有しないシート部材であっても、シート部材を支柱に対して適正かつ容易に取り付けることが可能なパネルを提供する。
【解決手段】本発明のパネル1は、複数の支柱2と、可撓性を有するシート部材8とを備えるパネルであって、支柱2は、設置面に対して脚部3aを介して立てられる支柱本体3と、シート部材8を支柱本体3との間で挟み込んで挟持するように支柱本体3に対して取り付け可能に構成される取付部材5と、支柱本体3に対して取付部材5が取り付けられる際に支柱本体3に対してシート部材8を保持する保持手段とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支柱と、可撓性を有するシート部材とを備えるパネルであって、
前記支柱は、
設置面に対して脚部を介して立てられる支柱本体と、
前記シート部材を前記支柱本体との間で挟み込んで挟持するように前記支柱本体に対して取り付け可能に構成される取付部材と、
前記支柱本体に対して前記取付部材が取り付けられる際に前記支柱本体に対して前記シート部材を保持する保持手段とを有することを特徴とするパネル。
【請求項2】
前記支柱本体は、金属製であり、
前記取付部材の表面には、磁石が設けられることを特徴とする請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記磁石は、板状であり、
前記取付部材が前記支柱本体に対して取り付けられた状態において、前記磁石は、前記シート部材に面接触して前記シート部材を前記支柱本体に向かって押圧することを特徴とする請求項2に記載のパネル。
【請求項4】
前記取付部材が前記支柱本体に取り付けられた状態において、前記支柱本体の上端部と前記取付部材の上端部との間に隙間が形成されることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のパネル。
【請求項5】
前記保持手段は、
前記シート部材に形成される穴部と、
前記支柱本体に設けられ、前記穴部を係止するための係止部とを含むことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のパネル。
【請求項6】
前記係止部は、前記支柱本体の上端部に設けられる上係止部を含んでおり、
前記穴部は、前記シート部材の上端部に形成され、前記上係止部に係止される上穴部を含むことを特徴とする請求項5に記載のパネル。
【請求項7】
前記取付部材が前記支柱本体に取り付けられた状態において、
前記支柱本体の上端部には、上方にいくにつれて前記取付部材から離れるように傾斜する第1傾斜部が設けられ、
前記取付部材の上端部には、上方にいくにつれて前記支柱本体から離れるように傾斜する第2傾斜部が設けられることを特徴とする請求項6に記載のパネル。
【請求項8】
前記上係止部は、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との間の隙間において鉛直方向に延びるように配置されることを特徴とする請求項7記載のパネル。
【請求項9】
前記上係止部は、前記支柱本体の前記取付部材側の表面から突出するように配置されることを特徴とする請求項8に記載のパネル。
【請求項10】
前記係止部は、前記支柱本体の上端部より下方に設けられる下係止部を含んでおり、
前記穴部は、前記シート部材の上端部より下方に形成され、前記下係止部に係止される下穴部を含むことを特徴とする請求項5または6に記載のパネル。
【請求項11】
前記下係止部は、前記支柱本体に形成された第1開口の下端から上方に向かって形成され、且つ、前記支柱本体の前記取付部材側の表面から突出するように配置されることを特徴とする請求項10に記載のパネル。
【請求項12】
前記取付部材が前記支柱本体に取り付けられた状態において、
前記取付部材は、前記支柱本体に形成された第1開口と対向する第2開口を有しており、前記下係止部は、前記取付部材の前記第2開口の内側に配置されることを特徴とする請求項11に記載のパネル。
【請求項13】
前記脚部は、
前記シート部材に対して一方側に配置される第1脚部と、
前記シート部材に対して他方側に配置され、前記第1脚部と離れた位置に配置される第2脚部とを有することを特徴とする請求項1~12の何れかに記載のパネル。
【請求項14】
前記シート部材は、PETフィルムであることを特徴とする請求項1~13の何れかに記載のパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、家具の天板上に設置される間仕切りパネルや飛沫飛散防止パネルなどとして使用されるパネルに関する。
【0002】
オフィスや公共施設等に設置された天板を有するデスク装置において、天板上の作業スペースと外部空間とを区画し、執務者の視線を遮り、執務者が集中できる環境を提供するため、デスク装置の周縁部付近にパネル付什器が接地される場合がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
パネル付什器は、一対の支持体とパネルとを備える。パネルは、柔軟な板状のクッション層によって構成され、パネルの左右の周縁部には、パネルの他の部位よりも硬度が高い補強部が設けられる。一対の支持体が対向する対向面には、上下方向に沿って係止溝が形成されている。パネルは、その左右の補強部が、一対の支持体の係止溝に挿入されて、一対の支持体に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、パネルは柔軟な板状に形成されており、その周縁部に硬度が高い補強部を設けなければ、一対の支持体の係止溝に対して適正に取り付けるのが困難である。そのため、パネル付什器に使用するパネルを製造するために煩雑な作業が必要である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、硬度が高い補強部を周縁部に有しないシート部材であっても、シート部材を支柱に対して適正かつ容易に取り付けることが可能なパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパネルは、複数の支柱と、シート部材とを備えるパネルであって、前記支柱は、設置面に対して脚部を介して立てられる支柱本体と、前記シート部材を前記支柱本体との間で挟み込んで挟持するように前記支柱本体に対して取り付け可能に構成される取付部材と、前記支柱本体に対して前記取付部材が取り付けられる際に前記支柱本体に対して前記シート部材を保持する保持手段とを有することを特徴とする。
【0008】
これにより、本発明に係るパネルでは、支柱本体に対してシート部材を保持した状態で、シート部材を支柱本体との間で挟み込んで挟持するように取付部材を支柱本体に取り付けることにより、可撓性を有するシート部材を支柱に適正に取り付けることができる。そのため、顧客により、可撓性を有するシート部材を支柱に対して適正かつ容易に着脱することができる。
【0009】
本発明に係るパネルにおいて、前記支柱本体は、金属製であり、前記取付部材の表面には、磁石が設けられることを特徴とする。
【0010】
これにより、本発明に係るパネルでは、支柱本体との間でシート部材を挟み込んで挟持するように、支柱本体に対して取付部材を磁石の磁力により容易に取り付けることができる。
【0011】
本発明に係るパネルにおいて、前記磁石は、板状であり、前記取付部材が前記支柱本体に対して取り付けられた状態において、前記磁石は、前記シート部材に面接触して前記シート部材を前記支柱本体に向かって押圧することを特徴とする。
【0012】
これにより、本発明に係るパネルでは、磁石が面接触してシート部材を押圧するため、シート部材の平滑性が向上する。
【0013】
本発明に係るパネルにおいて、前記取付部材が前記支柱本体に取り付けられた状態において、前記支柱本体の上端部と前記取付部材の上端部との間に隙間が形成されることを特徴とする。
【0014】
これにより、本発明に係るパネルでは、支柱本体に取り付けられた取付部材を容易に取り外すことができる。
【0015】
本発明に係るパネルにおいて、前記保持手段は、前記シート部材に形成される穴部と、前記支柱本体に設けられ、前記穴部を係止するための係止部とを含むことを特徴とする。
【0016】
これにより、本発明に係るパネルでは、シート部材を支柱本体に対して容易に保持することができる。
【0017】
本発明に係るパネルにおいて、前記係止部は、前記支柱本体の上端部に設けられる上係止部を含んでおり、前記穴部は、前記シート部材の上端部に形成され、前記上係止部に係止される上穴部を含むことを特徴とする。
【0018】
これにより、本発明に係るパネルでは、シート部材の上端部を支柱本体の上端部に係止することにより、シート部材を支柱本体に対して保持することができる。
【0019】
本発明に係るパネルにおいて、前記取付部材が前記支柱本体に取り付けられた状態において、前記支柱本体の上端部には、上方にいくにつれて前記取付部材から離れるように傾斜する第1傾斜部が設けられ、前記取付部材の上端部には、上方にいくにつれて前記支柱本体から離れるように傾斜する第2傾斜部が設けられることを特徴とする。
【0020】
これにより、本発明に係るパネルでは、支柱の上端部のデザイン性を向上することができる。
【0021】
本発明に係るパネルにおいて、前記上係止部は、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との間の隙間において鉛直方向に延びるように配置されることを特徴とする。
【0022】
これにより、本発明に係るパネルでは、支柱の上端部がシンメトリーとなり、パネルのデザイン性を向上することができる。
【0023】
本発明に係るパネルにおいて、前記上係止部は、前記支柱本体の前記取付部材側の表面から突出するように配置されることを特徴とする。
【0024】
これにより、本発明に係るパネルでは、シート部材の上穴部を支柱本体の上係止部に容易に係止させることができる。
【0025】
本発明に係るパネルにおいて、前記係止部は、前記支柱本体の上端部より下方に設けられる下係止部を含んでおり、前記穴部は、前記シート部材の上端部より下方に形成され、前記下係止部に係止される下穴部を含むことを特徴とする。
【0026】
これにより、本発明に係るパネルでは、シート部材の下端部または上下方向中間部を支柱本体の下端部または上下方向中間部に係止することにより、シート部材を平坦な状態で支柱本体に対して保持することができる。
【0027】
本発明に係るパネルにおいて、前記下係止部は、前記支柱本体に形成された第1開口の下端から上方に向かって形成され、且つ、前記支柱本体の前記取付部材側の表面から突出するように配置されることを特徴とする。
【0028】
これにより、本発明に係るパネルでは、シート部材の下穴部を支柱本体の下係止部に容易に係止させることができる。
【0029】
本発明に係るパネルにおいて、前記取付部材が前記支柱本体に取り付けられた状態において、前記取付部材は、前記支柱本体に形成された第1開口と対向する第2開口を有しており、前記下係止部は、前記取付部材の前記第2開口の内側に配置されることを特徴とする。
【0030】
これにより、本発明に係るパネルでは、支柱のデザイン性を向上することができる。
【0031】
本発明に係るパネルにおいて、前記脚部は、前記シート部材に対して一方側に配置される第1脚部と、前記シート部材に対して他方側に配置され、前記第1脚部と離れた位置に配置される第2脚部とを有することを特徴とする。
【0032】
これにより、本発明に係るパネルでは、例えば天板に開閉可能に形成された蓋部を跨ぐように、蓋部の開閉動作と干渉しないようにパネルを設置することができる。
【0033】
本発明に係るパネルにおいて、前記シート部材は、PETフィルムであることを特徴とする。
【0034】
これにより、本発明に係るパネルでは、飛沫飛散防止パネルとして使用された後においてシート部材がアルコールにより消毒される場合でも、耐アルコール性が高いため、透明のシート部材の透明度が低下するのが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るパネル1の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、支柱2の側面図であり、
図2(b)は、支柱2の正面図である。
【
図4】
図4(a)は、支柱本体3の側面図であり、
図4(b)は、支柱本体3の正面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、上係止部31aを一部に有する部品31の平面図、斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、上係止部31aを一部に有する部品31の取り付け方法を示す図であり、
図6(b)は、上係止部31aを一部に有する部品31が支柱本体に取り付けられた状態を示す図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、下係止部33aを一部に有する部品33の平面図、側面図である。
【
図8】
図8(a)は、下係止部33aを一部に有する部品33の取り付け方法を示す図であり、
図8(b)は、下係止部33aを一部に有する部品33が支柱本体3に取り付けられた状態を示す図である。
【
図9】
図9(a)は、取付部材5の側面図であり、
図2(b)は、取付部材5の正面図であり、
図9(c)は、取付部材5の背面図であり、
図9(d)は、取付部材5の下端部を拡大した正面図である。
【
図10】支柱本体3と取付部材5の構成を示す斜視図である。
【
図11】取付部材5が支柱本体3の下端部に対して取り付けられた状態を示す図である。
【
図13】シート部材8の上穴部8aが支柱本体3の上係止部31aに係止された状態を示す図である。
【
図14】シート部材8の下穴部8bが支柱本体3の下係止部33aに係止された状態を示す図である。
【
図15】パネル1においてシート部材8を支柱2に取り付ける手順を説明する図である。
【
図16】パネル1が天板10上に設置された状態を示す図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係るパネル101の外観を示す斜視図である。
【
図18】
図18(a)は、支柱102の側面図であり、
図18(b)は、支柱102の正面図である。
【
図19】
図19(a)は、支柱本体103の側面図であり、
図19(b)は、支柱本体103の正面図であり、
図19(c) 支柱本体103の平面図である。
【
図20】
図20(a)は、取付部材105の側面図であり、
図20(b)は、取付部材105の正面図であり、
図20(c)は、取付部材105の背面図であり、
図20(a)は、取付部材105の平面図である。
【
図21】パネル101においてシート部材8を支柱102に取り付ける手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態のパネル1について、図に基づいて詳細に説明する。
【0037】
(第1実施形態)
本実施形態のパネル1は、
図1に示すように、2本の支柱2と、2本の支柱2に支持されるシート部材8とを有している。2本の支柱2は、所定間隔離れた位置に配置されており、シート部材8は、その間隔に対応した長さを有している。本実施形態では、パネル1が、飛沫飛散防止パネルとして使用される場合について説明する。
【0038】
支柱2は、
図2に示すように、それぞれ、設置面に対して立てられる支柱本体3と、支柱本体3に対して着脱可能に構成される取付部材5とを有している。取付部材5は、支柱本体3との間でシート部材8を挟み込んで挟持するための部材である。
【0039】
図2は、取付部材5が支柱本体3に取り付けられた状態を示しているが、支柱本体3の上端部には、上方にいくにつれて取付部材5から離れる方向に傾斜する第1傾斜部3tが設けられ、取付部材5の上端部には、上方にいくにつれて支柱本体3から離れる方向に傾斜する第2傾斜部5tが設けられる。そのため、
図3に示すように、支柱本体3の上端部と取付部材5の上端部との間に隙間Cが形成される。具体的には、支柱本体3の第1傾斜部3tと取付部材5の第2傾斜部5tとの間に隙間Cが形成される。
【0040】
支柱本体3は、
図4(a)に示すように、金属製であって、上下方向に延びる板状部材である。上述したように、支柱本体3の上端部には、上方にいくにつれて斜め方向に傾斜する第1傾斜部3tが設けられる。支柱本体3の下端部近傍には、
図4(b)に示すように、上下方向に延びる長穴3nが形成される。
【0041】
支柱本体3の下端部は、脚部3aにより支持される。支柱本体3は、脚部3aに対して溶接により接合される。脚部3aは、支柱本体3に取り付けられるシート部材8に対して一方側に配置される第1脚部3a1と、シート部材8に対して他方側に配置される第2脚部3a2とを有している。第1脚部3a1と第2脚部3a2とは、離れた位置において設置面と接触する。
【0042】
支柱本体3の上端部近傍には、
図5に示す部品31が溶接により接合される。部品31は、所定厚さを有する部材であり、上係止部31aを一部に有している。具体的には、部品31は、矩形形状の接合部31bと、接合部31bの上端部から突出するように延びる上係止部31aとを有している。
【0043】
上係止部31aは、
図6に示すように、支柱本体3の上端部において、接合部31bの上端部が第1傾斜部3tの下端部と略一致するように接合される。そのとき、上係止部31aは、略鉛直上方に延びており、上係止部31aと第1傾斜部3tとは接触しない状態となる。
【0044】
上係止部31a及び接合部31bを含む部品31は、支柱本体3の取付部材5側の表面から突出するように接合される。そのため、接合部31bの下端部と支柱本体3の表面との間には、部品31の所定厚さに対応した段差N1が形成される。本実施形態において、上係止部31aは、保持手段Tの係止部Ta’として作用する。
【0045】
支柱本体3の下端部近傍には、
図7に示す部品33が溶接により接合される。部品33は、所定厚さを有する部材であり、下係止部33aを一部に有している。具体的には、部品33は、
図7に示すように、矩形形状の接合部33bと、接合部33bの上端部から突出するように延びる下係止部33aとを有している。接合部33bの下端部には、水平方向に突出するように延びる支持部33cが形成される。
【0046】
下係止部33は、
図8に示すように、支柱本体3の下端部において、接合部33bの上端部が長穴3nの下端部と略一致するように接合される。そのとき、下係止部33aは、略鉛直上方に延びている。そのため、下係止部33aは、長穴3nの内側に向かって延びており、支柱本体3とは接触しない状態となる。
【0047】
下係止部33a及び接合部33bを含む部品33は、支柱本体3の取付部材5側の表面から突出するように接合される。そのため、接合部33bの上端部と支柱本体3の表面との間には、部品33の所定厚さに対応した段差N2が形成される。本実施形態において、下係止部33aは、保持手段Tの係止部Ta’として作用する。
【0048】
取付部材5は、
図9(a)に示すように、金属製であって、上下方向に延びる板状部材である。上述したように、取付部材5の上端部には、上方にいくにつれて斜め方向に傾斜する第2傾斜部5tが設けられる。取付部材5の下端部近傍には、
図9(b)に示すように、上下方向に延びる長穴5nが形成される。
【0049】
取付部材5の下端部には、その両端部から下方に向かって突出する2つの突出部5aが形成される。そのため、取付部材5の下端部において、2つの突出部5a間には、溝部5bが形成される。溝部5bの幅は、部品33の支持部33cの幅と略同一であり、部品33の支持部33cを、2つの突出部5a間の溝部5bに配置可能である。そのため、取付部材5を支柱本体3に取り付ける際に、取付部材5の下端部を部品33の支持部33cに対して位置決めすることができる。
【0050】
取付部材5の表面(支柱本体3に取り付けられる際に支柱本体3と対向する面)には、
図9(c)に示すように、磁石6が設けられる。磁石6は、上下方向に延びる板状であり、所定厚さを有している。磁石6は、取付部材5の表面から突出するように接合される。そのため、
図10に示すように、磁石6の表面と取付部材5の表面との間には、磁石6の所定厚さに対応した段差N3が形成される。
【0051】
取付部材5は、磁石6の磁力により支柱本体3に対して取り付けられる。そのとき、支柱本体3と取付部材5との間において、部品31と磁石6と部品33とは積層しないように配置される。取付部材5が支柱本体3に取り付けられると、磁石6は、シート部材8に対して面接触して、シート部材8を支柱本体3に向かって押圧する。磁石6の厚さに対応した段差N3は、部品31の厚さに対応した段差N1及び部品33の厚さに対応した段差N2と略同一の高さである。そのため、取付部材5が支柱本体3に取り付けられた際に、取付部材5と支柱本体3との間にほとんど隙間は形成されない。
【0052】
図11は、支柱本体3の下端部において、シート部材8を挟み込むように取付部材5が支柱本体3に対して取り付けられた状態を示している。取付部材5に形成された長穴5nは、支柱本体3に形成された長穴3nと略同一の高さに配置される。支柱本体3の下係止部33aは、取付部材5に形成された長穴5nにより覆われる。そのため、取付部材5が支柱本体3に取り付けられた状態において、部品33は、取付部材5により隠される。
【0053】
シート部材8は、
図12に示すように、長方形状であり、所定の厚さ(例えば厚さ0.2mm)を有している。シート部材8は、パネル1を設置する領域の長さと一致するように形成される。シート部材8は、可撓性を有する材料で形成されており、円筒状に巻いた状態で保管可能である。シート部材8として、例えば透明のPETフィルムを使用すると安価であり、所定期間使用する度に交換するのに好適である。
【0054】
シート部材8の両端部には、それぞれ、上端近傍に形成される上穴部8aと、下端近傍に形成される下穴部8bとを有している。シート部材8の上穴部8aは、支柱本体3の上係止部31aに係止されるために使用され、下穴部8bは、支柱本体3の下係止部33aに係止されるために使用される。本実施形態において、上穴部8a及び下穴部8bは、保持手段Tの穴部Taとして作用する。
【0055】
例えば、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、シート部材8の上穴部8aを支柱本体3の上係止部31aに係止させることにより、シート部材8の上端部を支柱本体3の上端部に対して保持することができる。
【0056】
シート部材8の上端部が支柱本体3の上端部に保持された状態で、
図14(a)及び
図14(b)に示すように、シート部材8の下端部近傍を弛ませて、シート部材8の下端部に形成された下穴部8bを、支柱本体3の下係止部33aに係止させることにより、シート部材8の下端部を支柱本体3に対して保持することができる。
【0057】
このように、本実施形態では、支柱本体3に設けられる上係止部31a及び下係止部33aと、シート部材8に形成される上穴部8a及び下穴部8bとが、支柱本体3に対して取付部材5が取り付けられる際に、シート部材8を支柱本体3に対して保持するための保持手段Tとして使用される。
【0058】
本実施形態のパネル1において、シート部材8を支柱3に取り付ける手順を説明する。
【0059】
図15(a)に示すように、取付部材5を取り外した支柱本体3に対して、シート部材8の右端部に形成された上穴部8aを支柱本体3の上係止部31aに係止させるとともに、シート部材8の下穴部8bを支柱本体3の下係止部33aに係止させることにより、
図15(b)に示すように、シート部材8の上端部を支柱本体3の上端部に対して保持する。その状態で、取付部材5の下端部を支柱本体3の下端部に接合された部品33の支持部33cに支持させた後、取付部材5の下端部を支点として、取付部材5の上端部を支柱本体3の上端部に近づくように移動させる。すると、取付部材5が磁石6の磁力により支柱本体3に引っ張られて、
図15(c)に示すように、取付部材5と支柱本体3との間にシート部材8の右端部を挟み込むように、取付部材5を支柱本体3に対して取り付けることにより、シート部材8の右端部を支柱3に取り付ける。シート部材8の左端部についても同様にして、シート部材8の左端部を支柱3に取り付ける。
【0060】
本実施形態のパネル1において、シート部材8を支柱3から取り外す手順を説明する。
【0061】
図15(c)に示すように、シート部材8の右端部を支柱3に取り付けられた状態において、取付部材5の上端部を支柱本体3の上端部から離すように、取付部材5の上端部に対して磁石6の磁力と反対方向の力を作用させる。すると、取付部材5が支柱本体3から取り外されて、
図15(b)に示す状態となる。その後、シート部材8の上穴部8aを支柱本体3の上係止部31aから外すとともに、シート部材8の下穴部8bを支柱本体3の下係止部33aから外して、シート部材8の右端部を支柱3から取り外す。シート部材8の左端部についても同様にして、シート部材8の左端部を支柱3から取り外す。
【0062】
本実施形態において、支柱本体3の下端部は、第1脚部3a
1と、第1脚部3a
1と離れた位置において設置面と接触する第2脚部3a
2とにより支持される。そのため、
図16に示すように、パネル1を天板10上に設置する際に、第1脚部3a
1と第2脚部3a
2とが、天板10に対して開閉可能に形成された蓋部10aを跨ぐように設置可能である。よって、パネル1を蓋部10aの開閉動作と干渉しないように設置することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態のパネル1は、複数の支柱2と、可撓性を有するシート部材8とを備えるパネルであって、支柱2は、設置面に対して脚部3aを介して立てられる支柱本体3と、シート部材8を支柱本体3との間で挟み込んで挟持するように支柱本体3に対して取り付け可能に構成される取付部材5と、支柱本体3に対して取付部材5が取り付けられる際に支柱本体3に対してシート部材8を保持する保持手段Tとを有する。
【0064】
このような構成であると、支柱本体3に対してシート部材8を保持した状態で、シート部材8を支柱本体3との間で挟み込んで挟持するように取付部材5を支柱本体3に取り付けることにより、可撓性を有するシート部材8を支柱2に適正に取り付けることができる。そのため、顧客により、可撓性を有するシート部材8を支柱2に対して適正かつ容易に着脱することができる。
【0065】
本実施形態のパネル1において、支柱本体3は、金属製であり、取付部材5の表面には、磁石6が設けられる。
【0066】
このような構成であると、支柱本体3との間でシート部材8を挟み込んで挟持するように、支柱本体3に対して取付部材5を磁石6の磁力により容易に取り付けることができる。
【0067】
本実施形態のパネル1において、磁石6は、板状であり、取付部材5が支柱本体3に対して取り付けられた状態において、磁石6は、シート部材8に面接触してシート部材8を支柱本体3に向かって押圧する。
【0068】
このような構成であると、磁石6が面接触してシート部材8を押圧するため、シート部材8の平滑性が向上する。
【0069】
本実施形態のパネル1において、取付部材5が支柱本体3に取り付けられた状態において、支柱本体3の上端部と取付部材5の上端部との間に隙間Cが形成される。
【0070】
このような構成であると、支柱本体3に取り付けられた取付部材5を容易に取り外すことができる。
【0071】
本実施形態のパネル1において、保持手段Tは、シート部材8に形成される穴部Taと、支柱本体3に設けられ、上穴部8a及び下穴部8bを係止するための係止部Ta’とを含む。
【0072】
このような構成であると、シート部材8を支柱本体3に対して容易に保持することができる。
【0073】
本実施形態のパネル1において、係止部Ta’は、支柱本体3の上端部に設けられる上係止部31aを含んでおり、穴部Taは、シート部材8の上端部に形成され、上係止部31aに係止される上穴部8aを含む。
【0074】
このような構成であると、シート部材8の上端部を支柱本体3の上端部に係止することにより、シート部材8を支柱本体3に対して保持することができる。
【0075】
本実施形態のパネル1において、取付部材5が支柱本体3に取り付けられた状態において、支柱本体3の上端部には、上方にいくにつれて取付部材5から離れるように傾斜する第1傾斜部3tが設けられ、取付部材5の上端部には、上方にいくにつれて支柱本体3から離れるように傾斜する第2傾斜部5tが設けられる。
【0076】
このような構成であると、支柱2の上端部のデザイン性を向上することができる。
【0077】
本実施形態のパネル1において、上係止部31aは、第1傾斜部3tと第2傾斜部5tとの間の隙間Cにおいて鉛直方向に延びるように配置される。
【0078】
このような構成であると、支柱2の上端部がシンメトリーとなり、パネル1のデザイン性を向上することができる。
【0079】
本実施形態のパネル1において、上係止部31aは、支柱本体3の取付部材5側の表面から突出するように配置される。
【0080】
このような構成であると、シート部材8の上穴部8aを支柱本体3の上係止部31aに容易に係止させることができる。
【0081】
本実施形態のパネル1において、係止部Ta’は、支柱本体3の上端部より下方に設けられる下係止部33aを含んでおり、穴部Taは、シート部材8の上端部より下方に形成され、下係止部33aに係止される下穴部8bを含む
【0082】
このような構成であると、シート部材8の下端部を支柱本体3の下端部に係止することにより、シート部材8を平坦な状態で支柱本体3に対して保持することができる。
【0083】
本実施形態のパネル1において、下係止部33aは、支柱本体3に形成された第1開口3aの下端から上方に向かって形成され、且つ、支柱本体3の取付部材5側の表面から突出するように配置される。
【0084】
このような構成であると、シート部材8の下穴部を支柱本体3の下係止部33aに容易に係止させることができる。
【0085】
本実施形態のパネル1において、取付部材5が支柱本体3に取り付けられた状態において、取付部材5は、支柱本体3に形成された第1開口3aと対向する第2開口5aを有しており、下係止部33aは、取付部材5の第2開口5aの内側に配置される。
【0086】
このような構成であると、支柱2のデザイン性を向上することができる。
【0087】
本実施形態のパネル1において、脚部3aは、シート部材8に対して一方側に配置される第1脚部3a1と、シート部材8に対して他方側に配置され、第1脚部3a1と離れた位置に配置される第2脚部3a2とを有する。
【0088】
このような構成であると、例えば天板10に開閉可能に形成された蓋部10aを跨ぐように、蓋部の10aの開閉動作と干渉しないようにパネル1を設置することができる。
【0089】
本実施形態のパネル1において、シート部材8は、PETフィルムである。
【0090】
このような構成であると、飛沫飛散防止パネルとして使用された後においてシート部材8がアルコールにより消毒される場合でも、耐アルコール性が高いため、透明のシート部材8の透明度が低下するのが抑制される。
【0091】
(第2実施形態)
本実施形態のパネル101が第1実施形態のパネル1と異なる点は、支柱の脚部の形状である。なお、本実施形態のパネル101の構成において、第1実施形態のパネル1の構成と同様である点については、詳細説明を省略する。
【0092】
本実施形態のパネル101は、
図17に示すように、2本の支柱102と、2本の支柱102に支持されるシート部材8とを有している。2本の支柱102は、所定間隔離れた位置に配置されており、シート部材8は、その間隔に対応した長さを有している。
【0093】
支柱2は、
図18に示すように、それぞれ、設置面に対して立てられる支柱本体103と、支柱本体103に対して着脱可能に構成される取付部材105とを有している。取付部材105は、支柱本体3との間でシート部材8を挟み込んで挟持するための部材である。
【0094】
支柱本体103は、
図19(a)に示すように、金属製であって、上下方向に延びる板状部材である。支柱本体103の下端部近傍には、
図19(b)に示すように、上下方向に延びる長穴103nが形成される。支柱本体103の下端部は、脚部103aにより支持される。支柱本体103は、脚部103aに対して溶接により接合される。脚部103aは、矩形状の板状部材であり、長方形状の切り欠き103bを有している。
【0095】
支柱本体103の上端部近傍には、
図5に示す部品31が溶接により接合され、支柱本体103の下端部近傍にも同様に、部品31と同一形状の部品131が溶接により接合される。そのため、支柱本体103の上端部近傍には、上係止部31aが設けられ、支柱本体103の下端部近傍には、下係止部131aが設けられる。下係止部131aは、第1実施形態の下係止部33aと同様に、長穴103nの内側に向かって延びており、支柱本体103とは接触しない状態となる。
【0096】
取付部材105は、
図20(a)に示すように、金属製であって、上下方向に延びる板状部材である。取付部材105の下端部近傍には、
図20(b)に示すように、上下方向に延びる長穴105nが形成される。取付部材105の下端部には、水平方向に屈曲した突出部105aが形成される。そのため、取付部材105を支柱本体103に取り付ける際に、取付部材105の突出部105aを脚部103aの切り欠き103b内に配置することにより、取付部材105の下端部を脚部103aに対して位置決めすることができる。
【0097】
本実施形態のパネル101において、シート部材8を支柱103に取り付ける手順は、
図21に示すように、第1実施形態と同様と同様である。なお、シート部材8を支柱103から取り外す手順についても、第1実施形態と同様である。
【0098】
本実施形態のパネル101では、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態の構成は上述したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0100】
例えば、上記第1及び第2実施形態では、可撓性を有するシート部材8として、透明のPETフィルムを使用したが、それに限られない。本発明のシート部材の材質、厚さ、色、形状などは任意である。そのため、可撓性を有するシート部材として、例えば透明のアクリル板(例えば厚さ0.5mm)を使用可能である。また、可撓性を有するシート部材として、着色された布を使用可能である。何れの場合でも、シート部材の材質、厚さ、色、形状などは任意である。
【0101】
上記第1実施形態では、取付部材5を支柱本体3に対して磁石6の磁力により取り付けたが、取付部材を支柱本体に対して取り付ける方法は任意である。例えば、取付部材を支柱本体に対してボルトで取り付けてもよい。また、取付部材を支柱本体に積層した状態で、それらの部材を挟んで固定する固定部材で取り付けてもよい。第2実施形態においても同様である。
【0102】
上記第1実施形態では、シート部材8の上端部に形成された上穴部8aを支柱本体の上係止部31aに係止させるとともに、シート部材8の下端部に形成された下穴部8bを支柱本体の下係止部33aに係止させることでシート部材を支柱に保持したが、シート部材を支柱に保持する方法は任意である。シート部材を支柱に保持する保持手段が、穴部及び係止部を含むとしても、穴部及び係止部の数、形状、配置は任意である。第2実施形態においても同様である。
【0103】
上記第1及び第2実施形態では、本発明のパネルが飛沫飛散防止パネルとして使用される場合を説明したが、それに限られない。本発明のパネルは、種々のパネルとして使用可能であり、例えば間仕切りパネルとして使用してもよい。また、シート部材を曲面状に湾曲させて、本発明のパネルをブース空間を形成するための間仕切りパネルとして使用してもよい。
【0104】
上記第1実施形態では、シート部材8が2本の支柱2により支持されるが、シート部材8が3本以上の支柱2により支持されてよい。すなわち、シート部材8の両端部(左端部及び右端部)が支柱2に支持されるものに限られず、例えばシート部材8の両端部(左端部及び右端部)が支柱2に支持されるとともに、シート部材8の中間部(左端部と右端部との間の部分)が支柱2に支持されてもよい。第2実施形態においても同様である。
【0105】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 パネル
2 支柱
3 支柱本体
3a 脚部
3a1 第1脚部
3a2 第2脚部
3n 第1開口
3t 第1傾斜部
5 取付部材
5n 第2開口
5t 第2傾斜部
6 磁石
8 シート部材
8a 上穴部
8b 下穴部
31a 上係止部
33a 下係止部
101 パネル
102 支柱
103 支柱本体
103a 脚部
103n 第1開口
105 取付部材
105n 第2開口
131a 下係止部
C 隙間
T 保持手段
Ta 穴部
Ta’ 係止部