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  • 特開-改良型横流沈殿池 図1
  • 特開-改良型横流沈殿池 図2
  • 特開-改良型横流沈殿池 図3
  • 特開-改良型横流沈殿池 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022064007
(43)【公開日】2022-04-25
(54)【発明の名称】改良型横流沈殿池
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/02 20060101AFI20220418BHJP
   B01D 21/08 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
B01D21/02 E
B01D21/02 F
B01D21/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020172477
(22)【出願日】2020-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
(57)【要約】
【課題】
傾斜板および/または傾斜管を設置した横流沈殿池を長時間連続して運転し得る装置を提供することにある。
【解決手段】
傾斜板および/または傾斜管を設置した後段池の沈殿槽を有する横流沈殿池において、前記沈殿槽の、前段池の沈殿槽に、傾斜板および/または傾斜管を設けてなる改良型横流沈殿池。

【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜板および/または傾斜板等を設置した後段池の沈殿槽を有する横流沈殿池において、前記後段池の沈殿槽前の、前段池の沈殿槽に、傾斜板および/または傾斜管を設けたことを特徴とする改良型横流沈殿池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚濁物質を含有する汚濁水を処理するための改良された横流沈殿池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汚濁物質を含有する汚濁水を清澄化する装置としては、横流普通沈殿池、横流薬品沈殿池、放射流普通沈殿池、放射流薬品沈殿池、上向流普通沈殿池、上向流薬品沈殿池が用いられていた。これらの沈殿池は、汚濁水中の汚濁物質を除去するために沈殿槽に傾斜板あるいは傾斜管(以下傾斜板等という)を設置するのが一般的であった。
しかしながら傾斜板等は、汚濁水中汚濁物質の濃度が高かったり、処理流量を増大すると傾斜板等の間隙等に汚濁物質が付着したり偏流が生じ傾斜板等を流下しにくくなる現象が生じ、処理水質の悪化をまねいて後のろ過器の洗浄頻度を高める結果となり不経済であった。特に当初の設計値以上の流量や汚濁水を通水すると傾斜板等が閉塞しやすい現象が見られ、沈殿池の運転を停止し、水抜き、洗浄等による処理水の減少を来たしていた。
これらの問題を解決する方法として、従来横流沈殿池にあっては、後段池の傾斜板等の上手側に整流設備を設けたり、前段池に沈殿池を設置したりしていた(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】水道施設設計指針(2012年版)(社団法人日本水道協会発行、平成13年3月15日三版第194頁~第204頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この非特許文献1の横流沈殿池は、一定の効果を有するが、さらに汚濁物質の濃度が高かったり流量を増大させた場合にも好適に処理し得る横流沈殿池について種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、傾斜板および/または傾斜管を設置した後段池の沈殿槽を有する横流沈殿池において、前記沈殿槽の前段池の沈殿槽に、傾斜板および/または傾斜管を設けたことを特徴とする改良型横流沈殿池に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の横流沈殿池によれば汚濁物質の原水濃度が高い場合でも、また処理水量を増加する場合でも、傾斜板および/または傾斜管を設置した後段池の沈殿槽に設けられた傾斜板等の閉塞化を防止し、長期連続処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来の横流沈殿池の側断面図。
図2】本発明の傾斜板の傾斜図。
図3】本発明の傾斜管の傾斜図。
図4】本発明の他の態様を示す傾斜管の傾斜図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の横流沈殿池について説明するが、本発明は以下の説明のみに限定されるものではない。
図1は従来の横流沈殿池の側断面図を表わす概略図である。
1は汚濁水流入部、2は急速撹拌槽、3は緩速撹拌槽、4は前段池の沈殿槽、5は傾斜板および/または傾斜管を設置した後段池の沈殿槽、6は集水トラフ、7は凝集剤供給管、8は汚濁物質を含有する汚濁水供給管、9は横流沈殿池の底部に沈積したスラッジ、10はスラッジ集水管、11は貯留槽、12は水流通過口である。
【0009】
従来の汚濁水の処理は河川等から取水した汚濁水aを横流沈殿池の汚濁水流入部1に導入し、同時に凝集剤供給管7より凝集溶液を導入する。この凝集剤溶液は、凝集剤溶液の外、凝集剤を凝集槽のスラッジ集水管10から集水したスラッジ水で調整した溶液も使用することができる。
【0010】
汚濁水流入部1で汚濁水aと供給された凝集剤溶液とが混合され、急速撹拌槽2に導入され、ここで急速撹拌が行われ、さらに均一に混合される。急速撹拌槽2で混合された汚濁水は、次に緩速撹拌槽3に導入され、緩速撹拌が行われ、汚濁水中の汚濁物質がフロック化される。緩速撹拌槽3で処理された汚濁水aは、次に前段池の沈殿槽4に導入される。
【0011】
前段池の沈殿槽4に導入された汚濁水aは次の傾斜板および/または傾斜管が設けられた後段池の沈殿槽5に導入することが記載されている(非特許文献1 第198頁 図-5.5.13)。ここで処理された処理水bは貯留槽11、水流通過口12を通して横流沈殿池外に排出される。
【0012】
本発明は、前記した従来の処理方法において、前段池の沈殿槽4内に傾斜板および/または傾斜管を複数列設けることを特長とするとするものである。
本発明に用いる傾斜板にあっては特に図2に示すように傾斜板の角度θは60°~80°であることが好ましく、傾斜板の板縦間隔幅Wも100~400mm以下、好ましくは110~300mmが最適である。また傾斜板の高さHは200~2900mm、好ましくは500~1600mmが最適であり、さらに傾斜板の奥行きLも200~3000mm、好ましくは400~1800mmが最適である。
【0013】
また本発明に使用する傾斜管の一例を挙げると図3に示すように四角形状の筒状体からなる傾斜管が使用できるが、筒状体の一辺Wは30~300mm、好ましくは60~200mmが最適である。また傾斜管の大きさも傾斜板と同様に高さおよび奥行共に同等の大きさが好ましい。
さらに本発明に使用する他の態様の傾斜管を挙げると図4に示すように六角形状の筒状体からなる傾斜管が使用できる。
【0014】
本発明の傾斜板や傾斜管は前段池の沈殿槽4内に間隔を置いて、水流に対向するように必要により複数列設けることもできる。
【符号の説明】
【0015】
4・・・前段池の沈殿槽
5・・・傾斜板および/または傾斜管を設置した後段池の沈殿槽
a・・・汚濁水
b・・・処理水
H・・・傾斜板の高さ
L・・・傾斜板の奥行
W・・・傾斜板の板間隔幅
図1
図2
図3
図4